IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ APB株式会社の特許一覧 ▶ 三洋化成工業株式会社の特許一覧

特開2022-86901活物質供給装置及び電池用電極の製造装置
<>
  • 特開-活物質供給装置及び電池用電極の製造装置 図1
  • 特開-活物質供給装置及び電池用電極の製造装置 図2
  • 特開-活物質供給装置及び電池用電極の製造装置 図3
  • 特開-活物質供給装置及び電池用電極の製造装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086901
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】活物質供給装置及び電池用電極の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220602BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220602BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199175
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121430
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】榎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050GA05
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】塊状の活物質を粉体状とすることができる活物質供給装置を提供する。
【解決手段】内部が大気圧よりも減圧されるチャンバ内で搬送される集電体の上に粉体状の活物質32cを供給する活物質供給装置300であって、チャンバ内に配置され、活物質32cを集電体上に供給する供給口を有する解砕機と、解砕機内に配置され、活物質32cに含まれる活物質32cの塊を解砕する解砕機構と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が大気圧よりも減圧されるチャンバ内で搬送される集電体の上に粉体状の活物質を供給する活物質供給装置であって、
前記チャンバ内に配置され、前記活物質を前記集電体の上に供給する供給口を有するホッパと、
前記ホッパ内に配置され、前記活物質に含まれる前記活物質の塊を解砕する解砕機構と、
を有する、活物質供給装置。
【請求項2】
前記解砕機構は、
所定の軸線まわりに回転するロータと、
前記ロータよりも下方に配置されたメッシュ状のスクリーンと、
を有する、請求項1に記載の活物質供給装置。
【請求項3】
内部が大気圧よりも減圧されるチャンバと、
集電体を、前記チャンバ内で前記集電体の長手方向に搬送する搬送装置と、
前記チャンバ内に配置され、前記チャンバ内を移動する前記集電体の上に粉体状の活物質を供給する請求項1また2に記載の活物質供給装置と、
を備える、
電池用電極の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質供給装置及び電池用電極の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の製造方法として、集電体の上に粉体状の活物質を載置し、プレスすることで一体とする成型方法が知られている。例えば、集電体上に設けられた枠体内部に活物質を充填する方法がある(特許文献1)。また、集電体上に設けられた枠体内側に活物質を配置する方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6633866号公報
【特許文献2】特開2019-207750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大気圧より減圧されたチャンバ内において、集電体の上に活物質供給装置により活物質を載置する際、活物質供給装置内に活物質を一時的に堆積させる。このとき、活物質供給装置内において活物質が塊状となることがある。これにより、活物質供給装置内で活物質が詰まることがある。また、塊のまま集電体の上に載置されることで、プレス後に得られた電極に割れ等の成形不良が生じることがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、塊状の活物質を粉体状とすることができる活物質供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る活物質供給装置は、内部が大気圧よりも減圧されるチャンバ内で搬送される集電体の上に粉体状の活物質を供給する活物質供給装置であって、前記チャンバ内に配置され、前記活物質を前記集電体上に供給する供給口を有するホッパと、前記ホッパ内に配置され、前記活物質に含まれる前記活物質の塊を解砕する解砕機構と、を有する。
【0007】
この発明によれば、活物質供給装置が、ホッパ内に解砕機構を有する。これにより、ホッパ内に堆積する塊状の活物質を粉体状とすることができる。よって、活物質供給装置内で活物質が詰まったり、塊状の活物質が集電体の上に載置されたりすることを防ぐことができる。
【0008】
また、前記解砕機構は、所定の軸線回りに回転するロータと、前記ロータよりも下方に配置されたメッシュ状のスクリーンと、を有していてもよい。
【0009】
この発明によれば、解砕機構は、ロータと、メッシュ状のスクリーンと、を有する。これにより、ロータの回転によって塊状の活物質を解し、スクリーンによって更に細かくすることができる。これにより、より効果的に塊状の活物質を解砕することができる。
【0010】
また、本発明に係る電池用電極の製造装置は、内部が大気圧よりも減圧されるチャンバと、集電体を、前記チャンバ内で前記集電体の長手方向に搬送する搬送装置と、前記チャンバ内に配置され、前記チャンバ内を移動する前記集電体の上に粉体状の活物質を供給する前記活物質供給装置と、を備える。
【0011】
この発明によれば、活物質供給装置が大気圧よりも減圧されるチャンバ内に配置される。これにより、減圧されたチャンバ内に、粉体状の活物質を直接供給することができる。そのため、集電体に載置された活物質内に空気が残ることを防ぐことができる。よって、プレス成型した後の活物質に成形不良が生じることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塊状の活物質を粉体状とすることができる活物質供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る電池の断面模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る単セルの断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電池用電極の製造装置を示す側面図である。
図4図3に示す活物質供給装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を適用した一実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
【0015】
<電池(二次電池)>
図1は、一実施形態の電池10の断面模式図である。
本実施形態の電池(二次電池)10は、非水電解質二次電池の1種であるリチウムイオン二次電池である。ここで、リチウムイオン二次電池とは、正極30aと負極30bとの間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池である。以下では、正極30aおよび負極30bを区別無く呼ぶときには、電極(電池用電極)30と呼ぶ。
【0016】
電池10は、例えば、発電要素において電極が並列接続されてなる形式のいわゆる並列積層型電池などの従来公知の任意の二次電池にも適用可能である。なお、以下の説明では、リチウムイオン二次電池を単に「電池」と呼ぶ。
【0017】
本実施形態の電池10は、発電要素11と、正極タブ34aと、負極タブ34bと、外装体12と、を有する。
【0018】
正極タブ34aは、発電要素11の正極側の端面に接触する。同様に、負極タブ34bは、発電要素11の負極側の端面に接触する。正極タブ34aおよび負極タブ34bは、それぞれ外装体12の外側に引き出される。正極タブ34aおよび負極タブ34bは、アルミニウム合金、銅合金等の高導電性材料が用いられる。
【0019】
外装体12は、外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、発電要素11を内部に封止する。外装体12は、例えば、ラミネートフィルムによって袋状に構成される。なお、外装体12としては、金属缶ケースなどを用いてもよい。
【0020】
本実施形態の電池10の発電要素11は、複数の単セル(電池セル)20を有する。発電要素11において、複数の単セル20は、厚さ方向に積層される。単セル20の積層数は、所望する電圧に応じて調節される。
【0021】
<単セル(電池セル)>
図2は、単セル20の断面模式図である。
単セル20は、2つの電極(電池用電極)としての正極30aおよび負極30bと、セパレータ40と、を有する。
【0022】
セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間に配置される。発電要素11において、複数の単セル20は、正極30aと負極30bとを同方向に向けて積層される。発電要素11において、積層方向の正極側の端部に配置される単セル20の正極30aには、正極タブ34aが接触し、積層方向の負極側の端部に配置される単セル20の負極30bには、負極タブ34bが接触する。
【0023】
セパレータ40には、電解質が保持される。これにより、セパレータ40は、電解質層として機能する。セパレータ40は、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間の隔壁として機能する。
【0024】
セパレータ40に保持される電解質としては、例えば、電解液またはゲルポリマー電解質などが挙げられる。これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
【0025】
正極30aおよび負極30bは、それぞれ、集電体31と、電極活物質層32と、枠体45と、を有する。電極活物質層32と集電体31とは、セパレータ40側からこの順に並ぶ。枠体45は、額縁状(環状)である。枠体45は、電極活物質層32の周囲を囲む。正極30aの枠体45と負極30bの枠体45とは、互いに溶着され一体化されている。
【0026】
以下の説明において、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層32a、負極活物質層32bと呼ぶ。
【0027】
枠体45は、集電体31同士の接触や単セル20の端部における短絡を防止する。枠体45を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。
【0028】
集電体31は、導電性のシート状の部材である。集電体31を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、導電性を有する樹脂や、金属が用いられうる。軽量化の観点からは、集電体31は、導電性を有する樹脂によって形成された樹脂集電体であることが好ましい。なお、単セル20間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、樹脂製の集電体31の一部に金属層を設けてもよい。
【0029】
樹脂製の集電体31を構成する導電性を有する樹脂としては、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
【0030】
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(H
DPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
【0031】
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、白金、鉄、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、アンチモン、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)、ブラックパール(登録商標)、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0032】
導電性フィラーの添加量は、集電体31に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、好ましくは、5~35質量%程度であり、より好ましくは10~30質量%であり、さらに好ましくは15~20質量%である。
【0033】
また、集電体31が金属によって形成される場合は、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属のめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体31へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
【0034】
電極活物質層32は、電極活物質(正極活物質または負極活物質)および導電助剤を含む電極用造粒粒子(以下、単に造粒粒子)を有する。また、電極活物質層32は、必要に応じて、電解液および粘着剤のうち何れか一方又は両方をさらに含んでいてもよい。また、電極活物質層32は、必要に応じて、イオン伝導性ポリマー等を含んでもよい。
以下の説明において、正極活物質層32aおよび負極活物質層32bの電極活物質を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質、負極活物質と呼ぶ。
【0035】
正極活物質としては、例えば、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2、Li(Ni-Mn-Co)O2およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム-遷移金属複合酸化物、リチウム-遷移金属リン酸化合物、リチウム-遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム-遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。より好ましくはリチウムとニッケルとを含有する複合酸化物が用いられる。さらに好ましくはLi(Ni-Mn-Co)O2およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、「NMC複合酸化物」と呼ぶ)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物などが用いられる。NMC複合酸化物は、リチウム原子層と遷移金属(Mn、NiおよびCoが秩序正しく配置)原子層とが酸素原子層を介して交互に積み重なった層状結晶構造を有する。そして、遷移金属1原子あたり1個のLi原子が含まれ、取り出せるLi量が、スピネル系リチウムマンガン酸化物の2倍、つまり供給能力が2倍になり、高い容量を持つことができる。
【0036】
負極活物質としては、例えば、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム-遷移金属複合酸化物(例えば、Li4Ti5O12)、金属材料(スズ、シリコン)、リチウム合金系負極材料(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-シリコン合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-アルミニウム-マンガン合金等)などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料、リチウム-遷移金属複合酸化物、リチウム合金系負極材料が、負極活物質として好ましく用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。また、(メタ)アクリレート系共重合体等の被覆用樹脂は特に炭素材料に対して付着しやすいという性質を有している。したがって、構造的に安定した電極材料を提供するという観点からは、負極活物質として炭素材料を用いることが好ましい。
【0037】
導電助剤は、電子伝導パスを形成し、電極活物質層32の電子移動抵抗を低減することで、電池の高レートでの出力特性向上に寄与し得る。導電助剤の形状は、粒子状または繊維状であることが好ましい。
【0038】
導電助剤としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン等の金属、これらの金属を含む合金または金属酸化物;炭素繊維(具体的には、気相成長炭素繊維(VGCF)等)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー、カーボンブラック(具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等のカーボンが挙げられるが、これらに限定されない。また、粒子状のセラミック材料や樹脂材料の周りに上記金属材料をめっき等でコーティングしたものも導電助剤として使用できる。これらの導電助剤のなかでも、電気的安定性の観点から、アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン、およびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミニウム、ステンレス、銀、金、およびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、カーボンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。これらの導電助剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
【0039】
電解液(液体電解質)は、溶媒にリチウム塩が溶解した形態を有する。本発明の電解液を構成する溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類が挙げられる。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6LiClO4、Li[(FSO2)2N](LiFSI)等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、およびLiC(CF3SO2)3等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。なお、電解液におけるリチウム塩の濃度は、0.1~3.0Mであることが好ましく、0.8~2.2Mであることがより好ましい。また、添加剤を使用する場合の使用量は、添加剤を添加する前の電解液100質量%に対して、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。
【0040】
添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2-ジビニルエチレンカーボネート、1-メチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-メチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-2-ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1-ジメチル-2-メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0041】
粘着剤としては、例えば、ポリシック(登録商標)シリーズ等の(メタ)アクリル酸エステル系感圧接着剤が挙げられる。造粒粒子中の前記粘着剤の含有量は、造粒粒子の固形分の合計質量に対して、0.01~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~8質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%であり、特に好ましくは0.1~3質量%である。
【0042】
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系及びポリプロピレンオキシド(PPO)系の公知のポリオキシアルキレンオキサイドポリマーが挙げられる。
【0043】
<電池用電極の製造装置及び電池用電極の製造方法>
次に、本実施形態の電池用電極(正極30aおよび負極30b)の製造装置について説明する。
集電体31は、電極30の製造工程において、帯状の集電体31Bを適宜切断することにより設けられるものとする。帯状の集電体31Bは、製造装置に投入される前はロール状となって保管される。このように、ロール状に保管される帯状の集電体31Bを、集電体ロール31Rとする。
なお、本実施形態では帯状の集電体31Bから集電体31とする方法を好適に用いられるものとして説明するが、その他方法であってもよい。
正極活物質層32a及び負極活物質層32bを区別なく呼ぶときには、活物質32cと呼ぶ。活物質32cは、電極活物質および導電助剤を含む、複数の電極用造粒粒子のことを意味する。活物質32cは、粉体状である。
【0044】
正極30aの製造方法と負極30bの製造方法とは、主に電極活物質層32に含まれる電極活物質が異なる。そのため、製造装置については正極30aおよび負極30bによる差異はない。ここでは、電極30の製造装置として、製造装置(電池用電極の製造装置)1000を説明する。
図3に示すように、製造装置1000は、チャンバ100と、搬送装置200と、活物質供給装置300と、ロールプレス400と、枠体供給装置500と、集電体展開装置600と、入口部700と、を備える。
【0045】
チャンバ100は、内部を大気圧よりも減圧された状態に保持できる部屋である。チャンバ100の内部は、不図示の減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。チャンバ100の内部の圧力は、大気圧よりも減圧されていれば任意の値でよいが、例えば、大気圧から1×10-1~1×10-2Paまでの低真空環境となるように調整されていてもよいし、1×10-6~1×10-7Paの高真空環境となるように調整されていてもよいし、それ以上の超高真空や10-8~10-9Paレベルの極高真空であってもよい。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約10Pa)である。
チャンバ100は、空洞状である。チャンバ100内では、帯状の集電体31Bが搬送される。
チャンバ100内では、本実施形態における電池の製造に係る主要な工程が実施される。すなわち、帯状の集電体31Bの上に粉体状の活物質32cを載置し、載置された活物質32cをプレス加工し、枠体45を設置する工程が実施される。チャンバ100の内部には、少なくとも搬送装置200、活物質供給装置300、ロールプレス400、枠体供給装置500が設けられている。本実施形態において、帯状の集電体31Bはチャンバ100の外部から内部へ挿入される。そのため、チャンバ100には、帯状の集電体31Bの入口として、第1スリット110が設けられている。
本実施形態に係る電池の製造時には、チャンバ100の内部は大気圧よりも減圧される。これにより、活物質内部に空気が残留することを防ぐ。
【0046】
搬送装置200は、チャンバ100内において、帯状の集電体31Bを帯状の集電体31Bの長手方向に搬送する。また、搬送装置200として、帯状の集電体31Bの搬送方向において、ロールプレス400よりも上流側に第1搬送装置210、下流側に第2搬送装置220が設けられている。第1搬送装置210及び第2搬送装置220は、例えば、公知のベルトコンベアである。第1搬送装置210の上には、活物質供給装置300が設けられている。また、第2搬送装置220の上には、枠体供給装置500が設けられている。なお、以下において、第1搬送装置210と第2搬送装置220とをまとめて、搬送装置200と呼ぶことがある。
【0047】
活物質供給装置300は、搬送装置200によりチャンバ100内に搬送される帯状の集電体31Bの上に、活物質32cを載置する。図4に示すように、活物質供給装置300は、スクリューコンベア310と、投入シュート320と、解砕機330(ホッパ)と、超音波振動機340と、シャッタユニット350と、ならしブラシ360と、を備える。
スクリューコンベア310は、活物質32cを活物質供給装置300へ運搬する。スクリューコンベア310の一方の端部は活物質32cの貯蔵部等(不図示)へ接続されている。スクリューコンベア310の他方の端部は、投入シュート320へ接続されている。
【0048】
投入シュート320は、スクリューコンベア310から運搬された活物質32cを、解砕機330へ運搬する。投入シュート320の一方の側面には、スクリューコンベア310の他方の端部が接続されている。投入シュート320の下面には、解砕機330の上面が接続されている。これにより、投入シュート320へスクリューコンベア310により水平方向に投入された活物質32cは、解砕機330へ自由落下することで投入される。
【0049】
解砕機330は、チャンバ100内を搬送される帯状の集電体31Bの上に設けられている。解砕機330の上には投入シュート320が設けられている。解砕機330の下にはシャッタユニット350が設けられている。
ここで、投入シュート320から解砕機330内に投入された活物質32cは、その材料の性質上塊状となっていることがある。この状態のまま活物質32cを帯状の集電体31Bの上に載置すると、完成後の電極30の性能に影響を及ぼす。解砕機330は、この問題を解消するために、載置前の活物質32cを粉砕する役割を有する。
【0050】
解砕機330は、排出シュート331(供給口)と、ロータ332と、スクリーン333と、を備える。排出シュート331は、投入シュート320から投入された活物質32cを受け入れる容器である。本実施形態において、排出シュート331の下端部は開口しており、チャンバ100内に配置されているものとする。これにより、減圧されたチャンバ100内における帯状の集電体31B上に、活物質32cが載置される。
【0051】
ロータ332は、排出シュート331内に配置された回転部材である。ロータ332は、排出シュート331内において、所定の軸線まわりに回転する。前記軸線は、例えば、水平方向であることが好ましく、また、水平方向のうち、搬送装置200による搬送方向に直交する方向であることがより好ましい。
ロータ332は、例えば、円盤部332aと、円盤部332aの間に複数配置された円柱部332bと、を備える。
【0052】
円盤部332aは、ロータ332の軸線上に一対に設けられる円盤状の部材である。円盤部332aは、円盤状の平面が、ロータ332の軸線に直交する方向に設けられる。一対の円盤部332aの中心は、いずれもロータ332の軸線上に設けられる。
円柱部332bは、一対の円盤部332aの間に複数設けられる円柱状の部材である。円柱部332bは、例えば、円柱状の軸線がロータ332の軸線に平行になるように設けられている。また、複数の円柱部332bは、円盤部332aの外縁部に、間隔をあけて設けられている。本実施形態において、円柱部332bは、1対の円盤部332aの間に6か所設けられているとする。
排出シュート331内に投入された活物質32cは、回転するロータ332に接触することにより攪拌される。これにより、塊状の活物質32cが粉砕される。
【0053】
スクリーン333は、排出シュート331内において、ロータ332の下部に配置される。スクリーン333は、網状(メッシュ状)の部材である。スクリーン333は、ロータ332によって粉砕された活物質32cを、より細かくするふるいの役割を有する。スクリーン333は、塊状の活物質32cが回転するロータ332とスクリーン333との間に挟まれることで、塊状の活物質32cをすりつぶすように粉砕する役割を有する。
以下において、ロータ332と、スクリーン333とを合わせて、解砕機構と呼称することがある。
【0054】
超音波振動機340は、排出シュート331下部の外壁に設けられている。つまり、ロータ332及びスクリーン333によって粉砕された活物質32cが堆積する部位の外側に設けられている。超音波振動機340は、超音波を発生することで排出シュート331の下部(スクリーン333上)に堆積した活物質32cを振動させ、堆積した活物質32cを均一にならす役割を有する。超音波振動機340は、例えば、堆積した活物質32cの高さを不図示の高さセンサによって確認し、一定の高さを超えたときに起動して振動を開始することで、活物質32cの高さをならす方法が好適に用いられる。あるいは、超音波振動機340は、常に起動させていてもよい。
【0055】
シャッタユニット350は、上述のように開口した排出シュート331の下端部に設けられている。つまり、シャッタユニット350の真上には、解砕機330によって粉砕された活物質32cが堆積する。この状態でシャッタユニット350を開閉することで、活物質32cがチャンバ100内を搬送される帯状の集電体31Bの上に落下する。これにより、帯状の集電体31Bの上に活物質32cを載置する。
【0056】
シャッタユニット350は、第1シャッタ扉351と、第2シャッタ扉352と、開閉機構353と、を備える。本実施形態では、第1シャッタ扉351は、チャンバ100内において、帯状の集電体31Bの搬送方向の上流側に設けられている。第2シャッタ扉352は、帯状の集電体31Bの搬送方向の下流側に設けられている。
【0057】
開閉機構353は、帯状の集電体31Bの移動方向において、第1シャッタ扉351を往復移動させる。このことで、シャッタユニット350を開閉する。これにより、活物質32cを帯状の集電体31Bの上に載置する。開閉機構353には、例えば、移動部を第1シャッタ扉351に、基台部を排出シュート331の側部に設けた送りねじ機構が好適に用いられる。あるいは、前後方向に第1シャッタ扉351を移動することができれば、任意の機構で構わない。
搬送装置200により搬送される帯状の集電体31Bの移動に合わせてシャッタユニット350を適宜開閉することで、帯状の集電体31Bの上に載置する活物質32cの量を調整する。これにより、帯状の集電体31Bの上に載置する活物質32cの量を精密に管理する。
【0058】
ならしブラシ360は、排出シュート331内部の下部に設けられる。ならしブラシ360は、排出シュート331の内部において、堆積した活物質32cの上面付近を往復移動する。これにより、超音波振動機340と協業し、排出シュート331の内部に堆積した活物質32cの高さを均一にならす役割を有する。
【0059】
ロールプレス400は、チャンバ100内において、第1搬送装置210と第2搬送装置220との間に設けられる。ロールプレス400は、上述の工程でチャンバ100内の帯状の集電体31Bの上に載置された活物質32cを、帯状の集電体31Bとともにプレス成形する。これにより、活物質32cを帯状の集電体31Bに定着させる役割を有する。
【0060】
このとき、大気圧中において上述の載置を行うと、活物質32cの内部に空気が残留することがある。この状態のままロールプレス400によるプレス成型を行うと、プレス終了後に圧縮された空気が膨張し、活物質32cが弾け飛んだり、活物質32cの表面が凹凸になったりする等の不都合が生ずる。これに対し、本実施形態では、活物質32cの載置及びプレス成型の工程を、上述のように減圧されたチャンバ100の内部にて行う。これにより、活物質32c内に空気が残留することなく、上述の作業を行うことを可能とする。
第1搬送装置210からロールプレス400に搬送され、プレス成型された活物質32cは、第2搬送装置220へ搬送される。
【0061】
枠体供給装置500は、第2搬送装置220の上に設けられる。枠体供給装置500は上述の工程によりプレス成型された活物質32cの周囲に、枠体45を設置する。枠体供給装置500は、支持具510と、移動レール520と、追従レール530と、を備える。
支持具510は、チャンバ100内に予め用意された枠体45を把持し、第2搬送装置220の上を搬送される活物質32cの周囲に移動する。
【0062】
支持具510は、ベース511と、把持アーム512と、を備える。ベース511は、追従レール530の摺動部532(後述する)に設置されている。
把持アーム512は、ベース511に接続されている。把持アーム512は、枠体45を把持する部位である。把持アーム512は、ベース511によって上下方向に移動可能である。把持アーム512による枠体45の把持方法は、例えば、吸着部513によって、枠体45を把持アーム512の先端部に吸着させる方法が好適に用いられる。
【0063】
移動レール520は、チャンバ100内において、支持具510を搬送装置200の搬送方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に移動させる。本実施形態において、移動レール520は、円柱状の部材が、搬送装置200の搬送方向と直交する方向を長手方向として、一対かつ平行に設けられている。この一対の移動レール520には、後述する追従レール530の両端に設けられた取付部531が、それぞれ取り付けられている。
【0064】
追従レール530は、支持具510が設置される部位である。本実施形態において、追従レール530は、円柱状の部材であり、搬送装置200の搬送方向を長手方向として設けられている。追従レール530は、取付部531と、摺動部532と、を備える。
取付部531は、追従レール530の両端部に設けられている。取付部531は、1対の移動レール520にそれぞれ取り付けられている。取付部531は、移動レール520の長手方向に移動可能である。これにより、追従レール530は、移動レール520の長手方向に平行移動する。
【0065】
摺動部532は、追従レール530における、円柱状の部位である。上述のように、摺動部532には、支持具510が取り付けられる。これにより、支持具510は、追従レール530に伴い、移動レール520の長手方向に移動する。
これらによって、枠体供給装置500は、第2搬送装置220の側部に用意された枠体45を、支持具510によって持ち上げ、移動レール520によって第2搬送装置220の上部まで移動させ、帯状の集電体31Bの上に設置する。
【0066】
枠体45を帯状の集電体31Bの上に設置する際は、移動レール520によって、枠体45を搬送装置200の搬送方向と直交する方向にのみ移動させ、活物質32cの位置にあわせて枠体45を降下させることで設置する。
あるいは、枠体45を降下させると同時に、追従レール530の長手方向、すなわち搬送装置200の搬送方向に支持具510を移動させてもよい。つまり、支持具510を、搬送装置200による帯状の集電体31Bの移動方向及び移動速度に合わせて移動させながら枠体45を設置してもよい。
【0067】
集電体展開装置600は、チャンバ100内に、帯状の集電体31Bを供給する。本実施形態において、集電体展開装置600は、チャンバ100の外に設けられている。
集電体展開装置600は、ロール保持部610と、スプライサ620と、送りローラ630と、を備える。
【0068】
ロール保持部610には、集電体ロール31Rが保持される。ロール保持部610は、支柱部611と、ロールチェンジャ612と、回転部613と、取付部614と、を備える。
支柱部611は、ロール保持部610のベースとなる部位である。支柱部611は、例えば、棒状の部材が地上に垂直に設けられて構成されている。
ロールチェンジャ612は、棒状の部材である。
回転部613は、支柱部611の上端に設けられる。回転部613は、ロールチェンジャ612の長手方向の中央部を回転可能に保持する。
取付部614は、棒状の部材である。取付部614は、ロールチェンジャ612の両端部に、ロールチェンジャ612が回転する平面に対して垂直に設けられる。
取付部614は、集電体ロール31Rの中心部を挿入することで、集電体ロール31Rを保持する。
【0069】
スプライサ620は、帯状の集電体31Bの端部同士を接合する。集電体ロール31Rが全て展開され、帯状の集電体31Bが全て供給されると、最終的には帯状の集電体31Bの終端がチャンバ100の方向に向けて移動する。この終端と、上述のように複数用意された集電体ロール31Rを展開した帯状の集電体31Bの始端とをスプライサ620により接合する。
これにより、複数の帯状の集電体31Bを途切れさせることなく連続的にチャンバ100に供給する。
【0070】
送りローラ630は、ロール保持部610とチャンバ100との間に設けられる。送りローラ630は、複数の回転部材からなる。送りローラ630により搬送される帯状の集電体31Bは、前記複数の回転部材に沿って移動する。これにより、帯状の集電体31Bを送りローラ630の途中で緩ませることなく、安定してチャンバ100内に供給する。
【0071】
上述の集電体展開装置600によって、チャンバ100への帯状の集電体31Bの供給は、以下のようにされる。ここで、集電体ロール31Rは、ロール保持部610に少なくとも2つ保持される。なお、集電体ロール31Rは、上側の集電体ロール31Rの付近、すなわち上側の取付部614の付近に複数用意されているものとする。
まず、取付部614に取付けられた集電体ロール31Rが適宜展開され、集電体ロール31Rから帯状の集電体31Bが供給される。
【0072】
通常時のチャンバ100への帯状の集電体31Bの供給は、ロール保持部610によって下側に保持された集電体ロール31Rからされる。上述のように、集電体ロール31Rが全て展開されると、下側の集電体ロール31Rの終端と、上側の集電体ロール31Rの始端がスプライサ620によって接合される。これにより、チャンバ100への集電体ロール31Rの供給が、上側の集電体ロール31Rからされるように切り替わる。
【0073】
その後、上側の集電体ロール31Rは、ロールチェンジャ612によって下側に移動する。すると、集電体ロール31Rが取付けられていない状態となった側の取付部614が、上側に移動する。これにより、上側に移動した取付部614に対して、上述のように予め上側に用意された集電体ロール31Rが取付け可能になる。この状態となった後、上側の取付部614の付近に用意されていた集電体ロール31Rが、上側に移動した取付部614に取付けられる。
これを繰り返すことにより、チャンバ100への帯状の集電体31Bの供給を止めることなく、集電体ロール31Rを切り替え、連続的に帯状の集電体31Bを供給する。
【0074】
以上のように、入口部700よりチャンバ100内に供給された帯状の集電体31Bは、集電体展開装置600によって帯状の集電体31Bを載置され、ロールプレス400によってプレス成型された後、枠体供給装置500により枠体を設置される。その後、帯状の集電体31Bを枠体の間隔に合わせ適宜切断することで、電極30を形成する。
【0075】
なお、上述の工程により形成された電極30(すなわち、正極30aおよび負極30b)を適宜積層することにより、単セル20とする。
【0076】
以上説明したように、本発明に係る活物質供給装置300によれば、解砕機330内に解砕機構を有する。これにより、解砕機330内に堆積する塊状の活物質32cを粉体状とすることができる。よって、活物質供給装置300内で活物質32cが詰まったり、塊状の活物質32cが帯状の集電体31Bの上に載置されたりすることを防ぐことができる。
【0077】
また、解砕機構は、ロータ332と、メッシュ状のスクリーン333と、を有する。これにより、ロータ332の回転によって塊状の活物質32cを解し、スクリーン333によって更に細かくすることができる。これにより、より効果的に塊状の活物質32cを解砕することができる。
【0078】
また、活物質供給装置300が大気圧よりも減圧されるチャンバ100内に配置される。これにより、減圧されたチャンバ100内に、粉体状の活物質32cを直接供給することができる。そのため、帯状の集電体31Bに載置された活物質32c内に空気が残ることを防ぐことができる。よって、プレス成型した後の活物質32cに成形不良が生じることを防ぐことができる。
【0079】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、活物質供給装置300は、その全体がチャンバ100内に設けられていてもよい。
また、枠体供給装置500は、搬送装置200の搬送方向において、集電体展開装置600の上流側に設けられていてもよい。すなわち、帯状の集電体31Bの上に枠体45を設置した後に、枠体45の内側に活物質32cを載置してもよい。
【0080】
また、活物質供給装置300は、排出シュート331の下部のみでなく、全体をチャンバ100内に設けてもよい。
また、
また、円柱部332bの軸線は、ロータ332の軸線と平行となるように設けられていなくてもよい。
また、解砕機構は、上述のロータ332とスクリーン333以外の構成であってもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 電池
30 電極
31 集電体
31B 帯状の集電体
32c 活物質
100 チャンバ
200 搬送装置
300 活物質供給装置
330 解砕機
332 ロータ
333 スクリーン
1000 製造装置
図1
図2
図3
図4