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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086824
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】椅子セット及び表示用台座
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199060
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116596
【氏名又は名称】愛知株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 工
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA03
3B084JA06
3B084JC04
(57)【要約】
【課題】所定の情報を表示する表示部の椅子への取り付けのための新たな技術を提供する。
【解決手段】椅子セットは、支持部を有する椅子と、表示用台座と、を備える。表示用台座は、少なくとも1つの部品により構成され、所定の情報を表示する表示部を備える。支持部は、接触面から非接触面まで貫通する貫通孔を有する。表示用台座は、当該表示用台座の接触面の側の端部が、接触面と同一面上に位置する、又は、接触面よりも支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、貫通孔の内部に配置される。表示用台座は、表示用台座が貫通孔の内部に配置された取付状態において、表示用台座の貫通孔内における動きを抑制し、取付状態を維持する維持機構を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を支持する支持部を有する椅子と、
少なくとも1つの部品により構成され、所定の情報を表示する表示部を備える表示用台座と、
を備え、
前記支持部は、前記使用者が着座した際に前記使用者に接触する側の面を接触面としたとき、前記接触面から当該接触面の裏側の非接触面まで貫通する貫通孔を有し、
前記表示用台座は、
当該表示用台座の前記接触面の側の端部が、前記接触面と同一面上に位置する、又は、前記接触面よりも前記支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、前記貫通孔の内部に配置され、
前記貫通孔の内部に配置された取付状態において、前記表示用台座の前記貫通孔内における動きを抑制し、前記取付状態を維持する維持機構を有する、椅子セット。
【請求項2】
請求項1に記載の椅子セットであって、
前記維持機構は、前記支持部の厚さ方向と直交する方向に広がるように形成され、前記取付状態において前記支持部の所定の部分に当接し、前記貫通孔内における前記支持部の厚さ方向の少なくとも一方への移動を抑制する係止部を有する、椅子セット。
【請求項3】
請求項2に記載の椅子セットであって、
前記表示用台座は、前記係止部として、前記非接触面の側に位置する端部に設けられ、前記非接触面における前記貫通孔の周囲の部分に当接する当接部を有する、椅子セット。
【請求項4】
請求項3に記載の椅子セットであって、
前記表示用台座は、前記貫通孔において、前記非接触面側に配置される第1部品と、前記接触面側に配置される第2部品と、の2つの部品により構成され、
前記第1部品は、前記当接部を有し、
前記第2部品は、前記係止部として、前記接触面の側に位置する端部に設けられ、前記貫通孔に対する前記第2部品の取付位置を規定する規定部を有する、椅子セット。
【請求項5】
請求項4に記載の椅子セットであって、
前記表示用台座は、前記第1部品と前記第2部品とを締結する締結部材を更に備える、椅子セット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の椅子セットであって、
前記椅子は、前記貫通孔を形成する内面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有し、
前記維持機構は、前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方と嵌合する嵌合部を有する、椅子セット。
【請求項7】
少なくとも1つの部品により構成され、所定の情報を表示する表示部を備える表示用台座であって、
当該表示用台座は、
使用者を支持する椅子における支持部の当該使用者が着座した際に接触する側の面を接触面としたとき、当該表示用台座の前記接触面の側の端部が、当該接触面と同一面上に位置する、又は、前記接触面よりも前記支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、前記接触面から当該接触面の裏側の非接触面まで貫通する前記支持部が有する貫通孔の内部に配置されるように用いられ、
前記貫通孔の内部に配置された取付状態において、前記表示用台座の前記貫通孔内における動きを抑制し、前記取付状態を維持する維持機構を有する、表示用台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、椅子セット及び表示用台座に関する。
【背景技術】
【0002】
多目的ホールなどの会場で用いられる椅子は、その会場の使用目的によって、席番号等の所定の情報を付与することが必要となる場合がある。
特許文献1には、椅子に席番を示すプレートを取り付けるための席番プレート用台座が開示されている。この席番プレート用台座は、椅子の背もたれの下端であって座体に隣接する位置に、背もたれの表面上にネジ等により固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-33504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した席番プレート台座は、椅子の表面上に取り付けられていることから、椅子の表面から突出している。このため、人が椅子に座った際に、席番プレート台座を邪魔に感じやすいという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、所定の情報を表示する表示部の椅子への取り付けのための新たな技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、椅子セットであって、椅子と、表示用台座と、を備える。椅子は、使用者を支持する支持部を有する。表示用台座は、少なくとも1つの部品により構成され、所定の情報を表示する表示部を備える。支持部は、貫通孔を有する。貫通孔は、使用者が着座した際に使用者に接触する側の面を接触面としたとき、接触面から当該接触面の裏側の非接触面まで貫通する。表示用台座は、当該表示用台座の接触面の側の端部が、接触面と同一面上に位置する、又は、接触面よりも支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、貫通孔の内部に配置される。表示用台座は、維持機構を有する。維持機構は、表示用台座が貫通孔の内部に配置された取付状態において、表示用台座の貫通孔内における動きを抑制し、取付状態を維持する。
【0007】
このような構成では、表示用台座の接触面の側の端部が、接触面と同一面上に位置する、又は、接触面よりも支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、表示用台座が貫通孔の内部に配置される。これにより、表示用台座は、支持部の接触面から突出しないため、使用者が着座した際の邪魔になりにくい。また、表示用台座は維持機構を有するため、表示用台座の貫通孔への取付け後に、表示用台座が貫通孔から抜け落ちてしまうのを抑制することができる。また、椅子の支持部が有する貫通孔の内部に表示用台座が配置されるため、例えば、使用者が手を掛けるために椅子に設けられている貫通孔である手掛け孔などを用いて、椅子に表示部を取り付けることが可能である。
【0008】
本開示の一態様では、維持機構は、係止部を有する。係止部は、支持部の厚さ方向と直交する方向に広がるように形成される。また、係止部は、取付状態において支持部の所定の部分に当接する。また、係止部は、貫通孔内における支持部の厚さ方向の少なくとも一方への移動を抑制する。このような構成では、表示用台座を貫通孔内に配置した場合、係止部が支持部の所定の部分に引っかかる。これにより、表示用台座の貫通孔への取付け後に、貫通孔内における支持部の厚さ方向の少なくとも一方側から表示用台座が抜け落ちてしまうのを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、係止部は、非接触面の側に位置する端部に設けられ、非接触面における貫通孔の周囲の部分に当接する当接部を有してもよい。このような構成では、椅子に対して表示用台座を支持部の非接触面側から取り付ける場合、当該非接触面における貫通孔の周囲の部分と当接部とが当接する。このため、表示用台座が所定の位置を超えて貫通孔を貫通しないように、貫通孔に対する表示用台座の取付位置を規定することができる。
【0010】
本開示の一態様では、表示用台座は、貫通孔において、非接触面側に配置される第1部品と、接触面側に配置される第2部品と、の2つの部品により構成されてもよい。第1部品は、当接部を有してもよい。第2部品は、係止部として、接触面の側に位置する端部に設けられ、貫通孔に対する第2部品の取付位置を規定する規定部を有してもよい。このような構成によれば、第1部品を非接触面側から取り付け、第2部品を接触面側から取り付ける場合、第1部品と第2部品とによって貫通孔を挟み込むようにして表示用台座を取り付けることができる。
【0011】
本開示の一態様は、表示用台座は、第1部品と第2部品とを締結する締結部材を更に備えてもよい。このような構成によれば、締結部材によって第1部品と第2部品とが締結されるため、貫通孔に表示用台座をより強固に固定することができる。
【0012】
本開示の一態様では、椅子は、貫通孔を形成する内面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有してもよい。維持機構は、凸部及び凹部の少なくとも一方と嵌合する嵌合部であってもよい。このような構成によれば、貫通孔を形成する内面に設けられた凸部及び凹部の少なくとも一方と、嵌合部と、が嵌合することにより、表示用台座の貫通孔への取付状態を維持しやすくすることができる。その結果、表示用台座が貫通孔から抜け落ちてしまうのを抑制することができる。また、嵌合部により、貫通孔に対する表示用台座の取付位置を規定することができる。
【0013】
本開示の一態様は、少なくとも1つの部品により構成され、所定の情報を表示する表示部を備える表示用台座であって、当該表示用台座は、使用者を支持する椅子における支持部の当該使用者が着座した際に接触する側の面を接触面としたとき、当該表示用台座の接触面の側の端部が、当該接触面と同一面上に位置する、又は、接触面よりも支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、接触面から当該接触面の裏側の非接触面まで貫通する支持部が有する貫通孔の内部に配置されるように用いられる。表示用台座は、維持機構を有する。維持機構は、貫通孔の内部に配置された取付状態において、表示用台座の貫通孔内における動きを抑制し、取付状態を維持する。
【0014】
このような構成によれば、表示用台座の接触面の側の端部が、接触面と同一面上に位置する、又は、接触面よりも支持部の厚さ方向の内側に入り込むように、表示用台座が貫通孔に取り付けられる。これにより、表示用台座が接触面から突出しない、つまり、使用者が着座した際に邪魔になりにくい表示用台座を提供することができる。また、表示用台座は維持機構を有するため、貫通孔から抜け落ちにくい表示用台座を提供することができる。また、表示用台座は、椅子の支持部が有する貫通孔に取り付けられるため、例えば、使用者が手を掛けるために椅子に設けられている貫通孔である手掛け孔を利用して取り付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】正面側から見たベンチタイプの椅子セットを示す斜視図である。
図2】背面側から見たベンチタイプの椅子セットを示す斜視図である。
図3】椅子に取り付けられた表示用台座の分解斜視図である。
図4】椅子に取り付けられた表示用台座の正面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6図4のVI-VI断面図である。
図7図4のVII-VII断面図である。
図8】正面側から見た小椅子タイプの椅子セットを示す斜視図である。
図9】椅子の座体に表示用台座が取り付けられたベンチタイプの椅子セットを示す斜視図である。
図10】表示用台座の変形例を模式的に示す断面図である。
図11】嵌合部を有する表示用台座を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.全体構成]
図1及び図2に示す椅子セット100は、椅子1と、表示用台座2と、を備える。この椅子セット100では、椅子1に表示用台座2が取り付けられるため、席番号等の所定の情報を椅子1に付与可能である。本実施形態では、椅子1は、例えばスタジアム等で用いられるような固定式のベンチタイプのものである。以下の説明では、椅子1に正常に着席した使用者を基準に、上下方向、前後方向及び左右方向を表現する。
【0017】
[1-2.椅子]
椅子1は、3つの支持部10と、脚体20と、を有する。
支持部10は、使用者を支持する部分である。支持部10は、座体11と、背もたれ12と、有する。
【0018】
本実施形態では、支持部10は、座体11及び背もたれ12が一体に繋がった構成であり、L字状の形状を有する。座体11は、略矩形であり、着席する使用者の臀部を支持可能に構成されている。背もたれ12は、略矩形であり、着席する使用者の背中を支持可能に構成されている。
【0019】
支持部10は、接触面101と、非接触面102と、を有する。
接触面101は、支持部10における、使用者が着座した際に当該使用者に接触する側の面、すなわち座体11の上方側の面及び背もたれ12の前方側の面である。非接触面102は、支持部10における、接触面101の裏側の面、すなわち座体11の下方側の面及び背もたれ12の後方側の面である。
【0020】
図3に示すように、支持部10は、接触面101から非接触面102まで貫通する、左右方向に長さを有する貫通孔13を有する。具体的には、図4に示すように、貫通孔13は、背もたれ12を前方側から見た場合に、上側の上底が下側の下底よりも長い、横長の略台形状に形成されている。本実施形態では、貫通孔13は、背もたれ12の上方側端部近傍に設けられる。なお、貫通孔13は、椅子1における、指などを挿入可能な手掛け孔としても機能し得る。
【0021】
図2及び図5図7に示すように、本実施形態では、背もたれ12は、非接触面102側における貫通孔13の周囲に、後方側に突出する枠部130を有する。枠部130は、貫通孔13の外周に沿って略台形状に形成される。この枠部130により、貫通孔13の前後方向における長さが延長されるため、貫通孔13の前後方向における長さは、背もたれ12の厚さよりも大きくなる。貫通孔13を形成する内面における上方側面131及び下方側面132は、互いに平行である。また、上方側面131及び下方側面132は、背もたれ12における接触面101から離れるほど下方側に位置するように、接触面101に対して傾斜している。
【0022】
本実施形態では、背もたれ12の上方側端部121は、後方側に屈曲する。このように、上方側端部121が後方側に屈曲することで、背もたれ12の非接触面102側における貫通孔13の上方側、具体的には枠部130と、上方側端部121と、の間には、第1溝122が形成される。
【0023】
図1及び図2に示すように、脚体20は、座体11の下方側に設けられており、支持部10を下方側から支持する。脚体20は、右脚体201と、左脚体202と、繋ぎ部203と、を有する。
【0024】
右脚体201は、左右方向に並んで配置される3つの支持部10のうち、一番右側に配置される支持部10の下方側に配置される。左脚体202は、左右方向に並んで配置される3つの支持部10のうち、一番左側に配置される支持部10の下方側に配置される。繋ぎ部203は、左右方向に長さを有する部材であり、左右方向に並んだ状態の3つの支持部10を繋いで固定する。繋ぎ部203は、3つの支持部10のそれぞれの座体11と、右脚体201及び左脚体202と、の間に配置される。換言すると、3つの支持部10は、繋ぎ部203により左右方向に並んで固定された状態で、繋ぎ部203を介して、右脚体201及び左脚体202により支持される。
【0025】
[1-3.表示用台座]
図3及び図5図7に示すように、表示用台座2は、貫通孔13の内部に配置されることで、支持部10の背もたれ12に取り付けられる。表示用台座2は、第1部品21と、第2部品22と、表示部23と、締結部材24と、を備える。なお、図5図7では、説明の便宜上、表示部23及び締結部材24についての図示を省略する。
【0026】
第1部品21は、貫通孔13において、支持部10の非接触面102側、すなわち後方側に配置される。第1部品21は、貫通孔13を後方側から閉じる部材である。
第1部品21は、蓋部210と、横板211と、3つの縦板212と、を有する。蓋部210は、正面視において、横長の略台形状に形成される。横板211は、蓋部210の接触面101側の面、すなわち蓋部210の前方側の面から垂直かつ左右方向に延びる板状部材である。横板211は、蓋部210の上下方向における中央付近に配置される。3つの縦板212は、蓋部210の前方側の面から垂直かつ上下方向に延びる板状部材である。3つの縦板212は、互いに平行に間隔を空けて左右方向に並ぶように配置される。3つの縦板212は、それぞれ第2溝213を有する。第2溝213には、第1部品21が貫通孔13に取り付けられる際に、枠部130のうち、貫通孔13の上方側に位置する部分が挿入される。3つの縦板212のうち左右両側に配置される2つの縦板212は、それぞれの第2溝213の下方側に、前方側に略円柱状に突出した突出部214を有する。この突出部214の中央には、それぞれ貫通孔である孔215が形成されている。つまり、2つの孔215は、左右方向に間隔を空けて並んで第1部品21に設けられている。
【0027】
第1部品21は、正面視において、略台形状の上側の上底が下側の下底よりも長くなるような向きで貫通孔13に取り付けられる。このとき、横板211、突出部214及び3つの縦板212それぞれにおける第2溝213の下方側の部分は、貫通孔13の内部に配置される。また、枠部130のうち、貫通孔13の上方側に位置する部分は、第2溝213に挿入される。また、3つの縦板212それぞれにおける第2溝213の上方側の部分は、枠部130の上方側に形成される上述した第1溝122に挿入される。第1部品21は、3つの縦板212それぞれにおける第2溝213の上方側の部分が、非接触面102における貫通孔13の周囲の部分に当接する当接部216として機能する。本実施形態では、当接部216によって、貫通孔13に対する第1部品21の取付位置が規定される。
【0028】
第2部品22は、貫通孔13において、支持部10の接触面101側、すなわち前方側に配置される。第2部品22は、正面視において、横長の略台形状に形成される。第2部品22は、貫通孔13を前方側から閉じる部材である。
【0029】
第2部品22は、底部221と、側壁部222と、を有する。底部221は、平らな板状の部分である。側壁部222は、底部221の周縁に設けられ、底部221から接触面101側に向かって、すなわち前方側に向かって延びる。換言すると、第2部品22は、後述する表示部23を側壁部222の内側に収容可能に中央部が凹んだ形状を有する。
【0030】
側壁部222は、側壁部222の内側の面が底部221に対して垂直に延びる。また、側壁部222は、側壁部222の外側の面が底部221に対して外側に広がるように斜めに延びる。このため、側壁部222の前方側の端部は、外周側に広がる形状を有する。換言すると、側壁部222の前方側の端部は、支持部10の厚さ方向(前後方向)と直交する方向(左右方向及び上下方向)に広がる形状を有する。第2部品22は、底部221に、左右方向に間隔を空けて並んだ貫通孔である2つの孔224を有する。
【0031】
第2部品22は、正面視において、略台形状の上側の上底が下側の下底よりも長くなるような向きで貫通孔13に取り付けられる。このとき、底部221及び側壁部222が貫通孔13の内部に配置される。側壁部222の前方側の端部は、貫通孔13の接触面101側の内面に当接する。第2部品22は、側壁部222の前方側の端部が、貫通孔13に対する第2部品22の取付位置を規定する規定部223として機能する。本実施形態では、規定部223が、背もたれ12の接触面101と同一面上に位置するように、第2部品22が貫通孔13の内部に配置される。なお、規定部223は、第2部品22における最も接触面101側に位置する部分である。
【0032】
なお、貫通孔13の内部に第1部品21及び第2部品22が配置された取付状態において、底部221が横板211及び3つの縦板212と当接する。第2部品22において、第1部品21と当接していない部分には空間が形成されている。
【0033】
表示部23は、正面視において、横長の略台形状に形成される板状部材である。表示部23は、正面視において、略台形状の上側の上底が下側の下底よりも長くなるような向きで、第2部品22における底部221の接触面101側の面上に配置される。本実施形態では、表示部23は、所定の情報として席番号を表示する席番プレートである。表示部23は、左右方向に間隔を空けて並んだ貫通孔である2つの孔231を有する。表示部23の2つの孔231は、表示部23、第2部品22及び第1部品21がそれぞれ重ねられて貫通孔13内に配置される際に、第2部品22の2つの孔224及び第1部品21の2つの孔215と設けられる位置が重なる。
【0034】
表示部23の2つの孔231、第2部品22の2つの孔224及び第1部品21の2つの孔215を前方側から貫通するように締結部材24が挿入されることで、表示部23、第2部品22及び第1部品21がそれぞれ重なった状態で貫通孔13内に固定される。締結部材24としては、例えばリベット、ネジ等が用いられる。このように、締結部材24によって、表示部23、第2部品22及び第1部品21を貫通孔13内に固定することによって、表示用台座2の貫通孔13内における動きを抑制し、表示用台座2の貫通孔13内に配置された取付状態を維持する。
【0035】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、第2部品22の規定部223が、背もたれ12の接触面101と同一面上に位置するように、貫通孔13の接触面101側の内面に当接して、第2部品22における底部221及び側壁部222が貫通孔13の内部に配置される。これにより、第2部品22は、背もたれ12の接触面101から突出しないため、使用者が着座した際の邪魔になりにくい。また、表示部23、第2部品22及び第1部品21が締結部材24によって貫通孔13内に固定されるため、表示用台座2の貫通孔13への取付け後に、表示用台座2が貫通孔13から抜け落ちてしまうのを抑制することができる。また、椅子1の支持部10が有する貫通孔13の内部に表示用台座2が配置されるため、例えば、使用者が手を掛けるために椅子に設けられている貫通孔である手掛け孔などを用いて、椅子に席番号等の所定の情報を表示する表示部を取り付けることが可能である。
【0036】
(2b)本実施形態では、椅子1に対して第1部品21を支持部10の非接触面102側から取り付ける場合、当接部216は、枠部130と、背もたれ12の上方側端部121と、の間に形成される第1溝122に挿入される。これにより、当該非接触面102における貫通孔13の周囲の部分と当接部216とが当接する。また、椅子1に対して第2部品22を支持部10の接触面101側から取り付ける場合、規定部223は、貫通孔13の接触面101側の内面に当接する。このため、第1部品21及び第2部品22が所定の位置を超えて貫通孔13を貫通しないように、貫通孔13に対する第1部品21及び第2部品22の取付位置を規定することができる。
【0037】
(2c)本実施形態では、表示用台座2は、締結部材24を備える。これにより、締結部材24によって、第1部品21、第2部品22及び表示部23が締結されるため、貫通孔13に表示用台座2を強固に固定することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第1部品21の当接部216、第2部品22の規定部223及び締結部材24が維持機構の一例に相当する。また、当接部216及び規定部223が係止部の一例に相当する。また、規定部223が表示用台座3の接触面101側の端部に相当する。また、貫通孔13の接触面101側の内面、及び、非接触面102における貫通孔13の周囲の部分が支持部10の所定の部分の一例に相当する。
【0039】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0040】
(3a)上記実施形態では、3つの支持部10を有するベンチタイプの椅子1に表示用台座2が取り付けられる椅子セット100を例示したが、椅子セットの構成はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、椅子セット100aは、管状の金属パイプにより形成され、支持部10を右下方及び左下方から支持する右脚体201a及び左脚体202aを有する小椅子タイプの椅子1aに表示用台座2が取り付けられる構成であってもよい。
【0041】
(3b)上記実施形態では、表示用台座2は、支持部10における背もたれ12の上方側端部近傍に設けられる貫通孔13に取り付けられる構成を例示したが、椅子1において表示用台座2が取り付けられる位置はこれに限定されるものではない。例えば、表示用台座2は、背もたれ12の下方側、例えば背もたれ12と座体11との境近傍に取り付けられていてもよい。また、例えば、表示用台座2は、座体11に取り付けられていてもよい。具体的には、図9に示す椅子セット100bのように、表示用台座2は、支持部10bの座体11bの前方側端部近傍に設けられた貫通孔に取り付けられてもよい。
【0042】
(3c)上記実施形態では、表示用台座2は、第1部品21と、第2部品22と、表示部23と、締結部材24と、を備える構成を例示したが、表示用台座の構成はこれに限定されるものではない。例えば、締結部材24を有しない構成であってもよい。例えば、第1部品と第2部品とが当接する部分において接着剤等により貼り付けられていてもよい。また、例えば、圧入、フック部による係合などの機構を利用して、第1部品と第2部品とが直接固定されてもよい。
【0043】
また、例えば、図10に示すように、表示用台座2cは、本体部21cと、表示部23cと、を備える構成であってもよい。本体部21cは、樹脂により形成されている。本体部21cは、当接部216cと、挿入部217と、を有する。挿入部217は、本体部21cの接触面101側、すなわち前方側に位置する端部に設けられ、支持部10cに設けられた貫通孔13cの内部に配置される。当接部216cは、本体部21cの非接触面102側、すなわち後方側に位置する端部に設けられ、挿入部217の周縁よりも少なくとも一部分が外側に広がった形状を有する。当接部216cは、非接触面102における貫通孔13cの周囲の部分に当接する。図10に示す例では、当接部216cは、上下方向の長さが、挿入部217の上下方向の長さよりも大きく形成されている。また、挿入部217の上下方向の長さが、貫通孔13cの上下方向の長さよりも僅かに大きく形成されている。例えば、挿入部217の断面形状は、貫通孔13cの断面形状とほぼ同じ形状であるが、貫通孔13cの断面形状よりも僅かに大きく形成される。本体部21cは、樹脂により形成されるため力が加わると形状が変形しやすい。このため、本体部21cの挿入部217を貫通孔13cに力を加えて挿入する際に、挿入部217が貫通孔13cに収まるように変形することで挿入可能となる。そして、挿入部217が貫通孔13cの内部に配置された取付状態では、貫通孔13cを形成する内面131cと、挿入部217の貫通孔13cと当接する当接面218と、の間に生じる摩擦力により、本体部21cが貫通孔13c内に強く固定される。このため、本体部21cの貫通孔13cへの取付け後に、本体部21cが貫通孔13cから抜け落ちてしまうのを抑制することができる。なお、図10に示す例では、摩擦力を生じさせる貫通孔13cを形成する内面131c及び挿入部217の当接面218の構成が維持機構の一例に相当する。
【0044】
また、例えば、図11に示すように、表示用台座2dは、本体部21dと、表示部23dと、を備える構成であってもよい。本体部21dは、樹脂により形成されている。本体部21dは、当接部216dと、挿入部217dと、を有する。なお、当接部216dは、上述した当接部216cと同様な形状である。挿入部217dは、本体部21dの接触面101側、すなわち前方側に位置する端部に設けられ、支持部10dに設けられた貫通孔13dの内部に配置される。図11に示す例では、貫通孔13dを形成する内面131dには、凹部133が上下方向に対向するように2つ形成されている。挿入部217dの貫通孔13dと当接する当接面218dには、凸部219が上下方向に対向するように形成されている。凸部219は、挿入部217dが貫通孔13dの内部に配置された取付状態では、貫通孔13dを形成する内面131dの凹部133と嵌合するように形成される。凸部219を除いた挿入部217dの断面形状は、貫通孔13dの断面形状とほぼ同じ形状である。本体部21dは、樹脂により形成されるため力が加わると形状が変形しやすい。このため、凸部219を有していても、本体部21dの挿入部217dを貫通孔13dに力を加えて挿入する際に、凸部219が少し潰れて挿入部217dが貫通孔13dに収まるように変形することで挿入可能となる。そして、挿入部217dが貫通孔13dの内部に配置された取付状態では、貫通孔13dを形成する内面131dの凹部133と、挿入部217dの当接面218dの凸部219と、が嵌合するため、本体部21dが貫通孔13d内に強く固定される。このため、本体部21dの貫通孔13dへの取付け後に、本体部21dが貫通孔13dから抜け落ちてしまうのを抑制することができる。なお、図11示す例では、凸部219が嵌合部の一例に相当し、貫通孔13dを形成する内面131dの凹部133及び挿入部217dの当接面218dの凸部219が維持機構の一例に相当する。
【0045】
貫通孔を形成する内面は、凹部に変えて凸部、又は、凹部及び凸部の両方を有してもよい。この場合、挿入部の当接面は、貫通孔を形成する内面に形成された凹部又は凸部と嵌合可能な構成であれば、凸部に変えて凹部、又は、凸部及び凹部の両方を有してもよい。また、貫通孔を形成する内面及び挿入部の当接面に設けられる凸部及び凹部の位置及び数は上述した構成に限定されない。例えば、凸部及び凹部は、貫通孔を形成する内面及び挿入部の当接面に、左右方向に対向して設けられてもよいし、左右方向又は上下方向に並んで設けられてもよい。例えば、凸部及び凹部は、貫通孔を形成する内面及び挿入部の当接面に、1つ又は3つ以上設けられていてもよい。
【0046】
(3d)上記実施形態では、表示部23,23c,23dは、表示用台座2,2c,2dにおいて、第1部品21及び第2部品22、又は、本体部21c,21dとは別体の構成を例示したが、例えば、表示部は、第2部品又は本体部と一体の構成であってもよい。
【0047】
(3e)上記実施形態では、表示用台座2,2c,2dの前方側に表示部23,23c,23dが配置される構成を例示したが、表示部が配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、表示部は、表示用台座の後方側、又は、表示用台座の前方側及び後方側の両方に配置されてもよい。換言すると、表示部は、第1部品の後方側、又は、第2部品の前方側及び第1部品の後方側の両方に配置されてもよい。また、本体部の後方側、又は本体部の前方側及び後方側の両方に配置されてもよい。
【0048】
(3f)上記実施形態では、規定部223が背もたれ12の接触面101と同一面上に位置するように、第2部品22が貫通孔13の内部に配置される構成を例示したが、規定部223は当該接触面101よりも貫通孔13の内側に入り込むように、第2部品22が貫通孔13の内部に配置されてもよい。このような構成でも、第2部品22が背もたれ12の接触面101から突出しないため、使用者が着座した際の邪魔になりにくい。
【0049】
(3g)上記実施形態では、第1部品21及び本体部21c,21dが、非接触面102における貫通孔13cの周囲の部分に当接する当接部216,216c,216dを有する構成を例示した。しかし、例えば、第1部品及び本体部は、貫通孔13の非接触面102側の内面に当接する規定部を有してもよい。
【0050】
(3h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0051】
1,1a…椅子、2,2c,2d…表示用台座、10,10b,10c,10d…支持部、11,11b…座体、12…背もたれ、13,13c,13d…貫通孔、20…脚体、21…第1部品、21c,21d…本体部、22…第2部品、23,23c,23d…表示部、24…締結部材、100,100a,100b…椅子セット、101…接触面、102…非接触面、121…上方側端部、122…第1溝、130…枠部、131…上方側面、131c,131d…内面、132…下方側面、133…凹部、201,201a…右脚体、202,202a…左脚体、203…繋ぎ部、210…蓋部、211…横板、212…縦板、213…第2溝、214…突出部、215,224,231…孔、216,216c,216d…当接部、217,217d…挿入部、218,218d…当接面、219…凸部、221…底部、222…側壁部、223…規定部。
図1
図2
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図5
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図8
図9
図10
図11