(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086613
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
F25D17/08 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198727
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】松野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 達也
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA18
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD13
3L345DD15
3L345DD19
3L345DD33
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の貯蔵室が左右に配置され、共通の冷却器を通過する冷気の偏流を抑制し、熱交換効率を向上させた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】左右方向にメイン貯蔵室とサブ貯蔵室と配置した冷蔵庫本体1においてメイン貯蔵室の背面側又は下側に設けられ、左右方向に配列された複数のフィンを有する冷却器23と、メイン貯蔵室を通過した冷気を冷却器23に導くメイン冷気戻り風路と、サブ貯蔵室を通過した冷気を冷却器に導くサブ冷気戻り風路4とを備え、サブ冷気戻り風路4が、サブ貯蔵室11s1からメイン貯蔵室に向かう第1戻り風路部と、第1戻り風路部に接続され、横向きに流れてきた冷気を上下方向に方向転換させて冷却器に導入する第2戻り風路部とを備えており、第2戻り風路部の下流側端部に設けられた冷気導出口が、冷却器23の左右方向の少なくとも中央部に冷気を供給するように形成されている冷蔵庫である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に沿って配置されたメイン貯蔵室とサブ貯蔵室とを有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体において前記メイン貯蔵室の背面側又は下側に設けられ、前記左右方向に沿って配列された複数のフィンを有する冷却器と、
前記メイン貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くメイン冷気戻り風路と、
前記サブ貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くサブ冷気戻り風路とを備え、
前記サブ冷気戻り風路が、前後方向から視て、
前記サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された第1戻り風路部と、
前記第1戻り風路部に接続され、前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、上下方向に沿った向きに方向転換させた後に前記冷却器に導入するよう形成された第2戻り風路部とを備えており、
前記第2戻り風路部の下流側端部に設けられた冷気導出口が、前記冷却器の左右方向の少なくとも中央部に冷気を供給するように形成されている冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2戻り風路部が、前記前後方向から視て、方向転換後の前記上下方向に沿った風路の中央部を通る軸線が、前記冷却器の左右方向の中央部を通るように形成されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷気導出口の前記左右方向に沿った幅寸法が、前記冷却器の有効幅寸法の90%以上110%以下である請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷気導出口の下端が前記冷却器の下端部よりも下方に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2戻り風路部が、前記前後方向から視て、前記冷気導出口の幅寸法よりも狭い幅寸法を有する狭路部を備えている請求項1~4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第2戻り風路部が、前記左右方向から視て、
前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、前記上下方向に沿った向きに方向転換させる第1方向転換風路部と、
前記第1方向転換風路部により上下方向に方向転換された冷気を、前記前後方向に沿った向きに更に方向転換させて前記冷却器に導く第2方向転換風路部とを備える請求項1~5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記サブ貯蔵室が、前記メイン貯蔵室の左右両側に設けられており、
前記各サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された複数の第1戻り風路が、共通化された前記第2戻り風路部に接続されている請求項1~6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記メイン貯蔵室の上部に配置された上部サブ貯蔵室と、
前記前後方向から視て、前記上部サブ貯蔵室を通過した冷気を、前記上下方向に沿って下向きに流して前記冷却器に導く上部サブ冷気戻り風路とを更に備え、
前記上部サブ冷気戻り風路の一部が、前記サブ冷気戻り風路が有する前記第2戻り風路部により構成されている請求項1~7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記メイン冷気戻り風路が、前記前後方向から視て、前記メイン貯蔵室から導入された冷気を前記上下方向に沿った向きに流して前記冷却器に導入するように形成されている請求項1~8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
左右方向に沿って配置されたメイン貯蔵室とサブ貯蔵室とを有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体において前記メイン貯蔵室の背面側又は下側に設けられ、前記左右方向に沿って配列された複数のフィンを有する冷却器と、
前記メイン貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くメイン冷気戻り風路と、
前記サブ貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くサブ冷気戻り風路とを備え、
前記サブ冷気戻り風路が、前後方向から視て、
前記サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された第1戻り風路部と、
前記第1戻り風路部に接続され、前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、上下方向に沿った向きに方向転換させた後に前記冷却器に導入するよう形成された第2戻り風路部とを備えており、
前記第2戻り風路部の下流側端部に設けられた冷気導出口が、前記左右方向に沿った幅寸法が前記冷却器の幅寸法の50%以上となるように形成されている冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザのライフスタイルに合わせて貯蔵室の数、サイズ、レイアウト等の仕様を自由にカスタマイズできるようにした冷蔵庫が開発されている。例えば特許文献1には、貯蔵室を有する複数のキャビネットを上下左右に自由に連結させることで、貯蔵室の数やサイズ等を自由に変えられるようにした組立式の冷蔵庫が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記したような組立式の冷蔵庫では、省エネルギーの観点から、メインとなるキャビネット(メインキャビネットともいう)にのみ冷却器を設け、他のキャビネット(サブキャビネットともいう)の貯蔵室(サブ貯蔵室ともいう)を通過した冷気をメインキャビネットの冷却器に戻して冷却するものがある。
【0005】
この場合、左右に連結されたサブキャビネットからの戻り冷気をメインキャビネットの冷却器に向けて横向きに流し、そのまま特別な配慮無く冷却器に直接導入すると、冷却器を通過する冷気の風量に左右方向の偏りが生じ、熱交換効率が低下する恐れがある。このような問題は組立式の冷蔵庫に限らず、複数の貯蔵室を横方向に配置し、冷却器を共通化している冷蔵庫に言えることである。
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、複数の貯蔵室が左右に配置され、冷却器が共通化されている冷蔵庫において、冷却器を通過する冷気の偏りを抑制し、熱交換効率を向上させることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る冷蔵庫は、左右方向に沿って配置されたメイン貯蔵室とサブ貯蔵室とを有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体において前記メイン貯蔵室の背面側又は下側に設けられ、前記左右方向に沿って配列された複数のフィンを有する冷却器と、前記メイン貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くメイン冷気戻り風路と、前記サブ貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くサブ冷気戻り風路とを備え、前記サブ冷気戻り風路が、前後方向から視て、前記サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された第1戻り風路部と、前記第1戻り風路部に接続され、前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、上下方向に沿った向きに方向転換させた後に前記冷却器に導入するよう形成された第2戻り風路部とを備えており、前記第2戻り風路部の下流側端部に設けられた冷気導出口が、前記冷却器の左右方向の少なくとも中央部に冷気を供給するように形成されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、サブ貯蔵室からメイン貯蔵室に向かう横向きの冷気をそのまま冷却器に導入させるのではなく、上下方向に沿った向きに方向転換させてから冷却器の中央部に導入させるので、冷却器を通過する冷気の左右方向の偏流を抑制し、熱交換を向上することができる。すなわち、冷気を冷却器に導入する前に上下方向に沿った向きに方向転換させて流すことにより、フィンの配列方向である左右方向の偏流を低減でき、これにより冷却器を通過する冷気の偏流を抑制することができるのである。
【0009】
冷却器を通過する冷気の偏流をより抑制するには、前記冷蔵庫は、前記第2戻り風路部が、前記前後方向から視て、方向転換後の前記上下方向に沿った風路の中央部を通る軸線が、前記冷却器の左右方向の中央部を通るように形成されていることが好ましい。
【0010】
前記冷蔵庫は、前記冷気導出口の前記左右方向に沿った幅寸法が、前記冷却器の有効幅寸法の90%以上110%以下であることが好ましい。
このようにすれば、冷却器の幅方向のほぼ全域に冷気を導入することにより、冷却器を通過する冷気の偏流をより抑制し、却器の熱交換率をより向上させることができる。なおこの「冷却器の有効幅寸法」とは、冷却器が備える端板間の距離を意味する。
【0011】
冷却器の上下方向の全域にわたって冷気を通過させて、より熱交換率を向上させるには、前記冷蔵庫は、前記冷気導出口の下端が前記冷却器の下端部よりも下方に設けられていることが好ましい。
【0012】
前記冷蔵庫は、前記第2戻り風路部が、前記前後方向から視て、前記冷気導出口の幅寸法よりも狭い幅寸法を有する狭路部を備えていることが好ましい。
このようにすれば、第2戻り風路部に狭路部を設けることで冷気の流れをより整流化することができ、左右方向に沿った冷気の偏りをより低減することができる。
【0013】
前記冷蔵庫は、前記第2戻り風路部が、前記左右方向から視て、前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、前記上下方向に沿った向きに方向転換させる第1方向転換風路部と、前記第1方向転換風路部により上下方向に方向転換された冷気を、前記前後方向に沿った向きに更に方向転換させて前記冷却器に導く第2方向転換風路部とを備えることが好ましい。
このようにすれば、複数の方向転換風路部を設けることにより冷却器に導入するまでの風路を長くでき、この間に冷気の偏りをより低減することができる。
【0014】
前記冷蔵庫は、前記サブ貯蔵室が、前記メイン貯蔵室の左右両側に設けられており、前記各サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された複数の第1戻り風路が、共通化された前記第2戻り風路部に接続されていることが好ましい。
また前記冷蔵庫は、前記メイン貯蔵室の上部に配置された上部サブ貯蔵室と、前記前後方向から視て、前記上部サブ貯蔵室を通過した冷気を、前記上下方向に沿って下向きに流して前記冷却器に導く上部サブ冷気戻り風路とを更に備え、前記上部サブ冷気戻り風路の一部が、前記サブ冷気戻り風路が有する前記第2戻り風路部により構成されていることが好ましい。
このようにすれば、複数のサブ貯蔵室の第2戻り風路を共通化することで、部品点数や、冷気漏れ防止のためのシール箇所を減らすことができ、組立作業性の向上及び品質の向上に寄与できる。また上部サブ冷気戻り風路の一部を第2戻り風路部により構成することで、この効果はより一層顕著になる。
【0015】
冷却器を通過する冷気の偏流をより抑制するには、前記冷蔵庫は、前記メイン冷気戻り風路が、前記前後方向から視て、前記メイン貯蔵室から導入された冷気を前記上下方向に沿った向きに流して前記冷却器に導入するように形成されていることが好ましい。
【0016】
また本発明の冷蔵庫は、左右方向に沿って配置されたメイン貯蔵室とサブ貯蔵室とを有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体において前記メイン貯蔵室の背面側又は下側に設けられ、前記左右方向に沿って配列された複数のフィンを有する冷却器と、前記メイン貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くメイン冷気戻り風路と、前記サブ貯蔵室を通過した冷気を前記冷却器に導くサブ冷気戻り風路とを備え、前記サブ冷気戻り風路が、前記前後方向から視て、前記サブ貯蔵室から前記メイン貯蔵室に向かって形成された第1戻り風路部と、前記第1戻り風路部に接続され、前記第1戻り風路部を通って横向きに流れてきた冷気を、前記上下方向に沿った向きに方向転換させた後に前記冷却器に導入するよう形成された第2戻り風路部とを備えており、前記第2戻り風路部の下流側端部に設けられた冷気導出口が、前記左右方向に沿った幅寸法が前記冷却器の幅寸法の50%以上となるように形成されているものであってもよい。
このようなものであっても前記した本発明の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、複数の貯蔵室が左右に配置され、冷却器が共通化されている冷蔵庫において、冷却器を通過する冷気の偏流を抑制し、熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の冷蔵庫の背面側の構成を概略的に示す斜視図。
【
図2】同実施形態の冷蔵庫のメインキャビネットと、その左側に配置されたサブキャビネットとを背面側から視た構成を概略的に示す図。
【
図3】同実施形態の冷却器を正面側から視た構成を概略的に示す図。
【
図4】同実施形態の冷蔵庫の冷却器及び第2戻り風路部の構成を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施形態に係る冷蔵庫100について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の冷蔵庫100は、複数の貯蔵室11を備える冷蔵庫本体1と、貯蔵室11に供給される冷気を冷却するための冷却器23を備える冷凍サイクル2と、各貯蔵室11を通過した冷気を冷却器23に戻す冷気搬送機構Mとを備える。
以下、各部について説明する。
【0021】
この冷蔵庫本体1は、
図1及び
図2に示すように、貯蔵室11を備える箱状のキャビネットを上下左右に複数連結して構成された組立式のものである。具体的にこの冷蔵庫本体1は、メイン貯蔵室11
Mを形成するメインキャビネットMCと、サブ貯蔵室11
Sを形成する複数(ここでは5つ)のサブキャビネットSCとを連結して構成されている。サブキャビネットSCは、メインキャビネットMCの左右及び上部に取付けられており、これによりメイン貯蔵室11
Mの左右及び上部にサブ貯蔵室11
Sが配置される。
【0022】
冷凍サイクル2は、圧縮機21、凝縮器22及び冷却器23を備えるものであり、メインキャビネットMCに設けられている。具体的に、圧縮機21及び凝縮器22はメインキャビネットMCにおけるメイン貯蔵室11Mの背面下部に形成された機械室12内に収容され、冷却器23はメイン貯蔵室11Mの背面に収容されている。
【0023】
冷却器23は、所謂フィンチューブ型のものであり、つづら折り状に曲げられた内部に冷媒が流れるチューブ232と、このチューブ232に取付けられた互いに平行な複数のフィン231とを備えている。冷却器23は、
図3に示すように、前記前後方向から視て複数のフィン231が冷蔵庫本体1の左右方向に沿って並ぶように(ここでは、各フィン231が上下方向に平行になるように)、メイン貯蔵室11
Mの背面に収容されている。
図3に示すように、チューブ232は、複数のフィン231を両側から挟む2枚の平行な端板233により固定されている。この2枚の端板233間に冷気が通過する冷却空間が形成され、各貯蔵室11から戻ってきた冷気はこの冷却空間を上向きに通過する。本明細書では、この左右方向(幅方向)に沿った端板233間の寸法を、冷却器23の有効幅寸法d
1という。そして、冷却空間を通過して冷却された冷気は、冷気送り風路を介してメイン貯蔵室11
M及び各サブ貯蔵室11
Sに搬送される。
【0024】
冷気搬送機構Mは、メイン貯蔵室11Mを通過した冷気を冷却器23に導くメイン冷気戻り風路3と、各サブ貯蔵室11Sを通過した冷気を冷却器23に導くサブ冷気戻り風路4とを備えている。
【0025】
メイン冷気戻り風路3は、
図4に示すように、メインキャビネットMCにおける冷却器23よりも前方に設けられたダクトD
1により形成されている。具体的にメイン冷気戻り風路3は、その上流側の端部に、メイン貯蔵室11
Mの下部に開口して冷気を取り込むメイン冷気導入口3
iが設けられ、下流側の端部に、冷却器23の下部に開口して冷気を供給するメイン冷気導出口3
оが設けられている。このメイン冷気導出口3
оは、冷却器23に対して前方から開口するように形成されている。
【0026】
このメイン冷気戻り風路3は、前後方向から視て、メイン冷気導入口3iから導入された冷気を上下方向に沿って真っすぐ上向きに流し、冷却器23の下端部より下に配置されたメイン冷気導出口3оから、冷却器23に冷気を供給するように構成されている。
【0027】
サブ冷気戻り風路4は、
図1及び
図2に示すように、各サブキャビネットSCにおけるサブ貯蔵室11
Sの背面側に設けられたダクトD
2と、メインキャビネットMCにおける冷却器23の背面側に設けられたダクトD
3とにより形成されている。メインキャビネットMCと各サブキャビネットSCとを連結すると各キャビネットが備えるダクトD
2、D
3が接続され、これによりサブ冷気戻り風路4が形成される。具体的にサブ冷気戻り風路4は、その上流側の端部に、サブ貯蔵室11
Sの下部に開口して冷気を取り込むサブ冷気導入口4
iが設けられ、下流側の端部に、冷却器23の下部に開口して冷気を供給するサブ冷気導出口4
оが設けられている。このサブ冷気導出口4
оは、
図4に示すように、冷却器23に対して背面側から開口するように形成されている。
【0028】
このサブ冷気戻り風路4は、メイン貯蔵室11Mの左右に配置されたサイドサブ貯蔵室11S1からの冷気を冷却器23に導くサイドサブ冷気戻り風路41と、メイン貯蔵室11Mの上部に配置された上部サブ貯蔵室11S2からの冷気を冷却器23に導く上部サブ冷気戻り風路42とを備えている。
【0029】
上部サブ冷気戻り風路42は、前後方向から視て、上部サブ貯蔵室11S2の下部に設けられたサブ冷気導入口4iから導入された冷気を上下方向に沿って下向きに流し、冷却器23の下端部より下に配置されたサブ冷気導出口4оから、冷却器23に冷気を供給するように構成されている。
【0030】
しかして本実施形態の冷蔵庫100は、冷却器23を通過するサイドサブ貯蔵室11
S1からの冷気の偏流を抑制すべく、
図1及び
図2に示すように、前後方向から視て、サイドサブ冷気戻り風路41が、サイドサブ貯蔵室11
S1からメイン貯蔵室11
Mに向かって形成された第1戻り風路部41aと、第1戻り風路部41aに接続され、第1戻り風路部41aを通って横向きに流れてきた冷気を上下方向に沿った向き(ここでは下向き)に方向転換させた後に冷却器23に導入する第2戻り風路部41bとを備えている。そしてこの第2戻り風路部41bの下流側端部に設けられたサブ冷気導出口4
оが、冷却器23の左右方向の少なくとも中央部に冷気を供給するように形成されている。
【0031】
この第1戻り風路部41aは、その上流側端部にサイドサブ貯蔵室11S1に開口するサブ冷気導入口4iが設けられており、サイドサブ貯蔵室11S1から導入された冷気を、メイン貯蔵室11Mに向けて横向きに流すものである。第1戻り風路部41aは、その下流側の端部が第2戻り風路部41bの上流側端部に接続されている。
【0032】
第2戻り風路部41bは、その下流側端部に、冷却器23に開口するサブ冷気導出口4оが設けられており、前後方向から視て、第1戻り風路を通ってきた横向きの冷気を下向きに方向転換して冷却器23に導入する。
【0033】
この第2風路部は、前後方向から視て、方向転換後の上下方向に沿った風路の略中央を通る軸線が、冷却器23の幅方向(左右方向)の中央を通るように形成されている。そして
図3に示すように、サブ冷気導出口4
оは、その幅方向の中央位置が、冷却器23の幅方向の中央位置と一致するように形成されている。つまりこの第2風路部は、第1戻り風路を通ってきた冷気を下向きに方向転換した後、その後左右方向に方向転換させることなく冷却器23に冷気を導出する。またサブ冷気導出口4
оは、左右方向に沿った開口幅寸法d
2が、冷却器23の有効幅寸法d
1の90%以上110%以下になるように、好ましくは略同一になるように形成されている。
【0034】
図2に示すように、第2戻り風路部41bには、前後方向から視て、その左右方向の幅寸法が、サブ冷気導出口4
оの開口幅寸法d
2よりも小さくなっている狭路部xが設けられている。この狭路部xは、第2戻り風路部41bの一部をくびれさせることにより形成されており、その幅方向の中央位置が、冷却器23の幅方向の中央部と一致するように形成されている。
【0035】
また第2戻り風路部41bは、第1戻り風路を通ってきた冷気を方向転換させる複数の方向転換風路部Cを備えている。具体的に第2戻り風路部41bは、
図2及び
図3に示すように、第1戻り風路部41aを通って横向きに流れてきた冷気を、前後方向から視て上下方向に沿った向き(ここでは下向き)に方向転換させる第1方向転換風路部C
1と、第1方向転換風路部C
1の下流に設けられ、左右方向から視て、上下方向に沿って下向きに流れてきた冷気を、前後方向に沿って前向きに方向転換させる第2方向転換風路部C
2とを備えている。前記したサブ冷気導出口4
оは、第2方向転換風路部C
2の下流側の端部に設けられている。このサブ冷気導出口4
оの下端は冷却器23の下端部よりも下に設けられている。
【0036】
本実施形態の冷気搬送機構Mは、メイン貯蔵室11Mの左右の両側に配置されたサブ貯蔵室に対応して複数(具体的には2つ)のサイドサブ冷気戻り風路41を備えている。この複数のサイドサブ冷気戻り風路41では、第2戻り風路部41bが共通化されており、各第1戻り風路部41aを通って左右両側から横向きに流れてきた冷気が、メインキャビネットMCに設けられた1つの第2戻り風路部41bで合流して、上下方向に方向転換されるように構成されている。
【0037】
また本実施形態では、上部サブ冷気戻り風路42の一部が、サイドサブ冷気戻り風路41が有する第2戻り風路部41bにより構成されている。すなわち、上部サブ冷気戻り風路42を通って上部サブ貯蔵室11S2から下向きに流れてきた冷気が、第2戻り風路部41bにおいて、第1戻り風路部41aを通ってきた冷気と合流するように構成されている。
【0038】
このように構成した本実施形態の冷蔵庫100によれば、サイドサブ貯蔵室11S1からメイン貯蔵室11Mに向かって横向きに流れる冷気をそのまま冷却器23に戻すのではなく、上下方向に沿った向きに方向転換させてから冷却器23の中央部に導入させるので、サイドサブ貯蔵室11S1から戻ってくる冷気の冷却器23における偏流を抑制し、熱交換を向上することができる。すなわち、サイドサブ貯蔵室11S1から戻ってくる冷気を冷却器23に導入する前に上下方向に沿った向きに方向転換させて流すことにより、フィン231の配列方向である左右方向の偏流を低減でき、これにより冷却器23を通過する冷気の偏流を抑制することができるのである。
【0039】
また、第2戻り風路部41bが、方向転換後の上下方向に沿った風路の中央部を通る軸線が、冷却器23の左右方向の中央部を通るように形成されており、サブ冷気導出口4оの左右方向に沿った開口幅寸法d2が、冷却器23の有効幅寸法d1と略同一になるように構成されているので、左右方向に沿った冷気の偏りをより一層低減し、熱交換率を改善することができる。
【0040】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0041】
例えば、前記実施形態の冷蔵庫100は複数のキャビネットを上下左右に連結した組立式のものであったが、これに限らない。他の実施形態の冷蔵庫100は、1つのキャビネットのみを備え、このキャビネット内に、断熱材により仕切られた複数の貯蔵室11が設けられた一体型のものであってもよい。
【0042】
また前記実施形態では、第2戻り風路部41bは、第1戻り風路部41aを通って横向きに流れてきた冷気を下向きに方向転換させた後に冷却器23に導入するよう形成されていたが、これに限らない。他の実施形態では、第2戻り風路部41bは、第1戻り風路部41aを通って横向きに流れてきた冷気を上向きに方向転換させた後に冷却器23に導入するように形成されてもよい。
【0043】
また前記実施形態では、サブ貯蔵室が、メイン貯蔵室11Mの上側及び左右両側に配置されていたが、これに限らない。他の実施形態では。サブ貯蔵室は、メイン貯蔵室11Mの上側に配置されていなくてもよく、また左右両側に配置されていなくてもよい。サブ貯蔵室は、少なくともメイン貯蔵室11Mの左右(左上、左下、右上、右下を含む)のいずれかに配置されていればよい。
【0044】
また前記実施形態では、第2戻り風路部41bのサブ冷気導出口4оが、冷却器23の左右方向の少なくとも中央部に冷気を供給するように形成されていたが、これに限らない。他の実施形態では、第2戻り風路部41bのサブ冷気導出口4оは、冷却器23の左右方向の中央部に冷気を供給しなくてもよい(すなわち、中央部以外に冷気を供給するようにしてもよい)。このようにする場合でも、サブ冷気導出口4оの開口幅寸法d2が、冷却器23の有効幅寸法d1の50%以上となるように形成されていれば、本発明と同様の効果を奏することができる。
【0045】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な実施形態の変形や組合せを行っても構わない。
【符号の説明】
【0046】
100 ・・・冷蔵庫
1 ・・・冷蔵庫本体
11 ・・・貯蔵室
11M ・・・メイン貯蔵室
11S ・・・サブ貯蔵室
23 ・・・冷却器
231 ・・・フィン
3 ・・・メイン冷気戻り風路
4 ・・・サブ冷気戻り風路
41a・・・第1戻り風路部
41b・・・第2戻り風路部