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特開2022-87053非常報知用発信設備および非常報知システム
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  • 特開-非常報知用発信設備および非常報知システム 図1
  • 特開-非常報知用発信設備および非常報知システム 図2
  • 特開-非常報知用発信設備および非常報知システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087053
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】非常報知用発信設備および非常報知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20220602BHJP
   G08B 29/06 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/00 D
G08B29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191172
(22)【出願日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2020198187
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本郷 裕文
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB06
5C087BB74
5C087CC04
5C087DD04
5C087DD28
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5G405AA04
5G405BA01
5G405CA15
5G405FA04
5G405FA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手動通報装置に対する信号配線の断線障害を検出する非常用発信設備において信号配線だけでなく、非常報知用発信設備内で信号配線から押圧スイッチに至る内部配線も監視する非常報知用発信設備及び非常報知システムを提供する。
【解決手段】非常報知用発信設備を、非常時に押される押圧スイッチ11と、複数の接続端子を有する端子台12と、を備え、スイッチの一方のスイッチ端子から2つの配線を導出し、端子台の2つの接続端子に接続し、他方のスイッチ端子から他の2つの配線を導出し、端子台の他の2つの接続端子に接続したものとする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常時に押される押圧スイッチと、
複数の接続端子を有する端子台と、を備え、
前記押圧スイッチの一方のスイッチ端子から2つの内部配線を導出し、前記端子台の2つの接続端子に接続し、他方のスイッチ端子から他の2つの内部配線を導出し、前記端子台の他の2つの接続端子に接続したことを特徴とする非常報知用発信設備。
【請求項2】
請求項1の非常報知用発信設備を複数備え、防災受信盤からの信号配線を複数の前記端子台の接続端子に順次接続し、前記信号配線と前記内部配線を直列に接続し、前記信号配線と前記内部配線を監視することを特徴とする非常報知システム。
【請求項3】
非常時に押される押圧スイッチを有した非常報知用発信設備を複数備え、
防災受信盤からの配線を複数の前記押圧スイッチのスイッチ端子に順次接続して直列に接続し、前記配線を監視することを特徴とする非常報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災通報発信機の配線を監視する非常報知用発信設備および非常報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等、自動車専用道路等のトンネルには、トンネルの構造や交通量等に応じて非常用施設が設置されている。非常用施設としては、消火設備や通報設備等があり、通報設備としては、火災検出器や発信機(押しボタン式通報装置)、防災受信盤等がある。特許文献1には、トンネル内に発信機(手動通報装置)を設置したトンネル防災システムが記載されている。トンネル防災システムでは、防災受信盤が手動通報装置に対する信号配線の断線監視機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-73023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にはトンネル防災システムが記載されている。特許文献1では、手動通報装置に対する信号配線(信号回線)の断線障害を検出する。しかし、信号配線の途中から複数の接続配線を導出して発信機(手動通報装置)に接続しており、接続配線から手動通報装置までの配線は監視されていない。発信機は消火栓ボックス等のボックス内に設けられることも多い。消火栓ボックス等には端子台が設けられており、内部装置への配線は端子台を介して行われることが一般的である。そのため、端子台から発信機まではある程度の長さの配線で接続される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非常時に押されるスイッチと、複数の端子を有する端子台と、を備え、前記スイッチの一方のスイッチ端子から2つの配線を導出し、前記端子台の2つの端子に接続し、他方のスイッチ端子から他の2つの配線を導出し、前記端子台の他の2つの端子に接続したことを特徴とする非常報知用発信設備である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、信号配線だけでなく、非常報知用発信設備内で信号配線から押圧スイッチに至る内部配線も監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】発信設備のトンネルへの設置状況。
図2】従来の発信設備と非常報知システム。
図3】本発明の実施形態における発信設備と非常報知システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、非常報知システムの実施形態における、非常報知用発信設備(以下、「発信設備1」という。)のトンネル8への設置状況を示す。また、従来の非常報知用発信設備(以下、「発信設備9」という。)も発信設備1と同様の位置に設けられるため、図1に示す。図1の設備では、消火ホース(図示せず)を収納した消火栓ボックス2に発信設備1等も設けられている。消火栓ボックス2は、トンネル8の内部に所定の間隔で設けられている。非常時である火災の際には、消火栓ボックス2の消火ホース収納庫21から消火ホースを取り出して放水することが可能である。また、発信設備1の押圧スイッチ11が押されると火災通報がなされる。発信設備1は信号配線5、6により防災受信盤3に接続しており、火災通報により消防署への連絡、スプリンクラー(図示せず)からの放水等が行われる。火災は、火災検出器4からの信号によっても検出され、防災受信盤3で火災の判定が行われる。
【0009】
図2は、従来の発信設備9及び非常報知システムの配線を示したものである。非常報知システムは、発信設備9を複数備えている。防災受信盤3は、信号配線5、6により複数の発信設備9の各々に設けられた端子台92に接続している。端子台92には、互いに絶縁された複数の接続端子が設けられている。防災受信盤3からは2本の信号配線5、6が導出され、信号配線5、6の各々は、各発信設備9の端子台92を渡り配線で接続する。防災受信盤3に接続した一方の信号配線5は、各発信設備9における第1接続端子921を直列接続する。また、他方の信号配線6は、各発信設備9における第2接続端子922を直列接続する。最後の発信設備9では、第1接続端子921と第2接続端子922の間を終端抵抗93で接続する。各発信設備9において、第1接続端子921は内部配線94により押圧スイッチ91の第1スイッチ端子911に、第2接続端子922は内部配線95により第2スイッチ端子912に接続されている。端子台92の他の端子は、非常灯の電源等、他の構成の配線に用いられるが、配線に用いなくてもよい。
【0010】
火災が生じ、いずれかの発信設備9で押圧スイッチ91が押されると、第1スイッチ端子911と第2スイッチ端子912が短絡し、2つの信号配線5、6が短絡する。そうすると、2つの信号配線5、6の間の電位差が下がり、防災受信盤3に火災が通報される。全ての押圧スイッチ91が押圧されていないときには、終端抵抗93に電流が流れるため、所定の電位差が生じる。もしも信号配線5、6がどこかで切断されると電流が流れなくなり、高い電位差が生じる。そのため、防災受信盤3で信号配線5、6の断線を検出することができる。
【0011】
図2に示す従来の回路構成では、上記のように信号配線5、6の断線を検出することができる。しかし、端子台92から押圧スイッチ91までの内部配線94、95が切断した場合や、端子台92から内部配線94、95が外れた場合に検出することはできない。本発明は、このような場合でも断線として検出することができるようにするものである。
【0012】
図3は、本発明の実施形態における発信設備1及び非常報知システムの配線を示したものである。非常報知システムは、発信設備1を複数備えている。各発信設備1では、第1スイッチ端子111が内部配線14、15を介して第1接続端子121と第2接続端子122に、第2スイッチ端子112が内部配線16、17を介して第3接続端子123と第4接続端子124に接続している。そして、防災受信盤3から導出された信号配線5は端子台12の第1接続端子121に、信号配線6は第3接続端子123に接続し、発信設備1同士では、第2接続端子122が信号配線5を介して第1接続端子121に、第4接続端子124が信号配線6を介して第3接続端子123に接続している。上記のように、本発明の発信設備1では、信号配線5、6と内部配線14~17が直列接続している。最終段の発信設備1では、第2接続端子122が終端抵抗13を介して第4接続端子124と接続している。本実施形態の非常報知システムでは、防災受信盤3からの信号配線5、6を複数の端子台12の端子に順次接続し、信号配線5、6と内部配線14~17を直列に接続し、断線を監視する。
【0013】
また、発信設備9と同様に、本発明の発信設備1においても、いずれかの発信設備1で押圧スイッチ11が押されると2つの信号配線5、6の間の電位差がなくなり、防災受信盤3に火災が通報される。全ての押圧スイッチ11が押圧されていないときには、終端抵抗13に電流が流れるため、所定の電位差が生じている。信号配線5、6が切断されると電流が流れなくなり、高い電位差が生じる。そのため、防災受信盤3で信号配線5、6の断線を検出することができる。本発明ではさらに、内部配線14~17で断線した場合や、第1スイッチ端子111や第2スイッチ端子112から内部配線14~17が外れた場合にも信号配線5、6に電流が流れなくなる。そのため、防災受信盤3で内部配線14~17の断線等をも監視することができる。
【0014】
また、断線の監視だけでなく、信号配線5、6に流れる電流値の変化傾向等から、断線等に至る前の故障等の予兆を判別する(劣化診断する)ことができる。たとえば、配線の断線や端子からの外れが生じていなくても、信号配線5、6の電流値が断線予兆閾値よりも下がった場合には、断線や外れが生じかけている部分の抵抗値が高くなっているものとして、断線等の予兆を判別することができる。
【0015】
さらに、配線経路等における短絡の予兆の診断も可能である。例えば、内部配線15が第3接続端子123と接触しており、絶縁が劣化した場合には、短絡により誤報が生じる可能性がある。短絡の前段階で配線の電流値が短絡予兆閾値よりも大きく、防災受信盤3に火災が通報されるよりも小さい場合には、短絡の予兆として判別することができる。なお、断線、断線の予兆や短絡の予兆等の障害を判別するための監視対象としては、配線の電流値に限らず、電圧値、抵抗値等であってもよい。
【0016】
図2における従来の発信設備9と図3における本発明の発信設備1をみてわかるように、発信設備9と発信設備1は端子台92、端子台12等の構成は同じである。そして、配線が異なっている。したがって、端子台12等は従来のものを使用し、スイッチ端子や接続端子への内部配線、信号配線の接続を変更して、本発明の発信設備1及び非常報知システムを構築することができる。また、図2のように、既に設置している非常報知システムにおける端子台に接続端子の余りがある場合には、接続端子への結線を変更するだけで本発明の発信設備1及び非常報知システムとすることができる。
【0017】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【0018】
上記の実施形態ではトンネル防災システムの非常報知用発信設備について説明したが、他の場所に設置した非常報知用発信設備についても同様に発信設備内における配線の切断も監視することができる。また、配線の断線、断線の予兆、短絡の予兆等の障害の監視という点では、発信設備の端子台を省略して信号配線と内部配線を一体化した配線とし、防災受信盤からの配線を複数の押圧スイッチの端子に順次接続して直列に接続してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 発信設備、11 押圧スイッチ、111 第1スイッチ端子、112 第2スイッチ端子、12 端子台、121 第1接続端子、122 第2接続端子、123 第3接続端子、124 第4接続端子、13 終端抵抗、14 内部配線、15 内部配線、16 内部配線、17 内部配線、
2 消火栓ボックス、21 消火ホース収納庫、3 防災受信盤、4 火災検出器、5 信号配線、6 信号配線、8 トンネル、
9 発信設備、91 押圧スイッチ、911 第1スイッチ端子、912 第2スイッチ端子、92 端子台、921 第1接続端子、922 第2接続端子、93 終端抵抗、94 内部配線、95 内部配線
図1
図2
図3