IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 行政院原子能委員會核能研究所の特許一覧

<>
  • 特開-通気機能を具えた防護服 図1
  • 特開-通気機能を具えた防護服 図2
  • 特開-通気機能を具えた防護服 図3
  • 特開-通気機能を具えた防護服 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008689
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】通気機能を具えた防護服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/02 20060101AFI20220106BHJP
   A62B 17/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A41D13/02 Z
A62B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2012034220
(22)【出願日】2012-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】599171866
【氏名又は名称】行政院原子能委員會核能研究所
【住所又は居所原語表記】1000 Wenhua Rd.Jiaan Village,Longtan District,Taoyuan City 32546,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 源順
(72)【発明者】
【氏名】李 綉偉
【テーマコード(参考)】
2E185
3B011
【Fターム(参考)】
2E185AA01
2E185BA09
3B011AA02
3B011AB01
3B011AC15
3B011AC18
3B011AC26
(57)【要約】
【課題】通気機能を具えた防護服の提供。
【解決手段】この通気機能を具えた防護服は、不通気防護部と複数の通気部に分けられ、これら通気部の周辺と該不通気防護部が接続され、且つこれら通気部はフィルタ材を包含する。該通気部の作用により、防護服を着用する時、内部の熱気が空気流通により排出され、不快感を低減し並びに作業効率をアップする。該通気部のフィルタ材は空気流通時に濾過の機能を発揮し、通気と同時に続けて使用者を保護し、防護服が有するべき防護機能を発揮する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気機能を具えた防護服において、
上から下に、つなぎ式に一体に設けられたフード、上着及びズボンを包含する不通気防護部と、
該上着或いは該ズボンに設置されてフィルタ材を包含する複数の通気部と、
を包含したことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項2】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の四肢末端部分にそれぞれ結束口が設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項3】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の前身頃部分にスライドファスナーが設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項4】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該通気部が該上着の脇下部分に設置されたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項5】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該通気部が該ズボンの膝裏部分に設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項6】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材が着脱式で交換可能であることを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項7】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材の周辺に粘着部が設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項8】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材の内部に複数のフィルタ顆粒を包含することを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項9】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の材料が高分子重合物とされたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の防護服に係り、特に、脇の下等の熱気が溜まりやすい部位及び活動が盛んな部位に通気部を開設して通気機能を具備させた防護服に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の作業環境中にあって、異なる種類の危険因子、たとえばα型放射性核種の拡散、浮遊する微細なアスベスト繊維の粉塵、腐食性有機溶剤の飛沫などが存在し得て、これら危険因子は、もしブロックされなければ、直接人体に接触して厳重な皮膚障害を形成し得る。このため作業員は防護服を着用して有害物に直接接触するのを防止する。このほか、特殊な場面、たとえば半導体生産、生化学技術、精密機械、製薬、病院等の業種は環境汚染に対して特別に敏感な業種であり、環境パラメータ条件をある要求範囲内にコントロールしなければ、工程に影響が生じる。そのうち、半導体業は室内の温度湿度、清浄度に対する要求が最も厳格である。清浄の要求を達成するため、人体の毛髪、皮膚或いは汗、飛沫等を作業環境中に進入させてはならず、このためにも、特殊な衣服によりブロックする必要があり、これらの清浄度に影響を与える因子を人体と衣服の間に封鎖する必要がある。
【0003】
現在普遍的に使用されている無塵服、静電防止服等の防護服は、形式上、通常は一体形式とされて全身を被覆し、僅かに顔面と手足を露出させ、さらに、フェイスマスク、マスク、手袋或いはフットカバー等の付属防護アクセサリにより全身のブロック効果を達成している。人体はこのとき、大面積のブロック状態にあり、これにより、前述の危険因子或いは人体汚染物のほか、人体の発生する熱エネルギー及び湿気もまた一緒に防護服の内側に停滞し、このため、作業中に発生する人体の熱エネルギー及び湿気が有効に放出されることがなく、このため作業員は防護服をある時間着用した後、非常に蒸し暑い作業環境に置かれることとなり、作業効率が低下するのみならず、作業員が働ける作業時間が大幅に短縮することとなる。
【0004】
ハイテクノロジー領域のクリーンルーム中は、温度の多くは空調設備により摂氏25度から27度の範囲に保たれ、病院や実験室等の場所も空調設備により温度が維持される。ただし、空調設備があっても、防護服或いは無塵服を着用すると、人体は相当に蒸し暑く感じ、快適でない。且つ、大部分の作業環境には空調設備がなく、たとえば、化学繊維或いはガラス繊維製造工程、高圧洗浄作業、オイルタンククリーニング或いはラッカー処理等の場面では、防護服を着用して作業環境の危険因子をブロックする時、防護服により蒸し暑さが極度に倍増し、使用者の心理と生理上の負担が増す。
【0005】
防護服着用により発生する極度の蒸し暑さに対し、過去の技術中の多くは、防護服の材質に対する改善を行っており、不断に材質の通気性の改善を行うことで、過多の熱エネルギー及び湿気を排出することを目的としてきた。しかし、材質上の改良による通気率アップには限度があり、隔離防護と通気放熱の概念の衝突の下、高通気率材料の防護服はあまり高い通気放熱効果を上げていない。且つ、高通気率材料の単価は相当に高く、このためこのような防護服の価格は高くなり、大量の作業員が作業のために防護服を着用しなければならない工場、或いは小数の特定の場面でのみ防護服を着用する必要がある使用者にとっては、高価な防護服は生産コストをアップさせるか、使用回数に対してコストパフォーマンスが悪い。
【0006】
これにより、いかに通気機能を有し、且つ価格が高い高通気率材料を使用せずに製造できる防護服を提供するかが、防護領域において解決に急を要する問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主要な目的は、一種の通気機能を具えた防護服を提供することにあり、該防護服には通気性を有する部位が設置され、空気を順調に入出させられ、これにより防護服内の温度と湿度を調整するものとする。
【0008】
本発明の次の目的は、一種の通気機能を具えた防護服を提供することにあり、該防護服は全面的に高価な高通気率材料を使用する必要がなく、通気部の設置により、直接熱エネルギーと湿気を放出でき、低コストで製造できる高通気効果の防護服であるものとする。
【0009】
本発明の別の目的は、一種の通気機能を具えた防護服を提供することにあり、該防護服の通気部は例えば脇の下などの人体の作業時に活動が頻繁な部位に設置され、これにより通気降温の効果を確保するものとする。
【0010】
本発明の更なる目的は、一種の通気機能を具えた防護服を提供することにあり、該防護服の通気部のフィルタ材は応用場面の違いに応じて最も適合する高機能フィルタ材に置換可能で、該防護服はフィルタ材置換により、異なる危険因子の作業地点のいずれでも使用できるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は通気機能を具えた防護服を提供し、それは、フード、上着及びズボンを包含する不通気防護部、該上着と該ズボンに設置され、それぞれフィルタ材を包含する複数の通気部を包含する。該通気部により空気の流通を許容し、放熱効果が達成される。さらに、フィルタ材の設置により、空気の流通と同時に良好な防護の作業を行える。
【発明の効果】
【0012】
従来の技術の防護服は、高通気率材料を採用しているが、その通気放熱効果は依然として不良であり、且つ価格が高く、使用者の負担が相当に重かった。ゆえに、本発明はこれらの欠点に対して、一種の通気機能を具えた防護服を提供し、高い通気放熱効果、低い清算コスト、及び応用の自由度の目標を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例の正面図である。
図2】本発明の実施例の部分表示図である。
図3】本発明の実施例の部分断面図である。
図4】本発明の実施例の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0015】
まず、図1に示されるように、本発明の通気機能を具えた防護服は、フード10、上着11及びズボン12を包含する不通気防護部1、及びフィルタ材21を包含する複数の通気部2を包含する。
【0016】
接続関係において、該フード10、該上着11及び該ズボン12は繋げて一体に設けられている。該不通気防護部1と該通気部2の接続関係は、図1図2及び図3を参照されたい。該通気部2は該上着11と該ズボン12に設置され、該フィルタ材21は該通気部2に設置される。
【0017】
上述の部品のほか、さらに図1図4を参照されたいが、該不通気防護部1はさらにスライドファスナー3と複数の結束口4を包含する。且つ該上着11はさらに脇下部分110を包含する。及び、該ズボン12はさらに、膝裏部分120を包含する。該フィルタ材21はさらに、粘着部210と複数のフィルタ顆粒211を包含する。
【0018】
そのうち、該スライドファスナー3は該不通気防護部1の前身頃部分(上から下に、該フード10から不通気防護部1の腹部まで)に設置される。これらの結束口4は該不通気防護部1の四肢末端部分に設置される。該脇下部分110は該上着11に位置し、通気部2の設置位置とされる。該膝裏部分120は該ズボン12に位置し、通気部2の別の設置可能な位置とされる。該粘着部210は該フィルタ材21の周辺に位置する。これらフィルタ顆粒211は該フィルタ材21の内部に位置する。
【0019】
本発明は使用時に、一般のつなぎ式の防護服と同様に着用される。まず、該スライドファスナー3を完全に引き下げた後、人体の下肢、上半身、腕を順に本発明の防護服に進入させ、そのうち、左右の手足は着用時にはこれら結束口4に通されて露出させられる。最後に、該スライドファスナー3を引き上げれば着用完成である。
【0020】
本発明のこれら通気部2の設置位置について、図1図4を参照されたい。本発明中、該不通気防護部1の材質は高分子重合物とされ、その特性は不通気であるか、通気率が非常に低く不通気と見なし得て、非常に良好な隔離遮断効果を有する。これら通気部2は該不通気防護部1とは異なり、空気を流通させるのに十分な孔を有している。且つ本発明の通気機能を具えた防護服の目的は、空気を順調に入出させて、防護服内の蒸し暑さを減らすことにあり、これにより、これら通気部2は特定部位に設置されて、通気機能に良好な効果を達成させるべきである。ゆえに、防護服を着用して活動する時に、例えば、該脇下部分110(上体動作時)或いは該膝裏部分120(下肢走行或いは立ったり座ったりする時)等の活動量が比較的大きな部位が、これら通気部2の好ましい設置の選択対象である。そのメカニズムは、使用者が手を動かして何かを操作するか、走行するか或いは立ったり座ったりする動作の時に、使用者の肢体が該脇下部分110或いは該膝裏部分120の防護服に対して比較的大きな押圧押動効果を有し、これにより、使用者の動作が主動的に空気を押動し、これによりこれら通気部2の内側と外側の空気がこれら通気部2を入出して、本発明の訴求の通気機能を達成する。
【0021】
このほか、使用者が本発明を使用する時、使用者自身が発生する熱エネルギーと湿気は、これら通気部2により外界空気中に放出される。且つこれら通気部2はさらに該フィルタ材21を有し、該フィルタ材21内部はこれらフィルタ顆粒211とされ、それは顆粒状の高機能フィルタ粒子とされ、良好な濾過効果を有する。本発明は該フィルタ材21の応用を通し、人体の汚染物を作業環境中に進入させず、外界の危険因子も空気に伴い防護服内側に進入して人体を傷つけることがない。通気性と同時に、本発明はまた防護服が具備するべき高水準の防護効果を有している。
【0022】
上述の実施例は本発明の通気機能を具えた防護服の構造設計と作用効果を説明し、それは該不通気防護部1を主体とし、さらに特定部位にこれら通気部2が設置され、熱エネルギーと湿気を順調に発散させ、且つフィルタ材21のフィルタ機能が組み合わされ、通気性と安全防護の効果を達成する。しかし、以上の優れた技術特徴のほか、本発明はさらに交換式フィルタ材の設計を有し、それにより本発明の応用上の自由度と範囲を広げている。
【0023】
本発明の通気機能を具えた防護服はこれら通気部2の該フィルタ材21が着脱式で交換可能とされ、その周囲の該粘着部210の形式は面ファスナー或いは密封可能で重複粘着可能な材質とされ、それは使用者の応用場面の違いに応じて、着脱、交換可能であり、最も適合する高機能フィルタ材に交換可能であり、たとえば、作業環境の危険因子の顆粒のサイズ、形態の違い、或いは物理化学特性の違いに応じて調整され、これにより、本発明は僅かにフィルタ材21を交換するだけで、異なる危険因子の存在する作業環境においても使用でき、新たに別の完全な防護服を準備する必要はなく、便利で応用性が高い設計である。
【0024】
この通気機能を具えた防護服により、使用者は快適感を味わえ、これにより、使用者の、危険な環境或いは特殊なクリーン環境での作業の効率を高めることができ、さらに使用者が過熱により頻繁に作業を中断せざるを得なくなるのを防止できる。さらに、本発明の具備する低コストと良好な応用性は、産業界の需要にマッチし並びにそれを満足させる。
【0025】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0026】
1 不通気防護部
10 フード
11 上着
110 脇下部分
12 ズボン
120 膝裏部分
2 通気部
21 フィルタ材
210 粘着部
211 フィルタ顆粒
3 スライドファスナー
4 結束口
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2013-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気機能を具えた防護服において、
上から下に、つなぎ式に一体に設けられたフード、上着及びズボンを包含する不通気防護部と、
該上着或いは該ズボンに設置されてフィルタ材を包含する複数の通気部と、
を包含し、
該フィルタ材は粘着部により該通気部における設置位置に固定され、並びに該粘着部により該フィルタ材を着脱して交換できることを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項2】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の四肢末端部分にそれぞれ結束口が設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項3】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の前身頃部分にスライドファスナーが設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項4】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該通気部が該上着の脇下部分に設置されたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項5】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該通気部が該ズボンの膝裏部分に設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項6】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材が着脱式で交換可能であることを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項7】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材の周辺に粘着部が設けられたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項8】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該フィルタ材の内部に複数のフィルタ顆粒を包含することを特徴とする、通気機能を具えた防護服。
【請求項9】
請求項1記載の通気機能を具えた防護服において、該不通気防護部の材料が高分子重合物とされたことを特徴とする、通気機能を具えた防護服。