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特開2022-86648追刷紙継システム、追刷紙継方法、追刷紙継システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086648
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】追刷紙継システム、追刷紙継方法、追刷紙継システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 21/02 20060101AFI20220602BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B65H21/02
B41F33/00 290
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198778
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】平山 大介
(72)【発明者】
【氏名】草刈 顕
(72)【発明者】
【氏名】井奥 龍介
【テーマコード(参考)】
2C250
3F064
【Fターム(参考)】
2C250EA34
2C250EB26
3F064BB12
3F064BB35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で、現ウェブの先刷柄の位相に新ウェブの先刷柄の位相を合わせることが可能な追刷紙継システムを提供する。
【解決手段】追刷紙継システム30は、第1マーク7Aが設けられた第1ウェブ2Aに、第2マーク7Bが設けられた第2ウェブ2Bを接合する追刷紙継システムであって、第1マーク7Aを検出して第1マーク信号を生成する第1マークセンサ34と、第1ウェブ2Aを供給する第1供給部38Aと、第2ウェブ2Bを供給する第2供給部38Bと、第2供給部38Bの速度を制御するための速度指令信号を生成して当該第2供給部38Bに出力する制御部40と、を備える。制御部40は、第2ウェブ2Bの先頭部32Sの移動速度が第1ウェブ2Aの移動速度と一致した際、第1マークと第2マークの位相が合うように速度指令信号を生成し、当該位相が合ったときに、先頭部32Sを第1ウェブ2Aに接合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マークが設けられた第1ウェブに、第2マークが設けられた第2ウェブを接合する追刷紙継システムであって、
前記第1マークを検出して第1マーク信号を生成する第1マークセンサと、
前記第1ウェブを供給する第1供給部と、
前記第2ウェブを供給する第2供給部と、
前記第2供給部の速度を制御するための速度指令信号を生成して当該第2供給部に出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2ウェブの先頭部の移動速度が前記第1ウェブの移動速度と一致した際、前記第1マークと前記第2マークの位相が合うように前記速度指令信号を生成し、前記位相が合ったときに、前記先頭部を前記第1ウェブに接合することを特徴とする追刷紙継システム。
【請求項2】
前記第1マークは、前記第1ウェブに所定ピッチで先刷りされ、前記第2マークは、前記第2ウェブに前記所定ピッチで先刷りされていることを特徴とする請求項1に記載の追刷紙継システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1マーク信号の周期に基づいて前記第1ウェブの移動速度を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の追刷紙継システム。
【請求項4】
第1マークが設けられた第1ウェブに、第2マークが設けられた第2ウェブを接合する追刷紙継方法であって、
前記第1マークを検出して第1マーク信号を生成することと、
前記第1ウェブを供給することと、
前記第2ウェブを供給することと、
前記第2ウェブの先頭部の移動速度を制御するための速度指令信号を生成することと、
前記第2ウェブの先頭部の移動速度が前記第1ウェブの移動速度と一致した際、前記第1マークと前記第2マークの位相が合うように前記速度指令信号を生成し、当該位相が合ったときに、前記先頭部を前記第1ウェブに接合することと、
を備えることを特徴とする追刷紙継方法。
【請求項5】
第1マークが設けられた第1ウェブに、第2マークが設けられた第2ウェブを接合する追刷紙継システムを制御する方法であって、
前記第2ウェブの先頭部の移動速度を前記第1ウェブの移動速度と一致させ、前記第2マークを前記第1マークと整列させたときに、前記先頭部を前記第1ウェブに接合することを特徴とする追刷紙継システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追刷紙継システム、追刷紙継方法および追刷紙継システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の印刷ユニットを備えた印刷機が知られている。例えば、特許文献1には、複数の印刷ユニットが連設された印刷機が記載されている。ウェブ輪転印刷機では、各色の印刷ユニット間の紙パス長が張力や乾燥の影響で変動して各版の印刷ユニットの印刷位置がずれるので、印刷ユニットは多重印刷のずれを調整しながら運用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-021743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
追刷印刷では、先刷りされた先刷柄に追刷りする追刷柄の位置を合わせることが重要である。さらに、追刷印刷で紙継する場合では、現ロールから繰り出される現ウェブに新ロールから繰り出される新ウェブを紙継ぎする場合、現ウェブの先刷柄の位相に新ウェブの先刷柄の位相を合わせて接合することも重要である。しかし、特許文献1に記載の印刷機は、現ウェブの先刷柄に新ウェブの先刷柄をさせて接合する追刷紙継に対応できない。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、現ウェブの先刷柄の位相に新ウェブの先刷柄の位相を合わせることが可能な追刷紙継システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の追刷紙継システムは、第1マークが設けられた第1ウェブに、第2マークが設けられた第2ウェブを接合する追刷紙継システムであって、第1マークを検出して第1マーク信号を生成する第1マークセンサと、第1ウェブを供給する第1供給部と、第2ウェブを供給する第2供給部と、第2供給部の速度を制御するための速度指令信号を生成して当該第2供給部に出力する制御部と、を備える。制御部は、第2ウェブの先頭部の移動速度が第1ウェブの移動速度と一致した際、第1マークと第2マークの位相が合うように速度指令信号を生成し、位相が合ったときに、先頭部を第1ウェブに接合する。
【0007】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、簡易な構成で、現ウェブの先刷柄の位相に新ウェブの先刷柄の位相を合わせることが可能な追刷紙継システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る追刷紙継システムを備えた印刷システムを示す構成図である。
図2図1の第2ロールの第2ウェブの先頭部の第2マークを示す斜視図である。
図3図1の追刷紙継システムの制御部を示すブロック図である。
図4図1の追刷紙継システムの紙継動作を示すフローチャートである。
図5】比較例の追刷紙継システムを備えた印刷システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付し、末尾にアルファベットを付して他と区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。また、構成要素同士を区別するために、符号の末尾に「A、B」等と付すことがあり、区別せずに総称するときはこれらを省略する。
【0012】
先に、比較例の追刷紙継システム300を説明する。図5は、比較例の追刷紙継システム300を備えた印刷システム200を示す構成図である。この比較例は、発明者らが、本発明の追刷紙継システムを開発する過程で、比較のために検討されたものである。印刷システム200は、予め設定されたリピートピッチ(以下、単に「リピートピッチ」という)で先刷柄3が先刷りされたウェブ2に、追刷柄4を同じリピートピッチで重ねて印刷する追刷印刷をするシステムである。印刷システム200は、版胴11と圧胴12とを備える印刷ユニット10と、印刷ユニット10にウェブ2を供給する給紙部20とを含む。
【0013】
給紙部20は、先刷柄3が先刷りされたウェブ2のロール(以下、単に「ロール32」という)からウェブ2を供給する。ロール32は、第1ロール32A(現ロール)と第2ロール32B(新ロール)とを含む。ウェブ2は、第1ロール32Aの第1ウェブ2A(現ウェブ)と、第2ロール32Bの第2ウェブ2B(新ウェブ)とを含む。給紙部20では、第1ウェブ2Aに第2ウェブ2Bを接合する紙継ぎがなされる。この紙継ぎをするために、給紙部20はニップ部43とカット部44とを含む接合部42を有する。第2ウェブ2Bの先頭の先頭部には両面テープが貼られており、紙継工程では、第2ウェブ2Bの両面テープを第1ウェブ2Aに接触させ、ニップ部43で加圧して貼り付け、その後にカット部44で第1ウェブ2Aをカットして切り離す。
【0014】
このような印刷システムでは、印刷効率を維持するため、印刷ユニット10を停止させずに紙継ぎすることが望ましい。このため、第1ウェブ2Aを走行させた状態で、ランダムなタイミングで第2ウェブ2Bを接合することが考えられる。しかし、これらをランダムに接合すると、第2ウェブ2Bの先刷柄3Bは、第1ウェブ2Aの先刷柄3Aがリピートされるべき位置(以下、「リピート位置」という)に対してランダムな位置関係で接合される。この場合、先刷柄3Aのリピート位置に対して先刷柄3Bの位置がずれ、先刷柄3Aのリピート位置に合わせて設定された追刷柄4は、先刷柄3Bに対してずれて柄ずれを生じる。
【0015】
このため、比較例の追刷紙継システム300では、印刷ユニット10の上流側にアキューム機構80を備える。紙継工程では、第1ロール32Aの回転を停止させ、オペレータが先刷柄3Bの位置を先刷柄3Aに合わせて手動で接合する。この場合、手動接合に必要な停止時間に見合う大容量のアキューム機構80を備えることとなるため、設備が大型化し、複雑化して操作が煩雑になる。
【0016】
比較例の説明を踏まえて、本発明の追刷紙継システムの概要を説明する。図1に示すように、このシステムでは、予め先刷時にウェブ2に先刷柄のリピートピッチと同じピッチで、マーク7が印刷される。第1ウェブ2Aには、このリピートピッチで第1マーク7Aが印刷され、第2ウェブ2Bには、同じリピートピッチで第2マーク7Bが印刷される。本システムの紙継工程は、第1マーク7Aと第2マーク7Bとを検出して下記のように行う。
【0017】
まず、第1マーク7Aの検出周期から第1ウェブ2Aの移動速度を特定し、第2ウェブ2Bの速度が第1ウェブ2Aの移動速度と同じになるように第2ロール32Bを加速する。これらの速度が一致した際、第2マーク7Bの位置が第1マーク7Aの位置と位相が合うように速度指令を生成している。この後、第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合する。接合後に第1ウェブ2Aをカットする。搬送ライン8には、ダンサ位置を一定に保つように制御するダンサー機構49が設けられており、この制御信号が第1ロール32A及び第2ロール32Bの速度指令となる。
【0018】
本システムの紙継工程によれば、第1ウェブ2Aを走行させながら、第2マーク7Bの位相が第1マーク7Aの位相と合致した状態で第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合するので、柄ずれを抑制しつつ、印刷効率を維持できる。以下、実施形態を参照して詳述する。
【0019】
[第1実施形態]
図1図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る追刷紙継システム30を説明する。図1は、追刷紙継システム30を備えた印刷システム100の構成を示す図である。この図では、印刷ユニット10にウェブを供給する給紙部20の周辺を重点的に示している。図2は、第2ロール32Bの第2ウェブ2Bの先頭部32Sの第2マーク7Bを示す斜視図である。印刷システム100は、先刷柄が事前に先刷りされたウェブに、追刷柄を重ねて印刷する追刷印刷をするシステムである。印刷システム100は、印刷ユニット10と、印刷ユニット10にウェブ2を供給する給紙部20とを含む。給紙部20は追刷紙継システム30を含む。
【0020】
追刷紙継システム30は、第1ウェブ2Aの第1マーク7Aの位相に第2ウェブ2Bの第2マーク7Bの位相を合わせて接合するためのシステムである。現ウェブの先刷柄の位相に新ウェブの先刷柄の位相を合わせて接合することも重要である。図1では、先刷柄を省略しているが、第1ウェブ2Aおよび第2ウェブ2Bには先刷柄が印刷されている。マーク7は、先刷時に先刷柄と一体に印刷されており、先刷柄のリピートピッチと同じピッチLpで繰り返し印刷されている。したがって、第1マーク7Aの位相に第2マーク7Bの位相を合わせることにより、第1ウェブ2Aの先刷柄の位相に第2ウェブ2Bの先刷柄の位相が合致する。
【0021】
ここで、マークの位相の合致とは、第1ウェブ2Aの下に第2ウェブ2Bを重ねた状態で、第1マーク7Aに第2マーク7Bが重なって整列する状態をいう。追刷紙継システム30では、走行中の第1ウェブ2Aの第1マーク7Aの位相に、第2ロール32Bの第2ウェブ2Bの先頭部32Sの第2マーク7Bの位相を動的に合致させる。つまり、第1マーク7Aの第1移動速度V1と先頭部32Sの第2移動速度V2とが一致し、且つ、第1マーク7Aと第2マーク7Bとが上下に重なって整列する状態を位相合致状態という。マークの位相が合致するとき、印刷柄の位相も合致している。なお、本明細書において、2つの移動速度が一致することは、厳密に一致することの他に、目視にて概略一致していることも含む。
【0022】
追刷紙継システム30は、搬送ライン8と、第1供給部38Aと、第2供給部38Bと、第1マークセンサ34と、接合部42と、支持アーム46と、制御部40とを備える。搬送ライン8は、ロール32から繰り出されたウェブ2を印刷ユニット10に供給するための搬送路で、ウェブ2を支持するフリーローラ等によって構成される。
【0023】
第1供給部38Aは、モータ(不図示)を含み、制御部40の制御に基づいて、第1ロール32Aを回転駆動して第1ウェブ2Aを搬送ライン8に供給する。第1供給部38Aは、第1マーク7Aの第1移動速度V1が所定の速度になるように制御される。第2供給部38Bは、モータ(不図示)を含み、制御部40の制御に基づいて、第2ロール32Bを回転駆動する。第2供給部38Bは、第2ウェブ2Bの先頭部32Sの先頭部32Sの第2移動速度V2が所定の速度になるように制御される。
【0024】
第1マークセンサ34は、搬送ライン8のウェブ2のマーク7を検出し、検出信号として第1マーク信号D1を生成し、制御部40に送信する。第1マークセンサ34は、紙継動作のときは、第1ウェブ2Aの第1マーク7Aを検出する。第1マークセンサ34の種類に制限はないが、この例の第1マークセンサ34は、ウェブ2に向けて光を照射し、その反射光に基づいてマーク7を検出する光学式センサである。
【0025】
接合部42は、制御部40の制御に基づいて、第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合する機構である。本実施形態の接合部42は、第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに押し付けるニップ部43と、接合後に第1ウェブ2Aをカットするカット部44とを有する。
【0026】
支持アーム46は、制御部40の制御に基づいて、支点47を中心に回動するアーム機構である。支持アーム46は、支点47と、支点47から径方向に離間した位置において、周方向に所定の間隔で配置された複数の支持部48とを有する。この例では、2個の支持部48が180°間隔で設けられ、2個の支持部48それぞれに、第1ロール32Aと、第2ロール32Bとが回転自在に装着される。支持アーム46は、制御部40の制御に基づいて、第2ロール32Bを第1ウェブ2Aに接近させたり、第1ロール32Aと第2ロール32Bの位置を入れ替えたりすることができる。
【0027】
図3を参照して制御部40を説明する。図3は、制御部40の一例を示すブロック図である。図3に示す制御部40の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0028】
制御部40は、第1取得部40aと、第1速度特定部40cと、速度制御部40eと、第1供給部制御部40gと、第2供給部制御部40hと、ニップ部制御部40jと、カット部制御部40mと、支持アーム制御部40nとを含む。
【0029】
第1取得部40aは、第1マークセンサ34から第1マーク信号D1を取得する。第1速度特定部40cは、第1ウェブ2Aの第1移動速度V1を特定する。第1移動速度V1は、第1マーク7AのリピートピッチLpを第1マーク信号D1の繰り返し周期P1で除算することにより算出できる。第2移動速度V2は、ダンサー機構49から得られる。また、第2マーク7Bの位置は、機械側にレーザマーカや合いマーク等の印を付け、その印に第2ロール32B上の第2マーク7Bを合わせた状態で読込トリガボタン(不図示)をONする事で機械角度として記憶される。したがって、第2マーク7Bの位相は、記憶された機械角度と第2供給部38Bの回転位置とに基づいて得られる。
【0030】
速度制御部40eは、第2供給部制御部40hを介して先頭部32Sの第2移動速度V2を制御するための速度指令を第2供給部38Bに出力する。特に、速度制御部40eは、第2供給部38Bの速度を制御するための速度指令信号を生成して当該第2供給部38Bに出力する。第1供給部制御部40gは、第1供給部38Aを駆動する。第2供給部制御部40hは、第2供給部38Bを駆動する。ニップ部制御部40jは、ニップ部43を制御し、ニップ部43で2枚のウェブを加圧して貼り付ける。カット部制御部40mは、カット部44を制御し、カット部44で第1ウェブ2Aをカットして切り離す。支持アーム制御部40nは、支持アーム46を駆動機構(不図示)を介して回動させる。
【0031】
以上のように構成された追刷紙継システム30の動作の一例を説明する。図4は、追刷紙継システム30の紙継動作のプロセスS110を示すフローチャートである。
【0032】
プロセスS110は、上位の制御システムまたはオペレータから紙継動作開始の指示信号が入力されることにより開始される。この状態では、第1ウェブ2Aは、印刷ユニット10に向かって流れている。プロセスS110の開始前に、機械側にレーザマーカや合いマーク等の所定の印を設け、第2供給部38Bに第2ロール32Bをセットする。この状態で、第2ロール32B上の先頭部32Sの第2マーク7Bを所定の印に合わせて読込トリガボタンをONにする事により、第2マーク7Bの位置を機械角度として制御部40に記憶させる。したがって、制御部40は、第2供給部38Bの回転位置から第2マーク7Bの位置を特定できる。
【0033】
プロセスS110が開始されると、制御部40は、第1ウェブ2Aの第1マーク7Aの第1移動速度V1を特定する(ステップS111)。このステップで、制御部40は、第1マークセンサ34で第1マーク7Aを検出し、第1マークセンサ34の第1マーク信号D1の繰り返し周期を検出する。第1マーク7Aの第1移動速度V1は、第1マーク7AのリピートピッチLpを第1マーク信号D1の繰り返し周期で除算することにより算出できる。第1マーク7Aの第1移動速度V1は、第1ウェブ2Aの移動速度と等しい。
【0034】
ステップS111を実行したら、制御部40は、第2ロール32Bの回転を加速する(ステップS112)。このステップで、制御部40は、第2ロール32Bが停止していれば起動し、回転していれば回転速度を上昇させる。
【0035】
第2ロール32Bを加速したら、制御部40は、第2ロール32Bの第2ウェブ2Bの先頭部32Sの第2移動速度V2を特定する(ステップS113)。先頭部32Sの第2移動速度V2は、すなわち、回転する第2ロール32Bにおける先頭部32Sの周速である。先頭部32Sの第2移動速度V2は、先頭部32Sに設けた第2マーク7Bの移動速度と等しい。
【0036】
先頭部32Sの第2移動速度V2を特定したら、制御部40は、第2移動速度V2が第1移動速度V1と一致した際、第2マーク7Bの位置が第1マーク7Aの位置と位相が合うように速度指令を出力する(ステップS114)。
【0037】
ステップS114を実行したら、制御部40は、第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに貼り付ける(ステップS115)。このステップで、制御部40は、支持アーム46を回転させて、第2ロール32Bを第1ウェブ2Aに接近させ、第2ウェブ2Bの両面テープ33を第1ウェブ2Aに接触させ、ニップ部43を制御し、ニップ部43で2枚のウェブを加圧して貼り付ける。
【0038】
ステップS115を実行したら、制御部40は、第1ウェブ2Aを切り離す(ステップS116)。このステップで、制御部40は、カット部44を制御し、カット部44で第1ウェブ2Aをカットして切り離す。
【0039】
ステップS116を実行したら、プロセスS110は終了する。これらの動作はあくまでも一例であって、各種の変形が可能である。
【0040】
以上のように構成された本実施形態の追刷紙継システム30の特徴を説明する。追刷紙継システム30は、第1マーク7Aが設けられた第1ウェブ2Aに、第2マーク7Bが設けられた第2ウェブ2Bを接合する追刷紙継システムであって、第1マーク7Aを検出して第1マーク信号を生成する第1マークセンサ34と、第1ウェブ2Aを供給する第1供給部38Aと、第2ウェブ2Bを供給する第2供給部38Bと、第2供給部38Bの速度を制御するための速度指令信号を生成して当該第2供給部38Bに出力する制御部40と、を備える。制御部40は、第2ウェブ2Bの先頭部32Sの移動速度が第1ウェブ2Aの移動速度と一致した際、第1マークと第2マークの位相が合うように速度指令信号を生成し、当該位相が合ったときに、先頭部32Sを第1ウェブ2Aに接合する。
【0041】
この構成によれば、第1ウェブ2Aを走行させながら、第2マーク7Bと第1マーク7Aの位相が合ったときに第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合するので、柄ずれを抑制しつつ、印刷効率を維持できる。大容量のアキューム機構を用いずに構成できるので、簡易な構成で追刷紙継システムを実現できる。
【0042】
以下、本発明の第2、第3実施形態を説明する。第2、第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0043】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、追刷紙継方法である。この方法は、第1マーク7Aが設けられた第1ウェブ2Aに、第2マーク7Bが設けられた第2ウェブ2Bを接合する追刷紙継方法であって、第1マーク7Aを検出して第1マーク信号を生成することと、第1ウェブ2Aを供給することと、第2ウェブ2Bを供給することと、第2ウェブ2Bの先頭部32Sの移動速度を制御するための速度指令信号を生成することと、第2ウェブ2Bの先頭部32Sの移動速度が第1ウェブ2Aの移動速度と一致した際、第1マークと第2マークの位相が合うように速度指令信号を生成し、当該位相が合ったときに、先頭部を第1ウェブに接合することと、を備える。
【0044】
この方法によれば、第1ウェブ2Aを走行させながら、第2マーク7Bと第1マーク7Aの位相が合ったときに第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合するので、柄ずれを抑制しつつ、印刷効率を維持できる。
【0045】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、追刷紙継システム30の制御方法である。この方法は、第1マーク7Aが設けられた第1ウェブ2Aに、第2マーク7Bが設けられた第2ウェブ2Bを接合する追刷紙継システム30を制御する方法であって、第1ウェブ2Aの先頭部32Sの移動速度を第1ウェブ2Aの移動速度と一致させ、第2マーク7Bを第1マーク7Aと整列させたときに、先頭部32Sを第1ウェブ2Aに接合する。
【0046】
この制御方法によれば、第1ウェブ2Aを走行させながら、第2マーク7Bを第1マーク7Aと整列させた状態で第2ウェブ2Bを第1ウェブ2Aに接合するので、柄ずれを抑制しつつ、印刷効率を維持できる。
【0047】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0048】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0049】
実施形態では、マーク7が紙継のための専用マークである例を説明したが、これに限定されない。例えば、マーク7は見当マークと兼用されてもよいし、印刷柄の一部であってもよい。
【0050】
実施形態では、先刷印刷に追刷印刷を重ねる例を説明したが、これに限定されない。本開示技術は、追刷印刷されたものにさらに別の追刷印刷を重ねる場合にも適用できる。
【0051】
実施形態では、先刷柄に追刷柄を重ねる例を説明したが、これに限定されない。先刷印刷または追刷印刷では、柄以外のものを印刷してもよい。
【0052】
実施形態では、印刷システム100が1個の印刷ユニット10を備える例を説明したが、これには限定されず、印刷システム100は、複数個の印刷ユニットを備えていてもよい。
【0053】
上述した各実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0054】
2A 第1ウェブ、 2B 第2ウェブ、 7A 第1マーク、 7B 第2マーク、 30 追刷紙継システム、 32S 先頭部、 40 制御部、 38A 第1供給部、 30B 第2供給部。
図1
図2
図3
図4
図5