(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008667
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】防水膜
(51)【国際特許分類】
E04D 11/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E04D11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021160626
(22)【出願日】2021-09-30
(62)【分割の表示】P 2017554024の分割
【原出願日】2016-04-19
(31)【優先権主張番号】62/153,126
(32)【優先日】2015-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】シュタッハニック ミェチスワフ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ラウル フェルナンデス
(57)【要約】
【課題】本発明は、少なくとも1つの支持担体、および少なくとも1種のポリウレタンを含む架橋コーティング組成物の少なくとも1つの層を含む、建築物用途のための防水膜に関する。
【解決手段】本発明はまた、少なくとも1つの支持担体、および少なくとも1種のポリウレタンを含む架橋コーティング組成物の少なくとも1つの層、製造プロセスを容易にし、かつ支持担体を架橋コーティング組成物と、良好な表面外観および補強担体と架橋ポリウレタンコーティングとの間の化学結合を達成するように最も最適で耐久性のある態様で接合するための任意選択のプレコーティング層を含む、防水膜に関する。防水膜は、液体2成分ポリウレタンシステムに基づく現在の平屋根防水システムと比較してより低いコストで調製および敷設することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.少なくとも1つの支持担体と、
B.トップコート層であって、
a)ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の材料、および
b)遊離ノイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤
を含む2成分ポリウレタンコーティング組成物の少なくとも1つのトップコート層と
を含む、防水膜。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持担体が、不織布または織布である、請求項1に記載の防水膜。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持担体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、もしくはポリアミドポリマー、またはそれらの組合せもしくは混合ポリマーから作られている、請求項1に記載の防水膜。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持担体が、鉱物織布または不織布から作られている、請求項1に記載の防水膜。
【請求項5】
前記支持担体が、前記支持担体と前記トップコート層との間の接着を与えるプレコーティングでコーティングされている、請求項1に記載の防水膜。
【請求項6】
前記トップコート組成物が、成分a)のヒドロキシル基と成分b)のイソシアネート基との間の硬化反応のための触媒をさらに含む、請求項5に記載の防水膜。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の防水膜を含む、建築物用途のための防水システム。
【請求項8】
以下の層:プライマー層、接着剤の層、防水膜とは異なるエラストマー膜、およびトップ仕上げ層の少なくとも1つをさらに含む、請求項7に記載の防水システム。
【請求項9】
前記プライマー層が、2成分ポリウレタンに基づくプライマー層であり、かつ前記接着剤が、液体ポリウレタン接着剤である、請求項8に記載の防水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水膜およびそれを含む防水システムに関する。防水膜および防水システムは、建築物用途、特に屋根ふき(roofing)用途で使用することができる。本発明はまた、防水膜を製造するための方法および建築物または建築物部分を防水するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物産業では、平屋根、テラス、バルコニーなどの防水が、様々な方法によって行われている。シングルプライシステムは、例えば、ビチューメン、ポリ塩化ビニルおよびオレフィンゴムをベースとして使用することができる。しかしながら、これらのシングルプライシステムは、あらゆる面で満足いくものとは限らない。
【0003】
ビチューメンベースの防水シートは、通常は火炎加熱によって屋根に固定される。したがって、支持シートは、耐炎性でなければならない。ポリ塩化ビニルベースおよびオレフィンゴムベース防水シートは、接着剤を使用して支持体上に接着されなければならない。典型的には、接着剤は、防水シートの材料と同じ化学族からではない原料から作られている。これは、不良接着、非相溶性、および低下した耐老化性の危険を含む。より厳しい環境法の要件のために、使用される可塑剤の移行および全般的な材料老化のためにポリ塩化ビニルベースシステムの使用を避けることもますます必要になっている。
【0004】
樹脂系液体防水材料が、防水用に使用されている。例えば、2成分エラストマーポリウレタン、エポキシポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、アクリルおよびメタクリル樹脂、ならびにスチレン/アクリルおよびアクリロニトリル格子などの格子。
液体塗布ポリウレタン防水システムは、典型的には樹脂および架橋剤を含む液体2成分ポリウレタンの塗布に依存する。樹脂および架橋剤の官能基は、屋外条件下で反応して、屋根ふきベース支持材料、例えば、コンクリート、鋼、木材、合成または天然断熱ボードに接着する長持ちする防水バリヤを与える。硬化速度は、屋外条件、すなわち、主として湿度および温度に依存する。したがって、ポリウレタン層の硬化は、異なる架橋密度および異なる厚さを有し得る架橋ベース層をもたらす。さらに、液体防水2成分液体ポリウレタンの第2の層(トップコート層)は、典型的にはベースポリウレタン層の上に塗布される。この工程は、しばしば、例えば、ポリエステル不織布の薄いメッシュのローリングアウトと組み合わされる。補強メッシュは、典型的にはポリウレタンコーティングの第1の層と第2の層との間に埋め込まれる。ベースポリウレタン層は、第2のポリウレタントップコート層の塗布前に硬化されなければならない。一部の場合、ベースポリウレタン層は、液体ベースポリウレタン層の塗布前に屋根ふきベースの全面にわたって広げられる支持担体で補強することができる。液体ポリウレタン層の乾燥および硬化時間は、周囲条件、特に温度に依存する。乾燥および硬化は、10~20℃で5~6時間、30~40℃でも2~3時間かかり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来技術システムの不利点を示さず、かつ特に、防水およびシーリング特性に対してマイナスの効果を示すことなく天候およびUV老化に耐えることができる、建築物用途、特に屋根ふき用途のための防水膜を提供する必要性が依然としてある。防水膜はまた、長期性能のみならず、速く、容易で、信頼できる敷設も確実にするものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1つの支持担体、および少なくとも1種のポリウレタンを含む架橋コーティング組成物の少なくとも1つの層を含み、前記ポリウレタンは、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物、およびフリーのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤を含む組成物から得られる、建築物用途のための防水膜に関する。
【0007】
本発明はまた、少なくとも1つの支持担体であって、単一層または複数層から構成され得る支持担体を準備する工程と;ヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の化合物、およびフリーのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤を含むコーティング組成物の層を塗布する工程と;コーティング組成物の層を50℃~160℃の範囲の温度で硬化させる工程とを含む、上記防水膜を製造する方法に関する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、製造を容易にし、かつ最も最適で、耐久性のある仕方で支持担体を架橋コーティング組成物と接合して、良好な表面外観および補強担体と架橋ポリウレタンコーティングとの間の化学結合を達成するための任意選択のプレコーティング層である。
【0009】
本発明の別の実施形態はまた、上に定義されたとおりの防水膜を建築物または建築物の部分に適用することによって建築物または建築物の部分を防水するための防水膜の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、支持担体1およびポリウレタンコーティング層2から構成される本発明の防水膜の敷設の実施形態を例示する。
【
図2】
図2は、シーミングストリップ3を使用することによる敷設のさらなる実施形態を例示する。
【
図3】
図3は、液体ポリウレタンシーリング層4、屋根ふき用プライマー5、シーミングストリップ3、および接着層6を有する
図2の敷設詳細を例示する。
【
図4】
図4は、トップ仕上げ層を有しないが、屋根ふき用プライマー5、接着層6および屋根支持体8を有する本発明の防水システムを例示する。
【
図5】
図5は、プライマー層5、接着層6、およびトップ仕上げ層7を有する本発明の防水システムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で上および下に記載される、本開示のある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される、本開示の様々な特徴はまた、別個で、または任意の下位組合せ(sub-combination)で提供されてよい。さらに、文脈上特に明記されない限り、単数形での言及はまた、複数形を含んでもよい(例えば、「1つの(a)」および「1つの(an)」は、1つ(one)、または1つ以上(one or more)を指してもよい)。
【0012】
本明細書で、および以下に使用される場合の用語(メタ)アクリルは、メタクリルおよび/またはアクリルを意味すると考えられるべきである。
【0013】
特に断りのない限り、本説明で述べられる分子質量データ、数平均分子質量データMnまたは重量平均分子質量データMwのすべては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;固定相としてジビニルベンゼン架橋ポリスチレン、液相としてテトラヒドロフラン、ポリスチレン標準)によって決定または決定されるべき分子質量である。
【0014】
本発明によって使用されるコーティング組成物は、2成分コーティング組成物である。2成分コーティング組成物の取扱いは、一般に反応性成分の未熟反応を避けるために塗布の少し前に反応性成分を一緒に混合することを必要とする。用語「塗布の少し前に」は、2成分コーティング組成物を用いて作業する当業者に周知である。
【0015】
すぐに使用できるコーティング組成物が実際の使用/塗布前に調製されてもよい範囲内の期間は、例えば、コーティング組成物のポットライフに依存する。したがって、十分長いポットライフが、2成分コーティグ組成物を調製/混合および塗布するための安心できる時間枠を持つために望ましい。ポットライフは、2成分コーティング組成物の相互反応性成分が混合されると直ぐに、コーティング組成物が、その範囲内で依然として適切に処理または塗布されてもよく、および損なわれていない品質のコーティングが達成され得る時間である。
【0016】
用語「防水膜」は、例えば、建築物または同様の対象を水および他の環境的影響に対して保護する機能を有するシートまたは膜を意味する。
【0017】
本発明の防水膜は、建築物用途が意図される。用語「建築物用途」は、建築物または建築物の任意の部分を水および他の環境的影響に対して保護するための防水膜のいずれの使用も含むものとする。防水膜で保護される建築物の部分には、例えば、屋根、バルコニー、テラスなどが含まれる。本発明の防水膜は、少なくとも1つの支持担体および2成分ポリウレタンコーティング組成物の少なくとも1つの層を含む。
【0018】
支持担体
支持担体は、2成分ポリウレタンコーティング組成物の層を支える補強担体として役立つ。支持担体は、任意の自己支持性ライナ、シート、メッシュまたは網(netting)であり得る。支持担体は、多孔質または非多孔質であり得る。好ましくは、支持担体は、可撓性シート、例えば、布(fabric)技術で公知の任意の布、例えば、不織布または織布、固体膜または微孔性フィルムの可撓性シートである。また、支持担体は、単一シートであり得るか、または単一層から形成され得るが、2枚以上のシートまたは2つ以上の層の組合せであることもできる。少なくとも1つの支持担体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルもしくはポリアミドポリマー、またはそれらの組合せもしくは混合ポリマーから作られ得る。共押出しコア-シース繊維不織布も、支持担体として使用され得る。また、鉱物の織布または不織布、例えば、ガラス繊維シートも、適当な支持担体として使用され得る。
【0019】
適当な不織布または織布は、1種以上の天然および/または合成(人造)の繊維またはフィラメントを含む。合成(人造)繊維またはフィラメントは、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、およびそれらの混合物の中で選択され得る。好ましくは、不織布は、ポリオレフィンもしくはポリエステル不織布、または混合ポリオレフィン/ポリエステル不織布の中で選択され得る。ポリオレフィン不織布は、好ましくはポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布または混合ポリエチレン/ポリプロピレン不織布の中で選択され得る。
【0020】
ポリエステル不織布は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PETP)不織布、ポリヒドロキシルアルカノエート(PHA)不織布、例えば、ポリ乳酸、または混合PETP/PHA不織布などの中で選択され得る。
【0021】
より好ましくは、不織布は、ポリプロピレン不織布、例えば、スパンボンドポリプロピレン不織布である。スパンボンドポリプロピレン不織布、例えば、E.I.du Pont de Nemours&Company製の高強度ポリプロピレンスパンボンドは、市販されている。ポリプロピレンスパンボンド不織布は、フィラメント構造内の2成分ポリウレタン樹脂の高浸透を可能にする。他方で、スパンボンド布は、ニードルパンチ布と比較して完全な布含浸を確保するために樹脂量をあまり必要としない。
【0022】
不織布が支持担体として使用される場合、不織布は、不織布の2つ以上の個別の層の組合せであってもよい。それは、例えば、2種以上の異なる種類の不織布を組み合わせるラミネート、例えば、少なくとも1種のポリエチレン不織布および少なくとも1種のポリプロピレン不織布のラミネートであってもよい。当技術分野で公知の2種以上の異なる種類の不織布のラミネートは、SMSラミネート(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンドラミネート)である。
【0023】
2成分ポリウレタンコーティング組成物
本発明の2成分ポリウレタンコーティング組成物は、成分(a)および成分(b)を含む。したがって、コーティング組成物の少なくとも1つの層は、支持担体上に形成され、成分(a)および成分(b)の反応によって得られるポリウレタンを含む。支持担体上に形成されるコーティング組成物の少なくとも1つの層は、架橋状態で成分(a)および成分(b)を含む。互いに反応性である成分(a)および成分(b)は、別個に保存され、塗布の少し前に一緒に混合されるだけとする。少なくとも1種のポリウレタンは、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の成分(a)および少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤成分(b)を含む。
【0024】
成分(a)は、オリゴマーまたはポリマー結合剤であり得る。結合剤は、例えば、500~4000、好ましくは800~2000の数平均分子質量(Mn)を有する化合物である。結合剤は、ヒドロキシル基を含むが、また活性水素を有する他の官能基、例えば、第一級および/または第二級アミノ基を含んでもよい。アミノ基が追加的に存在する場合、ポリウレタン/ポリ尿素構造が硬化中に形成される。ヒドロキシル基を有する結合剤または化合物は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオールおよび/もしくはポリ(メタ)アクリレートポリオールまたは当業者によってポリウレタン化学から公知の対応する複数官能性ポリオールである。結合剤は、上記ポリマーのハイブリッド系、例えば、ポリアクリレートポリエステルポリオールポリマー、ポリアクリレートポリウレタンポリオールポリマーまたはポリエステルポリウレタンポリオールポリマーであることもできる。それらは、それぞれ個別に、または互いに組合せて使用されてもよい。ヒドロキシル基を有する結合剤は、好ましくは500~4000の数平均分子質量Mnおよび25~150mg KOH/gのヒドロキシル価、より好ましくは800~2000の数平均分子質量Mnおよび25~60mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。成分(a)は、25℃で、1000~20,000mPas、好ましくは1000~15000mPasの粘度を有し得る。考慮されてもよいポリエーテルポリオールは、例えば、以下の一般式:
H(O-(CHR1)n)mOH,
(式中、R1は、水素、または様々な置換基を有してもよい、低級アルキル残基(例えば、C1~C6アルキル)を意味し、nは、2~6を意味し、mは、12~70を意味する)のポリエーテルポリオールである。残基R1は、同一であっても、異なっていてもよい。ポリエーテルポリオールの例は、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシエチレン)グリコールおよびポリ(オキシプロピレン)グリコール、または種々のオキシテトラメチレン、オキシエチレンおよび/もしくはオキシプロピレン単位を含む混合ブロックコポリマーである。ポリエーテルポリオールまたはジオールの具体例は、例えば、1000~4000の数平均分子質量を有するポリエチレンまたはポリプロピレングリコールである。ポリエーテルポリオールのさらなる適当な例は、例えば、1000~2000の数平均分子質量を有するポリテトラヒドロフランである。
【0025】
成分(a)として使用され得るポリエステルジオールまたはポリオールの例には、コーティング用途に適しているポリエステル樹脂のすべて、例えば、500~1000、好ましくは800~1000の数平均分子質量、0~50mg KOH/gの酸価、および40~200mg KOH/g、好ましくは50~150mg KOH/gのヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能性ポリエステルが含まれる。ポリエステルは、飽和であっても、不飽和であってもよく、それらは、脂肪酸で変性されていてもよい。ポリエステルは、ポリカルボン酸もしくはカルボン酸無水物とポリアルコールとからの水の除去、または例えば、ジカルボン酸のジメチルエステルとポリアルコールとのエステル交換反応による公知のプロセスを使用して製造される。上述の合成のための適当なポリオールは、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどである。上述の合成のための適当なポリカルボン酸には、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸など、および存在する場合、対応する無水物が含まれる。ポリカーボネートポリオールまたはジオールのの例は、炭酸誘導体、例えば、ジフェニルカーボネート、ジアルキルカーボネート、例えば、ジメチルカーボネート、またはホスゲンを、ポリオール、好ましくはジオールと反応させることによって得られる、炭酸のエステルを含む。適当なジオールは、例えば、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2-エチル-1,3-ヘキサンジオールである。
【0026】
また、天然油、例えば、ヒマシ油およびヒマシ油誘導体などの再生可能資源も、成分(a)として使用され得る。ヒマシ油は、天然産物であり、ひまし油脂肪酸(リシノール酸)のトリグリセリドを含む。天然ヒマシ油、例えば、ヒマシ油脂肪酸(リシノール酸)のトリグリセリド80重量%~88重量%、オレイン酸のトリグリセリド4重量%~7重量%、リノール酸3重量%~5重量%、パルミチン酸1.5重量%~2重量%、およびステアリン酸1重量%~1.5重量%の混合物である。
【0027】
ヒドロキシル-官能性(メタ)アクリルコポリマーも、成分(a)として使用され得る。
【0028】
成分(b)は、フリーのイソシアネート基を含む。ポリイソシアネートは、脂肪族的に、脂環式的に、芳香脂肪族的に、および/または芳香族的に結合したフリーのイソシアネート基を有するいくつかの数の有機ポリイソシアネートであり得る。ポリイソシアネートは、室温で液体であるか、または有機溶媒の添加によって液体のままである。23℃で、ポリイソシアネートは、一般に1~6,000mPas、好ましくは5~3,000mPasの粘度を有する。ポリイソシアネートは、1.5~5、好ましくは2~4の平均NCO官能基を有してもよい。適当なポリイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、および/またはビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタンに基づくものである。トリイソシアネート、例えば、トリイソシアナトノナンも、ポリイソシアネートとして使用され得る。
【0029】
立体的ヒンダードポリイソシアネートも適当である。これらの例は、1,1,6,6-テトラメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ジブチル-ペンタ-メチルジイソシアネート、p-またはm-テトラメチルキシリレンジイソシアネートおよび適切な水和型ホモログである。原則として、ジイソシアネートは、通常の方法によって、例えば、三量化、二量化、または水もしくはポリオール、例えば、トリメチロールプロパンもしくはグリセリンなどとの反応によって、より高い官能性化合物に変換され得る。したがって、それ自体知られたジイソシアネートの誘導体が使用され得る。
【0030】
一般に、ポリイソシアネートは、イソシアヌレート、ウレトジオンジイソシアネート、ビューレット基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、イソシアヌレートおよびアロファネート基含有ポリイソシアネート、カルボジイミド基含有ポリイソシアネート、およびアシル尿素基を含有するポリイソシアネートであり得る。ポリイソシアネートは、イソシアネート変性樹脂またはイソシアネート官能性プレポリマーの形態で使用することもできる。それらのイソシアネート官能性樹脂またはプレポリマーは、当業者に知られた慣用の仕方で、例えば、触媒を添加してもよく、50~160℃、好ましくは70~130℃の温度で、ヒドロキシル官能性化合物およびイソシアネート官能性化合物を反応させることによって、公知の仕方で調製され得る。ヒドロキシル官能性化合物は、例えば、成分a)として上に記載されたポリオールおよびジオールであり得る。イソシアネート官能性化合物は、例えば、上に記載されたジイソシアネートであり得る。ここで、成分は、フリーのイソシアネート基を有する反応生成物が得られるような量で反応され、すなわち、反応が、過剰のポリイソシアネートを有して行われる。例えば、反応は、1.5:1.0~5.0:1.0、好ましくは1.6:1.0~4.0:1.0のNCO基:OH基の当量比で行われてもよい。イソシアネート官能性プレポリマーは、好ましくは5.0~15.0%、特に好ましくは6.0~15.0%のNCO含有量を有し得る。芳香族ポリイソシアネートは、経済的理由のために好ましいポリイソシアネートであり、脂肪族イソシアネートは、UVおよび色安定化合物のために好ましい。
【0031】
成分(b)はまた、フリーのイソシアネート基に加えてブロック化イソシアネート基を含んでもよい。イソシアネート基は、典型的なブロッキング剤でブロックされ得る。活性水素を含む低分子量化合物は、NCO基をブロックすることが公知である。ブロッキング剤の例は、脂肪族または脂環式アルコール類、ジアルキルアミノアルコール類、オキシム類、ラクタム類、フェノール類、イミド類、ヒドロキシアルキルエステル類、およびマロン酸またはアセト酢酸のエステル類である。硬化条件下でイソシアネート基の脱ブロック化を可能にし、脱ブロック化イソシアネート基が成分(a)のヒドロキシル基と反応することを可能にする硬化温度が選択されることが確実にされなければならない。
【0032】
一般に、ポリイソシアネート架橋剤は、ポリウレタンの調製で普通に使用されるものであり、文献に詳細に記載されている。それらはまた、商業的に入手可能である。
【0033】
2成分ポリウレタンコーティング組成物の2つの成分(a)および成分(b)は、塗布の少し前に一緒に混合されるだけである。2成分の混合物は、少なくとも30分のポットライフを有するべきである。少なくとも1種の化合物(a)のヒドロキシル基および活性水素を有する他の任意選択の基と、少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤(b)のイソシアネート基とのモル比は、例えば、1:1.05~1:2.0、特に1:1.10~1:1.20である。
【0034】
本発明によって使用されるべき2成分ポリウレタンコーティング組成物は、成分(a)および成分(b)に加えて他の結合剤成分を含んでもよい。他の結合剤成分は、官能基を含む硬化性結合剤、および任意選択で、硬化性結合剤の官能基と反応性の官能基を有する架橋剤を含んでもよい。硬化性結合剤の例は、少なくとも1個の不飽和基を有する(メタ)アクリルホモ-およびコポリマーである。(メタ)アクリルホモ-およびコポリマーのための適当な架橋剤は、例えば、少なくとも1個の不飽和基を有する化合物であり、これは、(メタ)アクリルホモ-およびコポリマーの不飽和基とラジカル重合を行うことができる。不飽和基を有する化合物の例は、アルキルビニルアセテートモノマーである。他の結合剤成分は、反応性官能基を有しない結合剤、例えば、官能基を有しない(メタ)アクリルホモ-およびコポリマーであってもよい。他の結合剤成分は、コーティング組成物中、コーティング組成物の全量に基づいて、5重量%~15重量%、好ましくは5重量%~10重量%の量で存在してもよい。適当な(メタ)アクリルコポリマーの例は、例えば、1,000~20,000、好ましくは1,100~15,000の数平均分子質量Mn、および0~100mg KOH/gの酸価を有するものである。(メタ)アクリルコポリマーは、オリゴマーまたはポリマーのポリエステルおよび/またはポリウレタン樹脂が存在してもよい、重合性オレフィン不飽和モノマーのフリーラジカル重合によって調製され得る。使用されてもよいフリーラジカル重合性オレフィン不飽和モノマーは、少なくとも1つのオレフィン二重結合に加えて、さらなる官能基も含むモノマー、および少なくとも1つのオレフィン二重結合は別として、さらなる官能基をまったく含まないモノマーである。
【0035】
本発明によって使用される2成分ポリウレタンコーティング組成物は、顔料、充填剤および/または通常のコーティング添加剤を含むことができる。例えば、有機または無機タイプの色顔料が使用され得る。無機または有機色顔料の例は、二酸化チタン、微粒子化二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン、またはピロロピロール顔料である。充填剤の例は、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、タルカム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムである。コーティング組成物で通常使用される添加剤の例は、光安定剤、UV吸収剤、流れ制御剤、レオロジー影響剤、増粘剤、消泡剤、湿潤剤、へこみ防止剤、架橋抑制剤および架橋促進剤である。添加剤は、当業者によく知られた通常の量で添加される。また、成分a)と成分b)の間の架橋反応のための硬化触媒は、例えば、全コーティング組成物に基づいて最大で0.5重量%の量で使用され得る。一般に、架橋反応のための適当な触媒は、塩基性触媒および有機金属触媒である。例は、無機塩基性化合物、例えば、金属の水酸化物および塩基性酸化物である。金属の水酸化物の適当な例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの水酸化物である。また、第四級水酸化アンモニウム、例えば、水酸化テトラエチルアンモニウムが使用され得る。さらに、アミンが触媒として使用され得る。使用され得る適当なアミンは、第二級モノアミン、例えば、モルホリン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジイソプロパノールアミンである。また、ジアミンおよびポリアミンも適当である。また、第三級アミンは、塩基性触媒の適当なクラスである。適当な第三級アミンの例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、3-ジメチルアミノ-1-プロパノール、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、およびN-エチルモルホリンが含まれる。また、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、グアニジン、グアニン、グアノシン、メラミン、ならびにそれらの混合物および誘導体も適当である。触媒のさらなる例は、スズ触媒、例えば、有機スズカルボキシレート、例えば、脂肪族カルボン酸のジアルキルスズカルボキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTL)である。
【0036】
2成分ポリウレタンコーティング組成物はまた、追加的に存在する反応性結合剤成分の硬化反応のための触媒または開始剤を含んでもよい。例えば、不飽和(メタ)アクリルホモ-またはコポリマーと他の不飽和化合物とのラジカル重合のための開始剤が存在してもよい。ラジカル共重合のための通常の重合開始剤のすべて、例えば、脂肪族アゾ化合物、例えば、アゾビス-イソブチロニトリルまたはアゾビス-メチルブチロニトリル、ジアジルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、例えば、ジ-tert-ブチルペルオキシドまたはジ-tert-アミルペルオキシド、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシドまたはペルエステル、例えば、tert-ブチルペルオキシベンゾエートが考えられ得る。添加剤は、2成分(a)および(b)の混合前または後に添加されてもよい。それらは、成分(a)、もしくは成分(b)、または成分(a)と成分(b)の両方の一部を形成し得る。
【0037】
本発明によって使用されるべき2成分ポリウレタンコーティング組成物は、100%系として処方することができ、すなわち、100%の固体含量を有してもよいが、また少なくとも1種の有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、全コーティング組成物に基づいて、5重量%~30重量%の量で存在してもよい。有機溶媒は、コーティング技術で慣用的に使用される溶媒である。それらは、結合剤の調製に由来してもよいか、または別個に添加されてもよい。いずれの溶媒の水分含量も、ウレタン等級として一般に知られている、0.05%未満でなければならない。
【0038】
2成分ポリウレタンコーティング組成物は、鎖延長剤として低分子量反応性成分を含むこともできる。有用な鎖延長剤には、50~1000g/モル、好ましくは50~300g/モルの分子質量を有する化合物が含まれる。鎖延長剤は、好ましくは二官能性である。それらは、成分a)および成分b)の全量に基づいて、1重量%~10重量%の量で使用される。鎖延長剤の例は、アミノ官能性および/またはヒドロキシル官能性化合物である。
【0039】
任意選択で、支持担体と、2成分ポリウレタンコーティング組成物の層との間にプレコーティングを使用することが有用であり得る。プレコーティングは、支持担体が多孔質基材である場合、またはそれがポリウレタン層に対する化学結合を生じさせる低い能力を有する場合、特に有用である。ポリウレタン処方物は、典型的にはそれらの非常に極性の性質のために低粘度を有する。それらは、多孔質膜上で急速に湿潤する傾向がある。多孔質支持担体、例えば、不織布の自発的湿潤は、支持担体中への反応性ポリウレタンコーティング層の非一様な浸透をもたらし、ポリウレタンの表面にいくつかの欠陥および防水膜の非一様な厚さをもたらす。ポリウレタンコーティング組成物が多孔質担体に塗布される一部の場合、それは、担体を通過し、設備汚染をもたらし得る。液体浸透および一部の多孔質補強担体の通過の問題は、ポリウレタン処方物中の一部のチクソトロピー添加剤および増粘剤の使用によって克服され得るが、しかしながら、2成分ポリウレタン処方物の粘度の重大な増加は、コーティング中に一部の気泡の巻込みの危険をもたらし、支持担体へのこの層の接着不良、表面欠陥、および機械的特性の減損ももたらし得る。架橋ポリウレタン防水膜の良好な表面外観は、この膜を屋根に敷設するために非常に重要であり、表面欠陥は、外観を損なう。これらの困難は、ポリウレタンコーティング組成物の塗布および硬化前に塗布されなければならないプレコーティング層の使用によって対処され得る。
【0040】
プレコーティングは、支持担体への2成分ポリウレタン膜の強い結合を生じるためにも有用である。支持担体上へのプレコートの塗布およびプレコーテッド支持担体の上への2成分ポリウレタンコーティング組成物の塗布は、防水膜が製造される商業的コーティングラインの乾燥および硬化能力に依存して2連続工程または単一工程で行うことができる。単一の通過コーティングラインでの2種のコーティング(プレコートおよびその上のトップコート)の塗布は、より経済的であるが、厚さおよび硬化速度のすべてのパラメータを制御することがより困難でもある。プレコーティングは、厚く、滑らかで、一様な層を補強担体の上および部分的に内側にもたらすための粘度およびレオロジー添加剤の添加を除いて、ポリウレタンコーティングのトップ層と同じ化学的ベースで作られてもよい。合成ライナ、例えば、ポリプロピレンベース繊維テキスタイルなどの使用の場合、この層は、2成分反応性ポリウレタン組成物で処方されたレギュラートップコートが耐久性化学結合を形成し得る新たな表面をもたらす。一部の場合、2成分ポリウレタンコーティング組成物の塗布前にオーブン中でプレコートの湿潤および硬化のより良い制御を可能にするために2成分ポリウレタンコーティング組成物と異なる水または溶媒系プレコーティング処方物を使用することが優先される。使用されるプレコート組成物は、2成分ポリウレタンコーティング組成物の通過を防止するための支持担体をシールすることと、2成分ポリウレタンコーティング組成物の機械的係留を可能にする十分な開いた細孔をなお残すこととの間の良好なバランスを与えるように選択される。
【0041】
プレコートおよびトップコーティング組成物の調製および塗布
プレコートは、好ましくは鉱物充填剤を有する変性塩素化ポリプロピレンおよびポリウレタンの水性分散液である。むき出しの布上へのドクターブレードによる液体分散体の塗布後、得られた乾燥コート速度は、おおよそ3.5~45grs/m2、好ましくは15~25grs/m2のものである。次いで、プレコートは、4分間120℃で乾燥される。
【0042】
プレコートは、開放容器中で2種のウォーターボーン樹脂を混合し、次いで、速い攪拌下で、均一分散が達成されるまで鉱物充填剤を添加することによって調製される。次いで、所望の固体含量まで水が添加される。この後、沈降防止、消泡および増粘剤の添加剤の都合よい量が添加される。次いで、プレコートはすぐに使用できる。
【0043】
プレコートの塗布は、都合よくはドクターブレードで行われる。最初に、液体プレコート組成物は、充填剤の適切な分散を確保するために再攪拌されるべきである。液体プレコート組成物は、支持担体上に注がれ、ドクターブレードで広げられ、これは、支持担体と接触状態であり、明らかな隙間なしに離れる。したがって、液体は、支持担体の表面上に目立つフィルムを形成するよりはむしろ繊維間の空間を満たす。プレコーテッド支持担体は、120℃に設定されたオーブンをおおよそ4分間通過し、次いで、巻かれる。オーブン後、繊維間空間のすべてではないがほとんどが、プレコートで満たされ、しかし、多くの小さい細孔が残存することがわかる。布は、トップコート上に気泡または膨れ形態がないことを確実にするためにさらなる処理工程を受ける前に乾燥していなければならない。
【0044】
2成分ポリウレタントップコートの調製および塗布
本発明で使用されるべきトップコート組成物は、成分(a)、成分(b)および上に記載されたとおりの任意選択の他の成分を一緒にし、攪拌し、すべての成分を完全に混合することによって調製され得る2成分ポリウレタンである。適切なフィルム形成に悪影響を与え得る、気泡の巻込みを避けるための手段が取られるものとする。気泡は、例えば、真空混合器を使用することによって除去され得る。
【0045】
トップコートの2成分は、別個に調製される。成分(a)は、真空を備えた、高速Cowles撹拌機で混合することによって調製される。ポリオールおよび液体添加剤は、最初に撹拌機に添加される。第2に、添加剤:へこみ防止添加剤、消泡添加剤、表面添加物および顔料の組全体が添加される。第3に、触媒が添加される。最後に、充填剤、モレキュラーシーブおよび増粘剤が添加される。攪拌は、十分な分散が達成されるまで継続される。的確な分散(粒子サイズは40ミクロン未満でなければならない)の確保後、30分の真空がすべての捕捉空気を除去するためにかけられる。次いで、真空が除去され、液体がドラム中に排出される。水分含量は、調製後に測定されなければならない。成分(a)が樹脂製造工場で前製造される場合、さらなる脱気工程を使用前に行なうことができる。この場合、製造設備と同じだけの適当な分散機が必要とされる。その場合、組成物全体が容器中に注ぎ入れられ、真空下で少なくとも30分間攪拌され、次いで、水分混入を防止するために直ちに使用される。
【0046】
成分(b)は、mdi変性モノマーおよびポリオールの重合によって調製される。NCO/OH比は、最終NCOが12.5%である値に調整される。これは、低速攪拌反応器中で行われ、その特定NCO含有量が達成されるまで60℃で加熱する。次いで、液体は、濾過され、ドラム中に排出される。
【0047】
トップコート組成物は、様々なプロセス、例えば、スプレーイング、ブラッシング、ローリング、ナイフコーティングまたはパッディングによって塗布され得る。トップコート組成物は、支持担体の一方の面のみ、または両方の面に1、2またはそれを超える層で塗布され得る。トップコート組成物は、0.5~5.0、好ましくは0.4~1.9mmの層厚さ(乾燥状態での層厚さ)で塗布され得る。支持担体は、特にメッシュ、網または空気開放型不織布が支持担体として使用される場合、支持担体の両面の瞬間的含浸のためにそれをコーティング組成物中にデッピングすることによってトップコート組成物で含浸させることもできる。
【0048】
トップコート組成物の硬化
プレコートが有っても無くてもいずれでもよく、2成分ポリウレタントップコートを支持担体に塗布後、トップコート組成物の層は、初期にフラッシュオフされて、存在していてもよい有機溶媒を除去し得る。次いで、塗布されたコーティング層は、ヒドロキシル官能性成分(a)と架橋剤成分(b)との架橋反応によって硬化される。硬化は、トップコート層を50℃~160℃、好ましくは90℃~140℃、より好ましくは100℃~120℃の温度で熱に曝露することによって行うことができる。熱は、オーブン中の対流もしくは伝導、または赤外(IR)照射などの照射によって与えることができる。硬化時間は、膜厚さ、硬化温度および硬化ユニット出力に依存して変わる。硬化時間は、1~30分の範囲であってもよい。硬化後、本発明の防水膜が形成される。
【0049】
防水膜の敷設
本発明の防水膜は、建築物用途、例えば、防水屋根、好ましくは平屋根で使用される。防水膜は、防水特性を与える単一の要素として使用することができるが、追加の要素または層と組み合わせて防水多層システムの一部として使用することもできる。防水膜は、少なくとも1つの防水膜に加えて、液体プライマーの少なくとも1つの層もしくは液体ポリウレタン接着剤の層;合成もしくは鉱物シートで補強された追加のエラストマー膜;およびメッシュもしくは格子、またはメッシュと格子との組合せを含む、防水多層システムで使用され得る。したがって、本発明はまた、上に定義されたとおりの防水膜、およびプライマー層;接着剤、特に液体ポリウレタン接着剤の層;上に定義された通りの防水膜と異なるエラストマー膜;ならびにトップ仕上げ層7から選択された少なくとも1つの層を含む、建築物用途、特に屋根用途のための防水多層システムに関する。
【0050】
上に定義されたとおりの防水多層システムによって、屋根または建築物の他の部分は、最初にプライマー、例えば、液体プライマーによって処理され得る。液体プライマーは、好ましくは1成分または2成分のポリウレタンまたはエポキシ樹脂に基づく。第2の工程では、接着剤、特に液体ポリウレタン接着剤が、プライマー層に塗布され得る。第3の工程では、本発明の防水膜が、例えば、支持担体面を別の防水膜のロールと重ね合わせることによって防水膜をサイドバイサイドでローリングアウトし、それらを屋根ベース支持体上に接着することによって、適用され得る。適切な場合、例えば、液体着色トップコートの薄いトップ仕上げ層7が、塗布され、屋外条件下、すなわち、塗布の条件下で硬化され得る。
【0051】
防水膜は、ロール形態で送出され得る。防水膜の敷設は、
図1および
図2に例示されるとおりに行なうことができる。防水膜は、両方向での重ね合わせを「スティッキングアウト(sticking out)」することなく、サイドバイサイドで集合させることができる。これにより、機械的損傷に対してあまり傷つきやすくなく、特にグリーン屋根ふき塗布に適する完全連続シームレス膜表面がもたらされる。
【0052】
図3で例示される通りに、屋根または屋根支持体は、液体屋根ふきプライマー5で最初に処理され得る。第2の工程では、プライマー表面は、液体ポリウレタン接着剤6で全面にわたってスプレーされる。第3の工程では、本発明の防水膜が塗布される。防水膜のロールが、典型的には屋根ふきプライマー5で屋根支持体ベース8に接着されるシーミングストリップ3の助けによってサイドバイサイドで配置される。最後に、液体ポリウレタンシーリング層4が、例えば、防水膜の2つの隣接する層間に、手作業で充填され、それにより、重ね合わせ領域のシーリングをもたらすことができる。ポリウレタン接着剤6の薄い液体層は、本発明の防水膜をプライマー層5に結合するために使用することができる。一部の場合、同じ接着処方物が、層4および層6のために使用され得る。
【0053】
図4に例示されるとおりに、一実施形態によれば、防水膜は、トップ仕上げ層7なしで、しかし、屋根ふきプライマー5で前処理され得る平屋根支持体8上に第1の接着層6を有して敷設されてもよい。その場合、膜それ自体が、最終の防水バリヤである。
【0054】
図5に例示されるとおりに、さらなる実施形態によれば、防水膜は、トップ仕上げ層7を有して敷設され得る。防水システムは、液体2成分ポリウレタンのトップ仕上げ層7から構成され、これは、本発明の防水膜に塗布され、これは、他方で、液体ポリウレタン接着剤6により平屋根支持体8に屋根ふきプライマー5と一緒に接着される。液体ポリウレタン接着剤およびトップ仕上げ層7は、屋外条件、すなわち、敷設条件下で硬化され得る。
【0055】
本発明の防水膜およびそれを製造する方法は、従来技術の既存の防水膜溶液と比較して、膜の厚さ、物理的特性および耐久性のより良い制御を可能にする。ポリウレタン層の品質は、防水膜を敷設する場合の硬化条件(温度、湿度)に依存しない。
【0056】
本発明の防水膜の主要な利点および従来技術溶液と比較して最も重要な差は、防水膜が建築物または建築物部分へのその適用前に完全に調製される、すなわち、2成分コーティング組成物が建築物または建築物部分への防水膜の適用前に支持担体に塗布され、完全に架橋されることである。従来技術の溶液によれば、2成分液体ポリウレタンコーティング組成物は、屋根のベースまたは屋根支持体に直接塗布され、建築物または建築物部分への塗布後にのみ架橋される。したがって、本発明の防水膜は、例えば、屋根ふきまたは他の建築物用途で、既存の防水膜と比較してはるかに容易にかつ速く敷設することができる。また、この防水膜は、液体2成分ポリウレタンシステムに基づく現在の平屋根防水システムと比較してより低いコストで調製および敷設することができる。本発明の防水膜は、好ましくは建築物用途で使用されるが、他の用途も可能である。
【0057】
本発明は、以下の実施例でより詳細に説明されるが、これは、その中での多数の変更および変化が当業者に明らかであるので、単に例示的なものとして意図される。
【実施例0058】
実施例1
注記:この実施例では、成分(a)は、ポリウレタンシステムの樹脂(ポリオール)成分を指し、成分(b)は、イソシアネート成分を指す。
【0059】
最小限200kgの成分(a)(Krypton「S-Membrane A」、これは、Krypton Chemicalにより製造された、触媒および顔料を有する疎水性ポリオールベース組成物であり、25℃で40000mPa.sの典型的な粘度(Brookfield、10rpm、スピンドルs64)および954g/1当量の当量を有する)が入っているドラムの内容物すべてを、低速度撹拌機(壁および底部に近接して攪拌することができる)付き蓋および最低限50mmHg真空をかけることができる真空装置を備えた密封可能な容器に注ぎ入れた。容器を密閉し、真空下60~100rpmで少なくとも30分間攪拌した。これに続いて、真空を除去し、空気作動移送ピストンポンプ(Model Vega、LARIUS-Italy製、比5/1、圧力3~8bas、66サイクルで10リットル/分)を挿入し、容器を保護シートで覆って、空気への過剰の曝露および汚染を防止した。
【0060】
成分(b)(Krypton「S-Membrane B」、これは、Krypton Chemicalにより製造された、2000mPa.sの粘度(20℃、Brookfield、100rpm、スピンドルs64)および13.5%のイソシアネート含有量を有する芳香族イソシアネート末端プレポリマーである)が入っているドラムを開け、空気作動移送ピストンポンプ(比5/1、GAMA-Spainによる)を挿入し、シリカゲルカートリッジ水分防止装置をはめた。両方のポンプの出口を、調整可能な混合比でGARRAF MAQUINARIA(GAMA、Sitges、Spain)によるモデルEVOLUTION VRである可変比-配分機の成分(a)(樹脂)および成分(b)(イソシアネート)の対応する供給ポートに接続する。機械の設定は、以下のとおりである:
加熱ユニット樹脂-成分(a):30℃
加熱ユニットイソシアネート-成分(b):30℃
ホース:30℃
圧力:70バール
A(樹脂)とB(イソシアネート)の間の混合比は、体積で2.1:1である。
【0061】
混合チャンバ-ガンタイプ:可変比-配分機のホースの端部に、GAMA(Sitges-Spain)によるスプレーイングガンモデルSOLVENTをはめ、DOTEST(Barcelon-Spain)によるポリプロピレン静的ミキサのセクション、内径12.5mm、長さ400mmを、出口に取り付けて、空気閉じ込めなしで的確な混合を確実にした。両成分を、それらが設定温度に達するまで10分間再循環させ、その後、E.I.du Pont de Nemours&Companyにより製造された高強度ポリプロピレンスパンボンド布である補強担体の上に液体コーティングの塗布によって進行させた。ドクターブレードギャップを1.50mmに設定し、コーテッドロールを5m/分の速度でコーティングラインに供給した。コーテッド担体は、加熱セクションすべてに沿って120℃に設定した12m長のオーブンを通過した。
【0062】
実施例2
プレコートの塗布
プレコート組成物「Precoat Membrane Primer」(これは、高強度ポリプロピレンスパンボンドのコーティングのためにKrypton Chemicalにより製造されたプライマー処方物であり、16.2重量%の固体含量を有するポリウレタン分散液に基づく)を内容物すべてが均等に分散されるまで低速で電気式撹拌機を使用してその元の容器中で均一化した。
【0063】
プレコーティング処方物の硬化を、Brucknerのライセンス下で、Berenguel(Barcelona)により製造された、独立して調整可能な温度を有する4つのセクション(各3m)に分けられた12m長のオーブン中で行なった。一連の垂直保持ニードルを設定する。温度は、すべてのセクションで120℃に設定した。
【0064】
プレコーティング処方物を、スクレイピングドクターブレードが、液体を1.5m幅のセクションに沿って広げる高強度ポリプロピレンスパンボンド布の移動と接触する直ぐ前に、それを元の容器から直接注ぐことによって塗布した。プレコーテッド布は、12m長のオーブンに入って行き、ライン速度は3.7m/分に設定した。オーブンを通過後、プレコーテッドロールは、再び巻かれ、次の工程のために保管される。おおよその得られたプレコーティング被覆は乾燥時に40g/m2であり、湿潤段階で100g/m2に等しく、その後、それをオーブン中で乾燥させた。
【0065】
トップコートの塗布
最小限200kgの成分(a)(Krypton「Membrane A」、これは、KCにより製造された、触媒および顔料を有するポリオールベース組成物であり、20℃で1800mPaの粘度(Brookfield、50rpm、スピンドルS63)および2050g/当量の当量を有する)が入っているドラムの内容物をすべて、低速攪拌機(壁および底部に近接して攪拌することができる)および最小限50mm Hg真空をかけることができる真空装置を備えた密封可能な容器に注ぎ入れた。容器を密閉し、真空下60~100rpmで少なくとも15分間攪拌した。これに続いて、真空を除去し、空気作動ドラムポンプ(Model Vega、LARIUS-Italy製、比5/1、圧力3~8bas、66サイクルで10リットル/分)を挿入し、液体の表面を非混和性炭化水素溶媒Exxsol D100(Exxon Mobil Chemical製炭化水素流体)の薄い層で覆い、成分(a)の表面のゆがみがまったくないように注いだ。成分(a)の表面すべてが覆われ、1cm厚さの流体層で大気水分から保護されるように、十分な流体を注いだ。
【0066】
成分(b)(Krypton「Membrane B」、600mPa.sの粘度(Brookfield、100rpm、スピンドルs63)およびやはりKrypton Chemicalにより製造された13%のイソシアネート含有量を有する芳香族イソシアネート末端プレポリマー)が入っているドラムを開け、空気作動移送ピストンポンプ(GAMA-Spainによる、比5/1)を挿入し、シリカゲルカートリッジ水分防止装置をはめた。一定比を実現するために、両方のポンプの出口を、イソシアネート用の60cm3のチャンバおよびポリオール用の120cm3のチャンバを備えた、GARRAF MAQUINARIA(GAMA、Sitges、Spain)による複数配分機、モデルEVOLUTION G50Hの成分(a)(樹脂)および成分(b)(イソシアネート)の対応する供給ポートに接続した。ポンプおよび混合機に動力を供給するために必要な空気は、少なくとも500l/分で送出するオイルフリー、空気乾燥圧縮機により供給した。G50機の設定は、以下のとおりであった:
加熱ユニット樹脂-成分A:30℃
加熱ユニットイソシアネート-成分B:30℃
ホース温度30℃
圧力:70バール
【0067】
G50ホースの端部に、GAMA(Sitges-Spain)によるスプレーイングガンモデルSOLVENTをはめ、DOTEST(Barcelon-Spain)によるポリプロピレン製静的ミキサのセクション、内径12.5mm、長さ400mmを出口に取り付け、空気を閉じ込めることなく的確な混合を確実にした。静的ミキサをスチール製管に挿入して、ミキサの偶発的破損の場合に操作者を保護した。両成分を、それらが設定温度に達するまで、および塗布による進行前にさらに10分間再循環させた。
【0068】
装置の平衡化および圧力均衡の検査後、おおよそ1.5mmの厚さを有するプレコーテッド高強度ポリプロピレンスパンボンド布を、そのロールから、平滑プレコート表面を上にして、3.5~4m/分の速度で供給した。反応混合物を、1.5mmの間隙で設定されたドクターブレード(Jacobs Weisにより製造された)の前でプレコーテッド布上のスプラッシング(splashing)を回避するように穏やかに注いだ。乾燥オーブンの4つのセクションは以下の温度に設定された。
第1セクション:120℃
第2セクション:80℃
第3セクション:80℃
第4セクション:70℃
【0069】
各セクションを平衡に達するようにさせ、その後、トップコーティングの混合物の塗布を進行させて、オーブン中で硬化させた。
前記ヒドロキシル官能基を有する化合物が、500~4000の数平均分子質量(Mn)と、25~150mg KOH/gのヒドロキシル価とを有し、より好ましくは800~2000の数平均分子質量(Mn)と、25~60mg KOH/gのヒドロキシル価とを有する、請求項1に記載の方法。
前記ヒドロキシル官能基を有する化合物が、500~1000、好ましくは800~1000の数平均分子質量、0~50mg KOH/gの酸価、および40~200mg KOH/g、好ましくは50~150mg KOH/gのヒドロキシル価を有するヒ
ヒドロキシ官能性ポリエステルである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
前記フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート架橋剤が、1.5~5、好ましくは2~4の平均NCO官能基を有するポリイソシアネートである、請求項1~4のいずれかに記載の方法。