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特開2022-87033ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を備える移動式クレーン
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  • 特開-ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を備える移動式クレーン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087033
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を備える移動式クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/82 20060101AFI20220602BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B66C23/82 Z
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183961
(22)【出願日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】10 2020 131 617.8
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エールベルガー フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルビッヒ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ブロンナー アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
3F205DA04
3F205JA03
(57)【要約】
【課題】ブームの軸方向の遊びと、ブームの設置又は分解中の取り扱いのしやすさとの妥協点を見つける。
【解決手段】本発明は、ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を具備する移動式クレーンであって、支承点は、各々がピンを受け入れるための孔を有する2つの離間した側壁を具備し、ブームは、孔を備え、共通の接続ピンを側壁の孔及び支承点の孔を通して押し込むことができるように、側壁間に導入することができる少なくとも1つの接続部を具備し、側壁間の有効幅は、ブームの接続部の幅よりも大きく、段付ピンが、接続ピンとして設けられ、段付ピンに形成された肩部が、ピン結合された位置で、ピン結合されたブームの接続部のための受け部を形成することを特徴とする移動式クレーンに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を備え、
前記支承点は、ピンを受け入れるための孔をそれぞれ有する2つの離間した側壁を備え、
前記ブームは、孔を備え、共通の接続ピンを前記側壁の前記孔及び前記支承点の前記孔を通して押し込むことができるように前記側壁間に導入することができる少なくとも1つの接続部を備え、
前記側壁間の有効幅は前記ブームの接続部の幅よりも大きく、
前記接続ピンとして段付ピンを設け、
前記段付ピンに形成された肩部が、ピン結合位置でピン結合された前記ブームの接続部の受け部となる
ことを特徴とする移動式クレーン。
【請求項2】
前記段付ピンの前記肩部は、前記ピン結合位置において前記側壁と前記接続部との間の空間内に突出し、前記段付ピンの軸方向における、ピン結合された前記ブームの遊びを制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式クレーン。
【請求項3】
前記段付ピンは、ブーム起伏軸に向かう方向に押されるか又は押すことができる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式クレーン。
【請求項4】
段差を形成する部分における前記段付ピンの外径は、前記接続部の前記孔に挿入されたブッシュの内径よりも大きく、
前記段差は、前記ブッシュの前面に対する受け部を形成する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動式クレーン。
【請求項5】
前記段付ピンを自動で引張及び押し込みするためのピン引張装置が設けられており、特に、側壁の1つの外側に配置されている
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動式クレーン。
【請求項6】
前記ピン引張装置は、前記段付ピンの中空空間によってシリンダが形成されるアクチュエータとしての油圧シリンダを備え、
設置ピストンが前記上部構造体に静止状態で固定され、前記段付ピンが前記設置ピストン上で直線的に変位可能である
ことを特徴とする、請求項5に記載の移動式クレーン。
【請求項7】
1つ以上のガイドロッドが設けられ、前記ガイドロッドに沿って前記段付ピンが直線的に変位可能に案内され、前記1つ以上のガイドロッドは、好ましくは上部構造体、特にその側壁に設置される
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の移動式クレーン。
【請求項8】
前記段付ピンの軸方向に対して横断方向に延び、前記段付ピンの引張方向への軸方向の移動を制限する1つ以上のラッチピンが設けられている
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の移動式クレーン。
【請求項9】
前記1つ以上のラッチピンが上部構造体に直接支持されて、押し込まれた段付ピンに作用する軸方向の力を上部構造体に直接伝達する
ことを特徴とする、請求項8に記載の移動式クレーン。
【請求項10】
前記1つ以上のラッチピンは、少なくとも1つの荷重バッフルを介して前記上部構造体に固定される一方、前記段付ピンに、解放プレートを介して、解放可能に接続される
ことを特徴とする、請求項8又は9に記載の移動クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームにピン結合するための少なくとも1つの支承点を有する上部構造体を備える移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
原則として、移動式クレーンは、シャーシとしての下部走行体を備える。上部構造体は、垂直軸を中心とする旋回接続部を介して、下部走行体上に旋回可能に配置され得る。クレーンブームは、上部構造体に起伏可能に接続されている。移動式クレーンの設計における決定的基準は、公道輸送における運転操作のために法的に規制された最大車軸荷重を遵守しなければならないため、総重量である。したがって、ブームを分解する可能性は、大型移動式クレーンで頻繁に起こり得る。
【0003】
しかしながら、このようなブームの分解能力は、かなりの努力の増加にかかわるので、顧客の要求によってのみ提供される。したがって、ピン引張装置をクレーンに取り付けなければならず、例えば、設置又は分解のために、ブームを上部構造体に固定するためのピンを押したり、引っ張ったりできるようにする必要がある。ピン引張装置の典型的な油圧駆動装置は、任意の必要な油圧及び制御ラインの敷設を必要とする。引込シリンダのブームへのピン結合も、それに応じて改修する必要がある。
【0004】
上部構造体とブームとの間のピン結合部は、上部構造体の2つの離間した側壁を備え、その間にブームの接続部を導入することができる。その後、接続ピンが、側壁及び接続部内の整列した孔部を通して押し出される。側壁の間隔、すなわち、側壁の有効幅は、接続部の軸方向の遊び、すなわち、接続部と側壁との間の相対運動を、ピンの軸方向に可能な限り制限するために、接続部の幅と調整される。しかしながら、遊びが減少するにつれて、ブームの設置又は取り外しがより困難になるという欠点がある。
【0005】
例えば、補助クレーンがブームの分解に際してブームを吊り上げる。その後、ピン引張装置によって2本のブームピンが引き出され、起伏シリンダとの接続が解除される。それにより、ブームは自由になり、補助クレーンはそれを持ち上げ、その後、輸送車両に載置することができる。しかしながら、補助クレーンのみを用いたブームの設置又は解体に関しては、上部構造体の鋼構造とブームとの間の小さな遊びは、チェーン懸架部、懸架部突起、及び結合部品上の固定点における公差のために、ブームがブームの長手方向軸の周りを回転し得るという結果を生じることがある。このような回転運動が起こると、ブームは上部構造体の支承点の側壁内で詰まる可能性があり、これは全ての据付手順における、克服困難な状況を生む可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、軸方向の遊びと、ブームの設置又は分解中の取り扱いのしやすさとの妥協点を見つける必要がある。しかしながら、ブームと上部構造体との間の相対運動を回避しつつ、そこでの作業を単純化するために設置手順のために十分な遊びが得られるようにしながら、できるだけ少ない遊びを有する構成が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する移動式クレーンによって、達成される。クレーンの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明によれば、上部構造体の支承点の側壁間の有効幅は、そこに挿入されるブームの接続部の幅よりも大きい寸法を有することが提案されている。これは、側壁と挿入された接続部軸方向の遊びに対する要件である。例えば、接続部の各側面と反対側に配置された側壁との間の5mmの軸方向の遊びが理想的である。この場合、側壁間の有効幅は、接続部の幅よりも10mm大きい。滑らかで迅速な設置及び取外し手順のためには、1辺当たり少なくとも5mmの軸方向の遊びで十分である。本発明は、例示した遊びの正確な寸法に限定されない。本発明の鍵となるアイデアは、すなわち、クレーン作業における本発明による手段により、上述した設計仕様に起因して構造上の理由で提供される、軸方向の遊びを補償することを含む。しかしながら、本発明の手段の適用は、実際の遊びとは独立している。
【0009】
作動可能なクレーンの設置状態で構造的に誘起される軸方向の遊びを補償するために、本発明に従って、接続ピンとして段付ピンを使用することが提案される。このような段付ピンは、段状の直径変化を特徴とし、これにより、段付ピンは、以下では肩部とも呼ばれる段を形成する。形成された肩部は、段付ピンの押し込み状態で接続部の軸方向受け台(迫持台、アバットメント)として機能し、側壁と接続部との間の軸方向の遊びを制限する。
【0010】
この点において、肩部は、側壁間の空間、すなわち、接続部と対向して配置された側壁との間の残りの自由空間内に少なくとも部分的に突出する。接続部の内径は、肩部の直径よりも小さい寸法になっている。このようにして、抜き出した接続ピンにより、接続部と側壁との間に円滑な設置又は解体のための十分な遊びを設ける。接続ピンの押し込み後、この遊びは、肩部によって境界が設けられ、その結果、接続ピンの軸方向において、接続部と側壁との間の相対移動が、全くなくなり又はかなり減少するようになり得る。
【0011】
ピンは、通常、ブーム起伏軸の延びる方向に押し付けられて、ブームを上部構造体に接続する。少なくとも2つのピン結合は、好ましくは、ブーム設置のために別々に押し込まれ、少なくとも2つのピンは、理想的には、両方とも段付ピンとして設計される。この段付ピンは、起伏軸に向かう方向に押し込み可能であり、この場合の各ピン結合部の肩部は、外側に配置された側壁と接続部との間にあることが好ましい。
【0012】
ブームの接続部は、段付ピンを受け入れるための孔部を備える。ブッシュは、好ましくは、正確な嵌合で孔部内に挿入される。段付ボルトの肩部の有効直径は、ブッシュの直径よりも大きい寸法を有し、その結果、ブッシュの外向きに配置された前面が、押し込み段付ピンに対向して配置された肩部に当接し、ブームの軸方向の上部構造体への移動がそれによって防止される。
【0013】
通常、油圧装置として設計される少なくとも1つのピン引張装置は、1つ又は複数の段付ピンの自動作動のためにそれぞれ設けられる。この接続では、段付ピンが中空として設計され、したがって、それ自体がピン引張装置の油圧駆動のためのシリンダとして働くことが考えられる。必要とされる設置ピストンは、上部構造体に静的な方法で固定され、段付ピンの中空空間に突き出ている。段付ピンの中空空間に圧力を加えることにより、段付ピンを作動させることができ、静的設定ピン上で直線方向に移動させることができる。一体型ロッド案内路による解放ピン側の終端は、中空段付ピンの耐圧閉鎖を提供する。
【0014】
しかしながら、側壁の内径は、少なくとも外側に配置された側壁の内径と、肩部の直径とが関連しており、ピンの直径は、段によるピンの押し引きの可能な変位経路にわたって変化するので、段付ピンの追加の案内が、自重を支持するために、全変位経路にわたって設けられなければならない。可能なアプローチは、段付ピンと平行に配置される1つ又は複数のガイドロッドを提供する。ガイドロッドは、上部構造体、特に側壁に固定することができ、これにより、ピンによってガイドロッドに導入される力は、上部構造体に直接経路上で導入することができる。段付ピンは、ピン作動上のガイドロッドに沿って摺動する対応する摺動面を有する。
【0015】
段付ピンの周囲に対称的に配置された全部で4つ以上のガイドロッドを設けることが考えられる。ガイドロッドは、端部側で、すなわち、それらの自由端で、接続プレートによって接続することができる。設置ピストンのロッド自由端も、この接続プレートに係合することができる。
【0016】
本発明による接続ピンの、受け面としての少なくとも1つの肩部を有する構成は、適用可能な場合には段付ピンが軸方向に作用する力を追加的に引き継ぐ必要があるという結果を有する。このような軸力は、上部構造体の旋回運動、特に上部構造体の加速又は減速に起因する。段付ピンは、ピン引張装置に対して軸方向に作用する力を転送するが、ピン引張装置は、特定の状況下ではこのような力に対して設計されていないので、より大きな寸法を設けるか、あるいは追加の力制限装置を設けなければならない。追加の力制限装置は、クレーン運転中のピンの直線運動を阻止する1つ以上の追加のロック手段によって提供することができる。このようなロック手段は、直接的な力伝達を確実にするために、上部構造体の構造に直接接続されている。一実施形態によると、追加のロック手段は、ピンの軸線方向軸線に対して横断方向に延在するロックピンとして構成することができる。ロックピンを1つ又は複数の荷重バッフルを介して上部構造体の構造に固定することが考えられる。同時に、ロックピンは、対応する嵌合接続手段によって段付ピンに間接的又は直接的に固定され、その結果、段付ピンは固定され、作用する軸方向の力は、ロックピンを介して上部構造体に導入され得る。ロックピンの荷重バッフル及び/又は嵌合接続手段への接続は、ロック接続を解放して段付ピンを引き抜くことができるように解放可能に設計される。
【0017】
このようなロックピンは、特に型嵌合を形成しながら、適切な荷重バッフルによって端部側の表面構造に直接取り付けることができ、これにより上部構造体の構造に生じる軸力の直接的な引き抜きが可能となることが考えられる。嵌合接続要素は、段付ピンに固定される解放プレートとすることができる。この場合、解放プレートとロックピンとの間で接続を行うこともできる。
【0018】
本発明のさらなる利点及び特性は、図面に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ブームと段付ピンが挿入された上部構造体との間の本発明に係るピン結合の斜視断面図である。
図2】ブームと段付ピンが挿入された上部構造体との間の本発明に係るピン結合の異なる方向から見た断面図である。
図3】ブームと段付ピンが挿入された上部構造体との間の本発明に係るピン結合の異なる方向から見た断面図である。
図4】ピン引張装置を側方から見た斜視図である。
図5】本発明に係るピン結合部を介してブームが上部構造体に接続された移動式クレーンを側方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
移動式クレーンの上部構造体におけるブームの設置及び解体は、本発明による解決手段によって簡素化される。図5は、シャーシを有する下部走行体2を有する、このような移動式クレーンの詳細な部分を示しており、上部構造体3は、下部走行体2の上に垂直軸を中心に旋回可能に配置されている。メインブーム4は、水平軸線を中心にして起伏可能に上部構造体に接続され、特にピン結合されている。このピン結合には、前記ブーム4の起伏軸線の方向に外部から押される本発明に係る接続ピン50を備えた2つのピン結合点5が必要である。
【0021】
本発明によるピン結合点5の詳細は、図1図4に示された詳細図を参照して以下に説明される。ブーム4と上部構造体3との間のピン結合点5は、ブーム4の接続部4aを導入するための空間を提供するために有効幅だけ互いに離間された上部構造体3の平行な2つの側壁31a,31bによって実質的に形成される。ブーム4の2つの側壁31a,31b及び接続部4aは、接続ピン50を受け止めるための孔部4bを備えている。ブームブッシュ7が、接続部4aの孔部4bに追加的に導入される。
【0022】
ブーム4の設置及び取り外しを簡単にするために、ブームブッシュ7の端面の外側の間隔を介して規定されるブーム4の幅は、上部構造体3における鋼構造の有効幅よりも小さく、すなわち左右の側壁31bの間に保たれる。このように左右両側で達成される接続部4a及び各側壁31bの軸方向の遊びは、それぞれ5mmの範囲内とすべきである。これは、ブーム4の設置及び解体を実質的により速くするのに十分であろう。
【0023】
使用される接続ピン50は、実質的特徴としてより大きな直径を有する肩部51を有する段付ピン50として設計される。肩部51は、取り付けられた状態(図2参照)において、右側壁31bの孔部31cから側壁31a,31b間の空きスペース内にわずかに突出する。また、肩部51は、ピン押込状態で、側壁31bの反対側に位置する側において、外側に向かって突出している。側壁31a,31bの間の有効幅に突出する肩部51の部分は、ブーム4の軸方向の遊びが最終的に2つの側壁31a,31b内に制限されるように、ブームブッシュ7前面のための受け部を形成する。肩部51の幾何学的設計は、ここでは重要である。ブームブッシュ7前面からの軸力を引き継ぐことができるように十分な大きさを選定する必要がある。ここで、無害な方法で伝達される面圧が発生するようにしなければならない。
【0024】
ミラー反転されるか、そうでなければ同一のデザインであり、図5に従った両方のピン結合点に対して、分解時に肩部51は段付ピン50とともにブームブッシュ7から離れ、利用可能な遊びが増大する。ブーム4は、補助クレーンによって容易に取り外すことができる。この場合、軸方向の遊びが存在するので、取付も同様に簡単に行うことができる。
【0025】
段付ピン50及び側壁31a,31b内の支承点の寸法決定においては、直径のばらつきのために存在する、ピン50の統計的ノッチを考慮しなければならない。ブームブッシュ7は、段付ピン50の支持領域(側壁31a,31b)に垂直な(支承点に対して半径方向の)力を導入する。段付ピン50に対する2つの受け部の一方、ここでは外側の側壁31bは、段付ピン50の肩部51が、この領域で支持されなければならないので、ピン案内路のためにより大きな孔部径を有する。このように、断面の変化は、段付ピン50の高負荷領域に位置する。段付ピン50は、損傷を受けることなく、長期間、この荷重に耐えることができなければならないだけでなく、この耐荷重能力は、必要な安全対策補助を伴う計算によっても実証されなければならない。
【0026】
軸方向の力、すなわちピン50の軸方向の力は、半径方向の力に加えて、クレーン運転において生じ得る。この力は、主に旋回ギア動作での始動又は制動によって発生する。ここでの荷重は、横断方向に加速されるべきものであり、それによって、ブーム4のピン結合点5に横断方向の力が生じる。この軸力は、主に、本発明に従った解決手段において肩部51によって受け取られなければならず、段付ピン50は、上部構造体3において外側に設置されたピン引張装置10に力を伝達するであろう。
【0027】
ピン引張装置10は、シリンダ油圧室50aを形成する中空の段付ピン50と共に、油圧的に作動可能である。設置ピストン57が油圧室50a内に配置され、油圧室50aは、終端プレート58によって圧力密閉方式で閉じられる。設置ピストン57のロッドは、終端プレート58のロッド案内路を介して外部に導かれる。
【0028】
しかしながら、ピン引張装置10の内側油圧構成要素の設計は、クレーン運転において肩部51によって負担される軸力を引き受け得るほどに強いものにすることはできない。ピン引張装置10は、この理由のために、クレーン運転時の軸力から保護されなければならない。これは、ラッチ装置101(図1及び図4)によって達成される。これは、段付ピン50の変位経路の上下に上部構造体3に固定される2つの荷重バッフル311,312を含む。これらの荷重バッフル311,312の各々は、ラッチピン313,314を押し込むことができる2つの案内路を提供し、実際には、それらが互いに垂直方向に平行に延びるようにすることができる。同様にラッチピン313,314を受け入れるための案内路を有する解放プレート52,53は、接続プレート58において、又は段付ピン50において直接的に嵌合接続要素として設けられる。ラッチピン313,314が案内路を通して荷重バッフル311,312又は解放プレート52,53に押し込まれる場合、例えば図4に示すように、段付ピン50が固定される。このように、段付ピン50に作用する軸方向力は、ラッチピン313,314を介して上部構造体3に直接導入され、荷重バッフル311,312及びピン引張装置10は、それによって効果的に保護される。
【0029】
上側の荷重バッフル311の上方に突出するラッチピン313,314の上端は、固定ピン315を押し込むことができる鳩目を有する。使用されていないとき、すなわち段付ピン50が引っ張られるとき、固定ピン315は取り外され、ラッチピン313,314はプレート311,312,52,53から上方に引き出される。ラッチピン313,314は、ホルダ316によって上部構造体3に収納することができる。
【0030】
段付ピン50の段付形状により、その直径は、変位方向に付加的に変化する。上部構造体3の外側の側壁31bの内径は、肩部51の直径と調整される。段付ピン50がピン引張装置10によって引っ張られると、段付ピン50の縮径部が側壁31bの孔部31c内に位置し、十分な支持が確保されなくなる(図3参照)。それ自身の重量によって引き起こされる力及びトルクは、この位置で追加のガイド手段によって吸収されなければならない。このために、ピンの変位方向に外向きに延びる側壁31bの孔部31cの周囲には、合計4本のガイドロッド102~105が配置される。ガイドロッド102~105の自由端は、エンドプレート59を介して互いに接続されている。ガイドロッド102~105の反対側端部は、側壁に連結されている。段付ピン50の終端プレート58は、それぞれのガイドロッド102~105に沿った摺動面によって案内される。
【0031】
設置ピストン57のロッド自由端は、エンドプレート59に付加的に設置されており、ピン引張装置の油圧供給のための接続ポートが、そこに均等に収容されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】