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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087067
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】小型化されたマイクロ電気機械変換器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20220602BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20220602BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20220602BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H04R1/02 106
H04R1/00 327Z
H04R25/00 A
H04R1/10 104E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193168
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】PA202070801
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】521044671
【氏名又は名称】ソニオン・ネーデルランド・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アドリアヌス・マリア・ラフォート
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス・ヴォス
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
【Fターム(参考)】
5D005BB00
5D017BC20
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態の目的は、感度を低下させることなく小型化された振動センサの形態のマイクロ電気機械変換器を提供することにある。
【解決手段】本発明は、発生した圧力変動を検出し、検出された圧力変動に応答して出力信号を提供するように適合された圧力検出装置であって、マイクロホンカートリッジおよび信号処理ユニットを含む圧力検出装置と、その振動に応答して圧力変動を発生するように適合された圧力発生装置と、1つ以上の開口部を含む容積分離要素と、を備え、マイクロホンカートリッジが、マイクロ電気機械変換器の全高さを低下させるために容積分離要素の第1の開口部に少なくとも部分的に配置されている、マイクロ電気機械変換器に関する。本発明はさらに、マイクロ電気機械変換器を含む聴覚装置に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電気機械変換器であって、
1) 発生した圧力変動を検出し、検出された圧力変動に応答して出力信号を提供するように適合された圧力検出装置であって、マイクロホンカートリッジ(3)と信号処理ユニット(4)とを備える圧力検出装置と、
2) その振動に応答して圧力変動を発生するように適合された圧力発生装置と、
3) 1つ以上の開口部を備える容積分離要素(6、29)と、
を備え、
前記マイクロホンカートリッジ(3)が、前記容積分離要素(6,29)の第1の開口部に少なくとも部分的に配置されている、マイクロ電気機械変換器。
【請求項2】
前記容積分離要素(6,29)が、少なくとも前記信号処理ユニット(4)に電気的に接続された第1のPCB(6)を含み、前記第1のPCB(6)が前記1つ以上の開口部を備える、請求項1に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項3】
前記マイクロホンカートリッジ(3)が、前記第1のPCB(6)の第1の開口部に少なくとも部分的に配置され、前記マイクロホンカートリッジ(3)が、シール(23)を使用して前記第1のPCB(6)に固定される、請求項2に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項4】
前記信号処理ユニット(4)が、前記第1のPCB(6)の第2の開口部に少なくとも部分的に配置されている、請求項2または3に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項5】
前記圧力発生装置が、サスペンション部材(10)と、それに固定された可動マス(9)とを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項6】
前記可動マス(9)が、前記マイクロホンカートリッジ(3)の少なくとも一部を収容するように適合された窪み(14)を備える、請求項5に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項7】
前記マイクロ電気機械変換器が、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える第2のPCB(7)をさらに備え、前記第2のPCB(7)が、前記第1のPCB(6)に対して対向して配置されている、請求項6に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項8】
前記マイクロ電気機械変換器が、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える第2のPCB(7)をさらに備え、前記第2のPCB(7)が、前記第1のPCB(6)に対して対向して配置され、前記第2のPCB(7)が、内面に窪み(24)を備える、請求項2から5のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項9】
前記マイクロホンカートリッジ(3)が、シール(23)を用いて前記容積分離要素(6,29)に固定されている、請求項1に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項10】
前記マイクロホンカートリッジ(3)および信号処理ユニット(4)が、底部PCB(34)の内面にフリップチップ実装され、前記底部PCB(34)が、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える、請求項9に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項11】
前記マイクロホンカートリッジ(3)と前記底部PCB(34)の内面との間、及び前記信号処理ユニット(4)と前記底部PCB(34)の内面との間に、通気チャネル(32、33)が設けられる、請求項10に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項12】
前記圧力発生装置が、サスペンション部材(10)と、それに固定された可動マス(9)とを備える、請求項9から11のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項13】
前記可動マス(9)が、前記マイクロホンカートリッジ(3)の少なくとも一部を収容するように適合された窪み(14)を備える、請求項12に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項14】
前記圧力発生装置と前記マイクロホンカートリッジ(3)との間に結合容積(11)が存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械変換器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械変換器を備える聴覚装置であって、前記聴覚装置が、補聴器、イヤホン、パーソナルオーディオ装置、イヤホン、および可聴器からなる群から選択される、聴覚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化されたマイクロ電気機械変換器に関する。特に、本発明は、発生した圧力変動を検出し、検出された圧力変動に応答して出力信号を提供するように適合された圧力検出装置であって、マイクロホンカートリッジおよび信号処理ユニットを含む圧力検出装置と、その振動に応答して圧力変動を発生するように適合された圧力発生装置と、1つ以上の開口部を含む容積分離要素と、を備えるマイクロ電気機械変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
補聴器やイヤホンなどの聴覚装置への振動センサの形態のマイクロ電気機械変換器の統合は、過去10年間で大幅に増加している。マイクロ電気機械変換器(振動センサ)を聴覚装置に統合する利点は多く、骨伝導音声ピックアップによるノイズ低減や、タッピングによる聴覚装置の制御などが含まれる。
【0003】
従来技術のマイクロ電気機械変換器の例は、例えば、EP 3 342 749 A2に見られ、このEP 3 342 749 A2は、独立型の内蔵型MEMSマイクロホンとそれに取り付けられたサブアセンブリとを含む振動センサの形態のマイクロ電気機械変換器に関するものである。MEMSとは、マイクロ電気機械システム(Micro Electro Mechanical System)の略である。サブアセンブリは、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに圧力変動を発生するように適合され、一方、MEMSマイクロホンは、検出された圧力変動を検出して電気出力信号に変換するように適合される。
【0004】
振動センサを含む様々な変換器の、現代の聴覚装置への統合が高まるにつれて、変換器の全体的なサイズを縮小するという点で変換器製造業者にさらなる要求が課せられる。この点に関して、EP 3 342 749 A2で提案されているマイクロ電気機械変換器は、その相対的に大きな高さのために不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の実施形態の目的は、感度を低下させることなく小型化された振動センサの形態のマイクロ電気機械変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、第1の態様において、以下を備えるマイクロ電気機械変換器を提供することによって達成される。
1) 発生した圧力変動を検出し、検出された圧力変動に応答して出力信号を提供するように適合された圧力検出装置であって、マイクロホンカートリッジと信号処理ユニットとを備える圧力検出装置と、
2) その振動に応答して圧力変動を発生するように適合された圧力発生装置と、
3) 1つ以上の開口部を備える容積分離要素と、
を備え、
マイクロホンカートリッジが、容積分離要素の第1の開口部に少なくとも部分的に配置されている、マイクロ電気機械変換器。
【0007】
したがって、本発明は、第1の態様において、圧力検出装置と圧力発生装置とを備える、振動センサなどのマイクロ電気機械変換器に関する。圧力発生装置の役割は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに圧力変化を発生させることであり、圧力検出装置の役割は、発生した圧力変化を検出して電気出力信号に変換することである。
【0008】
好ましくは、圧力検出装置と圧力発生装置は別個のアセンブリとして製造され、これらは後に組み合わされてマイクロ電気機械変換器を形成する。圧力検出装置は、好ましくは、マイクロホンカートリッジ及び信号処理ユニットを備えるMEMSマイクロホンとして実施される。圧力発生装置は、MEMSマイクロホンに固定されたサブアセンブリとして実施されることが好ましい。
【0009】
本明細書において、容積分離要素は、プリント回路基板(PCB)又は壁要素のような音響バリアとして理解されるべきであり、この音響バリアは、マイクロ電気機械変換器の容積を分離する。以下でさらに詳細に説明するように、容積分離要素は、圧力検出装置の境界の一部、例えばハウジングの一部を形成すると考えることができる。
【0010】
第1の態様のマイクロ電気機械変換器は、従来技術の解決策と比較してマイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するので、マイクロホンカートリッジが容積分離要素の第1の開口部に少なくとも部分的に配置されるという点で有利である。実際、第1の態様のマイクロ電気機械変換器の全体の高さは、1mm未満であってもよい。容積分離要素内の1つ以上の開口部は、貫通開口部であることが好ましい。
【0011】
以下でさらに詳細に説明するように、マイクロホンカートリッジは、少なくとも次の3つの方法で、容積分離要素の第1の貫通開口部内に配置することができる:マイクロホンカートリッジは、容積分離要素の上面と位置合わせすることができる、マイクロホンカートリッジは、容積分離要素の下面と位置合わせすることができる、またはマイクロホンカートリッジは、容積分離要素の上面および下面のいずれとも位置合わせしない。
【0012】
第1の実施形態において、容積分離要素は、好ましくは、少なくとも信号処理ユニットに電気的に接続された第1のPCBを備え、前記第1のPCBは、1つ以上の貫通開口部を備える。好ましくは、マイクロホンカートリッジは、第1のPCBにおける第1の貫通開口部内に少なくとも部分的に配置され、シールを使用して第1のPCBに固定される。さらに、信号処理ユニットは、好ましくは、第1のPCBの第2の貫通開口部内に少なくとも部分的に配置され、シールを使用して第1のPCBに固定される。既に述べたように、特に、第1のPCBの貫通開口部内にマイクロホンカートリッジを配置することは、マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減することを促進するので有利である。
【0013】
マイクロホンカートリッジ、信号処理ユニットおよび第1のPCBは、ワイヤボンディングを使用して相互接続することができる。あるいは、マイクロホンカートリッジ、信号処理ユニットおよび第1のPCBは、印刷された相互接続部を用いて相互接続されてもよい。より詳細には、マイクロホンカートリッジは、ワイヤボンディングを使用して信号処理ユニットに接続されてもよく、信号処理ユニットは、ワイヤボンディングを使用して第1のPCBに接続されてもよい。しかしながら、空間を節約するために、マイクロホンカートリッジは、アンダーフィル印刷相互接続部を使用して信号処理ユニットに接続されることが好ましく、信号処理ユニットは、やはりアンダーフィル印刷相互接続部を使用して第1のPCBに接続されることが好ましい。アンダーフィル材料は、誘電体材料を備えることが好ましい。
【0014】
圧力発生装置は、好ましくは、サスペンション部材と、それに固定された可動マスとを備える。可動マスが圧力検出装置の一部を形成せず、圧力発生装置と圧力検出装置との間に配置された結合容積ができるだけ小さいことが有利である。
【0015】
マイクロ電気機械変換器の高さをさらに低減するために、可動マスは、好ましくは、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するように適合された窪みを備える。可動マスの窪みが容積を画定する。この容積の大部分は、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するために使用される。マイクロホンカートリッジの寸法に対する窪みの寸法は、可動マスがマイクロホンカートリッジに対して自由に移動できるように選択される。
【0016】
マイクロ電気機械変換器は、好ましくは、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える第2のPCBをさらに備え、前記第2のPCBは、第1のPCBに対して対向して配置される。「対向して」という用語は、第1のPCBおよび第2のPCBがこの後部容積の反対側に配置されることが好ましいという点で、マイクロ電気機械変換器の後部容積に対して解釈されるべきである。また、第1のPCBと第2のPCBは並列に配置されていることが好ましい。接触ゾーンが配置された第2のPCBは、電源、追加の信号処理回路などの外部構成要素への容易な電気的接触を促進するという点で有利である。
【0017】
第2の実施形態では、マイクロ電気機械変換器は、好ましくは、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える第2のPCBを備え、前記第2のPCBは、第1のPCBに対して対向して配置され、第2のPCBは、内面に窪みを備える。ここでも、「対向して」という用語は、第1のPCBおよび第2のPCBがこの後部容積の反対側に配置されることが好ましいという点で、後部容積に対して解釈されるべきである。また、第1のPCBと第2のPCBは並列に配置されていることが好ましい。第2のPCBに設けられた窪みは、好ましくは、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容し、ワイヤボンディングのための空間を提供し、および/またはプリント接続のための空間を提供するように適合される。任意選択的に、可動マスは、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するように適合された窪みを備えることもできる。ここでも、窪みは容積を画定し、この容積の大部分は、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するために使用される。
【0018】
第3の実施形態では、容積分離要素は、1つ以上の貫通開口部を備える非導電性プレートなどのプレートを備える。好ましくは、マイクロホンカートリッジは、シールを使用して容積分離要素の第1貫通開口部に固定される。電気的接続に関して、マイクロホンカートリッジ及び信号処理ユニットは、底部PCBの内面にフリップチップ実装されることが好ましく、前記底部PCBは、その外面上に配置された複数の接触ゾーンを備える。ここでも、底部PCBの接触ゾーンは、電源、追加の信号処理回路などの外部構成要素への容易な電気的接触を促進するという点で有利である。この第3の実施形態で頼られるフリップチップ実装方法は、完全に試験された実装技術を表すという点でも有利である。
【0019】
通気チャネルは、好ましくは、マイクロホンカートリッジおよび信号処理ユニットの下、すなわち、マイクロホンカートリッジと底部PCBの内面との間、および信号処理ユニットと底部PCBの内面との間に設けられる。マイクロホンカートリッジおよび信号処理ユニットの下にこれらの通気チャネルが存在することは、空気がマイクロ電気機械変換器の後部容積内でより自由に流動または循環することができるという点で有利である。また、この第3の実施形態において、圧力発生装置は、好ましくは、サスペンション部材と、それに固定された可動マスとを備え、すなわち、可動マスは、圧力検出装置から再び分離される。
【0020】
マイクロ電気機械変換器の高さを低減するために、可動マスは、好ましくは、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するように適合された窪みを備える。前述したように、可動マスの窪みは、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を収容するために使用される容積を画定する。窪みの寸法は、可動マスがマイクロホンカートリッジに対して自由に移動できるように選択される。
【0021】
上述した第1、第2および第3の実施形態では、圧力発生装置とマイクロホンカートリッジとの間に結合容積が存在することが好ましい。結合容積の役割は、発生した圧力変化を圧力発生装置から圧力検出装置に伝達することである。
【0022】
第2の態様において、本発明は、第1の態様によるマイクロ電気機械変換器を備える聴覚装置に関し、前記聴覚装置は、補聴器、イヤホン、パーソナルオーディオ装置、イヤホン、可聴器などからなる群から選択される。好ましくは、マイクロ電気機械変換器は、例えば、骨伝導に関連する振動および/または聴覚装置に加えられるタッピングを検出するように適合された振動センサである。
【0023】
一般に、本発明の種々の態様は、本発明の範囲内で可能な任意の方法で組み合わせ、結合することができる。本発明のこれらおよび他の態様、特徴および/または利点は、以下に説明する実施形態から明らかであり、それらを参照して説明する。
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるマイクロ電気機械変換器の断面図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態の断面図であって、埋め込まれたマイクロホンカートリッジと埋め込まれた信号処理ユニットとがワイヤボンディングによって相互接続され、可動マスに窪みが設けられている、断面図を示す。
図3】本発明の第2の実施形態の断面図であって、埋め込まれたマイクロホンカートリッジと埋め込まれた信号処理ユニットとが、印刷された相互接続部を介して相互接続され、窪みが可動マスに設けられている、断面図を示す。
図4】本発明の第3の実施形態の断面図であって、埋め込まれたマイクロホンカートリッジと埋め込まれた信号処理ユニットとが、印刷された相互接続部を介して相互接続され、窪みがPCBに設けられている、断面図を示す。
図5】本発明の第4の実施形態の断面図であって、埋め込まれたマイクロホンカートリッジと埋め込まれた信号処理ユニットとがワイヤボンディングによって相互接続され、PCBに窪みが設けられている、断面図を示す。
図6】本発明の第5の実施形態の断面図であって、埋め込まれたマイクロホンカートリッジと埋め込まれた信号処理ユニットとが、アンダーフィルされたプリント相互接続部を介して相互接続され、PCBに窪みが設けられている、断面図を示す。
図7】本発明の第6の実施形態の断面図であって、マイクロホンカートリッジと信号処理ユニットとが底部PCB上にフリップチップ実装され、可動マスに窪みが設けられている、断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一般に、本発明は、圧力検出装置と圧力発生装置とを備えた振動センサ等のマイクロ電気機械変換器に関する。圧力発生装置の役割は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに圧力変動を発生させることであり、圧力検出装置の役割は、発生した圧力変動を検出して電気出力信号に変換することである。特に、マイクロ電気機械変換器の高さを低減するために、マイクロホンカートリッジの少なくとも一部を囲む又は収容するための窪みが、可動マス及び/又はPCBのいずれかに設けられる。本発明のマイクロ電気機械変換器の全体の高さは、1mm未満であることが好ましい。また、本発明は、例えば、骨伝導に関連する振動及び/又は聴覚装置に加えられるタッピングを検出するための、振動センサなどのマイクロ電気機械変換器を備える聴覚装置に関する。
【0027】
図1は、独立型の内蔵型MEMSマイクロホン1と、それに取り付けられたサブアセンブリ2とを備える振動センサの形態における従来技術のマイクロ電気機械変換器を示す。サブアセンブリ2は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに圧力変動を発生するように適合され、一方、MEMSマイクロホン1は、検出された圧力変動を検出して電気出力信号に変換するように適合される。サブアセンブリ2は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされるときに可動マス9が上下に移動/振動するように、サスペンション部材10に懸架された可動マス9を備える。MEMSマイクロホン1は、発生する圧力変動に敏感なマイクロホンカートリッジ3と、マイクロホンカートリッジ3からの信号を処理する信号処理回路4とを備える。マイクロホンカートリッジ3および信号処理回路4は、第1のPCB6、第2のPCB7および壁部8によって画定される後部容積13内に相互接続されて配置される。ワイヤボンディング5は、様々な要素間の電気的接続のために設けられる。発生された圧力変動は、第1のPCB6内の結合容積11及び貫通開口部12を介してマイクロホンカートリッジ3に結合される。図1に示す従来技術のマイクロ電気機械変換器は、独立した自己内蔵型のMEMSマイクロホン1に基づいており、サブアセンブリ2との組み合わせは、サイズに関して、特にマイクロ電気機械変換器の全体の高さに関して最適化されていない。
【0028】
次に図2を参照すると、本発明の実施形態の断面図が示されている。図2に示す実施形態は、図1に示す従来技術のマイクロ電気機械変換器よりも、そのよりコンパクトな設計、より具体的にはその減少した高さにより有利である。マイクロ電気機械変換器は、壁部8によって分離された第1のPCB6と第2のPCB7とを備えるサンドイッチ構造を備える。第1のPCB6、第2のPCB7及び壁部8は、後部容積13を囲む。第1のPCB6は、3つの貫通開口部、すなわち、通気開口部18(任意)、信号処理回路4を収容するための開口部、および、感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部を備えている。このように、マイクロホンカートリッジ3はワイヤボンディング5を用いて信号処理ユニット4に接続されており、信号処理ユニット4はまたワイヤボンディング5を用いて第1のPCB6に接続されている。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が第2のPCB7の下面に設けられることが好ましい。
【0029】
実装に関して、マイクロホンカートリッジ3は、結合容積11内および後部容積13内の両方に延びるように第1のPCB6に固定される。信号処理回路4は、その上面が第1のPCB6の上面と位置合わせされて第1のPCB6に固定される。信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定するために、適切なシール材料(図2には図示せず)が使用される。
【0030】
検出される圧力変動は、サスペンション部材10に懸架された可動マス9によって発生される。可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに上下に移動/振動するように適合されており、発生した圧力変動は、結合容積11を介してマイクロホンカートリッジ3に結合される。スペーサ15は、第1のPCB6とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、封入のために、また任意の通気開口部18を介して後部容積13に接続される後部容積17を画定するために設けられる。
【0031】
マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、窪み14が可動マス9内に設けられる。図2に示すように、この窪み14は、マイクロホンカートリッジ3の少なくとも一部を収容するように適合されており、それによって、マイクロ電気機械変換器の全体の高さが大幅に低減される。数に関して、窪み14の深さは、好ましくは、マイクロホンカートリッジ3の高さ(第1のPCB6より上)の少なくとも25%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも35%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも45%、例えば、少なくとも50%が窪み14内に収容されるように選択され得る。窪み14の深さをさらに増加させるために、窪み14は、代替実施形態では、可動マス9内の貫通開口部又は穴として実施することができる。そのとき窪み14の深さは可動マス9の厚さに等しい。
【0032】
次に図3を参照すると、本発明の別の実施形態の断面図が示されている。図3に示す実施形態はまた、高さが低減されているため、従来技術のマイクロ電気機械変換器よりも有利である。図3に示されるマイクロ電気機械変換器は、小さな壁部8によって分離された第1のPCB6および第2のPCB7を備えるサンドイッチ構造を備える。第1のPCB6、第2のPCB7及び壁部8は、図2に示す実施形態の対応する後部容積13と比較して高さが低減された後部容積13を囲んでいる。図2に示される実施形態と同様に、第1のPCB6は、3つの貫通開口部、すなわち、通気開口部18(任意)、信号処理回路4を収容するための開口部、および感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部を再び備える。図3に見られるように、マイクロホンカートリッジ3はプリント接続20を使用して信号処理ユニット4に接続され、信号処理ユニット4はまたプリント接続20を使用して第1のPCB6に接続される。プリント接続20は誘電体材料23の上部上に設けられ、誘電体材料23は信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定する。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が第2のPCB7の下面に設けられることが好ましい。
【0033】
図3に示すように、信号処理回路4及びマイクロホンカートリッジ3は、それぞれの下面が第1のPCB6の下面に位置合わせされて、第1のPCB6に固定される。既に述べたように、適切な誘電体材料23は、信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定する。誘電体材料23はまた、適切なシール特性を提供するとともに、プリント接続20に対する機械的な支持も提供する。
【0034】
サスペンション部材10に懸架された可動マス9は、圧力変動を発生するように適合されている。そのため可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに上下に移動/振動するように適合されており、発生した圧力変動は、結合容積11を介してマイクロホンカートリッジ3に結合される。スペーサ15は、第1のPCB6とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、サスペンション部材10の上部上に配置される。ハウジング16及びサスペンション部材10は、通気開口部18、21及び容積22を介して他の後部容積13に接続された後部容積17を形成する。図2と比較して、サスペンション部材10の表面積はここではより大きく、より高い感度をもたらす。
【0035】
マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、窪み14が可動マス9内に再び設けられる。先に述べたように、図3に示されるように、この窪み14は、マイクロホンカートリッジ3の少なくとも一部を収容するように適合されており、それによって、マイクロ電気機械変換器の全体の高さが大幅に低減される。数に関して、窪み14の深さは、好ましくは、マイクロホンカートリッジ3の高さ(第1のPCB6より上)の少なくとも25%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも35%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも45%、例えば、少なくとも50%が窪み14内に収容されるように選択され得る。窪み14の深さをさらに増加させるために、窪み14は、代替実施形態では、可動マス9内の貫通開口部又は穴として実施することができる。そのとき窪み14の深さは可動マス9の厚さに等しい。
【0036】
次に図4を参照すると、本発明のさらに別の実施形態の断面図が示されている。図4に示す実施形態はまた、従来技術の変換器と比較して高さが低減されているため有利である。図4に示されるマイクロ電気機械変換器は、再度、壁部8によって分離された第1のPCB6および第2のPCB7を備えるサンドイッチ構造を備える。第1のPCB6、第2のPCB7及び壁部8は、後部容積13を囲む。先の実施形態と同様に、第1のPCB6は、3つの貫通開口部、すなわち、通気開口部18(任意)、信号処理回路4を収容するための開口部、および、感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部を備えている。図3に示す実施形態と同様に、マイクロホンカートリッジ3は、図4において、プリント接続20を使用して信号処理ユニット4に接続され、信号処理ユニット4はまたプリント接続20を使用して第1のPCB6に接続される。プリント接続20が第1のPCB6の下面に設けられる図3に示される実施形態とは対照的に、プリント接続20は、図4において、第1のPCB6の上面に設けられる。プリント接続20は誘電体材料23の上部上に設けられ、誘電体材料23は信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定する。また、マイクロホンカートリッジ3は、その感圧膜19が結合容積11に向けて配向されるように配置されていることに留意されたい。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が第2のPCB7の下面に設けられることが好ましい。
【0037】
図3に示す実施形態とは対照的に、信号処理回路4およびマイクロホンカートリッジ3の両方は、図4では、それぞれの上面が第1のPCB6の上面と位置合わせされて、第1のPCB6に固定される。適切な誘電体材料23を適用して、信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定する。誘電体材料23はまた、シール特性を提供するとともに、プリント接続20に対する機械的な支持も提供する。後部容積13の容積を縮小するための充填要素25が設けられている。
【0038】
可動マス9は、サスペンション部材10の上面に固定されており、圧力変動を発生させるように適合される。したがって、可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに上下に移動/振動するように適合される。スペーサ15は、第1のPCB6とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、封入のために、また任意の通気開口部18を介して後部容積13に接続される後部容積17を画定するために設けられる。可動マス9は、可動マス9の自由な移動/振動を促進するために、周辺ノッチ26を備える。これは、同じ高さを有する、より大きな可動マス、または、同じ重量を有する、より薄い可動マスを可能にするという点で有利である。
【0039】
マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、第2のPCB7に窪み24が設けられる。第2のPCB7における窪み24の役割は、窪み24が存在しない場合に第2のPCB7の上面に近すぎてしまうマイクロホンカートリッジ3の下に追加の空間を提供することである。窪み24の深さを潜在的に増加させるために、窪み24は、代替的な実施形態では、第2のPCB7における貫通開口部又は穴として実施されてもよい。そのとき窪み24の深さは、第2のPCB7の厚さに等しい。
【0040】
図5は、本発明のさらに別の実施形態の断面図を示す。また、この実施形態は、従来技術の変換器と比較して高さが低いので有利である。図5に示されるマイクロ電気機械変換器は、再度、壁部8によって分離された第1のPCB6および第2のPCB7を備えるサンドイッチ構造を備える。第1のPCB6、第2のPCB7及び壁部8は、後部容積13を囲む。図5に見られるように、第1のPCB6は、2つの貫通開口部、すなわち、通気開口部18(任意)および感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部を備える。第1のPCB6の下面には、信号処理ユニット4が固定されている。図5に示されるように、マイクロホンカートリッジ3はワイヤボンディング5を用いて信号処理ユニット4に接続されており、信号処理ユニット4はまたワイヤボンディング5を用いて第1のPCB6に接続されている。誘電体材料23は、マイクロホンカートリッジ3と第1のPCB6のそれぞれの上面が位置合わせされるように、マイクロホンカートリッジ3を第1のPCB6に固定する。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が第2のPCB7の下面に設けられることが好ましい。
【0041】
可動マス9は、サスペンション部材10の下面に固定されており、圧力変動を発生させるように適合される。そのため可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに上下に移動/振動するように適合されており、発生した圧力変動は、結合容積11を介してマイクロホンカートリッジ3に結合される。スペーサ15は、第1のPCB6とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、封入のために、また任意の通気開口部18を介して後部容積13に接続される後部容積17を画定するために設けられる。
【0042】
マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、第2のPCB7に窪み24が設けられる。窪み24がない場合には、マイクロホンカートリッジ3の下面が第2のPCB7の上面に近すぎてしまうため、窪み24は、マイクロホンカートリッジ3と信号処理ユニット4との間のワイヤボンディング5のためのより大きな空間を提供する。窪み24の深さを潜在的に増加させるために、窪み24は、代替的な実施形態では、第2のPCB7における貫通開口部又は穴として実施されてもよい。そのとき窪み24の深さは、第2のPCB7の厚さに等しい。
【0043】
図6に示す実施形態は、マイクロホンカートリッジ3が上下反転され、プリント接続27が第1のPCB6の下側に設けられた誘電体充填材料28上に配置されることを除いて、図4に示す実施形態とかなり類似している。マイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、第2のPCB7に窪み24が設けられる。図7に見られるように、窪み24が存在しない場合には、マイクロホンカートリッジ3の下面が第2のPCB7の上面に接近しすぎることになるので、窪み24の存在は、マイクロホンカートリッジ3と信号処理ユニット4との間のプリント接続27のためにより多くの空間を提供する。窪み24の深さを潜在的に増加させるために、窪み24は、代替的な実施形態では、第2のPCB7における貫通開口部又は穴として実施されてもよい。そのとき窪み24の深さは、第2のPCB7の厚さに等しい。
【0044】
図6に示されるマイクロ電気機械変換器は、壁部8によって分離された第1のPCB6および第2のPCB7を備えるサンドイッチ構造を備える。第1のPCB6、第2のPCB7及び壁部8は、後部容積13を囲む。第1のPCB6は、2つの貫通開口部、すなわち、通気開口部18(任意)と、第2のPCB7に向けて配向された感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部とを備える。マイクロホンカートリッジ3は、図6において、プリント接続27を用いて信号処理ユニット4に接続され、信号処理ユニット4はまたプリント接続27を用いて第1のPCB6に接続される。プリント接続27は、上述したように、誘電体充填材料28の上部上に配置されており、この充填材28は信号処理回路4とマイクロホンカートリッジ3の両方を第1のPCB6に固定する。マイクロホンカートリッジ3と第1のPCB6のそれぞれの上面が位置合わせされるように、マイクロホンカートリッジ3は第1のPCB6に固定される。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が第2のPCB7の下面に設けられることが好ましい。
【0045】
圧力変動は、サスペンション部材10の上面に固定された可動マス9によって発生する。したがって、可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに上下に移動/振動するように適合される。スペーサ15は、第1のPCB6とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、封入のために、また任意の通気開口部18を介して後部容積13に接続される後部容積17を画定するために設けられる。可動マス9は、可動マス9の自由な移動/振動を促進するために、周辺ノッチ26を備える。
【0046】
次に図7を参照すると、本発明のさらに別の有利な実施形態の断面図が示されている。先の実施形態と同様に、この実施形態も高さが低減されている。図7に示すマイクロ電気機械変換器は、スペーサ30によって分離されたプレート要素29と底部PCB34とを備えるサンドイッチ構造を備える。プレート要素29、底部PCB34及びスペーサ30は、後部容積13を囲む。プレート要素29は、好ましくはカプトン(Kapton)(商標)ポリイミドフィルムで作られる。
【0047】
図7に見られるように、プレート要素29は、2つの貫通開口部、すなわち通気開口部18(任意)と、底部PCB34に向かって配向された感圧膜19を有するマイクロホンカートリッジ3を収容するための開口部とを備える。図7に見られるように、マイクロホンカートリッジ3及び信号処理ユニット4は両方とも、半田パッド31を介して底部PCB34にフリップチップ実装されており、通気チャネル32、33は、マイクロホンカートリッジ3と底部PCB34との間、及び信号処理ユニット4と底部PCB34との間に設けられる。マイクロホンカートリッジ3は、シール特性も有する誘電体材料23を用いてプレート要素29に固定される。電源、さらなる信号処理回路などの外部構成要素への電気的接続を確立するために、電気的接触ゾーン(図示せず)が底部PCB34の下面に設けられることが好ましい。
【0048】
サスペンション部材10内に懸架された可動マス9は、マイクロ電気機械変換器が振動にさらされたときに圧力変動を発生するように適合されている。発生された圧力変動は、結合容積11を介してマイクロホンカートリッジ3に結合される。スペーサ15は、プレート要素29とサスペンション部材10との間に配置され、ハウジング16は、サスペンション部材10の上部上に配置される。ハウジング16及びサスペンション部材10は、任意の通気開口部18、21及び容積22を介して他の後部容積13に接続された後部容積17を形成する。図2と比較して、サスペンション部材10の表面積はここではより大きく、より高い感度をもたらす。
【0049】
図7に示されるマイクロ電気機械変換器の全体の高さを低減するために、窪み14が可動マス9内に再び設けられる。先に述べたように、図7に示されるように、この窪み14は、マイクロホンカートリッジ3の少なくとも一部を収容するように適合されており、それによって、マイクロ電気機械変換器の全体の高さが大幅に低減される。数に関して、窪み14の深さは、好ましくは、マイクロホンカートリッジ3の高さ(プレート要素29より上)の少なくとも25%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも35%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも45%、例えば、少なくとも50%が窪み14内に収容されるように選択され得る。窪み14の深さをさらに増加させるために、窪み14は、代替実施形態では、可動マス9内の貫通開口部又は穴として実施することができる。そのとき窪み14の深さは可動マス9の厚さに等しい。
【0050】
図2~7に示す実施形態では、マイクロ電気機械変換器の全体の高さは、好ましくは、2mm未満、例えば1.5mm未満、例えば1mm未満である。
【0051】
また、可動マス9の質量は4mg程度が好ましい。これはノイズレベルを30dB増加させるため、実際の最小質量は約0.004mgと推定される。同様に、0.04mgの質量はノイズレベルを20dB増加させ、0.4mgの質量はノイズレベルを10dB増加させる。したがって、可動マス9の質量が大きいほど、マイクロ電気機械変換器の熱移動ノイズの影響は小さくなる。
【0052】
さらに図2~7を参照すると、結合容積11は、できるだけ小さいことが好ましい。好ましくは、結合容積11は、1mm3未満、例えば0.75mm3未満、例えば0.5mm3未満、例えば0.25mm3未満、例えば0.1mm3未満、例えば0.05mm3未満である。
【0053】
また、依然として図2~7を参照すると、サスペンション部材10の総面積は、可能な限り大きくなければならず、好ましくは0.5mm2より大きく、例えば、1mm2より大きく、例えば、2mm2より大きく、例えば、4mm2より大きく、例えば、6mm2より大きく、例えば、8mm2より大きく、例えば、10mm2より大きい。大きな総面積は有利である。なぜなら、これは、特定の容積変位を達成し、それによって感度を達成するために、可動マス9の動きのより小さな振幅を必要とするからである。
【0054】
本発明は、本発明の例示的実施形態を参照して上述したが、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明から逸脱することなく多くの方法で変更することができる。従って、説明した例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲を厳密にそれに従って解釈するために使用されるべきではない。反対に、実施形態は、添付の特許請求の範囲の文言を説明することを単に意図したものであり、特許請求の範囲をこれらの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の文言における起こり得る曖昧さは、これらの例示的な実施形態を用いて解決されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】