(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087028
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】食品用容器及び食品用容器の組み立てキット
(51)【国際特許分類】
B65D 8/04 20060101AFI20220602BHJP
B65D 8/18 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B65D8/04 B
B65D8/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180757
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2020198310の分割
【原出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】519373039
【氏名又は名称】カユーパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】王 克文
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA11
3E061AB02
3E061AB11
3E061AD03
3E061DB01
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた組み立て型の容器を提供する。
【解決手段】容器1は、底部11と、底部11と共に箱状の収容部1aを形成する側面部12と、を有しており、底部11の周縁11aにあらわれる断面は、水分の浸入を防止する不溶性の封止材によって封止されており、側面部12は、底部11の周縁11aとの間に介在させた接着剤又は封止材により、底部11に接着している。また、底部11は円形状からなり、側面部は環状からなる。また、側面部12は、一端に係合凸部121が形成され、他端に係合凹部122が形成された帯状体を係合させてなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の底部と、
前記底部と共に箱状の収容部を形成する側面部と、を有し、
前記底部の周縁にあらわれる断面は、水分の浸入を防止する不溶性の封止材によって封止されており、
木質性素材からなる、
食品用容器。
【請求項2】
前記側面部は、一端に第一の係合部が形成され、他端に当該第一の係合部と係合する第二の係合部が形成された帯状体からなる、
請求項1記載の食品用容器。
【請求項3】
平板状の底部と、
前記底部と共に箱状の収容部を形成する側面部と、を有し、
前記底部の周縁にあらわれる断面は、水分の浸入を防止する不溶性の封止材によって封止されており、
木質性素材からなる、
食品用容器の組み立てキット。
【請求項4】
前記側面部は、一端に第一の係合部が形成され、他端に当該第一の係合部と係合する第二の係合部が形成された帯状体からなる、
請求項3記載の食品用容器の組み立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を収納するのに好適な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1や特許文献2に示されるように、組み立て型の容器が提供されている。
組み立て型の容器は、使用するまではコンパクトにまとめておけるので、運搬や在庫管理等において嵩張ることがなく便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-116455号公報
【特許文献2】実用新案登録第3133835号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器に食品を入れる場合、多くの食品は水分や油分を含んでいるため、部材の接合部分から水分や油分が容器外へ染み出しやすい。そのため、内容物に含まれる水分や油分が容器外へ染み出したり、漏れたりするのを防ぐことのできる容器が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、耐久性に優れた組み立て型の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器は、底部と、前記底部と共に箱状の収容部を形成する側面部と、を有し、前記底部の周縁にあらわれる断面は、水分の浸入を防止する不溶性の封止材によって封止されており、前記側面部は、前記底部の周縁との間に介在させた接着剤または前記封止材により、前記底部に接着している。
【0007】
また、前記底部は円形状からなり、前記側面部は、環状からなるものとしてもよい。
【0008】
また、前記側面部は、一端に第一の係合部が形成され、他端に第二の係合部が形成された帯状体を係合させてなるものとしてもよい。
【0009】
また、前記第一の係合部と前記第二の係合部が係合する箇所を接着剤により接着させているものとしてもよい。
【0010】
また、前記側面部は、前記底部と対向する向きに拡径するテーパーがつけられているものとしてもよい。
【0011】
また、木質性素材からなるものとしてもよい。
【0012】
前記側面部は、前記木質性素材の繊維方向が前記底部に対して平行となるように前記底部に接着しているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る容器によれば、水分や油分を含む食品等を収容する場合にも、食品等の水分や油分が容器外に染み出したり漏れたりすることがなく、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る容器を示した外観斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る容器を示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る容器の接合部を模式的に示した部分拡大図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る容器に蓋を被せてスタックさせた状態を示した断面図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る容器を示した分解斜視図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る容器をスタックさせた状態を示した外観斜視図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る容器の接合部を模式的に示した部分拡大図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態に係る容器を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
以下、本発明の実施形態に係る容器について図を参照して説明する。
本発明の第一の実施形態に係る容器1は、
図1及び
図2に示されるように、互いに接着された底部11と側面部12によって構成される。底部11と側面部12は、上方が開口した凹状の収容部1aを構成し、当該収容部1aには、食品等の内容物が収容される。
【0016】
底部11は、円形状の底板であり、側面部12と共に箱状の収容部1aを形成する。
この底部11は少なくとも、収容部1aに収容される食品等の内容物の重みに耐え得る厚みを有している。
また、底部11は、一枚の平板状の底板によって構成されていてもよいし、複数枚の底板を積層させたものであってもよい。
【0017】
側面部12は、底部11と共に箱状の収容部1aを形成する。
この側面部12は、一端に第一の係合部として係合凸部121が形成され、他端に第二の係合部として係合凹部122が形成された帯状体である。全体を撓ませながら、係合凸部121と係合凹部122を係合させることにより、側面部12は環状あるいは筒状に構成される。
【0018】
後述のとおり、側面部12は例えば木質性素材からなり、可撓性を有している。これにより、係合凸部121と係合凹部122とを係合させていない状態においては、平たい帯状の部材として保管しておくことができる。一方、組み立てて使用する場合には、全体を撓ませて、係合凸部121と係合凹部122が係合するように環状にすることができる。
【0019】
環状に構成された側面部12によって上下端に形成される円形の開口部のうち、少なくとも底部11が取り付けられる側の開口部は、底部11の径と同じ径を有している。これにより、側面部12の一端側の開口部は底部11によって隙間なく閉止される。
【0020】
なお、係合凸部121と係合凹部122の係合の形状は特に限られず、他の形状によるものであってもよい。
また、係合凸部121と係合凹部122の係合箇所は、接着剤により接着してもよく、これにより、係合箇所から水分等が染み出したり、漏れ出したりするのを防ぐことができる。
【0021】
側面部12は、
図3(a)に示されるように、底部11よりも僅かに下方に突出し、突出した部分は脚部123を構成している。本実施形態ではさらに、脚部123を補強するための補強片1231が内側から接着している。
このような脚部123が設けられている結果、容器1をテーブル等の載台に載置させた際、脚部123が載台に当接し、底部11は載台に当接しない。
【0022】
また、このような脚部123は、
図4に示されるような蓋13を容器1に被せて用いる場合に好適である。即ち、脚部123の内側には、円形状の嵌合凹部1bが形成される。一方、蓋13の上方には、円形状の嵌合凹部1bの形状に即して、上方に突出した嵌合凸部13aが設けられている。容器1にこの蓋13を被せた状態で複数の容器1を積み重ねると、嵌合凹部1bに嵌合凸部13aが嵌合する。その結果、容器1を積み重ねた状態では、積み重ねられている容器1が横に滑り落ちたりせず、積み重ねた状態で持ち運んだり、保管しておいたりするときに崩れずに便利である。
【0023】
容器1は、各種の材料によって構成することができるが、本実施形態では、底部11、側面部12は共に木質性素材によって構成される。
木質性素材によって構成することで、肉薄の側面部12は可撓性を有し、環状に撓ませて、係合凸部121と係合凹部122を係合させることができる。また、容器1を手に取った者に対し、環境にやさしく、柔らかい雰囲気を与えることができる。
【0024】
他方、木質性素材によって構成した場合、木質性素材の繊維方向の断面からは、水分が浸入しやすい。即ち、底部11の周縁11aからは水分が浸入しやすい。
そこで、
図3(a)に示すように、底部11の周縁11aにあらわれる断面は、水に溶けない不溶性あるいは撥水性の封止材Sによって封止されている。このような封止材Sには例えば、アクリル樹脂などを用いることができる。このように、木質素材の断面を封止することで、底部11に内容物たる食品の水分や油分等が染み込むのを効果的に防ぐことができる。
【0025】
なお、
図3(a)の例にかかわらず、側面部12の幅方向にあらわれる断面についても、封止材Sで封止してもよい。
【0026】
また、側面部12は、木質性素材の繊維方向が底部11に対して平行となるよう設けるとよい。本実施形態であれば、側面部12の長さ方向と木質性素材の繊維方向を一致させる。
これにより、食品等の内容物に含まれる水分等が、繊維方向に沿って底部11と側面部12の接合箇所に染みわたるのを防ぎ、耐久性を担保することができる。
【0027】
図3(a)に示されるように、側面部12は、その内周面12aと底部11の周縁11a、即ち底部11の厚み部分との間に介在する接着剤Bにより、底部11に接着している。底部11と側面部12が互いに接着した状態において、側面部12は、底部11に対して略直角に立設した状態にある。接着箇所は、側面部12の内周面12aのうち、一端側開口部に偏った位置であり、これにより収容部1aが形成される。
【0028】
なお、底部11の周縁11aは封止材Sによって封止されており、接着剤Bはこの封止材Sに接着している。ただし、アクリル樹脂などの封止材Sそのものも接着性を有していることから、封止材Sとは別に接着剤Bを用いることなく、封止材Sによって、底部11の周縁11aを封止すると共に、底部11と側面部12とを接着することもできる。また、接着剤Bについても、封止材Sと同様、撥水性又は不溶性の材料からなるものを用いるのが好適である。
【0029】
また、
図3(a)の例では、側面部12の内周面12aのうち、幅方向の端部よりも僅かに内側の部分に底部11の周縁11aを接着させ、脚部123を設けているが、脚部123を設けない場合には、
図3(b)に示されるように、側面部12の内周面12aのうち、幅方向の端部に底部11の周縁11aを接着させることもできる。
【0030】
側面部12と底部11を接着させる場合には例えば、予め封止材Sによって周縁11aを封止した底部11の周縁11aに接着剤を塗布しておく。そして、係合凸部121と係合凹部122を係合させていない状態の側面部12を、底部11の周縁11aに巻きつけるようにして側面部12の内周面12aに接着させ、係合凸部121と係合凹部122を係合させる。なお、側面部12を底部11の周縁11aに巻きつけるようにして接着させる場合には、側面部12の内周面12aのうち、一端開口部に偏った位置に底部11が接着するようにし、収容部1aを形成させる。
【0031】
接着剤の種類は特に限定されないが、内容物たる食品等に影響を及ぼすことのないものを用いるのが好ましい。
【0032】
このような本実施形態に係る容器1によれば、水分や油分を含む食品等を収容部1aに収容する場合にも、食品等の水分や油分が容器外に染み出したり漏れたりすることがなく、耐久性に優れている。特に、食品等の内容物の水分等は、底部11と側面部12の接合箇所から染み出したりしやすいが、底部11の周縁11aと側面部12の内周面12aの間が接着剤により接着されている結果、水分が溜まって染み出しやすくなることもなく、高い耐久性を発揮する。
【0033】
なお、底部11や側面部12の表面、特に内容物に触れる面には、肉薄の防水性を備えたフィルムあるいはシートをラミネートしておいてもよい。これにより、底部11や側面部12の表面から水分や油分が浸透するのを防ぐことができる。
これにより、一の容器2の収容部2aに他の容器2を収容させるようにして複数の容器2をスタックさせることができる。その結果、底部21と側面部22を接着させて容器2を組み立ててしまっているときでも、容器2を在庫として保管したり、運搬等したりするときに嵩張らない。
なお、この実施例2に係る容器2についても、容器2の形状に即して、上述した実施例1の蓋13と同様の蓋を設けることができる。また、底部21や側面部22の表面を防水性のシートやフィルムでラミネートしてもよい。