(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086451
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20220602BHJP
【FI】
A24F40/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198461
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AB28
4B162AC08
4B162AC13
4B162AC14
4B162AC41
(57)【要約】
【課題】喫煙具用カートリッジの一部である支持体を樹脂成形によらない新たな構造とすること。
【解決手段】タバコ植物または非タバコ植物を原料とするエアロゾル形成基材(23)と、エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピース(40)と、エアロゾル形成基材とマウスピースとの間に配置され、エアロゾル形成基材を支持する支持体(30)と、を備えた喫煙具用カートリッジ(1)であって、支持体は、複数の粒状物(31)によって構成された多孔質構造体であり、エアロゾル形成基材が加熱されることで生成されるエアロゾルが複数の粒状物の間の隙間(S)から通過可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースとの間に配置され、前記エアロゾル形成基材を支持する支持体と、を備えた喫煙具用カートリッジであって、
前記支持体は、複数の粒状物によって構成され、
前記エアロゾル形成基材が加熱されることで生成されるエアロゾルが前記複数の粒状物の間の隙間から通過可能であることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記エアロゾル形成基材側の前記複数の粒状物同士は、接着していることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物同士は、接着して一体化されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物の各断面形状は、丸または多角形状であることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物は、プラスチック粒子から成る粒状物を含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物は、多孔質の植物性原料から成る粒状物を含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
請求項1~4の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物は、無機物から成る粒状物を含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項8】
請求項1~4の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物は、前記エアロゾルに混入された少なくともタールを含む化学物質を除去する材料から成る粒状物を含む、または前記複数の粒状物の少なくとも一部には、前記化学物質を除去する除去剤が添加されている粒状物を含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項9】
請求項7または8に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の粒状物は、風味添加剤が封入されたカプセルをさらに含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持体は、前記複数の粒状物を充填する筒状部材を有することを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項11】
請求項10に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記筒状部材は、シート状部材を巻いて形成され、
前記エアロゾル形成基材と前記筒状部材と前記マウスピースとは、外装体で覆われることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
例えば特許文献1には、「エアロゾル発生デバイスに使用する喫煙物品は、喫煙物品の最上流端に位置するエアロゾル形成基材とエアロゾル形成基材のすぐ下流に位置する支持要素とを含む。支持要素は、エアロゾル形成基材に当接し、エアロゾル形成基材は、喫煙物品を実質的に変形させることなくエアロゾル形成基材の直径の約40パーセントと約70パーセントの間の直径を有するエアロゾル発生デバイスの加熱要素によって貫通可能であるように構成される。支持要素は、エアロゾル形成基材内へのエアロゾル発生デバイスの加熱要素の挿入中にエアロゾル形成基材の下流への移動に抵抗するように構成される。」ことが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の支持要素(支持体)は、中空構造を有する樹脂成形品であるため、支持要素の製造に手間がかかり、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、喫煙具用カートリッジの一部である支持体を樹脂成形によらない新たな構造とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、エアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材と同軸上に配置されるマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースとの間に配置され、前記エアロゾル形成基材を支持する支持体と、を備えた喫煙具用カートリッジであって、前記支持体は、複数の粒状物によって構成され、前記エアロゾル形成基材が加熱されることで生成されるエアロゾルが前記複数の粒状物の間の隙間から通過可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、喫煙具用カートリッジの一部である支持体を樹脂成形によらない新たな構造とすることができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図3】
図1に示す喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した状態の断面図。
【
図4】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図5】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの変形例を示す断面図。
【
図6】第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、被加熱体20と、支持体30と、マウスピース40と、を備える。被加熱体20と支持体30とマウスピース40とは、中心軸C1上に並んで配置される。そして、被加熱体20と支持体30とマウスピース40とは、シート状の外装体10により巻かれて一体化されている。外装体10は、例えば紙から成る。
【0012】
ここで、
図1に示す喫煙具用カートリッジ1は、例えば、直径が6.5~7.5mm、長さが40~60mmに形成される。また、被加熱体20は、10~25mmの長さを有する。勿論、喫煙具用カートリッジは、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0013】
被加熱体20は、充填物であるエアロゾル形成基材23をシート状の包装部材25で巻いて円筒状に形成され、その両端部おいて、エアロゾル形成基材23が露出している。即ち、被加熱体20の両端部は蓋部材(例えば紙)により覆われていない。なお、包装部材25は、例えば紙から成るが、シート状の部材であれば材質は問わない。
【0014】
エアロゾル形成基材23は、詳しくは後述するタバコ植物または非タバコ植物を原料とする喫煙材で構成されている。エアロゾル形成基材23は、例えば、短冊状の部材を束ねて構成され、その長手方向が中心軸C1に沿うように配置される。
【0015】
エアロゾル形成基材23を短冊状部材で構成した場合、中心軸C1に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1.5:1~30:1の範囲であることが好ましい。また、エアロゾル形成基材23の長さは被加熱体20の長さと略同一であるのが好ましい。エアロゾル形成基材23の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0016】
勿論、エアロゾル形成基材23は、短冊状の部材に限定されない。例えば、棒状の部材であっても良く、あるいは粉粒状の部材であっても良い。また、エアロゾル形成基材23は、短冊状の部材と粉粒状の部材の組み合わせ、短冊状の部材と棒状の部材の組み合わせ、棒状の部材と粉粒状の部材の組み合わせ、あるいは、短冊状の部材と棒状の部材と粉粒状の部材の組み合わせから成る構成としても良い。これらの場合、各部材の原料の少なくとも一部を異なるものとすれば、芳香や味わいが向上するので好ましい。
【0017】
マウスピース40は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分であり、例えば紙等を用いて形成される。また、マウスピース40は、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいても良い。被加熱体20で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部は、このマウスピース40のフィルタによってろ過される。
【0018】
支持体30は、複数の粒状物31によって構成される。粒状物31は、例えばプラスチック粒子から成り、エアロゾル形成基材23とマウスピース40とで挟まれた外装体10の内部に充填される。粒状物31の形状は、特に限定されず、例えば、断面形状が丸や楕円あるいは多角形状などであっても良い。また、粒状物31は、中実でも中空でも良く、その粒径は、例えば0.5mm~1mmである。
【0019】
なお、粒状物31は、プラスチック粒子に限定されず、エアロゾルに混入された特定の化学物質(例えばタール)を除去することができる活性炭や、セラミックスやガラスなどの無機物を材料とする粒子であっても良く、これら複数種類の粒子を混合させたものでも良い。さらに、複数の粒状物31の一部または全部に、上記化学物質(例えばホルムアルデヒドなどのアルデヒド類)を除去することのできる除去剤(例えばキトサン)を添加しても良い。
【0020】
あるいは、粒状物31として、コーヒーを抽出した後のコーヒー豆粕や、茶葉を抽出した後の茶殻などの植物性原料を用いることも可能である。これら植物性原料は多孔質で高い消臭効果を有する物質であるため、消臭効果付きの支持体30を実現することができる。なお、複数の粒状物31がコーヒー豆粕から成る場合、コーヒー豆粕はそのままだと粒径が小さいため、澱粉などでお団子状にした状態で使用することが好ましい。また、複数の粒状物31が茶殻から成る場合、エアロゾル形成基材23を茶殻にて構成すれば、エアロゾル形成基材23と支持体30を両方共に同じ材料にて製造することができる。
【0021】
支持体30は、複数の粒状物31の間に隙間Sを有する多孔質の構造体である。隙間Sは、エアロゾル形成基材23が加熱することで生成されるエアロゾルの通過流路として機能する。支持体30の両端部のうち一方の端部30aは、エアロゾル形成基材23の一方の端部23aと対面する側であり、他方の端部30bはマウスピース40と対面する側である。支持体30の一方の端部30aは、加熱部材が挿入された場合にエアロゾル形成基材23と当接してこれを支持し、支持体30の他方の端部30bは、マウスピース40と当接してこれを支持する。
【0022】
図2は
図1のII-II断面図である。
図2に示すように、エアロゾル形成基材23と対面する側の支持体30の端部30aにおいて、複数の粒状物31同士は、接着剤32を用いて接着されている。よって、エアロゾル形成基材23と対面する支持体30の端部30aの強度が高められ、加熱部材が挿入された場合であってもエアロゾル形成基材23の端部23aを強固に支持することができる。
【0023】
なお、支持体30の一方の端部30aだけでなく、他方の端部30bや外周面側に配置される複数の粒状物31同士を部分的に接着するようにしても良い。また、必要とされるエアロゾル形成基材23の支持強度が確保されていれば、全ての粒状物31を接着しなくても良い。さらに、エアロゾル形成基材23側の粒状物31を含めた全ての粒状物31同士を接着するようにしても良く、このようにすると、支持体30の全体の強度を高めることができる。その際、各粒状物31間に存する隙間Sの全てが接着剤で埋められてしまうと、支持体30の多孔質構造が損なわれてしまうため、エアロゾルを通過可能な隙間Sを確保した状態で接着する必要がある。
【0024】
次に、エアロゾル形成基材23として用いられる原料の具体例について説明する。エアロゾル形成基材23は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0025】
エアロゾル形成基材23は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0026】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0027】
エアロゾル形成基材23は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉状または粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、エアロゾル形成基材23は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされる。
【0028】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0029】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0030】
エアロゾル形成基材23の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0031】
エアロゾル形成基材23の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0032】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0033】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材23の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0034】
エアロゾル形成基材23に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0035】
風味添加剤は、例えば、マウスピース40の壁部に含浸させることによってマウスピース40に設けられている。風味添加剤がマウスピース40に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをマウスピース40の壁部に埋設することによって、マウスピース40に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース40と被加熱体20との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、喫煙者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0036】
さらに、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルを被加熱体20に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持体30に設けても良い。
【0037】
エアロゾル形成基材23の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材23の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0039】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0040】
準備工程においては、エアロゾル形成基材23を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0041】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0042】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を薄いシート状に成形してから、切断することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23が成形される。本実施形態では、薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0043】
また、粉状または粒状のエアロゾル形成基材23とするには、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉状または粒状のエアロゾル形成基材23における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒子径としても良い。
【0044】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0045】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0046】
ここで、エアロゾル形成基材23の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23と粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材23と組み合わせる場合に、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23の表面に粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材23を安定して保持することができる。
【0047】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
喫煙具用カートリッジ1の使用方法について説明する。
図3は喫煙具用カートリッジ1を喫煙具70に挿入した状態の断面図である。喫煙具用カートリッジ1は、加熱式の喫煙具70に装着されて使用される。喫煙具70は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部72を有している。挿入部72には、針状あるいはブレード状の加熱部75が設けられる。挿入部72に喫煙具用カートリッジ1が挿入された状態で加熱部75が発熱することにより、エアロゾル形成基材23からエアロゾルが生成される。この状態で喫煙者がマウスピース40をくわえて吸引すると、エアロゾルが支持体30の隙間S、マウスピース40の順に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0048】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0049】
支持体30が複数の粒状物31によって構成されているため、従来の樹脂成形品と比べて製造が簡単となり、支持体30の製造コストを低減することができる。
【0050】
また、支持体30は、複数の粒状物31の間に隙間Sを有する多孔質の構造体となっており、隙間Sがエアロゾルの通過流路として機能するため、エアロゾルが隙間Sにより整流されつつ冷却され、エアロゾルの芳香や味わいが向上する。
【0051】
また、複数の粒状物31がエアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に配置され、そのうちエアロゾル形成基材23と対面する側に配置される複数の粒状物31同士が接着されているため、エアロゾル形成基材23の端部23aを強固に支持することができる。なお、支持体30の一方の端部30aだけでなく、他方の端部30bや外周面側に配置される複数の粒状物31同士を部分的に接着するようにしても良く、全ての粒状物31同士を接着するようにしても良い。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と基本的には同じ構成であるが、支持体30が第1の粒状物33と第2の粒状物34との混合体で構成されている点が相違する。よって、以下の説明では、この相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0053】
図4は第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の断面図である。
図4に示すように、支持体30は、プラスチック粒子などから成る第1の粒状物33と、カプセルから成る第2の粒状物34とで構成されている。なお、
図4において、第1の粒状物33と第2の粒状物34とを区別して認識しやすいように、第1の粒状物33を白抜きで示し、第2の粒状物34に対してハッチングを施してある。
【0054】
第1の粒状物33は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の支持体30を構成する粒状物31と同様に、プラスチック粒子や無機物から成る。第2の粒状物34は、シェル層内に風味添加剤が封入されているカプセルから成る。カプセルのシェル層は、加熱の際の熱で溶解して内部の風味添加剤を外部に放出するように構成されているが、手で潰すことで内部の風味添加剤を外部に放出するようにしても良い。第2の粒状物34のカプセルに封入される風味添加剤には、香料成分や茶葉などの喫味成分が含まれており、それ以外にもタール除去成分、エアロゾルフォーマなどが含まれていても良い。
【0055】
第2の粒状物34の形状は、球体や多角形状体など特に限定されないが、第1の粒状物33と類似形状のカプセルであることが好ましい。また、第1の粒状物33と第2の粒状物34との混合比率は、特に限定されないが、第2の粒状物34は加熱されることで溶融する構造であるため、少なくとも第1の粒状物33を半分以上含んでいることが好ましい。
【0056】
このように構成された第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、支持体30を構成する第1の粒状物33と第2の粒状物34のうち、第2の粒状物34が風味添加剤を封入したカプセルから成り、このカプセルが加熱の際の熱で溶解して内部の風味添加剤を外部に放出するように構成されているため、喫煙の際に、第2の粒状物34のカプセル内に封入されていた風味添加剤と第1の粒状物33とが混合することにより、新たな風味や香り、あるいは複雑な風味や香りを味わうことができる。
【0057】
次に、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の変形例について説明する。
【0058】
(変形例)
図5は、変形例に係る喫煙具用カートリッジ2-1を喫煙具70に挿入した状態の断面図である。
図5に示すように、変形例に係る喫煙具用カートリッジ2-1は、エアロゾル形成基材23の軸方向の寸法を短く設定してあり、それ以外の構成は
図4に示す第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2と同じである。
【0059】
変形例に係る喫煙具用カートリッジ2-1を加熱式の喫煙具70に挿入すると、加熱部75が短寸のエアロゾル形成基材23を貫通して支持体30の内部に侵入するため、支持体30を構成する第1の粒状物33と第2の粒状物34が加熱部75に接触する。そして、この状態で加熱部75が発熱すると、加熱部75の熱によって第2の粒状物34のカプセルが溶解して内部の風味添加剤が外部に放出される。このように構成された変形例に係る喫煙具用カートリッジ2-1では、加熱部75の熱がカプセルから成る第2の粒状物34に直接伝わるため、第2の粒状物34のカプセルをより確実に溶解させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と基本的には同じ構成であるが、支持体30が複数の粒状物31を充填する筒状部材を有している点が相違する。
【0061】
図6は第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図である。
図6に示すように、支持体30は、外装体10で覆われた筒状部材35を有しており、複数の粒状物31は筒状部材35の内部に充填されている。筒状部材35は、例えば紙から成るシート状の部材を巻いて円筒状に形成したものであるが、紙以外の材質であっても良い。筒状部材35は、エアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に介装され、エアロゾル形成基材23を覆う包装部材25の端面と当接することで、エアロゾル形成基材23の軸方向の移動を規制している。
【0062】
このように構成された第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、支持体30が、複数の粒状物31を充填する筒状部材35を有しており、この筒状部材35がエアロゾル形成基材23の軸方向の移動を規制しているため、喫煙具用カートリッジ3を喫煙具70に挿入する際に、エアロゾル形成基材23の位置がずれることが防止される。また、筒状部材35の外周面によって外装体10が支持されるため、喫煙具用カートリッジ3を手指でつかむ際の径方向の変形を防止できる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0064】
例えば第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3において、筒状部材35に充填される複数の粒状物31は、特に限定されず、第1実施形態のようにプラスチック粒子や無機物などの単一種類から成るものでも良く、第2実施形態と同様にカプセルを含む混合体であっても良い。また、複数の粒状物31を充填する筒状部材35と、エアロゾル形成基材23を覆う包装部材25とは、必ずしも別体でなくても良く、両者を一体形成するようにしても良い。また、予め複数の粒状物31をケースなどの収納部材に収納し、この収納部材を筒状部材35で包むか、または筒状部材35を省略する場合はこの収納部材を外装体10で包む構成としても良い。さらに、包装部材25と筒状部材35とを省略し、エアロゾル形成基材23と複数の粒状物31とマウスピース40とを外装体10で包む構成としても良い。この場合、エアロゾル形成基材23を外装体10で包んだ後に、複数の粒状物31を外装体10の内部に落下させるように充填し、最後にマウスピース40を外装体10に挿入して喫煙具用カートリッジを製造すれば良い。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3 喫煙具用カートリッジ
10 外装体
20 被加熱体
23 エアロゾル形成基材
25 包装部材
30 支持体
40 マウスピース
31 粒状物
32 接着剤
33 第1の粒状物
34 第2の粒状物
35 筒状部材
S 隙間