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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086733
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20220602BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220602BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220602BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/00 520
G03G21/00 398
G03G15/01 Z
H02M3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198913
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸征
(72)【発明者】
【氏名】辻本 嘉之
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
2H300
5H730
【Fターム(参考)】
2H171FA20
2H171MA17
2H171MA18
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB01
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC05
2H171QC36
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171SA32
2H270KA04
2H270LA54
2H270LD01
2H270LD08
2H270MC01
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EF02
2H300EF06
2H300EF08
2H300EG01
2H300EH17
2H300EJ09
2H300EJ47
2H300EK03
2H300EL01
2H300QQ03
2H300QQ24
5H730AA14
5H730AA17
5H730AS00
5H730AS04
5H730BB23
5H730BB43
5H730DD02
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD31
5H730FG05
5H730ZZ01
(57)【要約】
【課題】更なる省電力に対応した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、入力される低電圧を昇圧することによって高電圧を発生する高電圧発生部(73)と、高電圧を所定値に維持する高電圧維持部(72)を有する高電圧電源基板(30)と、高電圧発生部(73)および高電圧維持部(72)に低電圧を入力する低電圧電源(63)と、低電圧電源(63)から高電圧発生部(73)および高電圧維持部(72)に低電圧を入力するか、入力しないかを切り替えるオンオフ回路(62)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に出力電圧を印加する高電圧電源基板であって、入力される低電圧を昇圧することによって高電圧を発生する高電圧発生部と、前記高電圧を所定値に維持する高電圧維持部であって、入力される低電圧によって駆動する高電圧維持部とを有する高電圧電源基板と、
前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力する低電圧電源と、
前記低電圧電源から前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力するか、入力しないかを切り替えるオンオフ回路とを備えた画像形成装置。
【請求項2】
制御部と前記オンオフ回路とが配置されている制御基板を備え、
前記制御部から第1信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を印加し、
前記制御部から第2信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
制御部が配置されている制御基板を備え、
前記オンオフ回路は、前記高電圧電源基板に配置されており、
前記制御部から第1信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力し、
前記制御部から第2信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置のカバーが開くと連動して開となるインターロックスイッチを更に備え、
前記オンオフ回路は、前記インターロックスイッチが開のときには、前記制御部からの前記第1信号および前記第2信号の送信にかかわらず、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、帯電器や転写ローラなどに高電圧を供給する高圧発生電源を有する。省電力の観点から、画像形成装置の高圧発生電源は、帯電器や転写ローラなどに供給していた高電圧の供給を停止する。
【0003】
特許文献1には、高圧発生電源に低圧電源遮断部を設けた画像形成装置が開示されている。画像形成装置の開閉カバーが開放されると、開閉カバーの開放に連動するインターロックスイッチは第1低圧ラインを遮断する。第1低圧ラインの遮断によって低圧電源遮断部に第1低電圧が供給されず、低圧電源遮断部は、第2低圧電源から第2基準電圧生成部への第2低電圧の供給を遮断する。
【0004】
従来の画像形成装置は、入力される電圧を昇圧し、昇圧された電圧である高電圧を画像形成部に供給する高電圧発生部と、高電圧を所定値に維持する高電圧維持部と、を有している。省電力モードに移行する際、従来の画像形成装置は、高電圧維持部への駆動電圧を遮断することによって、画像形成部への高電圧の供給を停止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-256804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、省電力モードに移行する際、従来の画像形成装置では、高電圧発生部に入力される電圧は供給され続け、当該電圧の供給によって高電圧発生部のトランスに微弱な電流が流れ続けるという問題があった。
【0007】
本発明は、更なる省電力に対応した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に出力電圧を印加する高電圧電源基板であって、入力される低電圧を昇圧することによって高電圧を発生する高電圧発生部と、前記高電圧を所定値に維持する高電圧維持部であって、入力される低電圧によって駆動する高電圧維持部とを有する高電圧電源基板と、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力する低電圧電源と、前記低電圧電源から前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力するか、入力しないかを切り替えるオンオフ回路とを備える。
【0009】
上記構成の画像形成装置によれば、オンオフ回路は、高電圧維持部および高電圧発生部に低電圧を入力するか入力しないかを切り替える。これにより、オンオフ回路は、高電圧維持部の駆動を停止させると共に、高電圧発生部に流れていた微弱な電流を遮断することができる。
【0010】
また、本発明の態様2に係る画像形成装置は、態様1において、制御部と前記オンオフ回路とが配置されている制御基板を備え、前記制御部から第1信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力し、前記制御部から第2信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする。
【0011】
上記構成の画像形成装置によれば、制御部は、オンオフ回路に第1信号及び第2信号を送信することによって、オンオフ回路に、高電圧発生部および高電圧維持部に低電圧を入力するか、入力しないかを切り替えさせることができる。
【0012】
また、上記構成の画像形成装置によれば、オンオフ回路が制御基板上に配置されるので、制御基板と高電圧電源基板との間の配線は1本となる。すなわち、この1本の配線は、オンオフ回路から高電圧電源基板に低電圧を入力する電圧線である。
【0013】
また、本発明の態様3に係る画像形成装置は、態様1において、制御部が配置されている制御基板を備え、前記オンオフ回路は、前記高電圧電源基板に配置されており、前記制御部から第1信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力し、前記制御部から第2信号が前記オンオフ回路に送信されると、前記オンオフ回路は、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする。
【0014】
上記構成の画像形成装置によれば、制御部は、オンオフ回路に第1信号及び第2信号を送信することによって、オンオフ回路に、高電圧発生部および高電圧維持部に低電圧を入力するか、入力しないかを切り替えさせることができる。
【0015】
また、上記構成の画像形成装置によれば、オンオフ回路が高電圧電源基板に配置されるので、制御基板と高電圧電源基板との間の配線は2本となる。すなわち、この2本の配線は、制御部からオンオフ回路に第1信号および第2信号を送信する通信線と、低電圧をオンオフ回路に入力する電圧線と、である。
【0016】
また、本発明の態様4に係る画像形成装置は、態様2または3において、前記画像形成装置のカバーが開くと連動して開となるインターロックスイッチを更に備え、前記オンオフ回路は、前記インターロックスイッチが開のときには、前記制御部からの前記第1信号および前記第2信号の送信にかかわらず、前記高電圧発生部および前記高電圧維持部に低電圧を入力しないことを特徴とする。
【0017】
上記構成の画像形成装置によれば、画像形成装置のカバーが開くとインターロックスイッチが開となる。この場合、オンオフ回路は、制御部からの第1信号または第2信号の送信の有無にかかわらず、オンオフ回路は、高電圧維持部および高電圧発生部への低電圧の入力を停止する。それゆえ、画像形成装置のカバーが開放された場合、高電圧発生部および高電圧維持部への低電圧の入力を確実に停止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、更なる省電力に対応した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る画像形成装置の内部構成を表す概略断面図である。
図2】実施形態1に係る高電圧電源の概略的な回路図である。
図3】実施形態1に係るオンオフ回路の回路図である。
図4】実施形態1に係るオンオフ回路の動作例である。
図5】実施形態2に係る高電圧電源の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。実施形態1に係る画像形成装置1は、シートに画像を形成する装置である。
【0021】
<画像形成装置10の全体構成>
図1は、実施形態1に係る画像形成装置10の内部構成を表す概略断面図である。なお、以下の説明においては、図1における右側を画像形成装置の前方とする。また、画像形成装置10は4色(ブラックK、イエローY、マゼンダM、シアンC)の着色剤でカラー画像を形成するLEDカラープリンタであり、以下、各構成部品を色ごとに区別する場合には、その構成部品の符号末尾に各色を意味するK(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)を付すものとする。さらに、画像形成装置10はLEDカラープリンタに限られず、例えば、レーザカラープリンタ、あるいはファクシミリ装置や、プリンタ機能および読み取り機能(スキャナ機能)等を備えた、いわゆる複合機であってもよい。
【0022】
画像形成装置10は、本体ケーシング11を備えており、本体ケーシング11の底部には、シートの一例である用紙3が積載される給紙トレイ21が設けられている。また、本体ケーシング11の前面は、後述する画像形成部25にアクセスするためのアクセス口とされ、当該アクセス口には、フロントカバー15が回動操作可能に設置されている。フロントカバー15は、カバーの一例である。これにより、アクセス口を閉止、あるいは開放出来るようになっている。また、開閉センサ22が、フロントカバー15に隣接して配置されている。開閉センサ22は、フロントカバー15の開閉に応じた検知信号を生成し、検知信号を高電圧電源基板30に供給する。
【0023】
給紙トレイ21の前端上方には給紙ローラ19が設けられており、給紙ローラ19の回転に伴って給紙トレイ21内に蓄積された最上位の用紙3がレジストレーションローラ18へ送り出される。レジストレーションローラ18は、用紙3の斜行補正等を行った後、用紙3を画像形成部25のベルトユニット23上へ搬送する。
【0024】
画像形成に係る画像形成部25は、ベルトユニット23、露光部27、プロセスカートリッジ24、現像ローラ31、感光体ドラム32、転写ローラ34、定着部35、およびベルトクリーニング装置16等を備える。
【0025】
ベルトユニット23は、前後一対のベルト支持ローラ17およびベルト36を備える。後側のベルト支持ローラ17が回転駆動されることにより、ベルト36が紙面反時計回りに循環移動し、ベルト36上面の用紙3が後方へ搬送される。また、ベルト36の内側には、感光体ドラム32とベルト36を挟んで対向する位置に転写ローラ34が設けられている。ベルトユニット23は、各転写ローラ34に印加される転写電圧TRCC1~TRCC4(出力電圧)を受け取るためのTRCC1~TRCC4端子を有する。ベルトユニット23は、図示しない本体フレームに設置されたベルトユニット装着部13に装着されている。ベルトユニット装着部13には、各TRCC1~TRCC4端子に対応した位置に図示しない各電極端子が設けられている。各電極端子は、図示しない各電圧印加ラインを介して各転写電圧生成回路70K~70Cに接続されている。
【0026】
露光部27は、各色に対応した4つのLEDユニット37を備える。形成すべき画像データに基づいて図示しない各発光部は発光制御され、これにより各発光部から出射された光L1~L4が感光体ドラム32の表面に照射され、その表面が露光される。
【0027】
画像形成部25は、上記4色に対応したプロセスカートリッジ24を備える。プロセスカートリッジ24は、モノクロカートリッジ24Kと、カラーカートリッジ24Y、24M、24Cとを備える。
【0028】
モノクロカートリッジ24Kは、表面が正帯電性の感光層によって覆われ、高抵抗体である感光体ドラム32と、帯電器33と、ドラムクリーニングローラ38と、図示しないドラムクリーニングシャフトと、図示しない現像カートリッジとを備える。
【0029】
ドラムクリーニングローラ38には、高電圧であるローラ電圧DCLNAが印加され、ローラ電圧DCLNAの印加によって感光体ドラム32上に残留したトナーを回収する。
【0030】
また、ドラムクリーニングシャフトは導電性の金属からなり、ローラ電圧DCLNAより高い電圧であるシャフト電圧DCLNBの印加によって、ドラムクリーニングローラ38上の紙粉を除去する。すなわち、クリーニングシャフトは、シャフト電圧DCLNBを利用して本体ケーシング11内部に混入した紙粉を除去する。
【0031】
通常、トナーは正極性に帯電し、紙粉は、負極性に帯電するため、帯電の極性の相違を利用して、トナーおよび紙粉が感光体ドラム32上から個別に除去される。印字中に負電圧、例えば-400Vのローラ電圧DCLNAをドラムクリーニングローラ38に印加してトナーのみを感光体ドラム32上からドラムクリーニングローラ38上に回収する。そして、印字中に、正電圧、例えば600Vのローラ電圧DCLNAをドラムクリーニングローラ38に印加し、700Vのシャフト電圧DCLNBをドラムクリーニングシャフトに印加する。このとき、紙粉はドラムクリーニングローラ38を介してドラムクリーニングシャフトに回収される。トナーは感光体ドラム32上に吐き出され、その後、ベルト36表面に付着させ、ベルトクリーニング装置16によって回収される。
【0032】
ベルトクリーニング装置16は、ベルトクリーニングローラ16aと、ベルトクリーニングシャフト16bとを備える。ベルトクリーニングローラ電圧BCLN(出力電圧)をベルトクリーニングローラ16aに印加することによって、ベルトクリーニングローラ16aおよびベルトクリーニングシャフト16bを介してベルト36表面に付着したトナーが回収される。ベルトクリーニング装置16は、ベルトクリーニングローラ電圧BCLNを受け取るためのBCLN端子を有する。ベルトクリーニング装置16は、図示しない本体フレームに設置されたクリーニング装置装着部14に装着されている。
【0033】
また、モノクロカートリッジ24Kは、帯電電圧CHG(出力電圧)を受け取るCHG端子、グリッド電圧GRIDを受け取るGRID端子、現像バイアスDEVを受け取るDEV端子、ローラ電圧DCLNAを受け取るDCLNA端子、およびシャフト電圧DCLNBを受け取るDCLNB端子を有する。
【0034】
一方、各カラーカートリッジ24Y、24M、24Cは、同じく感光体ドラム32と、帯電器33と、ドラムクリーニングローラ38と、図示しない現像カートリッジとを備える。
【0035】
また、各カラーカートリッジ24Y、24M、24Cは、それぞれ、CHG端子と、GRID端子と、DEV端子と、DCLNA端子とを有する。
【0036】
各現像カートリッジは、箱状の本体ケーシング11の内側上部に、現像剤である各色のトナーを収容する図示しないトナー収容室と、供給ローラ39と、現像ローラ31とを備える。
【0037】
トナー収容室から放出されたトナーは、供給ローラ39の回転により現像ローラ31に供給され、供給ローラ39と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。さらに、現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像バイアスDEVの印加に伴って十分に帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0038】
画像形成時には、感光体ドラム32が回転駆動され、それに伴って感光体ドラム32の表面が帯電器33により一様に正帯電される。そして、その正帯電された部分がLEDユニット37からの光の高速走査により露光されて、感光体ドラム32の表面に用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0039】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持され正に帯電されているトナーが、感光体ドラム32に対向して接触するときに、感光体ドラム32の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム32の静電潜像が可視像化され、感光体ドラム32の表面には露光部分にのみトナーが付着したトナー像が担持される。
【0040】
その後、各感光体ドラム32の表面上に担持されたトナー像は、ベルト36によって搬送される用紙3が、感光体ドラム32と転写ローラ34との間の各転写位置を通る間に、転写ローラ34に印加される負極性の転写電圧TRCCによって、用紙3に順次転写される。こうしてトナー像が転写された用紙3は、次いで定着部35に搬送される。
【0041】
定着部35は、熱源を有する加熱ローラ29と、用紙3を加熱ローラ29側へ押圧する加圧ローラ28とを備えており、用紙3上に転写されたトナー像を紙面に熱定着させる。そして、定着部35により熱定着された用紙3は、上方へ搬送され、本体ケーシング11の上面壁11Aに設けられた排紙トレイ上に排紙するように構成されている。
【0042】
また、本体ケーシング11内には、高電圧電源基板30と、低電圧電源基板12と、高電圧電源基板30及び低電圧電源基板12を制御する制御基板20が設けられている。
【0043】
<高電圧電源100の構成>
次に、図2を参照して、高電圧電源100の構成を説明する。図2は、高電圧電源100の概略的な回路構成を示す。高電圧電源100は、画像形成装置10に備えられた各電気的負荷にそれぞれに印加する複数の高電圧を生成する。各電気的負荷は、転写ローラ34、ベルトクリーニングローラ16a、ドラムクリーニングローラ38、帯電器33、および現像ローラ31等である。
【0044】
高電圧電源100は、制御基板20、高電圧電源基板30、および低電圧電源基板12を備える。また、高電圧電源基板30には、実際には各色に対応した回路が設けられるが、各回路の構成は、ほぼ同一であるため、図2には単一の色に対応した構成のみ示される。
【0045】
なお、図2には、画像形成装置10が生成する複数の高電圧のうち、各転写ローラ34K~34Cに印加する転写電圧TRCC1~TRCC4を生成する転写電圧生成回路70K~70C、およびベルトクリーニングローラ16aに印加するベルトクリーニングローラ電圧BCLNを生成するベルトクリーニング電圧生成回路80のみが示されている。また、各カラーカートリッジ24Y、24M、24Cに対応する転写ローラ34Y~34Cの転写電圧生成回路70Y、70M、70Cの構成は、モノクロカートリッジ24Kに対応する転写ローラ34Kの転写電圧生成回路70Kと同一のため、図2において内部構成の詳細は省略されているとともに、その説明を省略する。
【0046】
制御基板20は、制御部61と、オンオフ回路62とを備える。高電圧電源基板30は、転写電圧生成回路70Kと、ベルトクリーニング電圧生成回路80と、インターロックスイッチ90とを備える。低電圧電源基板12は、低電圧電源63を備える。
【0047】
制御部61は、図示しないROM(Read Only Memory)に格納された所定の処理プログラムにしたがって、各転写電圧生成回路70K~70Cと、ベルトクリーニング電圧生成回路80と、オンオフ回路62とを制御する。
【0048】
オンオフ回路62は、信号線S2を介して制御部61のENABLE/DISENABLE端子に接続される。また、オンオフ回路62は、低電圧電源63と電圧線S1を介して接続される。
【0049】
オンオフ回路62は、制御部61のENABLE/DISENABLE端子からのENABLE信号/DISENABLE信号に基づいて、オンオフ回路62の出力線である低電圧供給線PLに低電圧を入力するか入力しないかを切り替えを行う。ENABLE信号は第1信号の一例である。DISENABLE信号は第2信号の一例である。より詳細には、オンオフ回路62は、制御部61からENABLE信号が入力されると、低電圧供給線PLに低電圧を入力する。オンオフ回路62は、制御部61からDISENABLE信号が入力されると、低電圧供給線PLに低電圧を入力しない。
【0050】
低電圧供給線PLは、高電圧電源基板30に配置された各転写電圧生成回路70K~70Cの高電圧維持部72および高電圧発生部73に低電圧を入力する。また、低電圧供給線PLは、ベルトクリーニング電圧生成回路80の高電圧維持部82、および高電圧発生部83に低電圧を入力する。なお、高電圧電源基板30に配置された各部材に入力される低電圧の値は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0051】
低電圧電源63は、低電圧をオンオフ回路62に電圧線S1を介して供給する。例えば、実施形態1では、低電圧は24Vである。
【0052】
インターロックスイッチ90は、高電圧電源基板30上に設けられる。画像形成装置10のフロントカバー15が開放されると、図1の開閉センサ22が動作する。開閉センサ22は、インターロックスイッチ90と連動しており、フロントカバー15が開放されると開閉センサ22の動作と連動してインターロックスイッチ90は開となる。また、フロントカバー15が閉じているときには、インターロックスイッチ90は開閉センサ22の動作と連動して閉となる。インターロックスイッチ90の一端はオンオフ回路62及び制御部61に接続され、インターロックスイッチ90の他端は、GNDに接地されている。
【0053】
制御基板20と、低電圧電源基板12と、高電圧電源基板30との間は、ハーネス線によりPWM信号、ENABLE信号/DISENABLE信号等の送受信および低電圧の供給が行われる。本実施形態では、制御基板20にオンオフ回路62が配置されているため、オンオフ回路62と高電圧電源基板30との間をハーネス線である低電圧供給線PL1本のみが配線される。
【0054】
ここからは、各転写電圧生成回路70K~70Cのうち転写電圧生成回路70Kを代表して説明し、残りの各転写電圧生成回路70Y~70Cは、同じ内容の繰り返しになるので省略する。
【0055】
転写電圧生成回路70Kは、例えば、自励式の高電圧生成回路であり、高電圧維持部72と、高電圧発生部73とから構成される。高電圧維持部72は、基準電圧生成回路71と、オペアンプIC1と、分圧抵抗R1、R2とを有する。高電圧発生部73は、トランジスタTr1と、トランスT1と、ダイオードD1と、コンデンサC1とを有する。転写電圧生成回路70Kは、モノクロカートリッジ24Kに対応した転写ローラ34Kに供給する転写電圧TRCC1を生成する。転写電圧TRCC1は、負極性の高電圧である。また、転写電圧生成回路70Kは、制御部61に対して出力に関するフィードバックがされないハード制御構成の電圧生成回路である。
【0056】
基準電圧生成回路71は、制御部61のPWM1ポートからのPWM信号にしたがって基準電圧Vthを生成し、基準電圧VthをオペアンプIC1の非反転入力に供給する。
【0057】
一方、オペアンプIC1の反転入力には、分圧抵抗R1、R2による分圧電圧Vdが入力される。オペアンプIC1は、基準電圧Vthおよび分圧電圧Vdに基づいて、トランスT1の1次側を駆動するための駆動信号Sd1を生成する。また、オペアンプIC1の駆動電圧入力端子には、低電圧供給線PLが接続されている。分圧抵抗R1の一端が、トランスT1の2次巻線の一端に接続され、その他端がオペアンプIC1の反転入力に接続される。また、分圧抵抗R2の一端が、オペアンプIC1の反転入力に接続され、その他端がGNDに接地される。
【0058】
また、トランスT1の1次巻線の一端は、低電圧供給線PLに接続され、1次巻線の他端は、トランジスタTr1のコレクタに接続されている。駆動信号Sd1は、トランジスタTr1のベースに供給され、駆動信号Sd1によってトランジスタTr1のベース電流が制御されることによって、トランスT1の2次側電圧、すなわち、転写電圧TRCC1が生成される。その際、オペアンプIC1は基準電圧Vthと分圧電圧Vdとの差をなくすように動作し、その動作によって、分圧抵抗R1、R2に流れる電流I1が所定値に維持される。すなわち、転写電圧TRCC1の転写ローラ34Kへの印加による転写電流が所定値に維持される。
【0059】
ダイオードD1およびコンデンサC1は、トランスT1の2次側電圧を整流及び平滑して直流電圧の転写電圧TRCC1を生成する。
【0060】
ここでは、基準電圧生成回路71、オペアンプIC1、および分圧抵抗R1、R2は、高電圧維持部72を構成し、トランジスタTr1、トランスT1、ダイオードD1、およびコンデンサC1は、高電圧発生部73を構成する。本実施形態では、転写電圧生成回路70Kは、定電流制御される。なお、これに限られず、転写電圧生成回路70Kは定電圧制御されるものであってもよい。
【0061】
ここで、オンオフ回路62の低電圧供給線PLは、転写電圧生成回路70Kの高電圧維持部72のオペアンプIC1に接続されている。オンオフ回路62が低電圧を入力しないとき、オペアンプIC1は駆動を停止して駆動信号Sd1はトランジスタTr1のベースに送信されない。その結果、高電圧発生部73は、転写電圧TRCC1を発生させないようにする。
【0062】
また、低電圧供給線PLは高電圧発生部73のトランスT1の一端に接続されている。オンオフ回路62が低電圧を入力しないとき、トランスT1の一端にも低電圧が印加されずトランスT1には、電流が流れることがない。
【0063】
ベルトクリーニング電圧生成回路80は、例えば、転写電圧生成回路70Kと同様に自励式の高電圧生成回路であり、駆動回路81と、トランジスタTr2と、トランスT2と、ダイオードD2と、コンデンサC2と、および電流検出回路84とを含む。駆動回路81と、電流検出回路84は、高電圧維持部82を構成する。トランジスタTr2と、トランスT2と、ダイオードD2と、コンデンサC2は、高電圧発生部83を構成する。ベルトクリーニング電圧生成回路80は、ベルトクリーニングローラ16aにベルトクリーニング電圧BCLNを生成する。ベルトクリーニング電圧BCLNは、正極性の高電圧である。また、ベルトクリーニング電圧生成回路80は、制御部61に対して出力に関するフィードバックがなされるソフト制御構成の電圧生成回路である。
【0064】
駆動回路81は、制御部61のPWM5ポートからのPWM信号にしたがってトランスT2の1次側を駆動するための駆動信号Sd2を生成する。また、駆動回路81は、駆動電圧入力端子には低電圧供給線PLが接続されている。
【0065】
また、トランスT2の1次巻線の一端には、低電圧供給線PLが接続されている。駆動信号Sd2は、トランジスタTr2のベースに供給され、駆動信号Sd2によってトランジスタTr2のベース電流が制御されることによって、トランスT2の2次側電圧、すなわち、ベルトクリーニング電圧BCLNが生成される。その際、制御部61は、電流検出回路84からの電流検出信号Sidに基づいてPWM信号のパルス幅を制御することによって、ベルトクリーニング電圧BCLNあるいはベルトクリーニング電流が一定になるように、ベルトクリーニング電圧生成回路80を制御する。
【0066】
ダイオードD2およびコンデンサC2は、トランスT2の2次側電圧を整流及び平滑してベルトクリーニング電圧BCLNを生成する。
【0067】
電流検出回路84は、抵抗R3と、抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端が、+5V電圧およびトランスT2の2次巻線の一端に接続され、その他端が制御部のA/Dポートおよび分圧抵抗R4の一端に接続される。抵抗R4の他端はGND接地される。電流検出信号Sidは、抵抗R4に流れる電流Idを検出するための信号であり、抵抗R3と抵抗R4との接続点の電圧値としてA/Dポートに入力される。
【0068】
制御部61は、電流検出回路84から電流検出信号Sidを受け取り、電流検出信号Sidに基づき、ベルトクリーニング電圧生成回路80にベルトクリーニングローラ16aへ所定値のベルトクリーニング電圧BCLNを印加させるためのPWM信号を、駆動回路81に送出する。
【0069】
すなわち、制御部61は、電流検出信号Sidを受け取り、電流検出信号Sidの電圧値と抵抗R4の抵抗値から、電流値を算出する。そして、制御部61は、ベルトクリーニング電圧BCLNが所定値になるように、電流値に基づいてPWM信号のパルス幅を制御する。
【0070】
ここで、オンオフ回路62の低電圧供給線PLは、ベルトクリーニング電圧生成回路80の高電圧維持部82の駆動回路81に接続されている。オンオフ回路62が低電圧を入力しないとき、駆動回路81は駆動を停止して駆動信号Sd2はトランスT2に送信されず、高電圧発生部83は、ベルトクリーニング電圧BCLNを発生させることができなくなる。
【0071】
そして、低電圧供給線PLは高電圧発生部83のトランスT2の一端に接続されている。オンオフ回路62が低電圧を入力しないとき、トランスT2の一端にも低電圧が印加されずトランスT2には、電流が流れることがない。
【0072】
オンオフ回路62は、各高電圧維持部72、82、および各高電圧発生部73、83に低電圧を入力しないとき、転写電圧TRCC1、およびベルトクリーニング電圧BCLNの発生を一度に停止させることができる。
【0073】
<オンオフ回路62の回路図>
図3は、オンオフ回路62の回路図を示す。オンオフ回路62は、抵抗R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R19、R20と、トランジスタTr11、Tr12、Tr13と、キャパシタC11、C12、C13、C14と、ダイオードZD11と、フューズF1とを備える。
【0074】
インターロックスイッチ90の一端は、オンオフ回路62の端子P1と接続し、抵抗R19を介して制御部61のカバーオープンスイッチ端子に接続される。また、インターロックスイッチ90の一端は抵抗R18を介してトランジスタTr12のベースと接続される。そして、インターロックスイッチ90の一端は、抵抗R19を介して3.3Vの電源と接続され、ツェナーダイオードZD11のカソードと接続され、コンデンサC14と接続される。インターロックスイッチ90の他端はGNDに接地される。
【0075】
制御部61のENABLE/DISENABLE端子は、オンオフ回路62の抵抗R12を介してトランジスタTr12のコレクタと抵抗R13を介してトランジスタTr11のベースに接続される。
【0076】
低電圧電源63は、オンオフ回路62の端子P3と接続される。端子P3は、フューズF1を介して、トランジスタTr13のソースと接続される。また、端子P3は、フューズF1、抵抗R15、および抵抗R14を介して、トランジスタTr11のコレクタと接続される。
【0077】
トランジスタTr13のドレインは、低電圧供給線PLと接続し、端子P2を介して高電圧電源基板30に配置される転写電圧生成回路70K、ベルトクリーニング電圧生成回路80に低電圧を入力する。
【0078】
図4を用いて、オンオフ回路62の動作を説明する。フロントカバー15が開くと、開閉センサ22の検知信号はHighレベルとなる。当該検知信号がHighレベルになると、インターロックスイッチ90は開となる。この場合、制御部61のENABLE/DISENABLE端子から送信される信号がENABLE信号またはDISENABLE信号のいずれであっても、オンオフ回路62は低電圧を入力しない。すなわち、低電圧供給線PLの電圧は0Vとなる。
【0079】
このように、フロントカバー15が開いた状態では、省電力の観点から、オンオフ回路62は、転写電圧生成回路70Kおよびベルトクリーニング電圧生成回路80への低電圧の入力を停止する。その結果、転写電圧生成回路70Kおよびベルトクリーニング電圧生成回路80は高電圧の生成を停止する。
【0080】
一方、フロントカバー15が閉じると、開閉センサ22の検知信号はLowレベルとなる。当該検知信号がLowレベルになると、インターロックスイッチ90は閉となる。この場合、制御部61のENABLE/DISENABLE端子から送信される信号がDISENABLE信号であれば、オンオフ回路62は低電圧を入力しない。すなわち、低電圧供給線PLの電圧は0Vとなる。制御部61のENABLE/DISENABLE端子から送信される信号がENABLE信号であれば、オンオフ回路62は低電圧を入力する。すなわち、低電圧供給線PLの電圧は24Vとなる。
【0081】
このように、フロントカバー15が閉じた状態では、制御部61のENABLE/DISENABLE信号に基づいて、オンオフ回路62は、低電圧供給線PLに24Vを入力するか入力しないか切り替えを行う。
【0082】
オンオフ回路62は、低電圧供給線PLに接続される転写電圧生成回路70Kおよびベルトクリーニング電圧生成回路80に低電圧を入力しないことにより、転写電圧生成回路70Kおよびベルトクリーニング電圧生成回路80の駆動を停止させ、高電圧発生部73および83の電流の流れを遮断する。これにより、画像形成装置10の更なる省電力を実現することができる。
【0083】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0084】
図5は、実施形態2に係る画像形成装置10の高電圧電源100Aの構成を示す。実施形態1との相違は、オンオフ回路62Aが高電圧電源基板30Aに配置されていることである。実施形態1では、制御基板20にオンオフ回路62が配置されていたため、制御基板20と高電圧電源基板30間は、低電圧供給線PLが接続されていた。
【0085】
本実施形態では、オンオフ回路62Aには低電圧電源63から電圧線S1と、制御部61からの信号線S2が接続される。すなわち、高電圧電源基板30Aには2本のハーネス線が接続されることになる。
【0086】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10 画像形成装置
12 低電圧電源基板
20、20A 制御基板
30、30A 高電圧電源基板
61 制御部
62,62A オンオフ回路
63 低電圧電源
70K 転写電圧生成回路
80 ベルトクリーニング電圧生成回路
72、82 高電圧維持部
73、83 高電圧発生部
90 インターロックスイッチ
S1 電圧線
S2 信号線
PL 低電圧供給線
100 高電圧電源
15 フロントカバー
図1
図2
図3
図4
図5