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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086834
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】情報処理プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20220602BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199081
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】518283986
【氏名又は名称】テックタッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】日比野 淳
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 良樹
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB22
5B376CA05
5B376CA22
5B376CA36
5B376CA43
(57)【要約】
【課題】新しいバージョンの機能拡張プログラムの導入を促進可能な情報処理プログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】ユーザ装置12は、ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージ56として記憶する記憶手段50と、記憶手段50に記憶されているパッケージ56の中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段44と、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョン、又は前記ウェブブラウザを通じて提供されるウェブサービスに対応するバージョンを選択する、
請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記記憶手段は、ウェブページを特定可能なページ特定情報と前記機能拡張プログラムのバージョンとの対応関係を示すバージョン情報をさらに記憶し、
前記処理手段は、前記記憶手段により記憶されている前記バージョン情報を参照することで、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョンを選択する、
請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、
前記バージョン情報を変更することなく、新しいバージョンの機能拡張プログラムを前記パッケージ内に追加するインストール手段としてさらに機能させる、
請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータ又は該コンピュータとは別のコンピュータを、
ユーザ・インターフェースを介して前記バージョン情報を編集可能に構成されるUI手段としてさらに機能させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記情報処理は、ウェブページの表示画面を介した入力操作を支援する処理である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを選択的に読み出して実行することで情報処理を行う処理手段と、
を備える情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ソフトウェアのバージョンを一元的に管理する配布装置が、ネットワークを介して最新バージョンのプログラムを配布することで、情報処理装置のバージョンアップを促進するシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、第1装置がソフトウェアの自動ダウンロードを行った後、第1装置とは異なる第2装置に対するユーザの確認操作を契機として、第1装置がソフトウェアのアップデートを開始する情報処理システムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、端末装置内に最新でないコンテンツがある場合にその旨を端末装置に対して逐次通知するコンテンツ提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-001391号公報
【特許文献2】特開2002-328865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ソフトウェアの一例として、ウェブブラウザの機能を拡張する機能拡張が挙げられる。この機能拡張は、ウェブ技術を基盤とする様々なウェブアプリケーションに適用できるという利点がある。その反面、ウェブブラウザを通じて複数種類のウェブサービスを利用できるコンピュータ環境下では、ウェブサービスによっては最新バージョンの機能拡張が正常に動作しない可能性がある。
【0007】
そこで、システム管理者又はユーザ本人が、最新バージョンの動作検証をウェブサービス毎に行い、いずれも正常に動作することが確認された後に最新バージョンを導入する運用が想定される。ところが、ウェブアプリケーションのカスタマイズ性が高く、サービス画面の形態が多岐にわたるので、その分だけ検証作業に多くの時間と工数が掛かってしまう。その結果、新しいバージョンの機能拡張プログラムが配布可能な状況であってもバージョンアップを促進しにくい、という問題が生じる。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、新しいバージョンの機能拡張プログラムの導入を促進可能な情報処理プログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一態様における情報処理プログラムは、コンピュータを、ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段、前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段、として機能させる。
【0010】
本発明の第二態様における情報処理プログラムでは、前記処理手段は、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョン、又は前記ウェブブラウザを通じて提供されるウェブサービスに対応するバージョンを選択する。
【0011】
本発明の第三態様における情報処理プログラムでは、前記記憶手段は、ウェブページを特定可能なページ特定情報と前記機能拡張プログラムのバージョンとの対応関係を示すバージョン情報をさらに記憶し、前記処理手段は、前記記憶手段により記憶されている前記バージョン情報を参照することで、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョンを選択する。
【0012】
本発明の第四態様における情報処理プログラムは、前記コンピュータを、前記バージョン情報を変更することなく、新しいバージョンの機能拡張プログラムを前記パッケージ内に追加するインストール手段としてさらに機能させる。
【0013】
本発明の第五態様における情報処理プログラムは、前記コンピュータ又は該コンピュータとは別のコンピュータを、ユーザ・インターフェースを介して前記バージョン情報を編集可能に構成されるUI手段としてさらに機能させる。
【0014】
本発明の第六態様における情報処理プログラムでは、前記情報処理は、ウェブページの表示画面を介した入力操作を支援する処理である。
【0015】
本発明の第七態様における情報処理装置は、ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新しいバージョンの機能拡張プログラムの導入を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における情報処理装置としてのユーザ装置が組み込まれた操作支援システムの全体構成図である。
図2図1におけるユーザ装置及びソフトウェア配布装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】ユーザ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】機能拡張プログラムのインストール方法の一例を示す図である。
図5図3のUI手段により表示される設定画面の一例を示す図である。
図6図3のバージョン情報が有するデータ構造の一例を示す図である。
図7】バージョンの動的選択時におけるユーザ装置の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0019】
[操作支援システム10の構成]
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態における情報処理装置としてのユーザ装置12が組み込まれた操作支援システム10の全体構成図である。この操作支援システム10は、ユーザ装置12によるユーザの入力操作を支援するためのシステムである。具体的には、操作支援システム10は、一又は複数のユーザ装置12と、操作支援装置14と、ソフトウェア配布装置16と、を含んで構成される。各々のユーザ装置12は、ネットワークNTを通じて、操作支援装置14との間で、あるいはソフトウェア配布装置16との間で相互に通信可能である。
【0020】
ユーザ装置12は、企業や団体などの組織に所属するユーザが業務を行うための作業端末である。ユーザ装置12は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなどから構成される。
【0021】
操作支援装置14は、入力操作の支援に必要な各種情報をユーザ装置12に提供するサーバコンピュータである。操作支援装置14は、例えば、特許第6692538号公報に記載された各種処理を実行することで、ユーザに対する操作支援を行うことができる。
【0022】
ソフトウェア配布装置16は、ソフトウェアのバージョンを管理し、各々のユーザ装置12に適時に配布するために構築されるサーバコンピュータである。この実施形態では、配布対象のソフトウェアが、ウェブブラウザの機能拡張プログラム(あるいは、単に「機能拡張」)であることを想定する。この「機能拡張」とは、アプリケーションの機能を追加する目的で作成されるソフトウェアを意味する。なお、機能拡張は、アドオン、アドイン、プラグインなど別の用語で呼ばれる場合もある。
【0023】
<ハードウェア構成>
図2は、図1におけるユーザ装置12及びソフトウェア配布装置16のハードウェア構成の一例を示す図である。ユーザ装置12は、通信I/F21と、入力装置22と、出力装置23と、プロセッサ24と、メモリ25と、記憶装置26と、を含んで構成される。一方、ソフトウェア配布装置16は、通信I/F31と、プロセッサ34と、メモリ35と、記憶装置36と、を含んで構成される。なお、操作支援装置14は、ソフトウェア配布装置16の場合と同様に構成されてもよい。
【0024】
通信I/F21,31は、外部装置に対して電気信号を送受信するインターフェースである。これにより、ユーザ装置12は、ソフトウェア配布装置16から配布されたソフトウェアを受信可能である。
【0025】
入力装置22は、マウス、キーボード、タッチセンサ、マイクロフォンを含むデバイスである。出力装置23は、ディスプレイ、スピーカを含むデバイスからなる。ユーザ装置12は、入力装置22による入力機能と出力装置23による表示機能を組み合わせることで、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を構築する。
【0026】
プロセッサ24,34は、CPU(Central Processing Unit)を含む汎用プロセッサであってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やGPU(Graphics Processing Unit)を含む専用プロセッサであってもよい。メモリ25,35は、非一過性の記憶媒体であり、プロセッサ24,34が各構成要素を制御するのに必要なプログラム及びデータを記憶している。記憶装置26,36は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)やソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を含む非一過性の記憶媒体である。
【0027】
<機能ブロック>
図3は、ユーザ装置12の機能ブロックの一例を示す図である。ユーザ装置12は、図2のメモリ25から読み出した情報処理プログラムを実行することで、インストール手段40、ブラウズ手段42、処理手段44、提供手段46、UI手段48、及び記憶手段50として機能する。
【0028】
ここで、インストール手段40及びブラウズ手段42はそれぞれ、図2の通信I/F21及びプロセッサ24によって実現される手段である。また、処理手段44及び提供手段46はそれぞれ、図2のプロセッサ24により実現される手段である。また、UI手段48は、図2の入力装置22、出力装置23及びプロセッサ24によって実現される手段である。また、記憶手段50は、図2の記憶装置26によって実現される手段である。
【0029】
インストール手段40は、ソフトウェア配布装置16から配布された機能拡張プログラムを取得し、機能拡張プログラムのインストール処理を行う。インストール手段40は、インストール処理を通じて、バージョン毎の機能拡張プログラムをパッケージ56として記憶手段50に記憶させる。インストール手段40は、バージョン情報58を変更することなく、新しいバージョンの機能拡張プログラムをパッケージ56内に追加する。
【0030】
ブラウズ手段42は、ウェブページを閲覧・表示するためのアプリケーションである「ウェブブラウザ」として機能する。ウェブブラウザの一例として、Internet Explorer(登録商標)、Microsoft Edge(登録商標)、Google Chrome(登録商標)、Safari(登録商標)、Firefox(登録商標)、Opera(登録商標)などが挙げられる。また、ブラウズ手段42は、ウェブアプリケーションを通じて、様々なウェブサービスを提供可能に構成される。ウェブサービスの一例として、顧客関係管理、勤怠管理、経費精算、情報共有、クラウドコンピューティングなどが挙げられる。
【0031】
処理手段44は、ブラウズ手段42の動作を監視する監視機能52と、機能拡張に関わる情報処理を実行する実行機能54と、を含んで構成される。処理手段44は、記憶手段50に記憶されているパッケージ56の中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出すことで情報処理を行う。例えば、処理手段44は、ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョン、又はウェブブラウザを通じて提供されるウェブサービスに対応するバージョンを選択する。前者の例では、処理手段44は、記憶手段50により記憶されているバージョン情報58を参照することで、ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョンを選択してもよい。
【0032】
なお、処理手段44が実行する情報処理には、[1]ウェブページの表示画面を介した入力操作を支援するための処理、[2]ウェブページの画面に表示されたコンテンツの把握を支援するための処理、などが含まれる。前者の例として、入力操作を案内するための案内情報(いわゆる、チュートリアル)の表示や、入力操作が完了したことを通知するメールの自動送信などが挙げられる。後者の例として、翻訳・辞書を含む言語処理機能や、フォーマット変換・電子ファイル化を含む出力機能などが挙げられる。
【0033】
提供手段46は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を利用し、処理手段44からの要求に応じて外部システム(例えば、操作支援装置14)から必要な各種情報を取得する。そして、提供手段46は、取得した各種情報、例えば、システム環境情報、判定条件情報、又はバージョン情報58を、要求元である処理手段44に提供する。「システム環境情報」とは、ユーザ装置12のシステム構成や動作環境に関する情報を意味する。「判定条件情報」とは、情報処理の開始要否を判定する条件(以下、判定条件)に関する情報を意味する。なお、バージョン情報58については、後で図6を参照しながら詳しく説明する。
【0034】
UI手段48は、ユーザ・インターフェースを介して、バージョン情報58を編集可能に構成される。例えば、UI手段48は、ブラウズ手段42が所定のウェブページにアクセスしたことを契機として、機能拡張プログラムのバージョンをウェブサービス毎に指定するための設定画面80(図5)を表示する。
【0035】
記憶手段50は、機能拡張プログラムのパッケージ56及びバージョン情報58を記憶する。パッケージ56は、一又は複数のバージョンを同梱した機能拡張プログラムの集合体を含む。バージョン情報58は、ウェブページを特定可能な情報(以下、ページ特定情報)と機能拡張プログラムのバージョンとの対応関係を示す情報を意味する。なお、「バージョン」とは、ソフトウェアの製造・販売業者により付与されるプログラムの識別番号であり、メジャーバージョン、マイナーバージョン、ビルド、リビジョン又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0036】
「ページ特定情報」は、ウェブデータに含まれる情報であってもよいし、ウェブデータに含まれない情報であってもよい。ここで、「ウェブデータ」とは、ウェブページを記述するためのデータであり、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)、XML(eXtensible Markup Language)を含むマークアップ言語が用いられる。ウェブデータに含まれる情報の一例として、ウェブページの識別情報、Webアプリケーション又はウェブサービスの名称、ウェブブラウザの種類、ユーザコントロールの操作状態などが挙げられる。ウェブデータに含まれない情報の一例として、ユーザ情報、ユーザ装置12のネットワーク情報、現在の時間情報(年月日や時分秒、曜日、週、時期など)、ウェブページの閲覧履歴などが挙げられる。
【0037】
[操作支援システム10の動作]
この実施形態における操作支援システム10は、以上のように構成される。続いて、この操作支援システム10の動作について、3つの状況に分けて説明する。
【0038】
<1.機能拡張プログラムのインストール>
ソフトウェア配布装置16は、機能拡張プログラムの最新バージョンを発行するタイミングが到来した場合、図示しない顧客登録リストを参照して配布先を特定した後、最新バージョンを含む配布データを、配布先であるユーザ装置12に向けて送信する。そうすると、ユーザ装置12のインストール手段40は、ソフトウェア配布装置16から配布された機能拡張プログラムのインストール処理を実行する。ここで、インストール処理の前後にわたってパッケージ56の内容が変更される一方、バージョン情報58の内容が変更されない点に留意する。
【0039】
図4は、機能拡張プログラムのインストール方法の一例を示す図である。以下、バージョン1.Xのことを「Ver1.X」と表記する場合がある。本図の例では、Ver1.0~Ver1.5が既に発行されており、Ver1.5を改良した最新バージョンの「Ver1.6」が発行された場合を想定する。
【0040】
図4の左側には、初期バージョンであるVer1.0から機能拡張プログラムを利用するユーザ装置12が保有するパッケージ56を示している。このパッケージ56には、図3の処理手段44を実現するための選択プログラムと、Ver1.0~1.5の一連のバージョンがすべて同梱されている。ユーザ装置12が最新バージョン(Ver1.6)をインストールする場合、Ver1.6に対応する最新プログラム60がパッケージ56内に追加される。
【0041】
図4の右側には、Ver1.5の発行時点から機能拡張プログラムを利用するユーザ装置12が保有するパッケージ56を示している。このパッケージ56には、図3の処理手段44を実現するための選択プログラムと、導入時点での最新バージョンであるVer1.5のみが同梱されている。ユーザ装置12が最新バージョン(Ver1.6)をインストールする場合、Ver1.6に対応する最新プログラム60がパッケージ56内に追加される。
【0042】
このように、ソフトウェアの導入時点に応じて、パッケージ56に同梱される最古のバージョンが異なっている。これにより、新規のユーザに対して古いバージョンの利用を制限可能となるので、ソフトウェアのバージョン管理が容易になる。
【0043】
<2.バージョンの指定>
ウェブブラウザを通じて複数のウェブサービスを利用できるコンピュータ環境下では、ウェブサービスによっては最新バージョンの機能拡張が正常に動作しない可能性がある。そこで、作業者(例えば、システム管理者)は、ユーザ装置12に最新バージョンがインストールされた場合、正常に動作することが確認されたウェブサービスに対して、機能拡張のバージョンアップ作業を行うことが望ましい。
【0044】
上記したバージョンアップ作業は、例えば、システム管理者が所有する管理者端末(不図示)、あるいはシステム管理者としてログインを行ったユーザ装置12を用いて行われる。後者の例では、ユーザ装置12のブラウズ手段42が所定のウェブページにアクセスしたことを契機として、UI手段48に設定画面80(図5)が表示される。この設定画面80は、機能拡張プログラムのバージョンをウェブサービス毎に指定するための画面である。
【0045】
図5は、図3のUI手段48により表示される設定画面80の一例を示す図である。設定画面80上には、登録されたウェブサービス毎の設定欄82と、[キャンセル]と表記されたボタン84と、[保存]と表記されたボタン86と、が設けられる。各々の設定欄82には、ウェブページのサムネイル88と、ウェブサービスの名称を示す情報欄90と、トップページのURL(Uniform Resource Locator)を示す情報欄92と、[設定]と表記されたボタン96と、操作支援機能のオン・オフを選択するためのユーザコントロール98と、が設けられる。
【0046】
作業者が[設定]ボタン96のクリック操作を行うと、該当するウェブサービスの設定ウィンドウがポップアップ表示される。この設定ウィンドウは、パッケージ56に同梱されるバージョンのいずれか1つを指定可能に構成される。作業者は、バージョンの指定操作が終了した後、設定画面80の[保存]ボタン86をクリックする。これにより、バージョン情報58が更新される。
【0047】
図6は、図3のバージョン情報58が有するデータ構造の一例を示す図である。このバージョン情報58には、[1]ウェブサービスの識別情報を示す「サービス名」と、[2]ウェブサービスを提供するウェブページの所在を示す「URL情報」と、[3]機能拡張プログラムの「指定バージョン」と、[4]指定バージョンの「更新日時」と、の間の対応関係を示すテーブル形式のデータである。なお、バージョン情報58のデータ構造は、本図の例に限られない。
【0048】
<3.バージョンの動的選択>
バージョンの動的選択時におけるユーザ装置12の動作、より具体的には、ブラウズ手段42、処理手段44及び提供手段46の間の連携動作について、図7のシーケンスを参照しながら詳細に説明する。処理手段44は、ブラウズ手段42の起動の有無にかかわらず、バックグラウンドで実行される常駐型プログラムである。
【0049】
ステップSP10において、処理手段44の監視機能52は、提供手段46に対して許可リストを要求する。ここで、「許可リスト」は、ブラウズ手段42によるアクセスが許可されたURLの一覧表に相当する。
【0050】
ステップSP12において、提供手段46は、操作支援装置14又は記憶手段50に保持されている許可リストを取得し、ステップSP10にて要求を行った処理手段44に提供する。これにより、監視機能52は、ユーザ装置12に応じた許可リストを取得する。
【0051】
ステップSP14において、処理手段44の監視機能52は、ブラウズ手段42の動作に対する監視を開始する。
【0052】
ステップSP16において、ブラウズ手段42は、アクセス対象のウェブページに関する情報(以下、ページ情報)を取得する。ページ情報には、ウェブページのコンテンツのみならず、ウェブページの所在を示すURLが含まれる。
【0053】
ステップSP18において、処理手段44の監視機能52は、ステップSP16での取得動作を契機としてページ情報の変化を検出した場合、直近のページ情報(URLを含む)をブラウズ手段42から取得する。
【0054】
ステップSP20において、処理手段44の監視機能52は、ステップSP12で取得した許可リストを参照し、アクセス中のURLとの比較を行う。該当するURLが存在しない場合、監視機能52は、ステップSP22以降の処理を行わずに、ブラウズ手段42の動作に対する監視を継続する。一方、該当するURLが存在する場合、次のステップSP22に進む。
【0055】
ステップSP22において、処理手段44の監視機能52は、提供手段46に対して判定に必要な各種情報を要求する。
【0056】
ステップSP24において、提供手段46は、操作支援装置14又は記憶手段50に保持されている各種情報を取得し、ステップSP22にて要求を行った処理手段44に提供する。これにより、監視機能52は、システム環境情報、判定条件情報、及びバージョン情報58を取得する。
【0057】
ステップSP26において、処理手段44の監視機能52は、実行機能54に対して判定を要求する。この要求に際し、システム環境情報及び判定条件情報が提供される。
【0058】
ステップSP28において、処理手段44の実行機能54は、ブラウズ手段42と協働して、アクセス中のウェブページが操作支援の対象であるか否かを判定する。
【0059】
ステップSP30において、処理手段44の実行機能54は、監視機能52に対して、判定結果の通知を行う。該当するウェブページが操作支援の対象ではない場合、監視機能52は、ステップSP32以降の処理を行わずに、ブラウズ手段42の動作に対する監視を継続する。一方、該当するウェブページが操作支援の対象である場合、次のステップSP32に進む。
【0060】
ステップSP32において、処理手段44の監視機能52は、バージョン情報58を参照することで、ウェブページ又はウェブサービスに対応するバージョンを特定した後、実行すべき機能拡張プログラムのバージョンを実行機能54に指示する。
【0061】
ステップSP34において、処理手段44の実行機能54は、パッケージ56の中から、ステップSP30で指示されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行する。これにより、機能拡張に関わる情報処理、つまり操作支援動作が実行される。
【0062】
以下、ブラウズ手段42がウェブページのアクセスを変更する度に、ユーザ装置12は、ステップSP16~SP34に示す動作を繰り返して実行する。
【0063】
[ユーザ装置12による効果]
以上のように、情報処理装置の一態様であるユーザ装置12は、ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージ56として記憶する記憶手段50と、記憶手段50に記憶されているパッケージ56の中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段44と、を備える。
【0064】
また、情報処理装置が実行する方法又はプログラムによれば、コンピュータが、ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージ56として記憶し、記憶されているパッケージ56の中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う。
【0065】
ウェブブラウザを通じて複数種類のウェブサービスを利用できるコンピュータ環境下では、ウェブサービスによっては最新バージョンの機能拡張が正常に動作しない場合があり得る。そこで、機能拡張プログラムの複数のバージョンをパッケージ56として記憶するとともに、パッケージ56の中から選択的に読み出して実行することで、複数のバージョンの機能拡張プログラムが利用可能な状態のままストックされる。これにより、バージョン管理に対してより柔軟に運用可能となり、その分だけ新しいバージョンの機能拡張プログラムの導入が促進される。
【0066】
また、処理手段44は、ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョン、又はウェブブラウザを通じて提供されるウェブサービスに対応するバージョンを選択してもよい。これにより、ウェブブラウザの動作に応じて機能拡張プログラムのバージョンを自動的に選択することができる。
【0067】
また、記憶手段50は、ウェブページを特定可能なページ特定情報と機能拡張プログラムのバージョンとの対応関係を示すバージョン情報58をさらに記憶し、処理手段44は、記憶手段50により記憶されているバージョン情報58を参照することで、ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョンを選択してもよい。これにより、バージョン情報58の更新を通じて、バージョンの選択規則を自在に設定することができる。
【0068】
また、インストール手段40は、バージョン情報58を変更することなく、パッケージ56に新しいバージョンの機能拡張プログラムを追加してもよい。これにより、予め設定されていたバージョンの選択規則を維持したまま、新しいバージョンを追加的に利用できるようになる。
【0069】
また、ユーザ装置12又はこれとは別のコンピュータは、ユーザ・インターフェースを介してバージョン情報58を編集可能に構成されるUI手段48を備えてもよい。これにより、ユーザによる編集操作を通じて、バージョン情報58を比較的簡単に更新することができる。
【0070】
また、情報処理は、ウェブページの表示画面を介した入力操作を支援する処理であってもよい。これにより、ユーザの利便性が向上する。特に、ウェブアプリケーションにおけるサービス画面の形態が多岐にわたり、その分だけ入力操作が複雑化するので、上記した利便性の向上効果がより顕著に現われる。
【0071】
[変形例]
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。あるいは、ユーザ装置12の各動作の順序は、図7に示すシーケンスのみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更され得る。
【0072】
上記の実施形態では、ウェブブラウザの機能拡張を例に挙げて説明したが、ウェブアプリケーション以外のソフトウェアにも適用し得る。例えば、情報処理プログラムは、ユーザ装置12を、複数種類のアプリケーションとそれぞれ協働可能な協働プログラムを、複数のバージョンからなるパッケージ56として記憶する記憶手段50、記憶手段50に記憶されているパッケージ56の中から、実行中又は実行予定であるアプリケーションの種類に対応するバージョンの協働プログラムを選択して実行する処理手段44、として機能させればよい。
【0073】
上記の実施形態では、ソフトウェアの導入時点に応じてパッケージ56に同梱される最古のバージョンが異なる場合について説明したが、バージョンの同梱方法はこれに限られない。例えば、導入時点又はユーザにかかわらず、一律のバージョンのセットが同梱されてもよい。
【0074】
上記の実施形態では、ソフトウェア配布装置16を単体のコンピュータとして図示しているが、これに代わって、ソフトウェア配布装置16は、分散システムを構築するコンピュータ群であってもよい。また、ソフトウェア配布装置16は、クラウド型のサーバ(いわゆる、クラウドサーバ)であってもよいし、オンプレミス型のサーバであってもよい。また、操作支援装置14についても上記した構成を採用し得る。
【0075】
上記した実施形態では、操作支援装置14とソフトウェア配布装置16とが別体の装置として設けられるが、システム構成はこれに限られない。例えば、操作支援装置14とソフトウェア配布装置16とが一体の装置として設けられてもよい。
【符号の説明】
【0076】
12…ユーザ装置(情報処理装置)、16…ソフトウェア配布装置、40…インストール手段、42…ブラウズ手段、44…処理手段、46…提供手段、48…UI手段、50…記憶手段、56…パッケージ、58…バージョン情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを読み出して実行することで情報処理を行う処理手段、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョン、又は前記ウェブブラウザを通じて提供されるウェブサービスに対応するバージョンを選択する、
請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記記憶手段は、ウェブページを特定可能なページ特定情報と前記機能拡張プログラムのバージョンとの対応関係を示すバージョン情報をさらに記憶し、
前記処理手段は、前記記憶手段により記憶されている前記バージョン情報を参照することで、前記ウェブブラウザがアクセスしたウェブページに対応するバージョンを選択する、
請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、
前記バージョン情報を変更することなく、新しいバージョンの機能拡張プログラムを前記パッケージ内に追加するインストール手段としてさらに機能させる、
請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータ又は該コンピュータとは別のコンピュータを、
ユーザ・インターフェースを介して前記バージョン情報を編集可能に構成されるUI手段としてさらに機能させる、
請求項3又は4に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記情報処理は、ウェブページの表示画面を介した入力操作を支援する処理である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
ウェブブラウザの機能拡張に用いられる機能拡張プログラムを複数のバージョンからなるパッケージとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記パッケージの中から選択されたバージョンの機能拡張プログラムを選択的に読み出して実行することで情報処理を行う処理手段と、
を備える情報処理装置。