(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086805
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】障害物検出装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20220602BHJP
G01S 15/93 20200101ALI20220602BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20220602BHJP
【FI】
B60J5/00 A
G01S15/93
E05F15/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199013
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片原 幸太
(72)【発明者】
【氏名】宮代 龍
【テーマコード(参考)】
2E052
5J083
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA02
2E052BA07
2E052EA03
2E052EB06
2E052EC01
2E052GA06
2E052GB06
2E052GC10
5J083AA02
5J083AB13
5J083AD07
5J083AE06
5J083AF10
5J083AG05
5J083CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】障害物に衝突する直前でドアを停止させたり、様々な状況において障害物への衝突を回避したりすることが可能な障害物検出装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】障害物検出装置10は、超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサ12L、12Rの出力に基づいて、障害物までの距離及び障害物の形状のうち、少なくとも距離を検出する超音波センサ信号処理部22と、車両のドアの開時の軌跡範囲及び超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する車両のカメラ11L、11Rの出力に基づいて、障害物までの距離及び障害物の形状を検出するカメラ画像処理部21と、超音波センサ信号処理部の検出結果及びカメラ画像処理部の検出結果に基づいて、障害物までの距離が所定距離未満である場合には、ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行うコントローラ13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する超音波センサ信号処理部と、
前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出するカメラ画像処理部と、
前記超音波センサ信号処理部の検出結果及び前記カメラ画像処理部の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行うコントローラと、
を備えた障害物検出装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記超音波センサの検出精度が低いと判断した場合に、前記ポップアップ位置でドア開度を保持する、
請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記障害物までの距離が前記所定距離よりも短い第2所定距離以下である場合には、解除可能に開動作を禁止する、
請求項1または請求項2記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記超音波センサ信号処理部及び前記カメラ画像処理部の検出結果において、前記障害物までの距離が同一とみなせ、かつ、前記障害物の形状も同種であると判断した場合に前記開動作制御を行う、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記超音波センサ信号処理部の検出結果による前記障害物までの距離が所定距離以上である場合に、前記超音波センサ信号処理部の検出結果による前記障害物までの距離の手前まで前記ドアを開く前記開動作制御を行う、
請求項4記載の障害物検出装置。
【請求項6】
超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサからの出力及び前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力が入力される障害物検出装置で実行される方法であって、
前記超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する第1過程と、
前記カメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出する第2過程と、
前記第1過程及び前記第2過程の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行う第3過程と、
を備えた方法。
【請求項7】
超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサからの出力及び前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力が入力される障害物検出装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する第1手段と、
前記カメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出する第2手段と、
前記第1手段及び前記第2手段の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行う第3手段と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、障害物検出装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラや超音波センサ等を用いて車両のドアの周辺の障害物を検出し、検出した障害物に接触しないようにドアを制御(例えば、ドアの開度を制御)する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-009386号公報
【特許文献2】特開2005-076408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、単眼カメラを用いてドアの制御を行う装置においては、単眼カメラが移動しない状態においては、障害物までの正確な距離を把握することができないため、障害物に対して余裕のある距離でドアを停止することとなり、乗車が困難となる虞があった。
また、超音波センサだけで複雑な形状の障害物を検出しようとしてもドアに最初に接触する虞がある部分を検出することができなかったり、検出誤差が大きくなることでドアが障害物と衝突してしまったりする虞があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、障害物に衝突する直前でドアを停止させたり、様々な状況において障害物への衝突を回避することが可能な障害物検出装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の障害物検出装置は、超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する超音波センサ信号処理部と、前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出するカメラ画像処理部と、前記超音波センサ信号処理部の検出結果及び前記カメラ画像処理部の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行うコントローラと、を備える。
上記構成によれば、障害物に衝突する直前でドアを停止させたり、様々な状況において障害物への衝突を回避できる。
【0007】
また、前記コントローラは、前記超音波センサの検出精度が低いと判断した場合に、前記ポップアップ位置でドア開度を保持するようにしてもよい。
上記構成によれば、超音波センサの検出精度が低い場合でも、より確実に障害物への衝突を回避できる。
【0008】
また、前記コントローラは、前記障害物までの距離が前記所定距離よりも短い第2所定距離以下である場合には、解除可能に開動作を禁止するようにしてもよい。
上記構成によれば、第2所定距離のように近距離に障害物が位置する場合でも、障害物への衝突を回避できる。
【0009】
また、前記コントローラは、前記超音波センサ信号処理部及び前記カメラ画像処理部の検出結果において、前記障害物までの距離が同一とみなせ、かつ、前記障害物の形状も同種であると判断した場合に前記開動作制御を行うようにしてもよい。
上記構成によれば、検出精度高く、開動作制御が行える。
【0010】
また、前記コントローラは、前記超音波センサ信号処理部の検出結果による前記障害物までの距離が所定距離以上である場合に、前記超音波センサ信号処理部の検出結果による前記障害物までの距離の手前まで前記ドアを開く前記開動作制御を行うようにしてもよい。
上記構成によれば、障害物への衝突回避と、乗降時の利便性の両立を図ることができる。
【0011】
実施形態の方法は、超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサからの出力及び前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力が入力される障害物検出装置で実行される方法であって、前記超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する第1過程と、前記カメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出する第2過程と、前記第1過程及び前記第2過程の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行う第3過程と、を備える。
上記構成によれば、障害物に衝突する直前でドアを停止させたり、様々な状況において障害物への衝突を回避できる。
【0012】
実施形態のプログラムは、超音波により所定の検出範囲内の障害物までの距離を検出する車両のドアに配置された超音波センサからの出力及び前記車両のドアの開時の軌跡範囲及び前記超音波センサの検出範囲を含む領域を撮像する前記車両のカメラの出力が入力される障害物検出装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記超音波センサの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状のうち、少なくとも前記距離を検出する第1手段と、前記カメラの出力に基づいて、前記障害物までの距離及び前記障害物の形状を検出する第2手段と、前記第1手段及び前記第2手段の検出結果に基づいて、前記障害物までの距離が所定距離未満である場合には、前記ドアをポップアップ位置まで開く開動作制御を行う第3手段と、して機能させる。
上記構成によれば、障害物に衝突する直前でドアを停止させたり、様々な状況において障害物への衝突を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる障害物検出装置の概要構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる障害物検出装置車両の平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる障害物検出装置車両の右側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の動作フローチャートである。
【
図6】
図6は、超音波センサによる壁系の障害物の検出状態説明図である。
【
図7】
図7は、超音波センサによるポール系の障害物の検出状態説明図である。
【
図8】
図8は、複雑な形状を有する障害物であるガードレールの検出状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも1つを得ることが可能である。
【0015】
図1は、実施形態にかかる障害物検出装置の概要構成ブロック図である。
障害物検出装置10は、複数のカメラ11L、11Rと、複数の超音波センサ12L、12アールと、コントローラ13と、ドア開スイッチ(車内)14Aと、ドア開スイッチ(車外)14Bと、ドア駆動部15と、を備えている。
【0016】
複数のカメラ11-1~11-nは、それぞれ対応するドアを撮像可能な位置に配置されている。さらにカメラ11-1~11-nの撮像範囲は、対応するドアの閉状態からフル開状態までの撮像が可能な範囲とされている。
上記構成において、コントローラ13は、いわゆるマイクロコンピュータとして構成されており、予め記憶した制御プログラムに基づいて障害物検出装置10を制御することとなる。
【0017】
コントローラ13は、障害物検出装置10全体を制御している。コントローラ13は、カメラ画像処理部21と、超音波センサ信号処理部22と、総合制御部23と、ドア制御部24を備えている。
【0018】
上記構成において、カメラ画像処理部21は、複数のカメラ11L、11Rの出力したカメラ画像を処理して、処理結果を総合制御部23に出力する。この場合において、カメラ画像処理部21は、障害物の有無判定、形状推定(物体検出)及び許容ドア開度を算出する。
【0019】
超音波センサ信号処理部22は、複数の超音波センサ12L、12Rの出力信号を処理して総合制御部23に出力する。この場合において、超音波センサ信号処理部22は、障害物の有無判定、形状推定及び許容ドア開度を算出する。
【0020】
総合制御部23は、コントローラ13全体を制御している。そして、ドア開スイッチ(車内)14Aあるいはドア開スイッチ(車外)14Bが操作された場合に、カメラ画像処理部21及び超音波センサ信号処理部22の出力に基づいて、ドア制御部24を介してドアの駆動制御を行う。
【0021】
ドア制御部24は、総合制御部23の制御下でドア駆動部15を制御してドアの駆動制御(ドア開度の制御等)を行う。
【0022】
ドア開スイッチ(車内)14Aは、車室内に配置されて乗員がドアを開ける場合に操作を行う。
ドア開スイッチ(車外)14Bは、車外に配置されており、ドアを開けて乗員が乗り込もうとする際等に操作を行う。
【0023】
ドア開スイッチ(車内)14A及びドア開スイッチ(車外)14Bは、メカニカルスイッチ、静電スイッチ、リモートコントローラスイッチとして構成されている。またカメラや電波センサによりユーザ(乗員)の位置や行動を検出してそれをトリガとして動作するようにソフトウェア的に構成することも可能である。
ドア駆動部15は、ドア制御部24の制御下でドアの解錠/施錠制御および開閉制御を行う。
【0024】
図2は、実施形態にかかる障害物検出装置車両の平面図である。
図3は、実施形態にかかる障害物検出装置車両の右側面図である。
図2においては、理解の容易のため、4台のカメラ11-1~11-4及びこれらのカメラ11-1~11-4のそれぞれに対応する超音波センサ群12-1~12-4を配置した場合を例として説明を行う。
【0025】
また、
図2においては、上方向が車両Vの前方向であり、下方向が車両Vの後ろ方向であり、右方向が車両Vの右方向であり、左方向が車両Vの左方向である。
図3においては、右方向が車両Vの前方向であり、左方向が車両Vの後ろ方向である。
【0026】
図2あるいは
図3に示すように、車両Vの右サイドミラーに右前ドアを撮像するカメラ11Rが配置されている。車両Vの左サイドミラーには左前ドアを撮像するカメラ11Lが配置されている。
【0027】
車両Vの右前ドアDRRの例えば下部のガーニッシュには、超音波センサ12Rが配置されている。車両Vの左前ドアDRLの例えば下部のガーニッシュには、超音波センサ12Lが配置されている。
【0028】
ここで、カメラの検出範囲と、超音波センサの検出範囲について説明する。
以下においては、理解の容易ため、カメラ11R及び超音波センサ12Rについて説明するが、カメラ11L及び超音波センサ12Lについても同様である。
図2に示すように、カメラ11Rの検出範囲AR_Cは、超音波センサ12Rの検出範囲ASNを包含するように構成されている。
【0029】
次に実施形態の動作を説明する。
図4は、実施形態の状態説明図である
図5は、実施形態の動作フローチャートである。
まず、総合制御部23は、ドア開スイッチ14A、14Bのオン状態を検出すると、超音波センサ信号処理部22の出力に基づいて、超音波センサ12R、12Lにおいて、センサから所定距離(例えば300mm)以内に近距離障害物があると判定されたか否かを判断する(ステップS11)。
【0030】
ステップS11の判断において、センサから所定距離以内に近距離障害物があると判定された場合には(ステップS11;Yes)、総合制御部23は、再度判定を行い、超音波センサ12R、12Lにおいて、開作動トリガが2回入力されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0031】
ステップS12の判断において、未だ開作動トリガ2回入力されていない場合には(ステップS12;No)、総合制御部23は、
図4のステートST1に示すようにドア開動作を禁止して処理を終了する(ステップS13)。
このステートST1は、近距離障害物は、衝突の可能性があるので、1度は、開動作を禁止するのである。
【0032】
ステップS12の判断において、開作動トリガ2回入力された場合には(ステップS12;Yes)、総合制御部23は、
図4のステートST2に示すように、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして処理を終了する(ステップS14)。
【0033】
ここで、ポップアップの位置とは、
図2に二点鎖線PMRで規定されるドアミラーの飛び出し量を超えない範囲で、開いたドアの開放端の位置PPUが収まるようになっている状態である。
【0034】
ステップS11の判断において、センサから所定距離以内に近距離障害物がないと判断された場合には、総合制御部23は、超音波センサ信号処理部22の出力に基づいて、超音波センサ12R、12Lにおいて、センサから所定距離以上の位置に障害物がないと判定されたか否かを判断する(ステップS15)。
【0035】
ステップS15の判断において、センサから所定距離以上の位置に障害物がないと判定された場合には(ステップS15;Yes)、総合制御部23は、対応するカメラ11R、11Lにおいて、ドア開時のドア軌跡範囲外に障害物が位置しているか否かを判断する(ステップS16)。
【0036】
ステップS16の判断において、ドア開時のドア軌跡範囲内に障害物が位置している場合には(ステップS16;No)、総合制御部23は、
図4のステートST3に示すように、超音波センサで検出できない障害物があると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、ポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS17)。
【0037】
ステップS16の判断において、ドア開時のドア軌跡範囲外に障害物が位置している場合には(ステップS16;Yes)、総合制御部23は、
図4のステートST4に示すように、ドアの開動作に問題がないとして、開作動を許可し、障害物判定=なしとする。さらに総合制御部23は、実際のドアの開動作中に障害物を検知した場合には、検知した時点で開動作を停止する。そして開動作が完了、あるいは、開動作の停止時点で処理を終了する(ステップS18)。
【0038】
一方、ステップS15の判断において、センサから所定距離以上の位置に障害物があると判定された場合には(ステップS15;No)、総合制御部23は、超音波センサ12L、12Rにより障害物の座標2点が検出できたか否かを判断する(ステップS19)。
【0039】
ステップS19の判断において、超音波センサ12L、12Rにより障害物の座標2点が検出できなかった場合には(ステップS19;No)、総合制御部23は、
図4のステートST5に示すように、超音波センサ12L、12Rで正確な検出ができない複雑な形状の障害物があるか、あるいは、超音波センサ12L、12Rの検出精度の信頼性が低下している状態であると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、ポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS20)。
【0040】
ステップS19の判断において、超音波センサ12L、12Rにより障害物の座標2点が検出できた場合には(ステップS19;Yes)、総合制御部23は、カメラ11L、11Rにおいて検出された障害物は、壁のような平面部材の障害物(壁系)、柱状の障害物(ポール系)、あるいは、その他の障害物のいずれに属するかを判断する(ステップS21)。
【0041】
ステップS21の判断においてカメラ11L、11Rにおいて検出された障害物は、壁のような平面部材の障害物(壁系)である場合には(ステップS21;壁系)、総合制御部23は、超音波センサ信号処理部22の出力に基づいて、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物が壁系であるか否かを判断する(ステップS22)。
【0042】
図6は、超音波センサによる壁系の障害物の検出状態説明図である。
図6(A)、(B)に示すように、障害物が壁系の障害物WLである場合には、超音波センサ信号処理部22の出力は、車両Vが移動している状態では、ほぼ同じ距離に障害物がある状態であるので、カメラ画像処理部21の検出結果は、障害物あり、障害物の形状は壁系とされる。
【0043】
ステップS22の判定において、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物が壁系ではない場合には(ステップS22;No)、総合制御部23は、
図4のステートST6に示すように、超音波センサ12L、12Rで正確な検出ができない複雑な形状の障害物があるか、あるいは、超音波センサ12L、12Rの検出精度の信頼性が低下している状態であると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、
図6(B)に示すように、ポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS25)。
ステップS22の判定において、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物が壁系である場合には(ステップS22;Yes)、総合制御部23は、処理をステップS27に移行する。
【0044】
ステップS21の判断においてカメラ11L、11Rにおいて検出された障害物は、柱状の障害物(ポール系)である場合には(ステップS21;ポール系)、総合制御部23は、超音波センサ信号処理部22の出力に基づいて、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物がポール系であるか否かを判断する(ステップS23)。
【0045】
図7は、超音波センサによるポール系の障害物の検出状態説明図である。
図7(A)、(B)に示すように、障害物がポール系の障害物PLである場合には、超音波センサ信号処理部22の出力は、車両Vが移動している状態では、障害物までの距離が徐々に変化する状態であるので、カメラ画像処理部21の検出結果は、障害物あり、障害物の形状はポール系とされる。
【0046】
ステップS23の判定において、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物がポール系ではない場合には(ステップS23;No)、総合制御部23は、
図4のステートST6に示すように、超音波センサ12L、12Rで正確な検出ができない複雑な形状の障害物があるか、あるいは、超音波センサ12L、12Rの検出精度の信頼性が低下している状態であると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、
図7(B)に示すようにポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS26)。
【0047】
ステップS23の判定において、カメラに対応する超音波センサ12L、12Rの検出した障害物がポール系である場合には(ステップS23;Yes)、総合制御部23は、超音波センサ12L、12Rによる障害物PLまでの検出距離が、カメラ11L、11Rにより障害物PLまでの検出距離が同一の障害物であると見なすことが可能なほぼ同一の距離であるか否かを判断する(ステップS27)。
【0048】
ステップS27の判断において、超音波センサ12L、12Rによる障害物PLまでの検出距離が、カメラ11L、11Rにより障害物PLまでの検出距離が同一の障害物であると見なすことが可能なほぼ同一の距離である場合には(ステップS27;Yes)、総合制御部23は、超音波センサ12L、12Rと、カメラ11L、11Rの検出点のずれが生じていない検出の信頼性が高い状態であるので、
図4のステートST7に示すように、ドア開動作を制限しない開作動許可をして、検出した距離情報に基づいて、障害物検知を続行しつつ、障害物手前までドアの開動作制御を行って処理を終了する(ステップS28)。
【0049】
図8は、複雑な形状を有する障害物であるガードレールの検出状態説明図である。
また、ステップS27の判断において、超音波センサ12L、12Rによる障害物PLまでの検出距離が、カメラ11L、11Rにより障害物PLまでの検出距離が同一の障害物であると見なすことができない異なる距離である場合には(ステップS27;No)、
図4のステートST8に示すように、超音波センサ12L、12Rと、カメラ11L、11Rの検出点のずれの状態であり、
図8にガードレールGRで示すように超音波センサ12L、12Rで正確な検出ができない複雑な形状の障害物があるか、あるいは、超音波センサ12L、12Rの検出精度の信頼性が低下している状態であると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、ポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS29)。
【0050】
また、ステップS21の判断においてカメラ11L、11Rにおいて検出された障害物が、壁系でもなく、ポール系でもない障害物である場合には(ステップS21;その他)、
図4のステートST5に示すように、総合制御部23は、超音波センサ信号処理部22の出力及びカメラ画像処理部21の出力に基づいて、超音波センサ12L、12Rの障害物種別の結果とカメラ11L、11Rの障害物種別の結果とが不一致である状態、あるいは、
図8に示したガードレールGRのように超音波センサ12L、12Rで正確な検出ができない複雑な形状の障害物があるか、あるいは、超音波センサ12L、12Rの検出精度の信頼性が低下している状態であると判断して、ドア開動作をポップアップに限定する開作動許可をして、ポップアップ状態を維持するように制御を行って処理を終了する(ステップS24)。
【0051】
以上の説明のように、本実施形態によれば、ドアを開動作させるドア開スイッチ14A、14Bから開動作をさせる信号が入力されたときに、可能な限りドア開度を大きくするドア開制御を行うことができ、乗降しやすいドア開制御を行える。
さらにドアが障害物に衝突するのを回避することができる。
【0052】
また、障害物までの距離をカメラ画像処理部21及び超音波センサ信号処理部22で検出し、検出結果がほぼ等しい場合(検出結果が同一であると見なせる場合)には、障害物の手前までの開動作を許可するので、超音波センサSN1、SN2で検出が困難である形状の障害物であってもドアが障害物に衝突するのを回避することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、障害物検出装置10は、例えば1つのコントローラ(ECU)13により構成されることとしたが、これに限られない。障害物検出装置10は複数のECUにより構成されていてもよい。例えば、カメラ画像処理部21及び超音波センサ信号処理部22の機能を一つのECUが担い、総合制御部23及びドア制御部24の機能を他のECUが担うようにしてもよい。
また以上の説明において、測距センサとして、超音波センサを用いる場合について説明したが、測距センサとして電波センサや赤外線センサ等他の種類のセンサを用いるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 障害物検出装置
11L、11R カメラ
12L、12R 超音波センサ
13 コントローラ
14A ドア開スイッチ
14B ドア開スイッチ
15 ドア駆動部
21 カメラ画像処理部
22 超音波センサ信号処理部
23 総合制御部
24 ドア制御部
GR 障害物(ガードレール)
PL 障害物(ポール系)
V 車両
WL 障害物(壁系)。