(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086945
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】回覧支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220602BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020207945
(22)【出願日】2020-11-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】520068995
【氏名又は名称】松永 義文
(72)【発明者】
【氏名】松永 義文
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】最初の1回の指定で、複数回の配送/やり取りを効率よく実施する回覧支援システムを提供する。
【解決手段】複数の対象者間を、順次転送される回覧システムであって、回覧名称と回覧先氏名/住所、回覧順序をデータベース2に登録し、回覧専用封筒3に必要書類を入れて投函すると、郵便局は、次がだれであるかを自動的に判別して、自動送付する。回覧専用封筒にはチェックボックスがあって、郵便局で、消印を押し、回覧状況管理データベース22に、回覧メンバー毎に回覧送付日時と回覧送付先からの発出確認日時とを記録する。回付順序制御手段4によって、回覧途中で、システムが“許容最大滞留時間オーバー”の状況が生じ、滞留と判断した場合、少なくとも滞留者に対してシステムから自動で連絡され、回覧の進行を促す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者間を順次転送される紙類等の現物資料の回覧システムにおいて、少なくとも回覧の回付先住所を管理するデータベースを持ち、これによって回覧IDだけで次の回覧先を特定する手段を持つことを特徴とする回覧支援システム
【請求項2】
回覧を特定するため、回覧IDのコードが施され連続使用可能な専用の現物封筒を持つ、請求項1に記載の回覧支援システム
【請求項3】
回覧先メンバー毎に滞留時間を記録し、設定された最大許容滞留時間を超えてもまだ発出が確認されていない場合には、システム側から少なくとも回覧の現保持者に連絡がいくことを特徴とする請求項1に記載の郵便等回覧支援システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数メンバー間での、現物資料の回覧を効率化する郵便または信書便またはこれに類するシステムに関わる。以降、特に断りが無い限りは、郵便とは、郵便または信書便またはこれに類するものの総称表現する。また、郵便局とは、郵便を扱い本発明のシステムを実現している拠点の総称表現とする。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを活用した電子的な回覧に関連するものとして、稟議の回付・承認を支援するシステム(特許文献1)、回覧状況に応じ予め定められた処理を行うシステム(特許文献2)等がある。
【0003】
物理的資料回覧管理については、資料にRFIDタグをつけて、部署内の管理情報読み取り装置を介して管理する方法も提案されている(特許文献3)が、あくまで、電波が到達できる部署内(ローカルエリア)回覧でのシステムであり、遠方への回覧をカバーする仕組みは考えられていない。
【0004】
なお、引越し届け出後1年間は、旧住所あての郵便物等を新住所に無料で転送するサービスが現郵便局(日本郵便株式会社)で行われているが、複数の受け取り者のところに巡回転送されるような回覧の仕組みという考え方は一切ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-204442公報
【特許文献2】特開2013-196473公報
【特許文献3】特開2010-20798公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
郵便は、1件につき1回の投函で1つのアドレスにしか送付できない。このままでは、回覧(複数の宛先に順番に届けられ最後は発信人に戻る回付型式)のような複数回の配送/やり取りを大きく効率化することができない。ここに本発明が解決する課題がある。すなわち本発明は、最初の1回の指定で、複数回の配送/やり取りを効率よく実施する新しい仕組みを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の対象者間を、順次転送される回覧システムにおいて、回覧名称と回覧先氏名/住所、回覧順序をデータベース2に登録し、回覧専用封筒3に必要書類を入れて投函すると、郵便局が次の回覧先は誰になるかを自動的に判別して、自動送付する。回覧専用封筒3にチェックボックス33があって、郵便局1で、消印を押し、回覧メンバー毎にデータベースに回覧送付日時と回覧送付先からの発出確認日時とを回覧状況管理データベース22に記録する。回付順序制御手段4によって、回覧途中で、システムが“許容最大滞留時間オーバー”の状況が生じ、滞留と判断した場合、少なくとも滞留者に対してシステムから自動で連絡が行き、回覧の進行を促す。
【発明の効果】
【0008】
実際の宛先を明示せず、回覧IDだけで、次の回付先に自動送付されるので、効率の良い回覧を実現でき、回覧対象メンバーの個人情報の露出を最小限にすることができる。また、回覧終了まで1つの専用封筒を繰り返し活用するので、地球環境にやさしくなる。さらに、回覧途中の、あるメンバーの所で推奨最大滞留時間を超えた場合には、システム側から少なくともその時点での回覧保持者に連絡がいき、振出人に代わって回覧の進行を促すことができ、振出人の負荷を軽減することができる。
【0009】
発明の効果を、享受する対象別にさらに細かく整理すると以下のようになる。
(発信人が受ける効果)
・所定時間で、メンバーの意見を回覧資料上で集約できる。回覧順によって、誰の意見を踏まえて自分のコメントを記入するか、というような影響が発生する場合があるので、その影響を回避したい場合には回覧を2周以上するということもできる。
・基本的に書留型システムであるので、セキュリティも高く保つことができる。書留型とは、追跡し所在確認ができ、確実に配達したことが証明できる郵便形態のことを指す。
・対話・意見交換の議事録として、回覧の結果としてのオリジナルをそのまま封筒ごと、すなわち回覧プロセス情報に合わせて管理対象にできる。
【0010】
(回覧対象メンバーのメリット)
・発信人を除く各メンバーは、お互いの住所を知ることなく、個人情報管理上も最小の情報開示で利用でき、気安く取り組むことができる。なお、回覧の対象者がだれで、どういう順バカは、回覧資料に含まれているものと想定する。
・メンバーは、それまでの意見が蓄積された状態で、その上に付け加えるという形で意見を述べることができる。このようなタイプのプロジェクトでは、物理的な紙ベースでの資料の回付、資料を広げ全体をよく見ながら、よく考え、必要に応じて該当箇所の脇にコメントを書き込む/付箋を貼る、という方が手軽であり、機器やシステムプロセス等操作に迷うことなく、集中できる。
・大量の電子メールや電子メッセージに紛れたり追われたりするのは、気持ち的にも休まらない。たまに紙とペンで進めるプロジェクトがあるとホッとするだろう。カフェや電車での仕事に適合する。ITやインターネットが嫌い・慣れないという人も使える。
・全国どこらかでもポストまたは郵便局に出すことが出来る。
・都度の切手も必要なく、次へメンバーへの送付の手間を軽減できる
【0011】
(配送業者メリット)
・従来の対個人発送という基本的なサービスに(多数に同時発送する場合も、1件1件は対個人である)、グループのメンバーに順次回付するという新しい付加価値を加えることができ、新しい収益源にすることができる。
【0012】
(社会のメリット)
・同じ封筒を、回覧終了まで繰り返し活用するので、地球環境にやさしいシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】回覧グループ(回覧プロジェクトID)の登録のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明を実施する好適の形態を示している。専用の物理的封筒3を用いて、複数の対象者間の順次転送を実現するために、サービス提供側は、回覧名称と回覧先氏名/住所、回覧順序を登録したデータベース22を有する。一度登録した人の住所は次回からは入力が省力化される。回覧名称ごとにIDが振られて、回覧を開始して以降は、このIDが特定されれば、次の回付先が誰であるか一々明示しなくてもシステム側が自動で回付することになる。ID登録後、料金を支払って回覧の開始を指示すると、申込者に、申込内容確認・注意点を添えて、専用封筒3が郵送で届けられる。利用者は、それに必要書類を入れて投函すると、郵便局1に届き、郵便局1側では、次はだれかを自動的に判別して、自動送付する。専用封筒3には、回覧プロジェクトID31(ID等をバーコード化したもの)が印刷される。専用封筒3にチェックボックス33があって、郵便局で、消印を押し、回覧状況管理データベース23上でステイタス管理を行う(利用者(回覧回付先の全員)のうちシステム登録済でアカウントを有する人は、常にWebで状況を確認することができるようにしてもよい)。最終的に回付が終わり、発信者に戻されて終了(なお、2周以上続けることもできる)。回付順序制御手段4によって、回覧途中で、システムが“滞留”と判断する状況が起こった場合、少なくとも滞留者に対してシステムから自動で連絡が行き、回覧の進行を促す。
【0015】
図2以降は、実際に実施する場合の実施例を各プロセス毎に示したものである。
まず
図2は、利用登録のフローを表している。まず、回覧の振り出しを行う人は事前に専用のWebサイト上から、名前、住所、電話番号を入力して、利用者登録を行う(
図2▲1▼)。回覧サービス事業者(システム)が、登録住所宛てに封書、又は内容を見られないようにシールドを施したハガキ等で一時確認IDのお知らせを送付(
図2▲2▼)。郵送する理由は、郵便で確実に届くかどうかを含めたリアルな本人の存在確認である。登録希望者はこのお知らせに記載された一時確認IDを、専用のWebサイトで入力し、利用サイトへと入る(
図2▲3▼)。システムは、IDの一致を確認後、登録料の納付を要請し、納付の確認後、正式な利用者IDを利用者に送付して、利用者専用の利用ページ「マイページ」に入ってもらう(
図2▲4▼▲5▼▲6▼)。この際に正式なPWも設定させる。全て整ったところで、有効フラグをシステム側でONにする。これで登録完了である。以降、実際の利用の場合には、常に利用者IDとPWを指定して、マイページから手続きしてもらうことになる。登録料の納付は、最初の利用者登録時に行ってもよい。また、登録料は常に収受しなければならないものではない。また、利用登録は、実際の利用開始時に同時に行うことも可能である。
【0016】
図3は、回覧グループ(プロジェクトID)登録態様を表している。実際に利用する際には、回覧の対象者が指定されていなければならない。具体的には、回覧プロジェクトを事前に登録し、そのプロジェクトIDを指定して利用を開始する。利用申込時に同時に登録することもできる。回覧プロジェクトは複数登録可能である。回覧プロジェクトおよびその対象メンバーの登録は、いつでも追加・削除・編集が可能であるが、既にプロジェクトが開始されていてステイタスがON(実際に回覧中)の場合の編集は、未回付先メンバーのみ、削除、追加ができる。この場合において、回覧対象者数の人数の増減があった場合、変更手数料なども含めた料金への影響が発生する可能性があるが、特に人数が増えた場合は、後日追加料金の請求を発行する手順にするなど柔軟な設計が基本となる。利用登録後に、早速利用可能性のあるプロジェクトとそのメンバーの登録だけをしておくこともできる。往復書簡の場合は自分も含め2人でも可。1人で移動しながら複数の場で自分自身で受け取るなら1人でもよい。その場合は同じ宛名(自分自身)で宛先(届け先住所)が複数となる。
【0017】
実際の回覧のスタートに際しては、依頼人が、回覧プロジェクトID、回覧期間、内容量(A4換算枚数)をWebから依頼をすると、プロジェクト規模〈人数〉と、内容量に応じた料金が提示され、入金が完了すると、依頼者のもとに回覧規模(人数と巡回回数と内容量)に応じた回覧専用封筒が到着する。なお、プロジェクトが未登録だった場合は、利用申込時に同時に登録することができる。最初の発信人情報(利用者ID)未登録の場合は、登録作業から入る。ウェア入力時には、以下を確認/指定する。利用者IDが登録されていると、その個人専用のページ(マイページ)から操作できるようになる。そこには過去の利用経歴なども表示される。
【0018】
以下は、回覧開始に先立ち、依頼人(振出人)と郵便局側とで取り決めて置くべき事項の例である。
・回覧資料のタイトル確認(編集可能)(40文字以内)
・回付期間(7日×人数+7日をミニマムとして、その日数未満は受け付けない、または逆に割増料金を請求する)
お薦めは、14日×人数+14日を提示する
回覧期間は申込当日より起算する
・回覧資料の枚数(一般コピー用紙換算)
(封筒型:30枚以内、31~60枚、61~120枚、120~240枚の4種類)
(箱型: A4で最大1500枚まで)
・回付順についての取り決め
(受け取り人不在の場合)
不在連絡票、再配達、電話等確認、発信人への連絡、スキップ、ステイタス反映。なお、受取人が玄関先でスキップを希望した場合は、スキップするかどうか。受け取り人が長期不在などの為、或る期間郵便局への保管を依頼していた期間に該当した場合、順番を入れ替える(期間に応じて、1人先か2人先かは判断))
(発信遅滞の場合)
催促(1回目)、最初の発信人への連絡、催促(2回目)
・その他
追加料金発生時点での納付が無ければ進捗が止まること、回付トラブル時の発信人連絡、途中で重量を超過した場合、最終的な資料の受取人指定などの取り決め
以上、申込内容確認後、クレジットカード等のネット決済へと進む。
【0019】
届いた専用封筒3に必要な資料を入れて発送準備が出来たら、Webで受け取り依頼を指示すると、受け取りに来てくれる。もちろん近くのポストに投函してもいいが、その場合不備があった場合は、やり直す手間が発生することもある。なお、専用封筒3の送付手続きは、自ら郵便局に出向いて行うこともできる。この方が手間は増えるものの、急ぎの場合は、時間が効率化できる可能性がある。料金は、封筒の種類と付帯サービスの選択などによって決定される。専用封筒3(資料枚数と回付人数に合わせたもの)と申込内容、管理追跡方法が送られてくる。専用封筒3には、回覧プロジェクトID31のバーコードが印刷される。
【0020】
なお、Webに依らず、直接回覧資料を持って郵便局に出向いて、上記、利用手続きの全てまたは途中からを、窓口で行うことも可能。その場合、入力手数料がかかる設計にしてもよい。入力の時間は待ってもらうことになる。入力が完了したら、専用封筒(資料枚数と回付人数に合わせたもの)と申込内容確認、管理追跡方法をもらって、早速その場で資料を詰めて、発送することができる。
以降の回覧プロセスの管理は、回覧プロジェクト管理データベース22で行われる。発信郵便局を出た日時、最寄りの郵便局への到着日時、配達日時、回収日時等が随時記載される。
【0021】
図5は専用封筒3のイメージを表している。専用封筒3は、人数に対応した消印枠33があって、郵便局は配送を行う度に消印を入れる。この数が回付何人目であるかを示す。回覧は2周することもあるので、原則として、消印欄の数は、回覧人数×2(往復)×2周で計算される個数儲けられる。
【0022】
利用者側からの封筒の送付は、郵便配達人を呼ぶ、ポストに投函する、自分で郵便局に持ち込む、の3種類がある。受取は、通常の書留郵便と同じで、必ず受け取りを確認する形で進める。
【0023】
専用封筒3の構成は、タイプによって種類が儲けられる。
タイプA:3人以上の回覧、1巡回、2巡回で各専用封筒を用意
タイプB:2人の間での往復回覧、往復回数に応じて専用封筒を使い分ける
タイプC:1人での複数住所転送
利用料金は、重量区分×巡回数で決定される。封筒の強度も変わり、消印枠数も変わる。
【0024】
専用封筒3では、繰り返し封を実現する構造として、折り畳み糊付けテープ32が複数折り込まれている。開封は、次ののりしろテープの手前(切り取り線表示あり)で切り取る方法で行う。このようにすることにより、美しく何度も同じ封筒を再利用することが可能となる。のりしろテープは、最大10ライン程度まであるが、プロジェクトの人数が多い場合は、糊付けテープ部分が2層になっていて、20ラインまで可能となる。テープのライン数と封筒の強度は、回覧人数によって決まる。封筒は、何度も開け閉めするが、開封と封は、専用封筒に予め用意された、糊付きのテープを使って行う。したがって、開封時に、使用されたところと未使用テープ部分との境目の切り込み線に沿って、切り込む形で開封する。
なお、封筒の繰り返し利用のための方法は、マジックテープ的なもの、綺麗に剥がせるテープなどであってもよい。
【0025】
標準回付期間または登録した期間を過ぎても、投函が確認できない場合は、郵便局から、アラームの連絡(メールや電話やその他指定された方法で)が入る。メンバー毎に滞留時間は記録される。回覧がスタートしたことは、プロジェクトメンバー全員にメールで知らされ、メールを登録していない人へはハガキ等が用いられる。ステイタスは全員が確認できる。回覧終了までの回付制御を示したのが
図6である。
【0026】
催促に係わる追加料金を設定してもいい。たとえば、催促は2回までは基本料金内だが、3回目以降は追加料金がかかる等。1回目の催促連絡をしたがつながらない、あるいは返信/反応が無い場合は、最初の発信人に状況を伝えて問題を解決してもらう。発信人が直接滞留者に連絡し、どうするかを決めてもらう形とする。その結果は、Web/電話で指示を郵便局に伝えることができる(○月○日に、取りに行って欲しいとか、連絡があるまでそのまま待っていてもらって構わないとか)。なお、郵便局側は、配送に際し受け取りがうまくいかない場合には、スキップする。いちいち最初の発信人に確認するかは、最初にルールを決めておくことになる。旅行中か何かの事情で、郵便物を局留めにして保管を依頼しているメンバーであった場合は、期間によって本来の順番からスキップすることもある。いずれにしても、郵便局側で保管する期間を最短にして、受け取りは確実にしてもらう。さらに、受取人が、玄関先で直接スキップを希望した場合は、そのまま次に転送していいかどうかは、最初に発信人との間で決めておくパラメタの1つである。
回付順序制御についての最初の依頼人との取り決め項目:
・不在の場合、再配達、在宅確認、Webやメールでの配達連絡など
・局留め保管中の場合のスキップ方針
・滞留時間が長い場合、催促連絡方法
・玄関先でスキップ希望が出された場合の対応
・途中で配達先の人数や住所に変更が発生した場合の配送方針
以上の取り決め情報は、回覧プロジェクト管理データベース22に反映される。
【0027】
所定期間内で10回以上プロジェクト回覧を完遂した依頼者には、特典が与えられるようにしてもよい。特典はたとえば、所定期間内は、1回無料、あるいは、重量制限等条件の緩和などである。
【0028】
最初から2巡回を指定してもいい。途中で規定重量を超えてしまった場合は、追加請求としてもいい。何回か往復したあとに、最後に、どちらがその封書を保持するか、それは最初に設定できるし、さらには、郵便局から完了届があるようにしてもよい。もし、追加請求金がある場合は、その払込が完了されたのちに、最終の配達を行う。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明によれば、資料回覧システムの以下の新しい利用可能性を生み出すことができる。
【0030】
(学校のクラス回覧システム)
クラス毎に、郵便局に住所と名前を登録して、先生はスタートをかけるだけで、宿題や、課題や、お知らせなどが自動的に回覧配送されるようになる。回覧状況はWebで確認できる。もし滞留しているところがあれば個別フォローが可能となる。特に夏休み等休校期間中の宿題や対話手段として有効である。
【0031】
(同窓会での回覧システム)
写真を追加したり、メッセージを追加したり、して、学生時代の旧交をあたためる手段とする。同窓会幹事支援にもなる。
【0032】
(移動随伴システム)
自分で温泉地等を転々としながら、任意の宿泊先に向け自分自身に対して転送することも可能となる。たとえば、次の宿泊先への到着予定日に合わせて、たとえば立つ前日に送付しておけば、自分自身が次の宿泊地に到着後ほどなくして、回覧物も到着することになる。このようにすることにより、回覧物の持参移動の手間を軽減し、情報セキュリティ上もより安全に移動させることができるようになる(途中で紛失や盗難に会うことはない)
【0033】
(社内の回覧型コミュニケーションへの転用)
別の住所への転送サービスシステムに留まらず、社内の回覧型コミュニケーション(社外への転送はない)にも展開可能である
【0034】
この発明では、回覧を、紙資料を封筒に入れて郵送する形式で実現しているが、以下では、そもそも、デジタル化の時代に、なぜ物理的な紙を使うか、その意味や価値についての補足を行う。
【0035】
電子的な掲示板やメール等の利用でも、結局プロジェクトがまとまるには、何週間もかかっているケースも多い。電子的なものだからその分速いというのは思い込みも存在する。律速になっているのは、結局人間の反応である。
非同期型で物理的な文書/資料ベースに参加者の意見やコメントを求め、文書/資料中のどこに対するものであるかを、文書/資料に書き込む形で、順番に回すというような方法はとられていない。その理由は、同じ文書・資料を同時に参加者にオープンする電子掲示板方式の方が明らかに効率的であると考えられているからだ。しかし、電子掲示板的な共有スペース型のコミュニケーションだけでは、掲示板を見に行かない(あるいいは無視される)可能性もある。または納期が守られない可能性もある。見に行ったことが明白でも、どれくらいそれについて考えたかが不明である。音信不通でも、状況・様子がわからない。したがって、内容の確認・メンバーが持つ意見の集約を行うには、催促コスト等を含め管理コストが大きくなってしまう。
【0036】
また、掲示板以外のツールについても、Web会議などの同期的なものだと、従来の集まっての会議と同じで、メンバーによっては意見が言えなかったり、控えたりする可能性があり、全員の意見をうまく吸い上げたいというリーダーの要望には少し外れる可能性がある。また、その場の短い時間ではやはり考えが深まらないことが多い。
【0037】
同様に、チャット/メッセンジャー的なものだと、半同期的であり、他の多くの同類的なコミュニケーションが走っている状況では、忙しさを助長し、優先度的に落とされる可能性もあるし、心理的にも追い詰める要因となり、やはり深まらない可能性が大きくなる。
【0038】
深い思考を要するような内容であれば、パソコンやスマホなどの前で暫時にというわけにはいかない。カフェでも、会社の個室でも、自宅の自室でも、バカンス先の旅館/ホテルでも、とにかくじっくり考えることができる時間と場所で、時間制限に追いまくられることなく、自分のペースで対応する、本発明が課題とするのは、そういう非同期プロジェクトにおける資料の回覧システムである。
【符号の説明】
【0039】
1 郵便局
2 管理データベース
20 利用者管理
21 回覧プロジェクト管理
22 回覧状況管理
3 専用封筒
31 回覧プロジェクトID
32 切り込み線
33 消印欄
4 回付順制御手段