(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086477
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】光学スキャナ、光学スキャナのキャリブレーション装置及び光学スキャナのキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220602BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20220602BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20220602BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 519
H04N1/00 127Z
H04N1/04 101
H04N1/10
G06T1/00 430H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198509
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
【テーマコード(参考)】
5B047
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047BB06
5B047BC04
5B047BC11
5B047BC14
5B047CB22
5B047CB30
5B047DC06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
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5C062AB42
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5C062AC05
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5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C072AA01
5C072BA07
5C072CA09
5C072DA17
5C072DA21
5C072KA00
5C072LA02
5C072UA01
5C072VA06
(57)【要約】
【課題】読取り対象を光学的に読み取ることのできる光学スキャナを提供する。
【解決手段】本発明に係る光学スキャナは、読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナであって読取り対象を載置するための読取面と、側面を備え、その内部で導光することが可能な導光部と、導光部の読取面に載置された読取り対象を照明可能な照明部と、導光部の側面に配置され、導光部の内部で導光された光に基づいて撮像可能な撮像部と、個々の光学スキャナに対して実行されたキャリブレーション処理で算出された個別パラメータを記憶する記憶部と、撮像部で撮像された撮像情報に対し、記憶部に記憶されている個別パラメータを使用して演算を施し、画像情報を出力する処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナであって、
導光部と、照明部と、撮像部と、記憶部と、処理部と、を備え、
前記導光部は、読取り対象を載置するための読取面と、側面を備え、その内部で導光することが可能であり、
前記照明部は、前記導光部の前記読取面に載置された読取り対象を照明可能であり、
前記撮像部は、前記導光部の前記側面に配置され、前記導光部の内部で導光された光に基づいて撮像可能であり、
前記記憶部は、個々の前記光学スキャナに対して実行されたキャリブレーション処理で算出された個別パラメータを記憶し、
前記処理部は、前記撮像部で撮像された撮像情報に対し、前記記憶部に記憶されている個別パラメータを使用して演算を施し、画像情報を出力する
光学スキャナ。
【請求項2】
前記光学スキャナは、キャリブレーション装置と接続可能であって、
前記キャリブレーション装置は、キャリブレーション用表示部を備え、キャリブレーション処理を可能であり、
前記処理部は、前記キャリブレーション装置との接続時、前記キャリブレーション用表示部に表示された画像を前記撮像部で撮像し、撮像された画像に基づいて算出された個別パラメータを前記記憶部に記憶させる
請求項1に記載の光学スキャナ。
【請求項3】
前記導光部は、前記読取面と前記撮像部との間に非読取り領域が設けられている
請求項1または請求項2に記載の光学スキャナ。
【請求項4】
前記導光部は、重なる方向に配置された複数の導光板と、前記複数の導光板を光学的に接続する屈曲導光部を有する
請求項3に記載の光学スキャナ。
【請求項5】
前記照明部と前記撮像部は、前記導光部の異なる側面に設けられている
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光学スキャナ。
【請求項6】
読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナに用いられるキャリブレーション装置であって、
キャリブレーション用表示部と、表示制御部と、個別パラメータ算出部と、を備え、
前記キャリブレーション用表示部は、その表示面を、前記光学スキャナの前記読取面に対向させて配置可能であり、
前記表示制御部は、前記キャリブレーション用表示部に所定ドットの位置を変更しつつ、表示を行い、
前記個別パラメータ算出部は、前記所定ドッドの表示に対応して、前記光学スキャナから受信した撮像情報と、前記所定ドットの位置に基づいて前記個別パラメータを算出し、算出された前記個別パラメータを前記光学スキャナに送信する
光学スキャナのキャリブレーション装置。
【請求項7】
読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナに使用されるキャリブレーション方法であって、
前記光学スキャナの前記読取面に対向させて配置させたキャリブレーション用表示部の表示面に、所定ドットの位置を変更しつつ、表示を行い、
前記所定ドッドの表示に対応して、前記光学スキャナで撮像された撮像情報と、前記所定ドットの位置に基づいて前記個別パラメータを算出し、算出された前記個別パラメータを前記光学スキャナに記憶させる
光学スキャナのキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読み取ることのできる光学スキャナ、並びに、光学スキャナのキャリブレーション装置及び光学スキャナのキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスの現場では、紙等に印刷された文字、図面を光学的に読み取る光学スキャナが用いられている。光学スキャナで読み取られた画像は、そのまま印刷される(コピー機能)、あるいは、ファイルとして記憶される(スキャン機能)ことが一般的である。
【0003】
特許文献1には、このような光学スキャナについて、サイズの異なる原稿であっても、原稿サイズを正確に判定して読み取り可能な機能を備えた画像読取装置が紹介されている。特許文献1に記載の画像読取装置は、原稿載置ガラスに載置される原稿の原稿画像を読み取る際、光学スキャナユニットを、副走査方向に一定速度で移動しながら原稿を走査することで、原稿画像を光学的に読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像読取装置のように、画像を読み取る場合には、光学スキャナユニット等を機械的に走査することが一般的である。しかしながら、機械的な動作機構は、故障の原因となることが考えられる。また、機械的な動作機構を備えた場合、小型化、あるいは、薄型化を図ることも困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明に係る光学スキャナは、以下の構成を採用したことを特徴としている。 読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナであって、
導光部と、照明部と、撮像部と、記憶部と、処理部と、を備え、
前記導光部は、読取り対象を載置するための読取面と、側面を備え、その内部で導光することが可能であり、
前記照明部は、前記導光部の前記読取面に載置された読取り対象を照明可能であり、
前記撮像部は、前記導光部の前記側面に配置され、前記導光部の内部で導光された光に基づいて撮像可能であり、
前記記憶部は、個々の前記光学スキャナに対して実行されたキャリブレーション処理で算出された個別パラメータを記憶し、
前記処理部は、前記撮像部で撮像された撮像情報に対し、前記記憶部に記憶されている個別パラメータを使用して演算を施し、画像情報を出力する。
【0007】
さらに本発明に係る光学スキャナにおいて、
前記光学スキャナは、キャリブレーション装置と接続可能であって、
前記キャリブレーション装置は、キャリブレーション用表示部を備え、キャリブレーション処理を可能であり、
前記処理部は、前記キャリブレーション装置との接続時、前記キャリブレーション用表示部に表示された画像を前記撮像部で撮像し、撮像された画像に基づいて算出された個別パラメータを前記記憶部に記憶させる。
【0008】
さらに本発明に係る光学スキャナにおいて、
前記導光部は、前記読取面と前記撮像部との間に非読取り領域が設けられている。
【0009】
さらに本発明に係る光学スキャナにおいて、
前記導光部は、重なる方向に配置された複数の導光板と、前記複数の導光板を光学的に接続する屈曲導光部を有する。
【0010】
さらに本発明に係る光学スキャナにおいて、
前記照明部と前記撮像部は、前記導光部の異なる側面に設けられている。
【0011】
また、本発明に係る光学スキャナのキャリブレーション装置は、
読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナに用いられるキャリブレーション装置であって、
キャリブレーション用表示部と、表示制御部と、個別パラメータ算出部と、を備え、
前記キャリブレーション用表示部は、その表示面を、前記光学スキャナの前記読取面に対向させて配置可能であり、
前記表示制御部は、前記キャリブレーション用表示部に所定ドットの位置を変更しつつ、表示を行い、
前記個別パラメータ算出部は、前記所定ドッドの表示に対応して、前記光学スキャナから受信した撮像情報と、前記所定ドットの位置に基づいて前記個別パラメータを算出し、算出された前記個別パラメータを前記光学スキャナに送信する。
【0012】
また、本発明に係る光学スキャナのキャリブレーション方法は、
読取面に載置された読取り対象を光学的に読み取ることが可能な光学スキャナに使用されるキャリブレーション方法であって、
前記光学スキャナの前記読取面に対向させて配置させたキャリブレーション用表示部の表示面に、所定ドットの位置を変更しつつ、表示を行い、
前記所定ドッドの表示に対応して、前記光学スキャナで撮像された撮像情報と、前記所定ドットの位置に基づいて前記個別パラメータを算出し、算出された前記個別パラメータを前記光学スキャナに記憶させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光学スキャナ、光学スキャナのキャリブレーション装置及び光学スキャナのキャリブレーション方法によれば、機械的な動作機構を必要とせず、光学スキャナの薄型化、小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本実施形態の光学スキャナの導光部の上面図、及び、側面図
【
図4】本実施形態の光学スキャナによる画像情報の形成を説明するための図
【
図5】本実施形態の光学スキャナ、及び、キャリブレーション装置の構成を示す図
【
図7】本実施形態のキャリブレーション処理を示すフロー図
【
図8】本実施形態のキャリブレーション処理時における表示面を説明するための図
【
図10】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図11】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図12】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図13】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図14】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図15】他の実施形態の光学スキャナにおける導光部を説明するための図
【
図16】他の実施形態の光学スキャナ、及び、キャリブレーション装置の構成を示す図
【
図17】他の実施形態のキャリブレーション処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態の光学スキャナ1の構成を示す図である。光学スキャナ1は、導光部11、撮像ユニット12、制御部15を備えて構成されている。まず、導光部11、及び、それに取り付けられている撮像ユニット12について説明する。
【0016】
図2は、本実施形態の光学スキャナ1の導光部11の上面図、及び、側面図である。
図2(A)は、導光部11の上面図であり、
図2(B)は導光部11の側面図である。本実施形態の導光部11は、板状に形成された導光板で構成されている。導光部11は、アクリル、ガラス等、透明な基材で構成されている。
【0017】
本実施形態では、導光部11の側面に撮像ユニット12が配置されている。撮像ユニット12は、撮像部13、照明部14を有して構成されている。撮像部13は、導光部11の側面を撮像方向として取り付けられている。撮像部13は、所謂、カメラに相当する装置であって、CCD等の撮像素子、及び、導光部11の側面から入射する光を撮像素子上に投影するレンズ等を備えて構成されている。
【0018】
照明部14は、LED等の発光素子であって、導光部11の側面から導光部11の内部に光を入射させる。
図2(B)に示されているように、本実施形態では、導光部11の裏面には、反射面11bが設けられている。反射面11bは、マイクロプリズムアレイ等で構成され、照明部14から入射した光を反射させ、導光部11の表面(読取面11a)側に反射させる。
【0019】
なお、少なくとも導光部11の側面における、撮像部13、照明部14の取り付け位置は、鏡面処理を行っておくことが好ましい。撮像部13、照明部14と、導光部11間で生じる光の損失を抑えることが可能となる。
【0020】
図3は、本実施形態の導光部11における反射面11bを示す図である。
図3の導光部11において、左側面を照明位置とし、左から右側に照明光が進むこととしている。照明位置からの距離によって、反射率を変更することで、読取面11aにおける輝度分布を均一にしている。本実施形態では、反射面11bにマイクロプリズムアレイを使用しているが、マイクロプリズムアレイの密度を変更することで、反射率を変更している。具体的には、照明位置から遠ざかるに従って、マイクロプリズムアレイの密度を高くしている。
【0021】
照明部14から射出された光は、導光部11内で導光され、反射面11bによって、読取面11a側に射出される。本実施形態では、
図2(B)に示されるように、導光部11の上面を、文書や写真等の読取り対象を載置する読取面11aとしている。反射面11bで反射された光は、読取面11aに載置される読取り対象によって反射され、導光部11内に戻る。読取り対象で反射した光は、導光部11内を通過して、撮像ユニット12に設けられた撮像部13で撮像される。
【0022】
図1の光学スキャナ1の構成に戻って、制御部15について説明する。制御部15は、光学スキャナ1における各種処理を実行する部位である。本実施形態の制御部15は、処理部151、個別パラメータ記憶部152、記憶部153を有して構成されている。また、処理部151で処理された画像情報は、接続コネクタ153aを介して表示部21に表示させることが可能である。また、制御部15には、各種情報を送受信可能な接続コネクタ153bも設けられている。
【0023】
処理部151は、撮像ユニット12で撮像された撮像情報を受信する。本実施形態の光学スキャナ1は、導光部11の側面に撮像ユニット12を設けたシンプルな構成となっている。しかしながら、導光部11はその個体毎に形状が僅かに異なること、そして、その僅かな形状の違いが光学的な読取りには大きな差異を生じること、そして、撮像ユニット12の導光部11に対する取り付けも、僅かな位置の違いが光学的には大きな差異を生じることとなる。そのため、本実施形態では、各光学スキャナ1毎に用意された個別パラメータを使用し、撮像部13で読み取った撮像情報に処理を加えることとしている。
【0024】
処理部151は、撮像部13で読み取った撮像情報に対し、個別パラメータ記憶部152に記憶されている個別パラメータを使用して演算し、画像情報を形成する。形成された画像情報は、表示部21に表示される、あるいは、記憶部153に記憶される。
【0025】
ここで、個別パラメータを使用した画像情報の形成について説明する。
図4は、本実施形態の光学スキャナ1による画像情報の形成を説明するための図である。
図4(A)は、読取り対象画像を示す模式図である。ここでは、読取り対象画像を縦4×横5のマス目に分割し、各マス目に番号を付している。また、横一列に並ぶマス目の背景を統一している。
【0026】
図4(A)の読取り対象画像が光学スキャナ1で読み取られると、
図4(B)に示されるように、撮像部13で読み取られる撮像情報のマス目位置は、元の読取り対象画像のマス目位置とは異なったものになる。これは、本実施形態の光学スキャナ1の撮像部13が導光部11の側面に固定されており、導光部11内で反射した光が撮像部13で撮像されること等が原因である。また、先に述べた、個々の光学スキャナ1の特性、具体的には、個々の導光部11の特性、あるいは、撮像部13や照明部14の取り付け位置の違い等により、
図4(B)の撮像情報におけるマス目位置は、個々の光学スキャナ1によって異なったものになる。
【0027】
そのため、本実施形態では、個々の光学スキャナ1毎に用意された個別パラメータに基づき、
図4(B)の撮像情報を処理し、
図4(C)に示すように、
図4(A)と同様の並びに復元することとしている。個別パラメータは、光学スキャナ1の組み立て後、校正工程を行うことで算出され、個別パラメータ記憶部152に記憶される。
【0028】
では、個々の光学スキャナ1毎に行われる校正工程について説明を行う。
図5は、本実施形態の光学スキャナ1、及び、キャリブレーション装置3の構成を示す図である。光学スキャナ1の構成は、
図1と同様である。キャリブレーション装置3は、キャリブレーション用表示部33、表示制御部31、個別パラメータ算出部32を有して構成されている。キャリブレーション用表示部33は、導光部11の読取面11aと同じ大きさ、あるいは、それ以上の大きさの表示領域を有する。このキャリブレーション用表示部33の表示領域を導光部11の読取面11aに向かい合わせて設置することで、校正工程は実行される。
【0029】
また、個別パラメータ算出部32は、光学スキャナ1の接続コネクタ153a、153bと接続可能なケーブルを有している。なお、本実施形態では、ケーブルを使用した優先接続としているが、両者に無線通信部を設けることで、無線通信によって行うこととしてもよい。
【0030】
図6は、本実施形態の校正処理を示すフロー図である。校正工程は、光学スキャナ1のハード構成の組み立てが完了後に実行される工程である。まず、導光部11の読取面11aに向かい合わせて、キャリブレーション用表示部33の表示面33aが取り付けられる(S101)。読取面11aに対する表示面33aの位置合わせは、精度高く行うことが望ましい。そして、キャリブレーション装置3に設けられたケーブルを、光学スキャナ1の接続コネクタ153a、153bに接続する(S102)。
【0031】
このとき、光学スキャナ1は、ユーザインタフェース(図示せず)によって、キャリブレーションモードに設定されている。そして、キャリブレーション装置3のユーザインターフェース(図示せず)に対し、キャリブレーション開始指示が入力される(S103:Yes)と、キャリブレーション処理(S200)が開始される。
【0032】
図7は、本実施形態のキャリブレーション処理(S200)を示すフロー図である。
図7(A)は、キャリブレーション装置3側で実行されるキャリブレーション処理のフロー図である。
図7(B)は、光学スキャナ1側で実行されるキャリブレーション処理である。
【0033】
キャリブレーション処理(S200)は、光学スキャナ1とキャリブレーション装置3が連携して実行される処理である。キャリブレーション装置3では、それに設けられたキャリブレーション用表示部33での所定ドットの点灯を必要とする。一方、光学スキャナ1では、キャリブレーション用表示部33で表示された所定ドットの読み取り、すなわち撮像部13による撮像を必要とする。キャリブレーション処理(S200)では、個別パラメータを算出することになるが、これは、キャリブレーション装置3側、あるいは、光学スキャナ1側のどちらで行ってもよい。本実施形態では個別パラメータの算出は、キャリブレーション装置3側で行うこととしている。
【0034】
キャリブレーション処理(S200)が開始されると、キャリブレーション用表示部33の所定ドットを点灯する(S201)。
図8は、本実施形態のキャリブレーション処理時における表示面33aを説明するための図である。本実施形態では、
図8に示すように、表示面33aの所定ドット(表示ドットA)を点灯させ、光学スキャナ1での撮像位置を記録することで、個別パラメータの算出を行うこととしている。
図8に示すように、所定ドット(表示ドットA)の位置を異ならせつつ、光学スキャナ1で撮像することで、表示面33aの全ての位置について、光学スキャナ1側での読み取り位置を記録することが可能となる。
【0035】
まず、キャリブレーション装置3は、表示面33aにおいて所定ドットを点灯(S201)させる。光学スキャナ1は、撮像部13で撮像を行い、所定ドット表示時における撮像情報が読み取られる(S222)。読み取られた撮像情報は、接続コネクタ153bを介して、個別パラメータ算出部32に送信され(S223)、キャリブレーション装置3に記憶される(S203)。なお、キャリブレーション装置に送信する撮像情報は、撮像部13から出力される画像情報ではなく、撮像によって得られたドット位置であってもよい。全てのドット位置が完了していない場合(S204:No)、所定ドットの位置を変更(S207)して、撮像情報の記録が継続して実行される。全てのドット位置が完了した場合(S204:Yes)、個別パラメータ算出部32において個別パラメータの算出が行われる(S205)。
【0036】
ここで、個別パラメータの算出例について説明する。個別パラメータの算出は、撮像情報、及び、その撮像情報の撮像時に使用したドット位置に基づいて実行される。例えば、
図4(A)において、(1,1)位置の「1」のドットを点灯させた場合、
図4(B)に示されるように、撮像情報では、(1,2)位置で点灯が観測される。この撮像情報における位置の移動を全てのドットについて観測することで、5×4の変換行列を形成することが可能である。この変換行列の逆変換行列を算出することで、個別パラメータを算出することが可能である。
【0037】
なお、
図4の例では、1対1の写像を想定したものであるが、実際には、1対多、すなわち、1つの所定ドットを点灯させた場合、撮像情報の複数位置で点灯が観測されることも考えられる。そのような場合においても変換行列を使用することで、個別パラメータを算出することが可能である。また、観測された光の強度を考慮することとしてもよい。この場合も同様に、変換行列に光の強度を含めることで、より正確な個別パラメータを算出することが可能である。
【0038】
ところで、変換行列から逆変換行列を算出する場合、観測した撮像情報によっては、逆変換行列の算出時に必要となる行列式が0になる場合がある。行列式は逆変換行列の分母に位置するため、個別パラメータが発散することになる。このような場合、計測した撮像情報に、行列式が0とならないように適宜な補正を行っておくことで、個別パラメータを算出することが可能である。
【0039】
算出された個別パラメータは、接続コネクタ153bを介して、光学スキャナ1に送信される(S206)。光学スキャナ1では、個別パラメータを受信した場合(S221:Yes)、受信した個別パラメータを個別パラメータ記憶部152に記憶する(S224)。
【0040】
キャリブレーション処理が完了すると、校正工程では、キャリブレーション用表示部33を導光部11から取り外し(S104)、ケーブルを接続コネクタ153a、153bから取り外し(S105)、一連の工程が完了する。校正工程を終えた光学スキャナ1は、出荷対象となる。
【0041】
本実施形態の光学スキャナ1は、導光部11に撮像ユニット12を取り付けたシンプルな構成であって、光学スキャナ1の薄型化、及び、軽量化を図ることが容易である。また、導光部11、撮像ユニット12の取り付け等によって生じる個々の光学特性の相違を、キャリブレーション処理で形成した個別パラメータを使用することで、適切な読取りを行うことが可能となっている。
【0042】
では、本実施形態の光学スキャナ1で実行されるスキャン処理について説明する。
図9は、本実施形態のスキャン処理を示すフロー図である。スキャン処理は、校正処理の完了した光学スキャナ1、すなわち、個別パラメータ記憶部152に個別パラメータが記憶された光学スキャナ1で実行される処理である。
【0043】
ユーザは、導光部11の読取面11aに読取り対象となる印刷物等を載置し、ユーザインターフェイス(図示せず)を使用して、光学スキャナ1にスキャン開始を指示する(S301:Yes)。光学スキャナ1では、照明部14による照明を開始(S302)し、撮像部13による撮像を実行する(S303)。撮像完了後、照明部14による照明を終了する(S304)。撮像部13で撮像された撮像情報は、記憶部153に一旦記憶され、個別パラメータによる修正演算が実行される(S305)。個別パラメータにより修正演算された撮像情報は、画像情報として表示部21に表示、あるいは、記憶部153に記憶される。
【0044】
以上が、ユーザによって実行されるスキャン処理であって、光学スキャナ1の使用にあたるものである。スキャン処理では、読み取られた撮像情報を、個々の光学スキャナ1毎に用意された個別パラメータで修正演算し、画像情報として出力することで、適切な画像情報として出力することが可能となっている。特に、本実施形態の特異な導光部11と撮像ユニットの配置、並びに、個々の光学スキャナ1の光学特性の違いについても、個別パラメータによる演算によって、適切な画像情報を出力することが可能となっている。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態の光学スキャナ1は、従来の一般的な光学スキャナとは異なり、走査するための光学スキャナユニット等、機械的な動作機構を必要としない。したがって、機械的な動作機構による故障が無い、また、導光部11を主要構成としたシンプルな構成であるため、小型化、薄型化を図ることが容易となる。
【0046】
(第1変形例)
次に、本発明に係る光学スキャナ1について、各種変形例を説明する。
図10は、他の実施形態の光学スキャナ1における導光部11を説明するための図である。前述の実施形態では、撮像部13と照明部14を近接して位置させた撮像ユニット12を使用していた。このような構成に代え、
図10(A)のように、撮像部13と照明部14は、離間した位置に設けることとしてもよい。
【0047】
また、照明部14は、1つのみならず、複数設けることとしてもよい。
図10(B)は、照明部14a~14dを複数設けた変形例である。このように複数の照明部14a~14dを設けることで、光の強度向上を図ると共に、読取面11aにおける光の強度の均一化を図ることも容易となる。
【0048】
また、撮像部13と照明部14を設ける位置は、導光部11の異なる側面としてもよい。
図10(C)は、撮像部13を左側面に設け、3個の照明部14a~14cを上側面に設けた変形例である。なお、照明部14a~14cの間隔は、撮像部13の位置に応じて異ならせることとしている。具体的には、撮像部13から離れるほど、照明部14a~14cの間隔を短くし、読取面11aにおける光の強度の均一化を図っている。
【0049】
以上、撮像部13と照明部14の配置の変形例について説明したが、
図10(A)~
図10(C)における各種形態を組み合わせることとしてもよい。
【0050】
(第2変形例)
次に、本発明に係る光学スキャナ1の第2変形例を説明する。
図11は、他の実施形態の光学スキャナ1における導光部11を説明するための図である。
【0051】
図1で説明した光学スキャナ1では、導光部11の略全面を読取面11aとして使用している。撮像部13には、光学レンズが使用されることになるが、光学レンズの特性上、ピントが合う被写界深度が撮像部13の近くに位置しないことがある。そのため、導光部11において、撮像部13から離れた位置であって、被写界深度内に位置する領域を読取面11aとすることが考えられる。
【0052】
第2変形例では、導光部11において、撮像部13から離れた位置であって、撮像部13の被写界深度に位置する領域を読取面11aとし、導光部11中、読取面11a以外の領域を非読取り領域11cとしている。この非読取り領域11cは、撮像部13と読取面11aの間に位置し、読取面11aで読み取った光を撮像部13に導光する役割を担う。そのため、非読取り領域11cの各面(表面、裏面)には、反射部を設ける等、反射処理を施し、非読取り領域11c内を導光する光の損失を抑えることとしてもよい。
【0053】
(第3変形例)
図12は、他の実施形態の光学スキャナ1における導光部11を説明するための図である。
図12(A)は、
図2(B)と同様、導光部11部分の側面図であり、
図12(B)は、
図12(A)の導光部11を伸ばした際の模式的な上面図となっている。
【0054】
第2変形例で説明したように、撮像部13の被写界深度を考慮し、読取面11aは、撮像部13から離れた位置に設けることが考えられる。しかしながら、
図11のような導光部11の構成では、非読取り領域11cが設けられることで、光学スキャナ1が大型化することになる。第3変形例は、このような事情を考慮したものであって、導光部11に屈曲導光部114、115を設けることで、非読取り領域11cを読取面11aの背面に位置させ、非読取り領域11cを設けた場合であっても光学スキャナ1の大型化を抑制する構成を採用する。
【0055】
図12(A)に示されるように、第3変形例の導光部11は、3枚の導光板(第1導光板111、第2導光板112、第3導光板113)を有する。そして、第1導光板111と第2導光板112は、屈曲導光部114で光学的に接続されている。また、第2導光板112と第3導光板113は、屈曲導光部115で光学的に接続されている。第2変形例では、最も上部に位置する第1導光板111の上面を読取面11aとして使用している。第1導光板111の裏面には、
図2(B)の形態と同様、反射面が設けられる。一方、第2導光板112、第3導光板113の表面、及び、裏面には、反射部を設ける等、反射処理を施し、それらの内部を導光する光の損失を抑えることとしてもよい。
【0056】
図12(B)は、
図12(A)の導光部11を伸ばした際の模式的な上面図であるが、このような形態によれば、
図11のように、上面から見たときの光学スキャナ1の大型化を抑制するとともに、撮像部13から読取面11aまでの距離を十分に稼ぐことが可能となる。
【0057】
読取面11aを有する第1導光板111から、撮像部13までの導光については、各種形態を採用することが可能である。
図13~
図15は、第3変形例において、第3導光板113の形状を異ならせた形態となっている。何れの図も
図12(B)と同様、
図12(A)の導光部11を伸ばした際の模式的な上面図となっている。
【0058】
図13は、第3導光板113を撮像部13に向かうに従って、その幅が狭くなるようにしている。このような形状とすることで、光学スキャナ1の軽量化を図ることが容易である。
図14は、第3導光板113を第2導光板112よりも幅狭の矩形型としている。このような形態においても読取面11aで読み取った撮像情報を効率的に集光することが可能である。なお、
図14の形態では、第3導光板113が第2導光板112よりも幅狭となるため、屈曲導光部115の幅を、第3導光板113側に向かうに従って、狭くなるようにしている。
【0059】
図15は、第3導光板113を複数の単位導光板113a~113gに分割し、互いに接合した形態である。単位導光板113a~113gが配置される領域は、
図12(B)の第3導光板113と同じ領域である。すなわち、
図15の実施形態では、単位導光板113a~113g、並びに、撮像部13は、第1導光板111の下方に位置することになる。
図15の実施形態では、撮像部13も第1導光板111の下方に位置させることが可能となり、光学スキャナ1の小型化を図ることが可能である。また、複数の単位導光板113a~113gによって屈曲した光路を形成できるため、撮像部13から第1導光板(読取面11a)までの光路を十分に稼ぐことが可能である。
【0060】
なお、
図15の変形例では、屈曲した光路を複数の単位導光板113a~113gを組み合わせて形成しているが、このような形態のみならず、
図15に示される複数の単位導光板113a~113gで形成される領域を、1枚の導光板で形成することとしてもよい。
【0061】
(第4変形例)
図5で説明したキャリブレーション構成では、キャリブレーション装置3側で個別パラメータを算出する形態を説明した。第4変形例では、光学スキャナ1側で個別パラメータを算出する形態について説明を行う。
図16は、第4変形例に係るキャリブレーション構成を示す図である。また
図17は、そのキャリブレーション処理を説明する図である。
【0062】
図5で説明したキャリブレーション構成とは、キャリブレーション装置3側に個別パラメータ算出部32を備えていない点で相違している。キャリブレーション装置3は、キャリブレーション用表示部の表示、及び、光学スキャナ1と通信を行う制御部35を備えている。
個別パラメータの算出は、光学スキャナ1側の処理部151で行われる。では、このようなキャリブレーション構成についてキャリブレーション処理を説明する。
【0063】
図17(A)は、キャリブレーション装置3側で実行されるキャリブレーション処理であり、
図17(B)は、光学スキャナ1側で実行されるキャリブレーション処理である。キャリブレーション処理が開始されると、キャリブレーション用表示部33の所定ドットが点灯する(S211)。その際、光学スキャナ1に点灯位置を知らせるため、所定ドットの点灯位置を示す点灯位置情報が光学スキャナ1に送信される。点灯位置情報を受信した光学スキャナ1(S231:Yes)は、撮像部13で読み取りを行い(S232)、撮像情報を蓄積する(S233)。
【0064】
そして、キャリブレーション装置3では、所定ドットの位置を変更(S214)して、キャリブレーション用表示部33の所定ドットを点灯する(S211)。そして、点灯すべき全てのドット位置が完了した場合(S212:Yes)、光学スキャナ1に完了情報を送信する(S213)。完了情報を受信(S234:Yes)した光学スキャナ1は、蓄積している撮像情報及びその点灯位置情報に基づいて、個別パラメータを算出(S235)し、それを個別パラメータ記憶部152に記憶する(S236)。このように第4変形例では、光学スキャナ1側の処理で個別パラメータを算出・記憶している。このような場合、キャリブレーション装置3側の構成を簡素化することも可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1:光学スキャナ
3:キャリブレーション装置
11:導光部
11a:読取面
11b:反射面
11c:非読取り領域
12:撮像ユニット
13:撮像部
14(14a~14d):照明部
15:制御部
21:表示部
31:表示制御部
32:個別パラメータ算出部
33:キャリブレーション用表示部
33a:表示面
111:第1導光板
112:第2導光板
113:第3導光板
113a~113g:単位導光板
151:処理部
152:個別パラメータ記憶部
153:記憶部
153a、153b:接続コネクタ