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特開2022-86853DCダクトシステム、DCダクト、給電部材及び電力供給システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086853
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】DCダクトシステム、DCダクト、給電部材及び電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20220602BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220602BHJP
   H01R 25/14 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H02G3/04 050
H02J1/00 309W
H02J1/00 304A
H02G3/04 037
H01R25/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199108
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 紳一郎
【テーマコード(参考)】
5G165
5G357
【Fターム(参考)】
5G165BB11
5G165DA01
5G165DA06
5G165EA06
5G165MA01
5G165NA02
5G165NA06
5G165PA01
5G165PA04
5G165PA05
5G357DA10
5G357DB01
5G357DB10
5G357DC08
5G357DD06
5G357DE08
5G357DE10
5G357DF02
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】第1導電バー及び第2導電バーに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減すること。
【解決手段】DCダクトシステム100はDCダクト3と給電部材4とを備える。DCダクト3は正極側の第1導電バー32A及び負極側の第2導電バー32Bを保持する。給電部材4は、第1導電バー32Aに接続可能な第1接触子44A及び第2導電バー32Bに接続可能な第2接触子44Bを有し、長さ方向におけるDCダクト3の端部に接続される。給電部材4は、第1接触子44Aに電気的に接続され、直流電源部PE1の正極側の電線W1が接続可能な第1端子43Aと、第2接触子44Bに電気的に接続され、直流電源部PE1の負極側の電線W2が接続可能な第2端子43Bと、を備える。DCダクトシステム100は、第1接触子44A及び第2接触子44Bへの直流電圧の印加状態を通知する通知部80を、更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧が印加される正極側の第1導電バー及び負極側の第2導電バーを保持し、前記第1導電バー及び前記第2導電バーの長さ方向における任意の位置に前記第1導電バー及び前記第2導電バーを介して直流電圧の供給を受ける受電装置が接続可能なDCダクトと、
前記第1導電バーに接続可能な第1接触子及び前記第2導電バーに接続可能な第2接触子を有し、前記長さ方向における前記DCダクトの端部に接続される給電部材と、を備え、
前記給電部材は、
前記第1接触子に電気的に接続され、直流電圧を出力する直流電源部の正極側の電線が接続可能な第1端子と、
前記第2接触子に電気的に接続され、前記直流電源部の負極側の電線が接続可能な第2端子と、を有し、
前記第1接触子及び前記第2接触子への直流電圧の印加状態を通知する通知部を、更に備える、
DCダクトシステム。
【請求項2】
前記通知部が、前記給電部材に設けられる、
請求項1に記載のDCダクトシステム。
【請求項3】
前記通知部が、前記DCダクトに設けられる、
請求項1に記載のDCダクトシステム。
【請求項4】
前記受電装置が、前記通知部を有する検査機器を含み、
前記DCダクトシステムが前記検査機器を更に含む、
請求項1に記載のDCダクトシステム。
【請求項5】
前記長さ方向における前記DCダクトの一方の端部に前記給電部材が接続可能であり、
前記長さ方向における前記DCダクトの他方の端部には、前記給電部材の少なくとも一部と接触することによって、前記DCダクトの前記他方の端部への前記給電部材の接続を阻止する接続阻止構造が設けられる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のDCダクトシステム。
【請求項6】
前記DCダクトには、前記第1導電バー及び前記第2導電バーの前記長さ方向における全体に前記接続阻止構造が設けられる、
請求項5に記載のDCダクトシステム。
【請求項7】
前記給電部材は、前記長さ方向における前記DCダクトの第1端及び第2端のうち、前記第1端に接続される第1給電部材と、前記第2端に接続される第2給電部材と、を含み、
前記接続阻止構造は、前記第1給電部材の前記第2端への接続を阻止し、前記第2給電部材の前記第1端への接続を阻止する、
請求項5又は6に記載のDCダクトシステム。
【請求項8】
前記通知部は、前記第1接触子の電圧よりも前記第2接触子の電圧が高くなるように、前記第1接触子と前記第2接触子とに直流電圧が印加された状態で点灯する光源を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載のDCダクトシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のDCダクトシステムが備える、
DCダクト。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のDCダクトシステムが備える、
給電部材。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載のDCダクトシステムと、
交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換して前記給電部材に出力する前記直流電源部と、を備える、
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DCダクトシステム、DCダクト、給電部材及び電力供給システムに関する。より詳細には、本開示は、DCダクトに取り付けられる受電装置に直流電力を供給するためのDCダクトシステム、DCダクト、給電部材及び電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、交流電力を供給するための一対の導体(第1導電バー及び第2導電バー)を収容した配線ダクト(DCダクト)を備える配線ダクトシステムを開示する。配線ダクトシステムは、配線ダクトに接続された電気機器に対して交流電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-200499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、配線ダクトを介して電気機器に直流電力を供給したいという要望があり、この場合、配線ダクトが備える一対の導体に対して直流電圧を正しい極性で印加する必要がある。
【0005】
本開示は、第1導電バー及び第2導電バーに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減したDCダクトシステム、DCダクト、給電部材及び電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のDCダクトシステムは、DCダクトと、給電部材と、を備える。前記DCダクトは、直流電圧が印加される正極側の第1導電バー及び負極側の第2導電バーを保持する。前記DCダクトには、前記第1導電バー及び前記第2導電バーの長さ方向における任意の位置に、前記第1導電バー及び前記第2導電バーを介して直流電圧の供給を受ける受電装置が接続可能である。前記給電部材は、前記第1導電バーに接続可能な第1接触子及び前記第2導電バーに接続可能な第2接触子を有し、前記長さ方向における前記DCダクトの端部に接続される。前記給電部材は、第1端子と、第2端子と、を備える。前記第1端子は、前記第1接触子に電気的に接続され、直流電圧を出力する直流電源部の正極側の電線が接続可能である。前記第2端子は、前記第2接触子に電気的に接続され、前記直流電源部の負極側の電線が接続可能である。前記DCダクトシステムは、前記第1接触子及び前記第2接触子への直流電圧の印加状態を通知する通知部を、更に備える。
【0007】
本開示の一態様のDCダクトは、上記のDCダクトシステムが備えるDCダクトである。
【0008】
本開示の一態様の給電部材は、上記のDCダクトシステムが備える給電部材である。
【0009】
本開示の一態様の電力供給システムは、上記のDCダクトシステムと、直流電源部と、を備える。前記直流電源部は、交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換して前記給電部材に出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、第1導電バー及び第2導電バーに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図2図2は、同上のDCダクトシステムの正面図である。
図3図3は、同上のDCダクトシステムが備えるDCダクトの第1端に第1給電部材を接続する前の状態を示す斜視図である。
図4図4Aは、同上のDCダクトを左側から見た側面図である。図4Bは、同上のDCダクトを右側から見た側面図である。
図5図5は、同上のDCダクトに給電部材を接続する前の状態を示す背面図である。
図6図6は、同上のDCダクトの第2端に第2給電部材を接続する前の状態を示す斜視図である。
図7図7は、同上のDCダクトの第1端に第2給電部材を接続しようとする状態を示す斜視図である。
図8図8は、同上のDCダクトシステムの要部の分解斜視図である。
図9図9は、同上のDCダクトシステムに直流電源部の電線を接続する前の状態を示す概略的な斜視図である。
図10図10は、同上のDCダクトシステムの要部の分解斜視図である。
図11図11は、同上のDCダクトシステムを備えるテーブルの斜視図である。
図12図12Aは、同上のDCダクト及び給電部材を上側から見た断面図である。図12Bは、図12AのC1部の拡大図である。
図13図13は、同上のDCダクトシステムにアダプタを取り付ける手順の説明図である。
図14図14は、同上のDCダクトシステムにアダプタを取り付ける手順の説明図である。
図15図15は、同上のDCダクトシステム及びアダプタの側断面図である。
図16図16は、同上のDCダクトシステムを用いて複数の電気機器に給電するシステムの構成例を示すブロック図である。
図17図17は、実施形態1の変形例1に係るDCダクトシステムを備える机の斜視図である。
図18図18は、同上の変形例2に係るDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図19図19は、同上のDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図20図20は、同上のDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図21図21は、同上のDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図22図22は、同上のDCダクトシステムの概略的な回路図である。
図23図23は、同上の変形例3に係るDCダクトシステムと直流電源部とを接続する前の状態の概略的な斜視図である。
図24図24は、同上のDCダクトシステムと直流電源部との接続方法を説明する概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の各実施形態においては、本開示のDCダクトシステム、DCダクトシステムが備えるDCダクト及び給電部材、並びに電力供給システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の各実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0013】
(実施形態1)
(概要)
本実施形態のDCダクトシステム100は、図1に示すように、DCダクト3と、給電部材(いわゆるフィードイン)4と、を備える。
【0014】
DCダクト3は、図1及び図3に示すように、直流電圧が印加される正極側の第1導電バー32A及び負極側の第2導電バー32Bを保持する。DCダクト3には、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの長さ方向における任意の位置に受電装置5(図16参照)が接続可能である。受電装置5は、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bを介して直流電圧の供給を受ける装置である。
【0015】
給電部材4は、図1及び図5に示すように、第1導電バー32Aに接続可能な第1接触子44A、及び、第2導電バー32Bに接続可能な第2接触子44Bを有している。給電部材4は、長さ方向におけるDCダクト3の端部に接続される。
【0016】
給電部材4は、図10に示すように、第1端子43Aと、第2端子43Bと、を有している。第1端子43Aは、第1接触子44Aに電気的に接続され、直流電圧を出力する直流電源部PE1(図1及び図16参照)の正極側の電線W1が接続可能である。第2端子43Bは、第2接触子44Bに電気的に接続され、直流電源部PE1の負極側の電線W2が接続可能である。
【0017】
そして、DCダクトシステム100は、第1接触子44A及び第2接触子44Bへの直流電圧の印加状態を通知する通知部80を、更に備えている。
【0018】
ここにおいて、直流電圧の印加状態を通知するとは、第1接触子44A及び第2接触子44Bに対してあらかじめ決められた極性の直流電圧が印加されているか否かを通知することを含む。通知は、光又は音、或いは、光と音の両方を出力することによって行ってもよいし、ユーザ(例えば給電部材4に電線を接続する作業者)が所持する携帯通信端末(例えばスマートフォンなど)に情報を送信することによって行ってもよい。
【0019】
なお、以下の説明では、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bを総称して導電バー32と表記する場合もある。また、第1接触子44A及び第2接触子44Bを総称して接触子44と表記する場合もある。
【0020】
DCダクト3に接続される受電装置5は、アダプタ5A(図8図13図16参照)を含む。アダプタ5Aは、電気機器94の電線に設けられたコネクタ95が接続可能なコネクタを有している。DCダクト3にアダプタ5Aが接続されると、アダプタ5AはDCダクト3の第1導電バー32A及び第2導電バー32Bを介して直流電圧の供給を受ける。そして、アダプタ5Aのコネクタに、電気機器94の電線に設けられたコネクタ95が接続されると、DCダクト3からアダプタ5Aを介して電気機器94に直流電圧が供給される。電気機器94の種類は、特に限定されない。電気機器94の一例としては、コンピュータ端末(パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末等)、コンピュータ端末の付属機器(モニタ、スピーカ及びマイクロフォン等)、照明機器(デスクライト等)、ネットワークカメラ、センサ(温度センサ、湿度センサ及び照度センサ等)、ゲーム機及び空調機器(卓上扇風機等)が挙げられる。なお、受電装置5はアダプタ5Aに限定されず、電気機器94自体でもよい。受電装置5である電気機器94をDCダクト3に接続することで、電気機器94はDCダクト3から直流電圧の供給を受けることができる。なお、受電装置5が、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの長さ方向における任意の位置に接続されるとは、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの長さ方向に連続した取付領域のうち任意の位置に配置された状態で、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに電気的に接続されることを含み得る。
【0021】
ここで、給電部材4の第1端子43A及び第2端子43Bに直流電源部PE1の電線W1,W2を接続する作業者は、通知部80の通知内容に基づいて、第1端子43A及び第2端子43Bに対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。したがって、第1端子43A及び第2端子43Bに対して誤った極性で電線が接続されている場合、作業者が電線の接続間違いに気づきやすくなり、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0022】
ここにおいて、DCダクトシステム100はDCダクト3と給電部材4とを備える。換言すれば、DCダクト3は、DCダクトシステム100が備える(適用される)DCダクトである。また、給電部材4は、DCダクトシステム100が備える(適用される)給電部材である。
【0023】
また、DCダクトシステム100は、直流電源部PE1と共に電力供給システムPS1を構成する。直流電源部PE1は、交流電源91(図16参照)から入力される交流電圧を直流電圧に変換して給電部材4に出力する。
【0024】
電力供給システムPS1は、上記のDCダクトシステム100を備えているので、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0025】
また、本実施形態のDCダクトシステム100は、上記のDCダクト3に加えて、ダクト固定具F1(図11)を更に備える。ダクト固定具F1は、DCダクト3が固定される第1固定部1と、什器(机7)に固定される第2固定部2と、を有する。
【0026】
これにより、本実施形態のDCダクトシステム100では、ダクト固定具F1を介して、DCダクト3を什器に固定することができる。そして、電気機器94のコネクタ95(又は、電気機器94に接続されるケーブルのコネクタ)をアダプタ5Aに接続することで、DCダクト3から電気機器94に電力を供給することができる。よって、電源コンセントから電気機器94に電力を供給する場合、又は、電源コンセントの電力を分配する電源タップから電気機器94に電力を供給する場合と比較して、什器の周りの電線の取り回しが簡素化される。つまり、什器の周りで、電気機器94の電線が入り混じる等、電線が乱雑になる可能性を低減でき、什器の周りの電線が簡素化される。
【0027】
ここで、DCダクトシステム100が固定される什器は、住宅又は非住宅で使用される家具及び備品等の器具の総称である。什器の一例は、物を載せる台として使用される机、テーブル及び作業台等である。什器の別の一例は、棚、箱、ドレッサー、ベッド、ホワイトボード、スクリーン、間仕切り及び長椅子等である。以下では、DCダクトシステム100が什器としての机7に固定されて使用される場合を例に説明する。図11に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。以下の説明では、DCダクト3の長手方向に沿った方向を左右方向と規定する。また、DCダクト3に対して受電装置5を着脱する方向に沿った方向を前後方向と規定し、左右方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を上下方向と規定する。また、DCダクト3においてアダプタ5Aが取り付けられる側を前側とし、前側からDCダクト3を見た状態でDCダクト3の右側の端部を第1端31A、左側の端部を第2端31Bと規定する。ただし、これらの方向の規定は、DCダクトシステム100の使用方向を限定する趣旨ではない。また、図3等における前後、左右、上下を表す矢印はそれぞれ、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0028】
また、本実施形態のDCダクトシステム100は、パーティション6(図11参照)を固定可能なパーティション固定構造S1(図13及び図14参照)を備える。“パーティション”は、間仕切り、又は、衝立とも称される。パーティションシステム200は、DCダクトシステム100と、パーティション6と、を備える。本実施形態では、1つのパーティションシステム200が備えるパーティション6の個数は、3つである。
【0029】
パーティション6は、天板71の上方に固定される。これにより、天板71の上方の空間は、パーティション6を間にした2つの空間に仕切られる。何人かの人(以下、“第1の人”と称す)が机7の片側に着席し、別の何人かの人(以下、“第2の人”と称す)が机7の反対側に着席する場合、第1の人と第2の人との間にパーティション6が存在する。これにより、第1の人及び第2の人のうちの一方が声を出したり、くしゃみ又は咳などをしたりすることで飛び散った飛沫が、第1の人及び第2の人のうちの他方にかかるのを抑制できる。
【0030】
(詳細)
(1)DCダクトシステム
以下、DCダクトシステム100及びDCダクトシステム100と共に用いられる構成について、より詳細に説明する。
【0031】
図3図6及び図8に示すように、DCダクトシステム100は、2つ(図3及び図6では1つのみ図示)のDCダクト3と、2つ(図3及び図6では1つのみ図示)の給電部材4(いわゆるフィードイン)と、2つ(図8では1つのみ図示)のエンドキャップE1と、を備える。ダクト固定具F1は、2つの第1固定部1と、2つの第2固定部2と、を有する。2つの第1固定部1は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。各第1固定部1は、対応するDCダクト3を固定する。2つの第2固定部2の一方は、2つの第1固定部1の長手方向における一端を机7に固定し、2つの第2固定部2の他方は、2つの第1固定部1の長手方向における他端を机7に固定する。
【0032】
また、DCダクトシステム100と共に用いられる構成としては、1以上のアダプタ5A(図8及び図15参照)と、3つのパーティション6と、机7と、がある。
【0033】
(2)机
図11に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。2つの脚部72のうち一方は、天板71の右端付近から下に突出しており、他方は、天板71の左端付近から下に突出している。2つの支持台73は、2つの脚部72と一対一で対応する。各支持台73は、対応する脚部72の下端につながっており、脚部72を支持する。
【0034】
(3)第1固定部
図12Aに示すように、2つの第1固定部1は、前後に並んで、互いに合わさっている。図8に示すように、2つの第1固定部1の各々は、ダクト収納部11と、2つの連結突起12と、を含む。ダクト収納部11と2つの連結突起12とは、一体に形成されている。
【0035】
ダクト収納部11の形状は、直方体状である。ダクト収納部11は、左右方向に長さを有する。2つの連結突起12のうち一方は、ダクト収納部11の右端から突出しており、他方は、ダクト収納部11の左端から突出している。ダクト収納部11は、DCダクト3、つまりはDCダクト3のダクト本体(いわゆるダクトレール)31を収納する。また、ダクト収納部11は、給電部材4をも収納する。2つの連結突起12の各々は、第1固定部1を第2固定部2に連結するための構成である。ここで、2つの第1固定部1にそれぞれ保持される2つのDCダクト3には、第1固定部1の長さ方向における片方の端部に給電部材4が取り付けられている。本実施形態では図12Aに示すように、一方のDCダクト3では、DCダクト3の右端である第1端31Aに右端用の第1給電部材4Aが接続され、他方のDCダクト3には、DCダクト3の左端である第2端31Bに、左端用の第2給電部材4Bが接続されている。つまり、給電部材4は、長さ方向におけるDCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち、第1端31Aに接続される第1給電部材4Aと、第2端31Bに接続される第2給電部材4Bと、を含む。
【0036】
各第1固定部1は、収納溝130と、2つの通線溝140と、を有する。収納溝130は、DCダクト3と、給電部材4と、を収納する。通線溝140には、DCダクト3に電気的に接続される電線W1,W2(図12A及び図12B参照)が通される。
【0037】
収納溝130は、ダクト収納部11に設けられている。収納溝130は、ダクト収納部11の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1の各々には、外向きの面に収納溝130が開口している。
【0038】
2つの通線溝140は、2つの連結突起12と一対一で対応する。各通線溝140は、対応する連結突起12と、ダクト収納部11と、に亘って設けられている。つまり、第1固定部1の右端と左端とにそれぞれ通線溝140が設けられている。各通線溝140は、ダクト収納部11の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1の各々には、それぞれ内向きの面に通線溝140が開口している。
【0039】
2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の右端にある通線溝140が合わさって1つの空間を形成し(図12A参照)、かつ、2つの第1固定部1の各々の左端にある通線溝140が合わさって別の1つの空間を形成する。各通線溝140は、収納溝130とつながっている。通線溝140に通された電線W1,W2は、収納溝130に収納された給電部材4の第1端子43A及び第2端子43B(図10図12A及び図12B参照)に電気的に接続される。正極側の電線W1は、第1端子43Aを介して、DCダクト3の第1導電バー32Aに電気的に接続され、負極側の電線W2は、第2端子43Bを介して、DCダクト3の第2導電バー32Bに電気的に接続される。
【0040】
また、2つの第1固定部1の各々は、図8に示すように、パーティション固定構造S1の一部を有する。すなわち、2つの第1固定部1の各々は、4つ(図8では2つのみ図示)の窪み150を有する。4つの窪み150は、ダクト収納部11に設けられている。2つの第1固定部1の各々には、各窪み150が、ダクト収納部11の内向きの面に設けられている。各窪み150は、ダクト収納部11の上端から下端までに亘って設けられている。
【0041】
2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の4つの窪み150がそれぞれ合わさって、2つの第1固定部1の間の4つの隙間を形成する。この4つの隙間がそれぞれ、パーティション固定構造S1に相当する。各パーティション固定構造S1は、より詳細には、2つの第1固定部1が合わさった構成を上下方向に貫通する貫通孔である。
【0042】
4つのパーティション固定構造S1は、左右方向に並んでいる。4つのパーティション固定構造S1は、3つのパーティション6(6A,6B,6C)に属する4つの嵌合突起と一対一で対応する。各パーティション固定構造S1にはそれぞれ、対応する嵌合突起が挿入される。これにより、各パーティション6が2つの第1固定部1、つまりDCダクト3に固定される。
【0043】
(4)第2固定部
図8及び図11に示すように、2つの第2固定部2の各々は、横架部21と、支柱部22と、クランプ機構23と、を含む。横架部21と支柱部22とは、一体に形成されている。2つの第2固定部2は、ダクト本体31を什器(机7)に固定するための構成(固定部材)である。より詳細には、2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1と共に用いられることで、ダクト本体31を什器(机7)に固定する。
【0044】
横架部21の形状は、角筒状である。横架部21の軸方向は、左右方向に沿っている。
【0045】
2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1の各々が左右方向の両端に備える2つの連結突起12と、一対一で対応する。各第2固定部2の横架部21には、2つの第1固定部1の各々が備える2つの連結突起12のうち、対応する連結突起12が挿入される。さらに、2つの第1固定部1がそれぞれ、2つの第2固定部2にねじ止めされる。これにより、2つの第1固定部1が2つの第2固定部2に連結される。つまり、2つの第1固定部1は、2つの第2固定部2の間を架け渡すように、2つの第2固定部2に連結される。また、2つの第1固定部1の各々は、2つの第2固定部2から分離可能である。すなわち、2つの第1固定部1と2つの第2固定部2とを連結するねじを取り外し、各連結突起12を横架部21から引き出すことで、2つの第1固定部1の各々を2つの第2固定部2から分離することができる。
【0046】
支柱部22の形状は、円筒状である。支柱部22の軸方向は、上下方向に沿っている。横架部21は、支柱部22の上端から、左右方向に突出している。横架部21の内部空間は、支柱部22の内部空間とつながって、1つの内部空間SP1(図12A参照)を形成している。内部空間SP1には、2つの給電部材4に2本ずつ接続される計4本の電線W1,W2が通される。すなわち、第2固定部2(固定部材)は、第1導電バー32A及び第2導電バー32B(図3参照)にそれぞれ電気的に接続される電線W1,W2が通される内部空間SP1を有している。
【0047】
支柱部22は、通線孔220を有する。通線孔220は、支柱部22の側面に設けられている。電線W1,W2は、内部空間SP1から通線孔220を通って外部へ引き出される。
【0048】
クランプ機構23は、机7(什器)の一部(例えば天板71)を挟むことで机7(什器)に固定される。より詳細には、2つの第2固定部2のうちの一方は天板71の長さ方向の一端を挟み、2つの第2固定部2のうちの他方は天板71の長さ方向の他端を挟む。これにより、DCダクトシステム100が机7(什器)に固定される。
【0049】
クランプ機構23は、可動部231と、ベース232と、操作部233と、を有する。
【0050】
ベース232は、支柱部22と一体に形成されている。ベース232は、支柱部22の下端から左右方向に突出している。
【0051】
可動部231は、ベース232の上に配置されている。可動部231の一部は、支柱部22の通線孔220の内側に配置されている。
【0052】
操作部233は、可動部231を上下に動かすための操作を受け付ける。操作部233は、レバーであって、作業者が操作部233を回すことで、可動部231が上下に動く。
【0053】
以下、クランプ機構23を用いてDCダクトシステム100を机7に固定する手順について説明する。図11に示すように、机7の天板71の一部(左端又は右端)は、通線孔220に挿入される。これにより、天板71の一部(左端又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に配置される。作業者は、操作部233を回し、可動部231を上に動かす。これにより、天板71の一部(左端又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に挟まれる。2つの第2固定部2の各々のクランプ機構23を用いて天板71の左端及び右端を挟むことにより、DCダクトシステム100が机7に固定される。
【0054】
また、支柱部22が存在することにより、DCダクトシステム100の2つの第1固定部1と机7の天板71との間に隙間G1(図11参照)が確保される。つまり、2つの第1固定部1に固定された2つのダクト本体31と天板71との間に隙間G1が確保される。言い換えると、第2固定部2(固定部材)は、2つのダクト本体31と机7(什器)との間に隙間G1をあけて2つのダクト本体31を支持する支柱部22を含む。
【0055】
本開示において、ダクト本体31と机7(什器)との間に隙間があるとは、本実施形態のように、ダクト本体31と机7との間に所定部材(第1固定部1の一部分)があり、所定部材の下面から机7の上面までに亘る隙間G1があるような場合を含む。また、本開示において、ダクト本体31と机7(什器)との間に隙間があるとは、ダクト本体31の下面から机7の上面までに亘る隙間があるような場合をも含む。
【0056】
隙間G1を通すことで、パーティション6を挟んで書類等の物を受け渡すことができる。また、机7の天板71のうち、第1固定部1の下の部位に、開口部を設けてもよい。開口部は、交流電力を供給する電線を天板71の下から引き出すための構成である。ユーザは、隙間G1に手を入れて、開口部を通して電線を引き出すことができる。
【0057】
(5)DCダクト
図3図6図8及び図15に示すように、2つのDCダクト3の各々は、ダクト本体31と、2つの導電バー32(第1導電バー32A及び第2導電バー32B)と、を有する。ダクト本体31は、金属製の第1レール311と、2つの合成樹脂製の第2レール312と、を含む。
【0058】
2つのDCダクト3は、2つの第1固定部1と一対一で対応する。各DCダクト3は、対応する第1固定部1の収納溝130に収納されている。そのため、2つのDCダクト3は、パーティション6を間にして前後方向の両側に配置されている。つまり、DCダクトシステム100は、DCダクト3を複数(2つ)備え、複数のDCダクト3は、パーティション6を挟んで両側に配置された2つのDCダクト3を含む。これにより、本実施形態では、パーティション6を挟んで両側に配置される電気機器94に対して電力を供給することができる。
【0059】
また、上記2つのDCダクト3は、第1固定部1に複数のDCダクト3が固定され、かつ、什器(机7)に第2固定部2が固定された状態で、水平面に沿った所定方向(前後方向)において互いに反対側に位置する。言い換えると、上記2つのDCダクト3は、前後方向に並んでいる。
【0060】
第1レール311の形状は、角筒状である。第1レール311の軸方向(長さ方向)は、左右方向に沿っている。第1レール311は、凹部3110を含む。凹部3110は、ダクト本体31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、凹部3110は、ダクト本体31の長さ方向の両端に亘って形成されている。凹部3110には、2つの導電バー32が収納されている。
【0061】
凹部3110は、パーティション6の表面に沿った面において開口している。より詳細には、2つのDCダクト3の各々では、2つのDCダクト3が互いに対向する面と反対側の面(外向きの面)に凹部3110が開口している。なお、2つのDCダクト3の各々において、凹部3110が開口する面を前面という。そして、2つのDCダクト3の各々を、前側から見たときに右端となる端部を第1端31Aといい、左端となる端部を第2端31Bという。
【0062】
図3図4A図4B、及び図15に示すように、第1レール311は、2つの嵌合部3111と、2つの取付溝3112と、を更に含む。
【0063】
2つの嵌合部3111はそれぞれ、溝である。2つの嵌合部3111は、凹部3110の内面に設けられている。2つの嵌合部3111は、ダクト本体31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの嵌合部3111は、ダクト本体31の長さ方向の全体に亘って形成されている。2つの嵌合部3111は、アダプタ5Aに嵌合する。これにより、アダプタ5AがDCダクト3に取り付けられる。すなわち、ダクト本体31は、アダプタ5Aを取り付けるためのアダプタ取付部(2つの嵌合部3111)を含む。アダプタ5AをDCダクト3に取り付ける手順については後述する。
【0064】
2つの取付溝3112は、凹部3110の内面に設けられている。2つの嵌合部3111と2つの取付溝3112とのうち、2つの嵌合部3111の方が、凹部3110の開口部の近くに設けられている。2つの取付溝3112は、ダクト本体31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの取付溝3112は、ダクト本体31の長さ方向の全体に亘って形成されている。
【0065】
2つの取付溝3112は、2つの第2レール312と一対一で対応する。各取付溝3112には、対応する第2レール312が嵌め込まれている。これにより、第1レール311に2つの第2レール312が取り付けられている。第1レール311は、2つの第2レール312の脱落を抑制するための2つの突起3113(図15参照)を有する。
【0066】
また、第1レール311は、規制部3114(図15参照)を更に有する。規制部3114は、突起である。規制部3114(図15参照)は、第1レール311の下部に設けられている。規制部3114は、アダプタ5Aの規制部55(凹部)に挿入される。
【0067】
2つの第2レール312の各々は、左右方向に長さを有する。第2レール312は、例えばPTC(Polyvinyl Chloride)等の合成樹脂により形成されている。左右方向と直交する断面における第2レール312の形状は、U字状である。第2レール312は、その内側に導電バー32(第1導電バー32A又は第2導電バー32B)を保持している。
【0068】
2つの導電バー32(第1導電バー32A又は第2導電バー32B)の各々は、左右方向に長さを有する。第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの各々は、ダクト本体31の右端から左端までに亘って設けられている。第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの各々は、給電部材4を介して、対応する電線W1,W2(図9図10及び図12A参照)に電気的に接続される。本実施形態では、第1導電バー32Aが正極側の電線W1に電気的に接続され、第2導電バー32Bが負極側の電線W2に電気的に接続されており、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bには直流電力が供給される。
【0069】
ダクト本体31には、長手方向における第1端(例えば右端)31A及び第2端(例えば左端)31Bに、給電部材4と嵌合する嵌合部分が設けられている。
【0070】
本実施形態では、給電部材4は、長さ方向におけるDCダクト3の一方の端部に接続可能なように構成されている。そして、長さ方向におけるDCダクト3の他方の端部(給電部材4が接続可能な端部と反対側の端部)には、接続阻止構造が設けられている。接続阻止構造は、給電部材4の少なくとも一部と接触することによって、DCダクト3の他方の端部への給電部材4の接続を阻止する。
【0071】
本実施形態では、接続阻止構造は、ダクト本体31の内面に設けられた突起35を含む。突起35は、ダクト本体31の凹部3110において、後壁の下部に設けられている。突起35は、ダクト本体31の長手方向(左右方向)における全体に亘って設けられている。つまり、DCダクト3には、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bの長さ方向(左右方向)における全体に接続阻止構造(突起35)が設けられている。
【0072】
これにより、図4A及び図4Bに示すように、長さ方向からDCダクト3を見たときに、給電部材4が嵌合するDCダクト3の嵌合部分(第1端31A及び第2端31B)の形状が、所定方向におけるDCダクト3の中心線L1に対して非対称な形状となっている。所定方向は、受電装置5(アダプタ5A等)のDCダクト3への取付方向(前後方向)及び長さ方向(左右方向)とそれぞれ直交する方向(上下方向)である。
【0073】
ダクト本体31には接続阻止構造として突起35が設けられており、突起35は、ダクト本体31の長さ方向における全体に亘って設けられている。したがって、第1端31Aに接続可能な第1給電部材4Aを第2端31Bに接続しようとすると、第1給電部材4Aの給電部材本体42が第2端31Bにある突起35と干渉するので、第1給電部材4Aの第2端31Bへの接続が阻止される。また、第2端31Bに接続可能な第2給電部材4Bを第1端31Aに接続しようとすると、第2給電部材4Bの給電部材本体42が第1端31Aにある突起35と干渉するので、第2給電部材4Bの第1端31Aへの接続が阻止される。つまり、接続阻止構造(突起35)は、第1給電部材4Aの第2端31Bへの接続を阻止し、第2給電部材4Bの第1端31Aへの接続を阻止する。よって、給電部材4は、第1端31A及び第2端31Bのうち当該給電部材4が接続を許可されている端部と反対側の端部に接続されるのを阻止することができ、給電部材4の第1接触子44A及び第2接触子44Bがそれぞれ第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに確実に接続されるという利点がある。
【0074】
また、ダクト本体31には長さ方向における全体に接続阻止構造である突起35が設けられているので、DCダクト3が取り付けられる什器の寸法に合わせてダクト本体31を任意の長さで切断した場合でも、ダクト本体31の第1端31A及び第2端31Bの形状を同じ形状に形成することができる。
【0075】
(6)給電部材及びエンドキャップ
図8に示すように、2つの給電部材4は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。2つのエンドキャップE1は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。各DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち一方には、対応する給電部材4が取り付けられ、他方には、対応するエンドキャップE1が取り付けられる。
【0076】
上述のように給電部材4は、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち、いずれか一方のみに取付可能なように構成されている。つまり、給電部材4は、ダクト本体31の第1端31Aに接続される第1給電部材4Aと、ダクト本体31の第2端31Bに接続される第2給電部材4Bと、を含んでいる。なお、1つのDCダクト3には、第1給電部材4A及び第2給電部材4Bの一方のみが接続されればよい。
【0077】
給電部材4(第1給電部材4A及び第2給電部材4B)は、DCダクト3の2つの導電バー32(第1導電バー32A及び第2導電バー32B)をそれぞれ対応する電線W1,W2(図10及び図12参照)に電気的に接続するための構成である。すなわち、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bは、給電部材4を介して、対応する電線W1,W2に電気的に接続される。以下、図10を参照して、第2給電部材4Bを例に給電部材4の構成を説明する。なお、第1給電部材4Aの構成は突起45A,45Bを除いては第2給電部材4Bと同様であるので、第1給電部材4Aの説明は省略する。
【0078】
給電部材4(第2給電部材4B)は、外箱41と、給電部材本体42と、2つの端子43と、を含む。
【0079】
外箱41の形状は、直方体状である。外箱41は、給電部材本体42を収納している。給電部材本体42は、第1ブロック421と、第2ブロック422と、を有する。第1ブロック421と第2ブロック422とが結合することで、1つの箱状の部材(給電部材本体42)が構成される。
【0080】
給電部材本体42は、2つの端子43を収納している。また、給電部材本体42は、2本の電線W1,W2が挿入される2つの入線孔423を有する。2つの入線孔423は、第1ブロック421に設けられている。
【0081】
2つの端子43は、直流電源の正極側の電線W1に接続される第1端子43Aと、直流電源の負極側の電線W2に接続される第2端子43Bと、を含む。2つの端子43(第1端子43A及び第2端子43B)の各々は、ばね431と、端子部432と、を有する。ばね431と端子部432との組は、速結端子を構成する。すなわち、2つの端子43の各々は、速結端子を有する。
【0082】
ばね431は、金属板に曲げ加工等を施すことで形成されている。端子部432は、金属板からなり、板状に形成されている。端子部432は、ばね431に対向している。2つの端子43(第1端子43A及び第2端子43B)は、2つの導電バー32(第1導電バー32A及び第2導電バー32B)と一対一で対応する。各端子43の端子部432は、対応する導電バー32(第1導電バー32A及び第2導電バー32B)に電気的に接続される。すなわち、第1端子43Aは、端子部432からなる第1接触子44Aを含み、第2端子43Bは、端子部432からなる第2接触子44Bを含んでいる。
【0083】
図12A及び図12Bに示すように、入線孔423を通して給電部材本体42の内部に挿入される電線W1,W2の各々は、ばね431と端子部432との間に挟まれる。これにより、電線W1,W2の各々は、それぞれ、第1端子43A及び第2端子43Bに電気的に接続され、かつ、ばね431と端子部432との間に保持される。
【0084】
上述のように給電部材4は、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうちいずれか一方のみに接続可能なように構成されている。
【0085】
給電部材4の給電部材本体42には、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち、給電部材4が接続可能な端部と反対側の端部に接続するのを阻止するために、DCダクト3の突起35と干渉する突起45が設けられている。以下では、第1給電部材4Aの給電部材本体42に設けられた突起45を突起45A、第2給電部材4Bの給電部材本体42に設けられた突起45を突起45Bと表記する場合もある。
【0086】
DCダクト3の第2端31Bに接続可能な第2給電部材4Bの給電部材本体42には、給電部材本体42を第1端31Aに挿入しようとすると突起35と干渉する位置に突起45B(図6参照)が設けられている。突起45Bは、上下方向において突起35と反対側(DCダクト3の第2端31Bに接続された状態での上側)に設けられているので、給電部材本体42が第2端31Bに挿入される場合は突起35と干渉しない。よって、第2給電部材4BはDCダクト3の第2端31Bのみに接続可能なように構成されており、DCダクト3に対して接続が許容された側と反対側に取り付けられるのを抑制できる。
【0087】
また、DCダクト3の第1端31Aに接続可能な第1給電部材4Aの給電部材本体42には、給電部材本体42を第2端31Bに挿入しようとすると突起35と干渉する位置に突起45A(図3参照)が設けられている。突起45Aは、上下方向において突起35と反対側(DCダクト3の第1端31Aに接続された状態での上側)に設けられているので、給電部材本体42が第1端31Aに挿入される場合は突起35と干渉しない。よって、第1給電部材4AはDCダクト3の第1端31Aのみに接続可能なように構成されており、DCダクト3に対して接続が許容された側と反対側に取り付けられるのを抑制できる。
【0088】
また、給電部材本体42には、2つの端子43(第1端子43A及び第2端子43B)に接続される電線W1,W2の極性を表す極性表示部としてマークM1,M2が設けられている。マークM1,M2は、給電部材本体42の表面において第1端子43A及び第2端子43Bにそれぞれ対応する入線孔423の近傍に設けられている。マークM1,M2は、樹脂成形、刻印、印刷、塗装、マークM1,M2が印刷されたシール或いは銘板の貼付けなどの適宜の方法で給電部材本体42に設けられている。
【0089】
給電部材本体42には極性表示部(マークM1,M2)が設けられているので、第1端子43A及び第2端子43Bにそれぞれ直流電源部PE1の電線W1,W2を接続する際に、第1端子43A及び第2端子43Bに接続する電線の極性を間違える可能性を低減できる。なお、DCダクト3には長手方向における他方の端部に接続阻止構造(突起35)が設けられているので、給電部材4をDCダクト3の他方の端部に間違えて接続する可能性を低減できる。したがって、給電部材4をDCダクト3の一方の端部に確実に接続でき、第1導電バー32Aが正極側、第2導電バー32Bが負極側となるように、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに直流電圧を印加することができる。したがって、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0090】
上述のように本実施形態の給電部材4には、通知部80が設けられている。
【0091】
通知部80は、図1に示すように、第1端子43Aと第2端子43Bとの間に接続された、抵抗器82と、光源81と、を含む。光源81は例えば発光ダイオードであり、アノードを第1接触子44A側、カソードを第2接触子44B側にして、第1接触子44Aと第2接触子44Bとの間に接続されている。通知部80は、給電部材本体42の外側から、給電部材本体42の表面の孔を通して光源81を視認可能な状態で、給電部材本体42の内部に収容されている(図2参照)。なお、光源81は発光ダイオードに限定されず、有機EL(Organic Electro Luminescence)などの固体光源、白熱電球、又はネオンランプ等でもよい。
【0092】
第1端子43Aに正極側の電線W1が接続され、第2端子43Bに負極側の電線W2が接続されると、つまり第1端子43A及び第2端子43Bに対してあらかじめ決められた極性の電線W1,W2が接続されると、光源81が点灯する。一方、第1端子43Aに対して負極側の電線W2が接続され、第2端子43Bに対して正極側の電線W2が接続されると、光源81は消灯する。これにより、電線の接続作業を行う作業者は、光源81が点灯しているか消灯しているかを確認することで、第1端子43A及び第2端子43Bに対して直流電源部PE1からの電線W1,W2が正しい極性で接続されているか否かを容易に確認できる。したがって、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0093】
(7)パーティション
以下、図11を参照して、パーティション6について説明する。以下では、3つのパーティション6を区別して、それぞれパーティション6A、6B、6Cと称することがある。3つのパーティション6に共通する構成については、同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。3つのパーティション6のうち、パーティション6Aは最も右に位置し、パーティション6Cは最も左に位置し、パーティション6Bはパーティション6Aとパーティション6Cとの間に位置する。
【0094】
パーティション6A~6Cは、透光性を有する板状のパーティション本体61を有している。パーティション6の材質は、例えば、アクリル樹脂である。パーティション本体61の下部には、パーティション固定構造S1(貫通孔)に挿入される嵌合突起が設けられている。
【0095】
3つのパーティション6の嵌合突起は、それぞれ対応するパーティション固定構造S1(貫通孔)に挿入される。これにより、各パーティション6がDCダクトシステム100に固定される。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6と嵌合する構造である。また、嵌合突起をパーティション固定構造S1から抜き取ることで、各パーティション6は、DCダクトシステム100から取外し可能である。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6を着脱可能に固定する。
【0096】
(8)アダプタ
図11及び図12Aに示すように、パーティション6を挟んで前後方向の両側に第1固定部1が1つずつ配置され、各第1固定部1には、DCダクト3が収納されている。これら2つのDCダクト3にそれぞれ、アダプタ5Aが取付可能である。
【0097】
図13図15に示すように、アダプタ5Aは、筐体51と、解除操作部52と、取付突起53と、2つの受電端子54と、筐体51に収納されたばねと、を有する。
【0098】
筐体51の形状は、直方体状である。筐体51は、第1差込口511と、第2差込口512と、を有する。第1差込口511は、コネクタ95(図16参照)としてのUSB Type-Aプラグの差込口である。第2差込口512は、コネクタ95としてのUSB Type-Cプラグの差込口である。すなわち、第1差込口511は、第2差込口512とは規格が異なる。第1差込口511は、第2差込口512とは大きさが異なる。
【0099】
第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5AがDCダクト3に取り付けられているとき、DCダクト3と反対側を向く面(コネクタ装着面501)に設けられている。第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5AがDCダクト3に取り付けられているとき、上下に並ぶ。
【0100】
解除操作部52は、筐体51に保持されている。解除操作部52は、力が加えられることで、所定方向に移動可能である。解除操作部52には、筐体51に収納されたばねの復帰力が作用する。そのため、解除操作部52に対して力が加えられていないとき、解除操作部52の先端部(爪部520)は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側へ突出した状態となる。
【0101】
取付突起53は、軸部531と、2つのリブ532と、を含む。軸部531は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つのリブ532は、軸部531の側面から突出している。2つのリブ532は、互いに反対向きに突出している。
【0102】
2つの受電端子54は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つの受電端子54の各々の先端部は、屈曲している。
【0103】
アダプタ5Aは、規制部55を有する。規制部55は、アダプタ5Aの表面に形成された凹部である。アダプタ5Aがダクト本体31に取り付けられる際に、規制部55には、ダクト本体31の規制部3114(突起)が挿入される。アダプタ5Aの向きが誤った向きであると(すなわち、図13に示す向きとは上下逆向きであると)、規制部3114がアダプタ5Aと干渉するので、アダプタ5Aをダクト本体31に取り付けることができない。すなわち、規制部55、3114は、アダプタ5Aがダクト本体31に取り付けられる際のアダプタ5Aの向きを規制する。これにより、2つの受電端子54のうち、正極側の受電端子54が正極側の第1導電バー32Aに接続され、負極側の受電端子54が正極側の第2導電バー32Bに接続される。
【0104】
アダプタ5Aは、電力変換器を更に有する。電力変換器は、2つの受電端子54で受電された電力を、所望の電圧の電力に変換する。第1差込口511及び第2差込口512からは、電力変換器で変換された電力が出力される。電気機器94(図16参照)は、第1差込口511又は第2差込口512に接続されたコネクタ95を含むケーブルを介して、電力を受電することができる。
【0105】
以下、アダプタ5AをDCダクト3に取り付ける手順について説明する。
【0106】
図14及び図15に示す筐体51の向きでは、2つのリブ532は、上下方向に並んでいる。
【0107】
作業者は、まず、図13に示すように、2つのリブ532の並んでいる方向がダクト本体31の長さ方向(左右方向)に沿うように、アダプタ5Aを持つ。この状態では、2つのリブ532がダクト本体31に干渉することなく、取付突起53をダクト本体31の凹部3110に挿入できる。解除操作部52は、第1固定部1との接圧により、コネクタ装着面501側に向かって動く。
【0108】
図13に示すように取付突起53を凹部3110に挿入した後、作業者は、図14図15に示すように、アダプタ5Aを90度回転させる。すると、図15に示すように、2つのリブ532が2つの嵌合部3111に挿入される。これにより、アダプタ5Aの前後方向の移動が規制される。また、図14に示すように、解除操作部52の爪部520がダクト本体31の凹部3110に挿入されることにより、筐体51の回転が規制される。また、2つの受電端子54は、それぞれ対応する導電バー32(第1導電バー32A及び第2導電バー32B)に接触し、これにより、対応する導電バー32に電気的に接続される。
【0109】
以上の手順により、アダプタ5AがDCダクト3に取り付けられる。アダプタ5Aは、凹部3110が設けられた領域(取付領域)のうち任意の位置において、DCダクト3に取付可能であり、かつ、導電バー32に電気的に接続可能である。
【0110】
なお、本実施形態では、DCダクト3に取り付けられたアダプタ5Aの左右方向の移動を規制する構成は設けていない。そのため、アダプタ5Aは、DCダクト3に取り付けられた状態のまま左右方向に移動可能である。ただし、アダプタ5Aが左右方向に移動することによる2つの受電端子54の摩耗を抑制するために、DCダクトシステム100は、DCダクト3に取り付けられたアダプタ5Aの左右方向の移動を規制する構成を備えていてもよい。
【0111】
次に、アダプタ5AをDCダクト3から取り外す手順について説明する。作業者が解除操作部52に対して、コネクタ装着面501側に向かう力を加えると、解除操作部52が動き、爪部520が凹部3110から出る。これにより、筐体51の回転の規制が解除される。作業者が筐体51を回転させることで、2つのリブ532が2つの嵌合部3111から出る。以上の手順により、アダプタ5AがDCダクト3から取り外される。
【0112】
(9)電力供給システム
次に、図16を参照して、電気機器94に電力を供給するシステム(DCダクトシステム100を含む)の構成の一例について、説明する。
【0113】
電気機器94の使用場所の施設には、スイッチングハブ92と、スプリッタ93と、が設けられている。スイッチングハブ92は、電源91に電気的に接続されている。電源91は、スイッチングハブ92に交流電力を供給する。電源91は、例えば、商用電源又は分散型電源である。
【0114】
スイッチングハブ92は、PoE(Power over Ethernet)に対応したPoEスイッチングハブであり、直流電源部921を備えている。直流電源部921は、電源91から入力される交流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換し、スプリッタ93に出力する。スイッチングハブ92は、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して、スプリッタ93に電気的に接続される。また、スイッチングハブ92は、PoEに対応した機器にも電気的に接続され得る。PoEに対応した機器は、例えば、コンピュータ端末、ネットワークカメラ、IP(Internet Protocol)電話及び、無線アクセスポイント等である。スイッチングハブ92は、スイッチングハブ92に電気的に接続された機器との間で、データと電力(直流電力)とを備えたPoE信号の授受を行うことができる。
【0115】
スプリッタ93は、PoEに対応したPoEスプリッタであり、直流電源部931を備えている。直流電源部931は、スイッチングハブ92から入力される直流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換し、DCダクト3に出力する。スプリッタ93は、スイッチングハブ92から受け取ったPoE信号を、データと電力(直流電力)とに分離する。スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、PoEに非対応の機器へ供給する。一例として、スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、DCダクトシステム100を介して、PoEに非対応の1又は複数の電気機器94へ供給する。
【0116】
また、スプリッタ93は、PoE信号から分離されたデータを含むデータ信号を、PoEに非対応の機器へ送信する。
【0117】
ここにいて、本実施形態では、スイッチングハブ92の直流電源部921とスプリッタ93の直流電源部931とで、交流電源(電源91)から入力される交流電圧を直流電圧に変換して給電部材4に出力する直流電源部PE1が構成されている。
【0118】
スプリッタ93の直流電力の出力端子は、各2本の電線W1,W2の各々の第1端に電気的に接続される。2つのDCダクト3のうち一方のDCダクト3は、各2本の電線W1,W2のうちの2本の電線W1,W2と対応し、他方のDCダクト3は、残りの2本の電線W1,W2と対応する。以下では、一方のDCダクト3と、このDCダクト3に対応する2本の電線W1,W2及び1つの給電部材4に着目して説明する。
【0119】
2本の電線W1,W2は、正極側の電線W1と負極側の電線W2とである。2本の電線W1,W2は、給電部材4に設けられた2つの入線孔423(図10参照)と一対一で対応する。また、2本の電線W1,W2は、DCダクト3の第1導電バー32A及び第2導電バー32Bと一対一で対応する。正極側の電線W1の第2端は、対応する入線孔423に挿入されて第1端子43Aに接続され、第1端子43Aを介して第1導電バー32Aに電気的に接続される。負極側の電線W1の第2端は、対応する入線孔423に挿入されて第2端子43Bに接続され、第2端子43Bを介して第2導電バー32Bに電気的に接続される。1又は複数のアダプタ5Aは、DCダクト3に接続可能であり、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bには、アダプタ5Aを介して1又は複数の電気機器94が電気的に接続可能である。
【0120】
以上より、各電気機器94は、直流電源部931から電線W1,W2を介して供給される電力(つまり直流電源部931が出力する直流電力)を、導電バー32及びアダプタ5Aを介して受電することができる。ユーザは、机7(図11参照)の上、又は、机7の周囲で電気機器94を使用することができる。
【0121】
アダプタ5Aが2つの導電バー32から受電する直流電圧(2つの導電バー32間の電圧)は、60V以下であることが好ましい。この場合、アダプタ5Aを設置する際に、電気工事士等の資格が不要であるという利点がある。よって、AC100Vのコンセントを移設又は新設する場合と比較して、手軽に電源を確保することができる。
【0122】
アダプタ5Aが2つの導電バー32から受電する直流電圧(つまり直流電源部931が出力する直流電圧)は、24V以下であることがより好ましい。また、アダプタ5Aが2つの導電バー32から受電する直流電圧は、48V以下であることも好ましい。
【0123】
一例として、スイッチングハブ92の直流電源部921から出力されるPoE信号の直流電圧は、48Vである。スプリッタ93の直流電源部931は、スイッチングハブ92から受電したPoE信号の直流電圧を降圧する機能を有し、スプリッタ93の直流電源部931から出力される直流電圧は、一例として、24Vである。アダプタ5Aは、スプリッタ93から出力される直流電圧を受電し、24V以下の直流電圧を電気機器94へ出力する。
【0124】
DCダクト3の2つの導電バー32間の電圧を、60V以下(例えば、24V)とすることにより、ユーザが導電バー32に接触したとき感電する可能性を低減させることができる。よって、DCダクト3にカバーを設けなくてもよく、アダプタ5AをDCダクト3に取り付ける作業においてカバーを着脱する作業の手間がかからないという利点がある。
【0125】
以上、電気機器94に電力を供給するシステムの構成例を説明したが、このシステムに代えて、より簡素に、例えば、各電線W1,W2をACアダプタ96(図9参照)を介して商用電源のコンセントに接続するようにしてもよい。
【0126】
(10)利点
DCダクトシステム100は通知部80を備えているので、給電部材4に電線を接続する作業者は、通知部80の通知内容に基づいて、第1端子43A及び第2端子43Bに対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。したがって、第1端子43A及び第2端子43Bに対して誤った極性で電線が接続されている場合、作業者が電線の接続間違いに気づきやすくなり、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0127】
実施形態1のDCダクト3は接続阻止構造を有しているので、給電部材4(第1給電部材4A及び第2給電部材4B)は、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち、あらかじめ決められた端部のみに接続可能となっている。そのため、第1給電部材4A及び第2給電部材4BをDCダクト3に接続した状態では、正極側の第1接触子44Aは正極側の第1導電バー32Aに接続され、負極側の第2接触子44Bは負極側の第2導電バー32Bに接続される。これにより、第1給電部材4A及び第2給電部材4BをDCダクト3に接続する場合に、正極側の第1接触子44Aが負極側の第2導電バー32Bに誤接続され、負極側の第2接触子44Bが正極側の第1導電バー32Aに誤接続される可能性を低減できる。
【0128】
そして、給電部材4(第1給電部材4A及び第2給電部材4B)の給電部材本体42には、第1端子43A及び第2端子43Bにそれぞれ接続される電線の極性を示す極性表示部(マークM1,M2)が設けられているので、第1端子43A及び第2端子43Bに電線を接続する際に電線の極性を間違えて電線する可能性を低減できる。よって、DCダクト3の第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0129】
(実施形態1の変形例)
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0130】
(変形例1)
上記実施形態1のDCダクトシステム100が適用される什器は、両側に置かれる座席に人が着席するような机7に限定されず、図17に示すような机7Cでもよい。
【0131】
机7Cは、ユーザが机7Cの前方にのみ着席することが想定された机であり、例えば、カウンターデスクと称される。机7Cは、机本体70と、DCダクト3を固定するダクト固定具F2と、バックパネル74と、を備える。ダクト固定具F2は、第1固定部1Cと、2つの第2固定部2Cと、を有する。机本体70は、天板701と、突台702と、支持体703と、を含む。机7Cには、DCダクト3が取り付けられる。DCダクト3には、給電部材4と、アダプタ5A(図14参照)と、が取り付けられる。
【0132】
(変形例2)
変形例2のDCダクトシステム100について図18図21を参照して説明する。
【0133】
上記実施形態の通知部80が備える光源81は、給電部材4に対して正しい極性で電線が接続された場合に点灯するが、給電部材4に対して誤った極性で電線が接続された場合に点灯してもよい。図18に示すように、通知部80が備える光源81である発光ダイオードは、カソードを第1接触子44A側、アノードを第2接触子44B側にして、第1接触子44Aと第2接触子44Bとの間に接続される。この場合、光源81は、第1接触子44Aの電圧よりも第2接触子44Bの電圧が高くなるように、第1接触子44Aと第2接触子44Bとに直流電圧が印加された状態で点灯する。つまり、第1端子43Aに対して負極側の電線W2が誤接続され、第2端子43Bに対して正極側の電線W1が誤接続された状態で光源81が点灯するので、作業者は、光源81が点灯していることから、電線W1,W2の誤接続が発生していることを容易に確認できる。また、第1端子43A及び第2端子43Bに対してあらかじめ決められた極性で電線W1,W2が接続されている場合(誤接続が発生していない場合)には、光源81は消灯しているので、電力消費を抑制できるという利点もある。
【0134】
なお、給電部材4には、図19に示すように、通知部80として、第1通知部80Aと第2通知部80Bとが設けられてもよい。
【0135】
第1通知部80Aは、第1端子43Aと第2端子43Bとの間に接続された、抵抗器82Aと、光源81Aと、を含む。光源81Aは例えば発光ダイオードであり、アノードを第1接触子44A側、カソードを第2接触子44B側にして、第1接触子44Aと第2接触子44Bとの間に接続されている。第1通知部80Aは、第1端子43Aに正極側の電線W1が接続され、第2端子43Bに負極側の電線W2が接続されている状態で点灯する光源81Aを有している。第1通知部80Aの光源81Aは、給電部材本体42の表面において、第1端子43Aに対応する入線孔423の近傍に配置されている。
【0136】
第2通知部80Bは、第1端子43Aと第2端子43Bとの間に接続された、抵抗器82Bと、光源81Bと、を含む。光源81Bは例えば発光ダイオードであり、アノードを第2接触子44B側、カソードを第1接触子44A側にして、第1接触子44Aと第2接触子44Bとの間に接続されている。第2通知部80Bは、第2端子43Bに正極側の電線W1が接続され、第1端子43Aに負極側の電線W2が接続されている状態で点灯する光源81Bを有している。第2通知部80Bの光源81Bは、給電部材本体42の表面において、第2端子43Bに対応する入線孔423の近傍に配置されている。
【0137】
このように、給電部材4が第1通知部80Aと第2通知部80Bとを備える場合、第1通知部80Aの光源81Aと第2通知部80Bの光源81Bとのいずれが点灯するかで、電線の誤接続が発生しているか否かを確認できる。
【0138】
なお、通知部80が給電部材4に設けられていることは必須ではなく、図20に示すように、通知部80はDCダクト3に設けられていてもよい。図20に示す通知部80は、第1端子43A及び第2端子43Bにあらかじめ決められた極性の電線が接続された場合に点灯するように構成されているが、電線の誤接続が発生した場合に点灯するように構成されてもよい。また、DCダクト3は、第1端子43A及び第2端子43Bにあらかじめ決められた極性の電線が接続された場合に点灯する第1通知部80Aと、電線の誤接続が発生した場合に点灯する第2通知部80Bと、を備えていてもよい。
【0139】
また、DCダクト3に対して接続されるアダプタ5Aが通知部80を備えていてもよく、アダプタ5Aに対してあらかじめ決められた極性の直流電圧が供給されているか否かを確認できる。
【0140】
また、DCダクト3に接続可能な受電装置が、通知部80を備えた検査機器9(図21参照)を含んでもよい。この場合、DCダクトシステム100は、通知部80を備えた検査機器9をさらに含む。DCダクト3の施工時に、検査機器9をDCダクト3に接続すれば、通知部80が備える光源81が点灯しているか消灯しているかを確認することで電線の誤接続が発生しているか否かを確認できる。
【0141】
また、通知部80は、第1接触子44A及び第2接触子44Bへの直流電圧の印加状態を光で通知するものに限定されず、音で通知するものでもよい。図22に示す通知部80は、第1端子43Aと第2端子43Bとの間に接続されたダイオード83とブザー回路84とを備える。この通知部80では、第2端子43Bに正極側の電線W1が接続され、第1端子43Aに負極側の電線W2が接続されると、ブザー回路84に電流が流れて通知音が出力される。これにより、電線の接続作業を行う作業者は通知部80が通知音を発するか否かに基づいて電線の誤接続が発生しているか否かを確認できる。なお図22に示す回路において、ダイオード83に代えて発光ダイオードを用いてもよく、発光ダイオードの発光とブザー回路84が発する音とで通知を行うことができる。
【0142】
(変形例3)
変形例3のDCダクトシステム100について、図23を用いて説明する。変形例3のDCダクトシステム100において、上記の実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0143】
DCダクトシステム100Aは、DCダクト3と、給電部材4Cとを備える。DCダクト3の構成は上記実施形態と同様であるので、その説明は省略する。給電部材4Cは、第1端子43A及び第2端子43Bに代えて、第1コネクタ46を備える点で上記実施形態の給電部材4と相違する。第1コネクタ46は例えばジャックタイプのコネクタである。第1コネクタ46には、直流電圧を出力する直流電源(例えばACアダプタ96)からの電線W3に設けられた、プラグタイプの第2コネクタ97が接続可能である。第1コネクタ46に第2コネクタ97が接続された状態で、直流電源(ACアダプタ96)から第1接触子44A及び第2接触子44Bに直流電圧が印加される。
【0144】
変形例3のDCダクト3は、上記実施形態と同様に接続阻止構造を有しているので、給電部材4Cは、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのうち、あらかじめ決められた端部のみに接続可能となっている。そのため、給電部材4CをDCダクト3に接続した状態では、正極側の第1接触子44Aは正極側の第1導電バー32Aに接続され、負極側の第2接触子44Bは負極側の第2導電バー32Bに接続される。これにより、給電部材4CをDCダクト3に接続する場合に、正極側の第1接触子44Aが負極側の第2導電バー32Bに誤接続され、負極側の第2接触子44Bが正極側の第1導電バー32Aに誤接続される可能性を低減できる。
【0145】
そして、変形例3のDCダクトシステム100では、給電部材4Cの第1コネクタ46に、直流電源部であるACアダプタ96の電線W3に設けられた第2コネクタ97を接続することで、給電部材4Cと直流電源部とを接続する場合の誤接続を抑制している。よって、DCダクト3の第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0146】
なお、第1コネクタ46及び第2コネクタ97の形状等は適宜変更が可能である。
【0147】
また、第1コネクタ46は給電部材本体42に設けられるものに限定されず、図24に示すように、給電部材4Cの給電部材本体42から導出される電線47に第1コネクタ46Aが設けられていてもよい。
【0148】
(その他の変形例)
上記の実施形態では、DCダクト3に接続阻止構造として突起35が設けられているが、突起35の形状及び位置は適宜変更が可能である。また、DCダクト3の長さ方向における全体に接続阻止構造として突起35が設けられることは必須ではなく、DCダクト3の第1端31A及び第2端31Bのみに接続阻止構造が設けられていてもよい。
【0149】
また、上記の実施形態では、DCダクト3に接続阻止構造が設けられ、給電部材4はDCダクト3の長さ方向における2つの端部のうちの一方のみに接続可能なように構成されているが、DCダクト3に接続阻止構造が設けられることは必須ではない。この場合、長さ方向における2つの端部のそれぞれに給電部材4が接続可能なDCダクト3、又は、DCダクト3に接続される検査機器9に通知部80が設けられていることが好ましい。作業者は、DCダクト3又は検査機器9に設けられた通知部80の通知内容に基づいて第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに誤った極性で直流電圧が印加されている状態を確認できる。したがって、作業者が電線の接続間違いに気づきやすくなり、第1導電バー32A及び第2導電バー32Bに対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0150】
DCダクトシステム100の一部の構成が、他の構成とは独立して提供されてもよい。例えば、DCダクト3、ダクト固定具F1、第1固定部1又は第2固定部2(固定部材)が、他の構成とは独立して提供されてもよい。
【0151】
実施形態1で示した個々の構成の個数は、一例であって、実施形態1で示した個数に限定されない。例えば、DCダクトシステム100は、2つのDCダクト3を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上のDCダクト3を備えていてもよい。また、DCダクトシステム100は、2つの第1固定部1を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第1固定部1を備えていてもよい。また、DCダクトシステム100は、2つの第2固定部2を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第2固定部2を備えていてもよい。また、パーティションシステム200は、3つのパーティション6を備えることに限定されず、1つ、2つ又は4つ以上のパーティション6を備えていてもよい。
【0152】
複数のDCダクト3は、上下方向に並んだ2つ以上のDCダクト3を含んでいてもよい。また、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、導電バー32の電圧が異なっていてもよい。また、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5Aの規格が異なっていてもよい。例えば、上記2つ以上のDCダクト3を、凹部3110の幅又は深さにおいてそれぞれ異ならせることで、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5Aの形状が限定されていてもよい。また、DCダクト3において下側に正極側の第1導電バー32Aが配置され、上側に負極側の第2導電バー32Bが配置されてもよい。
【0153】
1つの第1固定部1が2つ以上のDCダクト3を固定していてもよい。あるいは、2つ以上の第1固定部1が1つのDCダクト3を固定していてもよい。
【0154】
2つ以上のDCダクト3が、各々の長さ方向(左右方向)に連結可能であってもよい。
【0155】
第2固定部2として、横架部21の長さがそれぞれ異なる複数の規格の第2固定部2を用意してもよい。第2固定部2を、規格の異なる別の第2固定部2へ交換することで、什器(机7)の長さに応じて、第1固定部1の両側の2つの第2固定部2の各々の支柱部22間の距離を調整することができる。
【0156】
第2固定部2の構成は、クランプ機構23により什器に固定される構成に限定されない。第2固定部2は、例えば、ねじ止めにより什器に固定される構成であってもよい。また、第1固定部1に、ねじ止めにより什器に固定される部位を設けることで、第1固定部1を第2固定部2と兼用させてもよい。
【0157】
上記の実施形態において、アダプタ5Aを、コネクタ95への出力電圧が異なる別のアダプタへ交換することで、電気機器94への供給電圧を容易に変更可能である。
【0158】
また、コネクタ95は、プラグに限定されず、ジャック(差込口)であってもよい。DCダクト3は、コネクタ95としてのプラグが接続可能な第1のアダプタと、コネクタ95としてのジャックが接続可能な第2のアダプタと、の両方を接続可能であってもよい。これにより、プラグとジャックとのいずれを備える電気機器94又はケーブルにも対応できる。第1のアダプタと第2のアダプタとにおいて、コネクタ95との接続部分以外の構成が共通であってもよい。
【0159】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のDCダクトシステム(100)は、DCダクト(3)と、給電部材(4)と、を備える。DCダクト(3)は、直流電圧が印加される正極側の第1導電バー(32A)及び負極側の第2導電バー(32B)を保持する。DCダクト(3)には、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)の長さ方向における任意の位置に、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)を介して直流電圧の供給を受ける受電装置(5)が接続可能である。給電部材(4)は、第1導電バー(32A)に接続可能な第1接触子(44A)及び第2導電バー(32B)に接続可能な第2接触子(44B)を有し、長さ方向におけるDCダクト(3)の端部に接続される。給電部材(4)は、第1端子(43A)と、第2端子(43B)と、を備える。第1端子(43A)は、第1接触子(44A)に電気的に接続され、直流電圧を出力する直流電源部(PE1)の正極側の電線(W1)が接続可能である。第2端子(43B)は、第2接触子(44B)に電気的に接続され、直流電源部(PE1)の負極側の電線(W2)が接続可能である。DCダクトシステム(100)は、第1接触子(44A)及び第2接触子(44B)への直流電圧の印加状態を通知する通知部(80)を、更に備える。
【0160】
この態様によれば、電線の接続作業を行う作業者は、通知部(80)の通知内容に基づいて、第1端子(43A)及び第2端子(43B)に対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。したがって、第1端子(43A)及び第2端子(43B)に対して誤った極性で電線が接続されている場合、作業者が電線の接続間違いに気づきやすくなり、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0161】
第2の態様のDCダクトシステム(100)では、第1の態様において、通知部(80)が、給電部材(4)に設けられる。
【0162】
この態様によれば、電線の接続作業を行う作業者は、給電部材(4)の通知部(80)の通知内容に基づいて、第1端子(43A)及び第2端子(43B)に対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。
【0163】
第3の態様のDCダクトシステム(100)では、第1の態様において、通知部(80)が、DCダクト(3)に設けられる。
【0164】
この態様によれば、電線の接続作業を行う作業者は、給電部材(4)がDCダクト(3)に接続された状態で、通知部(80)の通知内容に基づいて、第1端子(43A)及び第2端子(43B)に対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。
【0165】
第4の態様のDCダクトシステム(100)では、第1の態様において、受電装置(5)が、通知部(80)を有する検査機器(9)を含む。DCダクトシステム(100)が検査機器(9)を更に含む。
【0166】
この態様によれば、電線の接続作業を行う作業者は、DCダクト(3)に接続された検査機器(9)の通知部(80)の通知内容に基づいて、第1端子(43A)及び第2端子(43B)に対して誤った極性で電線が接続されていないかを確認できる。
【0167】
第5の態様のDCダクトシステム(100)では、第1~4のいずれかの態様において、長さ方向におけるDCダクト(3)の一方の端部に給電部材(4)が接続可能である。長さ方向におけるDCダクト(3)の他方の端部には、給電部材(4)の少なくとも一部と接触することによって、DCダクト(3)の他方の端部への給電部材(4)の接続を阻止する接続阻止構造(35)が設けられる。
【0168】
この態様によれば、DCダクト(3)に接続阻止構造(35)を設けることによって、DCダクト(3)の一方の端部に接続可能な給電部材(4)が、誤ってDCダクト(3)の他方の端部に接続される可能性を低減できる。したがって、給電部材(4)がDCダクト(3)の他方の端部に誤って接続されることで、第1接触子(44A)が第2導電バー(32B)に、第2接触子(44B)が第1導電バー(32A)にそれぞれ接続される可能性を低減できる。
【0169】
第6の態様のDCダクトシステム(100)では、第5の態様において、DCダクト(3)には、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)の長さ方向における全体に接続阻止構造(35)が設けられる。
【0170】
この態様によれば、DCダクト(3)を適宜の寸法で切断した場合でも、DCダクト(3)の長さ方向における両側の端部に接続阻止構造(35)を設けることができる。
【0171】
第7の態様のDCダクトシステム(100)では、第5又は6の態様において、給電部材(4)は、第1給電部材(4A)と、第2給電部材(4B)と、を含む。第1給電部材(4A)は、長さ方向におけるDCダクト(3)の第1端(31A)及び第2端(31B)のうちの第1端(31A)に接続され、第2給電部材(4B)は第2端(31B)に接続される。接続阻止構造(35)は、第1給電部材(4A)の第2端(31B)への接続を阻止し、第2給電部材(4B)の第1端(31A)への接続を阻止する。
【0172】
この態様によれば、第1給電部材(4A)が誤って第2端(31B)に接続されるのを阻止し、また第2給電部材(4B)が誤って第1端(31A)に接続されるのを阻止することができる。
【0173】
第8の態様のDCダクトシステム(100)では、第1~7のいずれかの態様において、通知部(80)は光源(81)を含む。光源(81)は、第1接触子(44A)の電圧よりも第2接触子(44B)の電圧が高くなるように、第1接触子(44A)と第2接触子(44B)とに直流電圧が印加された状態で点灯する。
【0174】
この態様によれば、作業者は、光源(81)が点灯していることから、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して誤った極性で直流電圧が印加されていることを確認できる。第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して正しい極性で直流電圧が印加されている場合は光源(81)が消灯するので、消費電力を低減できる。
【0175】
第9の態様のDCダクト(3)は、第1~8のいずれかの態様のDCダクトシステム(100)が備えるDCダクト(3)である。
【0176】
この態様によれば、DCダクト(3)の第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0177】
第10の態様の給電部材(4)は、第1~8のいずれかの態様のDCダクトシステム(100)が備える給電部材(4)である。
【0178】
この態様によれば、給電部材(4)が接続されるDCダクト(3)の第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0179】
第11の態様の電力供給システム(PS1)は、第1~8のいずれかの態様のDCダクトシステム(100)と、直流電源部(PE1)とを備える。直流電源部(PE1)は、交流電源(91)から入力される交流電圧を直流電圧に変換して給電部材(4)に出力する。
【0180】
この態様によれば、第1導電バー(32A)及び第2導電バー(32B)に対して誤った極性で直流電圧が印加される可能性を低減することができる。
【0181】
第2~第8の態様に係る構成については、DCダクトシステム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また、第9及び第10の態様については、それ単独でも実施し得る態様であって、第1~8のいずれかの態様のDCダクトシステム(100)に適用可能であればよい。
【符号の説明】
【0182】
3 DCダクト
4 給電部材
4A 第1給電部材
4B 第2給電部材
5 受電装置
9 検査機器
31A 第1端
31B 第2端
32A 第1導電バー
32B 第2導電バー
35 突起(接続阻止構造)
43A 第1端子
43B 第2端子
44A 第1接触子
44B 第2接触子
80 通知部
81 光源
91 交流電源
100 DCダクトシステム
PE1 直流電源部
PS1 電力供給システム
W1 電線
W2 電線
図1
図2
図3
図4
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