(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086725
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】扇風機及び扇風機の制御方法
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20220602BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F04D25/08 301A
F04D27/00 101Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198902
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀紀
【テーマコード(参考)】
3H021
3H130
【Fターム(参考)】
3H021AA01
3H021BA06
3H021BA15
3H021CA09
3H021DA06
3H021EA03
3H021EA17
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA78G
3H130BA78H
3H130DD05Z
3H130DF01X
3H130ED05G
(57)【要約】
【課題】揺れを低減した扇風機及び扇風機の制御方法を提供する。
【解決手段】扇風機1は、ストラップ8が取り付けられ、ストラップ8側に送風する排気グリル41と、インペラとを有する扇風機本体2と、インペラの送風量の強弱を周期的に変化させて制御する制御部と、を備える。制御部は、送風量の周期を、ストラップ8により吊るされた扇風機本体2の振り子運動の周期の整数倍で制御することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップが取り付けられ、前記ストラップ側に送風する排気グリルと、インペラとを有する扇風機本体と、
前記インペラの送風量の強弱を周期的に変化させて制御する制御部と、
を備えることを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記制御部は、前記送風量の周期を、前記ストラップにより吊るされた前記扇風機本体の振り子運動の周期の整数倍で制御することを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記整数倍は1倍であることを特徴とする請求項2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記制御部は、前記扇風機本体が前記振り子運動の最下点に位置するとき、前記送風量を強くすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の扇風機。
【請求項5】
前記送風量の周期は、前記ストラップの長さに基づく前記振り子運動の周期に予め設定されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の扇風機。
【請求項6】
前記制御部は、前記インペラの前記送風量の強弱の切り換えを、前記インペラからの送風のON及びOFFを切り換えることにより行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の扇風機。
【請求項7】
扇風機の制御方法であって、
前記扇風機は、ストラップが取り付けられ、前記ストラップ側に送風する排気グリルと、インペラとを有する扇風機本体を備え、
前記インペラの送風量の強弱を周期的に変化させて制御することを特徴とする扇風機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇風機及び扇風機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、首掛け可能な携帯型の扇風機が提案されている。例えば、特許文献1には、首などに掛け吊り可能なストラップをケースの握り部に取り付けた小型パーソナル扇風機が開示されている。この扇風機は、頭部を動かして送風方向の調整を行うことができ、首に掛けた状態でも顔方向に風を送ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにストラップにより首に掛けて扇風機を使用する場合、ユーザが歩行等によって動くと扇風機が左右に揺れて、風が首や顔側に送風され難くなってしまう。一方、例えば扇風機をストラップにより1点支持することで、扇風機が揺れた場合であっても顔側に送風され易くすることもできるが、揺れによりストラップとの接続部周りに扇風機が回転してストラップが捻じれ易くなることが想定される。
【0005】
本発明は、揺れを低減した扇風機及び扇風機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の扇風機は、ストラップが取り付けられ、前記ストラップ側に送風する排気グリルと、インペラとを有する扇風機本体と、前記インペラの送風量の強弱を周期的に変化させて制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、揺れを低減した扇風機及び扇風機の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る扇風機の全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る扇風機の斜視図を示し、(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る扇風機の平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る扇風機の分解斜視図を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る
図2(a)の扇風機のV-V断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る
図5の扇風機のVI-VI断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る
図5の扇風機のVII-VII断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る扇風機の使用例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る扇風機の制御例を示す図であり、(a)は扇風機の身体に対する変位量を示し、(b)は連続的に変化させた風の送風パターンの一例を示し、(c)は連続的に変化させた風の送風パターンの他の一例を示し、(d)は間欠的に変化させた風の送風パターンの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1乃至
図9に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に示す扇風機1は、扇風機本体2に対してストラップ8を取り付けて、首等に掛けて使用することができる。以下の扇風機1の説明では、ストラップ8が取り付けられる吊支部材42側を上、その反対側を下とする。
【0010】
扇風機1の扇風機本体2は、下ケース3及び上ケース4により外形が略円柱状に設けられる。下ケース3及び上ケース4の内部は中空状に形成される。扇風機本体2の内部には、制御ユニット5、吸気側の第一インペラユニット6、及び排気側の第二インペラユニット7が設けられる(
図4及び
図5も参照)。
【0011】
下ケース3は、第一インペラ62及び第二インペラ72(
図5参照)の回転軸と同軸の軸線P周りに湾曲した外周側面3aと、底面部3bの一部に、吸気グリル31を有する。吸気グリル31は、軸線Pを中心とする扇風機本体2の径方向に延設された流路を仕切る仕切板311を有する。複数の仕切板311は軸線P周りに放射状に配置される(
図6参照)。従って、吸気グリル31は、径方向の内外に貫通した複数の開口部312aを有する。外周側面3aには、仕切板311により、軸線P方向(上下方向)に長尺なスリット状の複数の開口部312aが設けられる。また、吸気グリル31は、底面部3bにおいては底面部3bから上方の扇風機本体2内部側に開口した複数の開口部312bを有する。吸気グリル31における外周側面3a側の開口部312aと、底面部3b側の開口部312bとは、それぞれ連続して接続されて一つの開口部312を構成する(
図2(b)及び
図6も参照)。
【0012】
図2(b)に示すように、底面部3bにおける吸気グリル31は、軸線Pを略中心とする円形状領域である平坦部3b1の周囲に配置される。また、平坦部3b1の略中央である軸線P上には、プッシュボタン式のスイッチ32が設けられる。
【0013】
上ケース4は、天面部4bに排気グリル41を有する。排気グリル41は、天面部4bの軸線Pを略中心とする円形状領域である平坦部4b1の周囲に環状に設けられる。
図2(a)及び
図3等に示すように、排気グリル41は、軸線Pを中心とする扇風機本体2の径方向に延設された流路を仕切る複数の仕切板411を有する。複数の仕切板411は軸線P周りに放射状に配置される。従って、天面部4bでは、仕切板411により、軸線P側から径方向内外に長尺なスリット状の複数の開口部412bが設けられる。この排気グリル41における開口部412bは、扇風機本体2の上下方向の内外に貫通している。
【0014】
平坦部4b1における軸線P上には、吊支部材42が扇風機本体2に対して回転可能に取り付けられる。吊支部材42は、
図5に示すように、扇風機本体2の1カ所に設けられる。吊支部材42は、前述のストラップ8を取り付け可能な被吊支部421と、被吊支部421よりも大径のフランジ部422とを有する。被吊支部421は略円柱状に形成される。また、フランジ部422は略円板状に形成される。被吊支部421は、ストラップ8(本実施形態ではストラップ8の一部である丸環84)を挿通可能であって、軸線Pに対して略直交する方向に貫通した開口部421aを有する。開口部421aは略円形に形成される(
図2(a)も参照)。
【0015】
上ケース4は、フランジ部422を内部に収容し、被吊支部421を天面部4bの上方へ外出して配置させる取付部43を有する。取付部43は、天面部4bの内側に二枚の板部材を積層させて形成された吊支部材42の収容空間である。
【0016】
図4は、扇風機1の分解斜視図である。制御ユニット5(制御部)は、回路基板51及び電源52(
図5も参照)を含む筐体5aと、筐体5aの上面から立設する複数の柱状の支持部53とを有する。筐体5aは、長尺の箱状に形成される。なお、筐体5aは、下面やその他の面側を開口させた枠体状に形成してもよい。制御ユニット5は、
図5に示すように、下ケース3の底面部3b側の内部に配置される。回路基板51には、スイッチ32による操作を検出するスイッチ素子等が設けられる。
【0017】
図4に戻り、第一インペラユニット6は、モータ収容部611及び配線部612を含むモータユニット61を有する。2箇所に設けられた配線部612は、モータ収容部611の両側部から互いに反対方向へ延設される。
【0018】
また、第一インペラユニット6は、モータ収容部611に設けられたモータ611aの軸部に接続されて回転可能に配置された第一インペラ62を有する。第一インペラ62は、軸流ファンとして構成されており、複数の羽部を有する。本実施形態の第一インペラ62は、5枚の羽部を有する。
図5に示すように、第一インペラ62は、モータユニット61と制御ユニット5との間(モータユニット61よりも吸気グリル31側)に配置される。第一インペラ62の軸部の下端は、制御ユニット5に対しやや離間して近接している。なお、第一インペラ62の軸部は、制御ユニット5の上面に設けた図示しない軸芯又は軸受けにより回転可能に支持される構成としてもよい。第一インペラ62は、上方から見て反時計回り方向に回転して、下方及び側方の空気を取り込み上方の第二インペラ72側へ送風する。
【0019】
第二インペラユニット7は、モータ収容部711及び配線部712を含むモータユニット71を有する。2箇所に設けられた配線部712は、配線部612と同様に、モータ収容部711の両端部から互いに反対方向へ延設される。
【0020】
また、第二インペラユニット7は、モータ収容部711に設けられたモータ711aの軸部に接続されて回転可能に配置された第二インペラ72を有する。第二インペラ72は、軸流ファンとして構成されており、複数の羽部を有する。本実施形態の第二インペラ72は、7枚の羽部を有する。
図5に示すように、第二インペラ72は、モータユニット71の上方(モータユニット71よりも排気グリル41側)に配置される。第二インペラ72は、上方から見て時計回り方向に回転して下方の空気を取り込み上方の排気グリル41側へ送風する。
【0021】
第一インペラ62と第二インペラ72とは互いに反対方向に回転する。そのため、一つのインペラにより送風する場合は、下流側(
図5の上側)へ送風される風が回転方向に捻じれて螺旋状の風が排気グリル41から送風されることがあるが、互いに反対方向に回転する二つのインペラ(第一インペラ62及び第二インペラ72)を用いることで風の回転(捻じれ)を打ち消して直線状の略平行な風を排気グリル41から送風することができる。また、吸気グリル31の各開口部312(312a,312b)は仕切板311により吸気された空気を整流することができるため、第一インペラ62は、軸線P周りの回転成分を低減した空気を取り込むことができる。排気グリル41の各開口部412bも仕切板411により排気する空気を整流することができる。従って、扇風機1は、排気グリル41から安定して直線的な風を送風することができる。
【0022】
モータユニット61及びモータユニット71は、上下に重なり合うように隣接又は近接して配置される。モータ収容部611及びモータ収容部711は、第一インペラ62及び第二インペラ72の回転軸の軸線P上に配置される。
図7のVII-VII断面図に示すように、下側の配線部612と上側の配線部712は、上下に重なり合うように配置される。従って、配線部612と配線部712を互いにずらして配置した場合に比べて、扇風機本体2の内部流路の開口面積の減少を抑え、流通する空気の流路抵抗の増加を低減することができる。
【0023】
各モータユニット61,71の配線部612,712は、支持部53の上端部において支持及び接続される。モータ収容部611,711内のモータ611a,711aには、支持部53及び配線部612、712を介して(詳細な配線は不図示)、電源52からの電力が供給される。
【0024】
図1に示すように、ストラップ8は、紐体81、及び紐体81と吊支部材42を接続させる接続部材(ナス環止め82、ナス環83及び丸環84を含む)を有する。紐体81は、布製であり、両端部が安全パーツ86に取り付けられて全体が環状となるように形成される。また紐体81には、紐体81の長さを調節する調節部材85が取り付けられる。ナス環止め82は、紐体81の一部に取り付けられてナス環83と接続される。ナス環83は丸環84と着脱可能に接続される。丸環84は、吊支部材42の開口部421a内に挿通されて吊支部材42と遊嵌して接続される。
【0025】
図8は、扇風機1の使用例を示す図である。扇風機1はストラップ8を首に掛けて使用することができる。扇風機1を駆動させると、吸気グリル31から吸気された空気は排気グリル41から排気されて送風される。
【0026】
実線で示す扇風機1のように、扇風機1が顔の下方に位置するとき、扇風機1から排気された空気Wは、ストラップ8が掛けられた上方の首方向に向かって流れる。従って、空気Wは首又は顔の方向へ向かって送風される。
【0027】
また、ユーザが歩行等を行うと扇風機1が首側を中心に身体に対して左右に揺れる場合がある。
図8の1点鎖線で示す扇風機1は、ユーザから見て左側に位置する例を示している。本実施形態の扇風機1は、各インペラ62,72の軸線P上に位置する吊支部材42により1点支持されているため、扇風機1の位置がユーザから見て左側又は右側に揺れた場合であっても排気グリル41が形成される面は首側の方向を向く。従って、扇風機1から排気された空気Wは、ストラップ8が掛けられた首又は顔の方向へ向かって送風される。本実施形態の扇風機1は、ストラップ8により首に掛けた扇風機1が歩行等により位置が移動した場合であっても、手等で風向き調整を行うことなく首又は顔の方向へ送風することができる。
【0028】
また、本実施形態の吊支部材42は、扇風機本体2に対して回転可能に支持されている。従って、扇風機1の揺れ動作により扇風機本体2が回転した場合であっても、首や顔等の対象部位への送風を安定させながらストラップ8の捻じれを低減することができる。
【0029】
ここで、扇風機1の送風の制御例について説明する。
図9(a)は、使用者の身体に対する扇風機1の位置の変位量を示している。変位量は、身体の中心軸Qに対する左手側(
図8の右側)を正とし、右手側を負として示している。使用者が首にストラップ8を掛けながら歩行等を行うと、扇風機1はストラップ8の首側の回動軸O(原点)を中心として概ね微小振動単振子(sint≒t)の振り子運動をする。扇風機1の左右方向の変位量は、例えば
図9(a)に示すように時間経過に伴いサインカーブ(又はコサインカーブ)を描くように変化する。この振り子運動の周期Tは、回動軸Oから重心Gまでのストラップ8の長さをL(
図8参照)、重力加速度をgとすると、下記の式(1)のように表すことができる。
T=2π(L/g)
1/2 ・・・(1)
例えば、ストラップ8の長さLを10cm~30cmとすると、式(1)により周期Tは、約0.63~1.1secとなる。
【0030】
また、扇風機1の質量をm、
図8の一点鎖線で示した振り上がった扇風機1の高さをhとすると、振り子運動の最下点に位置する実線で示す扇風機1が高さh迄振り上がるために必要なエネルギーは、下記の式(2)で表される高さhにおける位置エネルギーE
1と同じと考えることができる。
E
1=mgh ・・・(2)
【0031】
また、扇風機1が角度tの位置にあるとき、排気グリル41から回動軸O側に向けて空気Wを送風すると、扇風機1は回動軸Oとは反対側(即ち外径方向側)に力F(t)を受ける。力F(t)は扇風機1がストラップ8に吊るされて安定している間はストラップ8の張力と釣り合っている。一方で、扇風機1の使用者が歩行等を行う場合は振動等によりストラップ8が弛む(撓む)ことがあり、扇風機1がストラップ8の張力を受けないタイミングが生じる。力F(t)は下方向(中心軸Q方向)成分を含む。従って、力F(t)を受けることにより扇風機1が高さh(角度t=θ)の位置迄振り上げるために追加で必要なエネルギーは、上下方向(中心軸Q方向)成分のみを考えると、下記の式(3)で表される高さhにおける位置エネルギーE2となる。なお、ここでは、中心軸Qは上向きを正とし、扇風機1が回転軸Oに対する高さ-Lから高さ-L+hまで移動する間にストラップ8の張力を受けなかったと仮定している。
E2=∫F(t) cost dQ (Q=-L→-L+h) ・・・(3)
Qが-L→-L+hのときtは0→θであり、dQ=L dt sintと表されるので、E2は下記の式(4)の通りとなる。
E2=∫F(t) cost Ldt sint (t=0→θ)
=∫F(t) L cost sint dt (t=0→θ) ・・・(4)
【0032】
従って、扇風機1が送風を行わない場合に高さh(角度θ)迄振り上げることが可能であった外部エネルギーE3=E1を、本実施形態の送風動作中の扇風機1に加えられると、振り子運動の折り返し位置(即ち、運動エネルギーが0となる位置)における位置エネルギーAは、下記の式(5)となる。また、このときの扇風機1の高さは、下記の式(6)で表される。
A=E1-E2 ・・・(5)
A/mg=(E1-E2)/mg
=h-E2/mg
<h ・・・(6)
このように、首から下げた扇風機1は、送風動作を行わない場合に比べて、送風動作を行った場合の方が振り上がった際の高さが高さh(角度θ)よりも小さくなる、又は、高さh迄振り上げるにはより大きなエネルギーを外部から与える必要が生じる。従って、扇風機1が送風を行うことで、扇風機1の振り子運動の発生が抑制される。
【0033】
本実施形態では、扇風機1のインペラ62,72による送風量の強弱を、周期的に変化させて制御する。具体的に、扇風機1が首側の回動軸Oを中心に周期Tで振り子運動を行う場合(
図9(a)参照)、扇風機1のインペラ62,72による送風量の強弱を、扇風機1の振り子運動の周期Tと同期させて周期的に変化させて制御する(
図9(b)乃至
図9(d)参照)。
【0034】
送風量の強弱の周期は、ストラップ8の長さLを考慮した振り子運動の周期Tに基づき予め設定しておくことができる。例えば、扇風機1には予め定めた長さLのストラップ8を取り付けることで、送風制御の周期を都度計算しなくても振り子運動の周期Tと同期させた値に設定することができる。なお、送風量の強弱の周期は使用者が手動で設定してもよいし、使用者が扇風機1に長さLの値を入力することで制御ユニット5が自動で計算してもよい。
【0035】
また本実施形態では、
図9(b)に示すように、扇風機1(扇風機本体2)が振り子運動の最下点付近に位置するとき、送風量が強くなるように制御される。
図9(b)の例では、送風量がサインカーブを描くように変化している。これにより、扇風機1が振り上がり切る前の早いタイミングから、扇風機1を送風の反力により下方に付勢して扇風機1の振幅を低減することができる。また、扇風機1の送風量は、扇風機1が身体から見て左端又は右端の折り返し地点付近に位置するとき、送風量が弱くなるように制御される。このため、送風された風が顔方向(又は首方向)から外れる等の送風効率の低い場所に扇風機1が位置するときに、送風量を弱くすることで全体の消費電力を低減することができる。
【0036】
なお、
図9(c)に示すように、扇風機1による送風量は、扇風機1(扇風機本体2)が振り子運動の最下点付近に位置するか否かにかかわらず、強弱を周期的に制御することもできる。即ち、送風量の強弱の周期は、振り子運動の周期Tと異なるように制御してもよいし、
図9(b)のように振り子運動の位相の変化と位相が一致していなくてもよい。この場合であっても、扇風機1は送風による反力で扇風機1の振幅を低減させることができる。
【0037】
図9(d)は、扇風機1の送風制御の他の例を示す図である。制御ユニット5は、インペラ62,72の送風量の強弱の切り換えを、送風のON及びOFFを切り換えることにより行うことができる。
図9(b)の例では、扇風機1が最下点付近に位置するときに送風を行い(ON)、扇風機1が身体から見て左端又は右端の折り返し地点付近に位置するときに送風を停止する(OFF)ように制御している。即ち、送風量の周期を周期Tの2倍に設定している。従って、
図9(b)同様に、消費電力を抑え効率よく送風しながら、扇風機1の揺れを低減することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、送風量の周期を周期Tと同じ周期(1倍)に設定した例について示したが(
図9(b)及び
図9(c)参照)、制御ユニット5は、送風量の周期を、ストラップ8により吊るされた扇風機本体2の振り子運動の周期Tの整数倍に設定して制御してもよい。例えば、送風量の周期を周期Tの2倍に設定した場合、扇風機1が身体に対して右手側に移動する際及び左手側に移動する際に最下点に位置するときに送風量を強くすることができる。これにより、扇風機1の揺れの抑制効果を高めることができる。また、送風量の周期を周期Tの3倍以上に設定した場合、扇風機1が左右に揺れた位置(最下点とは異なる位置)においても送風量が強くなるタイミングが生じるが、
図9(b)や
図9(d)の制御パターンのように位相を一致させることで、扇風機1の最下点付近に位置する場合にも送風量を強くすることが可能なため、扇風機1の揺れを効率よく低減することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることはなく、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態では、第一インペラ62が5枚の羽部を有し、第二インペラ72が7枚の羽部を有する構成について説明したが、第一インペラ62及び第二インペラ72の羽部の枚数は本実施形態とは異なる構成としてもよい。この場合、第一インペラ62及び第二インペラ72の各羽部の枚数を奇数枚とし、第二インペラ72における羽部の枚数を、第一インペラ62における羽部の枚数よりも多く設けることができる。
【0040】
また、第一インペラ62及び第二インペラ72の代わりに軸流ファンである1つのインペラ(例えば、第一インペラ62及び第二インペラ72の一方)を設ける構成としてもよい。
【0041】
また、紐体81は、布製に限らず、ボールチェーン等のその他の素材により構成してもよい。更に、ストラップ8は、紐体81を直接吊支部材42の開口部421aに挿通させてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 扇風機 2 扇風機本体
3 下ケース 3a 外周側面
3b 底面部 3b1 平坦部
4 上ケース 4b 天面部
4b1 平坦部 5 制御ユニット
5a 筐体 6 第一インペラユニット
7 第二インペラユニット 8 ストラップ
31 吸気グリル 32 スイッチ
41 排気グリル 42 吊支部材
43 取付部 51 回路基板
52 電源 53 支持部
61 モータユニット 62 第一インペラ
71 モータユニット 72 第二インペラ
81 紐体 82 ナス環止め
83 ナス環 84 丸環
85 調節部材 86 安全パーツ
311 仕切板 312 開口部
312a 開口部 312b 開口部
411 仕切板 412b 開口部
421 被吊支部 421a 開口部
422 フランジ部 611 モータ収容部
611a モータ 612 配線部
711 モータ収容部 711a モータ
712 配線部
A 位置エネルギー E1 位置エネルギー
E2 位置エネルギー E3 外部エネルギー
F(t) 力 G 重心
O 回動軸 P 軸線
Q 中心軸 T 周期
W 空気 h 高さ
t 角度 θ 角度