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  • 特開-接合体及び接合体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086513
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】接合体及び接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/20 20060101AFI20220602BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B23K1/20 Z
B23K1/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198568
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】碓氷 孝樹
(57)【要約】
【課題】 2つ以上の部材を接合材により接合した接合体において、接合部の信頼性を確保できる接合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 第1の部品12と第2の部品11とが接合材13によって接合された接合体10であって、第1の部品12の接合材13との接合面に凹凸形状を有する粗面を備える接合体10とする。接合体10は、第1の部品12における粗面上に接合材13となる接合部材13aを載置する工程と、第1の部品12上に第2の部品11を載置する工程と、接合部材13aを溶融、固化して第1の部品12と第2の部品11とを接合する工程とにより製造される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品と第2の部品とが接合材によって接合された接合体であって、
前記第1の部品の前記接合材との接合面に凹凸形状を有する粗面を備えることを特徴とする接合体。
【請求項2】
前記粗面は、前記第1の部品と前記第2の部品とが対向しない部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
【請求項3】
前記第1の部品は筒状であり、前記第2の部品は円柱状であって、前記第1の部品の先端面には前記第1の部品と同軸に形成された凹部を備え、前記凹部に前記第2の部品を収容するとともに、前記先端面に前記接合面を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の接合体。
【請求項4】
第1の部品と第2の部品とを接合材によって接合した接合体の製造方法であって、
前記第1の部品は、前記接合材との接合面に凹凸形状を有する粗面を備え、前記第1の部品における前記粗面上に前記接合材となる接合部材を載置する工程と、
前記第1の部品上に前記第2の部品を載置する工程と、
前記接合部材を溶融、固化して前記第1の部品と前記第2の部品とを接合する工程と、を備えたことを特徴とする接合体の製造方法。
【請求項5】
前記接合部材を前記第1の部品に載置する工程は、前記粗面と前記接合部材とを係合する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の接合体の製造方法。
【請求項6】
前記接合部材は、前記接合面に載置される面に凹凸形状を有する粗面を備えており、前記第1の部品の前記接合面における凹凸と、前記接合部材の前記粗面における凹凸とが係合するよう前記接合部材が前記第1の部品に載置されることを特徴とする請求項5に記載の接合体の製造方法。
【請求項7】
前記粗面と前記接合部材とを係合する工程は、前記接合部材を前記第1の部品へ押圧する工程であることを特徴とする請求項5または6に記載の接合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合体及び接合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の部材を部材間に配置した接合材によって接合する技術が広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1の光学ユニットでは、筒状の枠に光学部材を収容してはんだ接合することにより、筒状の枠と光学部材とを接合している。
【0004】
この光学ユニットは、筒状の枠と円柱状の光学部材とを用いており、筒状の枠の一端側には、他端側より内径が増大されている凹部が形成されている。光学部材を筒状の枠に接合する際には、筒状の枠に形成された凹部が上を向くように立置し、筒状の枠の凹部へと光学部材を収容する。この際、凹部の内面と光学部材の外周面との間に隙間が形成される。この隙間の上部開口を覆うように、半田材料によって形成されている円環状の接合材を筒状の枠の環状面に載置する。このとき、筒状の枠の凹部に収容されている光学部材の先端面は、筒状の枠の環状面より所定量突出しており、枠の環状面に載置された円環状の接合材は枠から突出した光学部材の外周面と所定の隙間をもってその内周面が対向するよう挿入されている。
【0005】
そして、治具によって光学部材に負荷を与えて筒状の枠の凹部の環状底面に光学部材を押圧し、この状態で光学部材、筒状の枠及び接合材を加熱炉内に投入する。接合材が加熱炉内で加熱されると接合材は溶融し、溶融した半田材料の所定量の半田材料は隙間に充填され、残りの半田材料は筒状の枠の環状面に滞留する。この後、接合材を冷却固化することにより、光学部材と筒状の枠とが接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-288423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2つの部材を接合材によって接合する際に、接合材を一方の部材上に載置した状態で加熱炉へ投入した場合、投入時の振動等によって、部材上に載置された接合材が移動して所定の載置位置から外れる位置ずれが発生することがある。例えば特許文献1記載の光学部材と枠との接合においては、光学部材の先端面が枠の環状面より所定量突出しており、環状の接合材の内周を光学部材の突出部位に挿入した上で枠の環状面上に接合材を載置するため、光学部材の突出部位が接合材の動きを規制し、接合材の位置ずれは然程大きなものとならないが、接合材が載置される枠の先端面より光学部材が突出しておらず接合材の位置ずれを規制するものがない場合、接合材の位置ずれ量は大きなものとなる。接合材の所定の載置位置から外れた状態(位置ずれした状態)で接合材を溶融し各部材を接合すると、接合体の接合位置のずれや、接合強度の不足、複数の接合体を製造した際の各接合体間の接合材外観形状の相違等が発生し、接合体の信頼性が損なわれる。
【0008】
また、接合材によって少なくとも2つの部材を接合した接合体では、接合する部材の材質や表面形状、接合材の材質によって、接合材と各部材との接合強度が十分得られずに接合体の信頼性が損なわれることも課題であった。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、2つ以上の部材を接合材により接合した接合体において、接合部の信頼性を確保できる接合体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の部品と第2の部品とが接合材によって接合された接合体であって、前記第1の部品の前記接合材との接合面に凹凸形状を有する粗面を備える接合体とする。前記粗面は、前記第1の部品と前記第2の部品とが対向しない部位に形成されていてもよい。さらに、前記第1の部品は筒状であり、前記第2の部品は円柱状であって、前記第1の部品の先端面には前記第1の部品と同軸に形成された凹部を備え、前記凹部に前記第2の部品を収容するとともに、前記先端面に前記接合面を備えていてもよい。
また、第1の部品と第2の部品とを接合材によって接合した接合体の製造方法であって、前記第1の部品は、前記接合材との接合面に凹凸形状を有する粗面を備え、前記第1の部品における前記粗面上に前記接合材となる接合部材を載置する工程と、前記第1の部品上に前記第2の部品を載置する工程と、前記接合部材を溶融、固化して前記第1の部品と前記第2の部品とを接合する工程とを備えた接合体の製造方法とする。前記接合部材を前記第1の部品に載置する工程は、前記粗面と前記接合部材とを係合する工程を含んでもよい。また、前記接合部材は、前記接合面に載置される面に凹凸形状を有する粗面を備えており、前記第1の部品の前記接合面における凹凸と、前記接合部材の前記粗面における凹凸とが係合するよう前記接合部材が前記第1の部品に載置されてもよい。さらに、前記粗面と前記接合部材とを係合する工程は、前記接合部材を前記第1の部品へ押圧する工程としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接合体及び接合体の製造方法によれば、2つ以上の部材を接合材により接合した接合体において接合部の信頼性を確保した接合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の接合体の一実施例を示す図であり、(a)は接合体の平面図であり、(b)は(a)のA-Aの断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。
図2】閉塞部材を示す図であり、(a)は閉塞部材の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図3】枠体を示す図であり、(a)は枠体の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図4】接合体の製造方法を示す模式図である。
図5】接合部材を示す図であり、(a)は接合部材の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。また図面においては各構成をわかりやすくするために実際の形状や実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。図1は、本発明の接合体の一実施例を示す図であり、(a)は接合体の平面図であり、(b)は(a)のA-Aの断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。接合体10は、筒状の枠体12と、枠体12の一端に接合材13を介して取り付けられた円柱状の閉塞部材11とを備える。
【0014】
図2は、閉塞部材を示す図であり、(a)は閉塞部材の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。閉塞部材11は、例えば、ガラスや水晶などからなる透光性部材からなる円柱状の部材である。図示しないが閉塞部材11の外周面(側面)には接合材13の濡れ性を向上するための金属膜が形成されている。金属膜は、下地層にNi膜、表面層にAu膜の積層膜により構成されている。金属膜はNi膜とAu膜との積層膜に限らず、閉塞部材11や接合材13との密着性を考慮して適宜選択することができる。なお、本実施例において、閉塞部材11の外径は5mm、高さは1mmである。
【0015】
図3は枠体を示す図であり、(a)は枠体の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。枠体12は筒状であり、例えば、ステンレス製部材からなる。枠体12は、中心軸に沿って貫通孔12bを有し、枠体12の一端側の先端部である環状先端面12aに、貫通孔12bの直径より大きな直径を有し、貫通孔12bと同軸に形成された凹部12cを備える。環状先端面12aは、レーザやサンドブラストなどで表面が粗面化加工され、環状先端面12aの全面が凹凸形状を有する粗面となっている。また、図示しないが枠体12の凹部12cの内面及び環状先端面12aには、接合材13との濡れ性を向上するための金属膜が形成されている。金属膜は、下地層にNi膜、表面層にAu膜の積層膜により構成されている。金属膜はNi膜とAu膜との積層膜に限らず、閉塞部材11や接合材13との密着性を考慮して適宜選択することができる。また、環状先端面12aに形成された金属膜は、粗面である環状先端面12a上に形成されることから環状先端面12aの表面形状に倣い金属膜の表面も粗面となっている。本実施例では、金属膜表面の算術平均粗さRaは6.3μm以上となるよう設定している。なお、本実施例において、枠体12の外径は6mm、高さは12mmであり、凹部12cの内径は5.2mm、高さは1mm、貫通孔12bの内径は4mmである。
【0016】
接合体10は、枠体12の凹部12cに閉塞部材11が収容され、閉塞部材11と枠体12とが接合材13により接合されている。接合材13は、AuSnはんだであり、閉塞部材11の外周面に形成された金属膜と、枠体12の凹部12cの内面及び環状先端面12aに形成された金属膜とに濡れ拡がり、また、それぞれの金属膜間に架橋し、閉塞部材11と枠体12との接合部において接合部を挟んで一方の側より大気成分の侵入がない、つまりリークが生じないよう閉塞部材11と枠体12とを接合している。
【0017】
以上のように、本実施例における接合体10では、接合材13と接合する部材の表面(接合面)、ここでは枠体12の環状先端面12aの表面を粗面としたことで、接合材13と部材の表面とは係合し、接合部の表面積が大きくなることで接合強度を確保することが可能となる。また、閉塞部材11と枠体12とが対向しない接合材13との接合面であり、接合材13の濡れ拡がり面となる部位、ここでは環状先端面12aを、後述する接合体の製造過程における接合部材(13a)の載置面とし、その載置面を粗面とすることで、製造過程における振動等により生じた接合部材の位置ずれに起因した接合体10の信頼性の低下も抑制することができる。
【0018】
次に、接合体の製造方法について説明する。図4は、接合体の製造方法を示す模式図である。接合体10は、以下の工程により製造される。
【0019】
[枠体載置工程:図4(a)]
まず、枠体12の外形に対応する収容部14aを備えたトレイ14を準備し、枠体12を凹部12cが上を向くように収容部14a内に立置する。
【0020】
[接合部材載置工程:図4(b)]
次に、接合部材13aを枠体12の環状先端面12a上に載置する。図5は接合部材を示す図であり、(a)は接合部材の平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。接合部材13aは、円環状のAnSnはんだ材であり、その内径と外径は枠体12の環状先端面12aと同一であり、円環状の接合部材13aの内径は5.2mm、外径は6mmである。また、厚みは0.2mmである。接合部材13aの環状先端面12aと接触する面(載置面)は、レーザやサンドブラストなどで表面が粗面化加工され、載置面の全面が凹凸形状を有する粗面となっている。接合部材13aの表面の算術平均粗さRaは、接合部材13aが載置される環状先端面12aと同等である6.3μm以上である。接合部材13aと環状先端面12aとは、接触面がそれぞれ粗面であるため、接触面においてそれぞれの粗面における凹凸同士が係合することにより、接合部材13aと環状先端面12aとの間の静止摩擦力が大きくなる構成となっている。したがって、後工程において各部材に振動等が作用した場合においても、接合部材13aは環状先端面12a上の載置された位置から移動し難い。
【0021】
接合部材13aの枠体12への載置は、まず、枠体12の凹部12cへ円柱状のジグ15を挿入する。ジグ15は、外径が凹部12cの内径よりわずかに小さく、高さは凹部12cの高さより大きく設定されており、凹部12cへ収容した際にジグ15の一部は枠体12の環状先端面12aより上方へ突出している。次いで、環状先端面12aより上方へ突出したジグ15へ接合部材13aの内周面を通し、環状先端面12a上に接合部材13aを載置する。このようにジグ15を利用することで、接合部材13aの内周面がジグ15の外周面で位置決めされ、環状先端面12aに接合部材13aを精度よく配置できる。ジグ15は、接合部材13aを環状先端面12aに載置した後、凹部12cから取り除く。
【0022】
[閉塞部材載置工程:図4(c)]
次に、閉塞部材11を枠体12の凹部12cへ載置する。このとき閉塞部材11の外径が凹部12cの内径より小さいことから、閉塞部材11は閉塞部材11の外周面と凹部12cの内面との間に所定の隙間が形成された状態で、凹部12c内に収容される。
【0023】
[接合工程:図4(d)]
次に、枠体12、閉塞部材11及び接合部材13aを搭載したトレイ14を加熱炉に搬送、投入して接合部材13aを溶融し、その後、溶融した接合部材13aを冷却固化することで閉塞部材11と枠体12とを接合する。加熱炉内に投入された各部材は、例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気下、真空雰囲気下において、接合部材13aの融点以上の温度で加熱され、溶融された接合部材13aは、環状先端面12aに形成された金属膜、及び閉塞部材11に形成された金属膜上に濡れ拡がり、溶融した接合部材13aの所定量は、凹部12cの内面と閉塞部材11の外周面との間に形成された隙間に充填される。また、この隙間に充填されない残りの接合部材13aは、環状先端面12aの表面に滞留する。この後、溶融された接合部材13aを冷却固化することで、接合部材13aは接合材13となり閉塞部材11と枠体12とを接合した接合体10が得られる。
【0024】
この工程において、枠体12、閉塞部材11及び接合部材13aを搭載したトレイ14を加熱炉に搬送、投入する際、トレイ14とそれに搭載された枠体12、閉塞部材11及び接合部材13aには振動等が作用してしまう。しかし、本実施例では、接合部材13aと環状先端面12aとがそれぞれ粗面であり、接触面においてそれぞれの粗面の凹凸同士が係合することにより、接合部材13aは環状先端面12a上の所定の位置(載置位置)から移動し難く、位置ずれを起こさない。その結果、位置ずれを起こした接合部材13aを溶融した際に発生する接合体の接合位置のずれや、接合強度の不足、複数の接合体を製造した際の各接合体間の接合材外観形状の相違等を抑制し、信頼性の高い接合体を提供することができる。
【0025】
次に、本発明の接合体の製造方法の別の実施例を説明する。本実施例は、先に説明した実施例における各工程の順序、枠体載置工程、閉塞部材載置工程、接合工程、及び各工程が同一であり、接合部材載置工程のみが異なる。したがって、ここでは先の実施例と同一の各工程の順序及び工程の説明は省略し、接合部材載置工程のみを説明する。
【0026】
本発明の別の実施例における接合部材載置工程では、接合部材13aを枠体12の環状先端面12a上に載置する。本実施例における接合部材13aは、円環状のAnSnはんだ材であり、その内径と外径は枠体12の環状先端面12aと同一であり、円環状の接合部材13aの内径は5.2mm、外径は6mmである。また、厚みは0.2mmである。また、接合部材13aの環状先端面12aと接触する面は、粗面化加工がされていない平滑面である。
【0027】
接合部材13aの枠体への載置は、まず、枠体12の凹部12cへ円柱状のジグ15を挿入する。ジグ15は、外径が凹部12cの内径よりわずかに小さく、高さは凹部12cの高さより大きく設定されており、凹部12cへ収容した際にジグ15の一部は枠体12の環状先端面12aより上方へ突出している。次いで、環状先端面12aより上方へ突出したジグ15へ接合部材13aの内周面を通し、環状先端面12a上に接合部材13aを載置し、接合部材13aを環状先端面12aに載置した後、ジグ15を凹部12cから取り除く。
【0028】
次に、環状先端面12aに載置された接合部材13aを上方より環状先端面12aに向かって押圧する。接合部材13aを環状先端面12aに押圧することで、環状先端面12aより軟質材料である接合部材13aにおける環状先端面12aとの接触面は、凹凸を有する粗面である環状先端面12aの形状に倣って変形し、粗面である環状先端面12aと係合する。したがって、後工程において各部材に振動等が作用した場合において、接合部材13aはその環状先端面12aの所定の位置から移動し難くなり、信頼性の高い接合体を提供することが可能となる。
【0029】
以上、本発明の接合体及び接合体の製造方法について、実施例に基づき説明してきたが、本発明の範囲は前述の実施例に限定されるものではなく本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。例えば、接合材13、接合部材13aをAuSnはんだとしたが、AuSnはんだに限定されずAgSnはんだ等その他のろう材を用いても構わない。また、接合体10の一例として、閉塞部材11と枠体12とを接合した例を示したが、本発明の接合体は閉塞部材11と枠体12との接合に限らず、接合材を介して2つ以上の部材を接合したあらゆる接合体に適用することができる。また、接合体の製造方法の一例では、接合部材13aにおける枠体12と接触する面(載置面)を粗面としたが、載置面及び載置面と対向する面を粗面にしても構わない。また、接合部材13aの載置面と、接合部材13aが載置される枠体12の環状先端面12aとのそれぞれを粗面とする例、及び環状先端面12aを粗面とし接合部材13aの載置面は平滑面として押圧する例を示したが、例えば、粗面である環状先端面12a上に載置面が粗面の接合部材13aを載置し、その後、接合部材13aを環状先端面12aに向かって押圧するようにしてもよい。また、接合部材載置工程と閉塞部材搭載工程とを順に行った例を示したが、例えば閉塞部材搭載工程の後に接合部材載置工程を行ってもよい。その場合はジグ15を用いずに接合部材13aを枠体12上へ載置すればよい。また、枠体12の環状先端面12aの全面を粗面、接合部材13aの接触面の全面を粗面とした例を示したが、粗面は接合部材13aが配置される部位の一部、または接合部材13aの一部のみに形成してもよい。また、粗面を枠体12の環状先端面12aに形成した例を示したが、例えば、閉塞部材11に製造過程における接合部材13aの載置面を設け、その面を粗面としてもよい。また、粗面はレーザやサンドブラストなどで表面が粗面化加工して形成する例を示したが、それに限らずプラズマ処理等の他の手段により粗面化加工してもよく、粗面の形状もサンドブラスト等により加工した際にできる不規則な凹凸を有する粗面だけでなく、規則的に配列された凹凸を有する粗面であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 接合体
11 閉塞部材
12 枠体
12a 環状先端面
12b 貫通孔
12c 凹部
13 接合材
13a 接合部材
14 トレイ
14a 収容部
15 ジグ

図1
図2
図3
図4
図5