(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086797
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】コンベヤ搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/42 20060101AFI20220602BHJP
B65G 13/11 20060101ALI20220602BHJP
B65G 21/20 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B65B35/42
B65G13/11
B65G21/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198998
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】竹把 友一
(72)【発明者】
【氏名】星 俊臣
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】白木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正博
【テーマコード(参考)】
3E054
3F025
3F033
【Fターム(参考)】
3E054AA14
3E054DD03
3E054DE02
3E054DE08
3E054FA04
3E054FE03
3E054GA01
3E054GB05
3E054GC03
3E054JA10
3F025BB01
3F025BB04
3F025BC01
3F025BC04
3F033BB02
3F033BC02
(57)【要約】
【課題】搬送の効率化及び簡素化に貢献することができるコンベヤ搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明は、被搬送体10をコンベヤ搬送する搬送レーン3と、搬送レーン3の搬送方向と直交する少なくとも一方側に隣接し、かつ、搬送レーン3の搬送方向に沿う対向区間を有するように近接配置された作業レーン4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送体をコンベヤ搬送する搬送レーンと、前記搬送レーンの搬送方向と直交する少なくとも一方側に隣接し、かつ、前記搬送レーンの搬送方向に沿う対向区間を有するように近接配置された作業レーンと、を備えることを特徴とするコンベヤ搬送装置。
【請求項2】
前記搬送レーンをローラコンベヤとする、ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項3】
前記対抗区間の前記搬送レーンと前記作業レーンにおいて、前記搬送レーンは搬送方向と対抗する方向に水平又は作業レーンに向かって低位となるよう傾斜し、かつ前記作業レーンは前記搬送レーンが水平の場合は水平に配置し、前記搬送レーンが傾斜している場合は前記搬送レーンと隣接する側の内側を高位とし外側を低位とするものであってその傾斜角度は前記搬送レーンの傾斜角度よりも大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項4】
前記搬送レーンの内側と前記作業レーンの内側との隙間に前記搬送レーンの搬送方向に沿って存在する対向区間のうち、少なくとも被搬送体を搬送方向と直交する方向にスライドさせるために必要な搬送方向に沿う所定長さ範囲以上に延び、かつ、前記隙間の所定範囲の幅を備える板状部材を備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項5】
前記板状部材は、上面が前記ローラの内側の上端部よりも1.0mmを超えない範囲で低位置に配置されている、ことを特徴とする請求項4に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項6】
前記搬送レーンと前記作業レーンとは、前記対向区間においてそれぞれ任意に停止又は作動できることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項7】
前記対向区間は、
前記搬送レーンから搬送される複数の被搬送体に対して、所定の仕分けルールに応じて被搬送体を前記搬送レーンの搬送方向と直交する引き寄せ方向のスライドによる前記搬送レーンから前記作業レーンへの移動を許容し、かつ、当該引き寄せた被搬送体を所定の仕分けルールに応じて前記搬送レーンの搬送方向と直交する押し戻し方向のスライドによる前記作業レーンから前記搬送レーンへの移動を許容する範囲以上とされる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項8】
前記対向区間は、
前記作業レーンへ移動した前記被搬送体を所定の仕分けルールに応じてピックアップして搬送順序を所定の順序に入れ替え、前記入れ替えられた前記被搬送体における前記作業レーンから前記搬送レーンへの移動を許容する範囲以上とされる、ことを特徴とする請求項6に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項9】
前記対向区間は、
前記搬送レーンから搬送される複数の被搬送体に対して、所定の仕分けルールに応じて被搬送体を前記搬送レーンの搬送方向と直交する引き寄せ方向のスライドによる前記搬送レーンから前記作業レーンへの移動を許容し、かつ、当該引き寄せた被搬送体を所定の検品ルールに応じて検品し、当該引き寄せた被搬送体が検品ルールの基準に達しない場合に当該引き寄せた被搬送体における前記作業レーンから検品物品待機区画への移動を許容する範囲以上とされる、ことを特徴とする請求項6に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項10】
前記作業レーンにおいて、無人搬送車に前記被搬送体を移載するための移載区画を設ける、ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ搬送装置。
【請求項11】
前記無人搬送車の移載区画において、前記無人搬送車を駐機し、充電できる設備を設ける、ことを特徴とする請求項10に記載のコンベヤ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送体をコンベヤ搬送するコンベヤ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、缶や瓶等の一次物品を、所定の数量でパッケージングするに際して、2つ以上の隣接する並走レーンで同時に搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、搬送過程において、搬送先等に応じて仕分けするために被搬送体を分岐レーンや合流レーンとで一時的に並走レーンが存在する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した並走レーンは、物流センターのスペース上の問題からスペース効率と作業効率の向上を図り、生産能力をあげるために被搬送体を並走レーンで強制的に搬送している。
【0006】
したがって、例えば、搬送レーンから搬送物を作業レーンにピックアップして目的別の仕分け作業を行い、当該仕分け後に搬送物を搬送レーンに戻す、等の仕分け作業を目的として搬送レーンと作業レーンとで並走レーンを構成したものではなく、被搬送物の仕分け作業の効率に貢献し得るものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は、搬送レーンと並行して作業レーンを配置することにより、搬送レーンの搬送状況とは独立して人手による作業を可能とすることができ、搬送工程と作業工程とを同時並行に行うとともに、搬送レーンと作業レーンとを直列的に配置した場合に比べてレーン長並びに搬送時間を短縮することができ、搬送効率の簡素化、並びに被搬送物の仕分け作業の効率化に貢献することができるコンベヤ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のコンベヤ搬送装置は、被搬送体をコンベヤ搬送する搬送レーンと、前記搬送レーンの搬送方向と直交する少なくとも一方側に隣接し、かつ、前記搬送レーンの搬送方向に沿う対向区間を有するように近接配置された作業レーンと、を備えるものである。
【0009】
搬送レーンは、被搬送体を搬送方向に沿って順次コンベヤ搬送する。
【0010】
この際、被搬送体は、その搬送目的に応じて、駆動装置の動力による電動搬送又は人力や上流側からの被搬送体の搬送力により押出搬送される。したがって、搬送レーンには、ベルトコンベヤ方式及びローラコンベヤ方式の何れも採用可能である。
【0011】
作業レーンは、搬送レーンの搬送方向に沿う対向区間を有するように近接配置され、搬送レーンから搬送された被搬送体を必要に応じてピックアップし、搬送レーンから作業レーンへとスライドさせるように引き込み、所定の手作業を実行する。
【0012】
この際、作業レーンでは、搬送方向には搬送されず、作業者の前で停止させることができる。その後、作業が終了したらば、搬送レーンへと押し戻し、若しくは、作業レーンのローラコンベヤを利用して搬送方向への押し出し、によって各レーンの下流側へと搬送される。
【0013】
なお、被搬送体の必要に応じたピックアップには、例えば、トラックへの積載調整等のための間引き、配送先の変更等のための引き取り、抜き取り、押し込み、或いは、搬送過程でばらけた最終梱包前の被搬送体又は被搬送体に収納した一つ以上の物品の配置整理や検品、など機械作業で行えなかった人手作業を所定の仕分けルールとしたものであれば特に限定されるものではない。また、ここでの「仕分け」には、仕分け以外の作業、例えば、順立て作業や検品作業等を含ませることができる。
【0014】
したがって、作業レーンには、被搬送体の引き込みや所定位置での人手作業を可能とし、かつ、搬送レーンへの押し戻し、若しくは、被搬送体を必要に応じてそのまま作業レーンの下流側へと押し出し搬送、を可能とするためにローラコンベヤを採用するのが好ましい。
【0015】
なお、被搬送体に対する上記引き込みや押し戻し等の搬送方向と直交する方向のスライドは、人手作業による場合のほか、例えば、ロボットハンド等の持ち上げを除き、スプリング等を用いた機械作業を利用することができる。
【0016】
この場合において、被搬送体は、特にローラコンベヤを用いた場合、搬送レーンの搬送方向と直交する方向にスライドさせるのが好ましい。なお、被搬送体における「搬送方向と直交する方向」のスライドは、人手作業の場合は当然ながら、たとえ、機械作業の場合であっても搬送レーン上を搬送方向に沿って移動する被搬送体であることから、厳密な「直交」とはならない場合がある。
【0017】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、少なくとも作業レーンの搬送レーンと隣接する内側よりも外側の方が低位となるように傾斜しているものである。
【0018】
したがって、搬送レーンに対して作業レーンのみが傾斜していてもよいし、搬送レーンと作業レーンとの双方が傾斜していてもかまわない。この際、搬送レーンと作業レーンとの傾斜角度は同一でもよいし異なっていてもよい。搬送レーンが傾斜している場合は搬送レーンと隣接する側の内側を高位とし外側を低位とするものであってその傾斜角度は前記搬送レーンの傾斜角度よりも大きくすることを特徴としてもよい。
【0019】
また、搬送レーンの搬送方向と直交する一方側に作業レーンを設けた場合には、搬送レーンと作業レーンとの双方が傾斜していてもよいが、搬送レーンの搬送方向と直交する両方側に作業レーンを設けた場合には、搬送レーンは水平に配置される。
【0020】
さらに、搬送レーンの搬送方向と直交する両方側に作業レーンを設けた場合、各作業レーンの傾斜角度は同一でもよいし異なっていてもよい。
【0021】
作業レーンの内側は搬送レーンの内側と水平方向で同位置にあり、作業レーンの外側はそれよりも低位となるように傾斜している。
【0022】
これにより、搬送レーンから作業レーンに被搬送体をピックアップして引き込む際に被搬送体の重量が重くてもより容易に作業を行うことができる。また、作業レーンで停止している被搬送体の上面側が見易くなり、視認性を向上することができる。
【0023】
なお、作業レーンの内側は搬送レーンの内側と水平方向で同位置にあるとは、レーン設計上の意味において同位置であり、実際のレーン設置の際の誤差や被搬送体の重量等による沈み込み等が発生したとした場合までを含むものではない。しがたって、ここでの同位置には、実質的に同位置、略同位置、同位置付近、等の場合が含まれる。
【0024】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記搬送レーンの内側と前記作業レーンの内側との隙間に前記搬送レーンの搬送方向に沿って存在する対向区間のうち、少なくとも被搬送体を搬送方向と直交する方向にスライドさせるために必要な搬送方向に沿う所定長さ範囲以上に延び、かつ、前記隙間の所定範囲の幅を備える板状部材を備えるものである。
【0025】
作業レーンにはローラコンベヤを採用するのが好ましいことから、各ローラの端部をベアリングを介して回転可能に保持するためのフレーム枠が存在しているが、このフレーム枠の上面はローラの頂点よりも低位置にあり、搬送レーンとの干渉を避けるための若干の隙間が存在してしまう。
【0026】
このような隙間は、搬送レーンから作業レーンへと被搬送体を引き込む際、或いは、作業レーンから搬送レーンへと被搬送体を押し戻す際に、被搬送体が落ち込んでしまい易く、被搬送体がローラ等に引っ掛かってスライドの弊害となったり、梱包材(段ボール箱等)の破損の要因となる可能性がある。
【0027】
そこで、搬送レーンと作業レーンとの間に存在する隙間を板状部材で塞ぐことにより、上述した不具合の発生を抑制することが可能となる。
【0028】
なお、板状部材には、被搬送体の大きさや重量等に応じた強度を備えていれば、金属製及び樹脂製、或いは、木製の何れを用いてもよい。
【0029】
また、隙間を板状部材で塞ぐとは、隙間が完全に無くなるということを意味するものではなく、幅方向の隙間が小さくなればその効果を発揮することができる。
【0030】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記板状部材は、上面が前記ローラの内側の上端部よりも1.0mmを超えない範囲で低位置に配置、或いは溝の幅が搬送体が落ち込まない程度に狭くすることにしても同様の効果が得られるものである。
【0031】
板状部材の上面は、被搬送体を引き込む際の溝に起因するローラとの干渉を避けるために配置されているが、ローラの内側の上端に対して上位値にあると、今度は板状部材が干渉してしまうため、当然にローラの内側の上端部よりも低位置にある必要がある。
【0032】
そこで、板状部材は、上面がローラの内側の上端部よりも1.0mmを超えない範囲で低位置に配置することで、これらの干渉を解消するようにした。なお、1.0mmよりも低位置としてしまうと溝を塞ぐ効果が薄れてしまい、被搬送体がローラの上端部と干渉ししまう可能性がある。
【0033】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記搬送レーンと前記作業レーンとは、前記対向区間においてそれぞれ任意に停止又は作動できることにより、作業性を安定させることができる。
【0034】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記対向区間は、前記搬送レーンから搬送される複数の被搬送体に対して、所定の仕分けルールに応じて被搬送体を前記搬送レーンの搬送方向と直交する引き寄せ方向のスライドによる前記搬送レーンから前記作業レーンへの移動を許容し、かつ、当該引き寄せた被搬送体を所定の仕分けルールに応じて前記搬送レーンの搬送方向と直交する押し戻し方向のスライドによる前記作業レーンから前記搬送レーンへの移動を許容する範囲以上とされる、ものである。
【0035】
したがって、搬送レーンと作業レーンとは、互いに近接した配置によって対向空間が存在していれば、例えば、搬送レーンと作業レーンとが搬送方向の全長で並行して配置されている必要はなく、搬送レーンの搬送方向と作業レーンの搬送方向とが互いに直交していてもよい。また、搬送レーンと作業レーンとの間に別途搬送レーンを設け、搬送レーンを作業レーンとして使用してもよい。
【0036】
この際、少なくとも対向空間は、被搬送体のスライド方向と直交する方向(搬送レーンの搬送方向と一致)の長さ以上に長ければ、被搬送体がスライドする際の弊害とはならない。
【0037】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記対向区間は、前記作業レーンへ移動した前記被搬送体の中の物品を所定の仕分けルールに応じて仕分けし、前記仕分け後の物品を所定の仕分けルールに応じて前記作業レーンから前記搬送レーンへの移動を許容する範囲以上とされる、ものである。
【0038】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記対向区間は、前記作業レーンへ移動した前記被搬送体の中の物品を所定の仕分けルールに応じてピックアップして搬送順序を所定の順序に入れ替え、前記入れ替えられた物品を前記被搬送体に前記入れ替え順序で投入して前記作業レーンから前記搬送レーンへの移動を許容する範囲以上とされる、ものである。
【0039】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記対向区間は、前記搬送レーンから搬送される複数の被搬送体に対して、所定の仕分けルールに応じて被搬送体を前記搬送レーンの搬送方向と直交する引き寄せ方向のスライドによる前記搬送レーンから前記作業レーンへの移動を許容し、かつ、当該引き寄せた被搬送体の中の物品を所定の検品ルールに応じて検品し、当該物品のうち検品ルールの基準に達しない物品を前記作業レーンから検品物品待機区画に移動を許容する範囲以上とされる、ものである。
【0040】
したがって、対向区間は、例えば、被搬送体が搬送レーンと作業レーンとの間におけるスライドによる引き寄せ・押し戻しを実行し得る必要範囲を板状部材の配置区間とすることができる。
【0041】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記作業レーンにおいて、無人搬送車に前記搬送物を移載するための移載区画を設けることができる。
【0042】
また、本発明のコンベヤ搬送装置は、前記無人搬送車の移載区画において、前記無人搬送車を駐機し、充電できる設備を設けることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のコンベヤ搬送装置は、搬送の効率化及び簡素化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】搬送レーンと作業レーンとの配置関係を示す説明図である。
【
図2】搬送レーンと作業レーンの詳細構造の一例を示し、(A)は要部の平面図、(B)は要部の正面図である。
【
図4】搬送レーンと作業レーンとの他の配置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係るコンベヤ搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明のコンベヤ搬送装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0046】
図1において、コンベヤ搬送装置1は、例えば、一つ以上の物品(例えば、6本のワイン)11を収納(梱包)した段ボール箱や折り畳み式コンテナ(以下、単に「オリコン」と略称する場合がある。)を被搬送体10として搬送するもので、収納後の被搬送体10を搬送する収納作業レーン2と、収納作業レーン2から搬送された被搬送体10を、例えば、搬送トラック用のターミナルにコンベヤ搬送する搬送レーン3と、搬送レーン3の搬送方向と直交する少なくとも一方側に隣接して並設されたローラコンベヤからなる作業レーン4と、を備える。
【0047】
なお、段ボール箱やオリコン等の被搬送体10に収納された一つ以上の物品11としては、上述した6本のワインの場合、一つの被搬送体10において同一種類のワインを収納した場合のほか、例えば、購入者が選択可能なセット販売用等の異なる種類のワインを収納した場合等を含ませることができる。
【0048】
搬送レーン3は、一つ以上の物品11を収納した一つ以上の被搬送体10を搬送方向に沿ってローラコンベヤ方式により順次コンベヤ搬送する。
【0049】
被搬送体10は、その搬送目的に応じて、例えば、駆動装置7の動力による電動搬送又は人力や上流側からの被搬送体10の搬送力により押出搬送される。したがって、搬送レーン3には、ベルトコンベヤ方式及びローラコンベヤ方式の何れも採用可能である。
【0050】
作業レーン4は、搬送レーン3から搬送された被搬送体10を必要に応じてピックアップし、作業者P1の手作業にて搬送レーン3から作業レーン4へと引き込み、所定の手作業を実行する。
【0051】
この際、作業レーン4では、搬送方向には搬送されず、作業者P1の前で停止させることができる。その後、作業が終了したら、搬送レーン3へと押し戻し、若しくは、作業レーン4のローラコンベヤを利用して搬送方向への押し出し、によって搬送レーン3又は作業レーン4の下流側へとコンベヤ搬送される。
【0052】
作業者P1は、必要に応じて、被搬送体10を所定の仕分けルールに応じて仕分けし、その仕分け後の被搬送体10を所定の仕分けルールに応じて作業レーン4から搬送レーン3へと押し戻す仕分け作業を実行する。
【0053】
また、作業者P1は、必要に応じて、被搬送体10を所定の仕分けルールに応じて搬送順序を所定の順序に入れ替え、その入れ替えられた被搬送体10を入れ替え順序で投入して作業レーン4から搬送レーン3へと押し戻す順立て作業を実行する。
【0054】
さらに、作業者P1は、必要に応じて、搬送レーン3から搬送される複数の被搬送体10に対して、所定の仕分けルールに応じて被搬送体10を搬送レーン3の搬送方向と直交する引き寄せ方向のスライドによる搬送レーン3から作業レーン4へと移動させ、かつ、その引き寄せた被搬送体10を所定の検品ルールに応じて検品し、それら被搬送体10のうち検品ルールの基準に達しない被搬送体10を作業レーン4から図示しない検品物品待機区画に移動させる検品作業を実行する。
【0055】
この検品作業の際、作業者P1は、NGとした被搬送体10に対して、例えば、作業レーン4のローラコンベヤ機能を利用して、搬送レーン3の搬送方向と逆方向に被搬送体10を押し出すことで、当該被搬送体10を検品物品待機区画へと逆移送させることができる。
【0056】
なお、作業者P1が行う被搬送体10の必要に応じたピックアップには、例えば、トラックへの積載調整等のための間引き、配送先の変更等のための引き取り、抜き取り、押し込み、或いは、搬送過程でばらけた最終梱包前の被搬送体10又は被搬送体10に収納した一つ以上の物品11の配置整理や検品、など機械作業で行えなかった人手作業を所定の仕分けルールとしたものであれば特に限定されるものではない。また、ここでの「仕分け」には、仕分け以外の作業、例えば、上述した順立て作業や検品作業等を含ませることができる。
【0057】
したがって、作業レーン4には、被搬送体10の引き込みや所定位置での人手作業を可能とし、かつ、搬送レーン3への押し戻し、若しくは、被搬送体10を必要に応じてそのまま作業レーン4の下流側へと押し出し搬送、を可能とするために、一般的に摩擦抵抗の少ないローラコンベヤが採用される。
【0058】
一方、
図2に示すように、作業レーン4と搬送レーン3とは、互いに隣接する各内側よりも外側の方が低位となるように傾斜している。
【0059】
搬送レーン3及び作業レーン4の各内側は水平方向で同位置にあり、搬送レーン3及び作業レーン4の各外側は各内側よりも低位となるように傾斜している。
【0060】
これにより、搬送レーン3から作業レーン4に被搬送体10をピックアップして引き込む際には、引き込み方向に対して上向きの搬送レーン3の傾斜と、引き込み方向に対して下向きの作業レーン4と、の各傾斜によって被梱包体の重量が重くても引き込み作業を容易に行うことができる。また、作業レーン4で停止している被搬送体10の上面側が見易くなり、視認性を向上することができる。
【0061】
なお、作業レーン4の内側が搬送レーン3の内側に対して水平方向で同位置にあるとは、レーン設計上の意味において同位置であり、実際のレーン設置の際の誤差や被搬送体10の重量等による沈み込み等が発生した場合までを含むものではない。しがたって、ここでの同位置には、実質的に同位置、略同位置、同位置付近、等の場合が含まれる。
【0062】
また、コンベヤ搬送装置1は、搬送レーン3の内側と作業レーン4の内側との間には、各レーン3,4の近接配置に伴って搬送レーン3の搬送方向に沿う対向区間に隙間5が存在する。この隙間5には、少なくとも作業者P1が位置して被搬送体10を搬送方向と直交する方向にスライド可能となるよう、搬送方向に沿う所定長さ範囲以上に延び、かつ、隙間5の所定範囲の幅を備える板状部材20が配置されている。
【0063】
作業レーン4にはローラコンベヤが採用されていることから、各ローラ4aの端部をベアリングを介して回転可能に保持するためのフレーム枠4bが存在しているが、このフレーム枠4bの上面はローラ4aの頂点よりも低位置にあり、搬送レーン3のローラ3a及びフレーム枠3bとの干渉を避けるための若干の隙間5が存在してしまう。
【0064】
このような隙間5は、搬送レーン3から作業レーン4へとピックアップした被搬送体10を引き込む際に、被搬送体10が落ち込んでしまい易く、被搬送体10がローラ4aに引っ掛かって引き込み作業の弊害となったり、梱包材(段ボール箱等)の破損の要因となる可能性がある。
【0065】
そこで、搬送レーン3と作業レーン4との間に存在する隙間5を板状部材20で塞ぐことにより、上述した不具合の発生を抑制することが可能となる。
【0066】
なお、板状部材20には、被搬送体10の大きさや重量等に応じた強度を備えていれば、金属製及び樹脂製、或いは、木製の何れを用いてもよい。
【0067】
また、隙間5を板状部材20で塞ぐとは、隙間5が完全に無くなるということを意味するものではなく、幅方向の隙間5が小さくなれば、その効果を発揮することができる。
【0068】
したがって、
図3に示すように、板状部材20とローラ4aとの間にはローラ回転に対する干渉を回避するために間隙Wが設けられている。なお、この間隙Wは搬送レーン3との関係においても同様であり、
図3の幅方向左右の両側で同一幅とするのが望ましい。したがって、間隙Wは、0.5mm~3.0mmの範囲(又は隙間5の10%以内)で設定されている。
【0069】
また、板状部材20は、上面20aがローラ4aの内側の上端部よりも高さHが1.0~0.6mmの範囲で低位置に配置されている。
【0070】
板状部材20の上面20aは、被搬送体10を引き込む際の隙間5に起因するローラとの干渉を回避するために配置されているが、ローラの内側の上端に対して上位値にあると、今度は板状部材20が干渉してしまうため、当然にローラの内側の上端部よりも低位置にある必要がある。
【0071】
そこで、板状部材20は、上面20aがローラ4aの内側の上端部よりも1.0mmを超えない範囲で低位置に配置することで、これらの干渉を解消するようになっている。
【0072】
なお、1.0mmを超えた低位置としてしまうと隙間5を塞ぐ効果が薄れてしまい、被搬送体10がローラの上端部と干渉してしまう可能性がある。なお、被搬送体10の種類・大きさ・重量等によっては、0.6mmよりも上位値としてしまうと、被搬送体10が板状部材20と干渉してしまう可能性があるため、上記の寸法範囲は被搬送体10の種類・大きさ・重量等によって適宜選択/変更が可能である。
【0073】
なお、板状部材20を配置する対向区間としては、搬送レーン3と作業レーン4との配置に応じて、搬送レーン3と作業レーン4とが並列状態にある区間全長としてもよいし、被搬送体10の大きさを考慮したうえで、上述した「仕分け作業」「順立て作業」「検品作業」等の実行を許容する区間以上とすることができる。
【0074】
このように、搬送レーン3と並行して作業レーン4を並列して配置することにより、搬送過程において被搬送体10を搬送しつつ、搬送レーン3の搬送状況とは独立して人手による作業を可能とし得て、搬送工程と作業工程とを同時並行に行うとともに、搬送レーン3と作業レーン4とを直列的に配置した場合に比べてレーン長並びに搬送時間を短縮することができ、搬送効率の簡素化並びに搬送体の処理作業の効率化に貢献することができる。
【0075】
また、搬送レーン3と作業レーン4とを並列配置したことによる隙間5を板状部材20で塞いだことにより、搬送レーン3から作業レーン4へとピックアップした被搬送体10を引き込む際に、被搬送体10が落ち込んでしまい、被搬送体10がローラ4aに引っ掛かって引き込み作業の弊害となったり、梱包材(段ボール箱等)の破損の要因となるといった不具合の発生を抑制することができる。
【0076】
図5は、上記各レーンを並列的に配置した例に対し、搬送システム全般に適用した例を示す。
【0077】
この搬送システム30では、例では、2つの並走したレーンを搬送用として並列配置しており、例えば、2本を対とした計4本の搬入レーン31から異なる複数種類(例えば、4種類~8種類)の被搬送体(物品の図示は省略し、一例として4種類)10A~10Dが搬送され、その下流端に連接した合流レーン32に2列分が1列分となるように合流される。
【0078】
合流レーン32で合流した被搬送体10A~10Dは、例えば、一方を第1搬送レーン33、他方を第2搬送レーン34として、各列にて搬送される。
【0079】
各搬送レーン33,34には、各搬送レーン33,34の搬送方向と直交する方向に上流端が近接して隣接しかつ各搬送レーン33,34の搬送方向と直交する搬送方向となるローラコンベヤからなる数の作業レーン35(例えば、各列3台)が設けられている。
【0080】
また、各搬送レーン33,34の下流端には、合流レーン36及び待機レーン37が設けられている。
【0081】
一方、第1搬送レーン33と第2搬送レーン34との間、及び各搬送レーン33,34と作業レーン35との間の各対向空間には、板状部材20が配置されている。
【0082】
これにより、各搬送レーン33,34で搬送された複数の被搬送体10A~10Dは、例えば、各作業レーン35に対応して担当する作業者P11~P14及び作業者P21~P24が配置されるとともに、各作業レーン35に対して(各作業者P11~P14及び作業者P21~P24に対して)所定の仕分けルールに基づく作業対象となる被搬送体10A~10Dが到来した旨を報知するランプ38の点灯(又は点滅)状態に応じて、当該被搬送体10~10Dをスライドさせる。なお、ランプ38の報知によらず、各作業者P11~P14及び作業者P21~P24の目視判断でスライドを行うようにしてもよい。
【0083】
具体的には、スライド対象には、各搬送レーン33,34から作業レーン35に引き込む場合と、各搬送レーン33,34の間で押し出す場合とが含まれる。したがって、ランプ38は、何れの作業を実行するのかを認識できるように、異なる色での点灯(又は点滅)が可能となっている。
【0084】
なお、ピックアップ対象を作業者P11~P14及び作業者P21~P24に報知するランプ38については、同様の機能を、例えば搬送レーン3の直上にプロジェクタ(図示せず)を配置し、そのプロジェクタ光の点灯によりピックアップ対象の被搬送体10A~10D(或いはそれを模した映像)を直接投影するようにしてもよい。
【0085】
こうすることにより、作業者P11~P14及び作業者P21~P24は、ピックアップ対象の被搬送体10A~10Dを直接視認することができるので、誤認することなく正確にピックアップ作業を実行することができる。
【0086】
作業者P11~P14及び作業者P21~P24は、各搬送レーン33,34からピックアップした被搬送体10A~10Dを作業レーン35に引き込むと、所定の作業後に作業レーン35の下流へと押し出し、順立てレーン40で順立てされ、移載ロボット50によって各種類ごとに集積部60に移載/集積されて搬送物Bとされたのち、図示を略す移載区画へと移送される。
【0087】
なお、作業者P21~P24は、作業者P11~P14と実質同一の作業を協同して実行することができる。したがって、図示を省略するが、一方の第1搬送レーン33に隣接する作業レーン35についても、順立てレーン40、移載ロボット50、集積部60が配置される。
【0088】
したがって、例えば、作業者P11~P14が作業を行う状況では、一方の第1搬送レーン33が搬送レーンとして機能し、他方の第2搬送レーン34が作業レーンとして機能するとともに、他方の第2搬送レーン34が搬送レーンとして機能し、作業レーン35が作業レーンとして機能する。
【0089】
同様に、例えば、作業者P21~P24が作業を行う状況では、他方の第2搬送レーン34が搬送レーンとして機能し、一方の第1搬送レーン33が作業レーンとして機能するとともに、一方の第1搬送レーン33が搬送レーンとして機能し、作業レーン35が作業レーンとして機能する。
【0090】
このように、作業レーン35には、順立てレーン40、移載ロボット50、集積部60、移載区画、等を設けることができる。
【0091】
なお、移載区画は、例えば、
図5に示した被搬送体10A~10Dを集積部60で収納した搬送物Bを、図示を略す無人搬送車に移載するための区画とすることができる。この際、無人搬送車の移載区画においては、無人搬送車を駐機し、充電できる設備を設けることができる。
【0092】
なお、無人搬送車には無人搬送ロボットを含ませることができ、実際には、AGV(Automatic Guided Vehicle)を対象とすることができる。
【0093】
したがって、具体的なピックアップシステムとして展開する場合、各搬送レーン33,34に複数の物品11が収納されているオリコン等の被搬送体10A~10Dが搬送されてくる。
【0094】
次に、作業者P11~P14並びに作業者P21~P24がその被搬送体10A~10Dに対するランプ38(又は上記プロジェクタ)の報知に応じてピックアップして作業レーン35に引き込み、そこで必要数をピックアップし、AGVの移載区画で待機しているAGV(このAGVに出荷用の段ボール箱や通い箱等の搬送箱が搭載されている)の搬送箱に投入する。
【0095】
この際、作業者P11~P14並びに作業者P21~P24は、図示を略す投入完了ボタンを押すとAGVはそこから出発して出荷用のステーション等で検品/梱包される。
【0096】
まだ、ピックアップが全て完了していない場合には、隣接する作業者の移載区画に立ち寄りそこで同様のピックアップがなされたり、別の対向区画の移載区画に立ち寄りピックアップされ、全てのピックアップが完了したら出荷用のステーションに向かい検品/梱包されて出荷される。
【0097】
一方、作業者P11~P14並びに作業者P21~P24は、ピックアップが完了した被搬送体10を作業レーン35から搬送レーン33,34へと押し戻す。
【0098】
このように、複数種類の被搬送体10A~10Dを複数の作業者P11~P14及び作業者P21~P24によってピックアップされ、所定の仕訳ルールに対応した仕分け・順立て等の作業を効率よく行うことができる。
【0099】
なお、ランプ38は、例えば、バーコードやRFIDの読み取りによっても被搬送体10A~10Dを識別することができる。
【0100】
また、各搬送レーン3,33,34と各作業レーン4,35とは、対向区間においてそれぞれ任意に停止又は作動できるように構成し、ピックアップ作業の安定化に貢献し得るように構成してもよい。
【0101】
ところで、上記実施の形態では、搬送レーン3と作業レーン4との双方が傾斜しているものとして説明したが、この場合、搬送レーン3と作業レーン4との傾斜角度は同一でもよいし異なっていてもよい。また、搬送レーン3に対して作業レーン4のみが傾斜していてもかまわない。
【0102】
なお、上記実施の形態では、搬送レーン3の搬送方向と直交する一方側に一つの作業レーン4を配置した場合で説明したが、例えば、
図4に示すように、搬送レーン3の搬送方向と直交する他方側にも作業レーン6を並列配置し、他の作業者P2による同時作業を行うことも可能である。
【0103】
これにより、作業者P1と作業者P2との同一作業の同時作業、或いは、作業者P1と作業者P2とで異なる作業の同時作業といった作業効率の向上に貢献することができるばかりでなく、例えば、作業者P1が作業中に作業者P2が休憩する(又はその逆)といった利用形態にも貢献することができる。
【0104】
また、搬送レーン3の搬送方向と直交する一方側に作業レーン4を設けた場合には、搬送レーン3と作業レーン4との双方が傾斜していてもよいが、搬送レーン3の搬送方向と直交する両方側に作業レーン4,6を設けた場合には、搬送レーン3は水平に配置される。
【0105】
さらに、搬送レーン3の搬送方向と直交する両方側に作業レーン4,6を設けた場合、各作業レーン4,6の傾斜角度は同一でもよいし異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…コンベヤ搬送装置
2…収納作業レーン
3…搬送レーン
3a…ローラ
3b…フレーム枠
4…作業レーン
4a…ローラ
4b…フレーム枠
5…隙間
6…作業レーン
7…駆動装置
10…被搬送体
11…物品
20…板状部材
20a…上面
H…高さ
W…間隙
P1…作業者
P2…作業者