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  • 特開-落下防止具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086748
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】落下防止具
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
B65G1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198935
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】田上 貴也
(72)【発明者】
【氏名】富田 真次
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA05
3F022AA15
3F022CC03
3F022EE02
3F022FF02
3F022MM05
3F022MM11
3F022MM51
3F022MM67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】棚に載置されたパレットの地震などによる滑り出しによる落下を防止し、棚桟の形状によらずに取付可能な使い勝手のよい落下防止具を提供する。
【解決手段】棚棧に積載されたパレットの前方への滑り出しによる落下を防止する落下防止具であって、棚棧の上面に載せられる天井部材5と、天井部材の前部から前方へ突き出されて上方へ立ち上がる移動防止部材1と、天井部材の前部で下方へ突き出される前面部材2と、天井部材の後部で下方へ突き出される背面部材3とを備え、背面部材にネジ穴6が設けられ、背面部材の後方からねじ込まれるボルト7とボルトを係止するナット8を有し、ボルトがねじ込まれて棚棧の後部へ当たり、落下防止具が棚棧へ固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚棧に取り付けられて前記棚棧に積載されたパレットの前方への滑り出しによる落下を防止する落下防止具であって、
前記棚棧の上面に載せられる天井部材と、該天井部材の前部から前方へ突き出されて上方へ立ち上がる移動防止部材と、前記天井部材の前部で下方へ突き出される前面部材と、前記天井部材の後部で下方へ突き出される背面部材と、を備え、該背面部材にネジ穴が設けられることを特徴とする落下防止具。
【請求項2】
前記背面部材のネジ穴へ前記背面部材の後方からねじ込まれるボルトを有し、前記ボルトがねじ込まれて前記棚棧の後部へ当たり、前記落下防止具が前記棚棧へ固定されることを特徴とする請求項1に記載の落下防止具。
【請求項3】
さらに前記背面部材に取り付けられる底面抑え部材が備えられ、
該底面抑え部材が下端で前方へ突き出される抑え部を有するとともに、該底面抑え部材がネジ穴を有し、前記背面部材が対応する長穴を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の落下防止具。
【請求項4】
前記背面部材の長穴及び前記底面抑え部材のネジ穴へボルトが挿通され、前記底面抑え部材と前記背面部材の上下位置が調節されて前記底面抑え部材の抑え部が前記棚棧の下部へ当たった状態で前記ボルトが締め付けられて前記底面抑え部材が前記背面部材に固定されることを特徴とする請求項3に記載の落下防止具。
【請求項5】
前記天井部材の下面に接着層が設けられ前記棚棧の上面に接着されて固定されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の落下防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等により工場や倉庫に設置された収納棚が振動しても、これらの収納棚の棚板に載置されたパレットやパレットの滑り出しによる落下を防止する落下防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震や意図しない何らかのパレットの衝突等における振動、揺れ又は傾きで収納棚の棚板に載置されたパレットの落下や飛び出しを防止する装置が種々提案されている。
【0003】
パレットに載せられた荷物の滑り出しを防止するためにパレットの移動を抑える発明が開示されている。例えば特許文献1に開示される発明は棚の前側水平部材に取りつけられて前側に張り出した張り出し面の端部から上方へ立ち上がる立ち上がり面でパレットの前方への移動を抑える。そして水平部材の下端の角へ合わさるように後方へ張り出す後ろ側張り出し面を備えている。
【0004】
そして前側水平部材への取り付けは前側水平部材に開けたネジ穴を用いるか、前側水平部材を覆うU字ネジを使うなど前側水平部材への加工や前側水平部材の形状に合わせるなどを採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6644312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるパレットの滑り出しを防ぐ落下防止具は、その構造上、前側水平部材への取り付けが前側水平部材への加工や前側水平部材の形状に合わせる形状を用意するなどを採用しているため、市場に存在する様々な水平部材の形状への対応が難しいという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みて棚に載置されたパレットの地震などによる滑り出しによる落下を防止する、前側水平部材の形状によらずに取付可能な使い勝手のよい落下防止具を提供することである。
【0008】
また、この発明の別の目的は、1本の支柱の左右方向に複数の棚板が取り付けられている状態での取り付けが可能な落下防止具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の落下防止具は、棚棧に取り付けられて前記棚棧に積載されたパレットの前方への滑り出しによる落下を防止する落下防止具であって、前記棚棧の上面に載せられる天井部材と、該天井部材の前部から前方へ突き出されて上方へ立ち上がる移動防止部材と、前記天井部材の前部で下方へ突き出される前面部材と、前記天井部材の後部で下方へ突き出される背面部材とを備え、該背面部材にネジ穴が設けられ、該背面部材の後方からねじ込まれるボルトと該ボルトを係止するナットを有することを特徴とする。そして請求項2に記載の落下防止具は、前記ボルトがねじ込まれて前記棚棧の後部へ当たり、前記落下防止具が前記棚棧へ固定されることを特徴とする請求項1に記載の落下防止具である。
【0010】
発明の落下防止具が、棚棧に取り付けられて前記棚棧に積載されたパレットの前方への滑り出しによる落下を防止する落下防止具であって、前記棚棧の上面に載せられる天井部材と、該天井部材の前部から前方へ突き出されて上方へ立ち上がる移動防止部材と、前記天井部材の前部で下方へ突き出される前面部材と、前記天井部材の後部で下方へ突き出される背面部材とを備え、該背面部材にネジ穴が設けられ、該背面部材の後方からねじ込まれるボルトを有する。そして、前記ボルトがねじ込まれて前記棚棧の後部へ当たり、前記落下防止具が前記棚棧へ固定されるので棚桟(水平部材)の形状によらず取付可能になっている。
【0011】
請求項3に記載の落下防止具は、さらに前記背面部材に取り付けられる底面抑え部材が備えられ、該底面抑え部材が下端で前方へ突き出される抑え部を有するとともに、該底面抑え部材がネジ穴を有し、前記背面部材が対応する長穴を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の落下防止具である。
【0012】
前記背面部材に取り付けられる底面抑え部材が備えられ、該底面抑え部材が下端で前方へ突き出される抑え部を有するとともに、該底面抑え部材がネジ穴を有し、前記背面部材が対応する長穴を有するので、棚桟の上下寸法の変動に柔軟に対応することができる。
【0013】
請求項4に記載の落下防止具は、前記背面部材の長穴及び前記底面抑え部材のネジ穴へボルトが挿通され、前記底面抑え部材と前記背面部材の上下位置が調節されて前記底面抑え部材の抑え部が前記棚棧の下部へ当たった状態で前記ボルトが締め付けられて前記底面抑え部材が前記背面部材に固定されることを特徴とする請求項3に記載の落下防止具である。
【0014】
前記背面部材の長穴及び前記底面抑え部材のネジ穴へボルトが挿通され、前記底面抑え部材と前記背面部材の上下位置が調節されて前記底面抑え部材の抑え部が前記棚棧の下部へ当たった状態で前記ボルトが締め付けられて前記底面抑え部材が前記背面部材に固定されるので、パレットの前方への回転に伴うトルクを受け止めることができる。
【0015】
請求項5に記載の落下防止具は、前記天井部材の下面に接着層が設けられ前記棚棧の上面に接着されて固定されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の落下防止具である。
【0016】
前記天井部材の下面に接着層が設けられ前記棚棧の上面に接着されて固定されるので落下防止具の棚桟への固定がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)落下防止具の前方からの斜視図、(B)落下防止具の後方からの斜視図である。
図2】(A)落下防止具を棚板へ取り付けた様子の前方からの斜視図、(B)落下防止具を棚板へ取り付けた様子の後方からの斜視図。
図3】天井部材の下面に備えられる接着層の説明図である。
図4】背面部材が長穴を有し底面抑え部材を備える落下防止具の(A)前方からの斜視図、(B)後方からの斜視図である。
図5】底面抑え部材を備える落下防止具20を棚桟50に取り付けた様子の説明図である。
図6】棚桟と落下防止具の関係を示す断面図であって、(A)棚桟がムク材、(B)コの字材の場合の説明図である。
図7】落下防止具にトルクが加わる説明図である。
図8】落下防止具が適用されるパレット棚の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「実施例1」
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図1に示す実施例1において落下防止具10は棚棧の上面に載せられる天井部材5と、該天井部材5の前部から前方へ突き出されて上方へ立ち上がる移動防止部材1と、前記天井部材の前部で下方へ突き出される前面部材2と、前記天井部材の後部で下方へ突き出される背面部材3とを備え、該背面部材にネジ穴6が設けられる。
【0019】
移動防止部材1はパレット棚に置かれたパレットが前方へ滑り出して落下することを防止する。背面部材3にはネジ穴6が設けられている。図1(B)ではこのネジ穴へボルト7がねじ込まれ棚桟の後部へ当たり落下防止具10が棚桟へ固定されその状態でナット8によりボルト7が固定される。
【0020】
図2(A)は落下防止具10を棚板へ取り付けた状態の前方からの斜視図であり、図2(B)は落下防止具を棚板へ取り付けた状態の後方からの斜視図である。天井部材5の奥行きは棚桟50の奥行幅よりも大きく取られているので落下防止具10を棚桟50の上から載せ
て前面部材2と背面部材3とで棚桟50を挟むように置く。
【0021】
そして、後方からねじ込まれるボルト7の先端が棚桟50の後部へ当たり強く締め付けられることで落下防止具10が棚桟50へ固定される。締め付けたボルトが緩まないようにナット8でボルトの動きを止める。
【0022】
市販されているパレット棚の棚桟の断面形状は多彩でありそれらに対応するには、市販の棚桟の幅よりも大きな奥行きを落下防止具が持つことが必要になる。棚桟は下方への応力に耐えられるように鉛直方向の部材を備えるか、ムク材を使うことが好適である。図6に棚桟の断面形状の一例を示す。図6(A)はムク材51で棚桟が構成される例で、図6(B)は後面が開いているコの字状の形状52の場合である。上からの応力に耐えられるように必要となる鉛直方向の部材へ落下防止具10の背面部材3からのネジ7を当てて落下防止具を棚桟へ固定することで棚桟の多様な形状に対応することが可能になる。
【0023】
落下防止具を棚桟へ固定するにはネジによる固定の他に接着剤による固定も好適である。図3に落下防止具10の天井部材5の下面に接着層30を設けた様子を示す。接着層30には接着剤の他に両面テープを用いることが好適である。接着層30により棚桟へ固定される落下防止具はネジによる固定に加えてより強固に棚桟へ固定されることになる。
【0024】
「第2実施例」
図4には背面部材に接続されて棚桟の下部へ接する抑え部23を有する底面抑え部材24が記載されている。地震などによりパレットが前方へ加速されると、前方への移動だけでなく図7に示すようにパレットに積載された荷物の前方への傾きが生じる。図7にしめすように落下防止具には前方への応力Aの他に前面部材にパレットが当たって生じるトルクCが加わる。そのときそのトルクを抑えるのが図4の底面抑え部材24である。
【0025】
底面抑え部材24下端に抑え部23が設けられる。棚桟の下部へ抑え部23が接するように棚桟の寸法に応じた抑え部23を用いる。底面抑え部材24のネジ穴へは背面部材側からネジを入れて締めることで底面抑え部材24が背面部材27へ固定される。
【0026】
底面抑え部材24は背面部材27に対して上下に移動可能に構成される。図4に示す落下防止具は背面部材27に長穴29が設けられそこへ対応する底面抑え部材24のネジ穴28に向けてボルト26を挿通する。
【0027】
底面抑え部材24の上下位置を調節して抑え部23が棚桟の下部に当たる位置でボルトを締めボルトの緩みを防止するナットで固定する。背面部材の穴が長穴29なので棚桟の縦方向の寸法に合わせて底面抑え部材24の上下位置の調節が可能となる。
【0028】
図5に第2実施例の落下防止具20を棚桟50へ取り付ける様子を示す。落下防止具20の天井部材の奥行きは棚桟50の奥行きよりも十分大きく取られているので棚桟の後壁と落下防止具20の背面部材27との間には距離が有る。その距離を埋めるように背面部材からボルト26を底面抑え部材24のネジ穴28に通してから棚桟の後壁へ当ててねじ込むと底面抑え部材24が背面部材27へ引き寄せられてネジ26が固定される。
【0029】
図8に本発明が適用されるパレットラックの様子を示す。落下防止具の前方への突き出し距離と前面部材1の高さは図8に示すフォークリフトによる作業に支障が出ない寸法で構成される。本願発明パレット落下防止具は棚桟に取り付けられるので横方向に棚が連続しているパレット棚においても互いに干渉することがない。
【0030】
上記に説明した実施例は本願発明の一部であって本願発明の技術思想を含む実施の態様は本願発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1 移動防止部材
2 前面部材
3 背面部材
5 天井部材
6 ネジ穴
7 取り付けボルト
8 ナット
10 落下防止具(第1実施例)
20 落下防止具(第2実施例)
23 抑え部
24 底面抑え部材
26 固定用ネジ(ボルト)
27 背面部材
28 ネジ穴
29 長穴
30 接着層
40 落下防止具
50,51,52、53 棚桟
110 パレットラック
111 荷物
112 パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8