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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086682
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 10/40 20140101AFI20220602BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20220602BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20220602BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20220602BHJP
   G03B 21/58 20140101ALI20220602BHJP
【FI】
H02S10/40
H02S10/20
E04D13/18
H02S20/26
G03B21/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198833
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】仲村 政昭
(72)【発明者】
【氏名】前田 和則
【テーマコード(参考)】
2E108
2H021
5F151
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL07
2E108NN07
2H021AA03
5F151AA05
5F151BA11
5F151GA05
5F151JA13
5F151JA28
5F151JA30
5F151KA03
(57)【要約】
【課題】太陽光発電装置の持ち運びを容易化して、その利便性を向上させることができるとともに、太陽光発電シートに過大な引っ張り力が作用するのを抑制して、太陽電池素子が損傷するのを防止できるようにする。
【解決手段】可撓性を有する太陽光発電シート1と、前記太陽光発電シート1が巻き回される回転ドラム2と、前記回転ドラム2を回転駆動して、その上に前記太陽光発電シート1を巻き回す駆動モータ4と、前記太陽光発電シート1の発電電力を充電する二次電池5と、前記駆動モータ4に対する電力の供給を制御するとともに、前記二次電池5に対する電力の入出力を制御する制御部6とを備え、前記回転ドラム2内には、前記駆動モータ4、前記二次電池5および前記制御部6が収容されている太陽光発電装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する太陽光発電シートと、
前記太陽光発電シートが巻き回される回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転駆動して、その上に前記太陽光発電シートを巻き回す駆動モータと、
前記太陽光発電シートの発電電力を充電する二次電池と、
前記駆動モータに対する電力の供給を制御するとともに、前記二次電池に対する電力の入出力を制御する制御部とを備え、
前記回転ドラム内には、前記駆動モータ、前記二次電池および前記制御部が収容されている太陽光発電装置。
【請求項2】
前記二次電池の電力を外部に出力する出力部を、さらに備えている請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記駆動モータに外部電源から電力を入力する非常用入力部を、さらに備えている請求項1または2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記駆動モータ、二次電池および制御部の重心が前記回転ドラムの中心軸上に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記太陽光発電シートの先端部には、筒状保形体が設けられ、
前記筒状保形体内には、前記太陽光発電シートの発電電力を充電する軽量の二次電池と、該蓄電池の電力を外部に出力する出力部とが設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記太陽光発電シートは、基台シートと、その第一面側に貼り付けられた太陽電池とを有し、
前記第一面の反対側に位置する前記基台シートの第二面側には、映像用スクリーン面が設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記太陽光発電シートは、基台シートと、その第一面側に貼り付けられた太陽電池とを有し、
前記前第一面の反対側に位置する前記基台シートの第二面側には、クロマキー合成用のスクリーン面が設けられている請求項6記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電シートを備えた太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の屋根上に設置される太陽光発電装置であって、可撓性を有する太陽光発電シートと、前記太陽光発電シートを巻き取るローラを内蔵し、前記太陽光発電シートを前記ローラに巻き取って収容可能であり、かつ前記ローラに巻き取られた前記太陽光発電シートを引き出し可能な収納ケースと、前記収納ケースを前記屋根に着脱可能に取り付ける取付部とを備え、太陽光発電シートの先端部には、この太陽光発電シートの発電電力を蓄電する二次電池を収容する電池収容部が連結された太陽光発電装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-12262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の太陽光発電装置では、回転可能なローラ(回転ドラム)側ではなく、太陽光発電シートの先端に設けられた電池収容部内に二次電池が収容されているため、太陽光発電シートから二次電池へ電力を供給するための配線構造を単純化することができるとともに、太陽光発電シートと二次電池とを有する太陽光発電装置を一体化して、その利便性を向上させることができるという利点がある。
【0005】
この反面、太陽光発電シートの先端部に設けられた電池収容部に二次電池が収容されることにより、その重量が増大することが避けられないため、建物等の上部に取り付けられた回転ドラムから太陽光発電シートを垂下させた状態で設置した場合に、太陽光発電シートに過大な引っ張り力が作用して太陽電池素子が損傷し易いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、太陽光発電装置の利便性を向上させるとともに、太陽光発電シートに過大な引っ張り力が作用するのを抑制して、太陽電池素子の損傷を防止できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る太陽光発電装置は、可撓性を有する太陽光発電シートと、前記太陽光発電シートが巻き回される回転ドラムと、前記回転ドラムを回転駆動して、その上に前記太陽光発電シートを巻き回す駆動モータと、前記太陽光発電シートの発電電力を充電する二次電池と、前記駆動モータに対する電力の供給を制御するとともに、前記二次電池に対する電力の入出力を制御する制御部とを備え、前記回転ドラム内には、前記駆動モータ、前記二次電池および前記制御部が収容されたものである。
【0008】
この構成によれば、太陽光発電装置をコンパクト化した状態で格納および運搬を容易に行うことが可能であり、その利便性を向上させることができる。また、大きな重量を有する二次電池等を回転ドラム内に収容したため、太陽光発電シートの発電電力を、太陽光発電装置とは別体に設けられた二次電池に供給して充電した場合のような充電ロスが生じることがなく、充電効率を向上させることができる。しかも、建物等の上部に取り付けられた回転ドラムから太陽光発電シートを垂下させた状態で設置した場合においても、太陽光発電シートに過大な引っ張り力が作用することがなく、太陽電池素子が損傷するのを効果的に防止することができる。
【0009】
また、前記二次電池の電力を外部に出力する出力部を、さらに備えていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、前記出力部にパソコン等の外部装置を接続する等により、必要に応じて二次電池の電力を出力部から外部に取り出すことができるため、二次電池に蓄えられた電力の有効利用を図ることができる。
【0011】
さらに、前記駆動モータに外部電源から電力を入力する非常用入力部を、さらに備えたものとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、二次電池に電力が全く蓄えられていない非常時等において、入力部のコンセントを外部電源に接続する等により、外部電源から駆動モータに電力を供給することでき、回転ドラムに巻き回された太陽光発電シートを繰り出して展開させること等が可能となる。
【0013】
さらにまた、前記駆動モータ、二次電池および制御部の重心が前記回転ドラムの中心軸上に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、回転ドラムを回転させた際に、駆動モータ、二次電池および制御部を円滑に回転させることができ、これらが偏心した状態で回転することに起因する振動や異音の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0015】
また、前記太陽光発電シートの先端部には、筒状保形体が設けられ、前記筒状保形体内には、前記太陽光発電シートの発電電力を充電する軽量の二次電池と、該蓄電池の電力を外部に出力する出力部とが設けられた構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、太陽光発電シートの発電電力を前記二次電池に供給して充電することができるため、二次電池に充電された電力を出力部から外部に取り出して、その有効利用を図ることができる。あるいは、二次電池の電力を駆動モータに供給して、この駆動モータを作動させることも可能である。
【0017】
さらに、前記太陽光発電シートは、基台シートと、その第一面側に貼り付けられた太陽電池とを有し、前記第一面の反対側に位置する前記基台シートの第二面側には、映像用スクリーン面が設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、太陽光発電シートによって発電を行いつつ、その第二面を映像スクリーンとして活用できるという利点がある。
【0019】
さらにまた、前記太陽光発電シートは、基台シートと、その第一面側に貼り付けられた太陽電池とを有し、前記前第一面の反対側に位置する前記基台シートの第二面側には、クロマキー合成用のスクリーン面が設けられたものであってもよい。
【0020】
この構成によれば、太陽光発電シートによって発電を行いつつ、その第二面を動画合成用のスクリーン面として活用できるという利点がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る太陽光発電装置によれば、太陽光発電装置の持ち運びを容易化して、その利便性を向上させることができるとともに、太陽光発電シートに過大な引っ張り力が作用するのを抑制して、太陽電池素子が損傷を防止することできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る太陽光発電装置の実施形態を示す正面図である。
図2】回転ドラムの内部構造を示す縦断面図である。
図3】回転ドラムの内部構造を示す横断面図である。
図4】回転ドラムの支持構造を示す斜視図である。
図5】太陽光発電装置の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0024】
図1図4に示すように、本発明に係る太陽光発電装置10は、可撓性を有する太陽光発電シート1と、この太陽光発電シート1が巻き回される回転ドラム2と、この回転ドラム2を支持する左右一対の支持ブラケット31,32とを備えている。太陽光発電シート1の先端部には、筒状体もしくは棒状体からなる保形部11が設けられている。
【0025】
太陽光発電シート1は、可撓性を有する素材からなる透明の樹脂シートに、太陽電池素子がラミネート加工される等により内封されるように構成されている。太陽電池素子としては、例えばアモルファスシリコン型の薄膜太陽電池等の屈曲可能な太陽電池素子が用いられる。なお、太陽電池素子は、アモルファスシリコン型に限られず、例えば化合物系太陽電池、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池等、種々の太陽電池を用いることができる。また、太陽光発電シート1は、屋根上に設置される一般的な太陽電池パネルのようにガラス板を含まず、またパネルの強度を保持するためのベース板も不要であるため、軽量に形成することができる。
【0026】
回転ドラム2は、円筒状の断面構造を有するプラスチック成形体またはアルミ押出し材等からなる円筒状体22と、その両端部を塞ぐ左右一対の閉塞板23,24とを有している。回転ドラム2の外周面には、太陽光発電シート1の基端部が固定されている。また、回転ドラム2の内周面には、複数の保持用突起21が回転ドラム2の中心部に向けて突設されている(図3参照)。
【0027】
回転ドラム2の一端部側には、図2に示すように、回転ドラム2を回転駆動して、その上に太陽光発電シート1を巻き回す駆動モータ4が配設されている。この駆動モータ4は、閉塞板23に形成された開口部25を挿通して回転ドラム2の外方側に突出した出力軸41と、回転ドラム2の一端部に固定されたモータハウジング42とを有している。
【0028】
そして、駆動モータ4の出力軸41が、回転ドラム2の一端部側に設けられた支持ブラケット31により回転不能に支持されている。具体的には、図4に示すように、角形に成形された出力軸41の先端部が、支持ブラケット31に形成された角孔からなる開口部35に挿入される等により、出力軸41の回転が規制された状態で、支持ブラケット31により駆動モータ4の出力軸41が支持されている。
【0029】
この結果、駆動モータ4を正転させる駆動電力が供給されると、駆動モータ4のモータハウジング42と回転ドラム2とが一体に回転して、例えば回転ドラム2の周面上に巻き回された太陽光発電シート1が繰り出されるようになっている。また、駆動モータ4を逆転させる駆動電力が供給されると、駆動モータ4のモータハウジング42および回転ドラム2が逆方向に回転して、展開状態にある太陽光発電シート1が回転ドラム2上に巻き回されることになる。
【0030】
回転ドラム2の他端部側には、ボールベアリングからなる軸受部材33と、この軸受部材33の内輪に保持された支持軸34とを有する回転支持部材3が配設されている。そして、軸受部材33の外輪が回転ドラム2の他端部に固定されるとともに、支持軸34が閉塞板24に形成された開口部26を貫通して、回転ドラム2の外方側に突設されている。また、回転支持部材3の支持軸34が、回転ドラム2の他端部側に設けられた支持ブラケット32により回転不能に支持されている。これにより、回転ドラム2の他端部が、支持軸34の軸心を支点として回転可能に支持されている。
【0031】
回転ドラム2内には、図2に示すように、前記駆動モータ4と、太陽光発電シート1の発電電力を充電する複数個の二次電池5と、駆動モータ4に対する電力の供給を制御する制御部6とが収容されている。このような構成により、従来品のようにケース内の端部に制御部を設ける等の必要がなく、この制御部等のスペースが不要となるため、同じサイズのケースに対し、より幅広な太陽光発電シート1を設けることで、結果として、スクリーン面を大きく構成することができる。また、図3に示すように、回転ドラム2の内周面に突設された保持用突起21の先端部が、駆動モータ4、二次電池5および制御部6の外周面に当接して、これらを拘束することにより、駆動モータ4、二次電池5および制御部6の重心が回転ドラム2の中心軸C上に配置されるように構成されている。
【0032】
制御部6は、二次電池5に対する充電を制御して、過充電および過放電を防止するバッテリーマネージメントシステム(BMS)としての機能と、停電等の電源障害が発生した際に、機器を安全にシャットダウンさせるためのバックアップ電源を供給する無停電電源装置(UPS)としての機能と、二次電池5の電力を駆動モータ4に供給してこの駆動モータ4を作動させる機能と、外部に対する電力の出力を制御する機能等を有している。
【0033】
二次電池5としては、例えば鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池など公知のものを適宜選択して用いればよく、市販のものを採用することができる。なお、鉛蓄電池は、充放電カーブが他の蓄電池に比べてリニアで充放電制御が行い易く、安価で安全性も高いため、好適例の一つである。
【0034】
太陽光発電シート1の発電電力は、その基端側から延出される一対のリード線61,62により回転ドラム2内に導かれた後(図2参照)、制御部6を介して二次電池5に供給されて充電される。回転ドラム2の他端部側には、リード線61,62に導通する一対の電極63,64が、それぞれ回転ドラム2の外周面に沿って取り付けられるとともに、この電極63,64に当接する一対のブラシ71,72が配設されている。
【0035】
ブラシ71,72は、リード線73,74を介してUSBコンセント等からなる出力部7に接続されている。また、リード線73,74には、図外の外部電源に接続されるコンセントと、外部電源を所要の直流電力に変換するACアダプタとを有する非常用の入力部8に導通するリード線81,82が接続されている。
【0036】
図略のリモートコントローラまたはスマートフォン等の入力操作部から制御部6に外部電源への電力出力指令信号が入力されると、二次電池5に蓄えられた電力がリード線73,74を介して出力部7に出力される。そして、外部機器に導通接続されたUSBコネクタが、前記出力部7のUSBコンセントに連結される等により、二次電池5の電力が外部に取り出されるようになっている。
【0037】
また、前記入力操作部から制御部6に駆動モータ4の作動指令信号が入力されると、二次電池5の電力が駆動モータ4に供給されることにより、回転ドラム2が回転駆動される。なお、太陽光発電装置10が長期間に亘って不使用状態に保持される等により、二次電池5に電力が全く蓄えられていない非常時において、駆動モータ4を作動させる場合には、非常用の入力部8のコンセントを外部電源に接続することにより、外部電源の電力が、入力部8のACアダプタおよび制御部6を介して駆動モータ4に供給される。これにより、回転ドラム2から太陽光発電シート1が繰り出されて展開した状態となる。
【0038】
上述の太陽光発電装置10を使用する際には、例えば窓際の上辺部等に設けられた支持ブラケット31,32により回転ドラム2の両端部を支持させた状態で、駆動モータ4を作動させて回転ドラム2を回転させることにより、回転ドラム2上に巻き回された太陽光発電シート1を繰り出して建物の窓部を覆うように展開させる。この結果、窓辺に差し込む太陽光を利用した発電が行われ、この発電電力が二次電池5に充電される。そして、必要に応じて二次電池5に蓄えられた電力を出力部7に出力することにより、二次電池5の電力を外部に取り出して有効に利用することができる。
【0039】
また、上述の使用状態にある太陽光発電装置10を格納し、あるいは他所に運搬する際等には、駆動モータ4を逆転させて回転ドラム2を逆方向に回転させて、回転ドラム2上に太陽光発電シート1を巻き回すことにより、前記太陽光発電シート1、回転ドラム2、駆動モータ4、二次電池5、および制御部6を備えた太陽光発電装置10をコンパクトに纏めることができる。
【0040】
なお、太陽光発電装置10の設置位置は建物の窓部に限られず、太陽光が射す任意の位置に設置可能である。例えば、回転ドラム2が収容されたケーシングを屋外に設置し、このケーシング内から太陽光発電シート1を引き出して、その先端部に設けられた保形部を所定の係止部に係止する等により、太陽光発電シート1を屋外に設置するようにしてもよい。また、屋外に駐車された車両のルーフレール等に回転ドラム2を保持させるとともに、この回転ドラム2から繰り出された太陽光発電シート1を車両の側面等に沿って設置することも可能である。
【0041】
本発明に係る太陽光発電装置10は、上述のように可撓性を有する太陽光発電シート1と、この太陽光発電シート1が巻き回される回転ドラム2と、回転ドラム2を回転駆動して、その周面上に太陽光発電シートを巻き回す駆動モータ4と、太陽光発電シート1の発電電力を充電する二次電池5と、駆動モータ4に対する電力の供給を制御するとともに、二次電池5に対する電力の入出力を制御する制御部6とを備え、回転ドラム2内に、駆動モータ4、二次電池5および制御部6が収容された構成としたため、太陽光発電装置10をコンパクト化した状態で格納および運搬を容易に行うことが可能であり、その利便性を向上させることができる。
【0042】
さらに、大きな重量を有する二次電池5等を回転ドラム2内に収容したため、太陽光発電シート1の発電電力を、太陽光発電装置10とは別体に設けられた二次電池に供給して充電した場合のような充電ロスが生じることがなく、充電効率を向上させることができる。しかも、建物等の上部に取り付けられた回転ドラム2から太陽光発電シート1を垂下させた状態で設置した場合においても、太陽光発電シート1に過大な引っ張り力が作用することはなく、太陽電池素子が損傷するのを効果的に防止することができる。
【0043】
また、上述の実施形態に示すように、二次電池5の電力を外部に出力する出力部7を設け、この出力部7にパソコン等の外部装置を接続する等により、必要に応じて二次電池5の電力を出力部7から外部に取り出し得るように構成した場合には、二次電池5に蓄えられた電力の有効利用を図ることができる。
【0044】
さらに、上述の実施形態では、駆動モータ4に外部電源から電力を入力する非常用の入力部8を備えた構成としたため、二次電池5に電力が全く蓄えられていない非常時等において、入力部8のコンセントを外部電源に接続する等により、外部電源から駆動モータ4に電力を供給することにより、回転ドラム2に巻き回された太陽光発電シート1を繰り出して展開させること等が可能となる。
【0045】
上述の実施形態では、回転ドラム2の内周面に突設された保持用突起21により駆動モータ4、二次電池5および制御部6を拘束して、これらの重心を回転ドラム2の中心軸C上に位置させるように構成している。このため、回転ドラム2を回転させた際に、駆動モータ4、二次電池5および制御部6を円滑に回転させることができ、これらが偏心した状態で回転することに起因する振動や異音の発生を効果的に防止できるという利点がある。なお、上述の構成に代え、二次電池5等と回転ドラム2との間に間隔調整用のスペーサを配設することにより、二次電池5等の重心を回転ドラム2の中心軸C上に位置させるように構成してもよい。
【0046】
図5に示すように、太陽光発電シート1の先端部に、軽量の二次電池12が収容される筒状保形体13と、二次電池13の電力を外部に出力するUSBコンセント等からなる出力部14とが設けられた構成としてもよい。この構成によれば、太陽光発電シート1の発電電力をリード線15,16から二次電池13に供給して充電することができる。このため、二次電池13の充電させた電力を出力部14から外部に取り出し、あるいは駆動モータ4に供給する等により、その有効利用を図ることができる。なお、前記軽量の二次電池13としては、酸化銀電池、アルカリ電池又はリチウム電池等からなる種々の電池が使用可能であるが、軽量で電気容量の大きいニッケル水素電池が好適に使用される。
【0047】
また、基台シートと、その第一面側に貼り付けられた太陽電池とを有する太陽光発電シート1において、前記第一面の反対側に位置する基台シートの第二面側に、プロジェクター等の映写装置から照射された映像を映し出すための映像用スクリーン面を設けた構成としてもよい。この構成によれば、太陽光発電シート1によって発電を行いつつ、その第二面を映像スクリーンとして活用できるという利点がある。
【0048】
さらに、前記映像用スクリーン面に代え、撮影した動画像を合成する際に使用するクロマキー合成用のスクリーン面を基台シートの第二面側に設けた構成としてもよい。この構成によれば、太陽光発電シート1によって発電を行いつつ、その第二面を動画合成用のスクリーン面として活用できるという利点がある。
【符号の説明】
【0049】
1 太陽光発電シート
2 回転ドラム
3 回転支持部材
4 駆動モータ
5 二次電池
6 制御部
7 出力部
8 入力部
10 太陽光発電装置
11 保形部
12 軽量の二次電池
13 筒状保形体
14 出力部
21 保持用突起
22 円筒状体
23,24 閉塞板
31,32 支持ブラケット
33 軸受部材
34 支持軸
41 出力軸
42 モータハウジング
61,62 リード線
63,64 電極
71,72 ブラシ
73,74 リード線
81,82 リード線
図1
図2
図3
図4
図5