(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086475
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】器具本体
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20220602BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F16J15/10 R
F16J15/10 U
F24H9/02 301Z
F24H9/02 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198504
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大島 正之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
【テーマコード(参考)】
3J040
3L037
【Fターム(参考)】
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA03
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA05
3J040HA21
3L037AB04
3L037BA04
3L037BA13
3L037BA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】段差のある円孔でもシール性の高い筐体を提供する。
【解決手段】筐体に形成した円孔の縁部7に取り付けられる環状のパッキンと、円孔を覆う覆い蓋9とを備え、円孔は筐体に形成したビード部から平坦部にかけて形成され、パッキンには環状の嵌め込み溝15と、先端が斜め下方向に向かって形成されている舌状部16とを設け、嵌め込み溝の高さをパッキンを円孔に取り付けた時、嵌め込み溝の上面に円孔の縁部7のビード部の部分が当接し、嵌め込み溝の下面19に円孔の縁部の平坦部の部分が当接する高さとしたので、舌状部が円孔の縁部全周に密着し、更に円孔がその縁部に高低差があるような孔であっても、必ず嵌め込み溝の上面又は下面に円孔の縁部が接触して密着するので、パッキンのシール性を確保できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体に形成した円孔と、該円孔の縁部に取り付けられる環状のパッキンと、前記円孔を覆う覆い蓋とを備え、前記円孔は前記筐体に形成したビード部から平坦部にかけて形成された器具本体において、前記パッキンは、環状のパッキン本体と、該パッキン本体の外周面の略中央に設けられ、前記円孔の縁部が嵌め込まれる環状の嵌め込み溝と、該嵌め込み溝の上部に設けられ、先端が斜め下方向に向かって形成されている舌状部とを備え、前記嵌め込み溝の高さを、前記パッキンを前記円孔に取り付けた時、前記嵌め込み溝の内部上面に前記円孔の前記縁部の前記ビード部の部分が当接し、前記嵌め込み溝の内部下面に前記円孔の前記縁部の前記平坦部の部分が当接する高さとしたことを特徴とする器具本体。
【請求項2】
前記パッキンは、前記パッキン本体の上面に突出して円状に設けた蓋接触部とを有し、前記覆い蓋で前記パッキンが取り付けられた前記円孔を覆った時、前記蓋接触部と前記覆い蓋とが当接することを特徴とする請求項1記載の器具本体。
【請求項3】
前記嵌め込み溝の内周面の直径を、前記円孔の直径と同じまたは前記円孔の直径よりもわずかに大きく設けたことを特徴とする請求項2記載の器具本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱源機を内蔵した器具本体の筐体に設けた点検穴等の円孔の止水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、略箱状の器具本体内に、燃料を燃焼する燃焼部と、通常はキャップで閉成される補給口を有する温水暖房の循環液用のタンクと、前記燃焼部からの燃焼ガスによりタンクから送られる循環液を加熱する熱交換部とを配設し、前記タンクの補給口に圧力逃し孔を形成し、その補給口が器具本体外に突出するための突出孔を器具本体の天板に形成し、前記突出孔と補給口の間をパッキンで閉成すると共に、圧力逃し孔と器具本体外とを通気状態とする切欠き部を有し器具本体外に突出した補給口を覆う覆い蓋を着脱自在に設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、天板をプレス機械により絞り加工して一段高くした天上部に突出孔を形成し、その孔にパッキンを取り付けているが、天板の強度を向上させるために一段高くするビード部を複数形成し、突出孔などの円孔がこのビード部とビードが形成されていない平坦部との両方にまたがるように形成されていた場合、円孔の縁部でビード部と平坦部とで高さが異なり、パッキンの溝とその溝に挟まれる円孔の縁部とで十分密着しない箇所が生じ、水が侵入する隙間が生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、該筐体に形成した円孔と、該円孔の縁部に取り付けられる環状のパッキンと、前記円孔を覆う覆い蓋とを備え、前記円孔は前記筐体に形成したビード部から平坦部にかけて形成された器具本体において、前記パッキンは、環状のパッキン本体と、該パッキン本体の外周面の略中央に設けられ、前記円孔の縁部が嵌め込まれる環状の嵌め込み溝と、該嵌め込み溝の上部に設けられ、先端が斜め下方向に向かって形成されている舌状部とを備え、前記嵌め込み溝の高さを、前記パッキンを前記円孔に取り付けた時、前記嵌め込み溝の内部上面に前記円孔の前記縁部の前記ビード部の部分が当接し、前記嵌め込み溝の内部下面に前記円孔の前記縁部の前記平坦部の部分が当接する高さとしたものである。
【0006】
また、請求項2では、前記パッキンは、前記パッキン本体の上面に突出して円状に設けた蓋接触部とを有し、前記覆い蓋で前記パッキンが取り付けられた前記円孔を覆った時、前記蓋接触部と前記覆い蓋とが当接するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記嵌め込み溝の内周面の直径を、前記円孔の直径と同じまたは前記円孔の直径よりもわずかに大きく設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、前記パッキンを前記円孔の縁部に取り付けた時、嵌め込み溝の上部に設けられ、先端が斜め下方向に向かって形成されているパッキンの舌状部が円孔の縁部全周に強く密着するので、雨がパッキンの嵌め込み溝まで侵入してくるのを抑えることができるものである。
又、パッキンの嵌め込み溝の高さを、前記パッキンを前記円孔に取り付けた時、前記嵌め込み溝の内部上面に器具本体の筐体の円孔の縁部のビード部の部分が当接し、前記嵌め込み溝の内部下面に器具本体の筐体の円孔の縁部の平坦部の部分が当接する高さとしたので、円孔がその縁部に高低差があるような孔であっても、必ず嵌め込み溝の上面又は下面に円孔の縁部が接触して密着するので、パッキンのシール性を確保できるものである。
【0009】
また、請求項2によれば、前記パッキン本体の上面に突出して円状に設けた蓋接触部とを有し、前記覆い蓋で前記パッキンが取り付けられた前記円孔を覆った時、前記蓋接触部と前記覆い蓋とが当接するもので、円孔がその縁部に高低差があるような孔であっても、覆い蓋をねじにて取り付けると、パッキン本体上面の蓋接触部が覆い蓋の内側と接触して覆い蓋に蓋接触部が押圧され、それにより円孔の縁部で位置が低い平坦部のところも円孔の縁部で位置が高いビード部のところと同じように円孔の縁部の先端部分の上面が嵌め込み溝の上面に密着するとともに、パッキンの舌状部が円孔の縁部に強く押し上げられるようにして密着し、パッキンと円孔の縁部との間で十分密着しない箇所が生じるのを防止し、水が侵入する隙間が生じるのを防ぐことができるものである。
【0010】
また、請求項3によれば、前記嵌め込み溝の内周面の直径を、円孔の直径と同じまたは円孔の直径よりもわずかに大きく設けたので、パッキンの取り付けの作業性を損なわないようにしつつ嵌め込み溝の止水性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の一実施形態の器具本体を示す斜視図。
【
図2】同覆い蓋及びパッキンを外した状態の斜視図。
【
図6】同円孔にパッキンを取り付けた時のビード部の要部断面図。
【
図8】同覆い蓋を取り付けた時のビード部の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態における器具本体を図に基づいて説明する。
1は屋外等に設置する器具本体の筐体で、天板2と、前面パネル3と、側面板と背面板とを一体にした中板4と、底板5とからなるものである。
【0013】
前記天板2には、天板2の向かって左端に点検孔である円孔6が設けられ、円孔6の縁部7に環状のパッキン8が取り付けられ、その上に覆い蓋9がねじ10にて取り付けられている。
又、前記天板2には、板の強度を向上させるためにプレス機械により絞り加工して一段高くしたビード部11が横長状に3箇所形成され、それにより天板2には平坦部12と該平坦部12より一段高いビード部11が形成されているものである。
そして前記円孔6は前記ビード部11と平坦部12にまたがる位置に形成されているため、円孔6の縁部7はビード部11のところは高く、平坦部12のところはビード部11のところより低いという形状になり、円孔6の縁部7は高低差を有する孔となっている。
前記前面パネル3には、側面板の一方に形成された吸気口(図示せず)から筐体1内に吸い込まれた空気を筐体1内のヒートポンプユニット(図示せず)により熱交換しての筐体1外に排気するための吹出口13が形成されているものである。
【0014】
前記パッキン8はゴム製で、環状のパッキン本体14と、該パッキン本体14の外周面の略中央に設けられ、器具本体の筐体1の円孔6の縁部7が嵌め込まれる環状の嵌め込み溝15と、該嵌め込み溝15の上部に設けられ、先端が斜め下方向に向かって約45度の角度で形成されている舌状部16とを備え、前記パッキン本体14の上面には、覆い蓋9の内側と密着する凸状の蓋接触部17が突出して円状に設けられているものである。
【0015】
前記嵌め込み溝15の高さは円孔6の縁部7の高低差と略同一とし、パッキン本体14の嵌め込み溝15に円孔6の縁部7を嵌め込むと、嵌め込み溝15の上面18に円孔6の縁部7で位置が高いビード部11のところの上面が密着し、嵌め込み溝15の下面19に円孔6の縁部7で位置が低い平坦部12のところの下面が密着するものである。
【0016】
前記舌状部16の長さは、前記嵌め込み溝15に円孔6の縁部7を嵌め込んだとき、その先端が平坦部12の上面に十分密着する長さに形成されており。又、前記舌状部16の下の基点は嵌め込み溝15の上面18と同じ位置なので、嵌め込み溝15の上面18に円孔6の縁部7が接する時、嵌め込み溝15の上面18と同一面の高さで前記舌状部16の下面が円孔6の縁部7の上面に接し、嵌め込み溝15の上面18から舌状部16の下面まで連続して同一面として円孔6の縁部7の上面に接してシール性を向上させているものである。
【0017】
又、前記嵌め込み溝15の上面18の中心と前記蓋接触部17の中心が一致するように設けられているので、蓋接触部17が覆い蓋9の内側と密着すると、嵌め込み溝15の上面18全体が均一に円孔6の縁部7に密着するので、よりシール性を高めることができるものである。
【0018】
又、前記嵌め込み溝15の下面19の長さを前記上面18の長さよりも短くして環状のパッキン本体14の下部分の外径を上部分の外径よりも小さくして、パッキン8を円孔6に取り付ける時、わずかにパッキン8を変形させることで容易に円孔6に取り付けることができるものである。
【0019】
次に、前記パッキン8及び前記覆い蓋9の取り付けについて説明する。
まず、器具本体の筐体1の天板2の円孔6に、パッキン8を手で変形させながら差し込み、パッキン本体14の嵌め込み溝15に円孔6の縁部7を嵌め込む。
この状態では、嵌め込み溝15に嵌め込んだ円孔6の縁部7で位置が高いビード部11のところは
図8のように円孔6の縁部7の先端部分の上面が嵌め込み溝15の上面18に密着するとともに、パッキン8の舌状部16が円孔6の縁部7に強く押し上げられるようにして密着しているものである。
【0020】
又、嵌め込み溝15に嵌め込んだ円孔6の縁部7で位置が低い平坦部12のところは、
図9のように円孔6の縁部7の先端部分の下面が嵌め込み溝15の下面19に密着するとともに、パッキン8の舌状部16の先端部分が円孔6の縁部7に押し上げられるようにして密着しているものである。
【0021】
そしてこの状態で覆い蓋9をねじ10にて取り付けると、パッキン本体14上面の蓋接触部17が覆い蓋9の内側と接触して覆い蓋9に蓋接触部17が押圧されて、嵌め込み溝15に嵌め込んだ円孔6の縁部7で位置が高いビード部11のところは
図6のように円孔6の縁部7の先端部分の上面が嵌め込み溝15の上面18により強く密着するとともに、パッキン8の舌状部16が円孔6の縁部7に更に強く押し上げられるようにして密着しているものである。
【0022】
又、嵌め込み溝15に嵌め込んだ円孔6の縁部7で位置が低い平坦部12のところも、
図7のように覆い蓋9に蓋接触部17が押圧されて、円孔6の縁部7の先端部分の上面が嵌め込み溝15の上面18に密着するとともに、パッキン8の舌状部16が円孔6の縁部7に強く押し上げられるようにして密着しているものである。
【0023】
以上のように、前記パッキン8を前記円孔6の縁部7に取り付けた時、嵌め込み溝15の上部に設けられ、先端が斜め下方向に向かって形成されているパッキン8の舌状部16が円孔6の縁部7全周に強く密着するので、雨がパッキ8ンの嵌め込み溝15まで侵入してくるのを抑えることができるものである。
【0024】
又、パッキン8の嵌め込み溝15の高さを、前記パッキン8を前記円孔6に取り付けた時、前記嵌め込み溝15の内部上面に器具本体の筐体1の円孔6の縁部7のビード部11の部分が当接し、前記嵌め込み溝15の内部下面に器具本体の筐体1の円孔6の縁部7の平坦部12の部分が当接する高さとしたので、円孔6がその縁部7に高低差があるような孔であっても、必ず嵌め込み溝15の上面18又は下面19に円孔6の縁部7が接触して密着するので、パッキン8のシール性を確保できるものである。
【0025】
また、前記パッキン本体14の上面に突出して円状に設けた蓋接触部17とを有し、前記覆い蓋9で前記パッキン8が取り付けられた前記円孔6を覆った時、前記蓋接触部17と前記覆い蓋9とが当接するもので、円孔6がその縁部7に高低差があるような孔であっても、覆い蓋9をねじ10にて取り付けると、パッキン本体14上面の蓋接触部17が覆い蓋9の内側と接触して覆い蓋9に蓋接触部17が押圧され、それにより円孔6の縁部7で位置が低い平坦部12のところも円孔6の縁部7で位置が高いビード部11のところと同じように円孔6の縁部7の先端部分の上面が嵌め込み溝15の上面18に密着するとともに、パッキン8の舌状部16が円孔6の縁部7に強く押し上げられるようにして密着し、パッキン8と円孔6の縁部7との間で十分密着しない箇所が生じるのを防止し、水が侵入する隙間が生じるのを防ぐことができるものである。
【0026】
また、前記嵌め込み溝15の内周面の直径を、円孔6の直径と同じまたは円孔6の直径よりもわずかに大きく設けたので、パッキン8の取り付けの作業性を損なわないようにしつつ嵌め込み溝15の止水性を高めたものである。
【符号の説明】
【0027】
1 筐体
6 円孔
7 縁部
8 パッキン
9 覆い蓋
11 ビード部
12 平坦部
14 パッキン本体
15 嵌め込み溝
16 舌状部