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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086594
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】静電型トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/14 20060101AFI20220602BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20220602BHJP
   H01G 5/01 20060101ALI20220602BHJP
   H01G 5/013 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G01L1/14 A
H01G4/228 B
H01G5/01 G
H01G5/013 315
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198693
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 新也
(72)【発明者】
【氏名】那須 将樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(57)【要約】
【課題】リード線の芯線を電極シートに確実に電気的に接合すると共に、リード線の耐引抜強度を高くすることができる静電型トランスデューサを提供する。
【解決手段】静電型トランスデューサ1は、絶縁体シート11と、第一電極シート12と、リード線30と、第一電極シート12とリード線30の芯線30aとが重ねて配置された第一領域Paにおいて、第一電極シート12とリード線30の芯線30aとを電気的に接合する第一接合部61と、絶縁体シート11とリード線30の被覆部30bとが重ねて配置された第二領域Pbにおいて、絶縁体シート11とリード線30の被覆部30bとを接合する第二接合部62とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体シートと、
前記絶縁体シートの第一面に配置される第一電極シートと、
芯線と熱可塑性材料により形成され前記芯線を被覆する被覆部とを備え、前記絶縁体シートの前記第一面に重ねて配置される部位及び前記第一電極シートに重ねて配置される部位を有するリード線と、
前記絶縁体シートの面方向における第一領域であって前記第一電極シートと前記リード線の前記芯線とが重ねて配置された前記第一領域において、前記第一電極シートと前記リード線の前記芯線とを電気的に接合する第一接合部と、
前記絶縁体シートの面方向における前記第一領域とは異なる第二領域であって、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部とが重ねて配置された前記第二領域において、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部とを接合する第二接合部と、
を備える、静電型トランスデューサ。
【請求項2】
前記絶縁体シートは、熱可塑性材料により形成され、
前記第二接合部は、前記絶縁体シートの一部により構成される、請求項1に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項3】
前記絶縁体シートは、熱可塑性エラストマーにより形成される、請求項2に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項4】
前記リード線は、前記リード線の先端側に、前記被覆部が取り除かれ前記芯線が露出した芯線露出部を備え、
前記第一接合部は、前記第一電極シートと前記リード線の前記芯線露出部とを電気的に接合する、請求項1-3の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項5】
前記芯線露出部は、前記芯線に金属メッキ層が形成されており、
前記第一接合部は、前記金属メッキ層の一部により構成される、請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項6】
前記芯線は、銅線であり、
前記金属メッキ層は、ニッケルメッキである、請求項5に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項7】
前記芯線露出部は、前記芯線に半田フロー層が形成されており、
前記第一接合部は、前記半田フロー層の一部により構成される、請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項8】
前記静電型トランスデューサは、さらに、
前記第一領域において、前記絶縁体シートと前記第一電極シートとの間に配置され、前記絶縁体シートと前記第一電極シートとの接合を規制する接合規制層を備える、請求項1-7の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項9】
前記接合規制層の一部は、前記第二領域において、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部との間に配置され、
前記第二接合部は、前記接合規制層の前記一部、前記絶縁体シートの一部、及び、前記リード線の前記被覆部の一部により構成される、請求項8に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項10】
前記接合規制層は、
シート本体と、
前記シート本体の第一面に設けられ、前記リード線の前記被覆部に対して前記シート本体の面方向に係合する複数の突起と、
を備える、請求項9に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項11】
前記接合規制層は、貫通された複数のスリットを備え、
前記第二接合部は、前記絶縁体シート及び前記リード線の前記被覆部の少なくとも一方が前記スリットを通過することにより、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部とを直接接合されることにより構成される、請求項9に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項12】
前記接合規制層は、前記絶縁体シートの軟化点よりも高い軟化点の材料により形成される、請求項8-11の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項13】
前記接合規制層は、熱可塑性材料で形成される樹脂シートである、請求項12に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項14】
前記接合規制層は、長尺状に形成され、長尺方向の一端が前記第一電極シートの端辺に配置される、請求項8-13の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項15】
前記接合規制層は、長尺方向の一端よりも長尺方向の他端の方が幅狭に形成される、請求項14に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項16】
前記第一電極シートは、前記第一領域に対応する領域に配置され、前記第二領域に対応する領域に配置されていない、請求項1-15の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項17】
前記リード線は、前記絶縁体シートと前記第一電極シートとの間に配置される、請求項16に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項18】
前記第一電極シートは、前記絶縁体シートと前記リード線との間に配置される、請求項16に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項19】
前記静電型トランスデューサは、さらに、
前記第二領域において、熱可塑性材料で形成され、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部との間に配置される接合補助層を備え、
前記第二接合部は、前記接合補助層の一部により構成される、請求項18に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項20】
前記第一電極シートは、複数の貫通孔を有する、請求項1-19の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項21】
前記第一電極シートは、導電性布により形成される、請求項20に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項22】
前記第一電極シートは、導電性フィラーを含む熱可塑性エラストマーにより形成され、
前記第一接合部は、前記第一電極シートの一部により構成される、請求項20に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項23】
前記第一接合部は、前記第一電極シートと前記リード線の前記芯線とが超音波溶着により接合される部位である、請求項1-22の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項24】
前記第二接合部は、前記絶縁体シートと前記リード線の前記被覆部とが超音波溶着により接合される部位である、請求項23に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項25】
前記静電型トランスデューサは、さらに、
前記絶縁体シートの第二面に配置され、シールド電極としての第二電極シートを備え、
前記第二電極シートの電気抵抗率は、前記第一電極シートの電気抵抗率よりも小さくされる、請求項1-24の何れか1項に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項26】
前記第一電極シートは、導電性フィラーを含む熱可塑性エラストマーにより形成され、
前記第二電極シートは、導電性布により形成される、請求項25に記載の静電型トランスデューサ。
【請求項27】
前記第一電極シート及び前記第二電極シートは、導電性フィラーを含む熱可塑性エラストマーにより形成される、請求項25に記載の静電型トランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電型トランスデューサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リード線(導線と同意である)の芯線を露出させ、芯線を基板上の電極パッドに超音波接合により接続すると共に、リード線を固着樹脂により基板に固着することが記載されている。特許文献2には、露出させた芯線を、金属管を介して接続ランドに超音波接合により接続することが記載されている。
【0003】
特許文献3には、リード線の端末の絶縁被覆を剥離することなく、リード線の芯線と端子電極とを超音波接合により接合することが記載されている。特許文献4には、熱可塑性フィルムの面に、渦巻き状の平形コイルが形成されている。平形コイルは、熱可塑性樹脂によって被覆されたリード線(導線)を、フィルムの面に融着することによって、略同一方向に渦巻き、かつ、略同一形状となるように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6511271号公報
【特許文献2】特許第6464321号公報
【特許文献3】特許第4844848号公報
【特許文献4】特開2009-21549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リード線の先端を電極シートに取り付けた状態において、リード線が電極シートからリード線の軸方向に引き抜かれること及び剥がれることを防止することが、接続状態の信頼性の観点において重要である。特に、電極シートが柔軟である場合には、リード線の引き抜きや剥がれが生じやすくなる。さらに、容易に、且つ、低コストで、電極シートとリード線とを接続することが求められる。
【0006】
本発明は、リード線の芯線を電極シートに確実に電気的に接合すると共に、リード線の耐引抜強度を高くすることができる静電型トランスデューサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
静電型トランスデューサは、絶縁体シートと、絶縁体シートの第一面に配置される第一電極シートと、芯線と熱可塑性材料により形成され芯線を被覆する被覆部とを備え、絶縁体シートの第一面に重ねて配置される部位及び第一電極シートに重ねて配置される部位を有するリード線と、絶縁体シートの面方向における第一領域であって第一電極シートとリード線の芯線とが重ねて配置された第一領域において、第一電極シートとリード線の芯線とを電気的に接合する第一接合部と、絶縁体シートの面方向における第一領域とは異なる第二領域であって、絶縁体シートとリード線の被覆部とが重ねて配置された第二領域において、絶縁体シートとリード線の被覆部とを接合する第二接合部とを備える。
【0008】
上記静電型トランスデューサによれば、第一領域における第一接合部が第一電極シートとリード線の芯線とが電気的に接合しているのに対して、第二領域における第二接合部が絶縁体シートとリード線の被覆部とが接合している。つまり、リード線の耐引抜強度は、第二領域における第二接合部が主として機能する状態となる。このように、第一電極シートとリード線の芯線との電気的接合の部位と、リード線の耐引抜強度を確保する部位とを、別々の部位とすることにより、電気的接合と耐引抜強度の両立を図ることができる。従って、リード線の芯線を第一電極シートに確実に電気的に接合することができると共に、リード線の耐引抜強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一例の静電型トランスデューサの断面図である。
図2】第一例の静電型トランスデューサの平面図である。
図3】第一例の静電型トランスデューサを構成する第二例の接合規制層の平面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】第一例の静電型トランスデューサを構成する第三例の接合規制層の平面図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7】第二例の静電型トランスデューサの断面図である。
図8】第三例の静電型トランスデューサの断面図である。
図9】第四例の静電型トランスデューサの断面図である。
図10】第五例の静電型トランスデューサの断面図である。
図11】第六例の静電型トランスデューサの断面図である。
図12】第七例の静電型トランスデューサの断面図である。
図13】第八例の静電型トランスデューサの断面図である。
図14】第九例の静電型トランスデューサの断面図である。
図15】第十例の静電型トランスデューサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.適用対象)
静電型トランスデューサ(以下、「トランスデューサ」と称する)は、例えば、基材と、基材の取付面に取り付けられた静電シートとを備える。基材は、任意の部材であって、金属、樹脂、その他の材料により形成される。
【0011】
また、基材の取付面は、曲面、複合平面(複数の平面により形成された形状)、平面と曲面の複合形状等の三次元形状に形成しても良いし、基材の表面が単一平面形状に形成しても良い。基材が可撓性を有する材料により形成されている場合に、当該基材の取付面に当該静電シートを取り付けることもできる。また、トランスデューサは、基材を備えることなく、当該静電シート単体として利用することもできる。
【0012】
静電シートは、基材の取付面(表面)に配置されている。静電シートは、全体として、柔軟である。柔軟とは、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能であることを意味する。従って、基材の取付面が三次元形状であったとしても、静電シートは、基材の取付面に沿って取り付けることができる。特に、静電シートを面方向に伸張させながら基材の取付面に取り付けることで、静電シートにしわが発生することを抑制することができる。
【0013】
静電シートは、一対の電極の間の静電容量の変化を利用して、アクチュエータ又はセンサとして機能させることができる。静電シートは、一対の電極のうち少なくとも1つを備えればよく、一対の電極を備える構成に限定されるものではない。もちろん、静電シートは、一対の電極を備えるようにしても良い。また、静電シートにおいて、裏面側の電極は、シールド電極として機能させることができる。
【0014】
静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、振動や音等を発生させるアクチュエータとして機能させることができる。また、静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、外部からの押込力等を検出するセンサ、電位を有する導電体の接触又は接近を検出するセンサとして機能させることができる。
【0015】
静電シートがアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、電極間の電位に応じて絶縁体が変形し、絶縁体の変形に伴って振動が発生する。静電シートが押込力を検出するセンサとして機能する場合には、外部からの押込力、振動、及び、音等(以下、外部からの押込力等)の入力に起因して絶縁体が変形することにより電極間の静電容量が変化し、電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、外部からの押込力等を検出する。また、静電シートが接触又は接近を検出するセンサとして機能する場合には、電位を有する導電体の接触又は接近により、電極間の静電容量が変化し、変化した電極との間の静電容量に応じた電圧を検出することで、当該導電体の接触又は接近を検出する。
【0016】
トランスデューサは、例えば、ポインティングデバイスであるマウスやジョイスティックの表面、車両部品の表面等に適用できる。車両部品としては、アームレスト、ドアノブ、シフトレバー、ステアリングホイール、ドアトリム、センタートリム、センターコンソール、天井等が含まれる。多くの場合、基材は、金属や硬質樹脂等の可撓性を有しない材料により形成されている。そして、トランスデューサは、対象者の状態の検出や対象者への振動等の付与を行うことができる。
【0017】
また、トランスデューサは、シート座面の表層側又は背もたれ面の表層側に配置されるようにしても良い。この場合、トランスデューサは、樹脂フィルム等の可撓性を有する材料により形成された基材に、静電シートを取り付けるように構成しても良い。なお、トランスデューサは、基材を備えずに、静電シート単体により構成されるようにしても良い。
【0018】
また、トランスデューサの静電シートは、ヒータ機能を有する構成とすることもできる。この場合、トランスデューサは、対象者の状態の検出や対象者への振動等の付与に加えて、対象者への熱の付与を行うことができる。
【0019】
(2.第一例のトランスデューサ1a)
第一例のトランスデューサ1aについて、図1及び図2を参照して説明する。トランスデューサ1aは、静電シート10を備える。静電シート10は、図示しない基材の表面に配置されるようにしても良いし、単体で用いても良い。
【0020】
静電シート10は、絶縁体シート11、及び、第一電極シート12を備える。図1においては、静電シート10は、さらに、第二電極シート13を備える場合を例に挙げる。ただし、静電シート10は、第二電極シート13を備えない構成とすることもできる。例えば、基材が電極を構成する場合には、第二電極シート13は不要とすることもできる。
【0021】
絶縁体シート11は、本体領域11aと、端子領域11bとを備える。本体領域11aは、アクチュエータやセンサ等として用いられる領域である。端子領域11bは、本体領域11aと外部との間で電力及び電気信号を接続する領域である。
【0022】
絶縁体シート11は、例えばエラストマーにより形成されている。従って、絶縁体シート11は、柔軟である。つまり、絶縁体シート11は、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能である。絶縁体シート11は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。絶縁体シート11は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしても良いし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーにより形成されるようにしても良い。
【0023】
絶縁体シート11は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂を含んでいてもよい。例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)等のゴムを含む場合には、絶縁体シート11の柔軟性が向上する。絶縁体シート11の柔軟性を向上させるという観点から、絶縁体シート11に可塑剤等の柔軟性付与成分を含有させてもよい。
【0024】
第一電極シート12は、絶縁体シート11の第一面、すなわち絶縁体シート11の表面(図1の上面)側に配置されている。第一電極シート12は、絶縁体シート11の本体領域11aに配置される第一電極本体12aと、絶縁体シート11の端子領域11bに配置される第一電極端子12bとを備える。
【0025】
また、第一電極シート12は、導電性を有する。さらに、第一電極シート12は、柔軟である。つまり、第一電極シート12は、可撓性を有し、且つ、面方向への伸張可能である。第一電極シート12は、例えば、導電性布、導電性エラストマー、金属箔等により形成されている。なお、図1においては、第一電極シート12が導電性布である場合を図示している。
【0026】
また、第一電極シート12が導電性布により形成される場合について詳細に説明する。導電性布とは、導電性繊維により形成された織物又は不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電性材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケル等をメッキすることにより形成される。
【0027】
この場合、第一電極シート12は、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着される。第一電極シート12は、布であるため、複数の貫通孔を有する。従って、絶縁体シート11の一部分が、第一電極シート12の貫通孔に入り込む。つまり、第一電極シート12の少なくとも一部は、絶縁体シート11に埋設された状態となる。
【0028】
第一電極シート12が導電性エラストマーにより形成される場合について詳細に説明する。この場合、第一電極シート12は、導電性フィラーを含むエラストマーにより形成されている。つまり、第一電極シート12は、エラストマーを母材として、導電性フィラーを含有させることにより形成される。第一電極シート12に用いられるエラストマーは、絶縁体シート11と主成分を同種とする材料により形成されるようにするとよい。特に、第一電極シート12は、熱可塑性エラストマーにより形成されるようにするとよい。
【0029】
ただし、第一電極シート12は、絶縁体シート11の軟化点よりも高い軟化点を有する材料により形成されている。これは、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に第一電極シート12を固着する際に、絶縁体シート11が第一電極シート12よりも先に軟化することができるようにするためである。
【0030】
ここで、第一電極シート12は、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着される。さらには、第一電極シート12がエラストマーにより形成されている場合には、第一電極シート12自身の融着(熱融着)により、第一電極シート12と絶縁体シート11とが固着される。つまり、第一電極シート12と絶縁体シート11とは、相互の融着によって固着される。なお、第一電極シート12と絶縁体シート11とは、何れか一方のみの融着によって固着されるようにしても良い。
【0031】
第一電極シート12が金属箔により形成される場合について詳細に説明する。金属箔は、導電性布と同様に、複数の貫通孔を有するのが好適である。従って、第一電極シート12は、可撓性を有し、貫通孔の変形に伴い面方向への伸張を可能とする。金属箔は、導通可能な金属材料であればよく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等を適用できる。さらに、第一電極シート12は、導電性布である場合と同様に、絶縁体シート11自身の融着(熱融着)により絶縁体シート11に固着される。
【0032】
第二電極シート13は、絶縁体シート11の第二面、すなわち絶縁体シート11の裏面(図1の下面)側に配置されている。仮に、トランスデューサ1aが基材を備える場合には、第二電極シート13は、絶縁体シート11と基材との間に配置される。第二電極シート13は、絶縁体シート11の本体領域11aに配置される第二電極本体13aと、絶縁体シート11の端子領域11bに配置される第二電極端子13bとを備える。
【0033】
ここで、図2に示すように、第二電極本体13aは、第一電極シート12の第一電極本体12aのほぼ全面に対して対向するように配置されている。一方、第二電極シート13の第二電極端子13bは、第一電極シート12の第一電極端子12bに対向せずに、ずれた位置に配置されている。この理由は、後述するリード線30,50の存在に伴うトランスデューサ1aの厚みの低減を図るためである。ただし、第一電極端子12bと第二電極端子13bとは、対向するように配置しても良い。
【0034】
第二電極シート13は、第一電極シート12と同様に形成されている。つまり、第二電極シート13は、柔軟であり、導電性布、導電性エラストマー、金属箔等により形成されている。
【0035】
トランスデューサ1aは、第一接合規制層20、第一リード線30、第二接合規制層40、及び、第二リード線50を備える。ただし、トランスデューサ1aが第二電極シート13を備えない構成においては、トランスデューサ1aは、第二接合規制層40及び第二リード線50を備えない構成となる。
【0036】
第一接合規制層20は、絶縁体シート11の端子領域11bと第一電極シート12の第一電極端子12bとの間に配置され、絶縁体シート11と第一電極シート12との接合を規制する。従って、第一電極シート12の第一電極端子12bのうち、第一接合規制層20が存在する領域においては、第一接合規制層20との間で空間が形成される。一方、第一電極シート12の第一電極端子12bのうち、第一接合規制層20が存在しない領域においては、絶縁体シート11に接合している。
【0037】
また、第一接合規制層20は、絶縁体シート11には、絶縁体シート11自身の融着によって接合される。そこで、第一接合規制層20は、例えば、絶縁体シート11の軟化点よりも高い軟化点の材料により形成される。例えば、第一接合規制層20は、熱可塑性材料で形成される樹脂シートを適用することができる。
【0038】
第一接合規制層20は、図2に示すように、長尺状に形成されている。第一接合規制層20の長尺方向の一端は、第一電極シート12の第一電極端子12bの端辺に配置される。第一接合規制層20の長尺方向の他端は、第一電極シート12の第一電極端子12bの端辺から第一電極シート12の第一電極本体12aに向かって延びるように配置されている。本例では、第一接合規制層20の長尺方向の他端は、第一電極シート12の端辺に対して、交差する方向、特に斜め方向に向かって延びるように配置されている。
【0039】
第一接合規制層20は、幅狭に形成された奥部21と、幅太に形成された縁部22とを備える。図2においては、奥部21が全長に亘って同幅に形成され、縁部22も全長に亘って同幅に形成される。この他に、縁部22の基端(第一電極シート12の端辺)から奥部21の先端に向かって、徐々に幅狭に形成しても良い。
【0040】
第一リード線30は、芯線30aと、芯線30aの外周面を絶縁被覆する被覆部30bとを備える。芯線30aは、例えば、銅線により形成されている。被覆部30bは、熱可塑性材料により形成されている。被覆部30bは、絶縁性を有する熱可塑性材料であれば良く、例えば、上述した絶縁体シート11に適用可能な材料により形成される。
【0041】
第一リード線30の一部が、絶縁体シート11の第一面(図1の上面)のうち端子領域11bに配置されている。第一例のトランスデューサ1aにおいては、第一リード線30の一部は、絶縁体シート11及び第一電極シート12が共に存在する領域に配置されるため、絶縁体シート11の第一面に重ねて配置されると共に第一電極シート12にも重ねて配置される。
【0042】
なお、第一電極シート12が絶縁体シート11の一部に重ねて配置されていない領域を有する場合には、第一リード線30は、絶縁体シート11のみに重ねて配置される部位と、絶縁体シート11及び第一電極シート12に重ねて配置される部位とをそれぞれ有するようにしても良い。この場合、第一リード線30は、少なくとも絶縁体シート11の第一面に重ねて配置される部位と、第一電極シート12に重ねて配置される部位とを有する。
【0043】
本例では、第一リード線30は、絶縁体シート11と第一電極シート12との間に配置されている。特に、絶縁体シート11には第一接合規制層20が配置されているため、第一リード線30は、第一接合規制層20と第一電極シート12との間に配置されている。
【0044】
第一リード線30は、第一リード線30の先端側に、被覆部30bが取り除かれ芯線30aが露出した芯線露出部31を備える。そして、第一リード線30は、被覆部30bが取り除かれていない芯線被覆部32を備える。
【0045】
芯線露出部31は、以下のように構成すると良い。芯線露出部31は、銅線により形成される芯線30aに、金属メッキ層が形成されるようにする。この場合、金属メッキ層には、ニッケルメッキが好適である。また、芯線露出部31は、芯線30aに半田フロー層が形成されるようにしても良い。金属メッキ層及び半田フロー層は、第一電極シート12との導通を良好にする役割を有する。
【0046】
第一リード線30の芯線露出部31は、第一接合規制層20の奥部21に配置されており、芯線被覆部32は、第一接合規制層20の縁部22に配置されている。そして、第一リード線30は、第一接合規制層20の縁部22から外に延びている。
【0047】
ここで、第一リード線30は、第一接合規制層20と第一電極シート12との間に形成される空間に挿入されることにより、当該位置に配置される。第一接合規制層20は、縁部22の幅が広く、奥部21の幅が狭い。従って、第一リード線30が挿入される際に、縁部22の幅が広いことにより初期の挿入が容易となり、奥部21の幅が狭いことにより第一リード線30を所望の位置に位置決めすることができる。
【0048】
さらに、トランスデューサ1aは、絶縁体シート11の面方向における領域のうち、第一電極シート12と第一リード線30の芯線露出部31とが隣接して重ねて配置された第一領域Pa(図2に示す)において、第一電極シート12と第一リード線30の芯線露出部31とを電気的に接合する第一接合部61(図1に示す)を備える。
【0049】
本例では、第一領域Paにおいて、第一電極シート12と芯線露出部31における芯線30a部分とが、金属メッキ層又は半田フロー層を介して電気的に接合される。つまり、第一接合部61は、金属メッキ層の一部、又は、半田フロー層の一部により構成される。特に、第一接合部61が半田フロー層の一部により構成されることで、第一電極シート12と芯線露出部31における芯線30a部分とが、面で電気的に接合され、導通を良好とできる。
【0050】
ここで、第一接合規制層20の一部が、第一領域Paに配置されている。従って、第一リード線30が第一電極シート12と第一接合規制層20との間に挿入された後に、第一領域Paに対して超音波溶着処理を施すことにより、第一電極シート12と第一リード線30の芯線露出部31とが電気的に接合される。なお、第一電極シート12及び第一リード線30は、金属を表面に有するため、超音波溶着により、接合される。一方、第一リード線30と第一接合規制層20は、隣接しているが、金属と樹脂であるため、超音波溶着を施したとしても溶着されない。
【0051】
また、トランスデューサ1aは、絶縁体シート11の面方向における領域のうち、絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32とが重ねて配置された第二領域Pb(図2に示す)において、絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32とを接合する第二接合部62(図1に示す)を備える。第二接合部62は、第一接合部61とは異なる領域である。
【0052】
本例では、第一接合規制層20の一部が、第二領域Pbに配置されている。そして、第一接合規制層20の一部が、第二領域Pbにおいて、絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32との間に配置されている。従って、第二領域Pbにおいて、絶縁体シート11と第一接合規制層20とが接合し、且つ、第一接合規制層20と第一リード線30の芯線被覆部32とが接合している。つまり、第二接合部62は、絶縁体シート11の一部、第一接合規制層20の一部、及び、芯線被覆部32の一部により構成される。このように、第二接合部62は、第一接合規制層20を介して、絶縁体シート11と芯線被覆部32とを間接的に接合する。
【0053】
第一リード線30が第一電極シート12と第一接合規制層20との間に挿入された後に、第二領域Pbに対して超音波溶着処理を施すことにより、絶縁体シート11と第一接合規制層20とが接合され、且つ、第一接合規制層20と芯線被覆部32とが接合される。第二接合部62における超音波溶着の処理条件は、第一接合部61における超音波溶着の処理条件とは異なる。第一接合部61が芯線露出部31の溶着を可能とする処理条件とするのに対して、第二接合部62は芯線被覆部32の芯線30aが溶着しないような処理条件とする。
【0054】
第二接合規制層40は、絶縁体シート11の端子領域11bと第二電極シート13の第二電極端子13bとの間に配置され、絶縁体シート11と第二電極シート13との接合を規制する。第二接合規制層40は、第一接合規制層20と実質的に同様に構成される。第二接合規制層40は、第一接合規制層20と同様に、奥部41及び縁部42を備える。
【0055】
第二リード線50は、芯線50aと、芯線50aの外周面を絶縁被覆する被覆部50bとを備える。第二リード線50は、第二リード線50の先端側に、被覆部50bが取り除かれ芯線50aが露出した芯線露出部51を備える。そして、第二リード線50は、被覆部50bが取り除かれていない芯線被覆部52を備える。第二リード線50は、第一リード線30と実質的に同様に構成される。
【0056】
そして、トランスデューサ1aは、第一領域Pcにおいて、第二電極シート13と第二リード線50の芯線露出部31と電気的に接合する第一接合部71、及び、第二領域Pdにおいて、絶縁体シート11と第二リード線50の芯線被覆部32とを接合する第二接合部72を備える。第一接合部71及び第二接合部72は、上述した第一接合部61及び第二接合部62と実質的に同様である。また、第一領域Pc及び第二領域Pdは、上述した第一領域Pa及び第二領域Pbと実質的に同様である。
【0057】
(3.第一例のトランスデューサ1aの効果)
第一例のトランスデューサ1aによれば、第一領域Paにおける第一接合部61が第一電極シート12と第一リード線30の芯線露出部31における芯線30aとが電気的に接合しているのに対して、第二領域Pbにおける第二接合部62が絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32における被覆部30bとが接合している。つまり、第一リード線30の耐引抜強度は、第二領域Pbにおける第二接合部62が主として機能する状態となる。
【0058】
このように、第一電極シート12と第一リード線30の芯線30aとの電気的接合の部位と、第一リード線30の耐引抜強度を確保する部位とを、別々の部位とすることにより、電気的接合と耐引抜強度の両立を図ることができる。従って、第一リード線30の芯線30aを第一電極シート12に確実に電気的に接合することができると共に、第一リード線30の耐引抜強度を高くすることができる。
【0059】
また、第一領域Paと第二領域Pbとにおいて、異なる超音波溶着の処理条件とすることにより、第一領域Paにおいて電気的な接合をし、第二領域Pbにおいて耐引抜強度を確保する接合をすることができる。
【0060】
第一リード線30を絶縁体シート11と第一電極シート12との間に配置している。つまり、絶縁体シート11と第一電極シート12とにより形成された袋状部分に第一リード線30が挿入された状態で、第一リード線30が、第一電極シート12及び絶縁体シート11に接合されている。従って、第一リード線30を所望の位置に位置決めすることが容易となり、且つ、確実に接合することができる。そして、第一接合規制層20を設けることにより、絶縁体シート11と第一電極シート12との間に上述した袋状部分を形成することが容易にできる。
【0061】
(4.接合規制層20)
(4-1.第一例の接合規制層20)
トランスデューサ1aを構成する第一例の接合規制層20は、上述したように、平面状のシートとする。接合規制層20は、奥部21と、縁部22とを備える。
【0062】
(4-2.第二例の接合規制層20)
第二例の接合規制層20について、図3及び図4を参照して説明する。第二例の接合規制層20は、奥部21と、縁部22とを備える。縁部22は、シート本体22aと、複数の突起22bとを備える。奥部21及び縁部22のシート本体22aは、第一例の接合規制層20の奥部21及び縁部22と同様に、平面状のシートである。
【0063】
複数の突起22bは、縁部22のシート本体22aの第一面及び第二面に設けられ、面法線方向に突出する。シート本体22aの第一面に設けられる複数の突起22bは、第一リード線30の被覆部30bに対して、シート本体22aの面方向に係合する。シート本体22aの第二面に設けられる複数の突起22bは、絶縁体シート11に対して、シート本体22aの面方向に係合する。つまり、第二接合部62は、突起22bと絶縁体シート11との係合部位、及び、突起22bと第一リード線30の被覆部30bとの係合部位を含む。
【0064】
従って、絶縁体シート11と第一接合規制層20とがより強い接合力を有し、さらに、第一リード線30の芯線被覆部32における被覆部30bと第一接合規制層20とがより強い接合力を有する。つまり、耐引抜強度をより高くすることができる。
【0065】
(4-3.第三例の接合規制層20)
第三例の接合規制層20について、図5及び図6を参照して説明する。第三例の接合規制層20は、奥部21と縁部22とを備える。縁部22は、貫通された複数のスリット22cを備える。
【0066】
従って、絶縁体シート11及び第一リード線30の芯線被覆部32における被覆部30bの少なくとも一方がスリット22cを通過することにより、絶縁体シート11と第一リード線30の被覆部30bとが直接接合する。つまり、第二接合部62は、スリット22cにおいて絶縁体シート11と第一リード線30の被覆部30bとが直接接合される部位を含んで構成される。
【0067】
従って、スリット22cを介することにより、絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32における被覆部30bとがより強い接合力を有する。さらに、スリット22cにおいて絶縁体シート11と第一リード線30の被覆部30bとが直接接合される部分が、スリット22cに対して係合することになる。これらにより、耐引抜強度をより高くすることができる。
【0068】
(5.第二例のトランスデューサ1b)
第二例のトランスデューサ1bについて図7を参照して説明する。図7に示すように、トランスデューサ1bにおいて、第一電極シート12は、第一領域Paに対応する領域に配置されているのに対して、第二領域Pbに対応する領域には配置されていない。このような構成においても、同様の効果を奏する。
【0069】
(6.第三例のトランスデューサ1c)
第三例のトランスデューサ1cについて図8を参照して説明する。図8に示すように、トランスデューサ1cにおいて、第一リード線30は、芯線30aが露出している部位を有していない。第一リード線30は、先端側の芯線接合部33と、基端側の被覆部接合部34とを備える。芯線接合部33は、上記例における芯線露出部31に対応し、被覆部接合部34は、上記例における芯線被覆部32に対応する。
【0070】
第一接合部61は、超音波溶着により、第一電極シート12と芯線接合部33における芯線30aとが電気的に接合される。つまり、芯線接合部33においては、被覆部30bが超音波によって溶融することにより、第一電極シート12と芯線30aとが接合する状態となる。第二接合部62は、超音波溶着により、被覆部接合部34における被覆部30bと絶縁体シート11とを接合する。このような構成においても、同様の効果を奏する。
【0071】
(7.第四例のトランスデューサ1d)
第四例のトランスデューサ1dについて図9を参照して説明する。第四例のトランスデューサ1dは、第一例のトランスデューサ1aに対して、第一接合規制層20を有しない構成である。この場合、第一リード線30の芯線被覆部32の被覆部30bが、絶縁体シート11に直接接合する。本例においては、第一電極シート12のうち第一リード線30を配置する領域以外を絶縁体シート11に接合した後に、第一領域Paにおいて第一電極シート12と第一リード線30の芯線30aとを接合し、第二領域Pbにおいて絶縁体シート11と第一リード線30の被覆部30bとを接合すると良い。
【0072】
この他に、絶縁体シート11の第一面に第一電極シート12及び第一リード線30を配置した状態で、第一電極シート12と絶縁体シート11とを溶着し、第一領域Paにおける超音波溶着により第一電極シート12と第一リード線30の芯線30aとを溶着し、且つ、第二領域Pbにおける超音波溶着により絶縁体シート11と第一リード線30の被覆部30bとを溶着することもできる。このような構成においても、同様の効果を奏する。
【0073】
(8.第五例のトランスデューサ1e)
第五例のトランスデューサ1eについて図10を参照して説明する。図10に示すように、第五例のトランスデューサ1eは、第四例のトランスデューサ1dに対して、第一電極シート12が、第一領域Paに対応する領域に配置されているのに対して、第二領域Pbに対応する領域には配置されていない点が相違する。このような構成においても、同様の効果を奏する。
【0074】
(9.第六例のトランスデューサ1f)
第六例のトランスデューサ1fについて図11を参照して説明する。第六例のトランスデューサ1fは、絶縁体シート11の第一面に、第一電極シート12が配置され、第一電極シート12のうち絶縁体シート11とは反対側の面に第一リード線30が配置される。つまり、第一電極シート12が、絶縁体シート11と第一リード線30との間に配置される。
【0075】
本例においても、第一領域Paにおいて、第一リード線30の芯線露出部31の芯線30aが、第一電極シート12に接合され、第一接合部61が形成される。第二領域Pbにおいて、第一リード線30の芯線被覆部32の被覆部30bが、絶縁体シート11に接合され、第二接合部62が形成される。ここで、第一リード線30の芯線被覆部32の被覆部30bは、第一電極シート12の貫通孔を介することにより接合される。この場合も同様の効果を奏する。
【0076】
(10.第七例のトランスデューサ1g)
第七例のトランスデューサ1gについて図12を参照して説明する。第七例のトランスデューサ1gは、第六例のトランスデューサ1fに対して、第一電極シート12が、第一領域Paに対応する領域に配置されているのに対して、第二領域Pbに対応する領域には配置されていない。このような構成においても、同様の効果を奏する。
【0077】
(11.第八例のトランスデューサ1h)
第八例のトランスデューサ1hについて図13を参照して説明する。第八例のトランスデューサ1hは、第七例のトランスデューサ1gに対して、第二領域Pbにおいて、絶縁体シート11と第一リード線30の芯線被覆部32における被覆部30bとの間に接合補助層80を備える。接合補助層80は、熱可塑性材料で形成されており、第一電極シート12の高さの差を調整する役割を有する。仮に、接合補助層80が存在しない場合には、第二領域Pbにおける超音波溶着によって、第一リード線30が絶縁体シート11に埋没するおそれがある。これに対して、接合補助層80の存在によって、第一領域Pa及び第二領域Pbにおいて、第一リード線30の高さを調整することができる。従って、第一リード線30の接合状態を安定した状態とできる。
【0078】
(12.第九例のトランスデューサ1i)
第九例のトランスデューサ1iについて図14を参照して説明する。第九例のトランスデューサ1iにおいては、第一リード線30は、芯線露出部31よりも先端側に、被覆部30bにより被覆された先端被覆部35を備える。
【0079】
第一領域Paにおいて、芯線露出部31が第一電極シート12に接合されることで、第一接合部61を形成する。第二領域Pbにおいて、先端被覆部35が絶縁体シート11に接合されることで、第二接合部62を形成する。このような構成においても、同様の効果を奏する。なお、本例においては、さらに、第一リード線30において芯線露出部31よりも基端側に位置する被覆部30bが、絶縁体シート11に接合するようにし、第二接合部62を形成するようにしても良い。この場合、第二接合部62が二か所形成される。
【0080】
(13.第十例のトランスデューサ1j)
第十例のトランスデューサ1jについて図15を参照して説明する。第十例のトランスデューサ1jは、第八例のトランスデューサ1hに対して、第一電極シート12が、複数の貫通孔を有し、導電性フィラーを含む熱可塑性エラストマーにより形成される。第二電極シート13は、導電性布により形成される。
【0081】
第一電極シート12における貫通孔は、第二電極シート13における貫通孔よりも大きい。従って、第二電極シート13の電気抵抗率は、第一電極シート12の電気抵抗率よりも小さい。ここで、第二電極シート13は、シールド電極として機能するため、電気抵抗率が小さいことにより、シールド性能を高くすることができる。一方、第一電極シート12は、電気抵抗率を大きくすることにより、静電容量を小さくすることができる。
【0082】
ここで、第一電極シート12は、貫通孔を有する熱可塑性エラストマーにより形成することにより、電気抵抗率の大きな電極シートを容易に形成できる。なお、第二電極シート13も、導電性フィラーを含む熱可塑性エラストマーにより形成し、第一電極シート12よりも貫通孔の面積の小さな形状に形成するようにしても良い。
【0083】
また、第十例のトランスデューサ1jにおいては、接合補助層101が、第一リード線30の被覆部30bと絶縁体シート11との間に配置されており、接合補助層102が、第二リード線50の被覆部50bと絶縁体シート11との間に配置されている。接合補助層101,102は、第八例のトランスデューサ1hにおける接合補助層80と同様の役割を有する。
【符号の説明】
【0084】
1a-1j:トランスデューサ、 10:静電シート、 11:絶縁体シート、 11a:本体領域、 11b:端子領域、 12:第一電極シート、 12a:第一電極本体、 12b:第一電極端子、 13:第二電極シート、 13a:第二電極本体、 13b:第二電極端子、 20:接合規制層、 21:奥部、 22:縁部、 22a:シート本体、 22b:突起、 22c:スリット、 30:第一リード線、 30a:芯線、 30b:被覆部、 31:芯線露出部、 32:芯線被覆部、 33:芯線接合部、 34:被覆部接合部、 35:先端被覆部、 40:第二接合規制層、 41:奥部、 42:縁部、 50:第二リード線、 50a:芯線、 50b:被覆部、 51:芯線露出部、 52:芯線被覆部、 61,71:第一接合部、 62,72:第二接合部、 80,101,102:接合補助層、 Pa,Pc:第一領域、 Pb,Pd:第二領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15