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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086498
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 39/04 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
B65D39/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198543
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】上村 茂
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AA24
3E084AA32
3E084AB01
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC10
3E084DA01
3E084DC03
3E084DC10
3E084EA03
3E084EC03
3E084EC10
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
(57)【要約】
【課題】検体を提供するために蓋を取り外し可能でありながら、検体を提供した後は蓋が外れにくい容器を提供すること。
【解決手段】容器は、収容部および開口部を含む容器本体と、前記開口部に挿入される挿入部を含み、前記開口部を閉塞するための蓋と、を有する。前記挿入部の外周面は、第1凸部、第2凸部、第1凹部および第2凹部を有する。前記開口部の内周面は、第3凸部、第4凸部、第3凹部および第4凹部を有する。前記挿入部を前記開口部に仮挿入したときは、前記第1凸部が前記第3凹部内に収容された状態で、前記第3凸部が前記第1凹部を押圧する。前記挿入部を前記開口部に本挿入したときは、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第4凹部内および前記第3凹部内にそれぞれ収容された状態で、前記第3凸部および前記第4凸部が前記第2凹部および前記第1凹部をそれぞれ押圧する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部および開口部を含む容器本体と、
前記開口部に挿入される挿入部を含み、前記開口部を閉塞するための蓋と、
を有する容器であって、
前記挿入部の外周面は、
前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第1凸部と、
前記第1凸部よりも前記挿入部の基端側に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第2凸部と、
前記第1凸部と前記第2凸部との間に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第1凹部と、
前記第2凸部よりも前記挿入部の基端側に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第2凹部と、
を有し、
前記開口部の内周面は、
前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第3凸部と、
前記第3凸部よりも前記収容部側に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第4凸部と、
前記第3凸部と前記第4凸部との間に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第3凹部と、
前記第4凸部よりも前記収容部側に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第4凹部と、
を有し、
前記挿入部を前記開口部に仮挿入したときは、前記第1凸部が前記第3凹部内に収容された状態で、前記第3凸部が前記第1凹部を押圧し、
前記挿入部を前記開口部に本挿入したときは、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第4凹部内および前記第3凹部内にそれぞれ収容された状態で、前記第3凸部および前記第4凸部が前記第2凹部および前記第1凹部をそれぞれ押圧する、
容器。
【請求項2】
前記第3凹部は、前記挿入部が前記開口部に仮挿入された後であっても、前記挿入部が前記開口部に本挿入されたときに、前記第1凸部が前記第4凸部と前記第4凹部との間の段差に係合するように構成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第3凸部の内径は、前記第1凹部の外径未満であり、かつ前記第2凹部の外径未満であり、
前記第4凸部の内径は、前記第1凹部の外径未満である、
請求項1または請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第3凹部の内径は、前記第1凸部の外径以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記第3凹部の内径は、前記第1凸部の外径より大きい、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記蓋は、エラストマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉できる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場などでは、予め試薬が収容されている容器に、血液や唾液などの検体を提供し、混合した上で、試験や分析などを行うことがある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、予め試薬が収容されている、比色計などの測定セルが開示されている。この測定セルの開口部は、ゴム製のキャップにより密閉されている。測定セルの開口部からキャップを外し、測定セルに検体を提供した後、測定セルの開口部をキャップで密閉し、測定セルを振って測定セル内の物質を混合することで、測定セル内に被検液が調整される。そして、測定セルの開口部をキャップで密閉した状態のまま、比色計などを用いて被検液の吸光度などを測定することで、試験や分析などを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-77418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような、予め試薬が収容されており、かつ試薬を湿気などから保護するためにキャップにより密閉されている容器では、容器内に検体を提供するために、容器の開口部からキャップを容易に取り外せるように構成されていることが好ましい。しかしながら、容器の開口部からキャップを容易に取り外せるようにしてしまうと、検体の混合時またはその後の試験や分析などの時に、キャップが外れて容器外が汚染されてしまうおそれが高まってしまう。
【0006】
本発明の目的は、検体を提供するために蓋を取り外し可能でありながら、検体を提供した後は蓋が外れにくい容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る容器は、収容部および開口部を含む容器本体と、前記開口部に挿入される挿入部を含み、前記開口部を閉塞するための蓋と、を有する容器であって、前記挿入部の外周面は、前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第1凸部と、前記第1凸部よりも前記挿入部の基端側に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第2凸部と、前記第1凸部と前記第2凸部との間に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第1凹部と、前記第2凸部よりも前記挿入部の基端側に前記挿入部の中心軸を取り囲むように配置された第2凹部と、を有し、前記開口部の内周面は、前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第3凸部と、前記第3凸部よりも前記収容部側に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第4凸部と、前記第3凸部と前記第4凸部との間に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第3凹部と、前記第4凸部よりも前記収容部側に前記開口部の中心軸を取り囲むように配置された第4凹部と、を有し、前記挿入部を前記開口部に仮挿入したときは、前記第1凸部が前記第3凹部内に収容された状態で、前記第3凸部が前記第1凹部を押圧し、前記挿入部を前記開口部に本挿入したときは、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第4凹部内および前記第3凹部内にそれぞれ収容された状態で、前記第3凸部および前記第4凸部が前記第2凹部および前記第1凹部をそれぞれ押圧する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検体を提供するために蓋を取り外し可能でありながら、検体を提供した後は蓋が外れにくい容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る容器の正面図である。
図2図2は、実施の形態に係る容器の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る容器の部分拡大正面図である。
図4図4は、実施の形態に係る容器の部分拡大断面図である。
図5図5Aは蓋の平面図であり、図5Bは蓋の底面図であり、図5Cは容器本体の平面図である。
図6図6は、蓋を容器本体の開口部に挿入していない状態を示す図である。
図7図7は、蓋を容器本体の開口部に仮挿入した状態を示す図である。
図8図8は、蓋を容器本体の開口部に本挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る容器100について説明する。本実施の形態に係る容器100では、検体を提供する前は蓋110が仮挿入され、検体を提供した後は蓋110が本挿入される。蓋110が仮挿入されている状態および本挿入されている状態のいずれにおいても、容器100内は蓋110により密閉される。仮挿入された蓋110は、ある程度容易に取り外すことが可能であるが、本挿入された蓋110は、仮挿入された蓋110に比べて外れにくい。
【0011】
(容器の構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る容器100の正面図である。図2は、容器100の断面図である。これらの図では、蓋110を外した状態の容器100を示している。図3は、蓋110および容器本体120の開口部122の様子を示す容器100の部分拡大正面図である。図4は、蓋110および容器本体120の開口部122の様子を示す容器100の部分拡大断面図である。図5Aは蓋110の平面図であり、図5Bは蓋110の底面図であり、図5Cは容器本体120の平面図である。
【0012】
図1および図2に示されるように、容器100は、蓋110および容器本体120を有する。蓋110は、挿入部111を有する。容器本体120は、収容部121および開口部122を有する。蓋110の挿入部111は、容器本体120の開口部122に挿入され、収容部121を密閉する。
【0013】
蓋110は、容器本体120の開口部122に挿入される挿入部111を含み、開口部122を閉塞する。本実施の形態では、蓋110は、フランジ部117もさらに有する。
【0014】
挿入部111は、開口部122に挿入されて開口部122を閉塞する部分である。挿入部111の形状および大きさは、開口部122に対応して適宜設定される。たとえば、開口部122の水平断面が円形である場合は、挿入部111の水平断面も略同じ大きさの円形であることが好ましい。また、開口部122の水平断面が矩形である場合は、挿入部111の水平断面も略同じ大きさの矩形であることが好ましい。本実施の形態では、挿入部111の形状は、略円柱状である。また、挿入部111の内部には、空間が設けられていることが好ましい。すなわち、挿入部111は、中空構造であることが好ましい。挿入部111を中空構造とすることで、挿入部111を変形しやすくすることが可能となり、挿入部111を開口部122に挿入させやすくしたり、挿入部111の凸部と開口部122の凸部とを係合させやすくしたりすることが可能となる。
【0015】
フランジ部117は、挿入部111の基端部に固定され、例えばユーザーにより把持される部分である。フランジ部117の形状は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。本実施の形態では、フランジ部117は、挿入部111の中心軸に対して垂直方向に外側に向かって延在する板状の部材である。フランジ部117は、挿入部111と一体として形成されてもよいし、挿入部111と別体として形成され、挿入部111に固定されてもよい。本実施の形態では、フランジ部117は、挿入部111と一体として形成されている。
【0016】
挿入部111の材料は、ある程度の弾性を有するものであれば特に限定されない。挿入部111の材料の例には、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン樹脂、ゴムが含まれる。フランジ部117の材料は、特に限定されず、挿入部111の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、挿入部111およびフランジ部117の材料は、エラストマーである。蓋110は、例えば射出成形により製造されうる。
【0017】
図3および図4に示されるように、挿入部111の外周面は、第1凸部112、第1凹部113、第2凸部114および第2凹部115を有する。本実施の形態では、挿入部111は、先端部116も有する。
【0018】
第1凸部112は、挿入部111の中心軸CA1を取り囲むように挿入部111の外周面に形成された凸条である。第1凸部112は、より先端側(収容部121側)に配置された先端部116と、より基端側(フランジ部117側)に配置された第1凹部113との間に配置されている。第1凸部112の外径は、第1凹部113の外径よりも大きい。したがって、第1凸部112と第1凹部113との間には、段差が存在する。この段差は、仮挿入時には容器本体120の開口部122の第3凸部123と第3凹部124との間の段差に係合することが可能であり(図7参照)、本挿入時には開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に係合することが可能である(図8参照)。すなわち、この段差は、仮挿入時および本挿入時に挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。
【0019】
第1凹部113は、第1凸部112よりも挿入部111の基端側において、挿入部111の中心軸CA1を取り囲むように挿入部111の外周面に形成された凹条である。第1凹部113は、より先端側に配置された第1凸部112と、より基端側に配置された第2凸部114との間に配置されている。第1凹部113の外径は、第1凸部112の外径および第2凸部114の外径よりも小さい。第1凹部113は、仮挿入時には第3凸部123により押圧され(図7参照)、本挿入時には第4凸部125により押圧される(図8参照)。
【0020】
第2凸部114は、第1凸部112よりも挿入部111の基端側において、挿入部111の中心軸CA1を取り囲むように挿入部111の外周面に形成された凸条である。第2凸部114は、より先端側に配置された第1凹部113と、より基端側に配置された第2凹部115との間に配置されている。第2凸部114の外径は、第1凹部113の外径および第2凹部115の外径よりも大きい。したがって、第2凸部114と第2凹部115との間には、段差が存在する。この段差は、本挿入時に開口部122の第3凸部123と第3凹部124との間の段差に係合することが可能である(図8参照)。すなわち、この段差は、本挿入時に挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。仮挿入時よりも本挿入時の方が挿入部111が開口部122から外れにくくする観点からは、第2凸部112の外径は、第1凸部112の外径よりも大きいことが好ましい。
【0021】
第2凹部115は、第2凸部114よりも挿入部111の基端側において、挿入部111の中心軸CA1を取り囲むように挿入部111の外周面に形成された凹条である。第2凹部115は、より先端側に配置された第2凸部114と、フランジ部117との間に配置されている。第2凹部115の外径は、第2凸部114の外径よりも小さい。第2凹部115は、本挿入時に第3凸部123により押圧される(図8参照)。仮挿入時よりも本挿入時の方が挿入部111が開口部122から外れにくくする観点からは、第2凹部115の外径は、第1凹部113の外径よりも大きいことが好ましい。また、第2凹部115の外径は、第1凸部112の外径よりも大きくてもよい。
【0022】
先端部116は、第1凸部112よりも挿入部111の先端側に配置された部分である。先端部116の形状は、第1凸部112、第1凹部113、第2凸部114および第2凹部115の機能を阻害しなければ特に限定されない。本実施の形態では、先端部116は、挿入部111を開口部122に挿入しやすくする観点から、先端側に向かうほど外径が小さくなるテーパー形状を有している。
【0023】
容器本体120は、収容部121および開口部122を含み、試薬や検体などを収容する。容器本体120には、予め試薬などが収容されていてもよい。
【0024】
収容部121は、試薬や検体などを収容するための有底の凹部である。収容部121の形状および大きさは、特に限定されず、用途などに応じて適宜設定されうる。収容部121内の空間は、蓋110により外部から遮断されるが、収容部121を構成する壁には、収容部121外に接続された貫通孔や流路などが形成されていてもよい。収容部121内の空間が外部から遮断されるべきときは、例えば、これらの貫通孔や流路などは、他の部材により閉塞される。
【0025】
開口部122は、容器本体120において収容部121と外部とを接続する部分である。開口部122の位置は、特に限定されないが、収容部121内の検体を外部に漏れにくくする観点からは容器本体120の上部であることが好ましい。本実施の形態では、開口部122は、容器本体120の最上部において上向きに開口している。
【0026】
容器本体120の材料は、所期の強度を有するものであれば特に限定されず、用途や製造方法に応じて適宜選択されうる。容器本体120の材料の例には、樹脂、ガラスおよび金属が含まれる。本実施の形態では、容器本体120の材料は、ポリプロピレンである。容器本体120は、例えば射出成形により製造されうる。
【0027】
図4に示されるように、開口部122の内周面は、第3凸部123、第3凹部124、第4凸部125および第4凹部126を有する。
【0028】
第3凸部123は、開口部122の中心軸CA2を取り囲むように開口部122の内周面に形成された凸条である。第3凸部123は、開口部122の外部側の端部(上側の端部)と、より収容部121側(下側)に配置された第3凹部124との間に配置されている。第3凸部123の内径は、第3凹部124の内径よりも小さい。したがって、第3凸部123と第3凹部124との間には、段差が存在する。この段差は、仮挿入時には蓋110の挿入部111の第1凸部112と第1凹部113との間の段差に係合することが可能であり(図7参照)、本挿入時には第2凸部114と第2凹部115との間の段差に係合することが可能である(図8参照)。すなわち、この段差は、仮挿入時および本挿入時に挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。
【0029】
第3凹部124は、第3凸部123よりも収容部121側において、開口部122の中心軸CA2を取り囲むように開口部122の内周面に形成された凹条である。第3凹部124は、より外部側に配置された第3凸部123と、より収容部121側に配置された第4凸部125との間に配置されている。第3凹部124の内径は、第3凸部123の内径および第4凸部125の内径よりも大きい。第3凹部124は、仮挿入時には大きく塑性変形しないように挿入部111の第1凸部112を収容し(図7参照)、本挿入時には第2凸部114を収容する(図8参照)。すなわち、第3凹部124は、仮挿入時に第1凸部112が大きく塑性変形することを防止する、第1凸部112に対する変形抑制部として機能する。
【0030】
第4凸部125は、第3凸部123よりも収容部121側において、開口部122の中心軸CA2を取り囲むように開口部122の内周面に形成された凸条である。第4凸部125は、より外部側に配置された第3凹部124と、より収容部121側に配置された第4凹部126との間に配置されている。第4凸部125の内径は、第3凹部124の内径および第4凹部126の内径よりも小さい。したがって、第4凸部125と第4凹部126との間には、段差が存在する。この段差は、本挿入時に挿入部111の第1凸部112と第1凹部113との間の段差に係合することが可能である(図8参照)。すなわち、この段差は、本挿入時に挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。仮挿入時よりも本挿入時の方が挿入部111が開口部122から外れにくくする観点からは、第4凸部125の内径は、第3凸部123の外径よりも小さいことが好ましい。なお、図4では、第4凸部125をテーパー面として描いているが、第4凸部125の内面は、開口部122の中心軸CA2に対して平行であってもよいし、収容部121に向かうにつれて内径が小さくなるように傾斜していてもよい。
【0031】
第4凹部126は、第4凸部125よりも収容部121側において、開口部122の中心軸CA2を取り囲むように開口部122の外周面に形成された凹条である。第4凹部126は、より外部側に配置された第4凸部125と、収容部121との間に配置されている。第4凹部126の内径は、第4凸部125の内径よりも大きい。第4凹部126は、本挿入時に第1凸部112を収容する(図8参照)。
【0032】
上記のとおり、蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に仮挿入したときは、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第3凹部124内に収容された状態で、開口部122の第3凸部123が挿入部111の第1凹部113を押圧する(図7参照)。これにより、開口部122が挿入部111により閉塞され、収容部121は外部から遮断される。また、この状態では、ユーザーが第1の力で引っ張ることで、挿入部111を開口部122から取り外すことができる。
【0033】
一方、挿入部111を開口部122に本挿入したときは、挿入部111の第1凸部112および第2凸部114が開口部122の第4凹部126内および第3凹部124内にそれぞれ収容された状態で、開口部122の第3凸部123および第4凸部125が第2凹部115および第1凹部113をそれぞれ押圧する(図8参照)。これにより、開口部122が挿入部111により閉塞され、収容部121は外部から遮断される。また、この状態では、ユーザーが第1の力で引っ張っても、挿入部111を開口部122から取り外すことができず、ユーザーが第1の力よりもかなり大きい第2の力で引っ張らなければ、挿入部111を開口部122から取り外すことができない。
【0034】
上記のように挿入部111および開口部122を機能させるためには、開口部122の第3凹部124は、挿入部111が開口部122に仮挿入された後であっても、挿入部111が開口部122に本挿入されたときに、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に係合するように構成されていることが好ましい。たとえば、挿入部111の第1凸部112の外径が開口部122の第3凹部124の内径よりも顕著に大きい場合、挿入部111が開口部122に長期に亘って仮挿入されると、挿入部111の第1凸部112は開口部122の第3凹部124により大きく変形させられて、塑性変形してしまう。このように挿入部111の第1凸部112が塑性変形してしまうと、挿入部111が開口部122に本挿入されたときに、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に係合できないおそれがある。そこで、本実施の形態に係る容器100では、挿入部111が開口部122に長期に亘って仮挿入されても、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に係合できない程度まで大きく塑性変形しないように、開口部122の第3凹部124の形状が調整されている。たとえば、第3凹部124の内径は、第1凸部112の外径以上であることが好ましく、第1凸部112の外径より大きいことがより好ましい。このようにすることで、挿入部111が開口部122に仮挿入されても、挿入部111の第1凸部112は開口部122の第3凹部124により実質的に変形させられることはない。したがって、挿入部111が開口部122に本挿入されたときに、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に確実に係合することができる。
【0035】
また、挿入部111が開口部122に仮挿入されたときに、開口部122を確実に閉塞する観点からは、開口部122の第3凸部123の内径は、挿入部111の第1凹部113の外径未満であることが好ましい。同様に、挿入部111が開口部122に本挿入されたときに、開口部122を確実に閉塞する観点からは、開口部122の第3凸部123の内径は、挿入部111の第2凹部115の外径未満であることが好ましく、かつ開口部122の第4凸部125の内径は、挿入部111の第1凹部113の外径未満であることが好ましい。
【0036】
また、挿入部111が開口部122に仮挿入されたときに、挿入部111が開口部122から外れてしまうことを防止する観点からは、開口部122の第3凸部123の内径は、挿入部111の第1凸部112の外径未満であることが好ましい。同様に、挿入部111が開口部122に本挿入されたときに、挿入部111が開口部122から外れてしまうことを防止する観点からは、開口部122の第3凸部123の内径は、挿入部111の第2凸部114の外径未満であることが好ましく、かつ開口部122の第4凸部125の内径は、挿入部111の第1凸部112の外径未満であることが好ましい。
【0037】
また、挿入部111が開口部122に仮挿入されたときに、挿入部111が開口部122内にさらに挿入されてしまうことを防止する観点からは、開口部122の第3凸部123の内径は、挿入部111の第2凸部114の外径未満であることが好ましい。
【0038】
なお、図1および図2では、容器100のみで1つの物品を構成しているが、本発明に係る容器は、この態様に限定されない。たとえば、本発明に係る容器は、複数の容器の集合体に含まれる1つの容器であってもよい。
【0039】
また、図1および図2では、蓋110および容器本体120が分離されているが、本発明に係る容器は、この態様に限定されない。たとえば、蓋110および容器本体120は、接続部材により接続されていてもよい。この場合、蓋110および容器本体120の一方または両方は、接続部材と一体であってもよい。
【0040】
(容器の使用方法)
次に容器100の使用方法の一例について説明する。図6図8は、容器100の使用方法を説明するための、蓋110および容器本体120の開口部122の様子を示す図である。図6は、蓋110の挿入部111を開口部122に挿入していない状態を示す図である。図7は、挿入部111を開口部122に仮挿入した状態を示す図である。図8は、挿入部111を開口部122に本挿入した状態を示す図である。これらの図では、蓋110と容器本体120とを区別しやすくするために、蓋110は正面図を示し、容器本体120は断面図を示している。
【0041】
図6に示されるように、蓋110の挿入部111が容器本体120の開口部122から取り外された状態で、容器本体120の収容部121に試薬などを収容する。そして、図7に示されるように、蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に軽く挿入して仮挿入する。この状態では、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第3凹部124内に収容されつつ、開口部122の第3凸部123が挿入部111の第1凹部113を押圧する。これにより、開口部122が挿入部111により閉塞され、収容部121は外部から遮断される。したがって、収容部121内の試薬などは、湿気などから保護される。また、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第3凹部124内に収容されるため、仮挿入の状態が長く続いても、挿入部111の第1凸部112が大きく塑性変形することはない。
【0042】
図7に示されるように、蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に仮挿入した状態では、挿入部111の第1凸部112と第1凹部113との間の段差のみが、開口部122の第3凸部123と第3凹部124との間の段差に係合して、挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。このように、1つの段差のみがストッパーとして機能するため、この状態では、ユーザーが第1の力で引っ張ることで、図6に示されるように、挿入部111を開口部122から取り外すことができる。たとえば、容器100を用いて試験や分析などを行う場合は、ユーザーが蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122から取り外し、血液や唾液などの検体を容器本体120の収容部121に提供する。
【0043】
この後、図8に示されるように、蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に強く挿入して本挿入する。この状態では、挿入部111の第1凸部112および第2凸部114が開口部122の第4凹部126内および第3凹部124内にそれぞれ収容されつつ、開口部122の第3凸部123および第4凸部125が挿入部111の第2凹部115および第1凹部113をそれぞれ押圧する。これにより、開口部122が挿入部111により閉塞され、収容部121は外部から遮断される。
【0044】
また、この状態では、挿入部111の第1凸部112と第1凹部113との間の段差が、開口部122の第4凸部125と第4凹部126との間の段差に係合して、挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能するとともに、挿入部111の第2凸部114と第2凹部115との間の段差が、開口部122の第3凸部123と第3凹部124との間の段差に係合して、挿入部111が開口部122から外れることを防止するストッパーとして機能する。さらに、このとき、挿入部111の第1凹部113が開口部122の第4凸部125により押圧された影響で、挿入部111の第1凸部112が開口部122の第4凹部126側に向けて突出するように変形する。このように、2つの段差がストッパーとして機能するため、ユーザーが第1の力で引っ張っても、挿入部111を開口部122から取り外すことができず、第1の力よりもかなり大きい第2の力で引っ張らなければ、挿入部111を開口部122から取り外すことができない。したがって、蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に本挿入した後は、容器100を強く振って検体と試薬を撹拌しても、検体が容器100の外に漏れることはない。また、この後試験や分析などを行った後に、容器100を廃棄しても、検体が容器100の外に漏れることもない。
【0045】
(効果)
本実施の形態に係る容器100によれば、検体を提供する前は、容易に取り外すことが可能でありつつ収容部121を密封できるように蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に仮挿入しつつ、検体を提供した後は、仮挿入された場合に比べて外れにくくなるように蓋110の挿入部111を容器本体120の開口部122に本挿入することができる。したがって、本実施の形態に係る容器100によれば、検体を提供する前は予め収容されている試薬を保護しつつ、検体を提供した後は検体が外部に漏れることを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本実施の形態に係る容器は、例えば医療現場における試験や分析などに有用である。
【符号の説明】
【0047】
100 容器
110 蓋
111 挿入部
112 第1凸部
113 第1凹部
114 第2凸部
115 第2凹部
116 先端部
117 フランジ部
120 容器本体
121 収容部
122 開口部
123 第3凸部
124 第3凹部
125 第4凸部
126 第4凹部
CA1 挿入部の中心軸
CA2 開口部の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8