(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086693
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ケーソンの据え付け補助装置及び据え付け方法
(51)【国際特許分類】
E02D 23/00 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
E02D23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198847
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖之
(72)【発明者】
【氏名】松本 歩
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケーソンの位置を維持し、効率よく据え付け作業を行うことができるケーソンの据え付け補助装置及び据え付け方法の提供。
【解決手段】互いに接合されるケーソンを所定の位置に案内するための据え付け補助装置3は、一方のケーソン1の上面に載置される支持用梁材4と、支持用梁材4に支持され、一方のケーソン1の側面部に配置されるガイドユニット5,5とを備え、ガイドユニット5は、先端側が一方のケーソン1の接合端面より他方のケーソン側に向けて延出された案内用腕部9,9を備え、案内用腕部9,9を他方のケーソンの側面に沿わせるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合されるケーソンを所定の位置に案内するためのケーソンの据え付け補助装置であって、
何れか一方のケーソンの上面に載置される支持用梁材と、該支持用梁材に支持され、前記一方のケーソンの側面部に配置されるガイドユニットとを備え、
前記ガイドユニットは、先端側が前記一方のケーソンの接合端面より他方のケーソン側に向けて延出された案内用腕部を備え、該案内用腕部を他方のケーソンの側面に沿わせるようにしたことを特徴とするケーソンの据え付け補助装置。
【請求項2】
前記ガイドユニットは、上下方向に複数の案内用腕部を備え、該案内用腕部の少なくとも一が水中に配置されるようにした請求項1に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項3】
前記案内用腕部は、先端部に外側斜めに延出した誘導用傾斜部が形成されている請求項1又は2に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項4】
前記案内用腕部は、内側に前記他方のケーソンの側面に接するガイドローラが配置されている請求項1~3の何れか一に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項5】
前記案内用腕部の高さを調節する腕部高さ調節手段を備えた請求項1~4の何れか一に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項6】
前記支持用梁材に回動可能に支持された前記ガイドユニットを回動させるユニット回動手段を備え、前記ガイドユニットの角度を調整できるようにした請求項1~5の何れか一に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項7】
前記ガイドユニットは、前記一方のケーソンの両側面部に配置され、対向する一対の案内用腕部で前記他方のケーソンを挟み込むようにした請求項1~6の何れか一に記載のケーソンの据え付け補助装置。
【請求項8】
既設ケーソンと新設ケーソンとを所定の位置で接合させ、しかる後、新設ケーソンを地盤上に据え付けるケーソンの据え付け方法において、
前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の側面部に案内用腕部を有するガイドユニットを設置し、前記案内用腕部を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の接合端面より前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方側に突出させておき、
前記案内用腕部を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方の側面に沿わせて前記新設ケーソンを前記既設ケーソンに接合する位置まで誘導することを特徴とするケーソンの据え付け方法。
【請求項9】
前記ガイドユニットを前記前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の両側面部に配置し、一対の案内用腕部で前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方を挟み込み案内させる請求項8に記載のケーソンの据え付け方法。
【請求項10】
前記両ガイドユニットを支持用梁材の両端部に支持させた据え付け補助装置を使用し、該据え付け補助装置を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の所定位置に吊り下ろし、前記支持用梁材を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の上面に載置させて前記ガイドユニットを前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の側面部に配置する請求項9に記載のケーソンの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソンの据え付け作業を補助するケーソンの据え付け補助装置及び据え付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、岸壁や防波堤等の水中構造物の構築には、既設のケーソン(以下、既設ケーソンという)に新設のケーソン(以下、新設ケーソンという)を接合させて据え付け、連続した堤状に構築する工法が知られている。
【0003】
新設ケーソンを据え付けるには、先ず、新設ケーソンの据え付け位置から一定の距離をおいた水底にアンカーを設置し、新設ケーソン上に設置したウインチから繰り出されたワイヤをアンカーに連結する。
【0004】
次に、ウインチによってワイヤを繰り出し・巻取り動作させ、ケーソンの浮力を利用し、新設ケーソンを所定の位置、即ち、既設ケーソンとの接合位置まで誘導する。
【0005】
そして、新設ケーソンを所定の位置に移動させた後、ワイヤによって位置を保持した状態で新設ケーソン内に注水し、新設ケーソンを水底に着底させ据え付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、新設ケーソン内に注水し、水底に着底させる際、新設ケーソンの位置を保持するワイヤにカテナリー曲線状に弛みが生じているため、波風等の影響によって新設ケーソンの位置にズレが生じるおそれがあった。
【0008】
そのため、このような新設ケーソンの据え付け作業は、位置を微調整しながら新設ケーソンを降下させる必要があり、位置の微調整と注水とを繰り返し行うため、連続して注水することができず多大な時間を要するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、ケーソンの位置を維持し、効率よく据え付け作業を行うことができるケーソンの据え付け補助装置及び据え付け方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに接合されるケーソンを所定の位置に案内するためのケーソンの据え付け補助装置であって、何れか一方のケーソンの上面に載置される支持用梁材と、該支持用梁材に支持され、前記一方のケーソンの側面部に配置されるガイドユニットとを備え、前記ガイドユニットは、先端側が前記一方のケーソンの接合端面より他方のケーソン側に向けて延出された案内用腕部を備え、該案内用腕部を他方のケーソンの側面に沿わせるようにしたことにある。
【0011】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記ガイドユニットは、複数の案内用腕部を備え、該案内用腕部の少なくとも一が水中に配置されるようにしたことにある。
【0012】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記案内用腕部は、先端部に外側斜めに延出した誘導用傾斜部が形成されていることにある。
【0013】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1~3の何れか一の構成に加え、前記案内用腕部は、内側に前記他方のケーソンの側面に接するガイドローラが配置されていることにある。
【0014】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1~4の何れか一の構成に加え、前記案内用腕部の高さを調節する腕部高さ調節手段を備えたことにある。
【0015】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1~5の何れか一の構成に加え、前前記支持用梁材に回動可能に支持された前記ガイドユニットを回動させるユニット回動手段を備え、前記ガイドユニットの角度を調整できるようにしたことにある。
【0016】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項1~6の何れか一の構成に加え、前記ガイドユニットは、前記一方のケーソンの両側面部に配置され、対向する一対の案内用腕部で前記他方のケーソンを挟み込むようにしたことにある。
【0017】
請求項8に記載の発明の特徴は、既設ケーソンと新設ケーソンとを所定の位置で接合させ、しかる後、新設ケーソンを地盤上に据え付けるケーソンの据え付け方法において、前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の側面部に案内用腕部を有するガイドユニットを設置し、前記案内用腕部を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の接合端面より前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方側に突出させておき、前記案内用腕部を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方の側面に沿わせて前記新設ケーソンを前記既設ケーソンに接合する位置まで誘導することにある。
【0018】
請求項9に記載の発明の特徴は、請求項8の構成に加え、前記ガイドユニットを前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の両側面部に配置し、一対の案内用腕部で前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか他方を挟み込み案内させることにある。
【0019】
請求項10に記載の発明の特徴は、請求項9の構成に加え、前記両ガイドユニットを支持用梁材の両端部に支持させた据え付け補助装置を使用し、該据え付け補助装置を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の所定位置に吊り下ろし、前記支持用梁材を前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の上面に載置させて前記ガイドユニットを前記新設ケーソン又は前記既設ケーソンの何れか一方の側面部に配置することにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るケーソンの据え付け補助装置は、請求項1に記載の構成を具備することによって、接合される両ケーソンの相対位置を確実に保持し、効率よく新設ケーソンの据え付け作業を行うことができる。
【0021】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、波浪等の影響によるケーソンの位置ズレを防止し、複数の案内用腕部によって安定して新設ケーソンを案内することができる。
【0022】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、接合する両ケーソン間に水平方向で位置ズレが生じた場合に当該位置ズレを誘導用傾斜部に案内させることでズレを修正し、所定の接合位置に誘導することができる。
【0023】
さらにまた、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、案内用腕部の内側にケーソンを円滑に受け入れられ、ケーソンの側面を傷つけない。
【0024】
また、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、案内用腕部の高さを適切な位置にすることができる。
【0025】
さらに、本発明において、請求項6に記載の構成を具備することによって、回動腕部(ガイドローラー)を他方のケーソンの側面部に確実に接触させ、安定して誘導することができる。
【0026】
さらにまた、本発明において、請求項7に記載の構成を具備することによって、対向する一対の案内用腕部で他方のケーソンを挟み込むことで、他方のケーソンのケーソン幅方向の移動を確実に規制し、安定した状態で据え付け作業を行うことができる。
【0027】
本発明に係るケーソンの設置方法は、請求項8に記載の構成を具備することによって、接合される両ケーソンの相対位置を確実に保持し、効率よく新設ケーソンの据え付け作業を行うことができる。
【0028】
また、本発明において、請求項9に記載の構成を具備することによって、対向する一対の案内用腕部で他方のケーソンを挟み込むことで、他方のケーソンのケーソン幅方向の移動を確実に規制し、安定した状態で据え付け作業を行うことができる。
【0029】
また、本発明において、請求項10に記載の構成を具備することによって、ケーソンの両側部にガイドユニットを一括して設置することができ、使用後も一括して撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るケーソンの据え付け補助装置の一例を示す正面図である。
【
図5】
図1中のガイドユニット取付部分を示す拡大正面図である。
【
図6】
図2中の案内用腕部を示す拡大平面図である。
【
図7】
図4中のローラー取付部を示す拡大断面図である。
【
図8】同上のユニット回動手段によるガイドユニットの動作態様を示す拡大平面図である。
【
図9】本発明に係るケーソンの据え付け方法における据え付け補助装置設置作業の状態を示す正面図である。
【
図10】本発明に係るケーソンの据え付け方法における据え付け補助装置設置作業の状態を示す側面図である。
【
図11】同上のケーソン据え付け作業時の状態を示す平面図である。
【
図13】本発明に係るケーソンの据え付け補助装置の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明に係るケーソンの据え付け補助装置の実施態様を
図1~
図8に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は既設ケーソン、符号2は新設ケーソン、符号3はケーソンの据え付け作業を補助する据え付け補助装置である。
【0032】
尚、本実施例では、ケーソン上面における接合端面と直交する方向を法線方向、法線方向と直交する水平方向をケーソン幅方向というものとする。
【0033】
このケーソンの据え付け補助装置3は、一方のケーソン(本実施例では既設ケーソン1)の上面に載置される支持用梁材4と、支持用梁材4に支持され、既設ケーソン1の側面部に配置されるガイドユニット5,5とを備え、ガイドユニット5,5によって他方のケーソン(本実施例では新設ケーソン2)を所定の位置に案内するようになっている。
【0034】
支持用梁材4は、複数のH型鋼からなる梁部材4a,4a…を長手方向に連結してケーソン幅より長い梁状に形成されている。
【0035】
この支持用梁材4は、同一長さ又は長さの異なる複数の梁部材4a,4a…を既設ケーソン1の幅に合わせて適宜組み合わせて連結することによって複数種のケーソン幅に対応できるようになっている。尚、この支持用梁材4は、一のH型鋼等によって一体に形成されたものであってもよい。
【0036】
また、支持用梁材4には、その両側部にガイドユニット5,5が腕部高さ調節手段6を介して上下動可能且つ回動可能に支持されており、支持用梁材4が既設ケーソン1の上面に載置されることにより、両ガイドユニット5,5が既設ケーソン1の側面部に配置されるようになっている。
【0037】
図中符号7は、既設ケーソン1の上面にケーソン幅方向に間隔をおいて設置された支持駒であり、この支持駒7,7…を介して支持用梁材4が既設ケーソン1の上面に載置されている。
【0038】
尚、支持用梁材4は、支持駒7を用いずに直接ケーソン1の上面に載置させてもよいが、ケーソンの四隅に設置された吊ピースから引き出されるアンカーワイヤーに支持用梁材4が干渉しないようにするために支持駒7,7…を用いることが望ましい。
【0039】
支持駒7は、金属材によってブロック状に形成され、ケーソン上面の隔壁用蓋部に溶接で固定できるようになっている。尚、支持駒7は、金属製に限定されず、その他の材料によって構成してもよい。
【0040】
ガイドユニット5,5は、腕部高さ調節手段6を介して支持用梁材4に上下動可能且つ水平方向で回動可能に支持された腕部支持部材8と、腕部支持部材8に支持された案内用腕部9,9とを備え、支持用梁材4を既設ケーソン1の所定の位置に載置することによって、案内用腕部9,9の先端側が既設ケーソン1の接合端面1aより他方のケーソン2側に向けて延出されるようになっている。
【0041】
腕部高さ調節手段6は、例えば、キリンジャッキ等の伸縮可能なジャッキ装置によって構成され、ジャッキ装置の伸縮によって腕部支持部材8に支持された案内用腕部9,9の高さを調整できるようになっている。
【0042】
また、本実施例では、腕部高さ調節手段6を構成するキリンジャッキ等のジャッキ装置の中心軸を回動軸としてガイドユニット5が水平方向に回動できるようになっている。尚、ガイドユニット5を支持用梁材4に水平方向で回動可能に支持させる構造を腕部高さ調節手段6と別個に設置してもよい。
【0043】
腕部支持部材8は、H型鋼等の棒状部材によって構成され、長手方向を上下に向けて上端部が腕部高さ調節手段6に固定され、その外側面に複数の案内用腕部9,9が上下方向に間隔をおいて支持されている。
【0044】
案内用腕部9,9は、H型鋼等の棒状部材によって構成され、水平又は所定の角度に傾けて腕部支持部材8の外側面の所定の位置にボルト止め等によって固定され、装置を既設ケーソン1の所定位置に設置した際に先端側が他方のケーソン2側に延出するようになっている。
【0045】
尚、上下に配置された複数の案内用腕部9,9は、少なくとも一が水中に配置されるように固定位置が設定されている。
【0046】
各案内用腕部9,9の先端部内側には、複数のガイドローラ13,13が長手方向に間隔をおいて配置され、両ケーソン1,2を接合する際に他方のケーソン2の側面に接するようになっている。
【0047】
一方、各案内用腕部9,9の後端部内側には、ガイドユニット5を回動させるユニット回動手段14を備えている。
【0048】
このユニット回動手段14は、案内用腕部9,9の内側面に固定される1又は複数のH型鋼からなる幅調節駒14aと、幅調節駒14aとケーソン側面との間に介在されるエアジャッキ等のジャッキ装置14bとを備え、ケーソンの両側部に配置された各ジャッキ装置14bを動作させることによって、装置全体をケーソン1の中心に対し略線対称となる位置に位置決めすることができる。
【0049】
また、ガイドユニット5は、
図8に示すように、腕部高さ調節手段6を介して支持用梁材4に水平方向で回動可能に支持されているので、ジャッキ装置14の動作によってガイドユニット5が回動し、ガイドユニット5(案内用腕部9,9)の水平方向角度を調節することができる。
【0050】
ガイドローラ13,13は、
図6、
図7に示すように、上下に間隔をおいて対向する一対の軸受け板13a,13aと、両軸受け板13a,13aに両端が支持された縦向きの回転軸13bと、回転軸13b,13bに支持された回転自在のローラ13c,13cとを備え、案内用腕部9,9の内側面に固定台13dを介して固定されている。
【0051】
次に、上述のケーソンの据え付け補助装置3を使用したケーソンの据え付け方法について
図9~
図12の実施例を基に説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
本発明方法によって新設ケーソン2を据え付けるには、先ず、据付け補助装置3の支持用梁材4の位置に合わせて既設ケーソン1の接合端部上面にケーソン幅方向に間隔をおいて複数の支持駒7,7…を設置する。
【0053】
次に、
図9、
図10に示すように、クレーンで吊り上げた据え付け補助装置3を既設ケーソン1の接合端部上方に移動させ、位置を合わせて据え付け補助装置3を吊り下ろし、支持駒7,7…を介して支持用梁材4を既設ケーソン1の上面に載置させる。
【0054】
このように支持用梁材4を既設ケーソン1上の所定の位置に載置することによって、両ガイドユニット5,5が既設ケーソン1の両側面部にそれぞれ配置され、各案内用腕部9,9の先端側が既設ケーソン1の接合端面より新設ケーソン2側に突出された状態となる。
【0055】
この状態で、ユニット回動手段14を構成する既設ケーソン1の両側部に配置された各ジャッキ装置14bを動作させると、装置全体が既設ケーソン1の中心に対し略線対称となる位置よりずれた位置にある場合、案内用腕部9,9が既設ケーソン1の側面に反力をとってジャッキに押圧され、装置全体がケーソン幅方向で移動し、既設ケーソン1の中心に対し部略線対称となる位置に位置決めされる。また、ジャッキ装置14bを動作させることで支持用梁材4に回動可能に支持されたガイドユニット5が回動し、案内用腕部9,9間の向きを調整することができる。
【0056】
次に、
図11、
図12に示すように、浮力によって浮かせた状態の新設ケーソン2を移動手段(図示せず)によって既設ケーソン1側に移動させ、水平方向で対向する一対の案内用腕部9,9間に引き入れる。
【0057】
尚、移動手段には、例えば、新設ケーソン2の据え付け位置から一定の距離をおいた水底に設置されたアンカーと、新設ケーソン2上に設置したウインチとを備え、ウインチから繰り出されたワイヤをアンカーに連結し、ウインチによってワイヤを繰り出し・巻取り動作させ、新設ケーソン2を所定の位置、即ち、既設ケーソン1との接合位置まで誘導するものを使用する。また、移動手段には、起重機船のクレーン、スラスタ―等を用いてもよいし、新設ケーソン2を押し船で既設ケーソン1側に押してもよい。
【0058】
次に、案内用腕部9,9間に新設ケーソン2を引き入れた後、
図8に示すように、ユニット回動手段14を構成するジャッキ装置14を動作させ、両ガイドユニット5を互いに先端側が近づく方向に回動させ、ガイドローラ―13,13を新設ケーソン2の側面に接触させ、両ガイドユニット5,5間に新設ケーソン2を拘束する。
【0059】
この状態では、ガイドローラ13,13が新設ケーソン2の側面に接触し、新設ケーソン2がケーソン幅方向の適正な位置に誘導されるので、この状態で案内用腕部9,9に案内させながら新設ケーソン2を既設ケーソン1との接合位置まで移動させる。
【0060】
その際、新設ケーソン2は、水平方向で対向する両案内用腕部9,9によってケーソン幅方向の移動が規制されるので、既設ケーソン1との適正な接合位置に誘導される。
【0061】
次に、新設ケーソン2が所定の位置で既設ケーソン1に接合されたら、新設ケーソン2内に注水し、新設ケーソン2を水底に着底させ据え付ける。
【0062】
その際、新設ケーソン2は、水平方向で対向する案内用腕部9,9によってケーソン幅方向の移動が規制されているので、注水中に新設ケーソン2が波風の影響を受けても位置ズレすることがなく、位置の微調整を必要としないので連続して注水を行うことができる。
【0063】
そして、新設ケーソン2の据え付けが完了した後、据付け補助装置3をクレーンによって吊り上げて撤去し、作業が完了する。
【0064】
尚、据付け補助装置3の態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、
図13に示すように、案内用腕部9,9の先端部に外側斜めに延出した誘導用傾斜部9aが形成されたものであってもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
この据付け補助装置では、誘導用傾斜部9aの内側にガイドローラ13,13が設けられ、新設ケーソン2と既設ケーソン1との間にケーソン幅方向で位置ズレが生じている場合に、誘導用傾斜部9aに新設ケーソン2を案内させることによって新設ケーソン2を適正な位置に誘導できるようになっている。
【0066】
尚、上述の実施例では、据付け補助装置3を既設ケーソン1に設置する場合について説明したが、新設ケーソン2に据付け補助装置3を設置し、既設ケーソン1と新設ケーソン2とを接合させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 既設ケーソン
1a 接合端面
2 新設ケーソン
3 据え付け補助装置
4 支持用梁材
4a 梁部材
5 ガイドユニット
6 腕部高さ調節手段
7 支持駒
8 腕部支持部材
9 案内用腕部
9a 誘導用傾斜部
10 回動軸
11 ウインチ
12 操作ワイヤ
13 ガイドローラ
13a 軸受け板
13b 回転軸
13c ローラ
13d 固定台
14 ユニット回動手段
14a 幅調節駒
14b ジャッキ装置