(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086793
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220602BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20220602BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20220602BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J11/70
B41J2/165 101
B41J2/01 301
B41J2/175 115
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198994
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056EA23
2C056EC12
2C056EC31
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA60
2C056JA01
2C056JA13
2C056KC02
2C058AB02
2C058AB06
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA08
2C058LA14
2C058LB10
2C058LB19
2C058LB42
(57)【要約】
【課題】広いスペースを有効に活用して、切断部の交換を容易に行うことが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置(1)は、搬送ローラ(60,66)と、用紙(P)に画像を記録する画像記録部(3)と、用紙(P)を切断する切断部(10)と、制御部と、を備えている。制御部は、走査方向(左右方向)において、プラテン(34)よりも外側へ切断部(10)を移動させることにより用紙(P)を切断する。そして、走査方向におけるプラテン(34)よりも外側に、カッターユニットを交換するための交換位置(EX)が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された記録媒体をプラテンにより支持し、記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
着脱可能なカッターユニットを有し、記録媒体を切断する切断部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記搬送方向と交差する走査方向において、前記プラテンよりも外側へ前記切断部を移動させることにより記録媒体を切断し、
前記走査方向における前記プラテンよりも外側には、前記カッターユニットを交換するための交換位置が設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記走査方向における前記プラテンよりも外側には、記録媒体を切断していない待機状態において、前記切断部を待機させるための待機位置が設けられ、
前記待機位置及び前記交換位置は、前記走査方向の同じ側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記交換位置は、前記待機位置よりも前記走査方向の外側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記走査方向における前記プラテンよりも外側には、記録媒体を切断していない待機状態において、前記切断部を待機させるための待機位置が設けられ、
前記交換位置は、前記待機位置に対して、前記走査方向の中央位置を挟んで反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記画像記録部の上方には、前記切断部を交換するための開口部が形成されたカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記交換位置の一端部には、前記切断部に当接することにより、前記切断部が前記走査方向の外側へ移動しないようにするための規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記規制部材には、前記走査方向の内側へ前記規制部材を付勢するための付勢部材が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記走査方向における前記プラテンよりも外側には、記録媒体を切断していない待機状態において、前記切断部を待機させるための待機位置が設けられ、
前記制御部は、
前記切断部を前記待機位置から前記交換位置へ移動させる時には、記録媒体を切断する時の前記切断部の移動速度よりも遅い速度で、前記切断部を移動させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記画像記録部の上方に回動可能に設けられ、記録媒体に記録された画像を読み取る画像読取部を、更に備え、
前記交換位置は、前記画像読取部の下方に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷装置の前面には、設定部が設けられ、
前記交換位置は、前記設定部よりも前記印刷装置の後方に配置され、
前記制御部は、前記設定部により前記切断部の交換の指示が受け付けられると、前記走査方向に沿って前記切断部を前記交換位置へ移動させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
液体を貯留する液体貯留部を、更に備え、
前記交換位置は、前記液体貯留部よりも前記印刷装置の後方に配置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記液体貯留部に貯留された液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドと、
前記画像記録部により記録媒体に画像の記録が行われていない待機時に、前記記録ヘッドの前記ノズル面を覆うキャップ部と、
を更に備え、
前記交換位置は、前記キャップ部の位置に対して、前記印刷装置の走査方向の同じ側に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体を切断するための切断部を備えた印刷装置がある。例えば、特許文献1には、固定刃に対して丸刃を摺接させることによって、記録媒体を切断する切断装置について記載されている。特許文献1の切断装置では、ユーザが丸刃を交換することによって、切断装置の保守を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば小型の印刷装置では、印刷装置の幅方向の中央付近において、用紙が通過する位置よりも上方にある広いスペースを有効に活用して部品を配置している。このような印刷装置において、印刷装置の幅方向の中央付近の広いスペースに、切断部を交換するための交換位置を配置した場合、広いスペースを部品配置のために有効に活用できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、広いスペースを有効に活用でき、且つ切断部の交換を容易に行うことが可能な印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された記録媒体をプラテンにより支持し、記録媒体に画像を記録する画像記録部と、着脱可能なカッターユニットを有し、記録媒体を切断する切断部と、制御部と、を備えている。前記制御部は、前記搬送方向と交差する走査方向において、前記プラテンよりも外側へ前記切断部を移動させることにより記録媒体を切断する。そして、前記走査方向における前記プラテンよりも外側には、前記カッターユニットを交換するための交換位置が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記した構成の印刷装置によれば、カッターユニットを交換するための交換位置が走査方向におけるプラテンよりも外側に設けられているので、印刷装置の幅方向の中央付近にある広いスペースに、チューブサポートプレートやチューブ等の部品を配置できる。従って、印刷装置の幅方向の中央付近の広いスペースを有効に活用でき、且つ、印刷装置の幅方向の中央付近を避けた位置において切断部の交換を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、広いスペースを有効に活用でき、且つ切断部の交換を容易に行うことが可能な印刷装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る印刷装置の内部構造を示す断面図である。
【
図3】実施形態1に係る印刷装置の画像記録部の周辺を上方から見た図である。
【
図4】実施形態1に係る印刷装置においてカートリッジカバーを開放した状態を示す斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る印刷装置において画像読取部を開放した際のプリンタ部の上面を示す模式的な斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る印刷装置の切断部の外観を示す図である。
【
図7】切断前の用紙と切断後に生じる第1用紙及び第2用紙を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】実施形態1に係る印刷装置の制御部による印刷時の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態1に係る印刷装置の切断部の交換時の制御部による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2に係る画像記録部及び切断部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
[印刷装置の構成]
以下、本発明の実施形態1に係る印刷装置1について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。
図1に示す印刷装置1は、プリンタ部11及び画像読取部12等を有するMFP(Multi-Function Peripheral)である。プリンタ部11は、印刷ジョブにより指定された印刷データを、液体の一例であるインクLを吐出することにより、記録媒体の一例である用紙Pに記録するインクジェット式のプリント機能を有する。画像読取部12は、印刷装置1における画像記録部3の上方に回動可能に設けられ、用紙Pに記録された画像を読み取るスキャナ機能を有する。
【0011】
なお、印刷の方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式であってもよい。また、用紙Pに印刷される画像は、カラー印刷が可能であってもよいし、モノクロ印刷専用であってもよい。以下、説明の便宜上、印刷装置1が使用可能に水平面に設置された姿勢を基準として、
図1の矢印に示されるように、印刷装置1の上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1のプリンタ部11の前面には、開口20が形成されている。開口20には、給送トレイ21及び排出トレイ22が前後方向に移動可能に配置されている。給送トレイ21は、複数の用紙Pを収容するためのケースであり、上面が開放している。排出トレイ22は、給送トレイ21の上方に配置され、画像が記録された用紙P等を支持する。用紙Pのサイズは、例えばA4サイズである。なお、用紙Pは、紙媒体に限らず、他にも、例えばOHPシートのような樹脂媒体であってもよい。
【0013】
また、印刷装置1の前面には、
図1に示すように、表示画面を有する設定部123が設けられている。設定部123は、例えばタッチパネルからなり、ユーザのタッチ操作により、印刷装置1による印刷、及び切断部10の交換等に関する各種の設定を行うことが可能な構成となっている。設定部123により、用紙Pのサイズ、切断処理を実行するか否かの設定、及び切断部10の交換等が設定されると、設定された情報は制御部100へ出力される(
図8参照)。
【0014】
また、印刷装置1の前面の右側には、
図1に示すように、カートリッジカバー81が回動可能に設けられている。カートリッジカバー81の内部には、
図4に示すように、カートリッジケース80に装着されたインクカートリッジ8が配置されている。ここで、インクカートリッジ8は、液体貯留部の一例である。
【0015】
図2は、実施形態1に係る印刷装置1の内部構造を示す断面図である。
図2に示すように、印刷装置1の内部には、給送ローラ23と、第1搬送路R1と、搬送ローラ60,62,64,66,68と、画像記録部3と、切断部10と、第2搬送路R2とが配置されている。給送ローラ23、及び搬送ローラ60,62,64,66は、用紙Pを第1搬送方向D1(搬送方向)に搬送する搬送部の一例である。
【0016】
給送ローラ23は、給送トレイ21に収容された用紙Pを、第1搬送路R1へ給送するためのローラである。給送ローラ23は、給送アーム24の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム24は、印刷装置1のフレームに支持された軸25に回動可能に支持されている。給送アーム24は、自重又はバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0017】
給送ローラ23は、給送モータ107(
図8参照)が駆動することにより正回転する。給送ローラ23が正回転することにより、給送トレイ21に収容された用紙Pが1枚ずつ第1搬送路R1へ給送される。第1搬送路R1へ給送された用紙Pは、第1搬送方向D1、即ち印刷装置1の後方から前方へ向かう方向に搬送される。
【0018】
第1搬送路R1は、ガイド部材41,42,43,44、及び画像記録部3等によって形成される空間をいう。第1搬送路R1は、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材41,42で区画される領域にて湾曲し、画像記録部3の位置を経由して、ガイド部材43,44で区画される領域にて直線状に延び、排出トレイ22に至る経路である。
【0019】
第1搬送路R1における画像記録部3よりも第1搬送方向D1の上流には、搬送ローラ60が配置されている。搬送ローラ60の下部と対向する位置には、ピンチローラ61が配置されている。搬送ローラ60は、搬送モータ108(
図8参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って回転する。搬送ローラ60及びピンチローラ61が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、画像記録部3まで搬送される。
【0020】
図2に示すように、第1搬送路R1における画像記録部3よりも第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ62が配置されている。搬送ローラ62の上部と対向する位置には、拍車ローラ63が配置されている。搬送ローラ62は、搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ63は、搬送ローラ62の回転に伴って回転する。搬送ローラ62及び拍車ローラ63が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ62及び拍車ローラ63に挟持されて、第1搬送方向D1の下流側へ搬送される。
【0021】
また、第1搬送路R1における搬送ローラ62よりも第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ64が配置されている。搬送ローラ64の上部と対向する位置には、拍車ローラ65が配置されている。搬送ローラ64は、搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ65は、搬送ローラ64の回転に伴って回転する。搬送ローラ64及び拍車ローラ65が正回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されて、切断部10側へ搬送される。一方、搬送ローラ64及び拍車ローラ65が逆回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されると共に、第1フラップ46の下面に沿って、第2搬送路R2へ搬送される。
【0022】
第1搬送路R1における切断部10より第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ66が配置されている。搬送ローラ66の上部と対向する位置には、拍車ローラ67が配置されている。搬送ローラ66は、搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ67は、搬送ローラ66の回転に伴って回転する。搬送ローラ66及び拍車ローラ67が正回転することにより、用紙P、第1用紙P1及び第2用紙P2は、搬送ローラ66に搬送されて、排出トレイ22へ排出される。
【0023】
第1搬送路R1において、搬送ローラ64と搬送ローラ66との間には、切断部10が配置されている。切断部10は、
図6に示すように、カッターユニット10Cを有し、カッターキャリッジモータ110(
図8参照)の駆動力によってカッターキャリッジ10Aが走査方向に移動することにより、用紙Pを切断する。
【0024】
図2に示すように、第1搬送路R1における搬送ローラ62と搬送ローラ64との間において、ガイド部材43に対向した分岐位置Yの付近には、第1フラップ46が配置されている。第1フラップ46は、プラテン34によって支持され、第1状態と第2状態との間を回動可能になっている。第1フラップ46は、
図2に実線で示される第1状態では、ガイド部材43と当接して第1搬送路R1を閉塞させる。一方、第1フラップ46は、
図2に点線で示される第2状態では、第1状態よりも下方に位置して、ガイド部材43から離間して第1搬送方向D1に搬送される用紙Pを通過させる。
【0025】
第1フラップ46は、コイルバネ47によって上方へ付勢されている。コイルバネ47は、その一端が第1フラップ46に接続され、他端がプラテン34に接続されている。第1フラップ46は、コイルバネ47に付勢されることで第1状態となり、その前端がガイド部材43に当接する。
【0026】
また、第1搬送路R1と第2搬送路R2との合流位置Wには、第2フラップ48が回動可能に配置されている。具体的には、第2フラップ48は、
図2に実線で示される第1状態と、
図2に点線で示される第2状態との間で回動可能になっている。第2フラップ48が第1状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材42により、第2搬送路R2の一部が構成される。また、第2フラップ48が第2状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材41により、第1搬送路R1の一部が構成される。
【0027】
第1搬送路R1における搬送ローラ60よりも上流側には、レジセンサ120が配置されている。レジセンサ120は、ガイド部材42に取り付けられ、用紙Pの前端又は後端が搬送ローラ60との当接位置を通過することを検知するセンサである。レジセンサ120としては、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジセンサ120は、用紙Pが搬送ローラ60との当接位置を通過している状態でオン信号を出力し、紙Pが搬送ローラ60との当接位置を通過していない状態でオフ信号を出力する。レジセンサ120による検知信号は、制御部100へ出力される。
【0028】
搬送ローラ60には、搬送ローラ60の回転を検出するロータリエンコーダ121が設けられている。ロータリエンコーダ121は、搬送ローラ60の回転に応じてパルス信号を制御部100へ出力する(
図8参照)。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスクと、光学センサとを有する。エンコーダディスクは、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサは、回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部100に出力する。
【0029】
第2搬送路R2は、ガイド部材51,52,53と、搬送ローラ68及びピンチローラ69等によって区画される経路である。第2搬送路R2は、第1搬送路R1における搬送ローラ64よりも上流側の分岐位置Yから分岐し、第1搬送路R1における画像記録部3よりも第1搬送方向D1の上流側にある合流位置Wに接続されている。
【0030】
従って、制御部100により、搬送ローラ64を逆回転させると共に、搬送ローラ68を回転させることで、片面に画像が記録された用紙Pを、第2搬送路R2において第2搬送方向D2に沿って搬送した後、表裏を1回反転させた状態で第1搬送路R1に搬送できる。これにより、画像記録部3により、用紙Pの両面に印刷することが可能である。
【0031】
[画像記録部の構成]
図3は、実施形態に係る印刷装置1の画像記録部3の周辺を上方から見た図である。
図3に示すように、画像記録部3は、バッファタンク30と、ヘッドキャリッジ31と、記録ヘッド32と、複数のノズル33と、プラテン34とを有し、用紙Pに画像を記録するためのものである。
【0032】
バッファタンク30には、インクカートリッジ8から供給チューブ82を介して供給されるインクLが収容される。また、バッファタンク30には、チューブジョイント83が一体的に設けられている。チューブジョイント83には、4本の供給チューブ82の一端が、それぞれ着脱可能に接続されている。4本の供給チューブ82の他端は、4つのインクカートリッジ8Y,8M,8C,8Kにそれぞれ接続されている。
【0033】
図2に示すように、画像記録部3は、第1搬送路R1において、搬送ローラ60と搬送ローラ62との間に配置されている。記録ヘッド32は、ヘッドキャリッジ31に搭載されている。記録ヘッド32の下面は、複数のノズル33が形成されたノズル面330である。複数のノズル33は、バッファタンク30の内部と連通している。
【0034】
記録ヘッド32は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル33からバッファタンク30に収容されたインクLを、用紙Pに向かって吐出するものである。ノズル33は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の3色のカラーのインクL、及びブラック(K)のインクLを吐出する。
【0035】
プラテン34は、用紙Pが載置される矩形板状の部材である。プラテン34に支持された用紙Pに対して、ヘッドキャリッジ31が移動する過程において、記録ヘッド32がインク滴を選択的に吐出することによって、用紙Pに画像が記録される。
【0036】
図3に示すように、プラテン34の上方には、走査方向(
図3の左右方向)に平行に延びる2本のガイドレール13,14が設けられている。ヘッドキャリッジ31は、2本のガイドレール13,14に取り付けられている。ヘッドキャリッジ31は、プラテン34と対向する領域において、2本のガイドレール15,16に沿って、左右方向に移動可能に構成されている。
【0037】
また、ヘッドキャリッジ31には、駆動ベルト15が取り付けられている。駆動ベルト15は、2つのプーリ16,17に巻き掛けられた無端状のベルトである。一方のプーリ16は、ヘッドキャリッジモータ109(
図8参照)に連結されている。ヘッドキャリッジモータ109の正転又は逆転の駆動によって、プーリ16が回転し、駆動ベルト15が走行する。これにより、ヘッドキャリッジ31が左右方向に往復移動する。このとき、ヘッドキャリッジ31に搭載された画像記録部3も、左右方向に往復移動する。
【0038】
ヘッドキャリッジ31は、ヘッドキャリッジモータ109の駆動力が伝達されることによって、走査方向に往復移動する(
図3参照)。制御部100は、用紙Pに画像を記録する時、用紙Pの搬送が停止している状態でヘッドキャリッジ31を走査方向に移動させながら記録ヘッド32からインクを吐出させ、1行分の画像を用紙Pに記録させる記録処理と、搬送ローラ60及び搬送ローラ62を駆動させて用紙Pを所定の改行量だけ搬送する改行処理とを繰り返す。これにより、用紙Pに所望の画像等を記録する。
【0039】
[吸引部の構成]
吸引部7は、ノズル33の吐出状態を回復させるメンテナンス動作として、ノズル33の吸引パージを行うものである。
図3に示すように、吸引部7は、キャップ部70と、吸引ポンプ71と、廃液タンク72とを有している。なお、
図3に示す吸引部7の構成は一例であり、これに限定されない。
【0040】
キャップ部70は、走査方向においてプラテン34よりも右側に配置されている。
図3に示すヘッドキャリッジ31は、画像記録部3により用紙Pへの画像記録が行われていない待機時に、記録ヘッド32のノズル面330とキャップ部70とが上下に対向する待機位置HPまで移動する。キャップ部70は、待機位置HPにおいて、記録ヘッド32に装着されてノズル面330を覆うことでノズル33を封止する。これにより、ノズル33が乾燥することが防止される。
【0041】
キャップ部70は、例えばゴム材料からなる。キャップ部70は、待機位置HPにおいて、キャップ部70は、図示しないキャップ変位部により駆動され、記録ヘッド32に対して当接及び離隔するよう変位可能に構成されている。
【0042】
待機位置HPでは、例えば、ノズル33からインクLを強制的に排出させる吸引パージが行われる。吸引ポンプ71は、例えばチューブポンプである。吸引ポンプ71は、制御部100により駆動が制御される。吸引ポンプ71が駆動すると、キャップ部70内の気体及び液体が吸引される。吸引ポンプ71は、チューブ73を介して、廃液タンク72と接続されている。廃液タンク72は、吸引ポンプ71によりキャップ部70の内部から排出されたインクLを貯留する。
【0043】
[インクカートリッジの構成]
図4は、実施形態1に係る印刷装置1においてカートリッジカバー81を開放した状態を示す斜視図である。
図4に示すように、印刷装置1の前面の右側には、インクカートリッジ8を装着するためのカートリッジケース80が配置されている。
【0044】
インクカートリッジ8は、インクLを貯留するための略直方体形状の容器であり、4つ設けられている。4つのインクカートリッジ8Y,8M,8C,8Kには、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクLが貯留されている。インクLは、溶媒中に顔料粒子が分散した顔料インクである。
【0045】
図3に示すように、4つのインクカートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、4つの供給チューブ82を介して、それぞれ画像記録部3に接続されている。供給チューブ82は、可撓性の部材からなり、インクカートリッジ8の内部と、画像記録部3のバッファタンク30の内部とを連通する。なお、図示しないが、ヘッドキャリッジ31には、フレキシブルフラットケーブルが延出している。フレキシブルフラットケーブルは、制御部100と記録ヘッド32とを電気的に接続している。
【0046】
[開口部]
図5は、実施形態1に係る印刷装置1において画像読取部12を開放した際のプリンタ部11の上面を示す模式的な斜視図である。
図5に示すように、プリンタ部11の上面には、例えば樹脂製のカバー部材111が配置されている。カバー部材111には、開口部112が形成されている。開口部112は、交換位置EXと連通しており、切断部10のカッターユニット10Cが通過可能な程度のサイズである。ユーザは、開口部112を通って、
図6に示す切断部10のカッターユニット10Cを交換することが可能となっている。
【0047】
[切断部の構成]
図6は、実施形態1に係る印刷装置1の切断部10の外観を示す図である。
図6に示すように、切断部10は、カッターキャリッジ10Aに搭載されたカッターユニット10Cを有している。カッターユニット10Cは、円形状の上側ブレード10C1及び下側ブレード10C2を備えている。カッターユニット10Cは、例えばネジ等によってカッターキャリッジ10Aに取り付けられている。ユーザは、印刷装置1の交換位置EXにおいて、工具等によりネジを緩めることにより、カッターキャリッジ10Aからカッターユニット10Cを取り外すことが可能であり、カッターユニット10Cの保守を行うことができる。
【0048】
上側ブレード10C1は、カッターキャリッジ10Aに、図示しないOリング等を介して回転可能に装着されている。下側ブレード10C2も、上側ブレード10C1と同様に、カッターキャリッジ10Aに、Oリング等を介して回転可能に装着されている。切断部10は、切断位置Xにて、上側ブレード10C1及び下側ブレード10C2を互いに回転させながら当接させることによって、用紙Pを切断する。切断部10によって切断された用紙Pは、
図7に示すように、第1用紙P1と第2用紙P2とに分けられる。
【0049】
なお、上側ブレード10C1及び下側ブレード10C2は、固定刃であってもよく、回転刃と固定刃との組み合わせであってもよい。また、カッターユニット10Cは、上側ブレード10C1及び下側ブレード10C2のいずれか一方だけでもよい。この場合、切断位置Xは、上側ブレード10C1又は下側ブレード10C2と用紙Pとが当接する位置をいう。また、カッターユニット10Cの形状や大きさは、適宜変更可能である。
【0050】
図6に示すように、切断部10は、走査方向に延設された支持レール18によって、走査方向に移動可能に支持されている。支持レール18には、図示しない回転軸に巻回された無端ベルトが設けられている。無端ベルトは、カッターキャリッジ10Aと連結されている。カッターキャリッジモータ110(
図8参照)の駆動力によって回転軸が回転して無端ベルトが回動することで、カッターキャリッジ10Aが、支持レール18に沿って走査方向に移動するようになっている。
【0051】
[待機位置及び交換位置の位置関係]
実施形態1では、
図3に示すように、走査方向におけるプラテン34よりも外側に、切断部10を待機させるための待機位置SBが設けられている。待機位置SBは、切断部10が用紙を切断していない待機状態において、切断部10を待機させておくためのスペースである。
【0052】
また、待機位置SBよりも走査方向の右外側には、カッターユニット10Cを交換するための交換位置EXが設けられている。即ち、交換位置EXは、待機位置SB及びキャップ部70の位置と同じように、走査方向の右側に配置されている。これにより、印刷装置の幅方向の中央付近にある広いスペースを有効に活用することが可能である。
【0053】
具体的には、交換位置EXは、
図1に示す設定部123よりも後方且つ画像読取部12の下方に配置され、
図5に示すカバー部材111に形成された開口部112に対応した位置に配置されている。また、交換位置EXは、インクカートリッジ8のカートリッジケース80よりも後方に配置されている。
【0054】
更に、交換位置EXは、ヘッドキャリッジ31が取り付けられるガイドレール13,14の右側端部よりも、走査方向の右外側に配置されている。また、交換位置EXは、給送トレイ21及び排出トレイ22(
図1及び
図5参照)よりも走査方向(
図5の左右方向)の右外側に配置されている。また、交換位置EXは、
図3に示すように、搬送ローラ60,66よりも、走査方向(
図3の左右方向)の右外側に配置されている。また、交換位置EXは、切断部10により切断される用紙Pが通過する位置よりも、走査方向の右側に配置されている。このように、実施形態1の印刷装置1では、交換位置EXの配置位置を工夫することで、切断部10のカッターユニット10Cの交換を容易に行うことを可能としている。
【0055】
図3に示すように、交換位置EXの右端部には、板状の規制部材90が配置されている。規制部材90は、切断部10に当接することにより、切断部10が所定の位置よりも走査方向の右外側へ移動しないようにするための部材である。
【0056】
規制部材90の右側端面には、付勢部材の一例であるバネ91が取り付けられている。バネ91は、規制部材90を走査方向の内側へ付勢するための部材である。
【0057】
図7は、切断前の用紙Pと切断後に生じる第1用紙P1及び第2用紙P2を示す図である。
図7に示す例では、切断部10により、搬送方向の長さがAの用紙Pが切断されることで、用紙Pが2等分に分割されて、搬送方向の長さがA1の第1用紙P1と、搬送方向の長さがA2の第2用紙P2とに分けられる。例えば、用紙PがA4サイズの場合、A5サイズの第1用紙P1及び第2用紙P2が生成される。なお、第1搬送路R1において、第1用紙P1が第2用紙P2よりも先行して搬送される。
【0058】
[印刷装置の電気的構成]
図8は、実施形態1に係る印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図8に示すように、印刷装置1は、上述した各部に加え、制御部100と、通信インターフェース(I/F)122を備えている。
【0059】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM104(登録商標)、及びASIC105を有し、これらが内部バス106によって接続されている。ROM102には、CPU101が各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。
【0060】
RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。制御部100は、ROM102から読み出した制御プログラムに基づいて、記録ヘッド32、吸引ポンプ71、給送モータ107、搬送モータ108、ヘッドキャリッジモータ109、及びカッターキャリッジモータ110等を制御する。
【0061】
ASIC105には、給送モータ107、搬送モータ108、ヘッドキャリッジモータ109、記録ヘッド32、カッターキャリッジモータ110、吸引ポンプ71、レジセンサ120、ロータリエンコーダ121、通信インターフェース(I/F)122、及び設定部123が接続されている。
【0062】
ASIC105は、給送モータ107、搬送モータ108、ヘッドキャリッジモータ109及びカッターキャリッジモータ110に駆動電流を供給する。制御部100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、給送モータ107、搬送モータ108、ヘッドキャリッジモータ109及びカッターキャリッジモータ110の回転を制御する。
【0063】
また、制御部100は、記録ヘッド32の振動素子に駆動電圧を印加することによって、ノズルからインク滴を吐出させる。制御部100は、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて搬送ローラ60の回転量を検知する。制御部100は、レジセンサ120から出力される検出信号に基づいて、用紙Pが搬送ローラ60との当接位置を通過したことを検知する。そして、制御部100は、レジセンサ120からオン信号が出力された後、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて、用紙Pの第1搬送路R1における搬送量を推定する。
【0064】
通信I/F122は、LAN等のネットワークに接続され、印刷装置1用のドライバが組み込まれた外部装置との接続を可能にしている。印刷装置1は、通信I/F122を介して、用紙Pの種類を識別する識別情報を含む印刷ジョブを受信可能である。
【0065】
[印刷時の制御部による制御の流れ]
次に、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100による印刷時の制御の流れについて、
図9のフローチャートを参照して説明する。
図9は、実施形態1に係る印刷装置1による印刷時の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
図9に示すフローチャートにおいて、まず、制御部100は、通信I/F122を介して印刷ジョブを受信すると、給送モータ107を駆動させて、給送ローラ23を正回転させることにより、給送トレイ21から用紙Pを取り出し、用紙Pの搬送を開始する(S1)。具体的には、用紙Pを給送トレイ21から第1搬送路R1に搬送した後、用紙Pを画像記録部3に向けて搬送する。
【0067】
続いて、制御部100は、レジセンサ120の検知結果を用いることにより、用紙Pの前端を検知したか否かを判定する(S2)。制御部100は、用紙Pの前端を検知していない場合(S2:NO)、S1に戻り、用紙Pの前端を検知した場合(S2:YES)、画像記録部3を制御することにより、用紙Pへの画像記録を開始する(S3)。
【0068】
S3において、制御部100は、画像記録部3まで搬送された用紙Pに対して、以下に示す改行処理と記録処理とを交互に繰り返す画像記録処理を実行することにより、用紙Pに画像を記録する。即ち、改行処理において、制御部100は、搬送モータ108を正回転させて、搬送ローラ60,62,64を駆動させることにより、所定の搬送量だけ用紙Pを第1搬送方向D1へ搬送する。また、記録処理において、制御部100は、用紙Pの搬送を停止させている間に、ヘッドキャリッジモータ109を駆動させ、ヘッドキャリッジ31を用紙Pの幅方向に移動させて、記録ヘッド32のノズル33から用紙Pへインク滴を吐出することにより1行分の画像を記録させる。
【0069】
S3の後、制御部100は、レジセンサ120が用紙Pの後端を検知したか否かを判定する(S4)。制御部100は、レジセンサ120が用紙Pの後端を検知していない場合(S4:NO)、S4に戻り、レジセンサ120が用紙Pの後端を検知した場合(S4:YES)、制御部100は、
図7に示す用紙Pの第1搬送方向D1の長さAを算出する(S5)。
【0070】
具体的には、制御部100は、レジセンサ120が用紙Pの前端を検知してから、レジセンサ120が用紙Pの後端を検知するまでの間に、ロータリエンコーダ121が検知した用紙Pの搬送量に基づいて、用紙Pの第1搬送方向D1の長さAを算出する。
【0071】
そして、制御部100は、S5にて算出された用紙Pの第1搬送方向D1の長さAに基づいて、
図7に示す用紙Pの切断位置CLを設定する(S6)。S6の後、制御部100は、レジセンサ120及びロータリエンコーダ121の検知結果に基づいて、用紙Pの切断位置CLが切断部10のある位置X(
図2参照)に到達したか否かを判定する(S7)。
【0072】
制御部100は、用紙Pが切断部10のある位置Xに到達していない場合(S7:NO)、S7に戻る。一方、用紙Pが切断部10のある位置Xに到達した場合(S7:YES)、制御部100は、用紙Pを上側ブレード10C1及び下側ブレード10C2に挟んだ状態で、切断部10を走査方向に移動させることにより、用紙Pを切断位置CLで切断する(S8)。これにより、
図7に示すように、用紙Pの2分の1の大きさの第1用紙P1及び第2用紙P2が生成される。なお、ユーザは、用紙Pを切断するか否かを、設定部123により設定するものとする。
【0073】
S8の後、制御部100は、次の頁があるか否かを判定する(S9)。制御部100は、次の頁がない場合(S9:NO)、第1用紙P1及び第2用紙P2を排出トレイ22へ排出し、用紙Pへの画像記録を終了する(S10)。
【0074】
一方、制御部100は、次の頁がある場合(S9:YES)、第2用紙P2に対する画像記録部3による印刷を終了するとともに、第1用紙P1及び第2用紙P2を排出トレイ22へ排出した後、S1に戻り、以降、上記したS2~S9と同様の処理を行う。
【0075】
[切断部の交換時の制御部による制御の流れ]
図10は、実施形態1に係る印刷装置1の切断部10の交換時の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示すフローチャートにおいて、まず、制御部100は、切断部10の交換の指示を受け付けたか否かを判定する(S11)。
【0076】
印刷装置1が切断部10の交換の指示を受け付けない場合(S11:NO)、S11に戻る一方、ユーザが設定部123を操作することにより、印刷装置1が切断部10の交換の指示を受け付けると(S11:YES)、制御部100は、切断部10を走査方向に沿って待機位置SBから交換位置EXへ移動させる(S12)。
【0077】
S12において、制御部100は、切断部10を待機位置SBから交換位置EXへ移動させる時には、S8にて用紙Pを切断する時の切断部10の移動速度よりも遅い速度で、切断部10を移動させる。これにより、切断部10を交換位置EXへ移動させる際に切断部10にかかる衝撃を小さくすることが可能である。
【0078】
[実施形態1の効果]
以上説明した実施形態1の印刷装置1によれば、
図3に示すように、カッターユニット10Cを交換するための交換位置EXが、走査方向におけるプラテン34よりも外側に設けられているので、印刷装置1の幅方向の中央付近にある広いスペースを有効に活用でき、チューブサポートプレート84や供給チューブ82等の部品を配置できる。また、交換位置EXが走査方向におけるプラテン34よりも外側に配置されているので、印刷装置1の幅方向の中央付近にある部品を避けて、切断部10の交換を容易に行うことができる。
【0079】
また、
図3に示すように、待機位置SB及び交換位置EXを走査方向において同じ側(
図3では右側)に配置することで、印刷装置1の小型化を図ることができる。
【0080】
また、待機位置SBよりも、走査方向における外側に交換位置EXを設けることによって、切断部10を容易に交換することが可能である。
【0081】
また、ユーザは、
図1に示す画像読取部12を開放して、
図5に示すように、プリンタ部11のカバー部材111に形成された開口部112を通して切断部10にアクセスできる。これにより、切断部10を工具等によって容易に交換することができる。
【0082】
また、
図3に示すように、交換位置EXの右端部には、規制部材90が設けられているので、切断部10が所定の位置よりも走査方向の外側へ移動しないようにできる。これにより、切断部10が走査方向の外側へ外れてしまうことを防止できる。
【0083】
更に、規制部材90の右側側面には、走査方向の内側、即ち、印刷装置1の左方向へ規制部材90を付勢するための付勢部材であるバネ91が取り付けられている。このバネ91により、切断部10が交換位置EXに移動する際に切断部10に加わる衝撃力を吸収することができる。これにより、切断部10を交換位置EXへ移動させる際に、切断部10が損傷することを防止できる。
【0084】
また、切断部10を待機位置SBから交換位置EXへ移動させる時には、用紙Pを切断する時の移動速度よりも遅い速度で切断部10を移動させる。これにより、切断部10を交換位置EXへ移動させる際に切断部10にかかる衝撃を小さくして、切断部10の損傷等を防止できる。
【0085】
また、画像読取部12を回動させることによって、切断部10の交換作業を行うことが可能である。
【0086】
また、ユーザは、設定部123を操作することによって、切断部10を交換位置EXへ自動的に移動させることができる。そして、ユーザは、印刷装置1の手前から切断部10にアクセスすることで、切断部10を容易に交換することができる。
【0087】
また、交換位置EXを、インクカートリッジ8の後方の空きスペースに配置することで、印刷装置1の小型化を図ることができる。また、印刷装置1の前面にカートリッジケース80を配置することで、ユーザがインクカートリッジ8を容易に着脱できる。
【0088】
また、
図3に示すように、幅方向にスペースをとるキャップ部70の位置と交換位置EXとを、印刷装置1の走査方向の同じ側(
図3の右側)に配置することで、印刷装置1の小型化を図ることができる。
【0089】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2に係る印刷装置1Aについて、
図11を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0090】
図11は、実施形態2に係る画像記録部3及び切断部10を上方から見た図である。
図11に示すように、実施形態2では、待機位置SBが走査方向において、プラテン34よりも左外側に配置されている点が実施形態1と異なる。
【0091】
交換位置EXは、実施形態1と同様に、走査方向において、プラテン34よりも右外側に配置されている。つまり、実施形態2では、交換位置EXは、待機位置SBに対して、走査方向の中央位置を挟んで反対側に配置されている。
【0092】
以上説明した実施形態2の印刷装置1Aによっても、実施形態1の印刷装置1と同様の効果を得ることができる。即ち、交換位置EXが走査方向においてプラテン34よりも外側に設けられているので、印刷装置1の幅方向の中央付近を避けて、カッターユニット10Cの交換を行うことができる。このため、切断部10の交換を容易に行うことができる。
【0093】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1では、
図3に示すように、切断部10の交換位置EXを待機位置SBよりも走査方向の外側に配置するものとしたが、これに限定されない。例えば、切断部10のカッターユニット10Cの交換位置EXを、待機位置SBと同じ位置としてもよい。
【0094】
上記した実施形態1,2では、画像記録部3の上方に配置されたカバー部材111に、開口部112が形成されているものとしたが、これに限定されない。例えば、プリンタ部11の側面に、開口部112が形成されていてもよい。
【0095】
上記した実施形態1,2の印刷装置1は、インクカートリッジ8をカートリッジケース80に装着するカートリッジ式の印刷装置であるとしたが、これに限定されない。例えば、ボトル型のインクカートリッジを、供給チューブ82の接続口に直接接続して、インクの供給を行うタンク式の印刷装置であってもよい。
【0096】
また、上記した実施形態1,2では、4つのインクカートリッジ8Y,8M,8C,8Kが配置されるものとしたが、これに限らず、インクカートリッジ8の数は、例えば6つや8つでもよい。また、モノクロプリンタの場合には、ブラックに対応した1つのインクカートリッジ8Kがあればよい。
【0097】
上記した実施形態1,2では、切断部10により用紙Pを2分の1に切断するものとしたが、これに限らず、例えば用紙Pを3分の1に切断してもよい。また、用紙Pの切断位置Xは、印刷データのサイズに応じて適宜変更可能である。
【0098】
図9に示すフローチャートは一例であって、これに限定されない。例えば、
図9のS4の後、第2搬送路R2において、用紙Pを第2搬送方向D2に沿って搬送した後に、S8にて切断部10により切断するようにしてもよい。また、S4の後、第2搬送路R2において、用紙Pを第2搬送方向D2に沿って搬送した後に、S8にて切断部10により用紙Pを切断してもよい。
【0099】
上記した実施形態1,2では、レジセンサ120により、用紙Pの前端及び後端の通過を検知するものとしたが、これに限定されない。例えば、画像記録部3に、プラテン34上に用紙Pが有るか否かを検知するためのセンサであるメディアセンサを設け、当該メディアセンサにより用紙Pの前端又は後端の通過を検知してもよい。
【0100】
上記した実施形態1,2では、ローラ部材である給送ローラ23、及び搬送ローラ60,62,64,66,68により、用紙Pを搬送するものとしたが、これに限らない。他にも、搬送部として、ベルト部材を用いてもよいし、ドラム部材を用いてもよい。
【0101】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A 印刷装置
3 画像記録部
8,8Y,8M,8C,8K カートリッジ(液体貯留部)
10 切断部
10C カッターユニット
11 プリンタ部
12 画像読取部
23 給送ローラ(搬送部)
34 プラテン
60,62,64,66 搬送ローラ(搬送部)
80 カートリッジケース
90 規制部材
91 バネ(付勢部材)
100 制御部
111 カバー部材
112 開口部
123 設定部
P 用紙(記録媒体)
EX 交換位置
SB 待機位置