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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086718
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】壁面収納ユニット及び壁面収納装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20220602BHJP
   A47B 46/00 20060101ALI20220602BHJP
   A47B 96/02 20060101ALI20220602BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20220602BHJP
   E05C 17/30 20060101ALI20220602BHJP
   E05C 17/32 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
E04F19/08 102K
A47B46/00 501E
A47B96/02 J
A47B96/02 K
A47B96/18 B
A47B96/18 G
E05C17/30
E05C17/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198889
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 舞帆
(57)【要約】
【課題】棚の前端部に回動可能な可動部16が設けられた壁面収納ユニットUの高さが高くなくても水平位置にある可動部16の奥行きを大に確保できるようにする。
【解決手段】収納本体1に、第1棚板11とそれよりも高い第2棚板12とが固定され、両棚板11,12は、収納本体1内に固定された固定部15と、その前端部に水平左右方向の軸心回りに回動可能に支持された可動部16とを有する。可動部16は、固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から上方に延びる垂直位置との間で回動可能とされている。第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きdは、第1及び第2棚板11,12の上面間の高さの差h2-h1よりも大きく、両棚板11,12の可動部16が垂直位置にあるときに、第1棚板11の可動部16の一部が第2棚板12の可動部16に前側から重なるようにする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも左右の側板を有し前側に開口する収納本体に、第1棚板と、該第1棚板よりも高い位置に位置する第2棚板とが各棚板の一部を収納本体の内部に配置した状態で固定され、
上記第1及び第2棚板は、上記収納本体内に固定された固定部と、該固定部の前端部に水平左右方向の軸心回りに回動可能に支持された可動部とを有し、
上記第1及び第2棚板の可動部は、固定部と略面一に連続するように収納本体の前側に突出する水平位置と、固定部の前端部から上方に延びる垂直位置との間で回動可能とされ、
上記第1棚板の可動部の前後方向の奥行きは、第1及び第2棚板の上面間の高さの差よりも大きく、
上記第1及び第2棚板の可動部が垂直位置にあるときに、第1棚板の可動部の少なくとも一部が第2棚板の可動部に前側から重なっていることを特徴とする壁面収納ユニット。
【請求項2】
請求項1の壁面収納ユニットにおいて、
第1棚板の可動部の左右幅は収納本体の側板外面間の間隔と同じか該間隔よりも大きく、
第2棚板の可動部の左右幅は収納本体の側板内面間の間隔よりも小さいことを特徴とする壁面収納ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2の壁面収納ユニットにおいて、
収納本体において第2棚板の上側に、該第2棚板と同じ構成の少なくとも1枚の第3棚板が第2棚板と同じ構造で固定されていることを特徴とする壁面収納ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの壁面収納ユニットにおいて、
第1及び第2棚板は、可動部が水平位置にあるときに机板となることを特徴とする壁面収納ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの壁面収納ユニットにおいて、
第1棚板の可動部が水平位置に回動したときに該可動部を水平位置に保持するストッパ部材が設けられていることを特徴とする壁面収納ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、
壁面収納ユニットの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成していることを特徴とする壁面収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面収納ユニット及びその壁面収納ユニットが組み込まれた壁面収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁面収納ユニットとして、特許文献1に示されるようにヒナ壇構造体と名付けられたものが知られている。このヒナ壇構造体は、壁体に支持されかつ上下に2段の棚を有する側部構造体と、その前側に設けられ、側部構造体の前側開口を開閉する正面扉とを備えている。2段の棚は、いずれもその前端部に垂直位置(起立位置)及び水平位置の間を回動可能に支持された内部扉としての可動部を有し、この可動部(内部扉)は垂直位置で、正面扉の内部で棚間の開口を閉じるか又は棚の前側を覆い、水平位置では棚の前側に面一状に延びて棚の大きさを拡げるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3137056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構造では、水平位置で棚板の役割を果たしている複数の可動部(内部扉)は、垂直位置では上下に隣接して、棚間の開口を閉じ或いは棚の前側を覆うようになっている。このように水平位置で棚の大きさを拡大する可動部の構造に着目し、棚を例えば机の用途等に用いるために可動部の奥行き(前後長さ)を大きくした場合、それに伴い垂直位置の可動部の高さが高くなり、収納装置全体の高さが高くなってしまうのは避けなれないという問題が生じることとなる。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、棚の前端部に回動可能な可動部が設けられた壁面収納ユニットの構造に工夫を加えることにより、可動部の奥行きが大きい場合であっても、収納ユニットの高さ位置を大きくすることなく、その可動部を起立位置で収納ユニットに配置できるようにし、もって収納ユニットの高さが高くなくても水平位置にある可動部の奥行きを大に確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく、この発明では、上下2段の棚がある場合、各棚の先端部に支持されている可動部を起立状態では重ねて収容するようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明に係る壁面収納ユニットは、少なくとも左右の側板を有し前側に開口する収納本体に、第1棚板と、該第1棚板よりも高い位置に位置する第2棚板とが各棚板の一部を収納本体の内部に配置した状態で固定され、上記第1及び第2棚板は、上記収納本体内に固定された固定部と、該固定部の前端部に水平左右方向の軸心回りに回動可能に支持された可動部とを有し、上記第1及び第2棚板の可動部は、固定部と面一に連続するように収納本体の前側に突出する水平位置と、固定部の前端部から上方に延びる垂直位置との間で回動可能とされ、上記第1棚板の可動部の前後方向の奥行きは、第1及び第2棚板の上面間の高さの差よりも大きく、上記第1及び第2棚板の可動部が垂直位置にあるときに、第1棚板の可動部の少なくとも一部が第2棚板の可動部に前側から重なっていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明では、収納本体に固定された第1及び第2棚板が共に、収納本体内に固定された固定部と、その固定部の前端部に回動可能に支持された可動部とを有し、これら第1及び第2棚板のうち、下側の第1棚板の可動部の前後方向の奥行きが、第1及び第2棚板の上面間の高さの差よりも大きいので、両棚板の可動部が垂直位置にある状態では、第1棚板の可動部の少なくとも一部が第2棚板の可動部に前側から重なることになる。このような重なり状態の配置により、下側の第1棚板の可動部の奥行きを大きくしても、その垂直位置での配置のために収納本体(壁面収納ユニット)の高さを大きくする必要がなく、換言すれば収納本体の高さを低く保ったままで第1棚板の可動部の奥行きを大に確保することができ、壁面収納ユニットのコンパクト化と第1棚板の拡大化とを併せ図ることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の壁面収納ユニットにおいて、第1棚板の可動部の左右幅は収納本体の側板外面間の間隔と同じか該間隔よりも大きく、第2棚板の可動部の左右幅は収納本体の側板内面間の間隔よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
この第2の発明では、第2棚板の可動部の左右幅が収納本体の側板内面間の間隔よりも小さいので、その可動部は垂直位置で収納本体の内部に収容される。一方、第1棚板の可動部の左右幅は収納本体の側板外面間の間隔と同じかそれよりも大きいので、その可動部の垂直位置では該可動部が収納本体の前側に配置される。このことで、壁面収納ユニット全体の奥行きを大きくすることなく、両棚板の可動部の垂直位置での重なり構造が容易に得られ、その構造を簡略にすることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、収納本体において第2棚板の上側に、該第2棚板と同じ構成の少なくとも1枚の第3棚板が第2棚板と同じ構造で固定されていることを特徴とする。
【0012】
この第3の発明では、第2棚板の上側に、その第2棚板と同じ構成の第3棚板が設けられることとなり、可動部のある3段以上の棚板を備えた棚構造が得られる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つの壁面収納ユニットにおいて、第1及び第2棚板は、可動部が水平位置にあるときに机板となることを特徴とする。
【0014】
この第4の発明では、第1及び第2棚板の可動部が水平位置にあるときに、第1及び第2棚板はいずれも机板となり、第1及び第2棚板を机として使用することができる。特に、下側の第1棚板の可動部の奥行きを大きくすることができるので、高さの低いコンパクトな壁面収納ユニットでありながら大きな机を設置することができる。
【0015】
また、高さの異なる第1及び第2棚板を机として使用する場合には、例えば低い方の第1棚板を、使用者が椅子に座って作業をする着座位置用の机として使用し、一方、高い方の第2棚板は、使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができ、2種類の机を使い分けることで、利便性が向上する。
【0016】
第5の発明は、第1~第4の発明のいずれか1つの壁面収納ユニットにおいて、第1棚板の可動部が水平位置に回動したときに該可動部を水平位置に保持するストッパ部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この第5の発明では、第1棚板の水平位置にある可動部がストッパ部材により水平位置に固定保持されるので、可動部の水平位置への固定保持が安定して確実に行われ、水平位置にある可動部に荷重がかかっても可動部が必要以上に傾くことはなくなり、耐久性が向上し、安定した使用感も得られる。
【0018】
第6の発明は、第1~第5の発明のいずれか1つの壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、この壁面収納装置は、壁面収納ユニットの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成していることを特徴とする。尚、複数の壁面収納ユニットが左右に隣接して施工される場合に、隣接する両壁面収納ユニットの側板が2枚重ねで配置されるが、その構造でも2枚重ねの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成する。
【0019】
この第6の発明では、壁面に施工される壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットが組み込まれるように施工され、そのときに壁面収納ユニットの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成している。このことで、壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットを容易に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によると、壁面収納ユニットの収納本体に設けられる上下の棚板を、収納本体内に固定された固定部と、その固定部の前端部に回動可能に支持された可動部とを有する構造とし、下側の棚板の可動部の前後方向の奥行きを、上下の両棚板の上面間の高さの差よりも大きくして、両棚板の可動部が起立状態の垂直位置にあるときに、下側棚板の可動部の少なくとも一部が上側棚板の可動部に前側から重なるようにしたことにより、収納本体の高さを低く保ったままで下側の棚板の可動部の奥行きを大に確保して、壁面収納ユニットのコンパクト化と棚板の拡大化とを併せ図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置の斜視図である。
図2図2は、壁面収納ユニットの棚板の可動部を水平位置にしかつ上部扉を開いた状態を示す図1相当図である。
図3図3は、収納本体から第1棚板の可動部、中間扉の可動部及び上部扉を取り外した状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
図4図4は、第1及び第2棚板並びに中間扉の可動部を上下位置にし、上部扉を閉じた状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
図5図5は、第1及び第2棚板並びに中間扉の可動部を上下位置にし、上部扉を閉じた状態を示す壁面収納ユニットの側面図である。
図6図6は、第1及び第2棚板並びに中間扉の可動部を水平位置にし、上部扉を閉じた状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
図7図7は、第1及び第2棚板並びに中間扉の可動部を水平位置にし、上部扉を閉じた状態を示す壁面収納ユニットの側面図である。
図8図8は、第1及び第2棚板並びに中間扉の可動部を水平位置にし、上部扉を閉じた状態を示す壁面収納ユニットの平面図である。
図9図9は、第1及び第2棚板の大きさを示すための平面図であり、図9(a)は第1棚板を示す図、図9(b)は第2棚板を示す図である。
図10図10は、図6のX-X線断面図である。
図11図11は、図4のXI-XI線断面図である。
図12図12は、中間扉の可動部のみを水平位置にした状態を示す図11相当図である。
図13図13は、第1棚板の可動部のみを水平位置にした状態を示す図11相当図である。
図14図14は、中間扉及び第1棚板の可動部を水平位置にした状態を示す図11相当図である。
図15図15は、第1及び第2棚板の可動部の固定部に対する連結支持構造を示す斜視図である。
図16図16は、中間扉の可動部の固定部に対する連結支持構造を示す側面図である。
図17図17は、実施形態2に係る壁面収納ユニットを示す図11相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0023】
(実施形態1)
図1及び図2は本発明の実施形態に係る壁面収納装置Aを示し、この壁面収納装置Aは、建物の室内等の壁Wにおいて天井Cと床Fとの間の全体に亘って施工されている。尚、壁面収納装置Aは壁Wの一部に施工されていてもよい。本発明及び本実施形態では、壁Wに向かって手前側を「前」に、また奥側を「後」に、さらに左側を「左」に、また右側を「右」にそれぞれ定義して説明する。
【0024】
上記壁面収納装置Aは公知構造のものであり、図示しないが、壁W面上において垂直上下方向に延びる複数の間仕切り板と、水平左右方向に延びる上下複数段の棚板、天板及び底板とが交差して連結され、それらで仕切られた空間が収納空間とされている。
【0025】
上記壁面収納装置Aには、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されている。壁面収納ユニットUは、例えば幅が740mm、高さが1975~2025mm、奥行きが150mmの縦長形状の薄型のものとされ、その下端部が例えば床Fに接した状態で組み込まれている(図3図7図10図14参照)。このことで、壁面収納ユニットUが組み込まれる壁面収納装置Aも薄型とされている。
【0026】
図3図8図10図14に示すように、壁面収納ユニットUは前側に開口する矩形箱状の収納本体1を備えている。詳しくは、この収納本体1は、後側(壁W側)に位置する例えば矩形状の背板2と、その背板2前面の左右両側部に互いに対向するように配置されて連結された上下方向に延びる左右の側板3,3と、両側板3,3の上端部間に連結された天板4と、両側板3,3の下端部間に連結された底板5とを有し、これらが矩形箱状に組み立てられている。そして、壁面収納ユニットUが上記壁面収納装置Aに組み込まれた構造では、収納本体1の左右の側板3,3は壁面収納装置Aの間仕切り板を構成し、天板4は壁面収納装置Aの棚板を、また底板5は壁面収納装置Aの底板をそれぞれ構成している。背板2は壁面収納装置Aの背板と共用されていてもよい。
【0027】
壁面収納ユニットUの収納本体1には、左右水平方向に延びる例えば上下4枚の棚板7,8,11,12と中間扉13とが配置されている。収納本体1内で底板5近くの下端部寄り位置に下端棚板7が、また天板4近くの上端部寄り位置に上端棚板8がそれぞれ配置され、これらの棚板7,8は左右の側板3,3に固定されるか、或いはダボによる連結構造等により高さ位置を変更可能に支持されている。
【0028】
収納本体1には、その上下高さの中央よりもやや下側の位置に第1棚板11が、またこの第1棚板11よりも高い上側の位置に第2棚板12が、さらにこの第2棚板12よりも上側の位置に中間扉13がそれぞれ配置されている。図10に示すように、床F上面からの第1棚板11の上面の高さh1は例えばh1=720.5mmに、また第2棚板12の上面の同高さh2は例えばh2=950.5mmに、さらに中間扉13の上面の同高さは例えば1432mmにそれぞれ設定されている。
【0029】
第1及び第2棚板11,12並びに中間扉13は、各々の一部(後部)を収納本体1の内部に配置した状態で該収納本体1に固定されている。すなわち、これらの棚板11,12及び中間扉13はいずれも折り曲げタイプのものであり、収納本体1内に配置されて固定された固定部15と、この固定部15の前端部に水平左右方向の軸心回りに回動可能に基端部で支持された可動部16とを有する(固定部15及び可動部16は棚板11,12及び中間扉13で同じ符号を付して説明する)。第1及び第2棚板11,12の可動部16,16は、固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から上方に垂直に延びる上下位置(起立位置)との間の90°の角度範囲で回動可能とされている。また、中間扉13の可動部16は、固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から下方に垂直に延びる上下位置(垂れ下がり位置)との間の90°の角度範囲で回動可能とされている。
【0030】
図15に示すように、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は固定部15に対し、固定部15の前端部上面と可動部16の基端部との間に取り付けた例えば左右複数の丁番18,18,…(図15では右側のみ示す)により水平左右方向の軸心回りに回動可能に連結されている。また、可動部16の基端側左右端部の後端寄り位置と、左右側板3,3の内面で固定部15よりも高い位置(第2扉板12では後述する取付プレート6)との間には伸縮可能なダウンステー19,19(図15では右側のみ示す)が連結されており、可動部16が垂直位置から水平位置に回動するのに伴ってダウンステー19,19が伸長し、その伸長端状態になったときのロック保持により可動部16が水平位置に固定され、可動部16と固定部15とが各々の上面を面一にして1枚の板状に連続する一方、可動部16が水平位置から垂直位置に回動すると、ダウンステー19,19が折れ曲がりながら収縮するようになっている。
【0031】
上記第1棚板11の可動部16に連結される各ダウンステー19は、側板3の内面に取付固定されているが、第2棚板12の可動部16に連結される各ダウンステー19にあっては、後述するようにその可動部16の左右幅L2が固定部15の左右幅よりも小さいので、側板3の内面ではなく、その側板3の内面に所定厚さの取付プレート6を固定して、その各取付プレート6に取付固定されている(図15は取付プレート6への取付構造を示していない)。
【0032】
また、図16に示すように、中間扉13の可動部16は固定部15に対し、固定部15の前端部下面と可動部16の基端部との間に取り付けた左右複数の丁番21,21,…(図16で1つのみ示す)により水平左右方向の軸心回りに回動可能に連結されている。また、可動部16の基端側左右端部の後端寄り位置と、左右側板3,3の内面において固定部15よりも低い位置との間には折れ曲がり可能なリッドステー22,22(図16では一方のみ示す)が連結されており、可動部16が垂直位置から水平位置に回動するのに伴って各リッドステー22が伸長し、その伸長端状態になったときのロック保持により可動部16が水平位置に固定され、可動部16と固定部15とが各々の上面を面一にして1枚の板状に連続する一方、可動部16が水平位置から垂直位置に回動すると、各リッドステー22が折れ曲がりながら収縮するようになっている。
【0033】
上記第1及び第2棚板11,12並びに中間扉13は、その固定部15及び可動部16の大きさに違いがある。図8図9にも示すように、第1棚板11及び中間扉13の固定部15の左右幅は収納本体1の側板3,3の内面間の間隔と同じであり、奥行きは収納本体1の側板3,3の奥行きと同じであるが、可動部16の左右幅は固定部15の左右幅とは異なっている。図9(a)に示すように、第1棚板11の可動部16の左右幅L1は収納本体1の左右の側板3,3の外面間の間隔(左右幅)と同じである。また、図示しないが、中間扉13の可動部16の左右幅も収納本体1の左右の側板3,3の外面間の間隔と同じである。そのため、その可動部16は収納本体1の前側で回動し、図5及び図11に示すように、可動部16が垂直位置にあるときに、その後ろ向きの面、つまり第1棚板11では水平位置にあるときの可動部16上面、中間扉13では水平位置にあるときの可動部16下面が収納本体1の側板3,3の前端面に被さって当接するようになり、これにより、収納ユニットUの前面が扉(第1棚板11及び中間扉13の可動部16,16)を閉じた際にフラットになり、収納ユニットUの外観見映えが良くなる。尚、第1棚板11及び中間扉13の可動部16の左右幅L1を収納本体1の左右の側板3,3の外面間の左右幅よりも少し大きくすることもできる。
【0034】
これに対し、第2棚板12の固定部15の左右幅は収納本体1の側板3,3間の間隔と同じであるが、奥行きは収納本体1の側板3,3の奥行きよりも少し小さく、その固定部15の前端面は側板3,3の前端面よりも後側に引っ込んでいて、その前端面の前側にスペースが生じている(図10図11参照)。また、図9(b)に示すように、第2棚板12の可動部16の左右幅L2は収納本体1の左右の側板3,3の内面間の間隔(収納本体1の開口幅)よりも少し小さく、その可動部16は収納本体1内の前端部で回動し、図11に示すように、垂直位置にある可動部16は収納本体1の左右の側板3,3間に入り込んで側板3,3の前端面と平行になるように固定部15前側の上記スペースに位置し、その後ろ向きになる面(水平位置にあるときの上面)が固定部15前端面に当接ないし近接するようになっている。
【0035】
図示しないが、上記収納本体1の側板3,3の前端面には、第1棚板11の固定部15と同じか略同じ高さ位置に、硬質の樹脂やゴム等からなるストッパ部材が取付固定されている。このストッパ部材は、第1棚板11の可動部16が水平位置にあるときに、その後端面(木口面)に当接して側板3前端面との間に挟み込まれることで、第1棚板11の可動部16が水平位置に回動したときに該可動部16を水平位置に保持するようになっている。尚、第2棚板12についても、同様の構造のストッパ部材を設けてもよい。
【0036】
図10に示すように、上記第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きdは例えばd=399.5mmで、第2棚板12の可動部16の同奥行き(例えば395mm)よりも少し大きく、中間扉13の可動部16の同奥行きは例えば282mmで、第2棚板12の可動部16の奥行きよりも小さくなっている。
【0037】
そして、同じ図10に示すように、上記第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きdは、第1及び第2棚板11,12の上面間の高さの差h2-h1よりも大きくなっている(d>h2-h1)。そのため、図11及び図12に示すように、第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置にあって上下方向に延びているときに、第1棚板11の可動部16の先端側(上側)の略半部が第2棚板12の可動部16の基端側(下側)の略半部に前側から重なっている。また、図11及び図13に示すように、第2棚板12及び中間扉13の各可動部16が垂直位置にあって上下方向に延びているときに、中間扉13の可動部16の先端側(下側)の略半部が第2棚板12の可動部16の先端側(上側)の略半部に前側から重なっている。これら棚板11,12及び中間扉13の可動部16,16,…が上下位置にある状態では、図1及び図4にも示すように、第1棚板11の可動部16と中間扉13の可動部16とは収納本体1の開口部を上下中間部で閉鎖する扉となり、収納本体1内において第1棚板11の固定部15と中間扉13の固定部15との間の空間を略密閉状に区画し、その内部に第2棚板12の可動部16が収容されるようになっている。
【0038】
また、図7図10に示すように、上記第1及び第2棚板11,12の各可動部16が水平位置にあるときに、その可動部16と固定部15とで机板(机の甲板)となり、図2に示すように、第1棚板11は、例えば使用者が床F上の椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用され、一方、高い方の第2棚板12は、例えば使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用されるようにしている。
【0039】
図3図6図10等に示すように、第1棚板11の固定部15上面の後端部には断面L字状のコンセント取付材23が左右の側板3,3間に亘り連結されて一体的に固定されている。このコンセント取付材23は、第1棚板11の固定部15上面から上下方向に延びる前側部23aと、その前側部23aの上端部後面から水平後方向に延び、後端部が背板2に固定された上側部23bとからなり、このコンセント取付材23により背板2の前側に空間が区画され、コンセント取付材23の前側部23aの例えば右端部には、商用電源、USB端子、その他の接続端子を接続するためのコンセントユニット24が貫通して取り付けられている。このように第1棚板11の固定部15の上面にコンセント取付材23が取り付けられ、そのコンセント取付材23が左右の側板3,3に固定されている構造であると、第1棚板11の固定部15は側板3,3に対しコンセント取付材23によっても強固に固定されることになる。このことで、第1棚板11を机とするために可動部16を回動(机の開閉動作)させたときに、その力を受けて固定部15が撓んだり、固定部15の前端部が跳ね上がったりすることを防ぐことができる。
【0040】
上記コンセントユニット24に接続される配線(図示せず)はコンセント取付材23内の空間に収容され、壁面収納ユニットUの外部に引き出されている。具体的に、配線の引出し構造としては、例えば、側板3に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、この引出し孔から配線を引き出す構造、第1棚板11の固定部15、下端棚板7及び底板5における後端部の左右一方の隅角部をそれぞれ切り欠いて隙間を形成し、その隙間から配線を引き出す構造、背板2に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、この引出し孔から配線を背板2後側(裏側)の壁Wとの間に引き出す構造があり、これらの構造を必要に応じて選択し或いは組み合わせればよい。
【0041】
収納本体1の前面において上記中間扉13の固定部15上側には、収納本体1上部の前側開口を開閉する左右の上部扉26,26が配置されている。これら上部扉26,26は、左右の端部がそれぞれ側板3,3に上下複数の丁番(図示せず)により支持されて上下方向の軸心回りに回動する両開きタイプとされている。
【0042】
尚、図3は、壁面収納ユニットUの収納本体1から上部扉26,26、中間扉13及び第1棚板11の各可動部16,16を取り外して、第2棚板12のみを残している状態を示している。また、収納本体1において第1棚板11下側の下部の前側開口は常時開放されている。
【0043】
図2で仮想線にて示すように、上記水平位置にある第1棚板11の可動部16上面の左右両側端部に1対の遮音パネル28,28を起立状態に配置してもよい。この各遮音パネル28は、例えば合板製の板状基材の一側面にグラスウールの吸音材を貼り付けたものであり、第1棚板11の可動部16上面の左右両側端部に載置されて着脱可能に固定される。
【0044】
上記遮音パネル28の基材としては、合板の代わりに繊維板、集成材、プラスチック、アルミ基材を用いることができる。また、吸音材としては、グラスウールの代わりに、不織布(例えば厚さ9~12mm)を用いてもよい。遮音パネル28は、基材表面に吸音材を貼り付ける代わりに、内部に吸音材を充填したパネルを用いてもよい。
【0045】
また、第1棚板11の可動部16上面の左右両側端部に遮音パネル28,28を載置する代わりに、左右側板3,3と背板2とからなる囲いを作り、この囲いを用いて第1棚板11の可動部16上に載置することもできる。遮音パネル28は折り畳み可能の構造とし、不使用時には折り畳んで壁面収納ユニットUの内部に収容できるようにしてもよい。遮音パネル28は、必要に応じて可動部16上面の左右一側のみに起立状態に配置することもできる。
【0046】
この遮音パネル28,28の吸音効果により、例えば第1棚板11上に置いたパソコン(符号PC)でリモートの会話等を行う場合に、周囲の環境の影響を少なくしてリモートの相手にクリアな音声を伝え、吸音により集中し易い環境を作ることができるようになる。
【0047】
また、上記3枚の折り曲げタイプの棚板11,12及び中間扉13のうちの最下段の第1棚板11と、最上段の中間扉13との間(第1及び第2棚板11,12の間であってもよい)に位置する背板2に各種の機能ボード等を固定したり、或いはその部分の背板2を他の機能ボード等に変更したりすれば、第1棚板11や第2棚板12を机板とした状態で種々の用途に利用することができる。例えば、その背板2を有孔ボードにするか背板2に有孔ボードを取り付けて、その有孔ボードの孔に仕事、作業や趣味の用具を吊り下げるようにしてもよく、第1棚板11等が在宅ワークや趣味の作業台となる。また、背板2に鏡を取り付けて第1棚板11等を化粧台とすることもできる。さらに、背板2にホワイトボードを取り付けるか背板2自体をホワイトボードで構成すれば、第1棚板11等が在宅ワークの作業台や子供の勉強机となる。また、背板2にコルクボードを取り付けるか背板2自体をコルクボードで構成しても、第1棚板11等は在宅ワークの作業台や子供の勉強机として使用することができる。さらに、背板2に吸音ボードを取り付けるか背板2自体を吸音ボードで構成してもよい。吸音ボードは、上記遮音パネル28(図2参照)と同じ構造のもので、吸音効果を有する。この吸音ボードの吸音効果により、遮音パネル28,28と同様の効果、つまり例えば第1棚板11上に置いたパソコンPCでリモートの会話等を行う場合に、周囲の環境の影響を少なくしてリモートの相手にクリアな音声を伝え、吸音により集中し易い環境を作ることができるようになる。特に、この吸音ボードと遮音パネル28とを併せて配置すれば、机(第1棚板11等)の側方に加えて前側も吸音されることとなり、吸音環境がより一層有効となる。
【0048】
以上の構成の実施形態1においては、壁面収納ユニットUの収納本体1に、下側から順に下端棚板7、第1棚板11、第2棚板12、中間扉13及び上端棚板8の5枚が間隔をあけて設けられ、そのうち、第1及び第2棚板11,12、中間扉13は収納本体1内に固定された固定部15と、その固定部15の前端部に回動可能に支持された可動部16とを有する折り曲げタイプである。これらの棚板11,12及び中間扉13の可動部16を水平位置と垂直位置とに個別に切り換えることで、壁面収納ユニットUを種々の使用形態で使用し、その多機能の使い方を選択することができる。
【0049】
図1図4図5及び図11に示す使用状態では、第1及び第2棚板11,12、中間扉13の各可動部16がいずれも垂直位置に位置し、上部扉26,26が閉じている。このことで、第2棚板12の可動部16の下側の略半部に第1棚板11の可動部16の可動部16の上側の略半部が、また上側の略半部に中間扉13の可動部16の略全体がそれぞれ前側から重なり、これらの重なった可動部16,16が扉となって収納本体1の開口の上下中間部を閉じる。
【0050】
図2図6図7及び図10に示す使用状態では、第1及び第2棚板11,12、中間扉13の各可動部16がいずれも水平位置にされ、図2を除き、上部扉26,26が閉じている。このことで、中間扉13は例えば物置用の棚として使用することができる。また、下側の第1棚板11は、使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用し、上側の第2棚板12は、使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0051】
図12に示す使用状態では、中間扉13の可動部16のみが水平位置にされ、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は上下位置にあり、上部扉26,26が閉じている。第1及び第2棚板11,12の各可動部16が扉となって収納本体1の開口の上下中間部を閉じ、中間扉13のみを物置用の棚として使用することができる。
【0052】
図13に示す使用状態では、第1棚板11の可動部16のみが水平位置にされ、中間扉13及び第2棚板12の各可動部16は上下位置にあり、上部扉26,26は閉じている。中間扉13及び第2棚板12の各可動部16が扉となって収納本体1の開口の上下中間部を閉じ、第1棚板11のみを机として使用することができる。
【0053】
図14に示す使用状態では、第1棚板11及び中間扉13の各可動部16が水平位置にされ、第2棚板12のみの可動部16が上下位置にあり、上部扉26,26は閉じている。第2棚板12の可動部16が扉となって収納本体1の開口の上下中間部を閉じ、第1棚板11のみを机として、また中間扉13の可動部16を物置用の棚としてそれぞれ使用することができる。
【0054】
したがって、この実施形態では、壁面収納ユニットUの上下2段の第1及び第2棚板11,12のうち、下側の第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きdが、第1及び第2棚板11,12の上面間の高さの差h1-h2よりも大きいので、図11及び図12に示すように、両棚板11,12の可動部16,16が垂直位置にある状態では、第1棚板11の可動部16の上側の略半部が第2棚板12の可動部16に前側から重なる。このように両棚板11,12の可動部16,16が重なり状態で配置されることにより、下側の第1棚板11の可動部16の奥行きdを大きくしても、その垂直位置での配置のために収納本体1(壁面収納ユニットU)の高さを大きくする必要がなくなる。つまり、収納本体1の高さを低く保ったままで第1棚板11の可動部16の奥行きdを大に確保することができる。このことにより壁面収納ユニットUのコンパクト化と第1棚板11の拡大化とを併せ図ることができる。
【0055】
また、第2棚板12の可動部16の左右幅L2が収納本体1の側板3,3内面間の間隔(左右幅)よりも小さいので、その可動部16は垂直位置で収納本体1の内部に収容される。一方、第1棚板11の可動部16の左右幅L1は収納本体1の側板3,3外面間の間隔(左右幅)と同じであるので、その可動部16の垂直位置では該可動部16が収納本体1の前側に配置される。このことで、壁面収納ユニットU全体の奥行きを大きくすることなく、両棚板11,12の可動部16の垂直位置での重なり構造が容易に得られ、その構造を簡略にすることができる。
【0056】
さらに、第1及び第2棚板11,12の可動部16,16が水平位置にあるときに、第1及び第2棚板11,12はいずれも机板となり、第1及び第2棚板11,12を机として使用することができる。特に、上記のように下側の第1棚板11の可動部16の奥行きdを大きくすることができるので、高さの低いコンパクトな壁面収納ユニットUでありながら、大きな机を設置することができる。また、壁面収納ユニットU(収納本体1)の奥行きを小さくしても、大きな机を設置することができる。
【0057】
加えて、壁面収納ユニットU(収納本体1)の内部に第1棚板11と第2棚板12とをコンパクトに納めることができるので、その他の収納スペースを充分に確保できる利点も生じる。
【0058】
また、上記第1棚板11の可動部16が水平位置にあるとき、その可動部16は側板3,3の前端面に固定したストッパ部材により水平位置に固定保持される。そのため、可動部16の水平位置への固定保持が安定して確実に行われ、可動部16を水平位置にした状態で、第1棚板11を机とするとき、可動部16に重たいものを載せたとき等にも、可動部16に傾き等が生じることはなくなり、安定した使用感が得られる。
【0059】
そして、高さの異なる第1及び第2棚板11,12を机として使用する場合には、例えば低い方の第1棚板11を、使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用し、一方、高い方の第2棚板12は、使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができ、2種類の机を使い分けることで、利便性が向上する。
【0060】
また、壁Wに施工される壁面収納装置Aの一部に壁面収納ユニットUが組み込まれるように施工され、その壁面収納ユニットUの側板3,3は壁面収納装置Aの間仕切り板を構成し、天板4は壁面収納装置Aの棚板を、また底板5は壁面収納装置Aの底板をそれぞれ構成している。このことで壁面収納装置Aの一部に壁面収納ユニットUを容易に組み込むことができる。
【0061】
(実施形態2)
図17は実施形態2を示し(尚、図1図16と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、第1棚板11の可動部16の大きさを変えたものである。
【0062】
すなわち、この実施形態では、中間扉13は可動部16がなくて固定部15のみからなり、この固定部15が上端棚板8や下端棚板7と同様の構造で収納本体1内に固定されている(中間扉13は棚板としてのみ機能する)。
【0063】
また、第1棚板11の可動部16は、その奥行きdが実施形態1のものよりも大きく、この奥行きの大きい可動部16が上下位置にあるときに、その上端部が中間扉13近くに位置し、この可動部16は第2棚板12の上下位置にある可動部16の略全体を覆って重なり、収納本体1の開口を閉じるようになっている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0064】
したがって、この実施形態でも実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。特に、第1棚板11の可動部16の奥行きが大きいので、第1棚板11を広い机として使用することができる。また、中間扉13はその可動部16を省略して簡略な構造にすることができるとともに、その中間扉13の可動部16を要することなく第1棚板11の可動部16を前側から覆って収納本体1の開口を閉じることができる。
【0065】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、収納本体1において第1棚板11と中間扉13との間に第2棚板12のみを設けているが、第2棚板12の上側に少なくとも1枚の第3棚板を固定してもよい。第3棚板は第2棚板12と同じ構成で、固定部と可動部とを有しており、その固定部にて第2棚板12と同じ構造で収納本体1に固定されている。例えば第3棚板の可動部は垂直位置にあるときに、その基端部(下端部)が第2棚板12の垂直位置にある可動部16の先端部(上端部)と突き合わされるか、或いは該可動部16の後側(内側)に重なって配置されるようにすればよい。こうすれば、可動部のある3段以上の棚板を備えた棚構造が得られる。
【0066】
また、上記実施形態では、壁面収納ユニットUに4枚の棚板7,8,11,12、中間扉13及び上部扉26が設けられているが、第1及び第2棚板11,12が設けられていればよい。
【0067】
さらに、上記各実施形態では、壁面収納装置Aの下部に壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されているが、壁面収納ユニットUは単独で壁Wに施工されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、壁面収納ユニットの高さを低く保ちながら棚板の可動部の奥行きを大に確保し、壁面収納ユニットのコンパクト化と棚板の拡大化とを併せ図ることができるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0069】
A 壁面収納装置
W 壁
U 壁面収納ユニット
1 収納本体
2 背板
3 側板
4 天板
5 底板
6 取付プレート
11 第1棚板
h1 高さ
12 第2棚板
h2 高さ
h1-h2 高さの差
13 中間扉
15 固定部
16 可動部
d 第1棚板の可動部の奥行き
L1 第1棚板の可動部の左右幅
L2 第2棚板の可動部の左右幅
28 遮音パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17