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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086913
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】スナップフィット構造及びセンサ
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/06 20060101AFI20220602BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F16B21/06 Z
H01L31/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199191
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391041648
【氏名又は名称】新光電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】立花 誉大
【テーマコード(参考)】
3J037
5F889
【Fターム(参考)】
3J037AA02
3J037BA02
3J037BB01
3J037BB04
3J037DA01
3J037DC01
5F889BB06
5F889BC11
5F889CA20
5F889CA21
(57)【要約】
【課題】外力が加えられても、従来と同様の被係合対象物に対してスナップ部材を係合させたときに、係合を外れ難くすることができる。
【解決手段】支持部の係止部が設けられた面と反対側の面に隣接して、傾斜壁面を有する凸部が設けられており、第2面と傾斜壁面との距離は、支持部の先端に向かうにつれて広くなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被係合対象物に対して着脱自在に係合可能なスナップ部材を備えたスナップフィット構造であって、
可撓性を有する細長い板状の支持部であって、根元側の端がベース部材に設けられており、先端側の端が板厚に沿った第1方向に弾性変形可能な支持部と、
前記支持部の先端側の端近傍に設けられており、前記第1方向と略直交する第1面に設けられた係止部であって、前記第1面に沿って見たときの形状が三角形状であり、根元側に設けられた前記第1面と略直交する係止面と、前記係止面に対して傾いている傾斜面とを有する係止部と、
前記支持部の前記第1面と反対側の面である第2面に隣接して設けられた凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記第2面に対して傾いている傾斜壁面を有し、
前記第2面と前記傾斜壁面との距離は、前記支持部の先端に向かうにつれて広くなる
ことを特徴とするスナップフィット構造。
【請求項2】
前記凸部は、前記傾斜壁面の先端側に設けられた先端壁面であって、前記傾斜壁面よりも前記係止面に対する傾きが急であり、前記第2面から遠ざかる方向に延設された先端壁面を有し、
前記先端壁面は、前記係止面よりも前記支持部の先端側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスナップフィット構造。
【請求項3】
前記第1面に沿って見たときに、前記第2面が前記傾斜壁面に沿うように前記支持部を弾性変形させた状態では、前記係止面と前記傾斜面とが交差して形成された第1線が、前記支持部を弾性変形させていないときの前記第1面の延長線上に位置する、又は、前記第1線が、前記支持部を弾性変形させていないときの前記第1面の延長線よりも前記凸部側に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスナップフィット構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスナップフィット構造を有するケースと、
前記ケースの内部に設けられた発光素子又は受光素子と、
を備え、
前記ケースは、開口部を覆う蓋部を有し、
前記支持部は、前記開口部に隣接して前記ケースに設けられており、
前記凸部は、前記蓋部に設けられている
ことを特徴とするセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナップフィット構造及びセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、弾性変形可能な爪部を有するフォトインタラプタと、フォトインタラプタを着脱可能に支持する支持部と、を備えたフォトインタラプタユニットが開示されている。支持部は、フォトインタラプタが取付けられる取付け面と、取付け面に形成されると共に爪部が挿入されて爪部に係合可能な孔部と、取付け面から突出し爪部と孔部とが係合した状態でフォトインタラプタに対向すると共に、爪部が弾性変形可能な変形方向におけるフォトインタラプタの位置を規制する突出部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-34935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、スナップフィットのはめ込み作業を行う量産工程において、正しく係止されたフォトインタラプタに対して作業者が意図せず外力を加えると、スナップフィットが脱落や半係止した状態となる、すなわち係止不良が発生する場合があるという問題に対し、フォトインタラプタの位置を規制する突出部を支持部に設けることで対応している。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、フォトインタラプタが取り付けられる側の部品(支持部)に突出部を追加する必要があり、様々な被係合対象物に対応することができない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、外力が加えられても、従来と同様の被係合対象物に対してスナップ部材を係合させたときに、係合を外れ難くすることができるスナップフィット構造及びスナップフィット構造を有するセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るスナップフィット構造は、例えば、被係合対象物に対して着脱自在に係合可能なスナップ部材を備えたスナップフィット構造であって、可撓性を有する細長い板状の支持部であって、根元側の端がベース部材に設けられており、先端側の端が板厚に沿った第1方向に弾性変形可能な支持部と、前記支持部の先端側の端近傍に設けられており、前記第1方向と略直交する第1面に設けられた係止部であって、前記第1面に沿って見たときの形状が三角形状であり、根元側に設けられた前記第1面と略直交する係止面と、前記係止面に対して傾いている傾斜面とを有する係止部と、前記支持部の前記第1面と反対側の面である第2面に隣接して設けられた凸部と、を備え、前記凸部は、前記第2面に対して傾いている傾斜壁面を有し、前記第2面と前記傾斜壁面との距離は、前記支持部の先端に向かうにつれて広くなることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るスナップフィット構造によれば、支持部の係止部が設けられた面と反対側の面に隣接して、傾斜壁面を有する凸部が設けられており、第2面と傾斜壁面との距離は、支持部の先端に向かうにつれて広くなる。これにより、支持部を弾性変形させても、第2面が傾斜壁面に当接する。したがって、外力が加えられても、従来と同様の被係合対象物に対してスナップ部材を係合させたときに、係合を外れ難くすることができる。
【0008】
前記凸部は、前記傾斜壁面の先端側に設けられた先端壁面であって、前記傾斜壁面よりも前記係止面に対する傾きが急であり、前記第2面から遠ざかる方向に延設された先端壁面を有し、前記先端壁面は、前記係止面よりも前記支持部の先端側に配置されていてもよい。これにより、支持部の破損を防止することができる。
【0009】
前記第1面に沿って見たときに、前記第2面が前記傾斜壁面に沿うように前記支持部を弾性変形させた状態では、前記係止面と前記傾斜面とが交差して形成された第1線が、前記支持部を弾性変形させていないときの前記第1面の延長線上に位置する、又は、前記第1線が、前記支持部を弾性変形させていないときの前記第1面の延長線よりも前記凸部側に位置するようにしてもよい。これにより、従来と変わらない作業性でスナップ部材を被係合対象物に係合させることができる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るセンサは、例えば、スナップフィット構造を有するケースと、前記ケースの内部に設けられた発光素子又は受光素子と、を備え、前記ケースは、開口部を覆う蓋部を有し、前記支持部は、前記開口部に隣接して前記ケースに設けられており、前記凸部は、前記蓋部に設けられていることを特徴とする。これにより、外力が加えられても、従来と同様の被係合対象物に対してスナップ部材を係合させたときに、係合を外れ難くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外力が加えられても、従来と同様の被係合対象物に対してスナップ部材を係合させたときに、係合を外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかるフォトインタラプタ1の一例を示す斜視図であり、(A)は斜め上方向から見た図であり、(B)は斜め下方向から見た図である。
図2】フォトインタラプタ1の一例を示す6面図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は底面図であり、(D)は左側面図であり、(E)は右側面図であり、(F)は背面図である。
図3】フォトインタラプタ1の概略を示す図であり、(A)は左側面図であり、(B)は正面図である。
図4図3(A)の部分拡大図である。
図5】フォトインタラプタ1の概略を示す図であり、面15bが第2壁面31bに沿うように支持部15を弾性変形させた状態を示す図である。
図6】(A)は、変形例にかかるスナップフィット構造2-1を有するフォトインタラプタ1-1の概略を示す左側面図であり、(B)は、変形例にかかるスナップフィット構造2-2を有するフォトインタラプタ1-2の概略を示す左側面図である。
図7】フォトインタラプタ3の一例を示す斜視図であり、(A)は斜め上方向から見た図であり、(B)は斜め下方向から見た図である。
図8】フォトインタラプタ3の一例を示す6面図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は底面図であり、(D)は左側面図であり、(E)は右側面図であり、(F)は背面図である。
図9】(A)は、フォトインタラプタ1を板金100の孔101に設ける様子を示し、(B)は、フォトインタラプタ3を板金100Aの孔102に設ける様子を示す。
図10】従来のフォトインタラプタ1’の一例を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。以下、本発明のスナップフィット構造及びセンサについて、フォトインタラプタにスナップフィット構造を設けた例を用いて説明するが、本発明のスナップフィット構造はフォトインタラプタ以外の様々なセンサに設けることができる。なお、センサは、受光素子又は発光素子を有していればよい。また、本発明のスナップフィット構造は、センサ以外の様々な装置に適用することができる。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるスナップフィット構造2を有するフォトインタラプタ1の一例を示す斜視図であり、(A)は斜め上方向から見た図であり、(B)は斜め下方向から見た図である。図2は、フォトインタラプタ1の一例を示す6面図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は底面図であり、(D)は左側面図であり、(E)は右側面図であり、(F)は背面図である。
【0015】
以下、正面から見て(図1(A)白抜き矢印参照)、右方向を+x方向とし、手前側から奥側へ向かう方向を+y方向とし、下から上に向かう方向を+z方向とする。
【0016】
フォトインタラプタ1は、主として、ケース10と、コネクタ20とを備える。ケース10は、主として、ケース本体11と、凸部12、13と、スナップ部材14と、蓋部30とを有する。
【0017】
ケース本体11は、樹脂(例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM))により形成され、正面又は背面(y方向)からみて略コの字形状(略U字形状)の部品である。
【0018】
ケース本体11は、中空の略矩形形状であり、1つの面(ここでは、底面)に開口部を有する。本実施の形態では、底面全体が開口となっている。蓋部30は、この開口部を覆うようにケース本体11に設けられる。
【0019】
ケース本体11には、コネクタ20が設けられる。コネクタ20は、ケース本体11の内部に設けられた基板(図示せず)を介して発光素子(図示せず)及び受光素子(図示せず)と電気的に接続される。なお、コネクタ20の配設位置はこれに限られない。また、コネクタ20は必須ではない。
【0020】
凸部12及び凸部13は、ケース本体11の底面と対向する上面11aに形成される。
凸部12及び凸部13は、ケース本体11の底面から上面へ向かう向き(+z方向)に突出して設けられる。凸部12の内部には、発光素子(図示せず)が設けられる。凸部13の内部には、受光素子(図示せず)が設けられる。
【0021】
凸部12及び凸部13は、所定の間隔だけx方向に離れて設けられる。したがって、ケース10、すなわちフォトインタラプタ1は、正面からみて、略U字形状(略コの字形状)となっている。ただし、凸部12及び凸部13の位置及び形状はこれに限定されない。
【0022】
凸部12及び凸部13には、それぞれスリット12a、スリット13aが設けられる。スリット12aとスリット13aとは、対向して設けられる。発光素子の発光部はスリット12aに向けて設けられ、受光素子の受光部はスリット13aに向けて設けられる。
【0023】
スリット12a、13aは、物体の位置検出の精度を高くするために設けられる。なお、スリット12a、13aは、空洞でもよいし、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)等の光透過性樹脂が充填されていてもよい。
【0024】
凸部12内に設けられた発光素子からの光は、スリット12a、凸部12及び凸部13との間(検出溝)の空間、及びスリット13aを通過して、受光素子で受光される。フォトインタラプタ1は、検出溝を物体が通過すると、受光素子での受光がなくなり、これにより検出溝を物体が移動したことが検出される。
【0025】
スナップ部材14は、被係合対象物に対して着脱自在に係合可能な部材であり、ケース本体11の側面(ここでは、-y側の側面11b及び+y側の側面11c)に略沿って設けられる。スナップ部材14は、支持部15と、係止部16と、を有する。以下、スナップ部材14について図3、4を用いて説明する。
【0026】
図3は、フォトインタラプタ1の概略を示す図であり、(A)は左側面図であり、(B)は正面図である。図3(B)は、フォトインタラプタ1の要部であるスナップ部材14の近傍のみ図示している。図4は、図3(B)の部分拡大図である。
【0027】
支持部15は、細長い板状であり、根元側の端がケース本体11(本発明のベース部材に相当)に設けられている。本実施の形態では、支持部15は、ケース本体11の開口部及び蓋部30に隣接して、ケース本体11から-z方向に突出するように、ケース本体11に一体形成される。
【0028】
支持部15は、幅wが肉厚tよりも広く、先端側の端が板厚に沿った方向(y方向、本発明の第1方向に相当)に移動するように弾性変形可能である。ここで、先端側とは、ケース本体11に設けられている側(根元側)の反対側である。本実施の形態では、根元側が+z側であり、先端側が-z側である。
【0029】
なお、支持部15が弾性変形することで、厳密には、支持部15の先端に設けられた係止部16が円弧を描くように変形する。しかしながら、この円弧の半径に比べて支持部15の変形量が小さいため、支持部15の先端側の端の変形方向はy方向と略同じである。
【0030】
係止部16は、支持部15の先端側の端に設けられている。なお、係止部16は、支持部15の先端側の端近傍に設けられていればよく、例えば係止部16の先端側から支持部15が突出していてもよい。
【0031】
係止部16は、y方向と略直交する面(ここでは、面15a)に設けられている。面15a(本発明の第1面に相当)は、ケース本体11を外側から見たときに視認できる面であり、側面11bに形成された支持部15については、-y側の面が面15aであり、側面11cに形成された支持部15については、+y側の面が面15aである。
【0032】
係止部16は、面15aに沿って(y方向に沿って)見たときの形状が三角形状である。係止部16は、主として、面15aと略直交する係止面16aと、係止面16aに対して傾いている傾斜面16bとを有する。係止面16aは、係止部16の根元側(+z側)に設けられている。
【0033】
なお、本実施の形態では、フォトインタラプタ1が4つのスナップ部材14を有したが、フォトインタラプタ1が有するスナップ部材14の数はこれに限られないし、スナップ部材14が設けられる位置もこれに限られない。
【0034】
図1、2の説明に戻る。蓋部30には、凸部31が設けられている。凸部31は、スナップ部材14に隣接して設けられている。スナップフィット構造2は、凸部31及びスナップ部材14を有する。
【0035】
図4に示すように、凸部31は、面15aと反対側の面である面15b(本発明の第2面に相当)に隣接して設けられている。凸部31は、第1壁面31aと、第2壁面31b(本発明の傾斜壁面に相当)と、第3壁面31c(本発明の先端壁面に相当)と、を有する。凸部31は、スナップ部材14毎に設けられている。本実施の形態では、y方向に並ぶ2つのスナップ部材14にそれぞれ設けられた凸部をまとめて1つの凸部31としている。
【0036】
第1壁面31aは、面15bと対向する平面であり、面15bと略平行である。なお、第1壁面31aは、面15bと当接していてもよいし、面15bとの間に隙間が形成されていてもよい。
【0037】
なお、第1壁面31aは必須ではない。第1壁面31aは、支持部15の長さl(図3(A)参照)を調整するものであり、例えば、他の方法(蓋部30の板厚を厚くする、蓋部30のz方向の位置を変える等)で支持部15の長さlを調整してもよい。
【0038】
第2壁面31bは、第1壁面31aに隣接して、第1壁面31aよりも先端側(-z側)に設けられている。第2壁面31bは面15bに対して傾いており、面15bと第2壁面31bとの距離は、支持部15の先端に向かうにつれて(-z方向に向かうにつれて)広くなる。
【0039】
第3壁面31cは、第2壁面31bに隣接して、第2壁面31bの先端側(-z側)に設けられている。第3壁面31cは、係止面16aと略平行であり、面15bから遠ざかる方向に延設されている。また、第3壁面31cは、係止面16aよりも先端側(-z側)に配置されている。
【0040】
図5は、面15bが第2壁面31bに沿うように支持部15を弾性変形させた状態を示す図である。図5は、フォトインタラプタ1及びスナップフィット構造2を面15a、15bに沿って見ている。
【0041】
面15bが第2壁面31bに沿うように支持部15を弾性変形させた状態では、係止面16aと傾斜面16bとが交差して形成された線16c(本発明の第1線に相当)が、支持部15を弾性変形させていないときの面15aの延長線(図5における線L)上に位置する。第2壁面31bの位置、角度をこのように設定することで、板金100の孔101(本発明の被係合対象物に相当)に対して、従来と変わらない作業性でスナップ部材14を係合させることができる。
【0042】
なお、面15a、15bに沿って見て、面15bが第2壁面31bに沿うように支持部15を弾性変形させた状態において、線16cが線Lの延長線よりも凸部31側に位置してもよい。
【0043】
また、第2壁面31bの傾斜角度や面15bと第1壁面31aとの距離の値は、支持部15の長さl及び肉厚t、係止面16aの高さ等により変化するが、支持部15(ケース10)の降伏応力を超えない値で設定される。
【0044】
係止面16aよりも先端側(-z側)に第3壁面31cが配置されているため、支持部15を弾性変形させても、面15bが第2壁面31bに当接することで、支持部15が破損しない。また、面15bが第2壁面31bに当接することで、フォトインタラプタ1やスナップ部材14に外力が加えられても、スナップ部材14の係合が外れる等の不具合が生じることはない。
【0045】
仮に、第3壁面31cが係止面16aよりも支持部15の根元側(+z側)に配置されているとすれば、支持部15の変形量が大きくなり、支持部15が折れるおそれがある。しかしながら、第3壁面31cを、係止面16aよりも-z側に配置することで、支持部15の変形量を抑え、支持部15の破損が防止できる。
【0046】
また、スナップ部材14は、面15bが第2壁面31bに当接するまでしか変形しないため、係止部16が孔101に係合した状態で係止部16に外力が加わっても、支持部15の変形量が抑えられ、スナップ部材14の孔101に対する係合が外れ難い。
【0047】
本実施の形態によれば、従来と変わらない作業性で被係合対象物に対して係合可能である。また、従来と同様の被係合対象物に対してフォトインタラプタ1(スナップフィット構造2)を係合させる場合において、外力が加えられても係合を外れ難くすることができる。
【0048】
図10は、従来のフォトインタラプタ1’の一例を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は左側面図である。フォトインタラプタ1’は、凸部31が設けられていない蓋部30’を有する点でフォトインタラプタ1と異なる。フォトインタラプタ1’では、スナップ部材14が点Fを支点にして弾性変形するため、支持部15の長さが長くなる。また、凸部31を有しないため、支持部15が曲がりすぎても、支持部15の変形を止めることができない。したがって、支持部15が破損したり、外力が加えられたときに係合が外れやすくなったりする。それに対し、本実施の形態にかかるフォトインタラプタ1では、面15bが第2壁面31bに当接するまでしか支持部15が変形しないため、破損を防ぎ、外力が加えられたときに係合が外れ難くすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、第3壁面31cと係止面16aとが略平行であったが、第3壁面31cは係止面16aと略平行でなくてもよい。図6(A)は、変形例にかかるスナップフィット構造2-1を有するフォトインタラプタ1-1の概略を示す左側面図であり、図7(B)は、変形例にかかるスナップフィット構造2-2を有するフォトインタラプタ1-2の概略を示す左側面図である。
【0050】
スナップフィット構造2-1はスナップ部材14と凸部31-1とを有し、スナップフィット構造2-2はスナップ部材14と凸部31-2とを有する。凸部31-1は、第1壁面31aと、第2壁面31bと、第3壁面31c-1と、を有し、凸部31-2は、第1壁面31aと、第2壁面31bと、第3壁面31c-2と、を有する。
【0051】
第3壁面31c-1は、第2壁面31bよりも面15bに対する傾きが急な傾斜面31e(本発明の先端壁面に相当)を2つ有する。傾斜面31eは各第2壁面31bに隣接して、第2壁面31bの先端側(-z側)に設けられており、第3壁面31c-1は-z方向に凸となっている。第3壁面31c-2は、第2壁面31bよりも面15bに対する傾きが急な傾斜面31f(本発明の先端壁面に相当)を2つ有する。傾斜面31fは各第2壁面31bに隣接して、第2壁面31bの先端側(-z側)に設けられており、第3壁面31c-2は+z方向に凸となっている。なお、傾斜面31e、31fの傾斜角度は例示である。また、傾斜面31e、31fの間に、係止面16aと略平行な面を有していてもよい。
【0052】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、y方向に並ぶ2つのスナップ部材14にそれぞれ設けられた凸部をまとめて1つの凸部31としているが、スナップ部材14毎に凸部を設けてもよい。
【0053】
以下、本発明の第2の実施の形態にかかるフォトインタラプタ3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図7は、フォトインタラプタ3の一例を示す斜視図であり、(A)は斜め上方向から見た図であり、(B)は斜め下方向から見た図である。図8は、フォトインタラプタ3の一例を示す6面図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は底面図であり、(D)は左側面図であり、(E)は右側面図であり、(F)は背面図である。
【0055】
フォトインタラプタ3は、主として、ケース10Aと、コネクタ20とを有する。ケース10Aは、主として、ケース本体11と、凸部12、13と、スナップ部材14と、蓋部30Aとを有する。
【0056】
蓋部30Aは、ケース本体11の開口部を覆うようにケース本体11に設けられる。蓋部30Aには、凸部31Aが設けられている。凸部31Aは、スナップ部材14に隣接して設けられている。スナップフィット構造2Aは、凸部31A及びスナップ部材14を有する。
【0057】
凸部31Aは、面15bに隣接して設けられている。凸部31Aは、第1壁面31aと、第2壁面31bと、第3壁面31d(本発明の先端壁面に相当)とを有する。凸部31Aは、スナップ部材14毎に設けられている。
【0058】
第3壁面31dは、第2壁面31bの先端側(-z側)に設けられている。第3壁面31dは、係止面16aと略平行であり、面15bから遠ざかる方向に延設されている。また、第3壁面31dは、係止面16aよりも支持部15の先端側(-z側)に配置されている。
【0059】
本実施の形態によれば、従来と変わらない作業性で被係合対象物に対して係合可能であり、かつ、被係合対象物に対する係合が外れ難いスナップフィット構造2Aとすることができる。さらに、最低限の大きさの凸部31Aとすることができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、凸部31Aを小型化できるため、板金に設ける孔の面積を小さくすることができる。図9(A)は、第1の実施の形態にかかるフォトインタラプタ1を板金100の孔101(本発明の被係合対象物に相当)に設ける様子を示し、図9(B)は、第2の実施の形態にかかるフォトインタラプタ3を板金100Aの孔102(本発明の被係合対象物に相当)に設ける様子を示す。図9では、-z方向から見た様子を示す、また、図9では、説明のため、板金100、100Aにハッチングをかけており、フォトインタラプタ1、3を透視している。
【0061】
孔102の総面積は、孔101の総面積より小さい。板金100Aの孔102を小さくすることで、板金100A自体の強度を確保することができる。また、板金に変えて樹脂成形品の板材に孔をあけてフォトインタラプタ3を取り付ける場合は、孔を小さくすることにより強度を確保する効果が大きい。さらに、板金に変えてプリント基板に孔をあけてフォトインタラプタ3を取り付ける場合には、プリント基板の面積を確保し、より多くのパターンをプリント基板に形成することが出来る。
【0062】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0063】
また、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交する場合には限られず、例えば直交と同一視できる場合を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0064】
また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0065】
1、1-1、1-2、3:フォトインタラプタ
2、2A、2-1、2-2:スナップフィット構造
10、10A:ケース
11 :ケース本体
11a :上面
11b、11c:側面
12、13:凸部
12a、13a:スリット
14 :スナップ部材
15 :支持部
15a、15b:面
16 :係止部
16a :係止面
16b :傾斜面
16c :線
20 :コネクタ
30、30A:蓋部
31、31A、31-1、31-2:凸部
31a :第1壁面
31b :第2壁面
31c、31d:第3壁面
31e、31f:傾斜面
100 :板金
101 :孔
図1
図2
図3
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図7
図8
図9
図10