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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086655
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】発光ダイオードのチップ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20220602BHJP
   H01L 33/46 20100101ALI20220602BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/46
H01L21/88 T
H01L21/88 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198793
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】511207730
【氏名又は名称】聯嘉光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 復邦
(72)【発明者】
【氏名】黄 國欣
【テーマコード(参考)】
5F033
5F241
【Fターム(参考)】
5F033MM17
5F033UU04
5F033VV07
5F033XX03
5F241AA40
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA92
5F241CB04
5F241CB36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワイヤーボンディング工程で半導体構造が損なわれない発光ダイオードのチップ構造を提供する。
【解決手段】発光ダイオードのチップ構造は、基板10を含み、基板10に金属接続層20が設けられ、金属接続層20に発光半導体層30が設けられ、且つ絶縁保護層40は金属接続層20及び発光半導体層30を被覆し、絶縁保護層40は発光半導体層30が露出する第1開口41及び金属接続層20が露出する第2開口42を有し、金属導電層50の一端は第1開口41を通過して発光半導体層30に電気的に接続され、他端は絶縁保護層40に延伸し、第1電極パッド60は発光半導体層30の水平方向の側辺に位置し、且つ金属導電層50に設けられ、第2電極パッド70は同じく側辺に位置し、且つ第2開口42を通過して金属接続層20に設けられる。チップ構造において第1電極パッド60、第2電極パッド70は発光半導体層30の上方に位置しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられる金属接続層と、
前記金属接続層に設けられる発光半導体層と、
前記金属接続層及び前記発光半導体層を被覆し、且つ前記発光半導体層が露出する第1開口と、前記金属接続層が露出する第2開口とを備える絶縁保護層と、
前記絶縁保護層に設けられ、且つ、一端は前記第1開口を通過して前記発光半導体層に電気的に接続され、他端は、前記金属接続層の上方であって前記発光半導体層のない水平面の上方に延伸する金属導電層と、
前記発光半導体層の水平方向の側辺に位置し、且つ前記金属導電層に設けられる第1電極パッドと、
前記発光半導体層の水平方向の側辺に位置し、且つ前記第2開口を通過して前記金属接続層に設けられる第2電極パッドと、を含むことを特徴とする発光ダイオードのチップ構造。
【請求項2】
前記第1開口は前記発光半導体層の周縁を周回するように設けられ、前記金属導電層は前記発光半導体層の周縁に電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項3】
前記金属導電層は前記発光半導体層の水平方向の側辺を被覆することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項4】
前記金属導電層は前記発光半導体層の中間領域に延伸する補助回路を有することを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項5】
前記発光半導体層の周縁は長方形であり、且つ前記発光半導体層の面積は50000μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項6】
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドは前記発光半導体層の同一側の水平方向の側辺に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項7】
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドはさらに、縦方向に並んで配置されることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項8】
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドは前記発光半導体層の異なる側の水平方向の側辺に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項9】
前記基板と前記金属接続層は接着層によって固定されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項10】
前記基板の下方に、磁性を持つ底部接触層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項11】
前記底部接触層の素材は強磁性フィルム、強磁性体粉末を加えたポリマー(Polymer)、強磁性体粉末を加えたセラミック(Ceramic)のいずれか1種であることを特徴とする請求項10に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【請求項12】
前記発光半導体層は、順に積層されたP型半導体層、量子井戸(quantum well)及びN型半導体層を含み、前記P型半導体層は前記金属接続層に電気的に接続され、前記N型半導体層は前記金属導電層に電気的に接続され、前記発光半導体層の周縁は長方形であり、長辺の長さはWと定義され、前記N型半導体層の高さはHと定義される場合、W/Hは75未満であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードのチップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、特に発光ダイオードのチップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の垂直型発光ダイオードは、そのチップ構造が、サンドイッチのように設置されたN型半導体層、量子井戸(quantum well)及びP型半導体層を含み、当該P型半導体層の下に結合層、シリコン基板及びP型電極がこの順に設けられ、当該N型半導体層の表面にN型電極を設け、このようにして当該N型電極及び当該P型電極に電圧を加えると、当該N型半導体層が電子を提供し、当該P型半導体層が正孔を提供し、電子と正孔が当該発光層で結合すると発光する。垂直型発光ダイオードは、射出光がほぼ軸方向に沿っており、放熱性に優れるため、ディスプレイの演色性に関して大きなメリットがあるが、スモールピクセルピッチディスプレイに用いる場合には、チップのサイズが小さく、単色のチップ(chip)の最短辺の長さが50~200μmであるため、発光表面に存在する電極パッド(Pad)の遮光が問題になり、しかもチップは発光表面のワイヤーボンディング工程及び底部の高導電性のためのダイボンディング工程を同時に行う必要があるため、全体的に工程が複雑である。
【0003】
上記の構造においては、底部を絶縁とすべき特殊な用途や工程の複雑さ低減のために、当該P型半導体層に金属接続層を接続させ、当該P型電極を当該発光層における水平方向の位置に移した後、当該P型電極を再度当該金属接続層に接続させることで、射出光がほぼ軸方向に沿うという特性は保たれ、ディスプレイにおける高演色性の要件が満たされる。このようなチップは、例えば、特許文献1の図1に示すようなもので、水平型LEDチップ(Lateral LED Chip)と呼ばれる。
【0004】
また、発光表面に存在する電極パッド(Pad)の遮光を緩和するために、電極パッドのサイズを縮小させることがある。しかし、例えば、ワイヤーボンディングにより回路を接続させる場合には、小サイズの電極パッドに細いボンディングヘッドを使用する。加えた力(F)が一定であるならば、ワイヤーボンディングで力を受ける面積(A)が小さくなるため、電極パッドにかかる応力(P)が大きくなる(P=F/A)。ゆえに、ワイヤーボンディング工程では電極パッドの下に発光する半導体が割れてしまうことがある。一般にはドレイン電流が増大するが、深刻な場合はいわゆるダークスポットの現象が起こり、発光効率の低下など、素子の光電特性に影響があり、長期的には光電素子の信頼性が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10,304,998B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が上記の実情に鑑みてなされるものであり、ワイヤーボンディング工程で半導体構造が損なわれない発光ダイオードのチップ構造を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板と、金属接続層と、発光半導体層と、絶縁保護層と、金属導電層と、第1電極パッドと、第2電極パッドとを含む発光ダイオードのチップ構造を開示する。当該金属接続層は当該基板に設けられ、当該発光半導体層は当該金属接続層に設けられ、当該絶縁保護層は当該金属接続層及び当該発光半導体層を被覆し、且つ当該絶縁保護層は第1開口及び第2開口を有し、当該第1開口から当該発光半導体層が露出し、当該第2開口から当該金属接続層が露出する。当該金属導電層は当該絶縁保護層に設けられ、且つ当該金属導電層の一端は当該第1開口を通過して当該発光半導体層に電気的に接続され、当該金属導電層の他端は当該発光半導体層の水平方向の側辺に延伸する。当該第1電極パッドは当該発光半導体層の水平方向の側辺に位置し、且つ当該金属導電層に設けられる。当該第2電極パッドは当該発光半導体層の水平方向の側辺に位置し、且つ当該第2開口を通過して当該金属接続層に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、射出光がほぼ軸方向に沿うという特性を有し、ディスプレイにおける高演色性の要件が満たされる。しかも第1電極パッド及び第2電極パッドは発光半導体層の水平方向の側辺にそれぞれ設けられるため、電極の遮光による大幅な輝度低下という問題は緩和され、ワイヤーボンディング工程が行われる時には、発光半導体層が応力を受けて割れてしまうという問題はない。第1電極パッドと第2電極パッドはほぼ同じ高さで設けられるため、ワイヤーボンディング工程に役立つ。基板には高放熱性材料を使用できるため、放熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施例の構造の断面模式図の一例である。
図2】本発明の第1実施例の構造の上面模式図の一例である。
図3】本発明の第2実施例の構造の断面模式図の一例である。
図4】本発明の第2実施例の構造の上面模式図の一例である。
図5】本発明の第3実施例の構造の断面模式図の一例である。
図6】本発明の第4実施例の構造の上面模式図の一例である。
図7】本発明の第5実施例の構造の上面模式図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら説明する。
図1図2は本発明の第1実施例を示す図の例であり、図面の作成に関しては、下記の各図は実際の寸法関係で作られたものではない。本発明は、基板10と、金属接続層20と、発光半導体層30と、絶縁保護層40と、金属導電層50と、第1電極パッド60と、第2電極パッド70とを含む発光ダイオードのチップ構造を開示する。金属接続層20は基板10に設けられる。本実施例では、基板10と金属接続層20は接着層15によって固定されてもよく、基板10の素材には、導電性材料、例えば、P型Si基板、CuMoCu金属基板、Ni-Fe基板のいずれか1種を選んでよい。又は基板10の素材には高熱伝導性材料を選んでもよく、例えば、SiC基板、AlN基板、A1基板である。基板10の下方には、磁性を持つ底部接触層80が設けられてもよく、底部接触層80の素材は強磁性フィルム、強磁性体粉末を加えたポリマー(Polymer)、強磁性体粉末を加えたセラミック(Ceramic)のいずれか1種であり、当該強磁性フィルム、強磁性体粉末は鉄、ニッケル又はコバルト等の強磁性を持つ材料で製造されてもよい。
【0011】
発光半導体層30は、順に積層されたP型半導体層31、量子井戸32(quantum well)及びN型半導体層33を含み、発光半導体層30は金属接続層20に設けられ、且つP型半導体層31は金属接続層20に電気的に接続され、絶縁保護層40は金属接続層20及び発光半導体層30を被覆し、絶縁保護層40の素材はSiO、SiN、SiN/SiO/SiN、TiO、TiO/SiO/TiOから選ばれてよい。且つ絶縁保護層40は第1開口41及び第2開口42を有し、第1開口41から発光半導体層30が露出し、さらに、第1開口41は発光半導体層30の周縁を周回するように設けられてもよく、第2開口42から金属接続層20が露出する。
【0012】
金属導電層50は絶縁保護層40に設けられ、且つ一端は第1開口41を通過して発光半導体層30に電気的に接続される。具体的には、金属導電層50は発光半導体層30の水平方向の側辺を被覆してもよく、金属導電層50は発光半導体層30の周縁に電気的に接続され、且つ発光半導体層30のN型半導体層33は金属導電層50に電気的に接続される。金属導電層50の他端は金属接続層20の上方であって、発光半導体層30のない水平面21の上方に延伸する。
【0013】
第1電極パッド60は発光半導体層30の水平方向の側辺に位置し、且つ金属導電層50上に設けられる。第2電極パッド70は発光半導体層30の水平方向の側辺に位置し、且つ第2開口42を通過して金属接続層20に設けられる。本実施例では、第1電極パッド60と第2電極パッド70は発光半導体層30の異なる側の水平方向の側辺に位置し、大きなピッチで設けられてもよく、これにより後続のワイヤーボンディング工程の難度が下がる。
【0014】
図3図4は、本発明の第2実施例を示す図の例である。第1実施例と比較すると、第1電極パッド60と第2電極パッド70は発光半導体層30の同一側の水平方向の側辺に位置し、これにより第1電極パッド60と第2電極パッド70は互いに近い領域に位置し、しかも高さが近い。2つのボンディングヘッドを有する高精度のワイヤーボンディング装置を使用する場合には、第1電極パッド60及び第2電極パッド70のワイヤーボンディング工程が一度に完了するため、ワイヤーボンディング工程の時間節約につながる。
【0015】
図5は、本発明の第3実施例を示す図の一例である。発光半導体層30の発光の均一性のために、発光半導体層30の周縁は長方形とし、且つ当該発光半導体層の面積は50000μm未満とする。つまり、発光半導体層30は、N型半導体層33を流れる電流90に充分な拡散経路が確保されるように、サイズは制限すべきである。さらに、発光半導体層30の周縁が長方形であり、長辺の長さがWと定義され、N型半導体層33の高さがHと定義される場合に、W/Hが75未満であると、N型半導体層33を流れる電流90が充分に拡散され、発光半導体層30は均一に発光する。
【0016】
図6は、本発明の第4実施例を示す図の一例である。発光半導体層30のサイズが非常に大きい場合には、金属導電層50は発光半導体層30の中間領域に延伸する補助回路51を有しもてよく、補助回路51がガイドすることで電流90(図5を参照)が一層拡散され、これにより発光半導体層30は均一に発光する。補助回路51は発光半導体層30を跨ぐように設けられてもよいし(図示せず)、発光半導体層30の上方に互い違いに設置されてもよい(図6を参照)。
【0017】
図7は、本発明の第5実施例を示す図の一例である。第2実施例と比較すると、第1電極パッド60と第2電極パッド70が発光半導体層30の同一側の水平方向の側辺に位置し、なお且つ第1電極パッド60と第2電極パッド70は縦方向(longitudinal direction)に並んで配置される。このような設計において、第1電極パッド60及び第2電極パッド70のサイズが小さいため、高精度のワイヤーボンディング装置でワイヤーボンディングを行う必要がある。
【0018】
上述した内容から分かるように、本発明は少なくとも次の利点を有する。
1.垂直型発光ダイオードの構造設計を採用することで、射出光がほぼ軸方向に沿うという特性を有し、ディスプレイにおける高演色性の要件が満たされる。
2.第1電極パッドと第2電極パッドは発光半導体層の水平方向の側辺にそれぞれ設けられるため、電極の遮光による大幅な輝度低下という問題は緩和される。
3.第1電極パッド及び第2電極パッドの下方に発光半導体層が設けられないため、発光半導体層が応力を受けて割れてしまうという問題はない。
4.第1電極パッドと第2電極パッドはほぼ同じ高さで設けられるため、ワイヤーボンディング工程に役立つ。
5.基板には高放熱性材料を使用できるため、放熱性に優れる。
6.基板の底部には、磁性転移工程に備え、磁性を持つ底部接触層が設けられてもよく、小サイズのチップにおける大量の転移に役立つ。
【符号の説明】
【0019】
10 基板
15 接着層
20 金属接続層
21 水平面
30 発光半導体層
31 P型半導体層
32 量子井戸
33 N型半導体層
40 絶縁保護層
41 第1開口
42 第2開口
50 金属導電層
51 補助回路
60 第1電極パッド
70 第2電極パッド
80 底部接触層
90 電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7