(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008707
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】チップオンボードLED基板及び表面実装デバイスLED基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220106BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20220106BHJP
【FI】
H01L33/00 440
H01L33/00 450
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2014237376
(22)【出願日】2014-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】514300270
【氏名又は名称】ミレニアム サブストレイツ エスディーエヌ ビーエイチディー
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM SUBSTRATES SDN BHD
【住所又は居所原語表記】NO 2, JALAN LINTANG BERINGIN 6, OFF JALAN PERMATANG DAMAR LAUT, DIAMOND VALLEY INDUSTRIAL PARK, 11960 PENANG MALAYSIA
(71)【出願人】
【識別番号】514300292
【氏名又は名称】バスカラン エイ/エル ゴヴィンダ ナイル
【氏名又は名称原語表記】BASKARAN A/L GOVINDA NAIR
【住所又は居所原語表記】203, JALAN 5/49, TAMAN PETALING, 46000 PETALING JAYA SELANGOR MALAYSIA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アール.レマカンタン エイ/エル ラマチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴガナンサン ラジャンガム
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA02
5F142CB11
5F142CC04
5F142CC17
5F142CC23
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD23
5F142CD32
5F142CD43
5F142CD49
5F142CF02
5F142CF23
5F142CF42
5F142DB44
5F142EA02
5F142EA08
5F142EA10
5F142EA18
5F142FA03
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】チップオンボードLED基板及び表面実装デバイスLED基板の製造方法を提供する。
【解決手段】チップオンボードLED基板(100)及び表面実装デバイスLED基板(108)は微細パターン圧膜を含む。上記の製造方法は、金属板(101、109)の上にガラス系誘電体を塗布してガラス系誘電体層(103、111)を形成する工程;前記ガラス系誘電体層(103、111)を焼成する工程;前記ガラス系誘電体層(103、111)の上に金属系導体を塗布して金属系導体層(104、113)を形成する工程;前記金属系導体層(104、113)を乾燥する工程;前記ガラス系誘電体層及び前記金属系導体層(103、104、111、113)を焼成して圧膜を形成する工程;及びチップオンボード用途の場合は回路の間のポケットにLEDダイ(105)を設置し、回路にパッケージLED(114)をはんだ付けする工程;を含み、上記の方法により圧膜が硬化し且つ基板に接合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップオンボードLED基板又は表面実装デバイスパッケージLED基板の製造方法であって、
前記LED基板は微細パターン圧膜を含み、
前記方法は:
i)金属板の上にガラス系誘電体を塗布してガラス系誘電体層を形成する工程;
ii)前記ガラス系誘電体層を焼成する工程;
iii)前記ガラス系誘電体層の上に金属系導体を塗布して金属系導体層を形成する工程;
iv)前記金属系導体層を乾燥する工程;
v)前記ガラス系誘電体層及び前記金属系導体層を焼成して圧膜を形成する工程;及び
vi)回路の間のポケットにLEDダイを設置するか又は導電回路上にパッケージLEDを設置する工程;
を含み、
前記方法により圧膜が硬化し且つ基板に接合する、方法。
【請求項2】
前記ガラス系誘電体を塗布する前記工程及び前記金属系導体を塗布する前記工程がシルクスクリーン印刷によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
裸基板としてアルミニウム薄板が用いられ、必要な厚さを満たすために、複数回の塗布-乾燥-焼成のサイクルを行って必要な誘電体及び導体のパターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属系導体層は銀である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
熱エポキシにより前記LEDダイを前記基板に固定し、ワイヤボンドにより前記LEDダイを前記回路に接合する工程又ははんだ付けにより前記パッケージLEDを前記回路及びサーマルビアに取り付ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属薄板として好ましくはアルミニウムが用いられる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップオンボード及び表面実装デバイス双方のためのLED基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体照明(SSL)産業の近年の発展に伴い、SSL製品に対して信頼性を付与する上での大きな課題は熱管理である。SSLの発光ダイオード(LED)が生成する光出力は約25%であり、その残り(約75%)は熱である。その熱は、LEDに不具合が生じる臨界的なジャンクション温度(critical thermal junction)に達することがある。基板レベルでの効率的な熱管理が求められている。
【0003】
基板又は電子基板は、電子部品、集積回路(IC)又はSSLを含むマイクロチップのための基材としての機能を果たす。電子基板は全ての構成要素への接続を提供し、それにより完全なサブモジュール/モジュール/システムが得られる。
【0004】
従って、熱効率が良好な基板の製造への解決策が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、チップオンボードLED基板及び表面実装デバイスLED基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の基板の双方は微細パターン(fine-patterned)圧膜基板を含み、上記の方法は、金属板の上にガラス系誘電体を塗布してガラス系誘電体層(glass based dielectric layer)を形成する工程;前記ガラス系誘電体層を焼成する工程;前記ガラス系誘電体層の上に金属系導体(metal based conductor)を塗布して金属系導体層を形成する工程;前記金属系導体層を乾燥する工程;前記ガラス系誘電体層及び前記金属系導体層を焼成して圧膜を形成する工程;及び回路の間のポケットにLEDダイを設置するか又は陽極及び陰極パッド上にLEDパッケージを設置する工程;を含み、上記方法により圧膜が硬化し且つ基板に接合する。
【0007】
本発明は、下記の説明及び添付の図面で十分に図示説明する幾つかの新規な特徴及び部品の組み合わせを含む。本発明の範囲から逸脱することなく又は本発明の利点を何ら犠牲にすることなく、様々な変更が詳細に対して加えられ得ることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
下記の詳細な説明及び添付の図面から本発明を十分に理解することができる。下記の詳細な説明及び添付の図面は一例として示しているに過ぎず、そのため本発明を限定しない。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における圧膜チップオンボードLED基板の層の縦断面を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における圧膜表面実装デバイスパッケージオンボードLED基板の層の縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明はチップオンボードLED基板の製造方法に関する。以下、本発明の好ましい実施形態に従って本発明を説明する。なお、下記の説明を本発明の好ましい実施形態に限定するのは、本発明の解説を容易にするためであり、添付の請求項の範囲から逸脱することなく様々な変更及び同等物を当業者であれば考案し得るものと想定される。
【0010】
添付の図面を個別に又は組み合わせで参照しながら、好ましい実施形態を以下で詳細に説明する。
【0011】
図1は、チップオンボードLED基板(100)の製造方法を用いて製造した圧膜基板を示す。上記の方法は、金属板(101)の上にガラス系誘電体層(103)を形成する工程;前記ガラス系誘電体層(103)を焼成する工程;前記誘電体層(103)の上に金属系導体(104)を塗布する工程;前記金属系導体層(104)を乾燥する工程;前記ガラス層及び前記金属層(103、104)を焼成して圧膜を形成する工程;及び回路の間のポケットにLEDダイ(105)を設置する工程;を含み、上記の方法により圧膜が硬化し且つ基板(100)に接合をする。
【0012】
図1から分かるように、一般的な圧膜チップオンボードLEDアルミニウム基板(thick film Chip-On-Board LED aluminum substrate)(100)の縦断面を示す。アルミニウム板(101)が基体(basic substrate)として用いられている。アルミニウムの平面(102)は、マイクロ研磨で平滑にしなければならない。好ましい実施形態におけるアルミニウム板(101)は、アルミニウム等級(aluminum grade)が3003系、5052系及び6061系のアルミニウムである。
【0013】
誘電体層(103)は、ガラス系誘電体ペーストをスクリーン印刷することにより得られる。溶媒を取り除くために、印刷した誘電体ペーストを約150℃の高温で15分間乾燥させる。次いで、有機バインダを消散し、ガラス誘電体を硬化させ且つその密度を高めて空隙率(porosity)を最小化するために約570℃の高温で焼成工程を行う。空隙率の最小化は、高温又は高電圧時に絶縁破壊が起こる可能性を低減する目的で行われる。また、空隙率が過剰だと、圧膜の導体が誘電体層を貫通して、アルミニウム基板に漏電が生じる場合がある。印刷及び焼成した誘電体の厚さは50~60μmである。
【0014】
誘電体層(103)の上に金属系導体(104)のパターンをスクリーン印刷で塗布する。導体(104)は、誘電体層(103)との接合が良好となるように、純銀及び溶融温度が600℃未満のガラス等の成分で構成されていることが好ましい。溶媒を取り除くために、導体層(104)を約150℃の高温で15分間乾燥させる。そして圧膜を硬化させ且つアルミニウム基板(100)との接合を適切なものにするために、圧膜を約545℃の高温で焼成する。適用後の圧膜の厚さは約18~22μmである。
【0015】
回路の間のポケットにLEDダイ(105)を設置して、熱エポキシ(106)を用いてアルミニウムの裸基板(100)に接着する。その後、LEDダイ(105)をアルミニウム基板(100)に確実に接着するために熱エポキシ(106)を高温で硬化させる。
【0016】
ワイヤボンド(107)法により、LEDダイ(105)を回路に接続する。ワイヤボンド材料は、直径が12.5μm~200μmの金又はアルミニウムのワイヤであるべきである。
【0017】
図2は、表面実装デバイスパッケージオンボードLED基板(108)の製造方法を用いて製造した圧膜基板を示す。上記の方法は、金属板(109)の上にガラス系誘電体層(111)を形成する工程;前記ガラス系誘電体層(111)を焼成する工程;基板の上に直接金属系サーマルビア(112)を塗布する工程;前記サーマルビア(112)を乾燥する工程;前記金属系ビア(112)を焼成する工程;前記誘電体層(111)の上に金属系導体層(113)を塗布する工程;前記金属系導体層(113)を乾燥する工程;前記ガラス層及び前記金属層(111、113)を焼成して圧膜を形成する工程;及び前記金属系導体(113)上に接合部があるLEDパッケージ(114)を前記サーマルビア(112)に設置する工程;を含み、当該方法により圧膜が硬化し且つ基板(108)に接合する。
【0018】
図2から分かるように、一般的な圧膜表面実装デバイスパッケージオンボードLED基板(thick film Surface Mount Device Package-On-Board LED substrate)(108)の縦断面を示す。アルミニウム板(109)が基体として用いられている。アルミニウムの平面(110)は、マイクロ研磨で平滑にしなければならない。好ましい実施形態におけるアルミニウム板(109)は、アルミニウム等級が3003系、5052系及び6061系のアルミニウムである。
【0019】
誘電体層(111)は、ガラス系誘電体ペーストをスクリーン印刷することで得られる。溶媒を取り除くために、印刷した誘電体ペーストを約150℃の高温で15分間乾燥させる。次いで、有機バインダを消散し、ガラス誘電体を硬化させ且つその密度を高めて空隙率を最小化するために約570℃の高温で焼成工程を行う。空隙率の最小化は、高温又は高電圧時に絶縁破壊が起こる可能性を低減する目的で行われる。また、空隙率が過剰だと、圧膜の導体が誘電体層を貫通して、アルミニウム基板に漏電が生じる場合がある。印刷及び焼成した誘電体の厚さは50~60μmである。
【0020】
アルミニウム基板(109)の上に金属系サーマルビア(112)のパターンをスクリーン印刷で塗布する。サーマルビア(112)は、アルミニウムの表面(110)との接合が良好となるように、純銀及び溶融温度が600℃未満のガラス等の成分で構成されていることが好ましい。溶媒を取り除くために、サーマルビア層(112)を約150℃の高温で15分間乾燥させる。そして圧膜を硬化させ且つアルミニウム基板(108)との接合を適切なものにするために、圧膜を約545℃の高温で焼成する。適用後の圧膜の厚さは約50~60μmである。
【0021】
誘電体層(111)の上に金属系導体(113)のパターンをスクリーン印刷で塗布する。導体(113)は、誘電体層(111)との接合が良好となるように、純銀及び溶融温度が600℃未満のガラス等の成分で構成されることが好ましい。溶媒を取り除くために、導体層(113)を約150℃の高温で15分間乾燥させる。そして圧膜を硬化させ且つアルミニウム基板(108)との接合を適切なものにするために、圧膜を約545℃の高温で焼成する。適用後の圧膜の厚さは約18~22μmである。
【0022】
LEDパッケージ(114)をサーマルビア(112)及び金属系導体回路(113)にはんだ付けする。はんだ付け(115)によりLEDパッケージ(114)を回路に接続する。はんだ材料は鉛フリーのはんだ材料であるべきである。
【0023】
本発明は、放熱をより効率的にすることで表面温度分布をより均一なものにするために、ガラス系誘電体と層を成すアルミニウム基板に配置されたワイヤボンド可能な又は表面実装技術ではんだ付け可能な圧膜のLED回路を提供することができる。なお、上記の方法は、より効率的な放熱により良好な温度制御を提供でき、LEDの製造におけるジャンクション温度を最小化する。これは、LEDの製造におけるジャンクション温度の低下に繋がるLEDの回路設計面での数々の進展を可能にする大きな前進である。LEDのジャンクション温度が低下することで、この技術を用いる前のものよりも明るいLEDを設計することできる。アルミニウム基板を用いることで、より優れた温度制御及び熱効率を実現できる。
【0024】
当業者であれば、「圧膜」は有機バインダ及び溶媒を含む金属系又はガラス系のペーストを意味し、「熱膨張係数(10E-6/℃)」(CTE)は1℃毎の長さ単位に対するμ単位(micro-units of length over units of length per ℃)又は1℃毎のμm(parts per million per ℃)を意味し、「W/m-k」はワット毎メートル毎ケルビン(熱導電率の単位)を意味することが分かる。高膨張金属基板とは、CTEが16×10E-6/℃以上の鉄金属又は非鉄金属を意味し得る。
【0025】
圧膜LED回路素子は比較的厚い層からなる金属回路であり、後でLED基板として用いられる金属基板上の電気絶縁誘電体層(electrically isolative dielectric layer)に一般的に適用される。
【0026】
一般的に、圧膜導体回路は金属基板の上に既に塗布された誘電体材料の上に塗布される。圧膜技術との組み合わせでガラスの誘電体を用いることが望ましい。何故なら、ガラス系材料は非常に平滑な電気絶縁表層を提供し、ガラス材料は多孔質ではなく、水分を吸収しないからである。ガラス材料のこれらの特徴により、圧膜を容易に適用することが可能になる一方で、トレース幅及び高さが的確な所望のトレースパターンを得ることができる。
【0027】
LED基板の製造に適用される圧膜層により回路設計の自由度が大幅に改善するため、熱分布の均一性が良好になり、表面の熱を基板の底面に正確に導くことができる。また、特定のLED設計で必要な様々な平坦な輪郭面に適合するように圧膜回路を形成できる。
【符号の説明】
【0028】
100 チップオンボードLED基板
101 金属板
102 アルミニウムの表面
103 ガラス系誘電体層
104 金属系導体層
105 LEDダイ
106 熱エポキシ
107 ワイヤボンド
108 表面実装デバイスLED基板
109 金属板
110 アルミニウムの表面
111 ガラス系誘電体層
112 サーマルビア
113 金属系導体層
114 LEDパッケージ
115 はんだ付け