(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086898
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20220602BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
B60Q1/00 E
B60Q1/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199172
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 光恵
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA25
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA08
3K339BA09
3K339BA16
3K339BA19
3K339BA22
3K339BA30
3K339CA12
3K339CA30
3K339EA01
3K339EA03
3K339EA04
3K339EA05
3K339EA09
3K339EA10
3K339GA01
3K339GB01
3K339GB14
3K339GB21
3K339GB26
3K339HA02
3K339HA30
3K339JA21
3K339JA26
3K339KA11
3K339KA37
3K339MA01
3K339MA03
3K339MA04
3K339MA07
3K339MC01
3K339MC02
3K339MC36
3K339MC67
(57)【要約】
【課題】搭載スペース上の制約を受けることなくセンサ及びランプの省設置スペース化を実現すること。
【解決手段】車両用センサ/ランプ一体ユニットは、車両のフェンダ部に設置される。この車両用センサ/ランプ一体ユニットは、所定波長帯の電磁波を用いて車両周囲の状況を検出するセンサと、車両周囲に向けて光を発するランプと、センサを覆い、上記の電磁波を透過可能な表面板部と、センサ及びランプを保持する保持部と、を備える。センサは、自車両と対象物との間の距離を測定する距離測定用センサを含む。ランプは、ターンランプ、路面描画用ランプ、又はボディ透過サイネージ用ランプを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフェンダ部に設置される車両用センサ/ランプ一体ユニットであって、
所定波長帯の電磁波を用いて車両周囲の状況を検出するセンサと、
車両周囲に向けて光を発するランプと、
前記センサを覆い、前記電磁波を透過可能な表面板部と、
前記センサ及び前記ランプを保持する保持部と、
を備える、車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項2】
前記センサは、自車両と対象物との間の距離を測定する距離測定用センサを含む、請求項1に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項3】
前記ランプは、ターンランプ、路面描画用ランプ、又はボディ透過サイネージ用ランプを含む、請求項1又は2に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項4】
前記表面板部は、前記フェンダ部の表面形状に合わせて板状に形成され、前記フェンダ部に開いた取付孔を塞ぐように露出している、請求項1乃至3の何れか一項に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項5】
前記保持部に保持されるサイドミラー用カメラ又はサイドビューカメラを備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項6】
前記フェンダ部又は車体フレームに固定される固定部を備える、請求項1乃至5の何れか一項に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項7】
前記センサにより検出される前記状況に応じて必要なメッセージが提示されるように前記ランプの発光を制御する制御部を備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載された車両用センサ/ランプ一体ユニットと、
前記センサにより検出される前記状況に応じて必要なメッセージが提示されるように前記ランプの発光を制御する制御部と、
を備える、車両用センサ/ランプ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドア側面に配置されたサイドミラーにウェルカムランプなどの路面描画用の光源ユニットやカメラなどのセンサを内蔵させた車両が知られている(例えば、特許文献1)。また、車両周囲の状況を検出するため、ミリ波レーダや赤外線センサ(例えばLiDAR)などのセンサ類を車両の前端部や車体側面等の外端部に配置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のセンサ類やランプ,表示装置などをサイドミラーの筐体内に格納するとなると、搭載スペース上の制約が生じる。更に、今後、サイドミラーは電子化により小型化することが予想されるため、その制約がより一層に進行するおそれがある。一方、上記のセンサ類やランプ,表示装置が互いに離れた箇所に設置されると、過大な設置スペースを用意することが必要となり、見栄えが悪く、搭載性が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、搭載スペース上の制約を受けることなくセンサ及びランプの省設置スペース化を実現することが可能な車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両のフェンダ部に設置される車両用センサ/ランプ一体ユニットであって、所定波長帯の電磁波を用いて車両周囲の状況を検出するセンサと、車両周囲に向けて光を発するランプと、前記センサを覆い、前記電磁波を透過可能な表面板部と、前記センサ及び前記ランプを保持する保持部と、を備える、車両用センサ/ランプ一体ユニットである。
【0007】
この構成によれば、車両用センサ/ランプ一体ユニットが、センサ及びランプの双方が保持部に保持されかつセンサが表面板部により覆われた状態で車両のフェンダ部に設置されるので、センサ及びランプは、一体となって車両に組み込まれる。このため、搭載スペース上の制約を受けることなく省設置スペース化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システムを搭載する車両の斜視図である。
【
図2】実施形態の車両用センサ/ランプ一体ユニットの正面図である。
【
図3】実施形態の車両用センサ/ランプ一体ユニットを
図2に示す直線II-IIで切断した際の断面図である。
【
図4】実施形態の車両用センサ/ランプ一体ユニットが備えるセンサ及びランプの制御ブロックを表した図である。
【
図5】実施形態の車両用センサ/ランプ一体ユニットにおける制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【
図6】一変形形態に係る車両用センサ/ランプ一体ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明に係る車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システムの具体的な実施形態について説明する。
【0010】
1.車両用センサ/ランプ一体ユニットの構成
一実施形態の車両用センサ/ランプ一体ユニット(以下、単に一体ユニットと称す。)1は、車両2に搭載されるセンサやランプ,カメラなどが一体化されるアッシである。一体ユニット1は、車両2の左右外面それぞれに配置されており、
図1及び
図2に示す如く、特に車両2のフェンダ部(具体的には、フロントフェンダ部)3に設置されている。
【0011】
フェンダ部3は、車輪の上部の外周を覆う部位に設けられる車体ボディである。フェンダ部3は、
図3に示す如く、車体フレーム(図示せず)に爪嵌合などにより固定されている。フェンダ部3は、車幅方向Xに膨らむように湾曲したパネル状に形成されている。フェンダ部3は、例えば、タイヤハウスの外縁部分で車幅方向Xへ最も出っ張り、その外縁部分から離れる部位ほど車幅方向Xの中央側へ凹むように形成されている。フェンダ部3は、傾斜面3aを有している。傾斜面3aは、タイヤハウスの外縁部分のうち車両後方側の部位から車両後方Yにかけて車幅方向Xの中央側へ凹むように傾斜する面である。傾斜面3aは、車幅方向Xと車両後方Yとの間の車両斜め後方に向いている。
【0012】
フェンダ部3は、取付孔3bを有している。取付孔3bは、一体ユニット1を取り付けるために開いた孔である。取付孔3bは、傾斜面3aを含む部位に設けられている。取付孔3bは、例えば
図1及び
図2に示す如く、三角形状に形成されている。一体ユニット1は、フェンダ部3の傾斜面3aを箇所に設置されており、取付孔3bから一部が露出するように配置されている。
【0013】
一体ユニット1は、
図2及び
図3に示す如く、センサ10と、ランプ20と、カメラ30と、表面板部40と、保持部50と、を備えている。センサ10は、車両2周囲の状況を検出する機器である。ランプ20は、車両2周囲に向けて光を発する発光部である。カメラ30は、車両2周囲の状況を撮像する機器である。表面板部40は、センサ10を覆い、センサ10の発する電磁波を透過することが可能な部位である。保持部50は、センサ10及びランプ20を保持する部位である。
【0014】
センサ10は、所定波長帯の電磁波を用いて車両2と対象物(例えば、他車両や人など)との間の距離を測定する距離測定用センサなどである。センサ10は、例えば、30GHz~300GHz帯のミリ波の電磁波を照射するミリ波レーダや、赤外線のレーザ光を照射するLiDAR、超音波を照射するクリアランスソナーなどを含む。尚、センサ10は、複数設けられ、それら複数のセンサ10には、表面板部40に覆われないものが含まれてもよい。
【0015】
ランプ20は、例えば、車両2の方向指示器として点滅する光源としてのターンランプや、車両2に乗車する人に視認可能となるように車両ドア横の路面に描画のための光を照射するウェルカムランプとしての路面描画用ランプなどを含む。尚、ターンランプは、少なくとも方向指示器としての橙色での点滅を行うものであればよく、青色や白色での点灯などを行うものであってもよい。また、ターンランプは、ライン上に延びるLED導光棒であって、外面に向けて略均一に発光するものであってもよい。
【0016】
カメラ30は、車両2周囲の状況を撮像するCCDカメラなどである。カメラ30は、例えば、サイドミラーとして機能させるために車両2の側部から後方に向けて指向された電子サイドミラーカメラや、車両2の側部から運転者の死角を含む位置に向けて指向されたサイドビューカメラなどを含む。尚、カメラ30は、表面板部40に覆われていてもよいが、覆われていなくてもよい。
【0017】
以下、センサ10としてのミリ波レーダ及びLiDARをミリ波レーダ11及びLiDAR12と称す。ランプ20としてのターンランプ及び路面描画用ランプをターンランプ21及び路面描画用ランプ22と称す。また、カメラ30としての電子サイドミラーカメラ及びサイドビューカメラを電子サイドミラーカメラ31及びサイドビューカメラ32と称す。
【0018】
表面板部40及び保持部50は、互いに一体化されている。表面板部40及び保持部50はそれぞれ、センサ10とランプ20とカメラ30とを一体化させてフェンダ部3に対して位置決めする治具60の一部をなす。すなわち、治具60は、表面板部40と、保持部50と、を有している。治具60、すなわち、表面板部40及び保持部50は、樹脂により形成されている。治具60は、フェンダ部3に固定される。
【0019】
表面板部40は、フェンダ部3の表面形状に合わせて板状に形成されている。表面板部40は、フェンダ部3の取付孔3bを塞ぐように形成されており、その取付孔3bで車両2の外側に露出している。表面板部40は、取付孔3b周辺のフェンダ形状に合わせて断面湾曲状に形成されている。
【0020】
表面板部40は、固定部49を有している。固定部49は、表面板部40全体をフェンダ部3に固定するための部位である。固定部49は、フェンダ部3に固定された際に取付孔3bから外部に露出しないように表面板部40の周縁部に設けられている。尚、固定部49は、表面板部40の周縁部に複数箇所設けられていてよい。また、フェンダ部3への固定部49の固定は、スクリュ締めなどで行われる。
【0021】
保持部50は、ミリ波レーダ11及びLiDAR12を保持し、電子サイドミラーカメラ31及びサイドビューカメラ32を保持すると共に、ターンランプ21及び路面描画用ランプ22を保持する。保持部50は、主に表面板部40の裏面に一体的に形成されている。尚、保持部50は、表面板部40の表面側に形成されるものを含んでもよい。保持部50は、センサ10、ランプ20、及びカメラ30それぞれの形状及び大きさに合わせてセンサ10、ランプ20、及びカメラ30が物理的にかつ機能的に互いに干渉しない位置に配置されるように形成されている。尚、保持部50への各センサ10、各ランプ20、又は各カメラ30の保持は、樹脂製や金属製のブラケットを介して行われてもよい。
【0022】
ミリ波レーダ11は、表面板部40の裏側に配置されており、保持部50としての保持片部51に保持されている。ミリ波レーダ11は、表面板部40を透過して車両後方に向けてミリ波の電磁波を照射する。このミリ波レーダ11の電磁波照射は、表面板部40の後方に向いた後端面(特に、フェンダ部3の傾斜面3aに対応する部位)を通じて行われる。
【0023】
LiDAR12は、表面板部40の裏側に配置されており、保持部50としての保持片部52に保持されている。LiDAR12は、表面板部40を透過して車両側方に向けてレーザ光を照射する。このLiDAR12の光照射は、表面板部40の側方に向いた面を通じて行われる。
【0024】
電子サイドミラーカメラ31は、表面板部40に開いた露出孔43を通じて外部に露出するように配置されており、保持部50としての保持片部(図示せず)に保持されている。電子サイドミラーカメラ31は、配置位置から車両後方に向けて指向されており、その方向を撮像する。電子サイドミラーカメラ31の撮像した画像は、車室内にサイドミラーを模して配置されたモニタに表示されることにより車両運転者に提供される。
【0025】
サイドビューカメラ32は、表面板部40に開いた露出孔44を通じて外部に露出するように配置されており、保持部50としての保持片部54に保持されている。サイドビューカメラ32は、配置位置から車両側方の斜め下方に向けて指向されており、その方向を撮像する。サイドビューカメラ32の撮像した画像は、車室内のモニタに表示されることにより車両運転者に提供される。
【0026】
ターンランプ21は、車両2側方から視認可能となるように、表面板部40の表面に設けられた取付部41に取り付けられている。ターンランプ21は、例えば、表面板部40の前部などに配置されている。ターンランプ21は、フェンダ部3の取付孔3bの湾曲した前側辺に沿うように帯状に形成されている。尚、ターンランプ21は、車両2前方や後方から視認可能になるように表面板部40から車幅方向に出っ張るように取り付けられていてもよい。また、ターンランプ21は、
図2に示す如く、表面板部40の表面に複数箇所(
図2においては二箇所)に分かれて設けられていてもよい。
【0027】
路面描画用ランプ22は、表面板部40の表面に設けられた取付部42に取り付けられている。路面描画用ランプ22は、例えば、表面板部40の後部などに配置されている。路面描画用ランプ22は、配置位置から車両側方の斜め下方に指向されており、その方向に向けて光を照射する。路面描画用ランプ22の照射した光は、道路路面に達して路面描画として表示される。
【0028】
また、センサ10、ランプ20、及びカメラ30は、フェンダ部3の最外の車幅方向位置よりも車幅方向外側に出っ張らないようにすなわち車幅方向内側に収まるように配置されている。
【0029】
一体ユニット1の車両2への組み付けは、センサ10、ランプ20、及びカメラ30が保持部50の所望位置に所望方向から配置されるように組み立てられて一体ユニット1が構成された後、その一体ユニット1が表面板部40がフェンダ部3に取付孔3bから露出した状態で固定されることにより行われる。
【0030】
かかる構成によれば、センサ10及びランプ20が一体ユニット1で一体化された状態で一括して車両2に組み込まれるので、センサ10及びランプ20をそれぞれ個別に車両2に組み込む構成とは異なり、製造上の手間を省いてその簡素化を図ることができる。また、センサ10及びランプ20が互いに近い箇所に一体となって設置されるので、設置スペースを小さくして見栄えを良好に維持することができ、これにより、搭載スペース上の制約を受けることなく省設置スペース化を実現することができる。
【0031】
更には、カメラ30もセンサ10及びランプ20と一体ユニット1で一体化された状態で一括して車両2に組み込まれるので、カメラ30を個別に車両2に組み込む構成とは異なり、製造上の手間を更に省いてその簡素化を図ることができる。また、センサ10、ランプ20、及びカメラ30が互いに近い箇所に一体となって設置されるので、設置スペースを小さくして見栄えを良好に維持することができ、これにより、搭載スペース上の制約を受けることなく省設置スペース化を実現することができる。
【0032】
また、一体ユニット1は、車両2における車両斜め後方に向く傾斜面3aを有するフェンダ部3に設置される。この一体ユニット1の設置によれば、センサ10、ランプ20、及びカメラ30を傾斜面3aを用いて適切に配置することで、センサ10の電磁波照射方向、ランプ20の光照射方向、及びカメラ30カメラ指向方向などを車両後方Yに向け易くすることができる。このため、センサ10、ランプ20、及びカメラ30の機能がその配置に起因して損なわれるのを防止することができる。
【0033】
また、上記の如く一体ユニット1がフェンダ部3に設置されれば、その一体ユニット1が車両ドアと窓ガラスとの境界付近に設置される構造と比較して、車両(特に、車両ドアと窓ガラスとの境界付近)のデザイン上の制約を軽減することができる。従って、本実施形態の一体ユニット1によれば、車両のデザイン性を向上させつつセンサ10、ランプ20、及びカメラ30の機能を確保することができる。
【0034】
また、上記の如く一体ユニット1がフェンダ部3に設置されれば、周知の車両ドアと窓ガラスとの境界付近に設置される一般的なサイドミラーの筐体内にセンサ10、ランプ20、及びカメラ30を格納する構造と異なり、搭載スペース上の制約が生じるのを回避することができ、搭載スペースの自由度を上げることができる。
【0035】
従って、一体ユニット1によれば、搭載スペース上の制約を受けることなくセンサ10、ランプ20、及びカメラ30の省設置スペース化を実現することができる。
【0036】
また、上記した一体ユニット1の設置によれば、車両ドアと窓ガラスとの境界付近で車幅方向外側に出っ張る部材を無くすことができるので、車両2の空力特性を改善することができ、これにより、車両2の燃費低減を図ることができ、風切り音の低減を図ることができる。また、一体ユニット1が、車両乗員の耳元に近い車両ドアと窓ガラスとの境界付近から物理的に遠いフェンダ部3に設置されるので、車両2の騒音低減を図ることができる。
【0037】
更に、フェンダ部3にセンサ10、ランプ20、及びカメラ30が配置されれば、車両ドアと窓ガラスとの境界付近にセンサ10、ランプ20、及びカメラ30が配置される構成と比較して、センサ10、ランプ20、及びカメラ30をその機能を確保した状態で配置できる領域を広範囲なものとすることができるので、そのセンサ10、ランプ20、及びカメラ30の配置自由度を高めることができる。
【0038】
そして、センサ10、ランプ20、及びカメラ30は、上記の如く、フェンダ部3の最外の車幅方向位置よりも車幅方向外側に出っ張らないようにすなわち車幅方向内側に収まるように配置されている。この構造では、センサ10、ランプ20、及びカメラ30がフェンダ部3の最外の車幅方向位置よりも車幅方向外側に出っ張らないので、車両2の空力特性が損なわれるのを回避することができる。
【0039】
2.車両用センサ/ランプ一体ユニット及び車両用センサ/ランプ制御システムにおける動作制御
一体ユニット1のセンサ10、ランプ20、及びカメラ30はそれぞれ、
図4に示す如く、制御部70に電気的に接続されている。制御部70は、コンピュータを主体に構成された、ランプ20の発光を制御する制御装置である。制御部70は、一体ユニット1と一緒に車両用センサ/ランプ制御システムを構成している。尚、制御部70は、一体ユニット1の治具60に保持されて一体ユニット1の一部としてセンサ10、ランプ20、及びカメラ30に接続されていてもよいし、或いは、治具60から離れて車体側に取り付けられ、センサ10、ランプ20、及びカメラ30にハーネスを介して接続されていてもよい。
【0040】
制御部70には、センサ10(具体的には、ミリ波レーダ11及びLiDAR12)及びカメラ30(具体的には、電子サイドミラーカメラ31及びサイドビューカメラ32)が出力する車両周囲の状況に応じた検出信号が入力される。制御部70は、センサ10及びカメラ30からの検出信号に基づいて、ランプ20(具体的には、ターンランプ21及び路面描画用ランプ22)の発光を制御することが可能である。
【0041】
具体的には、制御部70は、センサ10の検知範囲やカメラ30の撮像範囲に対象物が進入したか否かを判別する(
図5に示すステップS100)。例えば、この判別は、ミリ波レーダ11の電磁波照射範囲に対象物が進入したか否か、電子サイドミラーカメラ31の撮像範囲に映し出された対象物が自車両に近づくか否かなどに基づいて行われる。
【0042】
制御部70は、センサ10の検知範囲やカメラ30の撮像範囲に対象物が進入したと判別した場合は、次に、例えば両者の相対速度が大きく或いは対象物の予想軌跡が自車両に向かっていることで所定時間内に自車両とその対象物との間で接触が生じる危険が予測されるか否かを判別する(ステップS110)。尚、この判別は、センサ10やカメラ30による検出結果の時間変化に基づいて行われるものであってよいし、更には、そのセンサ10やカメラ30による検出結果と車両挙動(例えばドア開など)とに基づいて行われるものであってよい。
【0043】
そして、制御部70は、自車両と対象物との間でその危険が予測されると判別した場合は、その危険をその対象物を含む車両周囲に知らせ或いは相手に危険回避行動を促すために車両周囲に向けた或いはその対象物に向けた発光をランプ20に対して指令する(ステップS120)。かかる指令が行われると、ランプ20が発光する。例えば、ターンランプ21が高速で点滅し、或いは、路面描画用ランプ22が路面に向けて危険を知らせ或いは相手に危険回避行動を促すための描画を行う。
【0044】
この構成においては、車両周囲の状況を検出するセンサ10と、車両周囲の状況を撮像するカメラ30と、それらのセンサ10やカメラ30による検出結果に基づいて発光されるランプ20と、が一つの一体ユニット1で一体化されて互いに連動して機能する。具体的には、センサ10やカメラ30により検出される車両周囲の状況から車両の危険性が判断され、危険が生じる可能性があるときに必要なメッセージが提示されるようにランプ20が発光される。
【0045】
従って、一体ユニット1で一体化されたセンサ10、ランプ20、及びカメラ30を互いに連動して機能させることができるので、一体ユニット1の商品性を向上させることができる。
【0046】
尚、ターンランプ21の発光は、上記したセンサ10やカメラ30による検出結果に基づいて制御される場合とは別に、車両運転者によるターンスイッチの操作やハザードスイッチの操作或いは緊急ブレーキの作動などに従って制御されるものであってよい。また、路面描画用ランプ22の発光は、上記したセンサ10やカメラ30による検出結果に基づいて制御される場合とは別に、車両乗員の車両への接近などに基づいて制御されるものであってよい。
【0047】
また、上記したセンサ10やカメラ30による検出結果に基づくランプ20の発光は、センサ10やカメラ30による検出結果に基づいて車両運転者又は車両周囲に向けて警告音(例えばブザー音)が発生することを前提にして行われるものであってよい。更に、この車両周囲に向けて警告音を発生する警告装置は、一体ユニット1の治具60に一体化されてその一体ユニット1として一体化されてもよい。
【0048】
ところで、上記の実施形態においては、一体ユニット1が設置される車両2のフェンダ部3がフロントフェンダ部である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、一体ユニット1がリアフェンダ部に設置される構成に適用することとしてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態においては、ランプ20が、方向指示器としてのターンランプ21と、路面描画を行う路面描画用ランプ22と、を含む。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図6に示す如く、ランプ20が、表面板部40の表面領域40a(
図6において破線で囲まれる領域)に図画や文字の表示を行うボディ透過サイネージ用ランプ23を含むものとしてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、センサ10、ランプ20、及びカメラ30がフェンダ部3の最外の車幅方向位置よりも車幅方向外側に出っ張らないようにすなわち車幅方向内側に収まるように配置されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、センサ10、ランプ20、及びカメラ30のすべて又は一部がその機能を確保するためにフェンダ部3の最外の車幅方向位置よりも車幅方向外側に出っ張るように配置されていてもよい。
【0051】
更に、上記の実施形態においては、一体ユニット1の表面板部40が固定部49でフェンダ部3に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、一体ユニット1の表面板部40が固定部49で車体フレーム(図示せず)に固定されるものであってもよい。
【0052】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1:車両用センサ/ランプ一体ユニット、2:車両、3:フェンダ部、3a:傾斜面、10:センサ、11:ミリ波レーダ、12:LiDAR、20:ランプ、21:ターンランプ、22:路面描画用ランプ、23:ボディ透過サイネージ用ランプ、30:カメラ、31:電子サイドミラーカメラ、32:サイドビューカメラ、40:表面板部、49:固定部、50:保持部。