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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086899
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】電池用電極の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220602BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220602BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199173
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121430
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】榎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA17
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】搬送される集電体上の搬送方向における所望の位置に活物質を容易に供給することができる活物質供給装置を提供する。
【解決手段】内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向Dに搬送される集電体31B上に、粉体状の活物質32cを供給する活物質供給装置700であって、チャンバ内に設けられ、内部に活物質32cが収容されるホッパ770と、ホッパ770に備えられ、活物質32cを集電体31Bに向けて供給するための開口731を開閉するシャッタ741,742と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される集電体上に、粉体状の活物質を供給する活物質供給装置であって、
前記チャンバ内に設けられ、内部に前記活物質が収容されるホッパと、
前記ホッパに備えられ、前記活物質を前記集電体に向けて供給するための開口を開閉するシャッタと、
を備える、活物質供給装置。
【請求項2】
前記シャッタを前記集電体の搬送方向に搬送する開閉機構と、
前記開閉機構を制御する制御部と、
を備える、請求項1に記載の活物質供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の活物質供給装置と、
前記チャンバ内に配置され、前記集電体上に枠体を供給する枠体供給部と、
を備える、電池用電極の製造装置。
【請求項4】
前記枠体供給部は、前記ホッパよりも前記搬送方向の上流側に配置され、
前記制御部は、前記開閉機構により、前記枠体の内部空間に前記活物質を供給する、請求項3に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記開口のうち前記シャッタにより閉じられていない部分の下方に前記枠体の内部空間が位置するように、前記開閉機構により前記シャッタを搬送する、請求項3または4に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項6】
前記シャッタが前記開口を閉じた状態で、
前記制御部は、
前記開閉機構により前記シャッタを、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向の下流側に移動させて、前記開口を開き、
前記ホッパが前記枠体の内部空間に前記活物質を供給した後で、前記開閉機構により前記シャッタを前記搬送方向の上流側に移動させて、前記開口を閉じる、請求項3から5のいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項7】
前記枠体供給部は、前記ホッパよりも前記搬送方向の下流側に配置され、
前記制御部は、前記開閉機構により、前記集電体上に供給した前記枠体の内部空間に前記活物質が入るように、前記集電体上に前記枠体を供給する、請求項3に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項8】
前記シャッタとして、
第1シャッタ扉と、
前記第1シャッタ扉よりも前記搬送方向の下流側に配置された第2シャッタ扉と、
を有する、請求項3から7のいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項9】
前記第1シャッタ扉は、
第1主面が前記開口を開閉する本体板と、
前記本体板の第2主面に、前記第2主面から突出し、前記枠体に接触可能な肉厚部と、
を有する、請求項8に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項10】
前記第2シャッタ扉のみが前記開口を閉じた状態で、
前記制御部は、
前記開閉機構により前記第2シャッタ扉を、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向の下流側に移動させて、前記開口を開き、
前記ホッパが前記枠体の内部空間に前記活物質を供給した後で、前記開閉機構により前記第1シャッタ扉を前記下流側に移動させて、前記開口を閉じる、請求項8又は9に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項11】
前記ホッパを前記搬送方向に搬送する搬送機構を備え、
前記制御部は、前記搬送機構により前記ホッパを、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向に搬送する、請求項3から10のいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項12】
内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送される集電体上に、粉体状の活物質を供給する活物質供給方法であって、
前記チャンバ内に設けられ、内部に前記活物質が収容されたホッパに、前記活物質を前記集電体に向けて供給するために備えられた開口を、シャッタで開閉する、活物質供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質供給装置、電池用電極の製造装置、および活物質供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集電体上に活物質を供給することが行われている(例えば、特許文献1および2参照)。集電体上に、活物質である正極活物質、セパレータ、活物質である負極活物質、および第2の集電体を配置して、電池構造体が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6633866号公報
【特許文献2】特開2019-207750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、集電体が所定の速度で搬送される場合には、集電体が搬送されていない場合に比べて、集電体上の搬送方向における所望の位置に活物質を供給することが、困難になる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、搬送される集電体上の搬送方向における所望の位置に活物質を容易に供給することができる活物質供給装置、この活物質供給装置を備える電池用電極の製造装置、および活物質供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様の活物質供給装置は、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される集電体上に、粉体状の活物質を供給する活物質供給装置であって、前記チャンバ内に設けられ、内部に前記活物質が収容されるホッパと、前記ホッパに備えられ、前記活物質を前記集電体に向けて供給するための開口を開閉するシャッタと、を備える。
【0007】
本発明の一態様の電池用電極の製造装置は、前記に記載の活物質供給装置と、前記チャンバ内に配置され、前記集電体上に枠体を供給する枠体供給部と、を備える。
本発明の一態様の活物質供給方法は、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送される集電体上に、粉体状の活物質を供給する活物質供給方法であって、前記チャンバ内に設けられ、内部に前記活物質が収容されたホッパに、前記活物質を前記集電体に向けて供給するために備えられた開口を、シャッタで開閉する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の活物質供給装置、電池用電極の製造装置、および活物質供給方法によれば、搬送される集電体上の搬送方向における所望の位置に活物質を容易に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の電池用電極の製造装置を用いて製造される電池の断面模式図である。
図2】同電池の単セルの断面模式図である。
図3】同電池用電極の製造装置の一部を破断した斜視図である。
図4】同電池用電極の製造装置を構成する枠体供給装置の斜視図である。
図5】同電池用電極の製造装置を構成する活物質供給装置および第2圧縮装置における一部を破断した斜視図である。
図6】同活物質供給装置におけるシャッタユニットの一部を破断した斜視図である。
図7図5中の切断線A1-A1の断面図である。
図8】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図9】シャッタの開閉制御を説明する、枠体の平面図である。
図10】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図11】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図12】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図13】本発明の第2実施形態の電池用電極の製造装置における要部の断面図である。
図14】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図15】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図16】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
図17】シャッタの開閉制御を説明する、シャッタおよび活物質供給装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明を適用した第1実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
【0011】
<電池(二次電池)>
図1は、一実施形態の電池用電極の製造装置(以下、製造装置と略して呼ぶ)を用いて製造される電池10の断面模式図である。
本実施形態の電池(二次電池)10は、非水電解質二次電池の1種であるリチウムイオン二次電池である。ここで、リチウムイオン二次電池とは、正極30aと負極30bとの間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池である。以下では、正極30aおよび負極30bを区別無く呼ぶときには、電極30と呼ぶ。
【0012】
電池10は、例えば、発電要素において電極が並列接続されてなる形式のいわゆる並列積層型電池などの従来公知の任意の二次電池にも適用可能である。なお、以下の説明では、リチウムイオン二次電池を単に「電池」と呼ぶ。
【0013】
本実施形態の電池10は、発電要素11と、正極タブ34aと、負極タブ34bと、外装体12と、を有する。
【0014】
正極タブ34aは、発電要素11の正極側の端面に接触する。同様に、負極タブ34bは、発電要素11の負極側の端面に接触する。正極タブ34aおよび負極タブ34bは、それぞれ外装体12の外側に引き出される。正極タブ34aおよび負極タブ34bは、アルミニウム合金、銅合金などの高導電性材料が用いられる。
【0015】
外装体12は、外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、発電要素11を内部に封止する。外装体12は、例えば、ラミネートフィルムによって袋状に構成される。なお、外装体12としては、金属缶ケースなどを用いてもよい。
【0016】
本実施形態の電池10の発電要素11は、複数の単セル(電池セル)20を有する。発電要素11において、複数の単セル20は、厚さ方向に積層される。単セル20の積層数は、所望する電圧に応じて調節される。
【0017】
<単セル(電池セル)>
図2は、単セル20の断面模式図である。
単セル20は、2つの電極(電池用電極)としての正極30aおよび負極30bと、セパレータ40と、を有する。
【0018】
セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間に配置される。発電要素11において、複数の単セル20は、正極30aと負極30bとを同方向に向けて積層される。発電要素11において、積層方向の正極側の端部に配置される単セル20の正極30aには、正極タブ34aが接触し、積層方向の負極側の端部に配置される単セル20の負極30bには、負極タブ34bが接触する。
【0019】
セパレータ40には、電解質が保持される。これにより、セパレータ40は、電解質層として機能する。セパレータ40は、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間の隔壁として機能する。
【0020】
セパレータ40に保持される電解質としては、例えば、電解液またはゲルポリマー電解質などが挙げられる。これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータなどを挙げることができる。
【0021】
正極30aおよび負極30bは、それぞれ、集電体31と、電極活物質層32と、枠体45と、を有する。電極活物質層32と集電体31とは、セパレータ40側からこの順に並ぶ。枠体45は、額縁状(環状)である。枠体45は、電極活物質層32の周囲を囲む。正極30aの枠体45と負極30bの枠体45とは、互いに溶着され一体化されている。
【0022】
以下の説明において、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層32a、負極活物質層32bと呼ぶ。
【0023】
枠体45は、集電体31同士の接触や単セル20の端部における短絡を防止する。枠体45を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。
【0024】
集電体31は、導電性のシート状の部材である。集電体31を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、導電性を有する樹脂や、金属が用いられうる。軽量化の観点からは、集電体31は、導電性を有する樹脂によって形成された樹脂集電体であることが好ましい。なお、単セル20間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、樹脂製の集電体31の一部に金属層を設けてもよい。
【0025】
樹脂製の集電体31を構成する導電性を有する樹脂としては、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
【0026】
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(H
DPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
【0027】
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、白金、鉄、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、アンチモン、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)、ブラックパール(登録商標)、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0028】
導電性フィラーの添加量は、集電体31に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、好ましくは、5~35質量%程度であり、より好ましくは10~30質量%であり、さらに好ましくは15~20質量%である。
【0029】
また、集電体31が金属によって形成される場合は、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属のめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体31へのスパッタリングによる負極活物質の密着性などの観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
【0030】
電極活物質層32は、電極活物質(正極活物質または負極活物質)および導電助剤を含む電極用造粒粒子(以下、単に造粒粒子)を有する。また、電極活物質層32は、必要に応じて、電解液および粘着剤のうち何れか一方又は両方をさらに含んでいてもよい。また、電極活物質層32は、必要に応じて、イオン伝導性ポリマーなどを含んでもよい。
以下の説明において、正極活物質層32aおよび負極活物質層32bの電極活物質を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質、負極活物質と呼ぶ。
【0031】
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni-Mn-Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたものなどのリチウム-遷移金属複合酸化物、リチウム-遷移金属リン酸化合物、リチウム-遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム-遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。より好ましくはリチウムとニッケルとを含有する複合酸化物が用いられる。さらに好ましくはLi(Ni-Mn-Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、「NMC複合酸化物」と呼ぶ)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物などが用いられる。NMC複合酸化物は、リチウム原子層と遷移金属(Mn、NiおよびCoが秩序正しく配置)原子層とが酸素原子層を介して交互に積み重なった層状結晶構造を有する。そして、遷移金属1原子あたり1個のLi原子が含まれ、取り出せるLi量が、スピネル系リチウムマンガン酸化物の2倍、つまり供給能力が2倍になり、高い容量を持つことができる。
【0032】
負極活物質としては、例えば、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの炭素材料、リチウム-遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料(スズ、シリコン)、リチウム合金系負極材料(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-シリコン合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-アルミニウム-マンガン合金など)などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料、リチウム-遷移金属複合酸化物、リチウム合金系負極材料が、負極活物質として好ましく用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。また、(メタ)アクリレート系共重合体などの被覆用樹脂は特に炭素材料に対して付着しやすいという性質を有している。したがって、構造的に安定した電極材料を提供するという観点からは、負極活物質として炭素材料を用いることが好ましい。
【0033】
導電助剤は、電子伝導パスを形成し、電極活物質層32の電子移動抵抗を低減することで、電池の高レートでの出力特性向上に寄与し得る。導電助剤の形状は、粒子状または繊維状であることが好ましい。
【0034】
導電助剤としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタンなどの金属、これらの金属を含む合金または金属酸化物;炭素繊維(具体的には、気相成長炭素繊維(VGCF)など)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー、カーボンブラック(具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど)などのカーボンが挙げられるが、これらに限定されない。また、粒子状のセラミック材料や樹脂材料の周りに上記金属材料をめっきなどでコーティングしたものも導電助剤として使用できる。これらの導電助剤のなかでも、電気的安定性の観点から、アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン、およびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミニウム、ステンレス、銀、金、およびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、カーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。これらの導電助剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
【0035】
電解液(液体電解質)は、溶媒にリチウム塩が溶解した形態を有する。本発明の電解液を構成する溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類が挙げられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsFLiClO、Li[(FSON](LiFSI)などの無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO、およびLiC(CFSOなどの有機酸のリチウム塩などが挙げられる。なお、電解液におけるリチウム塩の濃度は、0.1~3.0Mであることが好ましく、0.8~2.2Mであることがより好ましい。また、添加剤を使用する場合の使用量は、添加剤を添加する前の電解液100質量%に対して、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。
【0036】
添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2-ジビニルエチレンカーボネート、1-メチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-メチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-2-ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1-ジメチル-2-メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
粘着剤としては、例えば、ポリシック(登録商標)シリーズなどの(メタ)アクリル酸エステル系感圧接着剤が挙げられる。造粒粒子中の前記粘着剤の含有量は、造粒粒子の固形分の合計質量に対して、0.01~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~8質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%であり、特に好ましくは0.1~3質量%である。
【0038】
<製造装置および電池用電極の製造方法>
次に、本実施形態の製造装置および電池用電極の製造方法(以下、製造方法と略して呼ぶ)について説明する。電池製造装置および製造方法では、まず正極30aおよび負極30bが製造される。正極30aの製造方法と負極30bの製造方法とは、主に電極活物質層32に含まれる電極活物質が異なる。ここでは、電極30の製造方法として、正極30aおよび負極30bの製造方法をまとめて説明する。
【0039】
図3は、製造装置1000の斜視図である。製造装置1000は、第1チャンバ(チャンバ)100と、第2チャンバ200と、集電体供給装置(集電体供給部)300と、搬送装置400と、枠体供給装置(枠体供給部)500と、第1ロールプレス600と、活物質供給装置700と、第2ロールプレス(圧縮部)800と、制御部900と、を備えている。
【0040】
第1チャンバ100および第2チャンバ200は、それぞれ内部を大気圧よりも減圧された状態に保持できる部屋である。第1チャンバ100の側壁には、耐圧ガラスにより形成された窓である観察窓(ビューイングポート)101が設けられている。このため、第1チャンバ100の外部から、観察窓101を通して第1チャンバ100内を観察できる。
第1チャンバ100の内部は、図示しない第1減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。第1チャンバ100の内部の圧力は、大気圧よりも減圧されていれば任意の値でよいが、例えば、大気圧から1×10-1~1×10-2Paまでの低真空環境となるように調整されていてもよいし、1×10-6~1×10-7Paの高真空環境となるように調整されていてもよいし、それ以上の超高真空や10-8~10-9Paレベルの極高真空であってもよい。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約10Pa)である。
第2チャンバ200の内部は、図示しない第2減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。第2チャンバ200の内部の圧力は、大気圧よりも減圧されていれば任意の値でよいが、例えば、大気圧から1×10-1~1×10-2Paまでの低真空環境となるように調整されていてもよいし、1×10-6~1×10-7Paの高真空環境となるように調整されていてもよいし、それ以上の超高真空や10-8~10-9Paレベルの極高真空であってもよい。第2チャンバ200の内部の圧力は、第1チャンバ100の内部の圧力よりも高くてもよい。
【0041】
第1チャンバ100および第2チャンバ200は、集電体供給装置300が、帯状の集電体31Bを搬送する搬送方向Dに並べて配置される。集電体31Bは、前記集電体31が所定の形状に切り出される前のものである。第1チャンバ100は、第2チャンバ200よりも搬送方向Dの下流側D1に配置される。
第2チャンバ200は、前室である。第2チャンバ200における下流側D1の側壁には、スリット201が形成される。第2チャンバ200における下流側D1とは反対の上流側D2の側壁には、図示しないスリットが形成される。このスリットは、第2チャンバ200のスリット201に対向するように形成される。
【0042】
第2チャンバ200内には、集電体供給装置300が配置される。第1チャンバ100内には、搬送装置400、枠体供給装置500、第1ロールプレス600、活物質供給装置700、および第2ロールプレス800が配置される。
【0043】
集電体供給装置300は、第1チャンバ100内に、集電体31Bを供給する。集電体供給装置300は、図示しないロール保持部と、スプライサ310と、送りローラ320と、を備える。
ロール保持部には、一対の集電体ロール31Rが保持される。集電体ロール31Rは、集電体31Bをロール状にしたものである。集電体ロール31Rが適宜展開され、集電体ロール31Rから集電体31Bが供給される。ロール保持部は、一対の集電体ロール31Rのうちの一方が全て展開されたら、一対の集電体ロール31Rのうちの他方の供給を開始する。
【0044】
スプライサ310は、集電体31Bの端部同士を接合する。一方の集電体ロール31Rが全て展開され、集電体31Bが全て供給されると、最終的には集電体31Bの終端が下流側D1に向けて移動する。この終端と、一方の集電体ロール31Rを展開した集電体31Bの始端とを、スプライサ310により接合する。これにより、複数の集電体31Bを途切れさせることなく連続的に第1チャンバ100内に供給する。
【0045】
送りローラ320は、ロール保持部よりも下流側D1に設けられる。送りローラ320は、複数の回転部材からなる。送りローラ320により搬送される集電体31Bは、前記複数の回転部材に沿って移動する。これにより、集電体31Bを送りローラ320の途中で緩ませることなく、安定して下流側D1の第1チャンバ100内に供給する。集電体供給装置300は、集電体31Bを所定の速度で供給する。
第2チャンバ200の内部には、予備の集電体ロール31Rが配置されていることが好ましい。
集電体供給装置300から下流側D1に供給された集電体31Bは、第2チャンバ200のスリット201、および第1チャンバ100のスリットを通して、第2チャンバ200の内部に供給される。
【0046】
本実施形態では、集電体供給装置300の全てが、第2チャンバ200内に配置される。なお、集電体供給装置300におけるロール保持部などが、第2チャンバ200の外部に配置されてもよい。この場合、集電体供給装置300の一部が、第2チャンバ200内に配置される。
【0047】
例えば、搬送装置400は、公知のベルトコンベアである。搬送装置400は、搬送ローラ401を備える。搬送ローラ401は、その回転軸が、水平面に沿うとともに搬送方向Dに直交する幅方向Eに沿うように配置される。搬送装置400は、第1チャンバ100の内部において、集電体31Bを下流側D1に所定の速度で搬送する。集電体31Bは、第1チャンバ100内で搬送される。
枠体供給装置500、第1ロールプレス600、活物質供給装置700、および第2ロールプレス800は、上流側D2から下流側D1に向かって、この順で搬送装置400に沿って並べて配置される。
【0048】
図4は、枠体供給装置500の斜視図である。枠体供給装置500は、活物質供給装置700よりも上流側D2に配設される。
枠体供給装置500は、第2チャンバ200の内部であって、搬送装置400の側方に積み重ねられた枠体45を、集電体31B上に供給する。枠体供給装置500は、ロボットアーム501と、保持具502と、脱気管503と、を有する。
ロボットアーム501は、複数のロッド506を関節507で接続した公知の構成のものである。ロボットアーム501の基端部は、第1チャンバ100の床などに固定されている。
【0049】
保持具502は、枠体45と同じ大きさの額縁状である。例えば、保持具502は、本体部510と、弾性部511と、吸盤部(不図示)と、を備えている。
本体部510は、下面側に開口を有する断面コの字型の部材である。また、本体部510の開口部は、枠体45の形状に合わせた額縁状である。
弾性部511は、本体部510の開口部を塞ぐように設けられる。弾性部511は、本体部510に設けられた、枠体45に接する部位である。ここで、枠体45を吸着部に吸着するために、弾性部511は、枠体45に隙間なく密着する必要がある。
吸盤部は、弾性部511における枠体45に接する面に間隔をあけて複数設けられた、弾性部511の肉厚が薄くなっている部位である。また本実施形態では、吸盤部は、弾性部511において、枠体45に接する側の面に面一となっており、本体部510の側の面に窪みがあるように設けられている。
【0050】
脱気管503の第1端部における内部空間は、本体部510の内部空間に連なっている。脱気管503における第1端部とは反対側の第2端部には、図示しない減圧ポンプが接続されている。減圧ポンプには、減圧ポンプに接続された脱気管503の内部空間の空気を排出するか否かを切り替えるバルブが設けられている。減圧ポンプは、第2チャンバ200の外部に配置されていることが好ましい。
【0051】
このように構成された枠体供給装置500において、弾性部511が枠体45に密着した状態で減圧ポンプを駆動し、バルブを切り替えて脱気管503の内部空間の空気が排出されるようにする。すると、保持具502の内部の空気が、脱気管503、および減圧ポンプを通して第2チャンバ200の外部に排出される。保持具502内の気圧が低下する。これにより、弾性部511を本体部510の内側に吸い寄せる力が発生する。この力が発生すると、最初に吸盤部が本体部510の内側へ移動する。
【0052】
すると、枠体45と吸盤部との間に隙間を生じさせるような力が作用する。それに対し、弾性部511は、枠体45に接した状態のままとなる。枠体45と吸盤部との間に生じた隙間は、負圧となる。これにより、枠体45を保持具502の吸盤部によって吸着し、これを維持することによって枠体45を把持する。保持具502に、積み重ねられた枠体45のうち、最も上方の枠体45が保持される。ロボットアーム501を動作させ、保持した枠体45を集電体31B上に置く。枠体45は、枠体45の厚さ方向が上下方向に沿うように集電体31B上に置かれる。バルブを切り替えて脱気管503の内部空間の空気が排出されないようにすると、集電体31B上に置かれた枠体45から保持具502が離脱する。
集電体31B上に置かれた枠体45は、集電体31Bとともに下流側D1に搬送される。例えば、枠体45は、集電体31B上に搬送方向Dに隙間なく配置される。
【0053】
図3に示すように、第1ロールプレス600は、一対の圧縮ローラ601と、駆動部602と、を有する。一対の圧縮ローラ601は、それぞれの軸線が水平面に沿うように配置されている。一対の圧縮ローラ601は、上下方向に対向するように配置されている。駆動部602は、一対の圧縮ローラ601をそれぞれの軸線回りに回転させる。一対の圧縮ローラ601の間には、集電体31Bおよび枠体45が挟まれる。駆動部602は、集電体31Bおよび枠体45が下流側D1に搬送されるように、一対の圧縮ローラ601を回転させる。
【0054】
活物質供給装置700は、第1チャンバ100内で搬送される集電体31B上に、粉体状の活物質32cを供給する。活物質32cは、電極活物質および導電助剤を含む、複数の電極用造粒粒子のことを意味する。
図5に示すように、活物質供給装置700は、スクリューコンベア710と、投入シュート720と、排出シュート730と、シャッタユニット740と、超音波振動機750と、ならしブラシ760と、を備える。なお、投入シュート720および排出シュート730で、ホッパ770を構成する。ホッパ770は、第1チャンバ100内に配置される。前記枠体供給装置500は、ホッパ770よりも上流側D2に配置される。すなわち、集電体31B上に枠体45を供給した後で、集電体31B上に活物質32cを供給する。
スクリューコンベア710は、活物質32cを投入シュート720へ運搬する。スクリューコンベア710の一方の端部は、第1チャンバ100の外部に配置された、活物質32cの貯蔵部など(不図示)へ接続されている。また、スクリューコンベア710の他方の端部は、投入シュート720へ接続されている。
【0055】
投入シュート720は、スクリューコンベア710から運搬された活物質32cを、排出シュート730内に落とす。すなわち、ホッパ770には活物質32cが収容される。
排出シュート730は、上下方向に延びる筒状である。排出シュート730の下端部には、開口731が形成されている。排出シュート730は、投入シュート720よりも下方に配置されている。すなわち、ホッパ770の下端部には、開口731が形成される。開口731は、水平面に沿うように形成される。
ホッパ770は、搬送装置400よりも上方に配置される。言い換えると、ホッパ770は、搬送装置400により搬送される集電体31Bおよび枠体45よりも上方に配置されている。開口731は、第1チャンバ100内に配置された集電体31B上に(集電体31Bに向けて)活物質32cを供給する。スクリューコンベア710から投入シュート720に運搬された活物質32cは、排出シュート730内に自由落下する。ホッパ770の内部には、活物質32cが収容される。
なお、スクリューコンベア710上で活物質32cが塊状となっている場合に、その塊状となっている活物質32cを粉砕する解砕機を、活物質供給装置700が備えてもよい。
【0056】
図5および図6に示すように、シャッタユニット740は、第1シャッタ扉(シャッタ)741と、第2シャッタ扉(シャッタ)742と、第1開閉機構(開閉機構)743と、第2開閉機構(開閉機構)744と、を有する。すなわち、活物質供給装置700は、シャッタとして2枚のシャッタ扉741,742を有する。
シャッタ扉741,742は、それぞれ平板状である。シャッタ扉741,742は、それぞれ水平面に沿うように配置されている。
図6および図7に示すように、第1シャッタ扉741は、本体板741aと、肉厚部741bと、を有する。本体板741aは、平面視で矩形状を呈する平板状である。本体板741aの上面である第1主面741cにおける一つの縁部には、平面視における本体板741aの中央部から前記縁部に向かうに従い漸次、下方に向かう傾斜面741eが形成される。傾斜面741eは、本体板741aの幅方向Eの全長にわたって形成される。
肉厚部741bは、本体板741aにおける第1主面741cとは反対の第2主面741dにおける前記縁部に、第2主面741dから下方に向かって突出するように設けられる。なお、第1主面741cおよび第2主面741dは、本体板741aにおける、本体板741aの厚さ方向に直交する外面である。
肉厚部741bは、本体板741aの幅方向Eの全長にわたって設けられる。傾斜面741eおよび肉厚部741bは、第1シャッタ扉741における下流側D1の端部に配置される。
【0057】
第2シャッタ扉742には、第1シャッタ扉741の傾斜面741eと同様の傾斜面742aが形成される。すなわち、傾斜面742aは、平面視における第2シャッタ扉742の中央部から縁部に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。第2シャッタ扉742は、第1シャッタ扉741よりも下流側D1に配置されている。傾斜面742aは、第2シャッタ扉742における上流側D2の端部に配置される。すなわち、第1シャッタ扉741の傾斜面741eおよび第2シャッタ扉742の傾斜面742aは、搬送方向Dに対向する。
シャッタ扉741,742は、排出シュート730の開口731を開閉する。ここでシャッタ扉741,742が開口731を開くとは、シャッタ扉741,742が開口731の少なくとも一部を覆わない状態にあることを意味する。シャッタ扉741,742が開口731を閉じるとは、シャッタ扉741,742が開口731を完全に塞ぐ状態にあることを意味する。
【0058】
第1開閉機構743は、モータ745と、アーム746と、を有する。モータ745では、本体747に対して回転軸748が、回転軸748の軸線回りに回転する。回転軸748の外周面には、雄ネジが形成されている。モータ745は、回転軸748が搬送方向Dに延びるように配置されている。本体747は、第1チャンバ100の床などに固定されている。
アーム746の第1端部には、図示しない雌ネジが形成されている。この雌ネジは、モータ745の回転軸748の雄ネジに嵌め合っている。アーム746における第1端部とは反対の第2端部は、第1シャッタ扉741の上面に固定されている。
【0059】
以上のように構成された第1シャッタ扉741および第1開閉機構743では、例えば、モータ745に対して所定の向きに電圧を印加すると、回転軸748が所定の向きに回転する。回転軸748にアーム746を介して接続された第1シャッタ扉741は、下流側D1に移動する。同様に、モータ745に対して所定の向きは反対の向きに電圧を印加すると、回転軸748が所定の向きは反対の向きに回転する。第1シャッタ扉741は、上流側D2に移動する。このように、第1開閉機構743は、第1シャッタ扉741を搬送方向Dに搬送する。
【0060】
図7に示すように、第1シャッタ扉741が第1開閉機構743により搬送方向Dに移動すると、第1シャッタ扉741の第1主面741cは、開口731を開閉する。
肉厚部741bは、枠体45に接触可能である。
第2開閉機構744は、第1開閉機構743と同様に構成されている。第2開閉機構744により、第2シャッタ扉742は第1シャッタ扉741とは独立して、下流側D1および上流側D2に移動できる。
シャッタ扉741,742の開閉制御については、後で詳しく説明する。
【0061】
図5に示すように、超音波振動機750は、排出シュート730下部の外壁に設けられている。つまり、超音波振動機750は、排出シュート730における活物質32cが堆積する部位の外側に設けられている。超音波振動機750は、超音波を発生することで排出シュート730の下部に堆積した活物質32cを振動させる。超音波振動機750は、排出シュート730内に堆積した活物質32cを均一にならす役割を有する。
【0062】
ならしブラシ760は、図示しないモータにより水平面に沿って移動する。ならしブラシ760は、排出シュート730内に堆積した活物質32cの上面を平坦にならす役割を有する。
以上のように本実施形態では、開口731を有する活物質供給装置700の一部が、第1チャンバ100内に配置される。
なお、活物質供給装置700は、少なくとも開口731が第1チャンバ100内に配置されていればよい。活物質供給装置700の全体が、第1チャンバ100内に配置されてもよい。
【0063】
活物質供給装置700は、開口731の下方に枠体45の内部空間45aが位置するときに、シャッタ扉741,742が開くように制御される。これにより、開口731から供給された活物質32cは、集電体31B上であって枠体45の内部空間45aに第1の厚さで配置される。このように、活物質供給装置700は、集電体31B上に設けられた枠体45内に活物質32cを供給する。例えば、第1の厚さは、枠体45の厚さよりも厚い。
シャッタ扉741,742が開くタイミングを、開口731の下方に枠体45の内部空間45aが位置するときに合わせるのには、搬送装置400の搬送速度、枠体45の搬送方向Dの長さなどを考慮した、公知の時間制御などが用いられる。なお、製造装置1000が枠体45の搬送方向Dの位置を検出する位置センサを備えてもよい。そして、位置センサが検出した枠体45の位置に基づいて、制御部900が開閉機構743,744によりシャッタ扉741,742が開くタイミングを合わせてもよい。
シャッタ扉741,742の開閉制御については、後で詳しく述べる。
【0064】
第2ロールプレス800は、集電体31B上に供給された活物質32cを圧縮する。第2ロールプレス800は、第1ロールプレス600と同様に構成されている。第2ロールプレス800は、一対の圧縮ローラ801と、駆動部802と、を有する。一対の圧縮ローラ801の間には、集電体31B、枠体45、および活物質32cが挟まれる。
第2ロールプレス800は、第1の厚さの活物質32cを、第1の厚さよりも薄い第2の厚さに圧縮する。例えば、第2の厚さは、枠体45の厚さである。
なお、第1ロールプレス600および第2ロールプレス800の構成は、これらに限定されない。
【0065】
制御部900は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、メモリと、を有する。メモリには、CPUを動作させるための制御プログラム、各種データなどが記憶される。制御部900は、第1開閉機構743、第2開閉機構などに接続されている。制御部900は、第1開閉機構743、第2開閉機構744などを制御する。
制御部900は、第1開閉機構743、第2開閉機構744により、枠体45の内部空間45aに活物質32cを供給する。
【0066】
次に、シャッタ扉741,742の開閉制御について説明する。なお、本実施形態では、第1チャンバ100内でホッパ770は固定されている。
制御部900は、開口731のうちシャッタ扉741,742により閉じられていない部分の下方に枠体45の内部空間45aが位置するように、開閉機構743,744によりシャッタ扉741,742を搬送する。言い換えれば、制御部900は、開口731の下方に枠体45の内部空間45aが位置する場合のみ、シャッタ扉741,742により開口731を開ける。
以下、具体的に説明する。ただし、シャッタ扉741,742の傾斜面741e,742aは、開口731を開閉する効果に関係しないとして説明する。すなわち、シャッタ扉741,742に傾斜面741e,742aが形成されていないとして説明する。
【0067】
図7に示すように、制御部900は、予め、開閉機構743,744により、第2シャッタ扉742のみが開口731を閉じるように配置する。すなわち、搬送方向Dにおいて、第2シャッタ扉742の上流側D2の端が、開口731の上流側D2の端に一致するように配置する。第1シャッタ扉741は、第2シャッタ扉742よりも上流側D2で、第2シャッタ扉742に突き合わせるように配置される。集電体31Bおよび枠体45は、矢印B1で示すように下流側D1に搬送される。
次に、制御部900は、活物質供給工程と、活物質停止工程と、を行う。
活物質供給工程では、制御部900は、第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を、枠体45の移動に同期して下流側D1に移動させて、開口731を開く。言い換えれば、枠体45の移動と第2シャッタ扉742の移動とを時間的に一致させて、開口731を開く。
【0068】
より詳しく説明すると、搬送方向Dにおいて、活物質32cを供給する対象となる枠体45(以下では枠体45Aと呼ぶ)の下流側D1の内縁45bが、活物質供給装置700の開口731の上流側D2の端に一致したときに、第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を下流側D1に移動させる。このとき図8に示すように、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの下流側D1の内縁45bと、第2シャッタ扉742の上流側D2の端とが一致するように、第2シャッタ扉742を下流側D1に前記所定の速度で移動させる。すなわち、枠体45Aの移動に合わせて、第2シャッタ扉742を移動させる。
図8および図9に示すように、このとき、排出シュート730内の活物質32cが、開口731を通して、枠体45の内部空間45aにおける内縁45bの近くに供給される。開口731から供給される活物質32cが肉厚部741bに当たるため、枠体45の内部空間45aから肉厚部741bよりも上流側D2に活物質32cがこぼれ落ち難い。
図10に示すように、搬送方向Dにおいて、第2シャッタ扉742の上流側D2の端が開口731の下流側D1の端に達したら、制御部900は第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を停止させる。
【0069】
ホッパ770が、枠体45の内部空間45aに活物質32cを所定の量、供給し終えると、活物質供給工程を終了し、活物質停止工程に移行する。
活物質停止工程では、制御部900は、第1開閉機構743により第1シャッタ扉741を下流側D1に移動させて、開口731を閉じる。
【0070】
より詳しく説明すると、図11に示すように、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの上流側D2の内縁45cが第1シャッタ扉741の下流側D1の端に達したら、制御部900は第1開閉機構743により第1シャッタ扉741を下流側D1に移動させる。このとき図12に示すように、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの上流側D2の内縁45cと、第1シャッタ扉741の下流側D1の端とが一致するように、第1シャッタ扉741を下流側D1に前記所定の速度で移動させる。すなわち、枠体45Aの移動に合わせて、第1シャッタ扉741を移動させる。
そして、搬送方向Dにおいて、第1シャッタ扉741の下流側D1の端が開口731の下流側D1の端に達したら、制御部900は第1開閉機構743により第1シャッタ扉741を停止させる。このとき、第1シャッタ扉741は、第2シャッタ扉742に突き合わせるように配置される。
【0071】
次に、制御部900は図7に示すように、開閉機構743,744によりシャッタ扉741,742を一体にして上流側D2に移動させ、待機させる。以上で、活物質停止工程を終了する。
活物質32cを供給する対象となる枠体45Aを、1つ上流側D2の枠体45に変更し、変更した枠体45Aに対して活物質供給工程および活物質停止工程を行うことを、繰り返す。
【0072】
なお、本実施形態の活物質供給方法では、ホッパ770の開口731をシャッタ扉741,742で開閉する。
【0073】
なお、帯状の集電体31Bから集電体31が適宜切り出されるなどして、電極30が製造される。一対の電極30(すなわち、正極30aおよび負極30b)を、セパレータ40を介して互いに向かい合わせに積層するなどして、単セル20が製造される。複数の単セル20を厚さ方向に積層し、複数の単セル20を外装体12でシーリングすることなどにより、電池10が製造される。
外装体12でシーリングする際にも、活物質32cに含まれる空気が膨張するのが抑制される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の活物質供給装置700は、開口731が形成されたホッパ770と、開口731を開閉するシャッタ扉741,742と、を備える。例えば、搬送される集電体31Bにおける搬送方向Dの位置に合わせてシャッタ扉741,742により開口731を適宜開閉する。これにより、搬送される集電体31B上の搬送方向Dにおける所望の位置に活物質32cを容易に供給することができる。そして、集電体31B上に、活物質32cを連続的に配置することができる。
また、活物質供給方法では、例えば、搬送される集電体31Bにおける搬送方向Dの位置に合わせてシャッタ扉741,742により開口731を適宜開閉する。従って、搬送される集電体31B上の搬送方向Dにおける所望の位置に活物質32cを容易に供給することができる。
さらに、活物質32cの供給を第1チャンバ100内で行うことにより、活物質32cに空気が含まれ難い。従って、活物質32cを圧縮する際などに、活物質32cに空気が含まれるのを抑制し、活物質32cの圧縮後に空気が膨張して、活物質32cが弾け飛んだり、活物質32cの表面に凹凸が形成されたりするのを抑えることができる。
【0075】
活物質供給装置700は、開閉機構743,744および制御部900を備える。このため、制御部900が、開閉機構743,744によりシャッタ扉741,742を搬送方向Dに搬送することができる。
また、本実施形態の製造装置1000によれば、枠体供給装置500および活物質供給装置700を備える。このため、集電体31B上に供給された枠体45の内部空間45aに活物質32cを配置することができる。
【0076】
枠体供給装置500はホッパ770よりも上流側D2に配置され、制御部900は、開閉機構743,744により、枠体45の内部空間45aに活物質32cを供給する。このため、枠体45の内部空間45aに活物質32cを配置することができる。
制御部900は、開口731のうちシャッタ扉741,742により閉じられていない部分の下方に枠体45の内部空間45aが位置するように、開閉機構743,744によりシャッタ扉741,742を搬送する。従って、開口731から下方に向かって供給された活物質32cが枠体45の内部空間45aに供給されるように、シャッタ扉741,742を搬送することができる。
【0077】
シャッタとして、第1シャッタ扉741と、第2シャッタ扉742と、を有する。このため、ホッパ770の開口731を、2つのシャッタ扉741,742で、シャッタが1つの場合に比べて素早く開閉することができる。
第1シャッタ扉741は、本体板741aと、肉厚部741bと、を有する。本体板741aによりホッパ770の開口731を開閉するとともに、肉厚部741bにより枠体45の内部空間45aから活物質32cがこぼれ落ちることを抑えることができる。
【0078】
第2シャッタ扉742のみで開口731を閉じた状態から、第2シャッタ扉742を下流側D1に移動させて開口731を開く。そして、第1シャッタ扉741を下流側D1に移動させて開口731を閉じる。シャッタ扉741,742を枠体45と同じ向きに同期して移動させることができるため、シャッタ扉741,742により開口731から供給する活物質32cの位置の精度が向上し、集電体31B上に活物質32cを精度良く配置することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、第1シャッタ扉741に肉厚部741bは形成されなくてもよい。
シャッタ扉741,742による開口731の開閉方法は、前記方法に限定されない。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図13から図17を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図13に示すように、本実施形態の製造装置2000における活物質供給装置1700は、第1実施形態の活物質供給装置700に対して、第1シャッタ扉741および第1開閉機構743を備えず、搬送機構(不図示)を備える。
すなわち、活物質供給装置1700は、シャッタとして1枚の第2シャッタ扉742を備えている。例えば、搬送機構は、リニアガイド、モータなどを有している。搬送機構は、ホッパ770を搬送方向Dに搬送する。本実施形態では、搬送機構は、制御部900に接続されている。制御部900は、搬送機構を制御する。
排出シュート730における開口731の周縁部における上流側D2の部分には、下方に向かって突出する係止部732が設けられている。
【0081】
次に、第2シャッタ扉742の開閉制御について説明する。
図13に示すように、制御部900は、予め、第2開閉機構744により、第2シャッタ扉742が開口731を閉じるように配置する。このとき、第2シャッタ扉742は係止部732に突き当てられている。制御部900は、予め搬送機構により、ホッパ770を第1チャンバ100内において、搬送方向Dの所定の位置に配置する。
次に、制御部900は、活物質供給工程と、活物質停止工程と、を行う。
活物質供給工程では、制御部900は、第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を、枠体45の移動に同期して下流側D1に移動させて、開口731を開く。
【0082】
より詳しく説明すると、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの下流側D1の内縁45bが、活物質供給装置1700の開口731の上流側D2の端に一致したときに、第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を下流側D1に移動させる。このとき図14に示すように、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの下流側D1の内縁45bと、第2シャッタ扉742の上流側D2の端とが一致するように、第2シャッタ扉742を下流側D1に前記所定の速度で移動させる。このとき、排出シュート730内の活物質32cが、開口731を通して、枠体45の内部空間45aにおける内縁45bの近くに供給される。
図15に示すように、搬送方向Dにおいて、第2シャッタ扉742の上流側D2の端が開口731の下流側D1の端に達したら、制御部900は第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を停止させる。
【0083】
ホッパ770が、枠体45の内部空間45aに活物質32cを所定の量、供給し終えると、活物質供給工程を終了し、活物質停止工程に移行する。
活物質停止工程では、制御部900は、第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を上流側D2に移動させて、開口731を閉じる。
より詳しく説明すると、図16に示すように、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの上流側D2の内縁45cが開口731の上流側D2の端に達したら、制御部900は第2開閉機構744により第2シャッタ扉742を上流側D2に移動させる。このとき制御部900は、搬送機構によりホッパ770を、枠体45の移動に同期して矢印B2で示すように下流側D1(搬送方向D)に搬送する。より詳しく説明すると、搬送方向Dにおいて、枠体45Aの上流側D2の内縁45cと開口731の上流側D2の端とが一致するように、ホッパ770を下流側D1に前記所定の速度で移動させる。
このとき、集電体31B、枠体45、およびホッパ770が所定の速度で下流側D1に移動し、第2シャッタ扉742が上流側D2に移動する。ホッパ770と第2シャッタ扉742とを互いに近づくように逆側に移動させるため、ホッパ770開口731をより短時間で閉じることができる。
【0084】
図17に示すように、第2シャッタ扉742が係止部732に突き当たったら、制御部900は、図13に示すように、第2開閉機構744および搬送機構により第2シャッタ扉742およびホッパ770を一体にして上流側D2に移動させる。ホッパ770を前記所定の位置に移動させ、待機させる。以上で、活物質停止工程を終了する。
活物質32cを供給する対象となる枠体45Aを、1つ上流側D2の枠体45に変更し、変更した枠体45Aに対して活物質供給工程および活物質停止工程を行うことを、繰り返す。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の活物質供給装置1700は、搬送される集電体31B上に活物質32cを容易に供給することができる。
さらに、第2シャッタ扉742が開口731を閉じた状態から、第2シャッタ扉742を下流側D1に移動させて開口731を開く。そして、第2シャッタ扉742を上流側D2に移動させて開口731を閉じる。第2シャッタ扉742を枠体45と同じ向きに同期して移動させることができるため、第2シャッタ扉742により開口731から供給する活物質32cの位置の精度が向上し、集電体31B上に活物質32cを精度良く配置することができる。
製造装置2000は、搬送機構を備える。制御部900が搬送機構によりホッパ770を枠体45の移動に同期して搬送方向Dに移動させることにより、枠体45の内部空間45aに活物質32cをより確実に供給することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、活物質供給装置1700は搬送機構を備えなくてもよい。この場合、ホッパ770は第1チャンバ100内で固定され、活物質停止工程においてホッパ770は移動しない。
活物質供給装置が第2シャッタ扉742および第2開閉機構744に代えて、第1シャッタ扉741および第1開閉機構743を備えてもよい。この場合、第1シャッタ扉741が開口731を閉じた状態から、第1シャッタ扉741を上流側D2に移動させて開口731を開く。そして、第1シャッタ扉741を下流側D1に移動させて開口731を閉じる。
【0087】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、枠体供給装置500は、ホッパ770よりも下流側D1に配置されてもよい。すなわち、集電体31B上に活物質32cを供給した後で、集電体31B上に枠体45を供給してもよい。この場合、制御部900は、集電体31B上に供給した活物質32cが枠体45の内部空間45aに入るように、集電体31B上に枠体45を供給する。
この変形例のように構成することにより、集電体31B上に活物質32cを供給した後で、集電体31B上に枠体45を供給することができる。
【0088】
開閉機構743,744を制御する制御部を、活物質供給装置700が備えてもよい。
製造装置1000,2000は、第2チャンバ200、枠体供給装置500、および第1ロールプレス600を備えなくてもよい。さらに、活物質供給装置700,1700は、開閉機構743,744を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0089】
31B 集電体
32c 活物質
45 枠体
45a 内部空間
100 第1チャンバ(チャンバ)
500 枠体供給装置(枠体供給部)
700,1700 活物質供給装置
731 開口
741 第1シャッタ扉(シャッタ)
741a 本体板
741b 肉厚部
741c 第1主面
741d 第2主面
742 第2シャッタ扉(シャッタ)
743 第1開閉機構(開閉機構)
744 第2開閉機構(開閉機構)
770 ホッパ
900 制御部
1000,2000 製造装置(電池用電極の製造装置)
D 搬送方向
D1 下流側
D2 上流側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される集電体上に、粉体状の活物質を供給する電池用電極の製造装置であって、
前記チャンバ内に設けられ、内部に前記活物質が収容されるホッパと、
前記ホッパに備えられ、前記活物質を前記集電体に向けて供給するための開口を開閉するシャッタと、
前記シャッタを前記集電体の搬送方向に搬送する開閉機構と、
前記開閉機構を制御する制御部と、
前記チャンバ内に配置され、前記集電体上に枠体を供給する枠体供給部と、
を備える、電池用電極の製造装置。
【請求項2】
前記枠体供給部は、前記ホッパよりも前記搬送方向の上流側に配置され、
前記制御部は、前記開閉機構により、前記枠体の内部空間に前記活物質を供給する、請求項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開口のうち前記シャッタにより閉じられていない部分の下方に前記枠体の内部空間が位置するように、前記開閉機構により前記シャッタを搬送する、請求項またはに記載の電池用電極の製造装置。
【請求項4】
前記シャッタが前記開口を閉じた状態で、
前記制御部は、
前記開閉機構により前記シャッタを、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向の下流側に移動させて、前記開口を開き、
前記ホッパが前記枠体の内部空間に前記活物質を供給した後で、前記開閉機構により前記シャッタを前記搬送方向の上流側に移動させて、前記開口を閉じる、請求項からのいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項5】
前記枠体供給部は、前記ホッパよりも前記搬送方向の下流側に配置され、
前記制御部は、前記開閉機構により、前記集電体上に供給した前記枠体の内部空間に前記活物質が入るように、前記集電体上に前記枠体を供給する、請求項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項6】
前記シャッタとして、
第1シャッタ扉と、
前記第1シャッタ扉よりも前記搬送方向の下流側に配置された第2シャッタ扉と、
を有する、請求項からのいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項7】
前記第1シャッタ扉は、
第1主面が前記開口を開閉する本体板と、
前記本体板の第2主面に、前記第2主面から突出し、前記枠体に接触可能な肉厚部と、
を有する、請求項に記載の電池用電極の製造装置。
【請求項8】
前記第2シャッタ扉のみが前記開口を閉じた状態で、
前記制御部は、
前記開閉機構により前記第2シャッタ扉を、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向の下流側に移動させて、前記開口を開き、
前記ホッパが前記枠体の内部空間に前記活物質を供給した後で、前記開閉機構により前記第1シャッタ扉を前記下流側に移動させて、前記開口を閉じる、請求項又はに記載の電池用電極の製造装置。
【請求項9】
前記ホッパを前記搬送方向に搬送する搬送機構を備え、
前記制御部は、前記搬送機構により前記ホッパを、前記枠体の移動に同期して前記搬送方向に搬送する、請求項からのいずれか1項に記載の電池用電極の製造装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
スプライサ310は、集電体31Bの端部同士を接合する。一方の集電体ロール31Rが全て展開され、集電体31Bが全て供給されると、最終的には集電体31Bの終端が下流側D1に向けて移動する。この終端と、方の集電体ロール31Rを展開した集電体31Bの始端とを、スプライサ310により接合する。これにより、複数の集電体31Bを途切れさせることなく連続的に第1チャンバ100内に供給する。