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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086571
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】船外機
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/32 20060101AFI20220602BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20220602BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B63H20/32 553
F02B67/00 E
F02B67/00 N
F02M35/10 101E
F02M35/10 301V
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198655
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】596175326
【氏名又は名称】ヤマト発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛礼
(57)【要約】
【課題】従来の船外機では、ウォーターハンマー現象に起因するエンジンの構成部品の破損を防止し難いという課題があった。
【解決手段】
本発明の船外機10では、エンジン11の周囲に吸気ボックス15が配設され、吸気ボックス15内は、隔壁31により第1のチャンバ32と第2のチャンバ33とが形成される。そして、第1のチャンバ32と第2のチャンバ33とは、隔壁31に形成された連通口34を介して連通する。そして、連通口34は、隔壁31の下方側に配設されることで、転覆時には、連通口34は、吸気ボックス15内の上方に位置する。この構造により、吸気ボックス15内に浸入した水が、エンジン11へと到達する時間を遅らせ、ウォーターハンマー現象に起因するエンジンの構成部品の破損を防止することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンを駆動源として船舶を推進させる駆動機構と、
前記エンジンに供給する空気を外部から吸気する吸気ボックスと、
前記吸気ボックスの前記空気を前記エンジンへと供給するキャブレタと、を備え、
前記吸気ボックスは、
その内部を少なくとも第1のチャンバと第2のチャンバとに区画する隔壁と、
前記第1のチャンバへと前記空気を取り込む吸気口と、
前記隔壁の配置領域に形成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを連通させる連通口と、を有し、
前記連通口は、前記吸気ボックスの天面よりも底面側へと配設されることを特徴とする船外機。
【請求項2】
前記第1のチャンバの容積は、前記第2のチャンバの容積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
前記連通口は、前記吸気ボックスの高さ方向において、前記吸気口よりも下方側に配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船外機。
【請求項4】
前記キャブレタは、前記第2のチャンバに形成される連結口と連結し、
前記第2のチャンバには、その底面から天面に向けて延在する止水板が配設され、
前記止水板は、前記連通口及び前記連結口よりも前記第2のチャンバの高さ方向の上方側まで延在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船外機。
【請求項5】
前記止水板は、前記連結口の前面を塞ぐことなく配設されることを特徴とする請求項4に記載の船外機。
【請求項6】
前記吸気口と前記連通口とは、前記吸気ボックスの横幅方向の中心に対してそれぞれ反対側に配設されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船外機。
【請求項7】
前記エンジンの上方に配設される点火装置の点火時期調整ハンドルと、
前記エンジンの下方に配設される前記船舶への装着用ブラケットと、を更に備え、
前記吸気ボックスは、前記点火時期調整ハンドルと前記装着用ブラケットの間であり、少なくとも前記エンジンを覆うように配設されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機に関し、特に、吸気ボックスのチャンバ構造を利用して、転覆時のエンジン内への水の浸入を遅らせることで、ウォーターハンマー現象によるエンジンへのダメージを低減する船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レース艇用船外機のウォーターハンマー防止構造が開示されている。レース艇は、通常6隻にて走行し、その直線コースでは約80km/Hの高速状態にて走行する。そして、上記高速状態を維持したまま、第1コーナーへと突入し、180度ターンするため、そのターンする際にレース艇のバランスを失い、他のレース艇と接触し転覆する場合がある。また、上記ターンの際に、向かい風や他のレース艇の起こす波等により煽られて転覆する場合もある。
【0003】
レース艇の転覆直後には、船外機のエンジンは高速回転した状態であり、船外機が水没することで、船外機の吸気口から大量の水がエンジン内へと吸引され、ウォーターハンマー現象が発生し、エンジンのコンロッドやピストンピン等が破損してしまう場合がある。そして、ウォーターハンマー現象が発生した場合には、レース艇から船外機を取り外し、エンジンの分解、点検を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-46528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、レース艇がひっくり返り転覆した直後には、上記高速走行状態であると共に、船外機のプロペラが水面から出ることで、プロペラへの負荷が急激に低下する。その結果、エンジンの回転数が上昇することで、船外機の吸気口からエンジン内へと大量の水が吸引され、ウォーターハンマー現象が発生する。そして、ウォーターハンマー現象が発生し、コンロッド等のエンジンのパーツが破損した場合には、そのパーツを交換する必要があり、その交換作業が手間であると共に、その交換費用が嵩むという課題がある。更には、上記エンジンパーツの破損状況に応じては、エンジン自体を破棄し、交換する必要があり、その交換費用が嵩むという課題がある。
【0006】
また、上記船外機では、通常の運転時に使用可能なブレークバルブやアルミ製シリンダヘッドガスケットに予め切欠部を設けることで、エンジン内へと水が吸い込まれ、ウォーターハンマー現象が発生した際の衝撃力を上記切欠部へと積極的に集中させる。そして、ブレークバルブやアルミ製シリンダヘッドガスケットを積極的に破損させ、シリンダ内の水を一気に抜き、エンジンの急停止によるピストンに加わる上記衝撃力を弱めることで、ピストンやコンロッド等のエンジンパーツの破損を防止する。
【0007】
しかしながら、上記ウォーターハンマー現象の防止構造では、別途、ブレークバルブ及びブレークバルブを取り付けるためのOリングやアルミ製シリンダヘッドガスケットが必要となり、材料コストを低減し難いという課題がある。更には、エンジンの水没からの復旧やエンジンの機能維持のため、エンジンを分解しブレークバルブやアルミ製シリンダヘッドガスケットの交換作業が必要となり、その交換費用が嵩むという課題がある。
【0008】
また、4サイクルエンジンの場合では、通常の走行時の燃焼圧力によりブレークバルブやアルミ製シリンダヘッドガスケットが破損し、走行停止を発生させる恐れがあるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、吸気ボックスのチャンバ構造を利用して、転覆時のエンジン内への水の浸入を遅らせることで、ウォーターハンマー現象によるエンジンへのダメージを低減する船外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の船外機では、エンジンと、前記エンジンを駆動源として船舶を推進させる駆動機構と、前記エンジンに供給する空気を外部から吸気する吸気ボックスと、前記吸気ボックスの前記空気を前記エンジンへと供給するキャブレタと、を備え、前記吸気ボックスは、その内部を少なくとも第1のチャンバと第2のチャンバとに区画する隔壁と、前記第1のチャンバへと前記空気を取り込む吸気口と、前記隔壁の配置領域に形成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを連通させる連通口と、を有し、前記連通口は、前記吸気ボックスの天面よりも底面側へと配設されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の船外機では、前記第1のチャンバの容積は、前記第2のチャンバの容積よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の船外機では、前記連通口は、前記吸気ボックスの高さ方向において、前記吸気口よりも下方側に配設されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の船外機では、前記キャブレタは、前記第2のチャンバに形成される連結口と連結し、前記第2のチャンバには、その底面から天面に向けて延在する止水板が配設され、前記止水板は、前記連通口及び前記連結口よりも前記第2のチャンバの高さ方向の上方側まで延在することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の船外機では、前記止水板は、前記連結口の前面を塞ぐことなく配設されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の船外機では、前記吸気口と前記連通口とは、前記吸気ボックスの横幅方向の中心に対してそれぞれ反対側に配設されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の船外機では、前記エンジンの上方に配設される点火装置の点火時期調整ハンドルと、前記エンジンの下方に配設される前記船舶への装着用ブラケットと、を更に備え、前記吸気ボックスは、前記点火時期調整ハンドルと前記装着用ブラケットの間であり、少なくとも前記エンジンを覆うように配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の船外機は、船舶に装着された状態にて転覆することで、吸気ボックスの天面と底面とは、その位置が逆さまとなり、連通口は、吸気ボックス内にて上方側に位置する。この構造により、吸気ボックスの第1のチャンバへと浸入した水が、第2のチャンバへと流れ込むまでの時間を稼ぐことで、吸気ボックス内へと浸入した水が、第2のチャンバを通過し、エンジンまで到達する時間を遅らせる。そして、上記転覆時に、エンジンへの水の浸入量を大幅に低減することで、ウォーターハンマー現象に起因するエンジンの構成部品の破損を防止することができる。
【0018】
また、本発明の船外機では、第1のチャンバの容積が、第2のチャンバの容積よりも大きくなることで、上記転覆時に、キャブレタと連通する第2のチャンバへの水の浸入を遅らせ、吸気ボックスへ浸入した水が、エンジンまで到達する時間を遅らせることができる。
【0019】
また、本発明の船外機では、上記転覆時に、連通口が吸気ボックス内にて吸気口よりも上方側に位置することで、第1のチャンバを充填した水により連通口が閉鎖され、吸気ボックス内への空気の吸い込みが抑止される。この構造により、エンジンへの空気の供給が停止され、上記転覆後、早期にエンジンを停止させることで、ウォーターハンマー現象に起因するエンジンの構成部品の破損を防止することができる。
【0020】
また、本発明の船外機では、第2のチャンバ内には止水板が形成され、上記転覆時に、止水板は、連通口及び連結口よりも吸気ボックス内の下方まで延在して配設される。この構造により、第1のチャンバから第2のチャンバへと流れ込む水が、第2のチャンバの下方側へと流れ込むことで、第2のチャンバへと浸入した水が、エンジンまで到達する時間を遅らせることができる。
【0021】
また、本発明の船外機では、第2のチャンバ内の止水板は、連結口の前方側を塞ぐことなく配設される。この構造により、船舶の走行時における吸気抵抗の増大を防止し、エンジンの高速回転状態を維持し、船舶の高速走行を実現できる。
【0022】
また、本発明の船外機では、2ストローク式エンジンが搭載される場合には、吸気口と連通口とは、吸気ボックスの横幅方向の中心に対してそれぞれ反対側に配設される。この構造により、吸気ボックス内へと浸入した水が、第2のチャンバを通過し、エンジンまで到達する時間を遅らせることができる。
【0023】
また、本発明の船外機では、船舶がレース艇の場合には、吸気ボックスが、船舶の横幅方向のエンジンの側方を利用して配設される。この構造により、吸気ボックスの必要な容積を確保しつつ、吸気ボックスがエンジンの前方へと張り出すことが防止される。そして、船舶のコックピットの必要なスペースが確保され、ウォーターハンマー現象に起因するエンジンの構成部品の破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態である船外機を説明する側面図である。
図2】本発明の一実施形態である船外機を説明する(A)上面図、(B)背面図である。
図3】本発明の一実施形態である船外機の吸気ボックスを説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図である。
図4】本発明の一実施形態である船外機の吸気ボックスを説明する(A)模式図、(B)模式図、(C)模式図である。
図5】本発明の一実施形態である船外機の吸気ボックスを説明する(A)模式図、(B)模式図である。
図6】本発明の一実施形態である船外機の水没試験による吸気ボックスの特性を説明するグラフである。
図7】本発明の一実施形態である船外機が装着された船舶を説明する(A)上面図、(B)側面図である。
図8】本発明の他の実施形態である船外機の吸気ボックスを説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る船外機10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上下方向は船外機10の高さ方向を示し、左右方向は船外機10の横幅方向を示し、前後方向は船外機10の奥行方向を示す。
【0026】
図1は、本実施形態の船外機10を説明する側面図である。図2(A)は、本実施形態の船外機10を説明する上面図である。図2(B)は、本実施形態の船外機10を説明する背面図である。図3(A)は、本実施形態の船外機10の吸気ボックス15を説明する断面図であり、図2(B)に示す船外機10のA-A線方向の断面である。図3(B)は、本実施形態の船外機10の吸気ボックス15を説明する断面図であり、図2(B)に示す船外機10のB-B線方向の断面である。図3(C)は、本実施形態の船外機10の吸気ボックス15を説明する断面図であり、図2(A)に示す船外機10のC-C線方向の断面である。尚、説明の都合上、図3(A)から図3(C)に示す断面では、吸気ボックス15のみを図示する。
【0027】
図1に示す如く、船外機10は、主に、エンジン11と、燃料タンク12と、点火プラグ(図示せず)を介してエンジン11内での燃焼を調整する点火装置13及び点火時期調整ハンドル14と、エンジン11に外部の空気を供給する吸気ボックス15と、エンジン11と吸気ボックス15との間に配設されるキャブレタ16と、駆動機構22を収納するキャリアボディ17及びギアケース18と、駆動機構に連結するプロペラ19と、キャリアボディ17の前方側に配設されるブラケット20と、を備える。
【0028】
そして、船外機10は、船舶50(図7(A)参照)の船体51(図7(A)参照)の船尾に対してブラケット20を介して着脱自在に装着される。そして、船外機10は、エンジン11を駆動させ、その駆動力を駆動機構を介してプロペラ19に伝達させ、プロペラ19を回転させることで、船舶50を走行させる。
【0029】
エンジン11は、4ストローク式のエンジンであり、点火装置13とキャリアボディ17との間に配設される。そして、エンジン11の出力は、点火時期調整ハンドル14等の操作によって調整される。詳細は後述するが、エンジン11には、吸気ボックス15を介して空気が供給され、エンジン11、吸気ボックス15及びキャブレタ16によりエンジンユニットが構成される。
【0030】
キャリアボディ17及びギアケース18は、エンジン11と同じ金属材料から形成され、その内部に駆動機構やオイルパン(図示せず)等が収納される。そして、駆動機構22は、主に、エンジン11と連結するドライブシャフト22Aと、ドライブシャフト22Aからの駆動力をプロペラシャフト22Bへと伝達するベベルギア22Cと、プロペラ19を回転させるプロペラシャフト22Bと、を有する。
【0031】
吸気ボックス15は、エンジン11に供給される空気を船外機10の外部から取り入れ、キャブレタ16までの風路を形成する中空形状の箱状体である。吸気ボックス15は、例えば、ポリプロピレン等の樹脂を射出成形して形成される。そして、吸気ボックス15の後端部には、吸気口21(図2(B)参照)が形成され、エンジン11が駆動することで、空気は、吸気口21を介して吸気ボックス15内へと吸い込まれる。
【0032】
船外機10が装着される船舶50は、主に、レース艇であり、船外機10はブラケット20を介して船体51へと固定され、船体51の上方には、エンジン11及び点火装置13が配設される。そして、点火装置13の前方には、点火時期調整ハンドル14が配設されるため、吸気ボックス15の配設領域は、点火時期調整ハンドル14の下端側と船体51の上端側との間、つまり、エンジン11の周囲となる。尚、点火時期調整ハンドル14と吸気ボックス15との間には、操舵者の操作するためのスペースは確保される。
【0033】
図2(A)に示す如く、吸気ボックス15は、上面視にて略L字形状に形成され、少なくともエンジン11の周囲を覆うように、エンジン11の外周面に対してボルト締結される。上述したように、点火時期調整ハンドル14は、吸気ボックス15の上方に配設されることで、選手54(図7参照)等の操舵者は、極低速時には船舶50を走行させながら、片手にて点火時期調整ハンドル14を操作し、エンジン11の回転数を調整し、速度コントロールを行うことができる。
【0034】
また、図2(B)に示す如く、吸気ボックス15の左側の後端面15Cには、吸気口21が形成される。そして、吸気口21は、後端面15Cにおいて、吸気ボックス15の天面15Bよりも底面15A側へと配設される。
【0035】
一方、船舶50の走行時において、図2(A)の矢印23にて示すように、エンジン11が駆動することで、空気は、吸気口21を介して吸気ボックス15内へと吸い込まれ、キャブレタ16を介してエンジン11へと供給される。そして、詳細は後述するが、吸気口21が、吸気ボックス15の後端面15Cに配設されることで、吸気ボックス15の第1のチャンバ32(図3(A)参照)の容積を効率的に大きくすることができる。
【0036】
尚、船舶50がレース艇の場合には、吸気口21の周辺にて水しぶきが発生し、走行中に吸気口21から水が吸気ボックス15内へと浸入し易くなるが、第1のチャンバ32の底面15Aに排水用の小穴(図示せず)を設けることで、吸気ボックス15外部へと排出される。その結果、吸気ボックス15へと浸入した水は、隔壁31により第1のチャンバ32内に留まり、排出されることで、船舶50の走行中にエンジン11まで水が浸入し難い構造が実現される。
【0037】
図3(A)に示す如く、吸気ボックス15の内部は、隔壁31にて第1のチャンバ32と第2のチャンバ33へと区画される。第1のチャンバ32と第2のチャンバ33とは、隔壁31の配設領域に形成される連通口34(図3(B)参照)を介して連通する。そして、上述したように、第1のチャンバ32は、吸気口21を介して吸気ボックス15の外部と連通し、第2のチャンバ33は、連結口35を介してキャブレタ16と連通する。
【0038】
図3(B)及び図3(C)に示す如く、連通口34は、隔壁31の配設領域に形成され、第1のチャンバ32と第2のチャンバ33とを連通させる。連通口34は、隔壁31の配設領域において、吸気ボックス15の天面15Bよりも底面15A側へと配設される。そして、好適には、連通口34は、底面15A近傍の隔壁31に配設される。
【0039】
具体的には、連通口34は、吸気口21よりも吸気ボックス15内の下方側に形成されると共に、吸気ボックス15の底面15Aに沿って形成される。詳細は後述するが、船舶50が引っくり返り転覆した際には、船外機10も引っくり返り、吸気口21から吸気ボックス15内へと水が浸入する。そして、船外機10の引っくり返った状態では、連通口34は、吸気ボックス15内の上方側へと位置すると共に、隔壁31が第1のチャンバ32と第2のチャンバ33との間を止水する。この構造により、吸気ボックス15内にて、第1のチャンバ32から第2のチャンバ33へと大量の水が一気に流れ込むことを防止する。その結果、転覆後、水が、エンジン11のスロットルバルブ(図示せず)へと到達するまでの時間を遅らせると共に、水の浸入量も大幅に低減させることで、ウォーターハンマー現象に起因するエンジン11の構成部品の破損を防止することができる。
【0040】
次に、図4(A)から図4(C)は、本実施形態の船外機10の吸気ボックス15を説明する模式図である。図5(A)から図5(B)は、本実施形態の船外機10の吸気ボックス15を説明する模式図である。図6は、本実施形態の船外機10の水没試験による吸気ボックス15の特性を説明するグラフである。尚、図4(A)から図5(B)では、船舶50が引っくり返って転覆し、船外機10の吸気ボックス15の底面15Aと天面15Bの位置が逆さになった状態を示す。
【0041】
図4(A)に示す如く、船舶50が引っくり返ることで、吸気ボックス15の底面15Aが、天面15Bよりも水面側へと位置することで、隔壁31に形成された連通口34は、吸気ボックス15内の上方側へと位置する。そして、転覆直後は、エンジン11が高速回転を継続することで、吸気ボックス15内へは吸気口21を介して水と空気が勢い良く流れ込む。その結果、矢印41にて示すように、空気よりも質量が重い水は、先ずは、第1のチャンバ32にて下方へと流れ込み、第1のチャンバ32内を充填していくが、隔壁31により遮られることで、第2のチャンバ33内へと流れ込み難くなる。その後、第1のチャンバ32内の水が、連通口34の位置まで溜まることで、矢印42にて示すように、第2のチャンバ33内へと流れ込む。
【0042】
上述したように、船舶50の転覆により、吸気ボックス15の底面15Aと天面15Bの位置が逆さになることで、吸気ボックス15内での連通口34の位置が高くなり、水が第2のチャンバ33へと流れ込むまでの時間を遅らせることができる。そして、図示したように、吸気ボックス15では、第1のチャンバ32の容積が第2のチャンバ33の容積よりも大きくなる場合でも良い。この場合には、第1のチャンバ32内へとより多くの水を溜め込むことで、水が第2のチャンバ33へと流れ込むまでの時間を遅らせることができる。
【0043】
ここで、船舶50がひっくり返り転覆する状況では、通常、エンジン11の回転数が7000rpm程度の高速走行状態から転覆すると、エンジン11の回転数が自ら運転を維持出来ない状態まで低下するまで、0.5秒~1.0秒程度掛かる。そして、この期間に、大量の水がエンジン11のスロットルバルブより先へと流れ込むことで、ウォーターハンマー現象が発生し、その衝撃力によりエンジン11の構成部品が破損する恐れがある。
【0044】
上述したように、本実施形態の吸気ボックス15では、上記チャンバ構造により、吸気口21から吸気ボックス15内へと流れ込んだ水が、エンジン11内へと流れ込むまでの時間を遅らせ、その間にエンジン11を停止させ、あるいは、エンジン11の回転数を自ら運転を維持出来ない状態まで低下させることで、ウォーターハンマー現象の発生を防止させる。また、エンジン11内へと水が流れ込み、ウォーターハンマー現象が発生した場合でも、エンジン11内へと流れ込む水量を大幅に低減することで、ウォーターハンマー現象が発生した際の衝撃力を大幅に低減することができる。そして、上記衝撃力を弱めることで、ピストンやコンロッド等のエンジン11の構成部品の破損を防止することができる。
【0045】
図4(B)に示す如く、船舶50の転覆により、吸気ボックス15の底面15Aと天面15Bの位置が逆さになった状態において、吸気口21が、連通口34の下端34Aよりも吸気ボックス15内の下方に位置する場合でも良い。この場合にも、第1のチャンバ32から第2のチャンバ33へと流れ込む水量を大幅に低減することができる。
【0046】
図4(A)の構造と同様に、矢印41にて示すように、船舶50の転覆直後は、大量の水が、第1のチャンバ32内へと流れ込み、第1のチャンバ32内を充填していく。そして、第1のチャンバ32内の水位が、吸気口21より高くなることで、吸気口21が水にて蓋をされた状態となる。その結果、エンジン11へと空気を供給し続けることが出来なくなり、エンジン11の回転数が急低下することで、エンジン11による水の吸引力を早期に弱めることができる。この場合でも、上述したように、ウォーターハンマー現象の発生を防止させ、あるいは、エンジン11内へと流れ込む水量を大幅に低減させ、ウォーターハンマー現象が発生した際の衝撃力を大幅に低減することができる。
【0047】
尚、図4(B)に示すように、第1のチャンバ32の容積を第2のチャンバ33の容積より大きくする構造と吸気口21を連通口34の下端34Aより低くする構造とを組み合わせることで、エンジン11内へと流れ込む水量を大幅に低減することができるが、必ずしも両構造を組み合わせる必要はない。少なくともどちらか一方の構造でも上記効果を得ることができる。
【0048】
図4(C)に示す如く、第2のチャンバ33内の隔壁31に、連通口34と連通する管路43が配設される場合でも良い。この場合には、管路43は、断面視略L字形状であり、管路43の出口が吸気ボックス15の天面15B側へと向くように配設される。この構造により、水が第1のチャンバ32を充填することで、第1のチャンバ32から第2のチャンバ33へと流れ込むが、矢印44にて示すように、その水が、強制的に第2のチャンバ33の下方へと向かうことで、図4(A)及び図4(B)に示す構造と同様に、ウォーターハンマー現象の発生を防止させ、あるいは、エンジン11内へと流れ込む水量を大幅に低減させ、ウォーターハンマー現象が発生した際の衝撃力を大幅に低減することができる。
【0049】
また、第2のチャンバ33の水面高さが、管路43の先端以上となることで、管路43が水にて蓋をされた状態となる。その結果、エンジン11へと空気を供給し続けることが出来なくなり、エンジン11の回転数が急低下することで、エンジン11による水の吸引力を早期に弱めることができる。
【0050】
図5(A)に示す如く、止水板45が、第2のチャンバ33内に連通口34の前面を塞ぐように配設される場合でも良い。この場合には、水が第1のチャンバ32を充填することで、第1のチャンバ32から第2のチャンバ33へと流れ込むが、矢印46にて示すように、その水が、止水板45と衝突し、第2のチャンバ33の下方へと向かうことで、図4(A)及び図4(B)に示す構造と同様に、ウォーターハンマー現象の発生を防止させ、あるいは、エンジン11内へと流れ込む水量を大幅に低減させ、ウォーターハンマー現象が発生した際の衝撃力を大幅に低減することができる。
【0051】
更には、図5(B)に示す如く、止水板45は、連結口35の前面を塞ぐことなく配設されることで、船舶50の走行時において、第2のチャンバ33内での吸気抵抗の増大を防止し、船外機10のエンジン11の高速回転状態を維持することができる。
【0052】
図6では、以下の試験条件により水没試験を行った結果を示す。水面上にて船外機10のエンジン11の回転数を9000rpmまで上げた状態から一気に水没させ、エンジン11の回転数が自ら運転を維持出来ない状態まで低下するまでの時間を計測し、その時間を縦軸とする。一方、横軸では、吸気ボックス15の容積を示す。
【0053】
点線は、上述した吸気ボックス15から隔壁31を除去し、単室構造とした場合において、ウォーターハンマー現象の発生を抑止し、あるいは、ウォーターハンマー現象が発生した際にもエンジン11の各構成部品に損傷が発生しなかった場合の実験値に基づく線形近似線ある。尚、×印は、エンジン11の各構成部品に損傷が発生した場合の試験結果の一例であり、●印は、エンジン11の各構成部品に損傷が発生しなかった場合の試験結果の一例である。
【0054】
一方、〇印は、上述したように、吸気ボックス15を隔壁31により第1のチャンバ32と第2のチャンバ33へと区画すると共に、点線にて示す単室と同等の全容積において、第1のチャンバ32の容積を第2のチャンバ33の容積の約1.6倍となるように区画した状態にて水没試験を行い、ウォーターハンマー現象の発生を抑止し、あるいは、ウォーターハンマー現象が発生した際にもエンジン11の各構成部品に損傷が発生しなかった場合の試験結果を示す。
【0055】
グラフに示すように、〇印を基準とし、エンジン11のキャブレタ16までの水の到達時間を同じとした場合には、単室構造の吸気ボックスでは、本実施形態の吸気ボックス15に対して約1.6倍の全容積が必要となる。一方、〇印を基準とし、吸気ボックス15の全容積を同じとした場合には、本実施形態の吸気ボックス15では、単室構造の吸気ボックスに対して、キャブレタ16までの到達時間を約1.6倍に伸ばすことができる。
【0056】
上述したように、船舶50の転覆時には、通常、エンジン11が7000rpm程度の高速走行状態から、エンジン11が停止、あるいは、エンジン11の回転数が自ら運転を維持出来ない状態まで低下するまで、0.5秒~1.0秒程度掛かる。そこで、本実施形態の吸気ボックス15では、以上の水没試験の結果が示すように、隔壁31により第1のチャンバ32と第2のチャンバ33が形成されることで、吸気ボックス15の全容積を大幅に低減しながらも、エンジン11までの水の到達時間を大幅に遅らせることができる。
【0057】
次に、図7(A)は、本実施形態の船外機10が装着された船舶50を説明する上面図である。図7(B)は、本実施形態の船外機10が装着された船舶50を説明する側面図である。
【0058】
図7(A)及び図7(B)に示す如く、船外機10が装着される船舶50は、例えば、レース艇であり、船外機10は、船舶50の船体51の船尾に対してブラケット20を介して着脱自在に装着される。そして、船舶50は、エンジン11を駆動させ、駆動機構22(図1参照)を介してプロペラ19を回転させることで走行する。船舶50が、レース艇の場合には、直線コースにて、エンジン11の回転数が7000rpm~8000rpmとなり、80km/hの速度にて走行する。
【0059】
図示したように、船舶50には、船体51の中央領域にその長手方向(全長方向)に沿ってコックピット52が配置され、コックピット52の先端側にはハンドル53及びスロットルレバー55が配置される。そして、選手54は、レースのスタート前にはコックピット52の最後方にてハンドル53及び点火時期調整ハンドル14を操作する。また、選手54は、スタート後には走行中の空気抵抗を低減するための頭を伏せた前傾姿勢やコックピット52の後方に立ち上がっての旋回姿勢(所謂、モンキースタイル)にてハンドル53及びスロットルレバー55等を操作する。
【0060】
そして、船外機10の一部は、コックピット52内へと配設されるが、選手54の乗船スペース及び操作スペースの観点から、コックピット52内の長手方向の船外機10のスペースS1は制限があり、確保し難い。一方、コックピット52内の横幅方向の船外機10のスペースS2は選手54のスペース確保への影響は少なく、上記コックピット52内の長手方向のスペースS1よりは比較的確保し易い。更には、上述したように、船外機10の点火時期調整ハンドル14とブラケット20との配置箇所の関係により、コックピット52内の高さ方向の船外機10のスペースS3も制限を受ける。加えて、レース艇のピット係留時には、係留設備との干渉による船外機10の破損を防ぐため、横幅方向のスペースS2及び船外機10の後方寸法にも制限を受ける。
【0061】
そして、図6を用いて上述したように、吸気ボックス15の容積を大きくすることで、船舶50の転覆時におけるエンジン11への水の浸入時間を遅らせることが出来るが、その分吸気ボックス15の形状が大きくなる。
【0062】
そこで、本実施形態では、吸気ボックス15は、エンジン11の周囲に配置可能となり、図2(A)に示すように、吸気ボックス15は、エンジン11の横幅方向(紙面左右方向)のスペースを有効活用し、エンジン11の前方(紙面前方)側への張り出しが抑えられた形状となる。そして、上記吸気ボックス15の形状の範囲内にて、第1のチャンバ32の容積、第2のチャンバ33の容積や連通口34の配置位置等を実現することで、船舶50の転覆時のウォーターハンマー現象に起因するエンジン11の構成部品の破損を防止する。
【0063】
尚、図7(B)では船舶50の走行状態を示すが、船舶50がレース艇であり、レース艇がひっくり返った状態にて転覆した場合には、水面のラインは点線56であり矢印方向(紙面上方向)が水面下となり、これに伴いカウリング57は水面下となり、船外機10の吸気ボックス15は完全に水没する。
【0064】
次に、図8(A)から図8(C)は、他の実施形態の船外機60の吸気ボックス61を説明する断面図である。尚、船外機60では、船外機10の4ストローク式のエンジン11の設置箇所に、2ストローク式のエンジン62が設置されている点において、図1から図7を用いて説明した船外機10と相違する。そして、船外機60では、搭載されるエンジン62の構造上の相違により吸気ボックス61の形状が、吸気ボックス15の形状とは相違するが、その他の構成部品は船外機10と同じであり、船外機60として得られる効果は、上述した船外機10の効果と同様である。そのため、以下の説明では、吸気ボックス61の構造を中心に説明し、その他の船外機60の構成部品は、上述した船外機10の説明を参照し、ここではその説明を割愛する。
【0065】
図8(A)に示す船外機60の断面は、図3(A)に示す吸気ボックス15の断面に対応し、図8(B)に示す船外機60の断面は、図3(B)に示す吸気ボックス15の断面に対応する。図8(A)に示すように、吸気ボックス61の内部は、隔壁65にて第1のチャンバ63と第2のチャンバ64へと区画される。隔壁65は、エンジン62の外周に沿って、略横幅方向(紙面左右方向)に延在して、図8(B)に示すように、第1のチャンバ63と第2のチャンバ64とは、吸気ボックス61の前後方向にて区間される。そして、第1のチャンバ63と第2のチャンバ64とは、隔壁65の配設領域に形成される連通口66を介して連通する。
【0066】
また、図8(A)に示すように、吸気口67は、吸気ボックス61の後端部であり、エンジン62右側の後端面61Cに形成される。そして、隔壁65には、連結口68が形成され、第2のチャンバ64は、連結口68を介してキャブレタ16と連通する。
【0067】
この構造により、エンジン62が駆動することで、矢印69にて示すように、空気は、吸気口67を介して吸気ボックス61の第1のチャンバ63内へと吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エンジン62の外周に沿って第1のチャンバ63の左側へと流れ、矢印70にて示すように、連通口66を介して第2のチャンバ64へと流れ込む。その後、矢印71にて示すように、第2のチャンバ64内の空気は、キャブレタ16を介してエンジン62へと供給される。つまり、吸気ボックス61は、船舶50の走行時には、エンジン62に供給される空気を船外機60の外部から取り入れ、キャブレタ16まで送風する風路として用いられる。
【0068】
図8(C)に示す船外機60の断面は、図3(C)に示す吸気ボックス15の断面に対応する。図8(C)に示すように、連通口66は、隔壁65の配設領域において、吸気ボックス61の天面61Bよりも底面61A側へと配設される。そして、好適には、連通口66は、底面61A近傍の隔壁65に配設される。そして、船舶50が引っくり返り転覆した際には、船外機60も引っくり返り、上記転覆状態では、連通口66は、吸気ボックス61内の上方側へと位置すると共に、隔壁65が第1のチャンバ63と第2のチャンバ64との間を止水する。
【0069】
また、一点鎖線72は、吸気ボックス61の横幅方向(紙面左右方向)の中心線であるが、連通口66と吸気口67とは、吸気ボックス61の中心に対して左右の反対側に形成される。
【0070】
この構造により、吸気ボックス61内にて、第1のチャンバ63から第2のチャンバ64へと大量の水が一気に流れ込むことを遅らせ、転覆後、水がエンジン62内へと浸入するまでの時間を遅らせると共に、水の浸入量も大幅に低減される。その結果、船舶50の転覆時に、ウォーターハンマー現象の発生を抑止し、あるいは、ウォーターハンマー現象が発生した際にもエンジン62の各構成部品の損傷を防止する。
【0071】
尚、本実施形態では、船舶50としてレース艇の場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、船舶50としてレジャー艇の場合にも、船外機10,60に吸気ボックス15,61を用いることで、上述した効果と同様な効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10,60 船外機
11,62 エンジン
14 点火時期調整ハンドル
15,61 吸気ボックス
15A,61A 底面
15B,61B 天面
16 キャブレタ
20 ブラケット
21,67 吸気口
31,65 隔壁
32,63 第1のチャンバ
33,64 第2のチャンバ
34,66 連通口
35,68 連結口
45 止水板
50 船舶
51 船体
52 コックピット
53 ハンドル
55 スロットルレバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンを駆動源として船舶を推進させる駆動機構と、
前記エンジンに供給する空気を外部から吸気する吸気ボックスと、
前記吸気ボックスの前記空気を前記エンジンへと供給するキャブレタと、を備え、
前記吸気ボックスは、
その内部を少なくとも第1のチャンバと第2のチャンバとに区画する隔壁と、
前記第1のチャンバへと前記空気を取り込む吸気口と、
前記隔壁の配置領域に形成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを連通させる連通口と、を有し、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとは前記吸気ボックスの水平方向に配列され、
前記隔壁が、前記吸気ボックスの天面と底面とを連結して前記吸気ボックスの垂直方向に配設され、
前記連通口は、前記天面よりも前記底面側へと配設されることを特徴とする船外機。
【請求項2】
前記第1のチャンバの容積は、前記第2のチャンバの容積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
前記連通口は、前記吸気ボックスの高さ方向において、前記吸気口よりも下方側に配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船外機。
【請求項4】
前記キャブレタは、前記第2のチャンバに形成される連結口と連結し、
前記第2のチャンバには、その底面から天面に向けて延在する止水板が配設され、
前記止水板は、前記連通口及び前記連結口よりも前記第2のチャンバの高さ方向の上方側まで延在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船外機。
【請求項5】
前記止水板は、前記連結口の前面を塞ぐことなく配設されることを特徴とする請求項4に記載の船外機。
【請求項6】
前記吸気口と前記連通口とは、前記吸気ボックスの横幅方向の中心に対してそれぞれ反対側に配設されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船外機。
【請求項7】
前記エンジンの上方に配設される点火装置の点火時期調整ハンドルと、
前記エンジンの下方に配設される前記船舶への装着用ブラケットと、を更に備え、
前記吸気ボックスは、前記点火時期調整ハンドルと前記装着用ブラケットの間であり、少なくとも前記エンジンを覆うように配設されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船外機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の船外機では、エンジンと、前記エンジンを駆動源として船舶を推進させる駆動機構と、前記エンジンに供給する空気を外部から吸気する吸気ボックスと、前記吸気ボックスの前記空気を前記エンジンへと供給するキャブレタと、を備え、前記吸気ボックスは、その内部を少なくとも第1のチャンバと第2のチャンバとに区画する隔壁と、前記第1のチャンバへと前記空気を取り込む吸気口と、前記隔壁の配置領域に形成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを連通させる連通口と、を有し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとは前記吸気ボックスの水平方向に配列され、前記隔壁が、前記吸気ボックスの天面と底面とを連結して前記吸気ボックスの垂直方向に配設され、前記連通口は、前記天面よりも前記底面側へと配設されることを特徴とする。