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特開2022-86687半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086687
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
H01L23/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198839
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 博可
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瑛基
(72)【発明者】
【氏名】木村 渉
(57)【要約】
【課題】品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュール、及び、品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体モジュール1は、複数の電極パッド12A,12Bを有する半導体チップ10と、複数の電極パッド12A,12Bに対応する複数の接合部22A,22Bを有するクリップ20と、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを接合する導電性接合材30A,30Bとを備える。半導体モジュール1においては、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとは、対応する一組ごとに導電性接合材12A,12Bで接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先が同じ複数の電極パッドを有する半導体チップと、
前記複数の電極パッドに対応する複数の接合部を有するクリップと、
前記電極パッドと前記接合部とを接合する導電性接合材とを備え、
前記電極パッドと前記接合部とは、対応する一組ごとに前記導電性接合材で接合されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記クリップは、平面的に見たときに、電流が流れる方向に対する幅が非連続的に変化する形状からなり、
幅が広い部分を主接続部とし、幅が狭く先端が接続端子となっている部分を連結部とし、前記半導体チップと前記主接続部とが重なっている領域を第1領域とし、前記半導体チップと前記連結部とが重なっている領域を第2領域とするとき、
前記導電性接合材により接合されている前記電極パッド及び前記接合部は、前記第1領域及び前記第2領域の両方に存在することを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1領域においては、前記導電性接合材により接合されている前記電極パッド及び前記接合部が複数組存在することを特徴とする請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記主接続部においては、平面視したときに前記接合部と重ならない位置に貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記半導体チップは、MOSFETであり、
前記複数の電極パッドを構成する電極パッドは、ソースパッドであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項6】
接続先が同じ複数の電極パッドを有する半導体チップ及び前記複数の電極パッドに対応する複数の接合部を有するクリップを準備し、前記電極パッドと前記接合部との間に導電性接合材を介在させた状態で前記半導体チップと前記クリップとを重ねて配置する接合準備工程と、
リフローにより前記電極パッドと前記接合部とを対応する一組ごとに前記導電性接合材で接合する接合工程とを含むことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記接合準備工程は、前記半導体チップを載置するためのダイパッドを有するダイパッドフレームを準備するダイパッドフレーム準備工程と、前記ダイパッドと前記半導体チップとの間にダイパッド側接合材を介在させた状態で前記ダイパッドと前記半導体チップとを重ねて配置する半導体チップ配置工程と、前記導電性接合材を介在させた状態で前記半導体チップと前記クリップとを重ねて配置するクリップ配置工程とを含み、
前記接合工程においては、前記ダイパッドフレーム及び前記クリップを位置固定した状態でリフローを実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記接合準備工程は、前記電極チップを載置するためのダイパッドを有するダイパッドフレームを準備するダイパッドフレーム準備工程と、前記クリップを載置するためのリード側パッドを有するリードフレームを準備するリードフレーム準備工程と、前記ダイパッドと前記半導体チップとの間にダイパッド側接合材を介在させた状態で前記ダイパッドと前記半導体チップとを重ねて配置する半導体チップ配置工程と、前記電極パッドと前記接合部との間に前記導電性接合材を介在させ、かつ、前記リード側パッドと前記クリップにおける前記リード側パッドと接合すべき部分との間にリード側接合材を介在させた状態で前記半導体チップ及び前記リードフレームと前記クリップとを重ねて配置するクリップ配置工程とを含み、
前記接合工程においては、前記ダイパッドフレーム及び前記リードフレームを位置固定した状態でリフローを実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記接合準備工程は、前記電極チップを載置するためのダイパッドを有するダイパッドフレームを準備するダイパッドフレーム準備工程と、前記ダイパッドフレームと前記半導体チップとを接合する半導体チップ接合工程と、前記クリップを載置するためのリード側パッドを有するリードフレームを準備するリードフレーム準備工程と、前記電極パッドと前記接合部との間に前記導電性接合材を介在させ、かつ、前記リード側パッドと前記クリップにおける前記リード側パッドと接合すべき部分との間にリード側接合材を介在させた状態で前記半導体チップ及び前記リードフレームと前記クリップとを重ねて配置するクリップ配置工程とを含み、
前記接合工程においては、前記ダイパッドフレーム及び前記リードフレームを位置固定した状態でリフローを実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的な接続を得るための部材としてクリップを用いる半導体モジュールが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、本明細書における「クリップ」とは、導電性の材料からなる板状の接続部材のことをいう。
【0003】
図14は、従来の半導体モジュール901を説明するために示す図である。図14(a)は半導体モジュール901の平面図であり、図14(b)は図14(a)のA-A断面図である。従来の半導体モジュール901は、図14に示すように、半導体チップ910と、クリップ920と、半導体チップ910とクリップ920とを接合する導電性接合材930とを備える。半導体モジュール901は、上記した構成要素の他に、半導体チップ910を載置するダイパッド942を有するダイパッドフレーム940と、ダイパッド942と半導体チップ910とを接合するダイパッド側接合材950と、クリップ920とは異なる別のクリップ960とを備える。なお、別のクリップ960は、クリップ920よりも小さい。また、図示は省略するが、半導体モジュール901は上記したもの以外の構成要素(例えば、封止樹脂)を備えていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-87741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体モジュール901を製造するためには、電気的な接続を必要とする部材(半導体チップ910、クリップ920等)を適切に接合する必要がある。例えば、導電性接合材930として高温で溶融する材料(例えば、はんだ)からなるものを用いることで、リフロー(熱処理)により半導体チップ910の電極パッド912,914とクリップ920の接続部922及びクリップ960の接続部962を接合することができる。
【0006】
しかし、半導体モジュール901においては、多くの構成要素を重ねた状態でリフローを実施する必要があるため、すべての構成要素について外部から位置固定しながらリフローを実施することは困難である。このため、半導体モジュール901のような半導体モジュールを製造する際には、半導体チップ及びクリップのうち少なくとも一方は固定せずにリフローを実施することが多い。このため、従来の半導体モジュール901には、半導体チップ910やクリップ920の位置ずれや傾きが生じやすく、品質のばらつきを抑制することが難しいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールを提供することを目的とする。また、本発明は、品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体モジュールは、接続先が同じ複数の電極パッドを有する半導体チップと、前記複数の電極パッドに対応する複数の接合部を有するクリップと、前記電極パッドと前記接合部とを接合する導電性接合材とを備え、前記電極パッドと前記接合部とは、対応する一組ごとに前記導電性接合材で接合されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体モジュールの製造方法は、接続先が同じ複数の電極パッドを有する半導体チップ及び前記複数の電極パッドに対応する複数の接合部を有するクリップを準備し、前記電極パッドと前記接合部との間に導電性接合材を介在させた状態で前記半導体チップと前記クリップとを重ねて配置する接合準備工程と、リフローにより前記電極パッドと前記接合部とを対応する一組ごとに前記導電性接合材で接合する接合工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体モジュールは、複数の接続先が同じ電極パッドを有する半導体チップと、複数の電極パッドに対応する複数の接合部を有するクリップとを備え、電極パッドと接合部とは対応する一組ごとに導電性接合材で接合されている。このため、製造工程におけるリフロー時に導電性接合材の溶融により発生した表面張力が、導電性接合材が存在する場所ごとに発生するようになる。従って、リフロー時に半導体チップやクリップを固定しない場合であっても、複数の場所で発生した表面張力のつり合いにより、半導体チップやクリップの姿勢を安定させること(いわゆるセルフアライメント)が可能となる。以上の理由により半導体チップやクリップの位置ずれや傾きが発生しにくくなることから、本発明の半導体モジュールは、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。
【0011】
本発明の半導体モジュールの製造方法においては、電極パッドと接合部との間に導電性接合材を介在させた状態で半導体チップとクリップとを重ねて配置する接合準備工程と、リフローにより電極パッドと接合部とを対応する一組ごとに導電性接合材で接合する接合工程とを含むため、半導体チップやクリップの位置ずれや傾きを発生しにくくすることが可能となる。このため、本発明の半導体モジュールの製造方法は、リフロー時における半導体チップやクリップの位置ずれや傾きを発生しにくくすることで品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る半導体モジュール1を説明するために示す図。
図2】実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャート。
図3】実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図。
図4】実施形態2に係る半導体モジュール2を説明するために示す図。
図5】実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャート。
図6】実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図。
図7】実施形態3に係る半導体モジュール3の断面図。
図8】実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャート。
図9】実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図。
図10】実施形態4に係る半導体モジュール4を説明するために示す図。
図11】実施形態5に係る半導体モジュール5の平面図。
図12】変形例1に係る半導体モジュール6の平面図。
図13】変形例2に係る半導体モジュール7の平面図。
図14】従来の半導体モジュール901を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。以下に説明する各実施形態は、請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成、特徴、機能等が同じもの(形状等が完全に同一ではないものを含む)については、実施形態をまたいで同じ符号を使用するとともに再度の説明を省略することがある。
【0014】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る半導体モジュール1の構成
図1は、実施形態1に係る半導体モジュール1を説明するために示す図である。図1(a)は半導体モジュール1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA1-A1断面図である。
【0015】
実施形態1に係る半導体モジュール1は、図1に示すように、半導体チップ10、クリップ20、導電性接合材30A,30B、ダイパッドフレーム40、ダイパッド側接合材50及び別のクリップ60を備える。図示は省略するが、半導体モジュール1は上記したもの以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、半導体モジュール1は、外部に露出させる必要がある部分(端子等)以外の部分を封止する封止樹脂を備えることが好ましい。なお、本明細書における「半導体モジュール」は、半導体チップの機能により動作する装置とみることもできるため、当該観点から「半導体装置」ということもできる。以下、半導体モジュール1における個々の構成要素について説明する。
【0016】
半導体チップ10は、クリップ20に対応する電極パッド12A,12Bを有する。また、半導体チップ10は、別のクリップ60に対応する電極パッド14及びダイパッドフレーム40に対応する電極パッド(図示せず。)も有する。本明細書における「パッド」とは、接合材により他の構成要素と接合されるために設けられた構造又は部分のことをいい、「電極パッド」とは、導電性接合材により他の構成要素と電気的に接合されるために設けられた構造又は部分のことをいう。電極パッドの構造については広く知られている事項であるため詳しい説明は省略するが、半導体チップ10における電極パッド12A,12B,14は、パッシベーション膜16が形成されていない部分である。
【0017】
クリップ20、別のクリップ60及びダイパッドフレーム40は、それぞれ異なる接続先と電気的に接続されるべき部材である。実施形態1における半導体チップ10は3端子の半導体チップであり、具体的には3端子のMOSFETである。電極パッド12A,12Bはソースパッドであり、電極パッド14はゲートパッドであり、ダイパッドフレーム40に対応する電極パッドはドレインパッドである。なお、半導体チップ10としては、3端子のMOSFET以外のもの、例えば、IGBT、サイリスタ、その他適宜の素子を用いることもできる。
【0018】
本明細書においては、「接続先が同じ複数の電極パッドを有する」は、「同電位の電極パッドを複数有する」と表現することもできる。例えば、半導体チップがそれぞれ接続先の異なる電極パッドを一つずつ有している場合(従来の半導体モジュール901のような場合)には、本発明の要件を満たさない。
【0019】
クリップ20は、複数の電極パッド12A,12Bに対応する複数の接合部22A,22Bを有する。
【0020】
接合部22A,22Bは、電極パッド12A,12Bに向かって突出する部分を有する。クリップ20では、接合部22A,22Bにおいても他の部分と板厚が変わらないが、接合部22A,22Bの板厚は他の部分と異なっていても(例えば、厚くなっていても)よい。なお、接合部22A,22Bの重要部分である突出する部分が図1(a)の視点からは裏側に存在するため、図1(a)においては、接合部22A,22Bの符号の引き出し線を破線としている。別のクリップ60における接合部62や、後述する他の平面図の接合部についても、引き出し線の表示を接合部22A,22Bと同様としている。
【0021】
クリップ20は、平面的に見たときに、電流が流れる方向に対する幅が非連続的に変化する形状からなる。本明細書における「電流が流れる方向」は、クリップ全体を見た場合のものであって、半導体モジュールの電極パッドに対応する接合部から接続端子の先端に向かうおおよその方向のことをいう。クリップ20においては、幅が広い部分を主接続部24とし、幅が狭く先端Tが接続端子となっている部分を連結部26とする。連結部26の先端Tである接続端子は、半導体モジュール1とは異なる機器等と接続するためのものであってもよいし、半導体モジュール1内の他の構成要素と接続するためのものであってもよい。以後の説明においては、半導体モジュール1を平面視した場合において、半導体チップ10と主接続部24とが重なっている領域を第1領域R1とし、半導体チップ10と連結部26とが重なっている領域を第2領域R2とする。なお、図1の符号Lで示す破線は、第1領域R1と第2領域R2との境界を示すものである。
【0022】
本明細書における「平面視」はあくまで構成要素の位置関係を説明するための表現である。本発明の半導体モジュールにおいては、平面視を用いて説明する構成要素についても、実際の製品において外部から目視できることを要しない。
【0023】
導電性接合材30A,30Bは、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを接合する。導電性接合材30A,30Bによる接合の詳細については後述する。導電性接合材30A,30Bは、リフローによる処理が可能なはんだ(無鉛はんだ等を含む、広義のはんだ)であることが好ましい。
【0024】
電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとは、対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されている。半導体モジュール1においては、導電性接合材により接合されている電極パッド及び接合部は、第1領域R1及び第2領域R2の両方に存在する。つまり、第1領域R1においては、電極パッド12Aと接合部22Aとが導電性接合材30Aにより接合されており、第2領域R2においては、電極パッド12Bと接合部22Bとが導電性接合材30Bにより接合されている。接合部22Aと接合部22Bとの間には、導電性接合材が存在しない場所がある。
【0025】
ダイパッドフレーム40、ダイパッド側接合材50及び別のクリップ60としては広く知られているものを用いることができるため、それぞれ簡単な説明をするにとどめる。
【0026】
ダイパッドフレーム40は、半導体チップ10を載置するためのダイパッド42を有し、かつ、少なくとも一部が導電性の材料(例えば、銅)からなる板状の部材である。ダイパッドフレーム40は、半導体チップ10を載置する基台としての役割を有する。
【0027】
ダイパッド側接合材50は、ダイパッド42と半導体チップ10のダイパッドフレーム40に対応する電極パッドとを接合する。半導体モジュール1においては、ダイパッドフレーム40に対応する電極パッド(ドレインパッド)とダイパッド42とを電気的に接続する必要があるため、ダイパッド側接合材50は導電性接合材である必要がある。なお、ダイパッドフレーム(基台)と半導体チップとの間に電気的な接続が必要ない場合には、ダイパッド側接合材として導電性を有しないものを用いることもできる。
【0028】
別のクリップ60は、電極パッド14と導電性接合材(図示せず。)により接合されている接合部62を有する。接合部62の構造は、クリップ20の接合部22A,22Bと同様のものとすることができる。
【0029】
2.実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法
次に、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法について説明する。
図2は、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャートである。
図3は、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図である。図3(a)~(d)は各工程図である。図3は、図1(b)に対応する断面図である。
【0030】
実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法は、図2に示すように、接合準備工程S10及び接合工程S20を含む。以下、各工程について説明する。
【0031】
接合準備工程S10は、複数の電極パッド12A,12Bを有する半導体チップ10及び複数の電極パッド12A,12Bに対応する複数の接合部22A,22Bを有するクリップを準備し、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとの間に導電性接合材30A,30Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ20とを重ねて配置する工程である(図3参照。)。実施形態1においては、接合準備工程S10は、ダイパッドフレーム準備工程S12、半導体チップ配置工程S14及びクリップ配置工程S16を含む。
【0032】
ダイパッドフレーム準備工程S12は、半導体チップ10を載置するためのダイパッド42を有するダイパッドフレーム40を準備する工程である(図3(a)参照。)。
【0033】
半導体チップ配置工程S14は、ダイパッド42と半導体チップ10との間にダイパッド側接合材51を介在させた状態でダイパッド42と半導体チップ10とを重ねて配置する工程である(図3(b)参照。)。実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法においては、半導体チップ10の配置前にダイパッド側接合材51を配置(塗布)してもよいし、ダイパッドフレーム準備工程S12においてダイパッド42上にダイパッド側接合材51があらかじめ配置されているダイパッドフレーム40を準備してもよい。なお、ダイパッド側接合材51は、リフロー前の(固化していない)ダイパッド側接合材(例えば、クリームはんだ)である。
【0034】
クリップ配置工程S16は、導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ20とを重ねて配置する工程である(図3(c)参照。)。導電性接合材31A,31Bは、リフロー前の導電性接合材30A,30Bである。
【0035】
接合工程S20は、リフローにより電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合する工程である。接合工程S20においては、ダイパッドフレーム40及びクリップ20を位置固定した状態でリフローを実施する(図3(d)参照。)。図3(d)において符号Pで示すものは、リフロー中の位置固定を行うための治具(例えば、位置決めピン)である。リフロー後においては、当該治具による位置固定を解除する。
【0036】
以上の工程により、実施形態1に係る半導体モジュール1を製造することができる。
【0037】
3.実施形態1に係る半導体モジュール1及び半導体モジュールの製造方法の効果
以下、実施形態1に係る半導体モジュール1及び半導体モジュールの製造方法の効果について説明する。
【0038】
実施形態1に係る半導体モジュール1においては、複数の電極パッド12A,12Bを有する半導体チップ10と、複数の電極パッド12A,12Bに対応する複数の接合部22A,22Bを有するクリップ20とを備え、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとは対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されている。このため、製造工程におけるリフロー時に導電性接合材31A,31Bの溶融により発生した表面張力が、導電性接合材31A,31Bが存在する場所ごとに発生するようになる。従って、リフロー時に半導体チップ10やクリップ20を固定しない場合であっても、複数の場所で発生した表面張力のつり合いにより、半導体チップ10やクリップ20の姿勢を安定させること(いわゆるセルフアライメント)が可能となる。以上の理由により半導体チップ10やクリップ20の位置ずれや傾きが発生しにくくなることから、実施形態1に係る半導体モジュール1は、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。
【0039】
また、実施形態1に係る半導体モジュール1によれば、電極パッド12A,12B及び接合部22A,22Bの配置を分散させる(離隔させる)ことで、熱源の分散や放熱に有利な構造を形成しやすくすることが可能となり、その結果、熱応力の低減や構成要素(特に、樹脂封止がなされているときには封止樹脂)におけるクラック発生の抑制が可能となる。
【0040】
また、実施形態1に係る半導体モジュール1によれば、導電性接合材により接合されている電極パッド及び接合部は、第1領域R1(主接続部24側)及び第2領域R2(連結部26側)の両方に存在する(第1領域R1においては、電極パッド12Aと接合部22Aとが導電性接合材30Aにより接合されており、第2領域R2においては、電極パッド12Bと接合部22Bとが導電性接合材30Bにより接合されている)ため、従来の半導体モジュール901の構成よりも電極パッド及び接続部の総面積を増やすことで、オン抵抗の低減、放熱能力の向上、接続面積の増加を図ることが可能となる。
【0041】
また、実施形態1に係る半導体モジュール1によれば、半導体チップ10はMOSFETであり、電極パッド12A,12Bはソースパッドであるため、比較的大きな電流のやり取りがなされる側で構造の改善を図ることで、オン抵抗の一層の低減や放熱能力の一層の向上を図ることが可能となる。
【0042】
実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法によれば、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとの間に導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ20とを重ねて配置する接合準備工程S10と、リフローにより電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合する接合工程S20とを含むため、半導体チップ10やクリップ20の位置ずれや傾きを発生しにくくすることが可能となる。このため、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法は、品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法となる。
【0043】
また、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法によれば、導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ20とを重ねて配置してからリフローを実施するため、半導体チップ10を位置固定せずにリフローを実施しても、製造する半導体モジュール1の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
【0044】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る半導体モジュール2を説明するために示す図である。図4(a)は半導体モジュール2の平面図であり、図4(b)は半導体モジュール2の断面図である。図4(b)は、図1(b)に対応する断面図である。
【0045】
実施形態2に係る半導体モジュール2は、基本的には実施形態1に係る半導体モジュール1と同様の構成を有するが、リードフレームをさらに備える点で実施形態1に係る半導体モジュール1と異なる。また、半導体モジュール2においては、リードフレームを備える関係で、クリップの連結部も実施形態1に係る半導体モジュール1とは異なる形状となっている。
【0046】
半導体モジュール2は、図4に示すように、リードフレーム70を備える。リードフレーム70は実施形態1におけるクリップ20の連結部26の先端に相当する部材であり、例えば、外部接続用の端子又は回路の一部である。リードフレーム70はクリップ21を載置するためのリード側パッド72を有する。リードフレーム70は、クリップ21と同様の材料から構成することができる。
【0047】
クリップ21は、基本的には実施形態1におけるクリップ20と同様の構成を有するが、連結部27は先端側にリード接合部28を有する。リード接合部28はリード側パッド72と接合すべき部分であり、導電性の接合材であるリード側接合材74によりリード側パッド72と接合されている。
【0048】
次に、実施形態2に係る半導体モジュール2の製造方法について説明する。
図5は、実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャートである。
図6は、実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図である。図6(a)~(e)は、各工程図である。図6は、図1(b)に対応する断面図である。
【0049】
実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法は、基本的に実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法と同様の方法であるが、リードフレーム70が存在することに起因して、一部の工程が実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法とは異なるものとなっている。
【0050】
実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法は、図5に示すように、接合準備工程S30及び接合工程S40を含む。また、接合準備工程S30は、ダイパッドフレーム準備工程S32、リードフレーム準備工程S34、半導体チップ配置工程S36及びクリップ配置工程S38を含む。以下、各工程について説明する。
【0051】
ダイパッドフレーム準備工程S32は、実施形態1におけるダイパッドフレーム準備工程S12と同様の工程である(図6(a)参照。)。
【0052】
リードフレーム準備工程S34は、クリップを載置するためのリード側パッド72を有するリードフレーム70を準備する工程である(図6(b)参照。)。なお、リードフレーム準備工程S34は、ダイパッドフレーム準備工程S32より先又は同時に実施してもよく、半導体チップ配置工程S36と同時又はより後に実施してもよい。
【0053】
半導体チップ配置工程S36は、実施形態1における半導体チップ配置工程S14と同様の工程である(図6(c)参照。)。
【0054】
クリップ配置工程S38は、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとの間に導電性接合材31A,31Bを介在させ、かつ、リード側パッド72とクリップ21におけるリード側パッド72と接合すべき部分(リード接合部28)との間にリード側接合材75を介在させた状態で半導体チップ10及びリードフレーム70とクリップ21とを重ねて配置する工程である(図6(d)参照。)。実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法においては、クリップ21の配置前にリード側接合材75を配置(塗布)してもよいし、リードフレーム準備工程S34においてリード側パッド72上にリード側接合材75があらかじめ配置されているリードフレームを準備してもよい。なお、リード側接合材75は、リフロー前のリード側接合材74である。
【0055】
接合工程S40においては、ダイパッドフレーム40及びリードフレーム70を位置固定した状態でリフローを実施する(図6(e)参照。)。つまり、接合工程S40においては、半導体チップ10及びクリップ21を位置固定せずにリフローを実施する。
【0056】
実施形態2に係る半導体モジュール2は、リードフレームをさらに備える点等で実施形態1に係る半導体モジュール1とは異なるが、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとが対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されているため、実施形態1に係る半導体モジュール1と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。また、実施形態2に係る半導体モジュール2は、実施形態1に係る半導体モジュール1が有する効果のうち該当する効果も有する。
【0057】
実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法は、一部の工程が実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法とは異なるが、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとの間に導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ21とを重ねて配置する接合準備工程S30と、リフローにより電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合する接合工程S40とを含むため、実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法となる。
【0058】
また、実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法によれば、導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ21とを重ねて配置してからリフローを実施するため、半導体チップ10及びクリップ21を位置固定せずにリフローを実施しても、製造する半導体モジュール2の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
【0059】
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係る半導体モジュール3の断面図である。図7は、図1(b)に対応する断面図である。
【0060】
実施形態3に係る半導体モジュール3は、基本的には実施形態2に係る半導体モジュール2と同様の構成を有するが、ダイパッド側接合材が実施形態2に係る半導体モジュール2とは異なる。すなわち、半導体モジュール3におけるダイパッド側接合材52は、他の接合材(導電性接合材30A,30B及びリード側接合材74)よりも高融点のものである。
【0061】
次に、実施形態3に係る半導体モジュール3の製造方法について説明する。
図8は、実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法のフローチャートである。
図9は、実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために示す図である。図9(a)~(e)は各工程図である。図9は、図1(b)に対応する断面図である。
【0062】
実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法は、基本的に実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法と同様の方法であるが、製造する半導体モジュール3がダイパッド側接合材52を備えることに起因して、一部の工程が実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法とは異なるものとなっている。
【0063】
実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法は、図8に示すように、接合準備工程S50及び接合工程S60を含む。また、接合準備工程S50は、ダイパッドフレーム準備工程S52、半導体チップ接合工程S54、リードフレーム準備工程S56及びクリップ配置工程S58を含む。以下、各工程について説明する。
【0064】
ダイパッドフレーム準備工程S52は、実施形態2におけるダイパッドフレーム準備工程S32と同様の工程である(図9(a)参照。)。
【0065】
半導体チップ接合工程S54は、ダイパッドフレーム40と半導体チップ10とを接合する工程である(図9(b)参照。)。実施形態3においては、他の接合材(導電性接合材31A,31B及びリード側接合材75)よりも高融点のダイパッド側接合材52を用い、接合工程S60におけるリフローよりも高温でのリフローを実施することにより、ダイパッドフレーム40と半導体チップ10とを接合する。
【0066】
リードフレーム準備工程S56は、実施形態2におけるリードフレーム準備工程S34と同様の工程である(図9(c)参照。)。なお、リードフレーム準備工程S56は、これ以前に説明した工程と同時又はより先に実施してもよい。
【0067】
クリップ配置工程S58は、実施形態2におけるクリップ配置工程S38と同様の工程である(図9(d)参照。)。
【0068】
接合工程S60においては、ダイパッドフレーム40及びリードフレーム70を位置固定した状態でリフローを実施する(図9(e)参照。)。つまり、接合工程S60においては、クリップ21を位置固定せずにリフローを実施する。
【0069】
実施形態3に係る半導体モジュール3は、ダイパッド側接合材が実施形態2に係る半導体モジュール2とは異なるが、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとが対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されているため、実施形態2に係る半導体モジュール2と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。また、実施形態3に係る半導体モジュール3は、実施形態2に係る半導体モジュール2が有する効果のうち該当する効果も有する。
【0070】
実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法は、一部の工程が実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法とは異なるが、電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとの間に導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ21とを重ねて配置する接合準備工程S50と、リフローにより電極パッド12A,12Bと接合部22A,22Bとを対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合する接合工程S60とを含むため、実施形態2に係る半導体モジュールの製造方法と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な半導体モジュールの製造方法となる。
【0071】
また、実施形態3に係る半導体モジュールの製造方法よれば、導電性接合材31A,31Bを介在させた状態で半導体チップ10とクリップ21とを重ねて配置してからリフローを実施するため、クリップ21を位置固定せずにリフローを実施しても、製造する半導体モジュール3の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
【0072】
[実施形態4]
図10は、実施形態4に係る半導体モジュール4を説明するために示す図である。図10(a)は半導体モジュール4の平面図であり、図10(b)は半導体モジュール4の断面図である。図10(b)は図1(b)に対応する断面図である。
【0073】
実施形態4に係る半導体モジュール4は、基本的には実施形態1に係る半導体モジュール1と同様の構成を有するが、電極パッド及び接続部の数が実施形態1に係る半導体モジュール1とは異なる。すなわち、半導体モジュール4では、図10に示すように、第1領域R1においては、導電性接合材30Aにより接合されている電極パッド82A及び接合部92Aが複数組存在する。
【0074】
半導体モジュール4は、4つの電極パッド82Aを有する半導体チップ80及び主接続部94に4つの接合部92Aを有するクリップ90を備える。個々の電極パッド82A及び接合部92Aは、平面視したときの面積が小さい点以外については、実施形態1における電極パッド12A及び接合部22Aと同様の構成を有する。
【0075】
実施形態4に係る半導体モジュール4は、電極パッド及び接続部の数が実施形態1に係る半導体モジュール1とは異なるが、電極パッド82A,12Bと接合部92A,22Bとが対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されているため、実施形態1に係る半導体モジュール1と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。
【0076】
また、実施形態4に係る半導体モジュール4によれば、第1領域R1においては、導電性接合材30Aにより接合されている電極パッド82A及び接合部92Aが複数組存在するため、リフロー時に表面張力が発生する点の多点化や使用時における熱源の分散化を一層促進することが可能となる。
【0077】
なお、実施形態4に係る半導体モジュール4は、実施形態1に係る半導体モジュール1が有する効果のうち該当する効果も有する。
【0078】
[実施形態5]
図11は、実施形態5に係る半導体モジュール5の平面図である。
【0079】
実施形態5に係る半導体モジュール5は、基本的には実施形態4に係る半導体モジュール4と同様の構成を有するが、クリップに貫通孔が形成されている点で実施形態4に係る半導体モジュール4とは異なる。すなわち、半導体モジュール5では、図11に示すように、主接続部94においては、平面視したときに接合部92Aと重ならない位置に貫通孔96が形成されている。
【0080】
実施形態5に係る半導体モジュール5は、クリップに貫通孔が形成されている点で実施形態4に係る半導体モジュール4とは異なるが、電極パッド82A,12Bと接合部92A,22Bとが対応する一組ごとに導電性接合材30A,30Bで接合されているため、実施形態4に係る半導体モジュール4と同様に、品質のばらつきを抑制することが可能な構造を有する半導体モジュールとなる。
【0081】
また、実施形態5に係る半導体モジュール5によれば、主接続部94において、平面視したときに接合部92Aと重ならない位置に貫通孔96が形成されているため、表面積を大きくするとともに表面形状の凹凸を増やすことが可能となり、その結果、放熱性能や樹脂封止をおこなった際の樹脂の食いつきを向上させることが可能となる。
【0082】
なお、実施形態5に係る半導体モジュール5は、実施形態4に係る半導体モジュール4が有する効果のうち該当する効果も有する。
【0083】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0084】
(1)上記各実施形態において記載した形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。後述する各変形例についても同様である。
【0085】
(2)上記実施形態4,5においては、第1領域R1における電極パッド82A及び接合部92Aがそれぞれ4個存在する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図12は、変形例1に係る半導体モジュール6の平面図である。図13は、変形例2に係る半導体モジュール7の平面図である。変形例1に係る半導体モジュール6及び変形例2に係る半導体モジュール7においては、第1領域R1における電極パッド112A及び接合部122Aがそれぞれ15個存在する。
【0086】
ここで、変形例1に係る半導体モジュール6及び変形例2に係る半導体モジュール7について簡単に説明する。半導体モジュール6,7は、基本的には実施形態4,5で説明した半導体モジュール4,5と同様の構成を有するが、全体的に半導体モジュール4,5よりも大型であり、より多くの電極パッド及び接続部を有する。半導体モジュール6,7は、共通の構成要素として、半導体チップ110、導電性接合材(図示せず。)、ダイパッドフレーム140、ダイパッド側接合材(図示せず。)及び別のクリップ60を備える。また、半導体モジュール6のクリップ120及び半導体モジュール7のクリップ121は、共通の構造として、3つの連結部126を有する。これらの連結部126は、それぞれ半導体チップ110の電極パッド112Bと接合される接合部122Bを有する。半導体モジュール6のクリップ120においては貫通孔が形成されていない一方で、半導体モジュール7のクリップ121においては、主接続部124に8個の貫通孔128Aが形成されている。なお、図13においては、貫通孔128Aの位置をわかりやすくするために、電極パッド112A及び接合部122Aについての符号は紙面左上の1つについてのみ表示している。
【0087】
(3)上記実施形態5及び変形例2においては、平面視したときに四角形に見える貫通孔を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。貫通孔の形状は、適用する半導体モジュールごとに適当な形状とすることができ、平面視したときに円形、楕円形、多角形等、他の形状としてもよい。また、貫通孔を形成する位置や貫通孔の数についても、半導体モジュールごとに適当なものとすることができる。
【0088】
(4)上記各実施形態及び各変形例においては、半導体チップを載置する基台としてダイパッドフレームを用いた場合を例示して説明をおこなったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の半導体モジュールにおいては、半導体チップを載置する基台として、プリント基板等適宜の基板を用いてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,2,3,4,5,6,7…半導体モジュール、10,80,110…半導体チップ、12A,12B,14,82A,112A,112B…電極パッド、16…パッシベーション膜、20,21,90,120,121…クリップ、22A,22B,92A,122A,122B…接合部、24,94,124…主接続部、26,27,126…連結部、28…リード接合部、30A,30B…導電性接合材、31A,31B…(リフロー前の)導電性接合材、40,140…ダイパッドフレーム、42…ダイパッド、50,52…ダイパッド側接合材、51…(リフロー前の)ダイパッド側接合材、60…別のクリップ、62…(別のクリップの)接合部、70…リードフレーム、72…リード側パッド、74…リード側接合材、75…(リフロー前の)リード側接合材、96,128A…貫通孔、R1…第1領域、R2…第2領域、L…第1領域と第2領域との境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14