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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086798
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】画像処理装置および印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20220602BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220602BHJP
   G06T 11/40 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B41J5/30 Z
G06F3/12 344
G06F3/12 320
G06T11/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199000
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和英
(72)【発明者】
【氏名】田伏 千加
【テーマコード(参考)】
2C187
5B080
【Fターム(参考)】
2C187BF14
2C187BG03
2C187BG14
2C187BH15
2C187BH30
2C187FB01
2C187FC07
2C187FC08
5B080AA14
5B080CA08
5B080GA25
(57)【要約】
【課題】タイリングパターンを描画する印刷装置において、パターンイメージを記憶するために大容量のメモリを不要とする。
【解決手段】制御部(11)は、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であった場合、印刷オブジェクトによるパターンセルの描画を該印刷オブジェクトから得られる印刷内容の描画によって行う第1描画処理と、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満であった場合、パターンセルから形成されたパターンイメージを記憶部(14)に記憶し、印刷オブジェクトによるパターンセルの描画をパターンイメージによって行う第2描画処理と、を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷データを解析し、前記印刷データから複数の印刷オブジェクトを取得し、
前記複数の印刷オブジェクトの1つである対象オブジェクトがパターンセルであった場合、指定された範囲に前記パターンセルを描画する画像処理装置であって、
制御部および記憶部を備えており、
前記制御部は、
前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であるか否かを判断するセルサイズ検出処理と、
前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であった場合、前記印刷オブジェクトによる前記パターンセルの描画を該印刷オブジェクトから得られる印刷内容の描画によって行う第1描画処理と、
前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ未満であった場合、前記パターンセルから形成されたパターンイメージを前記記憶部に記憶し、前記印刷オブジェクトによる前記パターンセルの描画を前記パターンイメージによって行う第2描画処理と、
を実行する画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記記憶部の空き容量を検出し、
前記記憶部の空き容量が所定容量以上であった場合、前記セルサイズ検出処理と、
前記記憶部の空き容量が前記所定容量未満であった場合、前記セルサイズ検出処理を省略して前記パターンイメージを前記記憶部に記憶しない処理と、を実行する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されているか否かを検出し、
前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されていなかった場合、前記セルサイズ検出処理と、
前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されていた場合、前記セルサイズ検出処理を省略して前記第2描画処理と、を実行する請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記セルサイズ検出処理にて、前記パターンセルの寸法サイズと予め定められた閾値とを比較することによって、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であるか否かを判断する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記セルサイズ検出処理にて、ページの寸法サイズに対する前記パターンセルの寸法サイズの割合と予め定められた閾値とを比較することによって、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であるか否かを判断する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えている印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ページ記述言語で記述された印刷データを解析し、前記印刷データから印刷オブジェクトを取得し、前記印刷オブジェクトから得られる印刷内容を描画する印刷装置が知られている。ページ記述言語の一例として、PDF(Portable Document Format)およびPostScript(登録商標)が挙げられる。
【0003】
ページ記述言語には、文字または図形を示す情報の他に、同じパターンを繰り返し描画するタイリングパターンと呼ばれる仕様が存在する。タイリングパターンを描画すると、パターンセルが指定領域の水平方向および垂直方向に一定の間隔で敷き詰められる。
【0004】
特許文献1に開示されている画像処理装置においては、描画すべき1つのタイル描画間隔で特定されるタイル繰り返しサイズと、タイル描画命令で描画すべき1つのタイル描画で特定されるタイルサイズとを比較している。これにより、特許文献1に開示されている画像処理装置においては、タイル描画間隔内に隙間が発生するかどうかを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-24190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイリングパターンを描画する印刷装置においては、パターンセルを繰り返し描画するために、パターンイメージのキャッシュが行われることが一般的である。パターンイメージのキャッシュとは、パターンセルから形成されたパターンイメージを記憶し、パターンイメージ記憶後におけるパターンセルの描画を、記憶したパターンイメージを用いて行うことである。
【0007】
一般的に、パターンセルは、小さい領域で指定される。しかし、ページ記述言語の仕様としては、パターンセルの寸法サイズに制限はない。例えば、パターンセルの寸法サイズを、ページをはみ出すような大きなサイズ、またはページ内の大部分を占めるような大きなサイズに指定することもできる。
【0008】
パターンセルが大きな寸法サイズに指定されている場合、パターンイメージをキャッシュすると、タイリングパターンを描画する印刷装置においては、パターンイメージを記憶するために大容量のメモリが必要となるという問題があった。
【0009】
本発明の一態様は、タイリングパターンを描画する印刷装置において、パターンイメージを記憶するために大容量のメモリを不要とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る画像処理装置は、ページ記述言語で記述された印刷データを解析し、前記印刷データから複数の印刷オブジェクトを取得し、前記複数の印刷オブジェクトの1つである対象オブジェクトがパターンセルであった場合、指定された範囲に前記パターンセルを描画する画像処理装置であって、制御部および記憶部を備えており、前記制御部は、前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であるか否かを判断するセルサイズ検出処理と、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であった場合、前記印刷オブジェクトによる前記パターンセルの描画を該印刷オブジェクトから得られる印刷内容の描画によって行う第1描画処理と、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ未満であった場合、前記パターンセルから形成されたパターンイメージを前記記憶部に記憶し、前記印刷オブジェクトによる前記パターンセルの描画を前記パターンイメージによって行う第2描画処理と、を実行する。
【0011】
従来、どんなパターンセルの寸法サイズであってもパターンイメージを記憶部に記憶していたのに対して、前記の構成では、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であった場合、パターンイメージを記憶部に記憶せず、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満であった場合、パターンイメージを記憶部に記憶している。
【0012】
前記の構成によれば、従来に比べて記憶部に大容量のメモリが不要となる。
【0013】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記制御部は、前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記記憶部の空き容量を検出し、前記記憶部の空き容量が所定容量以上であった場合、前記セルサイズ検出処理と、前記記憶部の空き容量が前記所定容量未満であった場合、前記セルサイズ検出処理を省略して前記パターンイメージを前記記憶部に記憶しない処理と、を実行する。
【0014】
前記の構成によれば、記憶部の空き容量が所定容量未満であった場合、パターンイメージを記憶部に記憶しない。これにより、前記の構成においては、パターンイメージを記憶するためのメモリである記憶部における記憶容量の増大、および該増大に伴う処理の低速化を抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記制御部は、前記対象オブジェクトがパターンセルであった場合、前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されているか否かを検出し、前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されていなかった場合、前記セルサイズ検出処理と、前記パターンイメージが前記記憶部に記憶されていた場合、前記セルサイズ検出処理を省略して前記第2描画処理と、を実行する。
【0016】
前記の構成によれば、パターンイメージが記憶部に記憶されていた場合、セルサイズ検出処理を省略して第2描画処理を実行することによって、パターンセルの繰り返し描画を、少ない処理工数で行うことができる。
【0017】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記制御部は、前記セルサイズ検出処理にて、前記パターンセルの寸法サイズと予め定められた閾値とを比較することによって、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であるか否かを判断する。本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記制御部は、前記セルサイズ検出処理にて、ページの寸法サイズに対する前記パターンセルの寸法サイズの割合と予め定められた閾値とを比較することによって、前記パターンセルの寸法サイズが前記所定サイズ以上であるか否かを判断する。
【0018】
前記の両構成によれば、制御部は、閾値に基づいて、セルサイズ検出処理を予め定められた基準により実行することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る印刷装置は、前記画像処理装置を備えている。
【0020】
前記の構成によれば、本発明の一態様に係る画像処理装置と同様の効果を、印刷装置において得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、タイリングパターンを描画する印刷装置において、パターンイメージを記憶するために大容量のメモリが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】プリンタの構成を示すブロック図である。
図2】パターンセルの寸法サイズと1ページの画像の領域を示すページとを比較した図であり、(a)は、パターンセルの大きさを示しており、(b)は、1ページの画像の大きさを示すページとパターンセルの大きさを比較している。
図3】本発明の実施形態に係るプリンタにおける制御部が実行するRIP処理の流れを示すフローチャートである。
図4】パターンイメージを記憶部に記憶するか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
図5】ワーク領域の確保に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図6】ページを複数のバンドに分割して描画している図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
プリンタ1は、制御部11、入力部12、プログラム記憶部13、記憶部14、表示部15、印刷部16及び給紙部17、を備えている。プリンタ1は、画像処理装置の一例である。
【0024】
入力部12は、ユーザがプリンタ1に対して各種指示を入力する入力部である。プログラム記憶部13は、制御部11が実行する制御プログラムを記憶する。記憶部14は、制御部11がRIP(Raster Image Processor)処理を実行する際に用いられる。記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の、一般的な記憶媒体によって構成されている。
【0025】
印刷部16は、制御部11の制御により、外部装置2から受信した印刷データやコマンドに基づき、印刷する文字や画像を作成し、給紙部17が供給する用紙に印刷する。給紙部17は、印刷用の用紙を印刷部16に供給する。
【0026】
本実施形態では、印刷データは、PDFと呼ばれるファイルフォーマットが用いられたPDFデータである。PDFデータでは、PostScriptをベースとするページ記述言語に従って画像が記述されている。ページ記述言語としては、PDFに限定されるのではなく、PCL(登録商標)、Postscript、LIPS(登録商標)であってもよい。
【0027】
印刷データには、文字列、図形、イメージ、パターンセルなどの描画に関する複数個のオペレータ(命令)が処理順に並べられている。
【0028】
プリンタ1は、PDFデータをラスターイメージに変換する処理であるRIP(Raster Image Processor)処理を実行する。RIP処理は、PDFデータの複数個のオペレータを順番に解析する解析処理と、解析処理によってオペレータが示す文字列、図形、パターンセル、イメージなどの印刷オブジェクトを、1ページの画像空間に対して、バンド毎(1ページの画像空間を1部分)に順番に構築する構築処理と、構築処理によって構築された1ページの画像をラスターイメージとして記憶部14に書きだす処理と、を行うことである。プリンタ1は、RIP処理によって生成されたラスターイメージを印刷部16を用いて用紙に印刷する。
【0029】
印刷オブジェクトがパターンセルである場合、PDFデータによって、指定された例えば、丸、三角、矩形、台形などの領域が示す所定の範囲を指定された模様で埋め尽くすことが指定されている。パターンセルの範囲をパターン(模様)で表現された単位画像がパターンイメージである。
【0030】
1つの印刷オブジェクトが示す所定の範囲内の方がパターンセルの大きさより大きい場合は、1つの印刷オブジェクトの所定の範囲内が、パターンイメージを繰り返し描画することによって、パターンイメージで埋め尽くされることになる。
【0031】
1つの印刷オブジェクトが示す所定の範囲内の方がパターンセルの大きさより小さい場合は、1つの印刷オブジェクトの所定の範囲内を、1つのパターンイメージによって埋められることになる。
【0032】
図2は、パターンセル18の寸法サイズと1ページの画像の領域を示すページ19とを比較した図である。図2の(a)は、パターンセル18の大きさを示しており、図2の(b)は、1ページの画像の大きさを示すページ19とパターンセル18の大きさを比較している。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係るプリンタ1における制御部11が実行するRIP処理の流れを示すフローチャートである。図4は、パターンイメージを記憶部14に記憶するか否かを判定する処理の流れを示すフローチャートである。図5は、ワーク領域の確保に関する処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3図4図5は、制御部11が実行する処理である。
【0034】
図6は、ページ19を複数のバンド20a~20eに分割して描画している図である。制御部11がRIP処理を実行することによって、複数のバンド20a~20eに、それぞれ、描画済みイメージ21a~21eが描画されることになる。
【0035】
制御部11は、コンピュータなどの外部装置2から受信して入力されたPDFデータを印刷する場合、PDFデータのRIP処理(図3)を行う。
【0036】
制御部11は、ステップS1において、印刷データに含まれるオペレータを解析し、印刷データから対象バンドに含まれる印刷オブジェクトを取得する。対象バンドとは、図6に示す複数のバンド20a~20eのいずれか1つであり、ステップS1における処理対象である。制御部11は、複数のバンド20a~20eを順番に対象バンドとして選択する。以下、ステップS1で取得した印刷オブジェクトを、対象オブジェクトと称する。
【0037】
制御部11は、ステップS2において、オペレータを解析した結果に基づき、対象オブジェクトがパターンセルであるか否かを判定する。制御部11は、対象オブジェクトがパターンセルである場合、ステップS3を実行する。制御部11は、対象オブジェクトがパターンセルでない場合、すなわち、対象オブジェクトがパターンセルではない文字列、図形、イメージであった場合、ステップS103を実行する。ステップS103については、後述する。
【0038】
制御部11は、ステップS3において、記憶部14に、パターンセルから形成可能なパターンイメージが記憶されているか否かを検出する。後述するステップS8において、制御部11が記憶部14にパターンイメージを記憶している場合(ステップS3:NO)は、制御部11は、ステップS102を実行する。ステップS102については、後述する。
【0039】
制御部11は、後述するステップS8において、制御部11が記憶部14にパターンイメージを記憶していない場合(ステップS3:YES)は、ステップS4を実行する。
【0040】
制御部11は、ステップS4において、パターンイメージを記憶部14に記憶するか否かの判定が済んでいるか否かを判定する。すなわち、制御部11は、後述する図4のステップS5のパターンイメージを記憶部14に記憶するか否かを判定するフローチャートを実行したことがあるかを、判定する。
【0041】
制御部11は、該判定が済んでいなければ(ステップS4:YES)、図4のステップS5のフローチャートを実行する。該判定が済んでいれば(ステップS4:NO)、ステップS9を実行する。ステップS9については、後述する。
【0042】
制御部11は、ステップS5において、パターンイメージを記憶部14に記憶するか否かを判定する処理を実行する。
【0043】
<ステップS5における処理の流れ>
図4が示すステップS5における処理の流れを具体的に示すフローチャートについて説明する。
【0044】
制御部11は、ステップS51において、記憶部14の状態を確認する。制御部11は、記憶部14の空き容量を検出する。
【0045】
制御部11は、ステップS52において、記憶部14の空き容量が所定容量以上であった場合(ステップS52:YES)、ステップS53を実行する。制御部11は、記憶部14の空き容量が所定容量未満であった場合(ステップS52:NO)、ステップS552を実行する。ステップS552については、後述する。
【0046】
制御部11は、取得した印刷オブジェクトに関するPDFデータのパターンセルの描画に関するオペレータによって指定されたパターンセルの寸法サイズを取得する(S53)。
【0047】
制御部11は、ステップS54において、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満であるか否かを判断する。
【0048】
制御部11は、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満であった場合(ステップS54:YES)、ステップS551を実行する。パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満でない場合(ステップS54:NO)、制御部11は、ステップS552を実行する。
【0049】
図2の(b)に示される場合のように、ページ19の寸法サイズに対するパターンセル18の寸法サイズの割合と予め定められた閾値とを比較することによって、パターンセル18の寸法サイズが所定サイズ以上であるか否かを判断してもよい。
【0050】
ステップS53およびS54が、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であるか否かを判断するセルサイズ検出処理に対応する。制御部11が実行するステップS53及びステップS54の処理が、セルサイズ検出処理の一例である。
【0051】
制御部11は、ステップS551において、パターンイメージを記憶部14に記憶するというフラグを立てる。制御部11は、ステップS552において、パターンイメージを記憶部14に記憶しないというフラグを立てる。制御部11は、ステップS5における処理を終了する。なお、フラグを立てるとは、制御部11が記憶部14にフラグを記憶することによって実行してもよい。
【0052】
図3のフローチャートの説明に戻る。
【0053】
制御部11は、ステップS6において、パターンイメージを記憶部14に記憶するフラグが立てられているかどうかを判断する。制御部11は、パターンイメージを記憶部14に記憶するフラグが立てられている場合(ステップS6:YES)、ステップS7を実行する。制御部11は、パターンイメージを記憶部14に記憶するフラグが立てられていない場合(ステップS6:NO)、ステップS9を実行する。ステップS9については、後述する。
【0054】
制御部11は、ステップS7において、パターンセルの寸法サイズの範囲を、PDFデータのオペレータで指定されているパターン(模様)を用いてパターンイメージを形成する。パターンセルの寸法サイズがパターンイメージの単位画像の大きさとなる。制御部11は、ステップS8において、パターンイメージを記憶部14に記憶する。
【0055】
制御部11は、ステップS9において、対象オブジェクトが指定している丸、三角、四角、台形などの領域をPDFデータのオペレータで指定されているパターン(模様)で埋めることによって描画済みイメージを生成する。
【0056】
制御部11が実行する、(イ)ステップS9の場合、(ロ)ステップS3:NOの場合、又は、ステップS8の実行後、(ハ)ステップS2:NOの場合についての各処理のそれぞれの以降の処理について説明する。
【0057】
制御部11は、ステップS101、S102、およびS103の各々において、ワーク領域の確保を実行する。ワーク領域の確保を行う処理は、記憶部14に確保されているワーク領域が充分な空き容量が無い場合は、記憶部14のワーク領域の空き容量を作る処理のことである。
【0058】
<(イ)ステップS9の場合>
制御部11は、ステップS111において、ステップS9にて生成した描画済みイメージを記憶部14のワーク領域に描画する。ステップS9及びステップS111が第1描画処理の一例である。
【0059】
図6は、記憶部14のワーク領域において、ページ19の全対象バンドであるバンド20a~20eに、描画済みイメージ21a~21eをそれぞれ描画した概念を示している。例えば、描画済みイメージ21aをページ19のバンド20aに描画していることを示している。描画済みイメージ21aの場合、三角形の印刷オブジェクトであって、点模様であるパターン(模様)で塗りつぶすことが指定されている。
【0060】
制御部11は、(イ)ステップS9の場合、パターンセルの寸法が所定サイズ以上であるため、パターンイメージを形成しない。制御部11は、ステップS111において、対象オブジェクトに指定されているパターン(模様)を用いて、直接、対象オブジェクトで指定されている領域を塗りつぶす。このことは、パターンセルの描画を該印刷オブジェクトから得られる印刷内容の描画によって行うことに相当する。
【0061】
(イ)ステップS9の場合、すなわち、パターンセルの寸法が所定サイズ以上の場合、パターンイメージを形成し、記憶部14に形成したパターンイメージを記憶してしまうと、記憶部14の空き容量が圧迫されることになる。制御部11は、対象オブジェクトに指定されているパターン(模様)を、直接、対象オブジェクトで指定されている領域を塗りつぶすことによって、記憶部14のワーク領域に描画しているため、パターンイメージを記憶部14に記憶させない分、記憶部14の空き容量を圧迫することがない。
【0062】
<(ロ)ステップS3:NO、又は、ステップS8の場合>
(ロ)の場合、すなわち、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満である場合、制御部11は、ステップS112において、パターンイメージを記憶部14のワーク領域に描画する。制御部11は、ステップS8にて対象オブジェクトに指定されている所定範囲を、パターンイメージの単位画像を用いて繰り返し塗りつぶして、記憶部14のワーク領域に描画する。
【0063】
(ロ)の場合、すなわち、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満である場合、記憶部14にパターンイメージを記憶したとしても記憶部14の空き容量が圧迫されることがない。記憶部14に記憶されたパターンイメージは、対象オブジェクト以降の他の印刷オブジェクトを制御部11が処理する場合に使用する可能性が高い。故に、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満の場合、パターンイメージを記憶部14に記憶しておいた方がよい。ステップS8及びステップS112が第2描画処理の一例である。
【0064】
<(ハ)ステップS2:NOの場合>
制御部11は、ステップS113において、対象オブジェクトのパターンセル以外の文字や図形、イメージなどを記憶部14のワーク領域に描画する。
【0065】
制御部11は、ステップS12において、対象バンドに複数の印刷オブジェクトが含まれている場合、その全てを解析したか否かを判定する。対象バンドに含まれる複数の印刷オブジェクトの全てを解析済である場合、制御部11は、ステップS13を実行する。対象バンドに含まれる複数の印刷オブジェクトの少なくとも1つが未解析である場合、ステップS1に戻る。
【0066】
ステップS13において、制御部11は、例えば、図6のような複数のバンド20a~20eの全てを解析したか否かを判定する。複数のバンド20a~20eの全てを解析済である場合、ステップS14を実行する。複数のバンド20a~20eの少なくとも1つが未解析である場合、ステップS1に戻る。
【0067】
ステップS14において、制御部11は、記憶部14のワーク領域に描画された描画済みデータを1ページの画像にまとめる描画を行い、ラスターデータを生成する。
【0068】
従来、どんなパターンセルの寸法サイズであってもパターンイメージを記憶部14に記憶していたのに対して、前記の構成では、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ以上であった場合、パターンイメージを記憶部14に記憶せず、パターンセルの寸法サイズが所定サイズ未満であった場合、パターンイメージを記憶部14に記憶している。
【0069】
前記の構成によれば、従来に比べて記憶部14において大容量が不要となる。
【0070】
また、ステップS3、S4、およびS102において、制御部11は、対象オブジェクトがパターンセルであった場合、パターンイメージが記憶部14に記憶されているか否かを検出する。そして、制御部11は、パターンイメージが記憶部14に記憶されていなかった場合、ステップS5の処理を実行し、パターンイメージが記憶部14に記憶されていた場合、ステップS7の処理を実行する。前記の構成によれば、パターンセルの繰り返し描画を、少ない処理工数で行うことができる。
【0071】
図5は、ステップS101、S102、およびS103の各々における処理の流れを具体的に示すフローチャートである。ステップS101、S102、およびS103の各々における処理は、共通である。
【0072】
ステップS10A1において、制御部11は、記憶部14のワーク領域における描画済みイメージの描画領域の確保を図る。
【0073】
制御部11は、ステップS10A2において、ワーク領域の確保に失敗したか否かを判定する。ワーク領域の確保に失敗した場合(ステップS10A2:YES)、制御部11は、ステップS10A3を実行する。一方、ワーク領域の確保に失敗しなかった場合、すなわち、ワーク領域の確保に成功した場合(ステップS10A2:NO)、制御部11は、ステップS101、S102、およびS103の各々における処理を終了する。
【0074】
ステップS10A3において、制御部11は、ステップS10A3を実行する時点で記憶部14のワーク領域に描画済の描画済みデータを、一旦、1ページにまとめる描画を行う。記憶部14のワーク領域に描画済みの描画済みデータはバンドごとに描画されているが、1ページの描画にまとめることで、記憶部14のワーク領域に空き容量が増えることになる。
【0075】
制御部11は、ステップS10A4において、再びワーク領域の確保を図る。そして、制御部11は、ステップS101、S102、およびS103の各々における処理を終了する。
【0076】
印刷装置としてのプリンタ1は、画像処理装置の一例である。前記の構成によれば、画像処理装置による効果を、プリンタ1において得ることができる。
【0077】
制御部11の各ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0078】
後者の場合、プリンタ1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAMなどをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0079】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 プリンタ(印刷装置、画像処理装置)
11 制御部
14 記憶部
18 パターンセル
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図1
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図5
図6