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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086567
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】印刷装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198651
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】米沼 政広
(72)【発明者】
【氏名】青柳 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】國井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB09
2C065AF01
2C065DA13
2C065DA22
(57)【要約】
【課題】転写フィルムからインクリボンの未使用領域への異物の付着を防ぐ印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、インクリボンの搬送を制御する第1搬送制御手段と、転写フィルムの搬送を制御する第2搬送制御手段とを備える。前記第2搬送制御手段は、前記二次転写が行われた後、次の二次転写のために頭出しの位置まで前記転写フィルムを搬送し、前記第1搬送制御手段は、前記一次転写が行われた後、前記第2搬送制御手段による前記頭出しの位置までの前記転写フィルムの搬送が開始されるまでの間に、前記一次転写が行われていない前記インクリボンの未使用領域が、前記インクリボンと前記転写フィルムとが互いに近接する近接領域から外れた状態となるよう前記インクリボンを搬送する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンから転写フィルムに画像を一次転写する第1転写手段と、第1転写手段により前記転写フィルムに転写された画像を記録媒体に二次転写する第2転写手段と、を備える印刷装置であって、
前記インクリボンの搬送を制御する第1搬送制御手段と、
前記転写フィルムの搬送を制御する第2搬送制御手段と、を備え、
前記第2搬送制御手段は、前記二次転写が行われた後、次の二次転写のために頭出しの位置まで前記転写フィルムを搬送し、
前記第1搬送制御手段は、前記一次転写が行われた後、前記第2搬送制御手段による前記頭出しの位置までの前記転写フィルムの搬送が開始されるまでの間に、前記一次転写が行われていない前記インクリボンの未使用領域が、前記インクリボンと前記転写フィルムとが互いに近接する近接領域から外れた状態となるよう前記インクリボンを搬送する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記インクリボンは、2つのロールの間で巻装され、
前記一次転写が行われると、前記インクリボンの使用済み領域が前記近接領域から外れることによって、前記インクリボンの未使用領域が前記近接領域に供給された状態となり、
前記第1搬送制御手段は、前記インクリボンの未使用領域が前記近接領域に供給された状態となった後、前記インクリボンの未使用領域が前記近接領域から外れた状態となるよう前記インクリボンを巻き戻す、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1搬送制御手段は、前記インクリボンの未使用領域が前記近接領域から外れた状態となり、且つ、前記近接領域に前記インクリボンの使用済み領域がある状態となるよう前記インクリボンを巻き戻すことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
インクリボンの未使用領域の先端の位置を検出する検出手段、をさらに備え、
前記第1搬送制御手段は、前記検出手段による検出信号に基づいて、前記インクリボンを巻き戻すことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1搬送制御手段は、前記第2搬送制御手段による前記次の二次転写のための頭出しの位置までの前記転写フィルムの搬送が行われた後、次の一次転写のために頭出しの位置まで前記インクリボンを搬送することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記転写フィルムは、2つのロールの間で巻装され、
前記第2搬送制御手段は、前記次の二次転写のための頭出しの位置まで前記転写フィルムを巻き戻すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記記録媒体は、カードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記カードに対して磁気的もしくは電気的に情報を記録する記録手段、をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
インクリボンから転写フィルムに画像を一次転写する第1転写手段と、第1転写手段により前記転写フィルムに転写された画像を記録媒体に二次転写する第2転写手段と、を備える印刷装置において実行される制御方法であって、
前記インクリボンの搬送を制御する第1搬送制御工程と、
前記転写フィルムの搬送を制御する第2搬送制御工程と、を有し、
前記第2搬送制御工程では、前記二次転写が行われた後、次の二次転写のために頭出しの位置まで前記転写フィルムを搬送し、
前記第1搬送制御工程では、前記一次転写が行われた後、前記第2搬送制御工程における前記頭出しの位置までの前記転写フィルムの搬送が開始されるまでの間に、前記一次転写が行われていない前記インクリボンの未使用領域が、前記インクリボンと前記転写フィルムとが互いに近接する近接領域から外れた状態となるよう前記インクリボンを搬送する、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンを用いて再転写フィルムに画像形成を行う印刷装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドとフィルム供給部との間に、クリーニングローラを配置し、インクフィルムに付着した塵等を捕捉して除去するプリンタが知られている(特許文献1)。また、転写フィルムが加熱部にさらされてフィルム表面が変質することを避けるために、所定時間以上、加熱部に同一フィルム面が位置する場合は、フィルムを退避する制御技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-272213号公報
【特許文献2】特開2013-116567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再転写プリンタの中間転写フィルムとインクリボンの近接領域においては、二次転写済みの中間転写フィルムに対して、次の一次転写のための頭出しが行われる。その際、インクリボンの未使用領域と接近しながらフィルム搬送が行われるので、フィルムに付着しているごみ等の異物が静電気などの原因により、インクリボンに転移してしまう。インクリボンの未使用領域に異物が付着すると、一次転写を行う際に画像不良を引き起こしてしまう。
【0005】
本発明は、転写フィルムからインクリボンの未使用領域への異物の付着を防ぐ印刷装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、インクリボンから転写フィルムに画像を一次転写する第1転写手段と、第1転写手段により前記転写フィルムに転写された画像を記録媒体に二次転写する第2転写手段と、を備える印刷装置であって、前記インクリボンの搬送を制御する第1搬送制御手段と、前記転写フィルムの搬送を制御する第2搬送制御手段と、を備え、前記第2搬送制御手段は、前記二次転写が行われた後、次の二次転写のために頭出しの位置まで前記転写フィルムを搬送し、前記第1搬送制御手段は、前記一次転写が行われた後、前記第2搬送制御手段による前記頭出しの位置までの前記転写フィルムの搬送が開始されるまでの間に、前記一次転写が行われていない前記インクリボンの未使用領域が、前記インクリボンと前記転写フィルムとが互いに近接する近接領域から外れた状態となるよう前記インクリボンを搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、転写フィルムからインクリボンの未使用領域への異物の付着を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷システムの全体構成を示す図である。
図2】印刷装置の構成を示す断面図である。
図3】印刷装置の制御部周辺のブロック構成を示す図である。
図4】カード印刷処理を示すフローチャートである。
図5】インクリボンへの異物の転移を説明するための図である。
図6】転写フィルム及びインクリボンの搬送制御を説明するための図である。
図7】転写フィルム及びインクリボンの搬送制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下、記録媒体としてのカードに文字や画像を印刷記録するとともに、カードに磁気的もしくは電気的な情報の記録を行う印刷装置(画像形成装置)について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷システム200の全体構成を示す図である。印刷システム200は、上位装置201と印刷装置1とを含んで構成されている。上位装置201は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、印刷装置1に対するホストコンピュータとして動作する。
【0012】
印刷装置1は、不図示のインタフェースを介して、上位装置201に接続されている。インタフェースは、無線通信、もしくは有線通信を実現可能なインタフェースである。上位装置201は、印刷データや磁気的もしくは電気的な情報の記録を行うためのデータ(以下、記録データ)等を印刷装置1に送信して記録動作等を指示可能である。なお、印刷装置1は、操作表示部5(図3)を有し、上位装置201からの記録動作指示を受信する他、操作表示部5上でユーザ操作を介して記録動作指示を受付可能である。上位装置201には、画像入力装置204、入力装置203、モニタ202が接続可能である。画像入力装置204は、例えば、デジタルカメラやスキャナである。入力装置203は、例えばキーボードやポインティングデバイスであり、上位装置201に対する命令やデータをユーザ操作を介して入力する。モニタ202は、例えば液晶ディスプレイであり、上位装置201によって生成されたデータや各種ユーザインタフェース画面の表示を行う。
【0013】
印刷システム200は、印刷装置1を含むのであれば、図1に示す構成に限られない。例えば、上位装置201は、図1に示すようなデスクトップ型のPCでなく、スマートフォン等の携帯型端末であっても良い。
【0014】
図2は、印刷装置1の構成を示す断面図である。図2に示すように、印刷装置1は、ハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、媒体収容部Cと、収容部Dと、回動ユニットFとを備えている。
【0015】
情報記録部Aは、カードに磁気的もしくは電気的な情報の記録を行うブロックであり、磁気記録部24と、非接触式ICエンコーダ23と、接触式ICエンコーダ27とを含んで構成されている。
【0016】
媒体収容部Cは、複数枚のカードCaを立位姿勢で整列して収納しており、その先端には分離開口7が設けられており、ピックアップローラ19で最前列のカードCaから順次繰り出して情報記録部Aに供給する。なお、本実施形態では、カードCaの一例として、横85.6mm、縦53.9mmの標準サイズのカードが用いられる。媒体収容部Cから繰り出されたブランクのカードCaは、粘着性のあるクリーニングローラ22で回動ユニットFに送られる。クリーニングローラ22をカードCaが通過することによって、カード表面のホコリや汚れが除去される。回動ユニットFは、ハウジング2に回動可能に軸支された回動フレーム80と、回動フレーム80に支持された2つのローラ対20、21を含んで構成されている。そして、ローラ対20、21は、回動フレーム80に回転自在に軸支持されている。
【0017】
回動ユニットFが回動する外周には、磁気エンコーダ24、非接触式ICエンコーダ23および接触式ICエンコーダ27が配置されている。そして、ローラ対20、21は、磁気記録部24、非接触式ICエンコーダ23、接触式ICエンコーダ27のいずれかに向けてカードCaを搬送するための媒体搬送路65を形成する。カードCaに対しては、磁気記録部24、非接触式ICエンコーダ23、接触式ICエンコーダ27により記録データが書き込まれる。なお、印刷装置1の右側面から、ローラ対20のニップにカードCaを挿入することによって、通常使用される媒体収容部CからのカードCaの給送とは別に、手差しでカードCaを給送することが可能である。
【0018】
印刷部Bは、カードCaの表裏面に顔写真、文字データなどの画像を形成するブロックであり、媒体搬送路65の延長上に、カードCaを搬送するための媒体搬送経路P1が設けられている。また、媒体搬送経路P1には、カードCaを搬送する搬送ローラ29、30が配置され、不図示の搬送モータに連結されている。印刷部Bは、フィルム搬送機構10を有しており、画像形成部B1と転写部B2とを有している。画像形成部B1は、フィルム搬送機構10により搬送される転写フィルム46の画像形成領域に対して、サーマルヘッド40でインクリボン41の各色画像を重ねて形成する。転写部B2は、ヒートローラ33により媒体搬送経路P1上のカードCaの表面に、転写フィルム46に形成された画像を転写する。
【0019】
印刷部Bの下流側には、媒体搬送経路P1の延長線上に、収容スタッカ60に印刷後のカードCaを搬送するための媒体搬送経路P2が設けられている。媒体搬送経路P2には、カードCaを搬送する搬送ローラ対37、38が配置され、不図示の搬送モータに連結されている。搬送ローラ対37と搬送ローラ対38の間にはデカール機構12が配置されている。デカール機構12は、凸状のデカールユニット33と、凹状のデカールユニット34とを含む。凸状のデカールユニット33は、搬送ローラ対37、38で両端部が挟持(ニップ)されたカードCaの中央部を下方に押圧して位置固定する。搬送ローラ対37、38で両端部が挟持されたカードCaは、凹状のデカールユニット34との間で挟まれることにより、ヒートローラ33による熱転写でカードCaに生じた反りが矯正される。デカール機構12は、偏心カム36を含み、デカールユニット33が図2に示す上下方向に移動可能に構成されている。
【0020】
装置ハウジング2には、インクリボンカセット42が設けられている。インクリボンカセット42は、昇華型インクリボンその他の熱転写インクリボン41を操出ロール43と巻取ロール44との間に巻装し、装置ハウジング2に着脱可能に装着されている。巻取ロール44には、ワインドモータ(DCモータ)Mr1が連結されており、繰出ロール43には、DCモータMr3が連結されている。また、装置側には、サーマルヘッド40と画像形成プラテンローラ45が、インクリボン41を挟んで対向配置されている。
【0021】
サーマルヘッド40には、不図示のヘッドコントロール用ICが連結され、ヘッドコントロール用ICは、サーマルヘッド40を熱制御する。ヘッドコントロール用ICは、画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することによって、インクリボン41から転写フィルム46に対する画像形成を行う。このため、サーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取ロール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。冷却ファン39は、サーマルヘッド40を冷却するために構成される。
【0022】
フィルム搬送機構10は、インクリボンカセット42と同様に、装置ハウジング2に着脱可能に装着される。フィルム搬送機構10に装填された転写フィルム46がプラテンローラ(画像形成プラテン)45とインクリボン41の間を走行することにより、転写フィルム上に画像が形成される。このため、転写フィルム46は、供給スプール47と巻取スプール48に巻き回され、画像形成プラテンローラ45上で形成された画像を転写プラテンローラ31と転写ローラ33の間に移送する。移送ローラ49は、転写フィルム46を移送するローラであり、移送ローラ49の周面にピンチローラ32aと32bが配置され、不図示の駆動モータ(ステッピングモータ)に連結されている。また、供給スプール47は、DCモータMr2に連結されており、巻取スプール48は、DCモータMr4に連結されている。
【0023】
収容部Dは、印刷部Bから送られたカードCaを収容スタッカ60に収容するように構成されている。収容スタッカ60は、昇降機構61にて図2中の上下方向に移動可能に構成されている。
【0024】
次に、印刷装置1の制御部および電源部について説明する。図3は、印刷装置1の制御部周辺のブロック構成を示す図である。印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部100と、商用交流電源から、各機構部および制御部100等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部120とを有している。制御部100は、印刷装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータユニット(MCU)102を備えている。MCU102は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして動作するRAM、およびこれらを接続する内部バスを含んで構成されている。
【0025】
MCU102には、外部バスが接続されている。外部バスには、通信部101、メモリ107が接続されている。通信部101は、通信ICを有し、上位装置201との通信を行う。メモリ107は、カードCaに画像を形成するための印刷データや、カードCaの磁気ストライプや収容ICに書き込むための記録データ等を一時的に記憶する。
【0026】
また、外部バスには、信号処理部103、アクチュエータ制御部104、サーマルヘッド制御部105、操作表示制御部106、上述の情報記録部Aが接続されている。信号処理部103は、各種センサSe1~Se3や、フィルム搬送モータMr5、モータMr1~Mr4のエンコーダからの検出信号を処理する。アクチュエータ制御部104は、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含む。サーマルヘッド制御部105は、サーマルヘッド40を構成する加熱素子への熱エネルギーを制御する。操作表示制御部106は、操作表示部5を制御する。
【0027】
アクチュエータ制御部104は、モータMr1~Mr4を駆動するモータドライバを含む。モータドライバは、パルス列を発生させデューティ比(供給電流のオン、オフの比)を変更可能なタイマICを含む。デューティ比は、スイッチング周波数の周期をT、通電時間をtとしたときに、{(T-t)/T}×100(%)で表される。モータMr1~Mr4は、タイマICで生成されたPWM(Pulse Width Modulation)パルスで駆動する。モータMr1~Mr4には、ノイズを抑制するとともにエネルギー効率を高めるために、フライホイールダイオード(不図示)がそれぞれ並列に設けられている。なお、モータドライバは、温度センサThで検出された環境温度に応じてPWMパルスを温度補正する。MCU102は、アクチュエータ制御部104にモータMr1~Mr4のデューティ比を指示し、アクチュエータ制御部104は、モータドライバのタイマICに指示されたデューティ比により、モータMr1~Mr4を駆動させる。
【0028】
電源部120は、制御部100、サーマルヘッド40、ヒートローラ33、操作表示部5および情報記録部A等に作動/駆動電源を供給する。
【0029】
次に、本実施形態の印刷装置1の全体動作について説明する。以下に説明する動作は、MCU102のCPU(以下、単にCPUという)により実現される。
【0030】
印刷装置1に電源が投入されると、印刷装置1を構成する各部材をホーム(初期)位置に位置付け、ROMに記憶されているプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開する初期設定処理が行われる。ホーム位置とは、例えば、図2に示す状態である。
【0031】
CPUは、操作表示部5(操作表示制御部104)または通信部101を介して印刷命令を受信すると、図4に示すカード印刷処理を実行する。なお、説明上、以下では、上位装置201から印刷データ等を受信済みとして説明する。すなわち、CPUは、上位装置201から、片面印刷の場合においては一面側、両面印刷においては一面および他面側の印刷データを受信してメモリ107に格納している。また、CPUは、上位装置201から、記録データを受信してメモリ107に格納している。ここで、印刷データは、例えば、Bk(ブラック)の印刷データ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色成分の印刷データである。
【0032】
図4に示すように、カード印刷処理では、S301において、画像形成部B1により、転写フィルム46に一面(例えば表面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理(画像形成処理)が行われる。すなわち、CPUは、メモリ107に格納されたY、M、Cの各色成分印刷データおよびBkの印刷データに基づいて、画像形成部B1のサーマルヘッド40を制御することで、転写フィルム46の画像形成領域Rにインクリボン41のY、M、CおよびBkインクによる画像を重ねて形成する。
【0033】
S301での一次転写処理と並行して、S302において、CPUは、媒体収容部CからカードCaを繰り出す。そして、CPUは、記録データに基づいて、情報記録部Aを構成する磁気エンコーダ24、非接触式ICエンコーダ23、接触式ICエンコーダ27のうちの少なくともいずれかにより、カードCaに対する記録処理を行う。その後、CPUは、カードCaを転写部B2に搬送するよう制御する。
【0034】
S303では、転写部B2において、転写フィルム46の転写面に形成された画像をカードCaの一面に転写する二次転写処理が行われる。なお、CPUは、二次転写処理に先だって、ヒートローラ33を構成するヒータの温度が所定温度に達しているように制御する。それとともに、CPUは、カードCaと、転写フィルム46の画像形成領域Rに形成された画像とが同期して転写部B2に到達するように制御する。
【0035】
二次転写処理後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37との間に配置された剥離ピン79でカードCaから分離(剥離)され、供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは、媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構12に向けて搬送される。CPUは、不図示の搬送モータを駆動させ、カードCaの後端が剥離ピン79を通過した後に、搬送モータの駆動を停止させる。これにより、カードCaは、両端部が搬送ローラ対37、38に挟持された状態となる。
【0036】
S304では、カードCaに生じた反りを矯正するデカール処理が行われる。デカール処理では、偏心カム36を回動させ、デカールユニット33をデカールユニット34に向けて押し下げ、カードCaをデカールユニット33、34で挟むように制御される。
【0037】
S305において、CPUは、両面印刷であるか否かを判定する。S305の判定は、例えば、ジョブの設定等に基づいて行われても良い。ここで、両面印刷でないと判定された場合、S310に進む。一方、両面印刷であると判定された場合、S306において、画像形成部B1で、転写フィルム46の次の画像形成領域Rに、S301と同様に、他面(例えば裏面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理が行われる。
【0038】
S306での一次転写処理と並行して、S307において、CPUは、搬送ローラ対37、38に挟持されデカール機構12に位置付けられているカードCaを媒体搬送経路P2、P1を経由して回動ユニットFに搬送し、両端部をローラ対20、21で挟持されたカードCaを180°回動(表裏面を反転)させる。すなわち、カードCaの180°回動により、表裏面が反転する。
【0039】
S308では、S303と同様に、転写部B2において、転写フィルム46の次の画像形成領域Rに形成された画像をカードCaの他面に転写する二次転写処理が行われる。
S309では、S304と同様に、カードCaに生じた反りを矯正するデカール処理が行われる。S310において、収容スタッカ60に向けてカードCaが排出される。その後、図4のカード印刷処理を終了する。
【0040】
次に、図5図7を参照しながら、本実施形態における転写フィルムとインクリボンの搬送動作を説明する。まず、使用済みの転写フィルムにごみ等の異物が付着した際に、インクリボンの未使用領域に異物が転移して画像不良を引き起こすときの動作について、図5を参照しながら説明する。
【0041】
図5(a)に示すように、一次転写が行われた直後では、転写フィルムとインクリボンとが近接する領域内には、インクリボンの未使用領域と、転写フィルムの使用済み領域とが存在する。そして、図5(b)に示すように、インクリボンを次の一次転写開始時のための位置に移動させるインクリボンの頭出しが行われる。また、並行して、転写フィルムによりカードへの二次転写が行われる。そして、図5(c)に示すように、二次転写が行われた直後では、カードに付着していた異物が転写フィルムの再転写した領域に付着する。
【0042】
図5(d)に示すように、次の一次転写のために、転写フィルムを頭出し位置に移動させる転写フィルムの頭出しが行われる。頭出しにおいて、図5(e)に示すように、転写フィルムがインクリボンの近接領域内を搬送されている間に、転写フィルムに付着していた異物がインクリボンの未使用領域に付着する。そして、図5(f)に示すように、インクリボンと転写フィルムの頭出しが完了し、一次転写が開始される。
【0043】
つまり、上記のように、一次転写が開始される際、インクリボンの未使用領域に異物が付着した状態となり、その結果、転写不良が発生してしまう。
【0044】
次に、上述の異物の付着を回避するための本実施形態の動作について、図6を参照しながら説明する。
【0045】
図6(a)に示すように、一次転写が行われた直後では、転写フィルム46とインクリボン41とが近接する領域(近接領域)内には、インクリボン41の未使用領域と、転写フィルム46の使用済み領域とが存在する。本実施形態では、図6(b)に示すように、インクリボン41の先端をセンサSe1の位置まで移動させることにより、近接領域からインクリボン41の未使用領域を退避させる。そして、並行して、転写フィルム46によりカードCaへの二次転写が行われる。図6(c)に示すように、二次転写が行われた直後では、カードCaに付着していた異物が転写フィルム46の再転写した領域に付着する。
【0046】
図6(d)に示すように、次の一次転写のために、転写フィルム46を頭出し位置に移動させる転写フィルムの頭出しが行われる。頭出しにおいて、図6(e)に示すように、転写フィルム46がインクリボン41の近接領域内を搬送されている間に、転写フィルム46に付着していた異物がインクリボン41の使用済み領域に付着する。つまり、本実施形態では、先に、インクリボン41の未使用領域を近接領域から退避させていたので、インクリボン41の未使用領域に異物が付着することを防ぐことができる。
【0047】
図6(f)に示すように、インクリボン41と転写フィルム46の頭出しが完了し、一次転写が開始される。このとき、一次転写を行うときの転写フィルム46と、インクリボン41の未使用領域には異物の付着はないので、転写不良は発生しない。また、異物は、インクリボン41の使用済み領域に付着されたまま巻き取られていくので、印刷装置1は、カードCaから転移してきた異物をクリーニングするための機構を構成しなくとも良く、印刷装置1をより小型化することができる。
【0048】
図7は、本実施形態における、異物の付着を回避するための印刷装置1の搬送制御処理を示すフローチャートである。図7の処理は、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより実現される。
【0049】
まず、S701では、一次転写が行われる。一次転写が行われた後、S702において、CPUは、モータMr1とMr3の供給側への駆動を開始する。その結果、インクリボン41の未使用領域の供給側への巻取りが行われる。そして、S703において、CPUは、インクリボン41の使用済み領域がセンサSe1に到達したか否かを判定する。センサSe1に到達したと判定された場合、S704に進み、センサSe1に到達していないと判定された場合、S703の処理を繰り返す。すなわち、S702及びS703において、インクリボン41の使用済み領域の先端がセンサSe1に到達するまで搬送される。その結果、図6(b)に示すように、インクリボン41の未使用領域が近接領域から外れて位置する。
【0050】
インクリボン41の未使用領域の近接領域からの退避が行われると、S705において、CPUは、モータMr2、Mr4、Mr5を供給側へ駆動する。転写フィルム46の一次転写済みの領域の先頭が二次転写の頭出し位置に到達すると、S706において、CPUは、モータMr2、Mr4、Mr5の駆動を停止する。カードCaの準備と転写フィルム46の頭出しが行われた後、S707において、二次転写が行われる。
【0051】
二次転写が行われた後、次の一次転写のために転写フィルム46の未使用領域の先端をサーマルヘッド40の位置まで搬送して頭出しするために、モータMr2とMr4の巻取り方向への駆動を開始する。そして、S709において、CPUは、転写フィルム46の使用済み領域の先頭がセンサSe1に到達したか否かを判定する。センサSe1に到達したと判定された場合、S710に進み、センサSe1に到達していないと判定された場合、S709の処理を繰り返す。上述した図6(f)は、転写フィルム46の使用済み領域の先頭がセンサSe1に到達したと判定された場合に対応する。
【0052】
S710において、CPUは、モータMr2とMr4の駆動を停止させる。S711において、CPUは、インクリボン41の未使用領域を一次転写の頭出し位置まで搬送する。S711の後、図7の処理を終了するが、再び、一次転写が行われる場合、S701からの処理が開始される。
【0053】
このように、本実施形態によれば、二次転写が行われた後、転写フィルム46の頭出しを行う際にインクリボン41の未使用領域が近接領域から外れて位置するように、インクリボン41の搬送を制御する。そのような構成により、二次転写後、転写フィルム46が近接領域を通過する際に、カードCaから付着した異物がインクリボン41の未使用領域に転移して画像不良が発生してしまうことを防ぐことができる。
【0054】
発明は上記の各実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 印刷装置: 41 インクリボン: 46 転写フィルム: 100 制御部: 102 MCU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7