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特開2022-86826ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086826
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/16 20060101AFI20220602BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B41J2/16 303
B41J2/16 503
B41J2/14 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199063
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】三根 亨
(72)【発明者】
【氏名】堀口 悟史
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG45
2C057AN01
2C057AP25
2C057AP77
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度に優れたヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係るヘッドチップは、ACT側アライメント領域140を有するアクチュエータプレート53と、中間側アライメント領域160を有し、アクチュエータプレート53に中間プレート52と、を備えている。ACT側アライメント領域140には、区画溝151,152によって囲まれた位置決め部150が形成されている。中間側アライメント領域160には、中間プレート52を貫通する位置決め開口部161が形成されている。アクチュエータプレート53及び中間プレート52は、位置決め開口部161を通じて少なくとも位置決め部150が露出した状態で重ね合わされている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴射チャネルが並んで設けられたチャネル領域、及び前記チャネル領域の周囲に設けられた第1アライメント領域を有するアクチュエータプレートと、
前記噴射チャネルに各別に連通する複数の連通孔が並んで設けられた連通領域、及び前記連通領域の周囲に設けられた第2アライメント領域を有し、前記アクチュエータプレートに対して厚さ方向で重ね合わされるアライメントプレートと、を備え、
前記第1アライメント領域には、前記厚さ方向に直交する第1方向に延びるとともに、前記厚さ方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて配置された第1溝及び第2溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第1位置決め部が形成され、
前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第1開口部が形成され、
前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて少なくとも前記第1位置決め部が露出した状態で重ね合わされているヘッドチップ。
【請求項2】
前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて前記第1溝及び第2溝が露出しない状態で重ね合わされている請求項1に記載のヘッドチップ。
【請求項3】
前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて前記第1溝及び第2溝が露出した状態で重ね合わされている請求項1に記載のヘッドチップ。
【請求項4】
前記第1開口部は、前記厚さ方向から見て、前記第1方向を長手方向とし、前記第2方向を短手方向とする長方形状に形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項5】
前記第1アライメント領域には、前記第1溝及び前記第2溝に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に間隔をあけて配置された第3溝及び第4溝が形成され、 前記第2アライメント領域には、前記第1開口部に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第2開口部が形成され、
前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、
前記第1開口部と前記第2開口部との交差部分を通じて前記第1溝、前記第2溝、前記第3溝及び前記第4溝が露出せず、前記第1開口部のうち前記交差部分よりも外側に位置する部分を通じて前記第1溝及び前記第2溝が露出せず、かつ前記第2開口部のうち前記交差部分よりも外側に位置する部分を通じて前記第3溝及び前記第4溝が露出しない状態で重ね合わされている
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項6】
前記第1アライメント領域には、前記第1溝及び前記第2溝に交差して前記第2方向に延びるパターニング部が形成され、
前記第1位置決め部は、
前記パターニング部が形成された中央領域と、
前記中央領域に対して前記第1方向の外側に位置する外側領域と、を備え、
前記第2アライメント領域には、前記第1開口部に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第2開口部が形成され、
前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、
前記第1開口部と前記第2開口部との交差部分を通じて前記中央領域が露出し、かつ前記厚さ方向から見て前記第2開口部のうち前記第2方向に沿う開口縁が前記パターニング部と前記パターニング部以外の部分とを跨らない状態で重ね合わされている
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項7】
前記第1アライメント領域には、前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて配置された第5溝及び第6溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第2位置決め部が形成され、
前記第2位置決め部における前記第1方向の幅は、前記第1位置決め部の幅よりも狭くなっており、
前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通するとともに、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートが重ね合わされた状態で前記第2位置決め部が露出可能な第3開口部が形成されている請求項1から請求項4の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項8】
複数の前記噴射チャネルは、前記第2方向に並んで配置されている請求項1から請求項7の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項9】
前記第1アライメント領域及び前記第2アライメント領域は、前記チャネル領域に対して前記第2方向の両側に設けられている請求項8に記載のヘッドチップ。
【請求項10】
前記アライメントプレートに対して前記アクチュエータプレートの反対側には、噴射孔プレートが重ね合わされ、
前記噴射孔プレートには 、前記連通孔を通じて前記噴射チャネル内と当該ヘッドチップの外部とを連通させる噴射孔が形成されている請求項1から請求項9の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載のヘッドチップを備えている液体噴射ヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載の液体噴射ヘッドを備えている液体噴射記録装置。
【請求項13】
複数の噴射チャネルが並んで設けられたチャネル領域、及び前記チャネル領域の周囲に設けられた第1アライメント領域を有するアクチュエータプレートと、
前記噴射チャネルに各別に連通する複数の連通孔が並んで設けられた連通領域、及び前記連通領域の周囲に設けられた第2アライメント領域を有し、前記アクチュエータプレートに対して厚さ方向で重ね合わされるアライメントプレートと、を備えたヘッドチップの製造方法であって、
前記第1アライメント領域には、前記厚さ方向に直交する第1方向に延びるとともに、前記厚さ方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて配置された第1溝及び第2溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第1位置決め部が形成され、
前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第1開口部が形成され、
前記第1開口部を通じて少なくとも前記第1位置決め部が露出するように前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートを重ね合わせる重ね合わせ工程を有しているヘッドチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドは、インクジェットヘッドに搭載されるヘッドチップを通じて被記録媒体にインクを吐出する。ヘッドチップは、吐出チャネル及び非吐出チャネルが交互に形成されたアクチュエータプレートと、アクチュエータプレートに接合されたノズルプレートと、を備えている。ヘッドチップでは、吐出チャネル内の容積が変化することで、吐出チャネル内のインクがノズルプレートに形成されたノズル孔を通じて吐出される。
【0003】
例えば下記特許文献1,2には、ヘッドチップを構成する複数の基板を貼り合わせる際の位置決め方法が開示されている。下記特許文献1,2に記載された構成では、複数の基板のうち一方の基板に形成された孔や溝等の加工痕を、他方の基板との位置決めを行うアライメントマークとして利用している。下記特許文献1,2に記載された構成では、他方の基板に形成された貫通孔に対して一方の基板に形成された加工痕を所定の位置に合わせることで、両基板の位置精度を向上させるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-305851号公報
【特許文献2】特開2015-24528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成にあっては、加工痕自体をアライメントマークとして利用しているため、アライメントマークの形状等がアライメントマークの加工条件(例えば、加工方法や順序、位置等)に支配される。この場合、アライメントマークを所望の形状等に形成するためには、加工条件を変更する等の必要がある。その結果、従来の方法では、製造効率が低下する等の可能性があった。
【0006】
本開示は、製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度に優れたヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係るヘッドチップは、複数の噴射チャネルが並んで設けられたチャネル領域、及び前記チャネル領域の周囲に設けられた第1アライメント領域を有するアクチュエータプレートと、前記噴射チャネルに各別に連通する複数の連通孔が並んで設けられた連通領域、及び前記連通領域の周囲に設けられた第2アライメント領域を有し、前記アクチュエータプレートに対して厚さ方向で重ね合わされるアライメントプレートと、を備え、前記第1アライメント領域には、前記厚さ方向に直交する第1方向に延びるとともに、前記厚さ方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて配置された第1溝及び第2溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第1位置決め部が形成され、前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第1開口部が形成され、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて少なくとも前記第1位置決め部が露出した状態で重ね合わされている。
【0008】
本態様によれば、第1溝及び第2溝により囲まれた第1位置決め部をアクチュエータプレートとアライメントプレートとの位置合わせ時におけるアライメントマークとして用いることができる。これにより、溝や孔等の加工痕自体をアライメントとして用いる場合に比べ、第1位置決め部の寸法等が加工痕を形成するための加工条件等に依存し難い。その結果、製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度を向上させることができる。よって、噴射チャネルと連通孔との位置決め精度に優れたヘッドチップをより簡単に製造することができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様のヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて前記第1溝及び第2溝が露出しない状態で重ね合わされていることが好ましい。
本態様によれば、厚さ方向を軸線とする回転方向の位置決め精度を高めることができる。例えば、第1開口部を通じて第1溝及び第2溝の双方が露出している場合には、アクチュエータプレートに対してアライメントプレートが傾いた状態で重ね合わされていることが容易に判断できる。
【0010】
(3)上記(1)の態様のヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部を通じて前記第1溝及び第2溝が露出した状態で重ね合わされていることが好ましい。
本態様によれば、重ね合わせ工程において、例えばアクチュエータプレートに対してアライメントプレートとは反対側からバックライト等を照射しながら位置決めを行う際に、第1溝及び第2溝を通じてバックライト等から出射される光が透過され易い。そのため、第1位置決め部と第1開口部の開口縁との境界部分が認識し易くなる。その結果、位置決め作業を簡単に行い易い。
【0011】
(4)上記(1)から(3)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、前記第1開口部は、前記厚さ方向から見て、前記第1方向を長手方向とし、前記第2方向を短手方向とする長方形状に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、第1開口部を長方形状とすることで、第1開口部の中心から第1方向に離れた位置では、厚さ方向を軸線とする回転方向での変位量が第1開口部の中心付近よりも大きくなり易い。そのため、第1開口部を通じて第1位置決め部が露出し、かつ第1溝及び第2溝が露出しないように、アクチュエータプレートとアライメントプレートとを重ね合わせることで、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0012】
(5)上記(1)から(4)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、前記第1アライメント領域には、前記第1溝及び前記第2溝に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に間隔をあけて配置された第3溝及び第4溝が形成され、前記第2アライメント領域には、前記第1開口部に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第2開口部が形成され、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部と前記第2開口部との交差部分を通じて前記第1溝、前記第2溝、前記第3溝及び前記第4溝が露出せず、前記第1開口部のうち前記交差部分よりも外側に位置する部分を通じて前記第1溝及び前記第2溝が露出せず、かつ前記第2開口部のうち前記交差部分よりも外側に位置する部分を通じて前記第3溝及び前記第4溝が露出しない状態で重ね合わされていることが好ましい。
本態様によれば、交差部分を通じて各溝が露出しないように、アクチュエータプレートとアライメントプレートとを重ね合わせることで、第1方向及び第2方向双方での位置決め精度を高めることができる。
また、第1開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分、及び第2開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分では、厚さ方向を軸線とする回転方向での変位量が交差部分よりも大きくなり易い。そして、第1開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分を通じて第1溝及び第2溝が露出せず、かつ第2開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分を通じて第3溝及び第4溝が露出しないように、アクチュエータプレートとアライメントプレートとを重ね合わせることで、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0013】
(6)上記(1)から(4)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、前記第1アライメント領域には、前記第1溝及び前記第2溝に交差して前記第2方向に延びるパターニング部が形成され、前記第1位置決め部は、前記パターニング部が形成された中央領域と、前記中央領域に対して前記第1方向の外側に位置する外側領域と、を備え、前記第2アライメント領域には、前記第1開口部に交差して前記第2方向に延びるとともに、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第2開口部が形成され、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートは、前記第1開口部と前記第2開口部との交差部分を通じて前記中央領域が露出し、かつ前記厚さ方向から見て前記第2開口部のうち前記第2方向に沿う開口縁が前記パターニング部と前記パターニング部以外の部分とを跨らない状態で重ね合わされていることが好ましい。
本態様によれば、交差部分を通じて中央領域が露出するように、アクチュエータプレートとアライメントプレートとを重ね合わせることで、第1方向及び第2方向双方での位置決め精度を高めることができる。
また、第2開口部のうち第2方向に沿う開口縁が、パターニング部と、パターニング部以外の部分と、を跨がらない状態で配置されることで、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0014】
(7)上記(1)から(4)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、前記第1アライメント領域には、前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて配置された第5溝及び第6溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第2位置決め部が形成され、前記第2位置決め部における前記第1方向の幅は、前記第1位置決め部の幅よりも狭くなっており、前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通するとともに、前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートが重ね合わされた状態で前記第2位置決め部が露出可能な第3開口部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、第1位置決め部よりも幅の狭い第2位置決め部を設けることで、位置決め精度を段階的に設定できる。例えば、位置決め精度の要求が低い場合は、第1開口部を通じて第1位置決め部が露出し、かつ第1溝及び第2溝が露出しない状態でのみアクチュエータプレート及びアライメントプレートを重ね合わせることで、簡単に位置決めを行うことができる。一方、位置決め精度の要求が高い場合は、第1開口部と第1位置決め部とに加え、第2開口部を通じて第2位置決め部が露出し、かつ第2溝及び第5溝が露出しない状態でアクチュエータプレート及びアライメントプレートを重ね合わせる。これにより、位置決めをより高精度に行うことができる。
【0015】
(8)上記(1)から(7)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、複数の前記噴射チャネルは、前記第2方向に並んで配置されていることが好ましい。
本態様によれば、特に噴射チャネルの配列方向での位置決め精度を高め易い。
【0016】
(9)上記(8)の態様のヘッドチップにおいて、前記第1アライメント領域及び前記第2アライメント領域は、前記チャネル領域に対して前記第2方向の両側に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、チャネル領域に対して第2方向の両側でそれぞれ位置決めを行う。これにより、アクチュエータプレートやアライメントプレートの伸び縮みの影響を受け難く、長期に亘って信頼性に優れたヘッドチップを提供できる。
【0017】
(10)上記(1)から(9)の何れかの態様のヘッドチップにおいて、前記アライメントプレートに対して前記アクチュエータプレートの反対側には、噴射孔プレートが重ね合わされ、前記噴射孔プレートには 、前記連通孔を通じて前記噴射チャネル内と当該ヘッドチップの外部とを連通させる噴射孔が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、上述したようにアクチュエータプレートとアライメントプレートとの位置決め精度を向上させることができるので、アクチュエータプレートと噴射孔プレートとの間にアライメントプレートを介在させた場合であっても、噴射チャネルと噴射孔との位置ずれを抑制できる。
【0018】
(11)本開示の一態様に係る液体噴出ヘッドは、上記(1)から(10)の何れかの態様のヘッドチップを備えている。
本態様によれば、信頼性に優れた液体噴射ヘッドを提供できる。
【0019】
(12)本開示の一態様に係る液体噴射記録装置は、上記(11)の態様の液体噴射ヘッドを備えている。
本態様によれば、信頼性に優れた液体噴射記録装置を提供できる。
【0020】
(13)本開示の一態様に係るヘッドチップの製造方法は、複数の噴射チャネルが並んで設けられたチャネル領域、及び前記チャネル領域の周囲に設けられた第1アライメント領域を有するアクチュエータプレートと、前記噴射チャネルに各別に連通する複数の連通孔が並んで設けられた連通領域、及び前記連通領域の周囲に設けられた第2アライメント領域を有し、前記アクチュエータプレートに対して厚さ方向で重ね合わされるアライメントプレートと、を備えたヘッドチップの製造方法であって、前記第1アライメント領域には、前記厚さ方向に直交する第1方向に延びるとともに、前記厚さ方向から見て前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて配置された第1溝及び第2溝によって前記第2方向の両側が囲まれた第1位置決め部が形成され、前記第2アライメント領域には、前記厚さ方向に前記アライメントプレートを貫通する第1開口部が形成され、前記第1開口部を通じて少なくとも前記第1位置決め部が露出するように前記アクチュエータプレート及び前記アライメントプレートを重ね合わせる重ね合わせ工程を有している。
【0021】
本態様によれば、重ね合わせ工程において、第1溝及び第2溝により囲まれた第1位置決め部をアクチュエータプレートとアライメントプレートとのアライメントに用いることができる。これにより、溝や孔等の加工痕自体をアライメントとして用いる場合に比べ、第1位置決め部の寸法等が加工痕を形成するための加工条件等に依存し難い。その結果、製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度を向上させることができる。よって、噴射チャネルと連通孔との位置決め精度に優れたヘッドチップをより簡単に製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一態様によれば、製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係るインクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図である。
図3】第1実施形態に係るノズルプレートを取り外した状態におけるヘッドチップを-Z側から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るアクチュエータプレートの底面図である。
図6図5のVI-VI線に相当する断面図である。
図7図5のVII-VII線に相当する断面図である。
図8図4のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図5のIX-IX線に沿う断面図である。
図10図5のX-X線に沿う断面図である。
図11図9のXI矢視図である。
図12図11に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図13】第1実施形態の変形例に係る図12に対応する底面図である。
図14】第2実施形態に係るヘッドチップの断面図である。
図15】第3実施形態におけるヘッドチップの底面図である。
図16図15に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図17図15に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図18】第4実施形態に係るヘッドチップの底面図である。
図19図18に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図20】第4実施形態の変形例に係るヘッドチップの底面図である。
図21】変形例に係るアクチュエータプレートの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0025】
(第1実施形態)
[プリンタ1]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ(液体噴射記録装置)1は、一対の搬送機構2,3と、インクタンク4と、インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)5と、インク循環機構6と、走査機構7と、を備えている。
【0026】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向(第2方向)は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向(第1方向)は走査機構7の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本実施形態において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
【0027】
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。
インクタンク4は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。各インクジェットヘッド5は、接続されたインクタンク4に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。なお、インクタンク4に収容されるインクは、導電性インクであっても、非導電性インクであってもよい。
【0028】
図2は、インクジェットヘッド5及びインク循環機構6の概略構成図である。
図1図2に示すように、インク循環機構6は、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させる。具体的に、インク循環機構6は、インク供給管21及びインク排出管22を有する循環流路23と、インク供給管21に接続された加圧ポンプ24と、インク排出管22に接続された吸引ポンプ25と、を備えている。
【0029】
加圧ポンプ24は、インク供給管21内を加圧し、インク供給管21を通してインクジェットヘッド5にインクを送り出している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク供給管21側は正圧となっている。
吸引ポンプ25は、インク排出管22内を減圧し、インク排出管22内を通してインクジェットヘッド5からインクを吸引している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク排出管22側は負圧となっている。インクは、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25の駆動により、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間を、循環流路23を通して循環可能となっている。
【0030】
走査機構7は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。走査機構7は、Y方向に延びるガイドレール28と、ガイドレール28に移動可能に支持されたキャリッジ29と、を備えている。
【0031】
<インクジェットヘッド5>
図1に示すように、インクジェットヘッド5は、キャリッジ29に搭載されている。図示の例では、複数のインクジェットヘッド5が、一つのキャリッジ29にY方向に並んで搭載されている。インクジェットヘッド5は、ヘッドチップ50(図3参照)と、インク循環機構6及びヘッドチップ50間を接続するインク供給部(不図示)と、ヘッドチップ50に駆動電圧を印加する制御部(不図示)と、を備えている。
【0032】
<ヘッドチップ50>
図3は、ノズルプレート51を取り外した状態におけるヘッドチップ50を-Z側から見た斜視図である。図4は、ヘッドチップ50の分解斜視図である。
図3図4に示すヘッドチップ50は、インクタンク4との間でインクを循環させるとともに、後述する吐出チャネル75における延在方向(Y方向)の中央部からインクを吐出する、いわゆる循環式サイドシュートタイプのヘッドチップ50である。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51(図4参照)と、中間プレート(アライメントプレート)52と、アクチュエータプレート53と、カバープレート54と、を備えている。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51、中間プレート52、アクチュエータプレート53及びカバープレート54が、この順番にZ方向に積層された構成である。以下の説明では、Z方向のうち、ノズルプレート51からカバープレート54に向かう方向(+Z側)を裏側とし、カバープレート54からノズルプレート51に向かう方向(-Z側)を表側として説明する場合がある。
【0033】
アクチュエータプレート53は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成されている。アクチュエータプレート53は、例えば分極方向がZ方向で異なる2枚の圧電板を積層してなる、いわゆるシェブロン基板である。但し、アクチュエータプレート53は、分極方向がZ方向の全域で一方向な、いわゆるモノポール基板であってもよい。
【0034】
図5は、アクチュエータプレート53の底面図である。
図4図5に示すように、アクチュエータプレート53には、複数(例えば、4列)のチャネル列61~64が形成されている。各チャネル列61~64は、X方向に延びるとともに、Y方向に間隔をあけて配列されている。本実施形態において、チャネル列61~64は、第1チャネルA列(チャネル領域)61、第1チャネルB列(チャネル領域)62、第2チャネルA列(チャネル領域)63及び第2チャネルB列(チャネル領域)64である。第1チャネルA列61及び第1チャネルB列62は、第1チャネル群66を構成している。第2チャネルA列63及び第2チャネルB列64は、第2チャネル群67を構成している。
【0035】
図5に示すように、アクチュエータプレート53において、各チャネル群66,67間に位置する部分には、群分離溝71が形成されている。群分離溝71は、アクチュエータプレート53をZ方向に貫通するとともに、X方向に延びている。群分離溝71は、各チャネル群66,67間を分離している。なお、ヘッドチップ50は、群分離溝71に対してY方向の両側でそれぞれ同様の構成をなしている。したがって、以下の説明では、群分離71に対して-Y側の構成について主に説明し、+Y側の構成については適宜説明を省略する。各チャネル群66,67は、群分離溝71に対してY方向の両側でそれぞれ同様の構成をなしている。
【0036】
以下では、チャネル列61~64の構成について、第1チャネルA列61を例にして説明する。
第1チャネルA列61は、アクチュエータプレート53のうち群分離溝71に対して-Y側に形成されている。第1チャネルA列61は、インクが充填される吐出チャネル(噴射チャネル)75と、インクが充填されない非吐出チャネル(非噴射チャネル)76と、を有している。各チャネル75,76は、Z方向から見た平面視において、それぞれY方向に直線状に延びるとともに、X方向に間隔をあけて交互に並んでいる。アクチュエータプレート53のうち、吐出チャネル75及び非吐出チャネル76間に位置する部分は、吐出チャネル75及び非吐出チャネル76間をX方向で仕切る駆動壁70(図4参照)を構成している。なお、本実施形態では、チャネル延在方向がY方向に一致する構成について説明するが、チャネル延在方向がY方向に交差していてもよい。
【0037】
図6は、図5のVI-VI線に相当する断面図である。
図6に示すように、吐出チャネル75は、X方向から見た側面視において、表面側に向けて凸の湾曲形状に形成されている。吐出チャネル75は、例えば円板状のダイサーをアクチュエータプレート53の裏面側(+Z側)から進入させることで形成される。具体的に、吐出チャネル75は、Y方向の両端部に位置する切り上がり部75aと、各切り上がり部75a間に位置する貫通部75bと、を有している。
切り上がり部75aは、X方向から見て例えばダイサーの曲率半径に倣って延びる曲率半径が一様な円弧状である。切り上がり部75aは、Y方向において貫通部75bから離れるに従い裏側に向けて湾曲しながら延びている。
貫通部75bは、アクチュエータプレート53をZ方向に貫通している。
【0038】
図7は、図5のVII-VII線に相当する断面図である。
図7に示すように、非吐出チャネル76は、駆動壁70を間に挟んで吐出チャネル75とX方向で隣り合っている。非吐出チャネル76は、例えば円板状のダイサーをアクチュエータプレート53の裏面側(+Z側)から進入させることで形成される。非吐出チャネル76は、貫通部76aと、切り上がり部76bと、を備えている。
貫通部76aは、アクチュエータプレート53をZ方向に貫通している。すなわち、貫通部76aは、Z方向における溝深さが一様に形成されている。貫通部76aは、非吐出チャネル76のうち+Y側端部以外の部分を構成している。
切り上がり部76bは、非吐出チャネル76のうち+Y側端部を構成している。切り上がり部76bは、X方向から見て例えばダイサーの曲率半径に倣って延びる曲率半径が一様な円弧状である。切り上がり部76bは、Y方向において貫通部76aから離れるに従い裏側に向けて湾曲しながら延びている。
【0039】
図4に示すように、非吐出チャネル76のY方向の寸法は、吐出チャネル75よりも長くなっている。具体的に、非吐出チャネル76のうち、貫通部76aの-Y側端部が吐出チャネル75よりも-Y側に位置し、切り上がり部76bの+Y側端部が吐出チャネル75よりも+Y側に位置している。
【0040】
図5に示すように、第1チャネルB列62は、アクチュエータプレート53において第1チャネルA列61と群分離溝71との間に設けられている。第1チャネルB列62は、上述した第1チャネルA列61と同様に吐出チャネル(噴射チャネル)75及び非吐出チャネル(非噴射チャネル)76がX方向に交互に並んだ構成である。具体的に、第1チャネルB列62の吐出チャネル75及び非吐出チャネル76は、第1チャネルA列61の吐出チャネル75及び非吐出チャネル76の配列ピッチに対して半ピッチずれて配列されている。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド5では、第1チャネルA列61及び第1チャネルB列62の吐出チャネル75同士、並びに第1チャネルA列61及び第1チャネルB列62の非吐出チャネル76同士が千鳥状(互い違い)に配置されている。すなわち、隣り合うチャネル列61,62間において、吐出チャネル75及び非吐出チャネル76同士がY方向で向かい合っている。但し、各チャネル列61,62間において、吐出チャネル75同士及び非吐出チャネル76同士がY方向で向かい合って配置されていてもよい。なお、各チャネル列61~64は、第1チャネルA列61の吐出チャネル75及び非吐出チャネル76の配列ピッチに対してそれぞれ1/4ピッチ毎ずれて配列されていてもよい。
【0041】
各チャネル列61,62において、吐出チャネル75は、XZ平面に対して面対称に形成されている。
各チャネル列61,62において、非吐出チャネル76は、XZ平面に対して面対称に形成されている。
【0042】
アクチュエータプレート53のうち、第1チャネルA列61の吐出チャネル75(貫通部75b)に対して-Y側に位置する部分は、第1領域81を構成している。
アクチュエータプレート53のうち、第1チャネルB列62の吐出チャネル75に対して+Y側に位置する部分と、群分離溝71と、の間に位置する部分は、第2領域86を構成している。
【0043】
図7に示すように、第1チャネルA列61において、非吐出チャネル76Aの貫通部76aは、第1領域81をY方向及びZ方向に貫通している。
第1チャネルB列62において、非吐出チャネル76の貫通部76aは、第2領域86をY方向及びZ方向に貫通して、群分離溝71内に連通している。
【0044】
図8は、図4のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図8に示すように、アクチュエータプレート53の駆動壁70のうち、各吐出チャネル75に面する内側面(吐出チャネル75の内面のうち、X方向で対向する面)には、共通電極95がそれぞれ形成されている。共通電極95は、吐出チャネル75の内側面においてZ方向の全域に亘って形成されている。共通電極95は、Y方向における長さが吐出チャネル75の貫通部75bと同等(アクチュエータプレート53の表面における吐出チャネル75の開口長と同等)とされている。
【0045】
図5に示すように、アクチュエータプレート53の表面には、複数の共通端子96が形成されている。共通端子96は、Y方向に沿って互いに平行に延在する帯状とされている。各共通端子96は、対応する吐出チャネル75の開口縁において一対の共通電極95にそれぞれ接続されている。各共通端子96は、対応する領域81,86内で終端している。
【0046】
図8に示すように、アクチュエータプレート53の駆動壁70のうち、各非吐出チャネル76に面する内側面(非吐出チャネル76のうち、X方向で対向する面)には、個別電極97が形成されている。個別電極97は、非吐出チャネル76の内側面において、Z方向の全域に亘って形成されている。
【0047】
図5に示すように、領域81,86の表面において、共通端子96よりもY方向の外側に位置する部分には、個別端子98が形成されている。個別端子98は、X方向に延在する帯状とされている。個別端子98は、吐出チャネル75を間に挟んでX方向で対向する非吐出チャネル76の開口縁において、吐出チャネル75を間に挟んでX方向で対向する個別電極97同士を接続している。なお、領域81,86において、共通端子96と個別端子98との間に位置する部分には、区画溝99が形成されている。区画溝99は、各領域81,86において、X方向に延びている。区画溝99は、共通端子96と個別端子98とを分離している。なお、図3図4等については、各電極95,97及び各端子96,98は一部のみ示している。
【0048】
図6に示すように、第1領域81の表面には、第1フレキシブルプリント基板100が圧着されている。第1フレキシブルプリント基板100は、第1領域81の表面において、第1チャネルA列61に対応する共通端子96と個別端子98に接続されている。第1フレキシブルプリント基板100は、アクチュエータプレート53の外側を通って+Z側に引き出されている。
【0049】
第2領域86の表面には、第2フレキシブルプリント基板101が圧着されている。第2フレキシブルプリント基板101は、第2領域86の表面において、第1チャネルB列62に対応する共通端子96と個別端子98に接続されている。第2フレキシブルプリント基板101は、群分離溝71内を通じて+Z側に引き出されている。
【0050】
<カバープレート54>
図3図4に示すように、カバープレート54は、各チャネル群66,67を閉塞するようにアクチュエータプレート53の裏面に接着されている。カバープレート54において、各チャネル列61~64と対応する位置には、入口共通インク室120及び出口共通インク室121がそれぞれ形成されている。
入口共通インク室120は、例えば第1チャネルA列61において吐出チャネル75の+Y側端部と平面視で重なる位置に形成されている。入口共通インク室120は、例えば第1チャネルA列61を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート54の裏面上で開口している。
出口共通インク室121は、例えば第1チャネルA列61において吐出チャネル75の-Y側端部と平面視で重なる位置に形成されている。入口共通インク室120は、チャネルA列61を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート54の裏面上で開口している。
【0051】
入口共通インク室120において、第1チャネルA列61の吐出チャネル75と対応する位置には、入口スリット125が形成されている。入口スリット125は、各吐出チャネル75の+Y側端部と、入口共通インク室120内と、の間を各別に連通している。
出口共通インク室121において、第1チャネルA列61の吐出チャネル75と対応する位置には、出口スリット126が形成されている。出口スリット126は、各吐出チャネル75の-Y側端部と、出口共通インク室121内と、の間を各別に連通している。したがって、入口スリット125及び出口スリット126は、それぞれ各吐出チャネル75に連通する一方、非吐出チャネル76には連通していない。
【0052】
<中間プレート52>
中間プレート52は、各チャネル群66,67を閉塞するようにアクチュエータプレート53の表面に接着されている。中間プレート52は、アクチュエータプレート53と同様にPZT等の圧電材料により形成されている。中間プレート52は、Z方向での厚さがアクチュエータプレート53よりも薄い。中間プレート52は、Y方向の寸法がアクチュエータプレート53よりも短くなっている。したがって、中間プレート52に対してY方向の両側には、アクチュエータプレート53におけるY方向の両端部(例えば、第1領域81)が露出する。アクチュエータプレート53におけるY方向の両端部において、中間プレート52から露出した部分は、第1フレキシブルプリント基板100の圧着領域として機能する。なお、中間プレート52は、圧電材料以外の材料(例えば、ポリイミドやアルミナ等の非導電材)で形成されていてもよい。
【0053】
中間プレート52において、各吐出チャネル75の貫通部75bと平面視で重なり合う部分には、連通孔130が形成されている。連通孔130は、アクチュエータプレート53の表面側において、対応する吐出チャネル75の貫通部75b内に各別に連通している。連通孔130は、Y方向を長手方向とする長円形状に形成されている。連通孔130におけるY方向の寸法は、貫通部75bよりも短い。一方、連通孔130におけるX方向の寸法は、貫通部75bよりも広い。但し、連通孔130におけるX方向の寸法は、貫通部75bよりも短くてもよい。
【0054】
中間プレート52において、連通孔130がX方向に並んだ領域は、連通領域135~138を構成している。本実施形態において、連通領域135~138は、第1チャネルA列61に重なり合う第1連通A領域135、第1チャネルB列に重なり合う第1連通B領域136、第2チャネルA列63に重なり合う第2連通A領域137及び第2チャネルB列64に重なり合う第2連通B領域138である。各連通領域135~138は、Y方向に間隔をあけて設けられている。
【0055】
中間プレート52において、平面視で群分離溝71と重なる位置には、開放溝131が形成されている。開放溝131は、群分離溝71を開放させるとともに、第1チャネル群66の第2領域86及び第2チャネル群67の第1領域81を露出させる。開放溝131は、群分離溝71と同等の長さを有するX方向に延びる帯状に形成されている。
【0056】
図4に示すように、ノズルプレート51は、中間プレート52の表面に接着等によって固定されている。ノズルプレート51は、Y方向における幅が中間プレート52と同等になっている。本実施形態において、ノズルプレート51は、ポリイミド等の樹脂材料により厚さが50μm程度に形成されている。但し、ノズルプレート51は、樹脂材料の他、金属材料(SUSやNi-Pd等)、ガラス、シリコン等による単層構造、又は積層構造であってもよい。
【0057】
ノズルプレート51には、X方向に延びるノズル列(第1ノズルA列141、第1ノズルB列142、第2ノズルA列143及び第2ノズルB列144)がY方向に間隔をあけて4列形成されている。
各ノズル列141~144は、ノズルプレート51をZ方向に貫通する複数のノズル孔(第1ノズルA孔145、第1ノズルB孔146、第2ノズルA孔147及び第2ノズルB孔148)を有している。各ノズル孔145~148は、それぞれX方向に間隔をあけて配置されている。各ノズル孔145~148は、例えば裏側から表側に向かうに従い内径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。各ノズル孔145~148の最大内径は、吐出チャネル75のY方向の幅よりも大きく、連通孔130のY方向の幅よりも小さい。
【0058】
図6図7に示すように、第1ノズルA孔145は、第1チャネルA列61の吐出チャネル75のうちY方向の中央部に、第1連通A領域135の連通孔130を通じて各別に連通している。第1ノズルB孔146は、第1チャネルB列62の吐出チャネル75のうちY方向の中央部に、第1連通B領域136の連通孔130を通じて各別に連通している。第2ノズルA孔147は、第2チャネルA列63の吐出チャネル75のうちY方向の中央部に、第2連通A領域137の連通孔130を通じて各別に連通している。第2ノズルB孔148は、第2チャネルB列64の吐出チャネル75のうちY方向の中央部に、第2連通B領域138の連通孔130を通じて各別に連通している。したがって、各非吐出チャネル76は、ノズル孔145~148には連通しておらず、ノズルプレート51により表面側から覆われている。
【0059】
ここで、図5に示すように、アクチュエータプレート53において、各チャネル群66,67に対してX方向の両側に位置する部分には、ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)140が設けられている。なお、ACT側アライメント領域140は、アクチュエータプレート53のうち何れかのチャネル列61~64の周囲に少なくとも一つ設けられていればよい。以下の説明では、第1チャネル群66に対して+X側に位置するACT側アライメント領域140を例にして、ACT側アライメント領域140の構成を説明する。
【0060】
図9は、図5のIX-IX線に沿う断面図である。図10は、図5のX-X線に沿う断面図である。図11は、図9のXI矢視図である。
図9図10に示すように、各ACT側アライメント領域140には、複数の区画溝(第1溝、第2溝)151,152が形成されている。区画溝151,152は、X方向に向かい合っている。区画溝151,152は、それぞれY方向に直線状に延びている。区画溝151,152は、例えば円板状のダイサーをアクチュエータプレート53の裏面側から貫通させることで形成されている。例えば、区画溝151,152は、X方向の幅が吐出チャネル75と同等に形成されている。図10に示すように、区画溝151,152は、X方向から見てダイサーの曲率半径に倣って延びる曲率半径が一様な円弧状に形成されている。
【0061】
なお、区画溝151,152は、少なくともアクチュエータプレート53の表面上で開口していればよい。また、区画溝151,152は、X方向で向かい合う部分を有していれば、一部がY方向にずれて配置されていてもよい。区画溝151,152は、ダイサーによる切削加工に限らず、レーザ加工やサンドブラストやエッチング等により形成されていてもよい。
【0062】
ACT側アライメント領域140において、区画溝151,152で囲まれた部分は、位置決め部(第1位置決め部)150を構成している。位置決め部150は、平面視において、Y方向に直線状に延びている。位置決め部150において、X方向の寸法D1は、区画溝151,152間の間隔と等しくなっている。すなわち、位置決め部150におけるX方向の寸法D1は、区画溝151,152の間隔に応じて適宜変更が可能である。
【0063】
中間プレート52において、ACT側アライメント領域140に平面視で重なり合う部分には、中間側アライメント領域(第2アライメント領域)160が設けられている。中間側アライメント領域160には、位置決め開口部161が形成されている。位置決め開口部161は、中間プレート52をZ方向に貫通する貫通孔である。位置決め開口部161は、例えば中間プレート52に対して裏面側からダイサーを進入させることで形成されている。位置決め開口部(第1開口部)161は、平面視において、Y方向を長手方向とし、X方向を短手方向とする長方形状に形成されている。位置決め開口部161において、X方向の寸法E1は位置決め部150の寸法D1よりも短い。位置決め開口部161において、Y方向の寸法は位置決め部150の寸法よりも短い。
【0064】
なお、位置決め開口部161は、正方形状やX方向を長手方向とする長方形状であってもよく、四角形以外の多角形状や円形状等であってもよい。位置決め開口部161は、ダイサーによる切削加工に限らず、レーザ加工やサンドブラストやエッチング等により形成されていてもよい。
【0065】
中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、対応する位置決め部150及び位置決め開口部161が重なり合った状態で、接合されている。具体的に、中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、位置決め開口部161を通じて位置決め部150が露出し、かつ区画溝151,152が露出しないような状態で重ね合わされている。位置決め開口部161は、区画溝151,152の間において、位置決め部150と同様にY方向に沿って配置されている。なお、位置決め部150及び位置決め開口部161は、X方向及びY方向での中心同士が一致していることが好ましい。但し、位置決め部150及び位置決め開口部161同士は、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152が露出しない構成であれば、互いの中心がずれて配置されていてもよい。
【0066】
図11に示すように、上述した条件で中間プレート52及びアクチュエータプレート53が接合された状態において、位置決め部150のX方向の両端部が、中間プレート52に平面視で重なり合う。位置決め部150のX方向の両端部において、中間プレート52に平面視で重なり合う部分は、許容部150a,150bとして機能する。許容部150a,150bにおけるX方向の寸法F1,F2は、中間プレート52及びアクチュエータプレート53を接合するにあたっての公差(位置ずれ許容値)に設定されている。すなわち、中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、例えば寸法F1,F2のうち最小値が0よりも大きくなるように接合される。これにより、中間プレート52及びアクチュエータプレート53が所望の位置で重ね合わされる。例えば、平面視における吐出チャネル75(貫通部75b)と連通孔130との重なり部分の面積が連通孔130の開口面積に対して所望の範囲内に配置された状態で、中間プレート52及びアクチュエータプレート53が重ね合わされる。
【0067】
[プリンタ1の動作方法]
次に、上述したように構成されたプリンタ1を利用して、被記録媒体Pに文字や図形等を記録する場合について以下に説明する。
なお、初期状態として、図1に示す4つのインクタンク4にはそれぞれ異なる色のインクが十分に封入されているものとする。また、インクタンク4内のインクがインク循環機構6を介してインクジェットヘッド5内に充填された状態となっている。
【0068】
このような初期状態のもと、プリンタ1を作動させると、被記録媒体Pが搬送機構2,3のローラ11,12に挟み込まれながら+X側に搬送される。また、これと同時にキャリッジ29がY方向に移動することで、キャリッジ29に搭載されたインクジェットヘッド5がY方向に往復移動する。
インクジェットヘッド5が往復移動する間に、各インクジェットヘッド5よりインクを被記録媒体Pに適宜吐出させる。これにより、被記録媒体Pに対して文字や画像等の記録を行うことができる。
【0069】
ここで、各インクジェットヘッド5の動きについて、以下に詳細に説明する。
本実施形態のような循環式サイドシュートタイプのインクジェットヘッド5では、まず図2に示す加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25を作動させることで、循環流路23内にインクを流通させる。この場合、インク供給管21を流通するインクは、入口共通インク室120及び入口スリット125を通して各吐出チャネル75内に供給される。各吐出チャネル75内に供給されたインクは、各吐出チャネル75をY方向に流通する。その後、インクは、出口スリット126を通じて出口共通インク室121に排出された後、インク排出管22を通してインクタンク4に戻される。これにより、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間でインクを循環させることができる。
【0070】
そして、キャリッジ29(図1参照)の移動によってインクジェットヘッド5の往復移動が開始されると、フレキシブルプリント基板100,101を介して電極95,97に駆動電圧が印加される。この際、個別電極97を駆動電位Vddとし、共通電極95を基準電位GNDとして各電極95,97間に駆動電圧を印加する。すると、吐出チャネル75を画成する2つ駆動壁70に厚み滑り変形が生じ、これら2つの駆動壁70が非吐出チャネル76側へ突出するように変形する。すなわち、各電極95,97間に電圧を印加することで、駆動壁70がZ方向の中間部分を中心にしてV字状に屈曲変形する。これにより、吐出チャネル75の容積が増大する。そして、吐出チャネル75の容積が増大したことにより、入口共通インク室120内に貯留されたインクが入口スリット125を通じて吐出チャネル75内に誘導される。吐出チャネル75の内部に誘導されたインクは、圧力波となって吐出チャネル75の内部に伝播する。圧力波がノズル孔145~148に到達したタイミングで、電極95,97間に印加した電圧をゼロにする。これにより、駆動壁70が復元し、一旦増大した吐出チャネル75の容積が元の容積に戻る。この動作によって、吐出チャネル75の内部の圧力が増加し、インクが加圧される。その結果、液滴状のインクが連通孔130及びノズル孔145~148を通って外部に吐出されることで、上述したように被記録媒体Pに文字や画像等を記録することができる。
【0071】
<ヘッドチップ50の製造方法>
次に、上述したヘッドチップ50の製造方法について説明する。以下の説明では、便宜上、ヘッドチップ50をチップレベルで製造する場合を例にして説明する。
ヘッドチップ50の製造方法は、重ね合わせ工程と、ノズルプレート貼付工程と、を備えている。なお、各プレート51~54には、重ね合わせ工程以前に必要な加工は既に施しているものとする。
【0072】
重ね合わせ工程では、アクチュエータプレート53と、カバープレート54と、中間プレート52と、を接着剤等により貼り合わせる。この際、アクチュエータプレート53とカバープレート54とは、各チャネル列61~64の吐出チャネル75が対応するスリット125,126に連通するように貼り合わせる。
【0073】
続いて、アクチュエータプレート53と中間プレート52とを貼り合わせる。具体的には、位置決め開口部161を通じて位置決め部150が露出し、かつ区画溝151,152が露出しないような状態でアクチュエータプレート53と中間プレート52とを位置決めした後、両者を貼り合わせる。例えば、図12に示すように、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152の双方が露出している状態(符号Q参照)では、アクチュエータプレート53と中間プレート52とが所望の重ね合わせ位置に対してZ方向を軸線とする回転方向にずれていることを意味する。アクチュエータプレート53と中間プレート52とが所望の重ね合わせ位置で接合されることで、各チャネル列61~64の吐出チャネル75が対応する連通孔130に連通する。この状態において、吐出チャネル75は、スリット125,126及び連通孔130を通じて吐出チャネル75の外部に連通する。なお、アクチュエータプレート53と中間プレート52との位置合わせは、例えばアクチュエータプレート53に対して中間プレート52側とは反対側からバックライトを照射した状態で、目視で行う。但し、アクチュエータプレート53と中間プレート52との位置合わせは、画像処理等により行ってもよい。
【0074】
その後、ノズルプレート貼付工程では、ノズル孔145~148が対応するチャネル列61~64の吐出チャネル75に連通孔130を通じて連通するように、ノズルプレート51とアクチュエータプレート53とを貼り合わせる。
以上により、ヘッドチップ50が製造される。
【0075】
なお、ヘッドチップ50は、ウエハレベルで製造してもよい。ウエハレベルで製造する場合には、まず複数のアクチュエータプレート53が連なるアクチュエータウエハと、複数のカバープレート54が連なるカバーウエハと、複数の中間プレート52が連なる中間ウエハと、を接合してウエハ接合体を形成する。その後、ウエハ接合体を切断することにより複数のヘッドチップ50が形成される。
【0076】
このように、本実施形態では、ACT側アライメント領域140において区画溝151,152に囲まれた位置決め部150が形成され、中間側アライメント領域160には中間プレート52を貫通する位置決め開口部161が形成され、アクチュエータプレート53と中間プレート52は、位置決め開口部161を通じて少なくとも位置決め部150が露出した状態で重ね合わされている構成とした。
この構成によれば、区画溝151,152により囲まれた位置決め部150をアクチュエータプレート53と中間プレート52との位置合わせ時におけるアライメントマークとして用いることができる。これにより、区画溝の加工痕自体をアライメントマークとして用いる場合に比べ、位置決め部150の寸法等が加工痕を形成するための加工条件等に依存し難い。その結果、製造効率の低下を抑制した上で、アライメントマークの形成にあたっての自由度を向上させ、位置決め精度を向上させることができる。よって、吐出チャネル75と連通孔130との位置決め精度に優れたヘッドチップ50をより簡単に製造することができる。特に、本実施形態では、区画溝151,152がチャネル75,76と同様にダイサーによる切削加工により形成されるため、区画溝151,152の形成に伴う製造効率の低下を抑制し易い。
【0077】
本実施形態では、アクチュエータプレート53及び中間プレート52は、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152が露出しない状態で重ね合わされている構成とした。
この構成によれば、Z方向を軸線とする回転方向の位置決め精度を高めることができる。例えば、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152の双方が露出している場合には、アクチュエータプレート53に対して中間プレート52が傾いた状態で重ね合わされていることが容易に判断できる。
【0078】
本実施形態では、位置決め開口部161が、平面視において、Y方向を長手方向とし、X方向を短手方向とする長方形状に形成されている構成とした。
この構成によれば、位置決め開口部161を長方形状とすることで、位置決め開口部161の中心からY方向に離れた位置では、Z方向を軸線とする回転方向での変位量が位置決め開口部161の中心付近よりも大きくなり易い。そのため、位置決め開口部161を通じて位置決め部150が露出し、かつ区画溝151,152が露出しないように、アクチュエータプレート53と中間プレート52とを重ね合わせることで、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0079】
本実施形態では、アライメント領域140,160がチャネル75,76の配列方向(X方向)に並んで設けられている構成とした。
この構成によれば、特にチャネル75,76の配列方向での位置決め精度を高め易い。
【0080】
本実施形態では、アライメント領域140,160がチャネル列61~64に対してX方向の両側に設けられている構成とした。
この構成によれば、チャネル列61~64に対してX方向の両側でそれぞれ位置決めを行う。これにより、アクチュエータプレート53や中間プレート52の伸び縮みの影響を受け難く、長期に亘って信頼性に優れたヘッドチップ50を提供できる。
【0081】
本実施形態では、中間プレート52に対してアクチュエータプレート53とは反対側には、ノズルプレート51が重ね合わされ、ノズルプレート51には、連通孔130を通じて吐出チャネル75内とヘッドチップ50の外部とを連通させるノズル孔145~148が形成されている構成とした。
この構成によれば、上述したようにアクチュエータプレート53と中間プレート52との位置決め精度を向上させることができるので、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に中間プレート52を介在させた場合であっても、吐出チャネル75とノズル孔145~148との位置ずれを抑制できる。
【0082】
本実施形態のインクジェットヘッド5及びプリンタ1では、上述したように高精度に位置決めされた信頼性に優れたヘッドチップ50を提供できるので、信頼性に優れたインクジェットヘッド5及びプリンタ1を提供できる。
【0083】
(変形例)
上述した第1実施形態では、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152が露出しないように、中間プレート52及びアクチュエータプレート53を位置決めする構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、図13に示すように、中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、位置決め開口部161を通じて少なくとも位置決め部150が露出するように配置されていれば、位置決め開口部161を通じて区画溝151,152の双方が露出するように配置されていてもよい。この場合、位置決め部150において、X方向の寸法D1は位置決め開口部161の寸法E1よりも短い。
【0084】
本変形例では、重ね合わせ工程において、アクチュエータプレート53に対して中間プレート52とは反対側からバックライト等を照射しながら位置決めを行う際に、区画溝151,152を通じてバックライト等から出射される光が透過され易い。そのため、位置決め部150と位置決め開口部161の開口縁との境界部分が認識し易くなる。その結果、位置決め作業を簡単に行い易い。
【0085】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図14は、第2実施形態に係るヘッドチップ50の断面図である。本実施形態では、寸法の異なる複数の位置決め部255,256及び複数の位置決め開口部261,262を備えている点で上述した実施形態と相違している。
図14に示すように、アクチュエータプレート53において、ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)240には、例えば3本の区画溝251~253が形成されている。各区画溝251~253は、X方向に間隔をあけた状態でY方向に直線状に延びている。各区画溝251~253のうち、X方向で隣り合う第1区画溝(第1溝)251及び第2区画溝(第2溝、第5溝)252間の距離は、第2区画溝252及び第3区画溝(第5溝、第6溝)253間の距離に比べて広くなっている。
【0086】
ACT側アライメント領域240において、第1区画溝251及び第2区画溝252で囲まれた部分は、第1位置決め部255として機能する。ACT側アライメント領域240において、第2区画溝252及び第3区画溝253で囲まれた部分は、第2位置決め部256として機能する。
第1位置決め部255及び第2位置決め部256は、第2区画溝252を隔ててY方向に直線状に延びている。第1位置決め部255において、X方向の寸法D2は、第2位置決め部256の寸法D3に比べて大きい。なお、本実施形態では、第1位置決め部255及び第2位置決め部256を区画する溝が、第2区画溝252で共用されている構成について説明するが、この構成に限られない。第1位置決め部255及び第2位置決め部256それぞれが、2本の区画溝により区画されていてもよい。
【0087】
中間プレート52において、中間側アライメント領域(第2アライメント領域)260には第1位置決め開口部(第1開口部)261及び第2位置決め開口部(第2開口部)262が形成されている。各位置決め開口部261,262は、中間プレート52をZ方向に貫通する貫通孔である。各位置決め開口部261,262は、平面視での寸法(X方向での寸法E2,E3及びY方向での寸法)が何れも同等になっている。各位置決め開口部261,262は、X方向に間隔をあけて配置されている。各位置決め開口部261,262において、X方向での中心間距離は、位置決め部255,256の中心間距離と同等になっている。
【0088】
中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、第1位置決め部255及び第1位置決め開口部261が重なり合い、かつ第2位置決め部256及び第2位置決め開口部262が重なり合った状態で、接合されている。具体的に、第1位置決め部255及び第1位置決め開口部261は、第1位置決め開口部261を通じて第1位置決め部255が露出し、かつ区画溝251,252が露出しないような状態で重ね合わされている。第2位置決め部256及び第2位置決め開口部262は、第2位置決め開口部262を通じて第2位置決め部256が露出し、かつ区画溝252,253が露出しないような状態で重ね合わされている。
【0089】
本実施形態において、第2位置決め部256の許容部256a,256b(中間プレート52と平面視で重なる部分)のの寸法F3,F4のうち最小寸法は、第1位置決め部255の許容部255a,255bの寸法F5,F6のうち最小寸法よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態では、中間プレート52及びアクチュエータプレート53を接合するにあたって、第2位置決め部256及び第2位置決め開口部262同士を重ね合わせる方が、第1位置決め部255及び第1位置決め開口部261同士のみを重ね合わせる場合に比べて位置決め許容値が小さくなるように設定されている。
【0090】
本実施形態において、中間プレート52とアクチュエータプレート53との位置決めは、要求される位置ずれ許容値に応じて以下の2つのパターンで実行することができる。
(1)第1位置決め開口部261を通じて第1位置決め部255が露出するとともに、区画溝251,252が露出しないように配置した上で、第2位置決め開口部262を通じて第2位置決め部256が露出するとともに、区画溝252,253が露出しないように配置する。
(2)第1位置決め開口部261を通じて第1位置決め部255が露出するとともに、区画溝251,252が露出しないように配置する。
【0091】
(1)のパターンでは、上述したように第1位置決め部255及び第1位置決め開口部261同士のみを重ね合わせる場合に比べて位置決め許容値が小さくなる。そのため、例えば高精度な位置決めが要求される際に採用される。
(2)のパターンでは、第2位置決め開口部262を通じて第2区画溝252や第3区画溝253が露出することも許容される。そのため、例えば位置ずれ許容値の最大値のみを規定する際に採用される。
【0092】
このように、本実施形態では、第1位置決め部255よりもX方向の寸法が小さい第2位置決め部256を設けることで、位置決め精度を段階的に設定できる。例えば、位置決め精度の要求が低い場合は、第1位置決め開口部261を通じて第1位置決め部255が露出し、かつ第1区画溝251及び第2区画溝252が露出しない状態でのみアクチュエータプレート53及び中間プレート52を重ね合わせることで、簡単に位置決めを行うことができる。一方、位置決め精度の要求が高い場合は、第1位置決め開口部261と第1位置決め部255とに加え、第2位置決め開口部261を通じて第2位置決め部256が露出し、かつ第2区画溝252及び第3区画溝253が露出しない状態でアクチュエータプレート53及び中間プレート52を重ね合わせる。これにより、位置決めをより高精度に行うことができる。なお、位置決め部(位置決め開口部)は、3つ以上の複数設けられていてもよい。
【0093】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図15は、第3実施形態におけるヘッドチップ50の底面図である。本実施形態では、区画溝351~354及び位置決め開口部361がX方向及びY方向に交差して延びている点で、上述した実施形態と相違している。
図15に示すように、アクチュエータプレート53において、ACT側アライメント領域340には、4本の区画溝351~354が形成されている。区画溝351~354は、第1縦区画溝(第1溝)351及び第2縦区画溝(第2溝)352、並びに第1横区画溝(第3溝)353及び第2横区画溝(第4溝)354である。
【0094】
第1縦区画溝351及び第2縦区画溝352は、X方向に間隔をあけた状態でY方向に直線状に延びている。第1横区画溝353及び第2横区画溝354は、Y方向に間隔をあけた状態でX方向に直線状に延びている。第1横区画溝353及び第2横区画溝354は、第1縦区画溝351及び第2縦区画溝352の双方をX方向に横断している。
【0095】
ACT側アライメント領域340には、各区画溝351~354で区画された位置決め部(第1位置決め部)357が形成されている。位置決め部357は、中央領域357aと、中央領域357aに対してY方向の両側に位置するY方向領域357b,357cと、中央領域357aに対してX方向の両側に位置するX方向領域357d,357eと、を含んでいる。
【0096】
中央領域357aは、各区画溝351~354により囲まれた平面視矩形状の領域である。
Y方向領域357bは、中央領域357aに対して+Y側において、第1縦区画溝351、第1横区画溝353及び第2横区画溝354で囲まれた領域である。
Y方向領域357cは、中央領域357aに対して-Y側において、第2縦区画溝352、第1横区画溝353及び第2横区画溝354で囲まれた領域である。
X方向領域357dは、中央領域357aに対して+X側において、第1縦区画溝351、第2縦区画溝352及び第1横区画溝353で囲まれた領域である。
X方向領域357eは、中央領域357aに対して-X側において、第1縦区画溝351、第2縦区画溝352及び第2横区画溝354で囲まれた領域である。
【0097】
中間プレート52において、中間側アライメント領域(第2アライメント領域)360には位置決め開口部361が形成されている。位置決め開口部361は、中間プレート52をZ方向に貫通する貫通孔である。位置決め開口部361は、平面視においてX字状に形成されている。具体的に、位置決め開口部361は、第1スリット363と、第2スリット364と、を備えている。
【0098】
第1スリット363は、Y方向に沿って直線状に延びている。第1スリット363において、X方向の寸法は、中央領域357a及びY方向領域357b,357cの寸法よりも短くなっている。
第2スリット364は、第1スリット363をX方向に横断している。第2スリット364において、Y方向の寸法は、中央領域357a及びX方向領域357d,357eの寸法よりも短くなっている。
【0099】
位置決め開口部361のうち、第1スリット363及び第2スリット364の交差部分361aは、平面視での寸法(X方向及びY方向)が中央領域357aよりも小さい矩形状に形成されている。
第1スリット363のうち、交差部分361aに対してY方向の両側に位置するY方向領域361b,361cは、X方向の寸法がY方向領域357b,357cよりも小さくなっている。
第2スリット364のうち、交差部分361aに対してX方向の両側に位置するX方向領域361d,361eは、Y方向の寸法がX方向領域357d,357eよりも小さくなっている。
【0100】
中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、位置決め部357及び位置決め開口部361が重ね合わされた状態で接合されている。具体的に、位置決め部357及び位置決め開口部361は、交差部分361aを通じて各区画溝351~354が露出せず、Y方向領域361b,361cを通じて第1縦区画溝351及び第2縦区画溝352が露出せず、かつX方向領域361d,361eを通じて第1横区画溝353及び第2横区画溝354が露出しない状態で重ね合わされている。
【0101】
図16は、図15に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図16に示す状態において、位置決め部357及び位置決め開口部361は、例えばY方向領域361b,361cを通じて第1縦区画溝351及び第2縦区画溝352が露出するように重ね合わされている。この場合には、中間プレート52が、アクチュエータプレート53に対して位置決め開口部361の中心を通りZ方向に延びる軸線回りの回転方向で位置ずれしていると判断できる。
一方、図17に示す状態では、位置決め部357及び位置決め開口部361が、交差部分361aを通じて第1縦区画溝351が露出するように重ね合わされている。この場合には、中間プレート52が、アクチュエータプレート53に対してX方向で位置ずれしていると判断できる。
【0102】
このように、本実施形態では、交差部分361aを通じて区画溝351~354が露出しないように、アクチュエータプレート53と中間プレート52とを重ね合わせることで、X方向及びY方向双方での位置決め精度を高めることができる。
また、第1スリット363のうち交差部分361aよりも外側に位置する部分(Y方向領域361b、361c)、及び第2スリット364のうち交差部分361aよりも外側に位置する部分(X方向領域361d,361e)では、Z方向を軸線とする回転方向での変位量が交差部分361aよりも大きくなり易い。そして、Y方向領域361b、361cを通じて縦区画溝351,352が露出せず、かつX方向領域361d,361eを通じて横区画溝353,354が露出しないように、アクチュエータプレート53と中間プレート52とを重ね合わせることで、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0103】
なお、位置合わせにあたっては、少なくとも交差部分361aを通じて中央領域357aが露出するように配置されていればよい。この場合、第1スリット363(Y方向領域361b,361c)を通じて縦区画溝351,352が露出し、第2スリット364(X方向領域361d,361e)を通じて横区画溝353,354が露出していてもよい。
【0104】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。図18は、第4実施形態に係るヘッドチップ50の底面図である。本実施形態では、位置決め部455がパターニング部453により区分けされている点で上述した実施形態と相違している。
図18に示すように、ACT側アライメント領域450には、区画溝(第1溝、第2溝)451,452と、パターニング部453と、が形成されている。区画溝451,452は、X方向に間隔をあけた状態で、それぞれY方向に直線状に延びている。ACT側アライメント領域450において、区画溝451,452で囲まれた部分は、位置決め部(第1位置決め部)455を構成している。
【0105】
パターニング部453は、アクチュエータプレート53の表面に形成された金属膜456に対して施されたレーザ照射痕である。金属膜456は、例えば金(Au)等を蒸着等により成膜することで形成されている。パターニング部453は、金属膜456のうちX方向に延びるとともに区画溝451,452に交差する部分を除去することで、X方向に直線状に延びている。これにより、位置決め部455は、パターニング部453と交差する中央領域455aと、パターニング部453に対してY方向の両側に位置する外側領域455b、455cと、に区画されている。外側領域455b,455cは、金属膜456が形成された領域である。なお、パターニング部453において、Y方向の寸法は第2スリット364の寸法よりも大きい。
【0106】
中間プレート52及びアクチュエータプレート53は、位置決め部455及び位置決め開口部361が重なり合った状態で、接合されている。具体的に、位置決め部455及び位置決め開口部361は、交差部分361aを通じて中央領域455aが露出し、Y方向領域361b,361cを通じて区画溝451,452が露出せず、かつX方向領域361d,361eを通じてパターニング部453以外の領域(金属膜456)が露出しない状態で重ね合わされている。すなわち、第1スリット363は、Y方向に沿う開口縁が、パターニング部453と区画溝451,452とを跨がらない状態で配置されている。第2スリット364は、X方向に沿う開口縁がパターニング部453と金属膜456とを跨らない状態で配置されている。
【0107】
なお、第1スリット363におけるY方向に沿う開口縁とは、Y方向領域361b,361cにおけるY方向に沿う端縁、及び交差部分361aとX方向領域361d,361eとの境界部分を含む。第2スリット364におけるX方向に沿う開口縁とは、X方向領域361d,361eにおけるX方向に沿う端縁、及び交差部分361aとY方向領域361b,361cとの境界部分を含む。
【0108】
図19は、図18に対応する底面図であって、位置合わせ不良の状態を示す図である。
図19に示す状態では、第2スリット364のうちX方向に沿う開口縁が、パターニング部453と金属膜456とを跨って配置されている。具体的に、第2スリット364のうちX方向に沿う開口縁は、少なくとも区画溝451,452に対してX方向の外側領域において平面視で金属膜456と重なり、区画溝451,452に対してX方向の内側領域において中央領域455a(パターニング部453)と重なっている。この場合には、中間プレート52が、アクチュエータプレート53に対して位置決め開口部361の中心を通りZ方向に延びる軸線回りの回転方向で位置ずれしていると判断できる。
【0109】
このように、本実施形態では、交差部分361aを通じて中央領域455aが露出するように、アクチュエータプレート53と中間プレート52とを重ね合わせることで、X方向及びY方向双方での位置決め精度を高めることができる。
また、本実施形態では、第2スリット364のうちX方向に沿う開口縁が、パターニング部453と、金属膜456と、を跨がらない状態で配置される。これにより、特に回転方向での位置決め精度を高めることができる。
【0110】
上述した実施形態では、レーザ照射痕をパターニング部453として用いた場合について説明したが、この構成に限られない。パターニング部453は、位置決め開口部361を通じてパターニング部453以外の部分と区別可能であればよい。この場合、パターニング部は、例えば金属膜をフォトリソグラフィ技術等によってパターニングしたものであってもよく、塗布等により着色やマークが施されたものであってもよい。この場合において、パターニング部453以外の部分とは、アクチュエータプレート53の表面となる。すなわち、アクチュエータプレート53と中間プレート52とは、第2スリット364のうちX方向に沿う開口縁が、少なくとも区画溝451,452に対してX方向の外側領域において平面視でアクチュエータプレート53の表面と重ならず、区画溝451,452に対してX方向の内側領域において中央領域455a(パターニング部453)と重ならないように重ね合わされる。
【0111】
(変形例)
上述した第4実施形態では、パターニング部453におけるY方向の寸法が第2スリット364の寸法よりも大きい構成について説明したが、この構成に限られない。
図20に示すように、パターニング部453におけるY方向の寸法は、第2スリット364の寸法よりも小さくてもよい。位置決め部455及び位置決め開口部361は、交差部分361aを通じて中央領域455aが露出し、Y方向領域361b,361cを通じて区画溝451,452が露出せず、かつ第2スリット364のうちX方向に沿う開口縁がパターニング部453と金属膜456とを跨らない状態で重ね合わされている。
【0112】
このような構成においても、上述した第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0113】
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であってもよい。
上述した実施形態では、印刷時にインクジェットヘッドが被記録媒体に対して移動する構成(いわゆる、シャトル機)を例にして説明をしたが、この構成に限られない。本開示に係る構成は、インクジェットヘッドを固定した状態で、インクジェットヘッドに対して被記録媒体を移動させる構成(いわゆる、固定ヘッド機)に採用してもよい。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に搭載された構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
【0114】
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
上述した実施形態では、ヘッドチップにおいて、アクチュエータプレート53と中間プレート52との重ね合わせる構成について説明したが、この構成に限られない。本開示の構成は、アクチュエータプレート53と、アクチュエータプレート53に重ね合わせられる他のプレート(例えば、ノズルプレート51やカバープレート54)と、の重ね合わせる際に採用してもよい。
上述した実施形態では、チャネル列61~64に対してX方向に並んでアライメント領域が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。アライメント領域500は、チャネル列61~64に対してY方向に並んで設けられていてもよい。この場合には、区画溝等がチャネル列61~64に干渉するのを抑制できる。
また、アライメント領域は、アクチュエータプレート53における中央部に配置される構成であってもよい。この場合、アライメント領域に対して両側にチャネル列が設けられていてもよい。
上述した実施形態では、第1方向がY方向に一致し、第2方向がX方向に一致する構成について説明したが、この構成に限られない。第1方向及び第2方向は、X方向及びY方向とは別に定めてもよい。
【0115】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…インクジェットプリンタ(液体噴射記録装置)
5…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
50…ヘッドチップ
51…ノズルプレート(噴射孔プレート)
52…中間プレート(アライメントプレート)
53…アクチュエータプレート
61…第1チャネルA列(チャネル領域)
62…第1チャネルB列(チャネル領域)
63…第2チャネルA列(チャネル領域)
64…第2チャネルB列(チャネル領域)
75…吐出チャネル(噴射チャネル)
76…非吐出チャネル(非噴射チャネル)
135…第1連通A領域(連通領域)
136…第1連通B領域(連通領域)
137…第2連通A領域(連通領域)
138…第2連通B領域(連通領域)
140…ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)
150…位置決め部(第1位置決め部)
151…区画溝(第1溝)
152…区画溝(第2溝)
160…中間側アライメント領域(第2アライメント領域)
161…位置決め開口部(第1開口部)
240…ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)
251…第1区画溝(第1溝)
252…第2区画溝(第2溝、第5溝)
253…第3区画溝(第5溝、第6溝)
255…第1位置決め部
256…第2位置決め部
260…中間側アライメント領域(第2アライメント領域)
261…第1位置決め開口部(第1開口部)
262…第2位置決め開口部(第3開口部)
340…ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)
351…第1縦区画溝(第1溝)
352…第2縦区画溝(第2溝)
353…第1横区画溝(第3溝)
354…第2横区画溝(第4溝)
357…位置決め部(第1位置決め部)
360…中間側アライメント領域(第2アライメント領域)
361a…交差部分
361b…Y方向領域(第1開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分)
361c…Y方向領域(第1開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分)
361d…X方向領域(第2開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分)
361e…X方向領域(第2開口部のうち交差部分よりも外側に位置する部分)
363…第1スリット(第1開口部)
364…第2スリット(第2開口部)
450…ACT側アライメント領域(第1アライメント領域)
451…区画溝(第1溝)
452…区画溝(第2溝)
453…パターニング部
455…位置決め部(第1位置決め部)
455a…中央領域
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