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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086634
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】立入防止装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20220602BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20220602BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B66F9/075 Z
B66F11/04
B66F9/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198757
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】595006186
【氏名又は名称】エヌ・ケー・エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 進
(72)【発明者】
【氏名】若林 秀典
(72)【発明者】
【氏名】春原 和宏
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333FA11
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、可能なメンテナンス作業が容易となるとともに、作業時間も短縮できる立入防止装置を提供することである。
【解決手段】本発明における立入防止装置1は、ベース2と、ベース2に対して垂直方向へ回転可能に連結されて垂直方向へ起立する格納姿勢と水平方向へ伏する展開姿勢とを採り得るガードバー3と、ベース2に装着されてガードバー3を格納姿勢と展開姿勢とに切り換え可能な操作桿4と、ベース2を高所作業車(被設置箇所)Vへ取り付け可能なブラケット5とを備えて構成されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対して垂直方向へ回転可能に連結されて垂直方向へ起立する格納姿勢と水平方向へ伏する展開姿勢とを採り得るガードバーと、
前記ベースに取り付けられて前記ガードバーを格納姿勢と展開姿勢とに切り換え可能な操作桿と、
前記ベースを被設置箇所へ取り付け可能なブラケットとを備えた
ことを特徴とする立入防止装置。
【請求項2】
前記ガードバーは、前記格納姿勢では前記操作桿によって前記格納姿勢を維持し、前記展開姿勢では前記ベースによって前記展開姿勢を維持する
ことを特徴とする請求項1に記載の立入防止装置。
【請求項3】
前記ベースは、垂直方向を軸線とするパイプを有し、
前記ガードバーは、前記展開姿勢で前記パイプの下端から前記パイプ内に侵入し前記格納姿勢で前記パイプ外に配置されるアームを基端に有しており、
前記操作桿は、前記パイプ内に軸方向へ移動可能に挿入されており、押下されると前記アームを前記パイプ外へ押し出して前記ガードバーを前記格納姿勢へ切り換える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の立入防止装置。
【請求項4】
前記ガードバーは、前記操作桿の下端の外周に前記アームが当接すると前記格納姿勢を維持する
ことを特徴とする請求項3に記載の立入防止装置。
【請求項5】
前記ガードバーは、前記パイプの内周或いは下端に前記アームが当接すると前記展開姿勢を維持する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の立入防止装置。
【請求項6】
前記アームはL字状であって先端に前記操作桿に当接可能なローラを有する
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の立入防止装置。
【請求項7】
前記ベースに対して前記操作桿を固定する操作桿固定装置を備えた
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の立入防止装置。
【請求項8】
前記ブラケットに対して前記ベースが水平方向へ回転可能であって、
前記ブラケットに対して前記ベースを固定するベース回転止め装置を備えた
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の立入防止装置。
【請求項9】
前記ガードバーは、先端に環状金具を有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の立入防止装置。
【請求項10】
前記ブラケットは、
前記ベースを保持する保持部と、
前記保持部に連結されたプレートと、
前記プレートに装着された磁石と、
前記プレートの磁石が装着される側に配置されて前記プレートに装着される座と、
前記プレートの座側の面に対向するフックと、
前記プレートに設けられて前記フックを前記プレートに対して遠近駆動させる駆動機構とを有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の立入防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車等に適する立入防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、たとえば、自走可能な下部走行体と、下部走行体の上方に配置される作業台と、下部走行体と作業台との間に介装されて作業台を上下方向へ昇降駆動するシザースとを備えて構成されており、作業員が搭乗した作業台を高所へ配置して作業員による高所作業を可能としている。
【0003】
このような高所作業車を利用した高所作業の際に、高所作業車の周辺で作業中の作業員が高所に配置されている作業台を意識せずに高所作業車に接近してしまう可能性がある。高所作業車に周辺の作業員が接近すると、高所に配置された作業台からの落下物と接触する事故が発生する恐れがある。このような事故を未然に防ぐため、高所作業車による作業中は、高所作業車の周囲を多数のセイフティコーンで囲うようにして、前記セイフティコーンで囲った範囲を立入制限区域として周辺の作業員に認識させる必要がある。
【0004】
また、高所作業車における作業台における作業面積には限りがあって作業が必要な箇所の全てをカバーできないため、高所作業の完了には高所作業車を複数回に亘って移動させる場合がある。このような場合、一箇所での作業が終了すると高所作業車を次の作業箇所の直下へ移動させて順次高所での作業を行うことになるが、前述した通り、高所作業車の移動の度にセイフティコーンの回収作業と立入制限区域の設置のためのセイフティコーンの設置作業を行う必要がある。
【0005】
このようなセイフティコーンの回収作業と設置作業とが高所作業車の移動の度に発生すると、高所作業車の作業員の作業負担が大きいため、作業員の負担の軽減のために高所作業車に安全策を自動的に構築する立入防止装置が提案されている。
【0006】
この立入防止装置は、下部走行体と作業台との間に設置された筒状であって内外を連通する螺旋状の溝を有する本体と、本体内に挿入されて常時上方へ向けて突出するようばねによって付勢される回転体と、回転体に取り付けられて溝内を通して本体外へ突出するガードバーとを備えている。そして、この装置では、作業台が最下方へ配置されると回転体を本体内に押し下げた状態とし、作業台が最下方から上昇すると回転体が本体に対して上方へ移動するようになっている。回転体が本体内に収容された状態では、ガードバーは作業台と下部走行体との間に収容される一方、回転体が本体に対して上方へ移動するとガードバーが螺旋状の溝に沿って水平方向へ回転し下部走行体と作業台との間から外方へ展開される。
【0007】
このように従来の立入防止装置では、作業台の昇降に合わせて自動的にガードバーが水平方向へ回転して立入制限区域の設置とガードバーの格納を行える(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5639951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の立入防止装置は、高所作業車での作業台の昇降によってガードバーの自動的な格納と展開を行えるが、格納と展開には作業台の下部走行体に対する昇降動作が不可欠であるため、高所作業車以外への使用が困難である。
【0010】
そのため、立入防止装置には、簡単にガードバーの格納と展開を行うことができるという利点を享受しつつも、高所作業車以外への設置をも可能とする汎用性の向上が求められる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ガードバーの格納と展開を簡単に行えるとともに、汎用性を向上可能な立入防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の立入防止装置は、ベースと、ベースに対して垂直方向へ回転可能に連結されて垂直方向へ起立する格納姿勢と水平方向へ伏する展開姿勢とを採り得るガードバーと、ベースに装着されてガードバーを格納姿勢と展開姿勢とに切り換え可能な操作桿と、ベースを被設置箇所へ取り付け可能なブラケットとを備えて構成されている。このように構成された立入防止装置では、作業者がベースに装着された操作桿を操作するだけでガードバーを格納姿勢と展開姿勢とに切り換えでき、ガードバーに作業者の意図する姿勢を採らせることができる。また、作業者は、ベースに装着された操作桿を操作すれば足りるので、ガードバー自体をわざわざ起伏させる煩わしさもなく容易にガードバーの姿勢を切り換えできる。さらに、ブラケットを被設置箇所に応じて変更すれば、ベース、ガードバーおよび操作桿とを高所作業車以外にも設置することができる。
【0013】
また、立入防止装置は、ガードバーが格納姿勢では操作桿によって格納姿勢を維持し、展開姿勢ではベースによって展開姿勢を維持するように構成されてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、ガードバーや操作桿を不動に固定せずともガードバーに現在とっている姿勢のまま維持されるため、作業者の操作負担を軽減できる。
【0014】
さらに、立入防止装置は、ベースが垂直方向を軸線とするパイプを有し、ガードバーが展開姿勢でパイプの下端からパイプ内に侵入し格納姿勢でパイプ外に配置されるアームを基端に有しており、操作桿がパイプ内に軸方向へ移動可能に挿入されており、押下されるとアームをパイプ外へ押し出してガードバーを格納姿勢へ切り換えるように構成されてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、作業者はベースの至近から移動せずに操作桿を上下動させるだけで容易にガードバーの姿勢を切り換えできる。
【0015】
また、立入防止装置は、ガードバーが操作桿の下端の外周にアームが当接すると格納姿勢を維持するように構成されてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、操作桿のパイプに対する押し下げ動作によってガードバーを格納姿勢に切り換えると同時に格納姿勢からの展開姿勢への切り換えを規制してそのままガードバーを格納姿勢に維持でき、作業員はガードバーの格納姿勢への切り換えと維持とを容易に行える。
【0016】
さらに、立入防止装置は、ガードバーがパイプの内周にアームが当接すると展開姿勢を維持するように構成されてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、操作桿のパイプに対する上方への引き抜き動作によってガードバーを展開姿勢に切り換えると同時に展開姿勢からの格納姿勢への切り換えを規制してそのままガードバーを展開姿勢に維持でき、作業員はガードバーの展開姿勢への切り換えと維持とを容易に行える。
【0017】
また、立入防止装置は、アームがL字状であって先端に操作桿に当接可能なローラを有してもよい。このように構成された立入防止装置によれば、操作桿の下端と外周に当接するアームがローラを備えているので、操作桿の下端と外周とに引っ掛からずに滑らかに走行して操作桿の操作時の抵抗が小さくなるとともに操作桿の劣化を防止できる。
【0018】
さらに、立入防止装置は、ベースに対して操作桿を固定する操作桿固定装置を備えてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、操作桿をベースに対して固定できるのでガードバーの姿勢を固定できるので、振動や作業員の誤った操作桿の操作によってガードバーの意図しない姿勢の切り換えが生じてしまうのを防止できる。
【0019】
また、立入防止装置は、ブラケットに対してベースが水平方向へ回転可能であって、ブラケットに対してベースを固定するベース回転止め装置を備えてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、ベースがブラケットに対して水平方向へ回転可能であるから障害物を避けてガードバーを展開でき、被設置箇所を周囲に障害物があるような場所に配置しても容易に立入制限区域を設けることができる。
【0020】
そして、立入防止装置は、ガードバーが先端に環状金具を有してもよい。このように構成された立入防止装置によれば、ガードバーにチェーンを装着して、ガードバーの展開時に周囲の作業員に立入禁止区域を認識させ易くすることができる。
【0021】
さらに、立入防止装置は、ブラケットが、ベースを保持する保持部と、保持部に連結されたプレートと、プレートに装着された磁石と、プレートの磁石が装着される側に配置されてプレートに装着される座と、プレートの座側の面に対向するフックと、プレートに設けられてフックをプレートに対して遠近駆動させる駆動機構とを備えてもよい。このように構成された立入防止装置によれば、被設置箇所が鉄製である場合に被設置箇所にブラケットを磁石で仮止めしつつ駆動機構の操作を行うことができるので、作業者によるブラケットを被設置箇所への固定作業の負担が軽減される。また、フックと座とで被設置箇所を挟持できれば被設置箇所の上下方向長さによらず磁石と協働してブラケットを被設置箇所へ取り付けできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の立入防止装置によれば、ガードバーの格納と展開を簡単に行えるとともに、汎用性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態に係る立入防止装置が適用された高所作業車の平面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る立入防止装置が適用された高所作業車の側面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る立入防止装置の側面図である。
図4図4(a)は、本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるベースの側面図である。図4(b)は、本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるベースのAA矢視断面図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるガードバーの側面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る立入防止装置における操作桿の側面図である。
図7図7(a)は、本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるブラケットの側面図である。図7(b)は、本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるブラケットの正面図である。図7(c)は、本発明の一実施の形態に係る立入防止装置におけるブラケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の立入防止装置1を各図に基づいて説明する。本実施の形態に係る立入防止装置1は、高所作業車Vに適用されており、高所作業車Vの周囲に立入禁止区域を設けるために利用されているが、高所作業車V以外にも用いることができる。
【0025】
高所作業車Vは、図1および図2に示すように、下部走行体Lと、下部走行体Lに設けられたフレーム状の架台Bに設けられたシザース等の昇降装置Sと、昇降装置Sの上端に取り付けられた作業台Wとを備えて構成されている。高所作業車Vは、作業台Wに設置された図示しないコントロールパネルの操作によって自走できるとともに、昇降装置Sを駆動して作業台Wを昇降させ得る。
【0026】
以下、立入防止装置1について詳細に説明する。立入防止装置1は、高所作業車Vに対してガードバー3が垂直に起立する格納姿勢と水平に伏する展開姿勢とを採り得るように設置されている。
【0027】
立入防止装置1は、図1から図3に示すように、ベース2と、ベース2に対して垂直方向へ回転可能に連結されて垂直方向へ起立する格納姿勢と水平方向へ伏する展開姿勢とを採り得るガードバー3と、ベース2に取り付けられてガードバー3を格納姿勢と展開姿勢とに切り換え可能な操作桿4と、ベース2を被設置箇所としての高所作業車Vへ取り付け可能なブラケット5とを備えて構成されている。
【0028】
ベース2は、図3および図4に示すように、パイプ21と、パイプ21の下端の側方にパイプ21に対して平行に配置される筒状のプラグ22と、パイプ21とプラグ22とを連結する一対の連結片23と、パイプ21の下端側の側方に取り付けられたバー取付片24とを備えている。そして、本実施の形態の立入防止装置1では、ベース2におけるパイプ21がブラケット5を介して、高所作業車Vに対して軸線を垂直方向に一致させて取り付けられている。
【0029】
パイプ21は、上下端が開放された筒体であって、上端側の側部にはナット21aが取り付けられている。ナット21a内は、パイプ21に設けられた孔21bを通じてパイプ21内に連通されている。また、パイプ21の中央付近には、パイプ21の直径方向で対向する一対の孔21cが設けられている。
【0030】
プラグ22は、円筒状であって一対の連結片23によってパイプ21の下端側に間隔を開けて平行な姿勢で連結されている。連結片23,23は、本実施の形態の立入防止装置1では矩形の平板で形成されており、パイプ21とパイプ21に隙間を開けて平行配置されたプラグ22を互いに対向して挟んだ状態でパイプ21とプラグ22に溶接される。なお、連結片23,23は、パイプ21とプラグ22とを強固に連結できればよいので、矩形の平板でなくともよく、溶接以外にもボルトとナットを用いてパイプ21とプラグ22に連結されてもよい。また、連結片23は、強度の確保が充分であれば一対とされず一つでパイプ21とプラグ22とを連結してもよい。また、プラグ22は、円筒ではなく、中実無垢な円柱状とされてもよいが、本実施の形態の立入防止装置1のように円筒とされると立入防止装置1の重量を軽減できる。
【0031】
バー取付片24は、基端がパイプ21に取り付けられて先端が円形状に面取りされた互いに対向する一対の金属片で構成されており、パイプ21の下端側の側方であってプラグ22とは周方向で反対側に取り付けられている。また、バー取付片24は、各金属片を水平方向へ貫く孔24bを備えている。なお、バー取付片24は、パイプ21にガードバー3を回転自在に連結するために設けられている。また、ベース2は、プラグ22を後述する高所作業車Vに固定されるブラケット5に差し込んで連結されるため、バー取付片24とプラグ22とがパイプ21を挟んで互いに反対側に配置されるとガードバー3と高所作業車Vとの干渉を回避し易くなる。なお、パイプ21に対するプラグ22とバー取付片24の取付位置は、ガードバー3と被取付箇所である高所作業車Vとの干渉を回避できる限り任意に設計変更できる。
【0032】
ガードバー3は、図3および図5に示すように、筒状の基部31と、基部31の一端に取り付けられたL字状のアーム32と、基部31に着脱可能に装着される弾性を備えたバー本体33とを備えて構成されている。
【0033】
基部31は、一端が閉塞された有底筒状であって、他端側の側部に直径方向で対向する図外の一対の孔を備えている。基部31には、バー本体33の一端が挿入されて前記孔内に挿通されるとともにバー本体33を貫通するボルト34と、ボルト34の先端に螺着される図外のナットとによってバー本体33が取り付けられている。
【0034】
バー本体33は、本実施の形態の立入防止装置1では、発泡ポリエチレンやゴム等の弾性材料でチューブ状に形成されており、一端には前述のボルト34の挿通を許容する図外の通孔を備えている。バー本体33は、弾性を備えず金属製であってもよいし、基部31と一体的に形成されていてもよいが、バー本体33を弾性材料で形成する場合には人や車両等との接触時に人や車両を傷つけずに済むという利点を享受できる。
【0035】
また、バー本体33は、他端側となる先端側にチェーン装着金具35を備えている。チェーン装着金具35は、バー本体33の外周を緊迫してバー本体33を保持する保持片35aと、保持片35aに設けられた環状金具35bとを備えている。チェーン装着金具35は、図1中の一点鎖線で示すように、環状金具35b内に挿通されるチェーン36をガードバー3に連結する役割を担っている。なお、ガードバー3によって立入制限区域(図1中二点鎖線で示す範囲)Dが設定されていることの注意を周囲の作業車に喚起するための旗等を取り付けたい場合チェーン装着金具35に代えて旗等の取り付けに向く金具をバー本体33に設ければよい。また、バー本体33は、テレスコピック型の構造等を備えて伸縮可能であってもよい。
【0036】
アーム32は、L字状であって一端が基部31の一端である底部に連結されるアーム本体32aと、アーム本体32aの他端に回転自在に取り付けられるローラ32bとを備えている。また、アーム32は、アーム本体32aの基部31に連結される一端から側方へ向けて延びる延長片32cを備えており、延長片32cがベース2のバー取付片24の孔に挿通されるピン24aによって接合されている。このように、アーム32は、ベース2におけるバー取付片24を介して垂直方向へ回転自在に連結されており、ガードバー3は、アーム32を介してピン24aを回転軸としてベース2に対して垂直方向へ回転自在に連結されている。
【0037】
そして、ガードバー3が図3中の実線で示したように垂直方向に起立した格納姿勢を採る場合、アーム32がベース2におけるパイプ21の下端から外方で抜け出た状態となり、ガードバー3が図3中の一点鎖線で示したように水平方向に伏した展開姿勢を採る場合、アーム32のローラ32bが設けられた他端である先端がパイプ21内に侵入する。ガードバー3が格納姿勢から垂直方向で倒れるように回転して展開姿勢へ姿勢を変える場合、ローラ32bがパイプ21の下端からパイプ21内に侵入し、ガードバー3が展開姿勢に到達するとローラ32bがパイプ21の内周に当接してガードバー3のそれ以上の回転が規制されてガードバー3は、展開姿勢を採るように維持される。
【0038】
他方、操作桿4は、図3および図6に示すように、筒状の操作桿本体41と、操作桿本体41の上端を閉塞する操作部42と、操作桿本体41の下端を閉塞するボトムキャップ43とを備えて、ベース2におけるパイプ21内に軸方向へ移動可能に挿入されてベース2に装着されている。
【0039】
操作桿本体41の中央付近には、軸方向に沿って設けられた長孔41aが設けられており、図3に示すように、パイプ21内の挿入された後にパイプ21の孔21cに挿通されるボルト25が長孔41aにも挿入されることによってパイプ21からの抜け止めの防止と操作桿4のパイプ21に対する可動範囲の設定がなされている。つまり、操作桿本体41は、ボルト25が長孔41aの上端に当接する位置から長孔41aの下端に当接する位置までの範囲でパイプ21に対して軸方向へ移動が可能となっており、長孔41aの軸方向長さによって操作桿4のパイプ21に対する可動範囲が設定されている。
【0040】
また、操作部42は、外径が操作桿本体41よりも大径な円盤状であって操作桿本体41の上端を閉塞している。また、操作部42の外径は、作業者が容易に掴んで操作桿4を軸方向へ上下動させ得るように、操作桿本体41の外径よりも大径となっている。
【0041】
取っ手付ボルト26を図3に示すようにパイプ21におけるナット21aに螺着して先端で操作桿4の側面を締め付けることで、ベース2におけるパイプ21内に挿入された操作桿4をパイプ21に対して不動に固定できる。他方、取っ手付ボルト26を弛めると、操作桿4がパイプ21に対して軸方向への移動が許容された状態となって、作業員は操作桿4を自由にパイプ21に対して軸方向へ移動させる。取っ手付ボルト26で操作桿4を締め付けると、操作桿4がパイプ21に対して軸方向へ移動できなくなってその場に固定される。このように本実施の形態の立入防止装置1では、操作桿固定装置は、取っ手付ボルト26とナット21aとで構成されている。なお、操作桿固定装置は、たとえば、操作桿4をパイプ21に対して固定したい位置に配置した状態で互いに対向する孔を操作桿4とパイプ21とに設けておき、当該孔にピンを抜き差しすることで操作桿4のパイプ21に対する固定と固定の解除とを実現するような構成であってもよい。このように操作桿固定装置は、操作桿4のパイプ21への固定と固定の解除とを行えるものであればよいので、種々の構成を採り得る。
【0042】
そして、前述のように構成されたベース2、ガードバー3および操作桿4は、予めベース2に対してガードバー3および操作桿4を組み付けてアッセンブリ化される。
【0043】
このようにベース2に対してガードバー3および操作桿4を組み付けると、操作桿4がベース2におけるパイプ21に対して下方へ押し込まれてパイプ21の下端から操作桿4における操作桿本体41が突出した状態では、ガードバー3のアーム32が操作桿4によってパイプ21外へ押し出されて、図3中の実線で示すように、ガードバー3は、バー本体33が垂直に起立した格納姿勢を採る。ガードバー3が格納姿勢を採る際には、アーム32の先端のローラ32bが図3に示すように操作桿本体41の外周面に当接し、ガードバー3のピン24aを中心としてパイプ21から離間する方向への回転が規制されて、ガードバー3は、操作桿4によってバー本体33が垂直に起立する格納姿勢に維持される。操作桿4は、外力が加わらなければ重力によってパイプ21に対して最下方へ位置決めされるのでガードバー3が勝手に展開姿勢へ姿勢変更することはない。取っ手付ボルト26で操作桿4をパイプ21に固定すれば、高所作業車Vの走行中に振動が作用しても操作桿4が不動となってガードバー3の回転を確実に阻止する。
【0044】
つづいて、取っ手付ボルト26によるパイプ21への操作桿4の固定を解除した状態で、操作桿4をパイプ21に対して引き上げてパイプ21内に操作桿本体41を引き込むと、操作桿本体41で支えられていたアーム32が支えを失って重力によってガードバー3が展開姿勢へ取るように回転してアーム32の先端がパイプ21内に侵入する。バー本体33が水平となる展開姿勢をガードバー3が採るようになるとアーム32の先端がパイプ21の内周に当接してガードバー3のそれ以上の回転を規制し、ガードバー3は、バー本体33が水平となる展開姿勢に維持される。なお、ガードバー3が展開姿勢を採る状態では、重力によって操作桿4がアーム32の先端を下方へ押し下げる力によるモーメントは、ガードバー3が重力によって先端側を下方へ回転させるモーメントよりも小さくなるように操作桿4とガードバー3の重量のバランスと、ガードバーの重心位置とが設定されているため、ガードバー3は展開姿勢を採ると自動的には格納姿勢に戻ることはない。取っ手付ボルト26で操作桿4をパイプ21に固定すれば、誤って操作桿4を操作することによってガードバー3が格納姿勢に切り換わることはない。
【0045】
また、ガードバー3が格納姿勢を採る場合に、取っ手付ボルト26によるパイプ21への操作桿4の固定を解除した状態で、操作桿4をパイプ21に対して下方へ押し下げると、操作桿4がアーム32の先端を下方へ押し下げてパイプ21外へ押し出し、ガードバー3が格納姿勢へ切り替わる。このように、立入防止装置1は、操作桿4の操作によってガードバー3が格納姿勢と展開姿勢とに切り換わるとともに、操作桿4によってガードバー3を格納姿勢に維持できるとともに、ベース2によってガードバー3を展開姿勢に維持できる。
【0046】
つづいて、ブラケット5は、図3および図7に示すように、ベース2を保持する保持部51と、保持部51に連結されたプレート52と、プレート52に装着された磁石53と座54と、プレート52に対向するフック55と、フック55をプレート52に対して遠近駆動させる駆動機構56とを備えて構成されている。
【0047】
保持部51は、ベース2におけるプラグ22が挿入される筒状のソケット51aと、互いに対向してソケット51aの側部を挟持してプレート52に連結する一対の連結片51b,51bとを備えている。また、ソケット51aは、上下端が開放された筒体であって、上端側の側部には二つのナット51c,51cが取り付けられている。ナット51c内は、ソケット51aに設けられた図外の孔を通じてソケット51a内に連通されている。
【0048】
プレート52は、本実施の形態の立入防止装置1では、図7に示すように、矩形の平板状の母材の上端側を垂直な下方側に対して正面側に水平に折り曲げ成型して側面視でL字状に成型されており、水平片52aと垂直片52bとを備えている。また、垂直片52bには、上下左右の四か所に図示しない孔が穿たれている。また、プレート52の垂直片52bの高所作業車Vにおける下部走行体Lの架台Bの外周面に対向する面とは反対側の背面には、保持部51における連結片51bが溶接によって取付けられている。
【0049】
磁石53は、プレート52に対して二つ設けられている。磁石53は、それぞれ、プレート52の下方側の2箇所の孔に挿通される螺子軸57aと、螺子軸57aの先端に取り付けられたカップ状の磁石保持皿57bと、螺子軸57aに螺着されるナット57cとを備えた磁石ホルダ57を介してプレート52の正面側に装着されている。磁石ホルダ57は、プレート52に設けられた前記図外の孔に螺子軸57aを挿通し、磁石保持皿57bと螺子軸57aに螺着されるナット57cとでプレート52を挟持することでプレート52に装着される。磁石保持皿57bは内周側に収容されて接着された磁石53を保持している。このように磁石53が磁石ホルダ57によってプレート52に装着されているので、磁石保持皿57bとプレート52との間にワッシャを挿入することで磁石53とプレート52との距離を調整できる。なお、磁石53,53は、プレート52に直に接着などによって装着されてもよい。
【0050】
また、座54は、プレート52に対して二つ設けられている。座54は、それぞれ、プレート52の上方側の2箇所の孔に挿通される螺子軸54aと、螺子軸54aの先端に取り付けられた皿状の座本体54bと、螺子軸54aに螺着されるナット54cとを備えており、プレート52の磁石53が装着されている側となる正面側に装着されている。座54は、プレート52に設けられた前記図外の孔に螺子軸54aを挿通し、座本体54bと螺子軸54aに螺着されるナット54cとでプレート52を挟持することでプレート52に装着される。このように座54がプレート52に装着されているので、座本体54bとプレート52との間にワッシャを挿入することで座本体54bとプレート52との距離を調整できる。なお、座54は、プレート52に固定的に装着されてもよい。
【0051】
駆動機構56は、プレート52の水平片52aの上端であって保持部51の連結片51bを挟む位置の二か所に設けられている、駆動機構56は、それぞれ、プレート52の水平片52aに対して垂直片52bの正面側から背面側へ向かう方向に沿って取り付けられたパイプ56aと、パイプ56a内にそれぞれ挿通される螺子軸56bと、螺子軸56bに螺着される蝶ナット56cとを備えている。また、螺子軸56bの先端には、フック55が取り付けられている。蝶ナット56cは、螺子軸56bの基端側であってフック55とともにパイプ56aを挟む位置に螺着されている。よって、蝶ナット56cの螺子軸56bに対する装着位置を変更すると、フック55と蝶ナット56cとの間の距離を変更でき、これによって、フック55をプレート52に対して遠近駆動できる。
【0052】
このように構成されたブラケット5を高所作業車Vへ取り付けるには以下のようにすればよい。まず、プレート52の垂直片52bを高所作業車Vにおける下部走行体Lの架台Bの外周面に対向させて、水平片52aを架台Bの上面に当接させつつ座54と磁石53を当該外周面に当接させ、フック55が架台Bの内周側に配置するようにプレート52の位置を合わせて磁石53の吸引力で架台Bにブラケット5を仮止めする。
【0053】
そして、蝶ナット56cを回転操作して、座54とフック55とで架台Bの内周面と外周面とをしっかりと挟持できるまでフック55をプレート52側へ引き寄せる。すると、フック55と座54とで架台Bをしっかりと保持できるとともに、プレート52の垂直片52bの下方側も磁石53によって架台Bに吸着されるため、ブラケット5を強固に高所作業車Vの架台Bに固定できる。また、磁石53をプレート52に装着しているので、架台Bにプレート52を仮止めできるので、ブラケット5を高所作業車Vに取り付ける作業が容易となる。
【0054】
なお、プレート52の左右にそれぞれ一対の磁石53、座54およびフック55を設けているので、磁石53と座54との四か所が架台Bに当接し、フック55が二か所で架台Bに当接するため、プレート52がガタつくことなく架台Bに固定され得るが、磁石53、座54およびフック55の設置数は任意に変更可能である。また、磁石53と座54のプレート52への設置位置は、被設置箇所に対向する面であって、被設置箇所への固定が可能である限りにおいて、設計変更可能である。さらに、磁石53の代わりに座54のみをプレート52に設けるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態の立入防止装置1では、磁石53がプレート52のフック55の荷重の作用線から離間した位置に配置されているので、フック55と座54とで架台Bを挟持した際に磁石53にフック55から大きな荷重が作用せず、磁石53を保護できる。
【0056】
また、プレート52は、駆動機構56におけるパイプ56aを取り付けと強度の向上のために、平板を折り曲げ成型して水平片52aを備えているが、駆動機構56がプレート52にナットとナットに螺着される螺子軸56bとで構成されるような場合、水平片52aを設けなくともよい。このようにプレート52の形状および構造についても適宜設計変更できる。なお、駆動機構56をパイプ56a、螺子軸56bおよび蝶ナット56cとで構成すると、フック55をプレート52に対して遠近させる場合に蝶ナット56cのみの回転操作によってフック55を回転させなくて済むのでブラケット5の架台Bへの固定作業が容易となる。
【0057】
また、前述したところでは、本実施の形態の立入防止装置1におけるブラケット5は、高所作業車Vに適するように構成されているが、立入防止装置1の被設置箇所の構造に応じてブラケット5の構成を適宜変更できるのは当然である。
【0058】
高所作業車Vに取り付けられたブラケット5にガードバー3および操作桿4が組み付けられたベース2を取り付けるには以下のようにすればよい。ブラケット5の保持部51におけるソケット51a内に上方からベース2のプラグ22を差し込み、ソケット51aのナット51c,51cにそれぞれ取っ手付ボルト58,58を螺着し、取っ手付ボルト58,58の先端でプラグ22を締め付けてベース2をブラケット5に固定する。ベース2のブラケット5の固定の際には、図1中の矢印で示すように、プラグ22の軸線を中心にしてブラケット5に対してパイプ21を前記軸線周りに水平方向へ回転させ得るので、高所作業車Vに対してガードバー3を展開させたい方向に合わせてベース2のパイプ21の位置を決定した後、取っ手付ボルト58,58を締め付けてベース2をブラケット5に固定すればよい。このように、ベース2がブラケット5に対して水平方向へ回転可能となっているので、ベース2に取り付けられたガードバー3の高所作業車Vに対する展開方向を高所作業車Vの外周回りで任意の位置に変更できる。また、本実施の形態の立入防止装置1では、取っ手付ボルト58,58とナット51c,51cとでベース回転止め装置を構成している。ベース回転止め装置は、たとえば、パイプ21をブラケット5に対してプラグ22を中心して周方向で固定したい位置へ配置した状態で互いに対向する孔をプラグ22とソケット51aとに設けておき、当該孔にピンを抜き差しすることでベース2のブラケット5に対する固定と固定の解除とを実現するような構成であってもよい。このようにベース回転止め装置は、ベース2のブラケット5への固定と固定の解除とを行えるものであればよいので、種々の構成を採り得る。
【0059】
なお、本実施の形態の立入防止装置1は、図1に示すように、高所作業車Vの前後左右の四隅にそれぞれ設置されている。つまり、立入防止装置1は、一台の高所作業車Vに四つ設置されていて、図1に示すように、ガードバー3をそれぞれ高所作業車Vの四隅から概ね斜め45度の角度で放射状に展開できるように配置されている。高所作業車Vの前後あるいは左右の長さが長い場合には、前後左右のいずれか或いはその両方で立入防止装置1を四隅の中間に臨む数だけ設置すればよい。なお、ガードバー3の高所作業車Vに対する展開角度は、ベース2がブラケット5に対して水平方向へ回転可能であるので変更できる。
【0060】
また、本実施の形態の立入防止装置1が高所作業車Vへの利用に適するように、操作桿4の操作部42を昇降装置Sにより最下方に位置決めされた作業台Wに搭乗した作業者が操作しやすいように、ベース2におけるパイプ21と操作桿4の軸方向長さが設定されている。
【0061】
前述したように、高所作業車Vに設置された本実施の形態の立入防止装置1にて高所作業車Vの周囲に立入制限区域Dを設けるには、操作桿4をベース2におけるパイプ21に対して引き上げてガードバー3を展開姿勢とする。すると、図1に示したように、高所作業車Vの四隅からバー本体33が放射状に展開されて、隣り合うガードバー3の先端同士を結んだ図1中二点鎖線で示した仮想線で示す立入制限区域Dを高所作業車Vの周囲に設けることができる。なお、ガードバー3を展開姿勢として、バー本体33に設けたチェーン装着金具35のそれぞれにチェーン36を架け渡せば、立入制限区域Dをより明確に周辺の作業車へ認識させ得る。なお、ガードバー3を展開させてからチェーン36をガードバー3に取り付けてもよいが、予めチェーン36をガードバー3に取り付けておけばガードバー3の展開とともに高所作業車Vの周囲にチェーン36を張り巡らせることができる。
【0062】
このように立入防止装置1の操作桿4を操作してガードバー3を展開姿勢にして立入制限区域Dを設けた後、作業員は、昇降装置Sを駆動して作業台Wを上昇させて高所での作業を行えばよい。他方、高所作業を行っていない場合には、作業員は、操作桿4をベース2のパイプ21に対して押し下げてガードバー3を垂直に起立させた格納姿勢に切り換えればよい。そのようにすれば、ガードバー3の格納姿勢への切り換わりによって高所作業車Vの周囲の立入制限区域Dを速やかに撤去できる。
【0063】
このように本実施の形態の立入防止装置1は、ベース2と、ベース2に対して垂直方向へ回転可能に連結されて垂直方向へ起立する格納姿勢と水平方向へ伏する展開姿勢とを採り得るガードバー3と、ベース2に装着されてガードバー3を格納姿勢と展開姿勢とに切り換え可能な操作桿4と、ベース2を高所作業車(被設置箇所)Vへ取り付け可能なブラケット5とを備えて構成されている。このように構成された立入防止装置1では、作業者がベース2に装着された操作桿4を操作するだけでガードバー3を格納姿勢と展開姿勢とに切り換えでき、ガードバー3に作業者の意図する姿勢を採らせることができる。また、作業者は、ベース2に装着された操作桿4を操作すれば足りるので、ガードバー3自体をわざわざ起伏させる煩わしさもなく容易にガードバー3の姿勢を切り換えできる。さらに、ブラケット5を被設置箇所に応じて変更すれば、ベース2、ガードバー3および操作桿4とを高所作業車V以外にも設置することができる。以上より、本実施の形態の立入防止装置1によれば、ガードバー3の格納と展開を簡単に行えるとともに、高所作業車V以外の被設置箇所へ適用が可能となるので汎用性が向上する。
【0064】
また、ガードバー3の回転方向が垂直方向であるので、水平方向への回転動作がないためガードバー3の展開時に高所作業車(被設置箇所)Vの周囲に障害物があっても干渉しにくく取り扱いが容易となる。
【0065】
このように立入防止装置1では、ブラケット5にベース2を取り付ける構造となっており、ブラケット5にベース2を着脱可能となっているため、ブラケット5を被設置箇所に応じて設計変更すれば、様々な被設置箇所へ立入防止装置1を適用できる。なお、前述したところでは、高所作業車Vを被設置箇所として立入防止装置1を適用した例を用いて立入防止装置1を説明したが、立入防止装置1は自走しないが移動可能な高所作業足場や建設機械に適用でき、被設置箇所の周囲に立入制限区域Dを設けることができる。また、ブラケット5を路面上に載置される重量物や路上に設置される構築物等へベース2を取り付けることができるような構造としておけば、路面上に立入防止装置1を設置してガードバー3を車両の走行や作業員の通行を一時的に制限するのを目的として遮断機として利用することもできる。
【0066】
また、本実施の形態の立入防止装置1では、ガードバー3が格納姿勢では操作桿4によって格納姿勢を維持し、展開姿勢ではベース2によって展開姿勢を維持する。このように構成された立入防止装置1では、ガードバー3や操作桿4を不動に固定せずともガードバー3が現在とっている姿勢のまま維持されるため、作業者の操作負担を軽減できる。
【0067】
さらに、本実施の形態の立入防止装置1では、ベース2が垂直方向を軸線とするパイプ21を有し、ガードバー3が展開姿勢でパイプ21の下端からパイプ21内に侵入し格納姿勢でパイプ21外に配置されるアーム32を基端に有しており、操作桿4がパイプ21内に軸方向へ移動可能に挿入されており、押下されるとアーム32をパイプ21外へ押し出してガードバー3を格納姿勢へ切り換える。このように構成された立入防止装置1によれば、操作桿4をパイプ21に対して引き抜くように操作すればガードバー3が自重で回転して展開姿勢を採り、操作桿4をパイプ21に対して下方へ押し込むように操作すればガードバー3を回転させ格納姿勢へ切り換えできる。よって、本実施の形態の立入防止装置1によれば、作業者はベース2の至近から移動せずに操作桿4を上下動させるだけで容易にガードバー3の姿勢を切り換えできる。
【0068】
なお、操作桿4の側面にラックを形成し、ガードバー3の基端にラックに歯合するピニオンを設けて、操作桿4の上下動に応じてガードバー3を格納姿勢と展開姿勢とに切り換えるような構成も採用できる。また、操作桿をベース2に起伏可能に取り付けて、パイプ21内に軸方向移動可能に挿入されてアーム32を押し出し可能なスライダを上下動させ得るスライダクランク機構を用いてガードバー3の姿勢の切り換えを行うことも可能である。このように、操作桿4の駆動によってガードバー3を垂直方向へ回転させ得る機構であれば立入防止装置1に利用可能であるが、下端がガードバー3のアーム32に当接してパイプ21内に挿入された棒状の操作桿4を上下方向へ操作することでガードバー3の姿勢を切り換えできる本実施の形態の立入防止装置1の構成では、構造が簡単となって製造コストが安価となるとともに堅牢となる点で有利となる。
【0069】
また、本実施の形態の立入防止装置1では、ガードバー3が操作桿4の下端の外周にアーム32が当接すると格納姿勢を維持する。このように構成された立入防止装置1によれば、操作桿4のパイプ21に対する押し下げ動作によってガードバー3を格納姿勢に切り換えると同時に格納姿勢からの展開姿勢への切り換えを規制してそのままガードバー3を格納姿勢に維持でき、作業員はガードバー3の格納姿勢への切り換えと維持とを容易に行える。
【0070】
さらに、本実施の形態の立入防止装置1では、ガードバー3がパイプ21の内周にアーム32が当接すると展開姿勢を維持する。このように構成された立入防止装置1によれば、操作桿4のパイプ21に対する上方への引き抜き動作によってガードバー3を展開姿勢に切り換えると同時に展開姿勢からの格納姿勢への切り換えを規制してそのままガードバー3を展開姿勢に維持でき、作業員はガードバー3の展開姿勢への切り換えと維持とを容易に行える。
【0071】
また、本実施の形態の立入防止装置1では、アーム32がL字状であって先端に操作桿4に当接可能なローラ32bを有している。このように構成された立入防止装置1によれば、操作桿4の下端と外周に当接するアーム32がローラ32bを備えているので、操作桿4の下端と外周とに引っ掛からずに滑らかに走行して操作桿4の操作時の抵抗が小さくなるとともに操作桿4の劣化を防止できる。
【0072】
さらに、本実施の形態の立入防止装置1では、ベース2に対して操作桿4を固定する操作桿固定装置を備えている。このように構成された立入防止装置1によれば、操作桿4をベース2に対して固定できるのでガードバー3の姿勢を固定できるので、高所作業車Vの走行時の振動や作業員の誤った操作桿4の操作によってガードバー3の意図しない姿勢の切り換えが生じてしまうのを防止できる。
【0073】
また、本実施の形態の立入防止装置1では、ブラケット5に対してベース2が水平方向へ回転可能であって、ブラケット5に対してベース2を固定するベース回転止め装置を備えている。このように構成された立入防止装置1によれば、高所作業車(被固定箇所)Vを構造物の壁際に設置したい場合、ブラケット5に対してベース2を回転させて障害物となる壁を避けた位置にガードバー3を展開させ得る。以上より、このように構成された立入防止装置1によれば、障害物を避けてガードバー3を展開できるので、高所作業車(被設置箇所)Vを周囲に障害物があるような場所に配置しても容易に立入制限区域Dを設けることができる。
【0074】
そして、本実施の形態の立入防止装置1では、ガードバー3が先端に環状金具35bを有している。このように構成された立入防止装置1によれば、ガードバー3にチェーン36を装着して、ガードバー3の展開時に周囲の作業員に立入制限区域Dを認識させ易くすることができる。
【0075】
さらに、本実施の形態の立入防止装置1では、ブラケット5が、ベース2を保持する保持部51と、保持部51に連結されたプレート52と、プレート52に装着された磁石53と、プレート52の磁石53が装着される側に配置されてプレート52に装着される座54と、プレート52の座側の面に対向するフック55と、プレート52に設けられてフック55をプレート52に対して遠近駆動させる駆動機構56とを備えている。このように構成された立入防止装置1によれば、高所作業車Vが鉄製である場合、高所作業車(被設置箇所)Vにブラケット5を磁石53で仮止めしつつ駆動機構56の操作を行うことができるので、作業者によるブラケット5を高所作業車(被設置箇所)Vへの固定作業の負担が軽減される。また、フック55と座54とで被設置箇所を挟持できれば架台Bの上下方向長さによらず磁石53と協働してブラケット5を高所作業車(被設置箇所)Vへ取り付けできる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施の形態の立入防止装置1を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1・・・立入防止装置、2・・・ベース、3・・・ガードバー、4・・・操作桿、5・・・ブラケット、21・・・パイプ、32・・・アーム、32b・・・ローラ、35b・・・環状金具、51・・・保持部、52・・・プレート、53・・・磁石、54・・・座、55・・・フック、56・・・駆動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7