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特開2022-87070ベントアセンブリを有する聴覚装置イヤピースとレシーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087070
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ベントアセンブリを有する聴覚装置イヤピースとレシーバ
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
H04R25/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193403
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】PA202070806
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルリク メア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より良いフィット感及び音特性を有する聴覚装置、イヤピース、レシーバ及びベントアセンブリを提供する。
【解決手段】聴覚装置用のレシーバ10、10Aは、遠位端部14及び近位端部16を有し、遠位端部と近位端部との間を延びる第1レシーバ壁18を有するレシーバハウジング12と、レシーバ膜と、レシーバハウジングのチャンバを通気するために、レシーバハウジングのベント壁と関連付けられたベントアセンブリ30と、を備える。ベントアセンブリは、ベース32を備えている。ベースは、1つ又は複数のベント開口33A~33Dを有している。ベントアセンブリは、ベント要素34を備えている。ベント要素は、ベント開口35A~35Dを備えており、第1位置において、ベースの1つ又は複数のベント開口をブロックし、第2位置において、ベースの1つ又は複数のベント開口を介した流体連通を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚装置用のレシーバであって、
遠位端部と近位端部とを有しており、前記遠位端部と前記近位端部との間を延びる第1レシーバ壁を有するレシーバハウジングと、
レシーバ膜と、
前記レシーバハウジングのチャンバを通気するために、前記レシーバハウジングのベント壁と関連付けられたベントアセンブリであって、前記ベントアセンブリはベースを備えており、前記ベースは第1ベント開口を備える1つまたは複数のベント開口を有している、前記ベントアセンブリと、を備えており、
前記ベントアセンブリは、ベント要素を備えており、
前記ベント要素は、第1位置において、前記ベースの前記1つまたは複数のベント開口をブロックし、第2位置において、前記ベースの前記1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されている、レシーバ。
【請求項2】
前記ベント要素は、前記第1位置から前記第2位置へ、前記ベースの表面に沿って動くように構成されている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項3】
前記ベントアセンブリは、前記ベースに取り付けられた軸部材を備えており、
前記ベント要素は、前記第1位置から前記第2位置へ、前記軸部材の回転軸を中心に回転するように構成されている、請求項2に記載のレシーバ。
【請求項4】
前記ベント要素は、1つまたは複数のベント開口を備えており、
前記ベント要素の第1ベント開口は、前記ベント要素の前記第2位置において、前記ベースの前記第1ベント開口と位置合わせされるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項5】
前記ベントアセンブリは、前記第1位置から前記第2位置へ、および/または前記第2位置から前記第1位置へ、前記ベント要素を動かすためのアクチュエータアセンブリを備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項6】
前記アクチュエータアセンブリは、
前記ベント要素の遠位表面に配置される、第1磁石を含む1つまたは複数の磁石と、
前記ベースに配置される第1磁気アクチュエータと、を備えており、
前記第1磁気アクチュエータは、前記第1磁石に磁束を付与するように構成されている、第1コイルと、第1磁束アライナと、を備えている、請求項5に記載のレシーバ。
【請求項7】
前記1つまたは複数の磁石は、前記ベント要素の前記遠位表面に配置される、第2磁石と、第3磁石と、第4磁石と、を備えており、
前記第1磁石および前記第3磁石は、一次軸に沿って配置されており、
前記第2磁石および前記第4磁石は、二次軸に沿って配置されている、請求項6に記載のレシーバ。
【請求項8】
前記第1磁石および前記第3磁石は、前記回転軸の両側に配置されており、
前記第2磁石および前記第4磁石は、前記回転軸の両側に配置されている、請求項3に従属する請求項7に記載のレシーバ。
【請求項9】
前記アクチュエータアセンブリは、前記ベースに配置される第2磁気アクチュエータを備えており、
前記第2磁気アクチュエータは、前記アクチュエータアセンブリの1つまたは複数の磁石に磁束を付与するように構成されている、第2コイルと、第2磁束アライナと、を備えている、請求項6から8のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項10】
前記ベントアセンブリは、前記レシーバハウジングの内側に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項11】
前記ベントアセンブリは、前記ベースと前記ベント要素との間の密着を確実にするために、前記ベント要素に力を付与するように構成されているスプリングを備えている、請求項3に従属する請求項1から10のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項12】
イヤピース用のベントアセンブリであって、
前記ベントアセンブリは、ベースを備えており、
前記ベースは、第1ベント開口を備える1つまたは複数のベント開口を有しており、
前記ベントアセンブリは、ベント要素を備えており、
前記ベント要素は、第1位置において、前記ベースの前記1つまたは複数のベント開口をブロックし、第2位置において、前記ベースの前記1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されている、ベントアセンブリ。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のレシーバ、または請求項12に記載のベントアセンブリを備えている、聴覚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、聴覚装置のための聴覚装置イヤピースとレシーバ、特に、ベントアセンブリを有するイヤピースとレシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤピースは、オーディオ信号がイヤピースを介してユーザに提供される多種多様な状況下で使用される。さらに、イヤピースは、ユーザおよび/または周囲にオーディオ信号を提供するための、および/またはユーザおよび/または周囲からオーディオ信号を受信するための通信システムに使用される。
【0003】
イヤピースと、例えば耳の後に配置される聴覚装置部品とを有する2部品の聴覚装置では、イヤピースは、1つまたは複数のワイヤおよび/または音ガイドチャネルを備えるケーブルによって、聴覚装置部品に接続される。
【0004】
聴覚装置用のイヤピースは、通常、長時間装着されるので、装着の快適さは、聴覚装置のユーザにとって重要である。イヤピースが外耳道内に配置されているときに外耳道を通気することは、例えば閉塞効果を回避または低減するために、望まれる特徴であることが実証されている。他方、様々なユーザの状況下では、外耳道が閉鎖されることまたは密閉されることが望まれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より良いフィット感および音特性を有する聴覚装置/イヤピースおよび方法が必要とされている。
【0006】
聴覚装置、イヤピース、レシーバ、およびベントアセンブリが開示されている。
【0007】
聴覚装置用のレシーバが開示されている。レシーバは、遠位端部と近位端部とを有しており、遠位端部と近位端部との間を延びる第1レシーバ壁を有するレシーバハウジングと、レシーバ膜と、を備えている。レシーバは、レシーバハウジングのチャンバを通気するために、第1レシーバ壁などのレシーバハウジングのベント壁に関連付けられたベントアセンブリを任意で備えている。ベントアセンブリは、ベースを備えており、ベースは、第1ベント開口を備える1つまたは複数のベント開口を有しており、ベントアセンブリは、ベント要素を備えている。ベント要素は、第1位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口をブロックし、および/または第2位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように任意に構成されている。
【0008】
さらに、イヤピース用のベントアセンブリが開示されている。ベントアセンブリは、ベースを備えており、ベースは、第1ベント開口を備える1つまたは複数のベント開口を有し、ベントアセンブリは、ベント要素を備えている。ベント要素は、第1位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口をブロックし、および/または第2位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されている。
【0009】
また、聴覚装置および/または聴覚装置のイヤピースが開示されている。聴覚装置および/またはイヤピースは、本明細書で開示されるレシーバおよび/または本明細書で開示されるベントアセンブリを備えている。
【0010】
本開示は、聴覚装置のイヤピースおよび/またはレシーバにおいて、より良い通気制御を可能にする。
【0011】
本開示の利点は、小型でコンパクトなベントアセンブリが提供され、聴覚装置のイヤピースへの適用が可能となることである。
【0012】
さらに、イヤピース内のベント通路の低ノイズ開閉および/またはベント通路の電力効率のよい制御が提供される。
【0013】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の例示的な実施形態の詳細な説明によって、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ベント要素が第1位置にある状態の例示的なレシーバの側面図である。
図2】ベント要素が第2位置にある状態の例示的なレシーバの側面図である。
図3】ベントアセンブリの部品を示す。
図4】ベントアセンブリの部品がない状態のレシーバを示す。
図5】レシーバの断面図を示す。
図6】レシーバの断面図を示す。
図7】レシーバの断面図を示す。
図8】ベントアセンブリを有するイヤピースを示す。
図9】例示的なベントアセンブリを示す。
図10】例示的なベントアセンブリを示す。
図11】ベントアセンブリの部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な例示的な実施形態および詳細が、必要に応じて図面を参照して、以下に記載される。図面は、原寸に比例して描かれていることもあれば描かれていないこともあり、同様の構造または機能の要素は、図面全体にわたって同様の参照番号によって表されることに留意されたい。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。図面は、本発明の網羅的な説明として、または本発明の範囲に対する限定として意図されていない。さらに、図示された実施形態は、図示された態様または利点のすべてを有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくてもまたはそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施され得る。
【0016】
レシーバおよび/またはベントアセンブリを備えるイヤピースが開示される。レシーバは、本明細書に開示されるレシーバであってもよく、任意で本明細書に開示されるベントアセンブリを備えている。言い換えると、ベントアセンブリは、レシーバに一体化されているか、またはレシーバ上に取り付けられていてもよい。ベントアセンブリは、アクティブベント機構などのベント機構を示すか、または実現してもよい。言い換えると、ベントアセンブリは、アクティブベントアセンブリであってもよい。
【0017】
イヤピースは、ユーザの外耳道内に挿入されるように構成されており、長手軸を有する。イヤピースは、遠位端部と、近位端部と、遠位端部を近位端部に接続する外面と、を有するイヤピースハウジングを備えている。本明細書において、近位端部は、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜に最も近い端部として理解され得る。本明細書において、イヤピースの遠位端部は、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜から最も離れた端部として理解され得る。イヤピースハウジングの外面は、イヤピースハウジングの内部に、少なくとも部分的に第1体積を画定してもよい。イヤピースハウジングは、遠位イヤピースハウジング部および近位イヤピースハウジング部などの、第1イヤピースハウジング部および第2イヤピースハウジング部を備えていてもよい。イヤピースハウジングの近位端部は、音出口、または音をユーザの鼓膜に向けるための音用の出口を有してもよい。本明細書において、イヤピースの遠位イヤピースハウジング部は、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜から最も離れた部分として理解され得る。本明細書において、イヤピースの近位イヤピースハウジング部は、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜に最も近い部分として理解され得る。
【0018】
本明細書で議論されるように、近位または近位にという用語は、本明細書では、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜に最も近い側面、表面、端部、または部分、または、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜の最も近くに配置されるよう意図される側面、表面、端部、または部分として理解され得る。本明細書では、遠位または遠位にという用語は、イヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜から最も離れた側面、表面、端部、または部分、またはイヤピースがユーザの耳に挿入されたときに、ユーザの鼓膜から最も離れて配置されるよう意図された側面、表面、端部、または部分として理解され得る。
【0019】
イヤピースハウジングは、本明細書で開示されるレシーバ、マイクロフォン、およびベントアセンブリのうちの1つまたは複数などのイヤピースおよび/または聴覚装置のさらなる要素にイヤピースハウジングを接続するために、イヤピースハウジングの内面(近位端部および/または遠位端部の内面、および/または外面など)に、タブ、および/または延在部、および/またはキャビティ、および/または受入面、および/または取付面、および/または嵌合面を有していてもよい。イヤピースハウジングは、イヤピースおよび/または聴覚装置のさらなる要素にイヤピースハウジングを接続するために、イヤピースハウジングの外面(近位端部および/または遠位端部の外面、および/または外面など)に、タブ、および/または延在部、および/またはキャビティ、および/または受入面、および/または取付面、および/または嵌合面を有していてもよい。例えば、イヤピースハウジングは、1つまたは複数のドームと嵌合してもよい。さらに、イヤピースハウジングは、音管などの他の要素を含んでいてもよい。
【0020】
イヤピースハウジングは、イヤピースおよび/または聴覚装置のさらなる要素にイヤピースハウジングを電気的に接続するために、イヤピースハウジングの内面(近位端部および/または遠位端部の内面、および/または外面など)に電気的接続部を有していてもよい。イヤピースハウジングは、イヤピースおよび/または聴覚装置のさらなる要素にイヤピースハウジングを電気的に接続するために、イヤピースハウジングの外面(近位端部および/または遠位端部の外面、および/または外面など)に電気的接続部を有していてもよい。
【0021】
イヤピースハウジングは、処理ユニットを含んでいてもよい。処理ユニットは、イヤピースを動作させるための1つまたは複数のコンピュータ部品を備えていてもよい。例えば、1つまたは複数の蓄電部品、および/または1つまたは複数のプロセッサ、および/または1つまたは複数のマイクロチップ、および/または1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ、および/または1つまたは複数の回路基板、および/または配線が、イヤピースハウジング内に部分的にまたは完全に収容されていてもよい。
【0022】
レシーバおよび/またはレシーバハウジングは、レシーバハウジングから延びる、例えばレシーバハウジングの近位端部または外面(第1レシーバ壁)から延びる口部を含んでいてもよい。口部は、前チャンバなどのレシーバハウジングとイヤピースハウジングの外部との間に流体連通を提供してもよい。口部は、レシーバおよび/またはレシーバハウジングから、近位にまたは少なくとも部分的に近位に延びていてもよい。口部は、イヤピースハウジング内にとどまっていてもよい。口部は、イヤピースハウジングを超えて近位に延びていてもよい。口部の形状は特に限定されないが、口部は、円形または楕円形の断面を有してもよい。
【0023】
聴覚装置が開示されている。聴覚装置は、例えば本明細書に開示されるようなイヤピースを備えており、ユーザの耳に装着されるように構成されていてもよく、ヒアラブルまたは補聴器であってもよい。処理ユニットは、ユーザの聴力損失を補償するように構成されている。聴覚装置は、耳掛け(behind-the-ear)(BTE)型、耳あな(in-the-ear)(ITE)型、外耳道(in-the-canal)(ITC)型、外耳道レシーバ(receiver-in-canal)(RIC)型、耳あなレシーバ(receiver-in-the-ear)(RITE)型、および/または耳あなマイクロフォンレシーバ(microphone-and-receiver-in-ear)(MaRie)型であってもよい。
【0024】
聴覚装置は、1組のマイクロフォンを備えている。1組のマイクロフォンは、1つまたは複数のマイクロフォンを備えていてもよい。1組のマイクロフォンは、第1マイクロフォン入力信号を提供するための第1マイクロフォン、および/または第2マイクロフォン入力信号を提供するための第2マイクロフォンを備えている。1組のマイクロフォンは、N個のマイクロフォン信号を提供するためのN個のマイクロフォンを備えていてもよい。ここで、Nは、1から10の範囲の整数である。1つまたは複数の例示的な聴覚装置では、マイクロフォンの数Nは、2、3、4、5、またはそれよりも大きい。1組のマイクロフォンは、第3マイクロフォン入力信号を提供するための第3マイクロフォンを備えていてもよい。
【0025】
聴覚装置用のレシーバが開示されている。レシーバは、遠位端部と近位端部とを有し、遠位端部と近位端部との間を延びる第1レシーバ壁を有するレシーバハウジングと、レシーバ膜と、を備えている。
【0026】
レシーバは、前チャンバまたは後チャンバなどのレシーバハウジングのチャンバを通気するために、第1レシーバ壁または遠位端壁などのレシーバハウジングのベント壁に関連付けられたベントアセンブリを備えていてもよい。
【0027】
ベントアセンブリは、ベースを備えており、ベースは、第1ベント開口を備える1つまたは複数のベント開口を有している。ベントアセンブリのベースは、ベント壁に取り付けられていてもよく、ベント壁に一体化されていてもよく、またはベント壁を形成してもよい。ベースは、プリント回路基板であってもよい。ベースは、例えば0.1mmから1.0mmの範囲など、0.05mmから2.0mmの範囲の厚さ、例えば0.3mm、0.4mmまたは0.5mmの厚さを有していてもよい。ベースは、テフロン(登録商標)からできていてもよく、またはテフロンでコーティングされていてもよい。ベースは、セラミック材料からできていてもよく、またはセラミック材料を備えていてもよい。
【0028】
ベースの1つまたは複数のベント開口は、第2ベント開口および/または第3ベント開口を備えていてもよい。ベースの1つまたは複数のベント開口は、第4ベント開口および/または第5ベント開口を備えていてもよい。言い換えると、ベースは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多いベント開口を備えていてもよい。
【0029】
ベースの1つまたは複数のベント開口のうちの第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベースのベント開口は、円形、楕円形、アーチ形、または任意で1つまたは複数の丸みを帯びた角を有する三角形、長方形、もしくは正方形などの多角形であってもよい。
【0030】
ベースの1つまたは複数のベント開口のうちの第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベースのベント開口は、0.5mmから10mmの範囲の面積を有していてもよい。1つまたは複数の例示的なベントアセンブリでは、ベースの第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベースの1つまたは複数のベント開口は、円形であり、任意で、0.8mmから2.5mmの範囲などの0.5mmから4mmの範囲の直径、例えば1.0mmから2.0mmの範囲の直径を有している。
【0031】
ベントアセンブリは、ベント要素を備えている。ベント要素は、第1位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口をブロックする、または少なくとも部分的にブロックするように構成されてもいてよい。言い換えると、ベント要素は、第1位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を低減、制限、または防止するように構成されていてもよい。第1位置は、閉位置と示されることがある。ベント要素の第1位置は、例えば、第1ベント容量を有するベント経路を提供することによって、第1度合いでの流体連通を可能にしてもよい。ベント容量は、ベントアセンブリを介した利用可能な流路断面積によって特徴付けられてもよい。言い換えると、ベント要素の第1位置は、ベントアセンブリを介した、FA_1とも示される第1流路断面積を提供してもよい。FA_1は、ゼロであってもよい。
【0032】
ベント要素は、第2位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されていてもよい。言い換えると、ベント要素は、第2位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を可能にするように構成されていてもよい。第2位置は、開位置と示されることがある。ベント要素の第2位置は、例えば、第2ベント容量を有するベント経路を提供することによって、第2度合いでの流体連通を可能にしてもよい。第2ベント容量は、第1ベント容量より大きくてもよい。ベント要素の第2位置は、ベントアセンブリを介した、FA_2とも示される第2流路断面積を提供してもよい。
【0033】
ベント要素は、第3位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されていてもよい。言い換えると、ベント要素は、第3位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を可能にするように構成されていてもよい。第3位置は、開位置と示されることがある。ベント要素の第3位置は、例えば、第3ベント容量を有するベント経路を提供することによって、第3度合いでの流体連通を可能にしてもよい。第3ベント容量は、第1ベント容量および/または第2ベント容量より大きくてもよい。第3ベント容量は、中間のベント容量であってもよく、例えば、第3ベント容量は、第1ベント容量と第2ベント容量の間であってもよい。ベント要素の第3位置は、ベントアセンブリを介した、FA_3とも示される第3流路断面積を提供してもよい。1つまたは複数の例示的なベントアセンブリでは、FA_1<FA_3<FA_2である。
【0034】
ベント要素は、第4位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されていてもよい。言い換えると、ベント要素は、第4位置において、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を可能にするように構成されていてもよい。第4位置は、開位置と示されることがある。ベント要素の第4位置は、例えば、第4ベント容量を有するベント経路を提供することによって、第4度合いでの流体連通を可能にしてもよい。第4ベント容量は、第2ベント容量より大きくてもよい。第4ベント容量は、中間のベント容量であってもよく、例えば、第4ベント容量は、第1ベント容量と第2ベント容量との間であってもよい。第4ベント容量は、第3ベント容量より大きくてもよい。ベント要素の第4位置は、ベントアセンブリを介した、FA_4とも示される第4流路断面積を提供してもよい。
【0035】
ベント要素は、円形ディスクまたはプレートであってもよい。ベント要素は、0.1mmから1.0mmの範囲など、0.05mmから2.0mmの範囲の厚さ、例えば0.3mm、0.4mm、または0.5mmの厚さを有していてもよい。ベント要素は、テフロンからできていてもよく、またはテフロンでコーティングされていてもよい。ベント要素は、セラミック材料からできていてもよく、またはセラミック材料を備えていてもよい。円形ディスクは、4mmから8mmの範囲など、2mmから10mmの範囲の直径、例えば約5mm、6mm、または7mmの直径を有していてもよい。対称でバランスのとれたベント要素を形成するために、円形ディスクが好ましい場合がある。
【0036】
ベント要素は、例えばベント壁の表面に沿ってなど、ベースの表面に沿って動くように構成されていてもよい。言い換えると、例えば第1位置から第2位置へなど、ベント要素をある位置から別の位置へ動かすことは、ベント要素をベースの表面に沿って動かすことを備えていてもよい。
【0037】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリにおいて、ベント要素は、ベント壁の表面に沿って、第1位置から第2位置へ動くように構成されている。ベント要素をベースの表面に沿って動かすことは、ベント要素を当該表面に垂直な軸を中心に回転させること、および/またはベント要素を当該表面に平行に移動させることを備えていることを理解されたい。
【0038】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリにおいて、ベントアセンブリは、ベースに取り付けられた軸部材を備えている。ベントは、軸部材の回転軸を中心に、例えば第1位置から第2位置へ、および/または第2位置から第1位置へ、回転するように構成されていてもよい。ベント要素を第1位置から第2位置へ回転させることは、ベースに対してベント要素を回転軸を中心に、30度から180度の範囲など、少なくとも15度回転させること、例えば45度、60度、または90度回転させることを備えていてもよい。
【0039】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベント要素は、第1ベント開口および/または第2ベント開口を含む1つまたは複数のベント開口を備えている。ベント要素の第2位置では、ベント要素は、ベント要素の第1ベント開口および/または第2ベント開口を介した流体連通等の、ベント要素の1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を任意で提供する。1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベント要素のベント開口の面積は、(ベント要素の外周または直径によって画定される)ベント要素の面積の0.2から0.5の範囲である。
【0040】
ベント要素の1つまたは複数のベント開口は、第3ベント開口および/または第4ベント開口を備えていてもよい。ベント要素の1つまたは複数のベント開口は、第5ベント開口を備えていてもよい。言い換えると、ベント要素は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多いベント開口を備えていてもよい。例えば、バランスのとれたベント要素を形成するために、4つ以上のベント開口を備えているベント要素が好ましい場合がある。
【0041】
ベント要素の1つまたは複数のベント開口のうちの第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベント要素のベント開口は、円形、楕円形、アーチ形、または、任意で1つまたは複数の丸みを帯びた角を有する、三角形、長方形、または正方形などの多角形であってもよい。
【0042】
ベント要素の1つまたは複数のベント開口のうちの第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベント要素のベント開口は、0.5mmから10mmの面積を有していてもよい。1つまたは複数の例示的なベントアセンブリでは、ベント要素の第1ベント開口および/または第2ベント開口などのベント要素の1つまたは複数のベント開口は、円形であり、および/または0.8mmから2.0mmの範囲などの0.5mmから4mmの範囲の直径または最大延在部を任意で有している。
【0043】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベースの1つまたは複数のベント開口は、ベント要素の第1位置で、ベント要素の1つまたは複数のベント開口と位置ずれしているか、または重なり合っていない。
【0044】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベースの1つまたは複数のベント開口は、ベント要素の第2位置で、ベント要素の1つまたは複数のベント開口と位置合わせされているか、または重なり合っている。
【0045】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベント要素の第1ベント開口は、ベント要素の第2位置において、ベースの第1ベント開口と位置合わせされるように構成されている。
【0046】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベースの1つまたは複数のベント開口は、ベント要素の第3位置において、ベント要素の1つまたは複数のベント開口と部分的に位置合わせされているか、または部分的に重なり合っている。
【0047】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベント要素の第1ベント開口は、ベント要素の第3位置において、ベースの第1ベント開口と部分的に位置合わせされるように構成されているか、またはベースの第2ベント開口と位置合わせされるか、または部分的に位置合わせされるように構成されている。
【0048】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベントアセンブリは、例えば、ベースに対して、ベント要素を第1位置から第2位置へ、および/または第2位置から第1位置へ動かすためのアクチュエータアセンブリを備えている。ベントアセンブリは、電子的に、および/または自動的に、および/または手動で、および/または機械的に動作されてもよい。ベント機構の開閉は、ユーザに聞こえるものでなくてもよい。
【0049】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、アクチュエータアセンブリは、例えば、ベント要素の遠位表面にまたはベースに接着されるなどして配置されている、第1磁石を含む1つまたは複数の磁石を備えている。第1磁石などのアクチュエータアセンブリの磁石は、2mmから6mmの範囲の長さおよび3mmから4mmの範囲の幅を有する棒磁石であってもよい。第1磁石などのアクチュエータアセンブリの磁石は、0.5mmから2mmの範囲の高さを有する棒磁石であってもよい。アクチュエータアセンブリの磁石は、例えば、高さを減らすことよってベントアセンブリのサイズを小さくし、および/または磁石の正確な位置決めを提供するために、ベント要素の遠位表面に埋め込まれてもよい。したがって、ベント要素は、アクチュエータアセンブリの磁石に対応して、遠位表面に1つまたは複数の凹部を備えていてもよい。磁石は、軸部材から半径方向に、すなわち、磁石の長手軸が軸部材と交差するように、配置されていてもよい。
【0050】
アクチュエータアセンブリは、第1磁気アクチュエータおよび/または第2磁気アクチュエータを含む1つまたは複数の磁気アクチュエータを備えていてもよい。第1磁気アクチュエータは、ベントアセンブリの1つまたは複数の磁石に磁束を付与するように構成されており、ベースまたはベント要素の遠位表面に配置されていてもよい。第1磁気アクチュエータは、任意で第1コイルと、任意で第1磁束アライナと、を備えている。第1磁気アクチュエータは、例えば、電流が第1コイルに印加されたときに、第1磁石に磁束を付与するように構成されていてもよい。
【0051】
ベントアセンブリは、第1コイルの端部にそれぞれ接続された、第1一次端子と第1二次端子を備えていてもよい。第1一次端子および第1二次端子は、半田パッドとして形成されていてもよく、任意で、ベースに配置されていてもよい。
【0052】
第2磁気アクチュエータは、ベントアセンブリの1つまたは複数の磁石に磁束を付与するように構成されており、ベースまたはベント要素の遠位表面に配置されていてもよい。第2磁気アクチュエータは、任意で第2コイルと、任意で第2磁束アライナと、を備えている。第2磁気アクチュエータは、例えば、電流が第2コイルに印加されたときに、第2磁石などのアクチュエータアセンブリの1つまたは複数の磁石に磁束を付与するように構成されていてもよい。複数の磁気アクチュエータにより、ベント要素がより正確に制御されてもよく、および/またはベント要素の利用可能な位置の数が増えてもよい。
【0053】
ベントアセンブリは、第2コイルの端部にそれぞれ接続された、第2一次端子と第2二次端子を備えていてもよい。第2一次端子および第2二次端子は、半田パッドとして形成されていてもよく、任意で、ベースに配置されていてもよい。第1二次端子および第2二次端子は、共通の二次端子で一体化されていてもよく、例えば、第1コイルおよび第2コイル用の接地を形成してもよい。
【0054】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、1つまたは複数の磁石は、ベント要素の遠位表面またはベースに配置されている、第2磁石と、任意で第3磁石と、任意で第4磁石と、を備えている。
【0055】
第1磁石および/または第3磁石は、例えば、第1磁石の第1端部(第1極、例えば、負極またはS極)と第3磁石の第2端部(第2極、例えば、正極またはN極)とが反対方向を向くように、一次軸に沿って配置されていてもよい。一次軸は、回転軸に対して垂直であってもよい。一次軸は、回転軸と交差していてもよい。
【0056】
第2磁石および/または第4磁石は、例えば、第2磁石の第1端部(第1極)と第4磁石の第2端部(第2極)が反対方向を向くように、二次軸に沿って配置されていてもよい。一次軸は、約60度または約90度など、例えば45度よりも大きい角度を二次軸と形成していてもよい。二次軸は、回転軸に対して垂直であってもよい。二次軸は、回転軸と交差していてもよい。
【0057】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、第1磁石および第3磁石は、回転軸の両側に配置されており、および/または第2磁石および第4磁石は、回転軸の両側に配置されている。
【0058】
1つまたは複数の例示的なレシーバでは、ベントアセンブリは、レシーバハウジングの内側に配置されている。
【0059】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベントアセンブリは、ベースとベント要素との間の密着を確実にするために、例えば回転軸に沿って、ベント要素に力を付与するように構成されるスプリングを備えている。言い換えると、スプリングは、ベースの表面とベント要素との間に摩擦を与えることによって、ベント要素をある位置に保つように構成されていてもよい。1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、磁石は、ベースとベント要素との間の密着を確実にするために、例えば回転軸に沿って、ベースまたは第1レシーバ壁に力を付与するように構成されている。言い換えると、磁石は、ベースの表面とベント要素との間に摩擦を与えることによって、ベント要素をある位置に保つように構成されていてもよい。
【0060】
1つまたは複数の例示的なイヤピースでは、イヤピースハウジングの内面は、イヤピースハウジングの内面を周方向に延びており、任意でベントアセンブリのベースと嵌合するおよび/またはシールを形成する、円周リムを備えている。言い換えると、ベースは、イヤピースハウジングの内面で円周リムと嵌合するように構成されていてもよい。円周リムは、イヤピースハウジング内で、ベントアセンブリのベースによって覆われる開口(例えば、穴、空スペース、開口、ギャップ)を形成していてもよい。円周リムは、嵌合形態を含み得る。
【0061】
1つまたは複数の例示的なイヤピースでは、ベントアセンブリは、例えば、ベースの縁部がイヤピースハウジングの内面に対応しイヤピースハウジングの内面とシールするように、イヤピースハウジング内でレシーバの遠位側に配置されている。したがって、ベントアセンブリは、例えば、イヤピースの長手軸に対して垂直に、イヤピースハウジングの断面を広げてもよい。
【0062】
1つまたは複数の例示的なレシーバ/ベントアセンブリでは、ベントアセンブリは、ベースから延びる、第1側壁および/または第2側壁を含む1つまたは複数の側壁を備えている。1つまたは複数の側壁およびベースは、任意で、第1磁気アクチュエータおよび/または第2磁気アクチュエータなどの1つまたは複数の磁気アクチュエータとともに、ベント要素、磁石、および軸部材を収容するキャビティを形成してもよい。第1側壁および/または第2側壁は、例えば5mm未満などの10mm未満の高さを有していてもよい。
【0063】
側壁および任意で1つまたは複数の磁気アクチュエータは、第1レシーバ壁の外面などのレシーバの外面に接着されてシールされていてもよい。言い換えると、側壁および任意で1つまたは複数の磁気アクチュエータは、レシーバのベント壁またはイヤピースの内面へのシールされた取付けなど、取付けのために構成されていてもよい。第1レシーバ壁、レシーバの遠位端部、または第2レシーバ壁の1つまたは複数のベント開口は、レシーバのチャンバとキャビティとの間に流体連通を形成してもよい。開位置にあるベントアセンブリは、キャビティとレシーバ/イヤピースの外部との間の流体連通を形成してもよい。
【0064】
図1は、聴覚装置用の例示的なレシーバの図を示す。レシーバ10、10Aは、遠位端部14と近位端部16とを有するレシーバハウジング12を備えており、第1レシーバ壁18は、遠位端部14と近位端部16との間を延びている。レシーバ10は、任意でレシーバハウジング12の近位端部16に配置されており、レシーバ膜(図示省略)によって生成された音をレシーバハウジングの外部に案内するように構成されている口部20を備えている。
【0065】
レシーバ10、10Aは、レシーバハウジング12のベント壁に関連付けられたベントアセンブリ30を備えている。レシーバ10では、第1レシーバ壁18は、レシーバハウジング12のチャンバを通気するためのベント壁を形成する。ベントアセンブリ30は、ベース32を備えており、ベース32は、第1表面32Aと、図1には図示されていないが、例えば後に図2において33A、33B、33C、33Dによって示される1つまたは複数のベント開口と、を備えている。ベース32は、図1に点線で示されるように、レシーバ10のための別体のベースであってもよいし、またはレシーバ10Aのためのベント壁(第1レシーバ壁18)に一体化されるか、ベント壁によって構成されていてもよい。ベントアセンブリ30は、ベント要素34を備えており、ベント要素は、図1に図示される第1位置において、ベース32の1つまたは複数のベント開口をブロックするように構成されており、第2位置(図2参照)において、ベース32の1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供するように構成されている。
【0066】
ベント要素34は、ベース6の第1表面32Aに配置され、ベース6の第1表面32Aまたは第1レシーバ壁18の外面に沿って動くように構成されている。
【0067】
ベント要素34は、第1ベント開口35Aと、第2ベント開口35Bと、第3ベント開口35Cと、第4ベント開口35Dを含む1つまたは複数のベント開口を備えており、ベント開口35A、35B、35C、35Dの各々は、1.5mmの直径を有する円形である。
【0068】
ベントアセンブリ30は、ベース32に取り付けられた軸部材36を備えており、ベント要素34は、第1位置から第2位置へ、および第2位置から第1位置へ、を含む異なる位置の間で、軸部材36の回転軸を中心に回転するように構成されている。言い換えると、ベント要素34は、ベースの表面38に沿って、第1位置から第2位置へ動くように構成されている。
【0069】
ベントアセンブリ30は、ベース32の第1表面32Aまたは表面38に沿って、例えば、第1位置から第2位置へおよび/または第2位置から第1位置へ、ベント要素34を動かすように構成されているアクチュエータアセンブリを備えている。アクチュエータアセンブリは、ベント要素34の遠位表面40に任意に配置されている、例えば、接着されている、成形されている、または埋め込まれている、1つまたは複数の磁石を備えている。アクチュエータアセンブリの1つまたは複数の磁石は、軸部材36から半径方向に延びる棒磁石である、第1磁石40と、第2磁石42と、第3磁石44と、第4磁石46と、を備えている。
【0070】
第1磁石40および第3磁石44は、永久棒磁石であり、回転軸/軸部材36の両側で一次軸X_1に沿って配置されており、第2磁石42および第4磁石46は、永久棒磁石であり、回転軸/軸部材36の両側で二次軸X_2に沿って配置されている。一次軸X_1および二次軸X_2は、直交しているが、例えば75度より大きい角度など45度より大きい他の角度が使用されてもよい。第1磁石40および第2磁石42の第1極は、軸部材36から離れる方を向いており、第1磁石40および第2磁石42の反対側の第2極は、軸部材36の方を向いている。第3磁石44および第4磁石46の第1極は、軸部材36の方を向いており、第3磁石44および第4磁石46の反対側の第2極は、軸部材36から離れる方を向いている。
【0071】
ベントアセンブリ30のアクチュエータアセンブリは、ベース32上に配置されており、第1コイル52と第1磁束アライナ54を含む第1磁気アクチュエータ50を備えている。第1磁束アライナ54は、磁石40、42、44、46への磁束を集束させ、それによって第1コイル52を通る電流を制御することによってベント要素34の位置を制御するように配置されている、第1端部56と第2端部58を有している。ベントアセンブリ30は、ベース32の第1表面32A上に配置されており、第1コイル52に電流を供給するために第1コイル52の端部にそれぞれ接続されている第1一次端子52Aと第1二次端子52Bを備えている。第1一次端子52Aおよび第1二次端子52Bは、半田パッドとして形成されていてもよい。
【0072】
さらに、ベントアセンブリ30のアクチュエータアセンブリは、ベース32上に配置されており、第2コイル62と第2磁束アライナ64を含む第2磁気アクチュエータ60を、任意に備えている。第2磁束アライナ64は、磁石40、42、44、46への磁束を集束させ、それによって第2コイル62を通る電流を制御することによってベント要素34の位置を制御するように配置されている第1端部66と第2端部68を有している。ベントアセンブリ30は、ベース32の第1表面32A上に配置されており、第2コイル62に電流を供給するために第2コイル62の端部にそれぞれ接続されている第2一次端子62Aと第2二次端子62Bを備えている。第2一次端子62Aおよび第2二次端子62Bは、半田パッドとして形成されていてもよい。
【0073】
磁束アライナ54、64の端部56、58、66、68は、ベント要素34の周りで円周方向に均等に分布されている。
【0074】
図2は、図1と同じ図を示すが、ベント要素34が第2位置にある。ベント要素34は、第1コイル52における第1電流および/または第2コイル62における第2電流を制御することによって、軸部材36の回転軸を中心に45度回転されている。第2位置において、ベントアセンブリ30は、ベント要素34のベント開口35A、35B、35C、35Dをベース32の対応するベント開口と位置合わせすることによって、ベースの1つまたは複数のベント開口を介した流体連通を提供する。
【0075】
図3は、図1のベントアセンブリ30の部品を示す。第1磁石40は、第1磁石40の第1端部70Aに第1極40Aを有しており、第1極40Aの反対側の第1磁石の第2端部70Bに、反対の第2極40Bを有している棒磁石である。第1磁石40の第1極40Aは、軸部材36から離れる方を向いている。第2磁石42は、第2磁石42の第1端部72Aに第1極42Aを有しており、第1極42Aの反対側の第2磁石の第2端部72Bに、反対の第2極42Bを有している棒磁石である。第2磁石42の第1極42Aは、軸部材36から離れる方を向いている。第3磁石44は、第3磁石44の第1端部74Aに第1極44Aを有しており、第1極44Aの反対側の第3磁石の第2端部74Bに、反対の第2極44Bを有している棒磁石である。第3磁石44の第2極44Bは、軸部材36から離れる方を向いている。第4磁石46は、第4磁石46の第1端部76Aに第1極46Aを有しており、第1極46Aの反対側の第4磁石の第2端部76Bに、反対の第2極46Bを有している棒磁石である。第4磁石46の第2極46Bは、軸部材36から離れる方を向いている。第1磁石40および第3磁石44は、単一の磁石として具現化されてもよい。第2磁石42および第4磁石46は、単一の磁石として具現化されてもよい。
【0076】
第1極40A、42A、44A、46Aは、負極、すなわち磁石40、42、44、46のS極であってもよく、第2極40B、42B、44B、46Bは、正極、すなわち磁石40、42、44、46のN極であってもよく、またはその逆であってもよい。
【0077】
図4は、図1のレシーバ10をベントアセンブリ30の部品のみと共に示している。ベース32は、第1ベント開口33Aと、第2ベント開口33Bと、第3ベント開口33Dと、第4ベント開口33Dを含む1つまたは複数のベント開口を有している。4つのベント開口33A、33B、33C、33Dは、軸部材36の周りで円周方向に均等に分布している。図2に示されるベント要素の第2位置において、第1ベント開口33Aは第1ベント開口35Aと位置合わせされており、第2ベント開口33Bは第2ベント開口35Bと位置合わせされており、第3ベント開口33Cは第3ベント開口35Cと位置合わせされており、第4ベント開口33Dは第4ベント開口35Dと位置合わせされており、ベース32とベント要素34の位置合わせされたベント開口を介して流体連通を形成する。
【0078】
図5は、ベント要素34が第2位置にある状態の図2のレシーバ10の断面を示す。ベント要素34は、軸部材36を通る回転軸X_Rを中心として回転可能に配置されている。レシーバ10は、レシーバ膜80を備えており、レシーバ膜80は、レシーバハウジング12内でレシーバ膜80の両側に、前チャンバ82と後チャンバ84を形成している。第2位置において、ベントアセンブリ30は、ベース32とベント要素34の位置合わせされたベント開口33A、33B、33C、33D、35A、35B、35C、35Dを介して、前チャンバ82からレシーバハウジング12の外部への流体連通を提供する。ベントアセンブリ30は、ベース32(ベース32の第1表面32A)とベント要素34との間の密着を確実にするために、ベント要素34に力(矢印88Aで図示されている)を付与するように構成されているスプリング88を備えている。ベントアセンブリ30は、ベース32の第2表面32B(第1表面32Aの反対側)を第1レシーバ壁18の外面に接着することによって、レシーバに取り付けられている。
【0079】
ベントアセンブリは、例えば、ベースおよびベント要素の位置合わせされたベント開口を介して後チャンバからレシーバハウジングの外部への流体連通を提供することによってレシーバの後チャンバを通気するために、レシーバハウジングの遠位端部と近位端部との間で第2レシーバ壁上に配置されていてもよいことに留意されたい。
【0080】
図6は、ベント要素34が第2位置にある状態の図2のレシーバ10Aの断面を示す。レシーバ10Aでは、第1レシーバ壁18は、ベース32を形成している。すなわち、ベント開口33A、33B、33C、33Dは、第1レシーバ壁18に形成されている。
【0081】
図7は、ベントアセンブリ30が、例えばベントアセンブリを保護するためにレシーバハウジング12の内側に配置されているレシーバ10Bの断面を示す。図7では、ベント要素34は、第2位置にある。レシーバ10Bでは、第1レシーバ壁18は、ベース32を形成している。すなわち、ベント開口33A、33B、33C、33Dは、第1レシーバ壁18に形成されている。
【0082】
図8は、聴覚装置用の例示的なイヤピースを示す。イヤピース100は、ユーザの外耳道に挿入可能であり、長手軸X_Eを有している。イヤピース100は、外面108によって接続されている遠位端部104と近位端部106を有するイヤピースハウジング102を備えている。イヤピースは、口部20を有するレシーバハウジング112を有しているレシーバ110を備えている。イヤピースは、例えば、イヤピースハウジングの内面116上の円周リムとシールするように構成されているベースを有するベントアセンブリ30に対応する、本明細書に記載されるベントアセンブリ114を備えている。ベントアセンブリ114、30は、イヤピース100に示されるように、任意で、レシーバより遠位側に配置されている。ベント要素および/またはベントアクチュエータ機構は、ベースの遠位側または近位側に配置されていてもよい。イヤピース100は、任意でベントアセンブリ114より遠位側に、マイクロフォン118を備えていてもよい。図示されているイヤピース100では、ベントアセンブリ114、30の回転軸X_Rは、長手軸X_Eに平行である。ベントアセンブリ114、30の回転軸X_Rは、長手軸X_Eに対して、例えば20度未満の角度で傾くなど、わずかに傾いていてもよい。イヤピースハウジングは、ベントアセンブリ114、30より遠位側に1つまたは複数のベント開口(図示省略)を有している。
【0083】
図9は、イヤピース/聴覚装置用の例示的なベントアセンブリの図を示す。ベントアセンブリ30Aは、ベース32の第1表面32Aから延びる1つまたは複数の側壁を備えている。1つまたは複数の側壁は、第1端部56と第1端部66との間を延びる第1側壁120と、第2端部58と第2端部68との間を延びる第2側壁122と、を備えている。ベース32と、磁気アクチュエータ50、60と、側壁120、122は、ベント要素34と、磁石40、42、44、46と、軸部材36を収容するキャビティ124を画定または形成している。側壁120、122および磁気アクチュエータ50、60は、第1レシーバ壁18の外面などのレシーバの外面といったベント開口を有する表面に接着されシールされていてもよい。
【0084】
図10は、イヤピース/聴覚装置用の例示的なベントアセンブリの図を示す。ベントアセンブリ30Bは、ベース32の第1表面32Aから延びる単一の側壁122を備えている。ベース32および第1側壁120は、磁気アクチュエータ50、60と、ベント要素34と、磁石40、42、44、46と、軸部材36を収容するキャビティ124を画定または形成している。側壁120は、第1レシーバ壁18の外面などのレシーバの外面といったベント開口を有する表面に接着されシールされていてもよい。
【0085】
図11は、ベントアセンブリの部品を示す。磁石40、42、44、46は、円形のベント要素32の半径の約3分の1の長さを有する。棒磁石が短いと、ベント開口をより大きくすることができる。
【0086】
「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一次」、「二次」、「三次」等の用語の使用は、個々の要素を識別するために含まれているものであり、いかなる特定の順序も意味するものではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一次」、「二次」、および「三次」等の用語の使用は、いかなる順序または重要性を示すものではなく、むしろ「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一次」、「二次」、および「三次」等の用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されている。なお、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一次」、「二次」、および「三次」等の用語は、本明細書および他の文書において、ラベル付けする目的のためだけに使用されており、いかなる特定の空間的または時間的な順番を示すために意図されているものではないことに留意されたい。
【0087】
さらに、第1要素のラベル付けは、第2要素の存在を意味しておらず、その逆も同様である。
【0088】
図1から図10は、実線で示されるいくつかのモジュールまたは動作と、破線で示されるいくつかのモジュールまたは動作と、を備えていることを理解されたい。実線に含まれるモジュールまたは動作は、最も広い例示的な実施形態に含まれるモジュールまたは動作である。破線に含まれるモジュールまたは動作は、実線の例示的な実施形態のモジュールまたは動作に含まれ得る例示的な実施形態、その一部であり得る例示的な実施形態、またはそれに加えて採用されてもよいさらなるモジュールまたは動作である例示的な実施形態である。これらの動作は、提示された順番で実行される必要はないことを理解されたい。さらに、動作のすべてが実行される必要はないことを理解されたい。例示的な動作は、任意の順番および任意の組合せで実行されてもよい。
【0089】
「備えている(comprising)」という語は、列挙されたもの以外の他の要素またはステップの存在を必ずしも除外しないことに留意されたい。
【0090】
要素に先行する語句「a」または「an」は、そのような要素が複数存在することを排除するものではないことに留意されたい。
【0091】
さらに、いかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定せず、例示的な実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの両方によって少なくとも部分的に実施されてもよく、いくつかの「手段」、「ユニット」または「装置」は、ハードウェアの同じアイテムによって表されてもよいことに留意されたい。
【0092】
特徴が示されて説明されたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載された発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることが、当業者に明らかにされることが理解されるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、変更物、および均等物を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0093】
10、10A、10B:レシーバ、聴覚装置レシーバ
12 :レシーバハウジング
14 :遠位端部
16 :近位端部
18 :第1レシーバ壁
20 :口部
22 :膜
24 :前チャンバ
26 :後チャンバ
30、30A、30B:ベントアセンブリ
32 :ベース
32A :ベースの第1表面
32B :ベースの第2表面
33A :ベースの第1ベント開口
33B :ベースの第2ベント開口
33C :ベースの第3ベント開口
33D :ベースの第4ベント開口
34 :ベント要素
35A :ベント要素の第1ベント開口
35B :ベース要素の第2ベント開口
35C :ベース要素の第3ベント開口
35D :ベース要素の第4ベント開口
36 :軸部材
38 :ベースの表面
40 :第1磁石
40A :第1極
40B :第2極
42 :第2磁石
42A :第1極
42B :第2極
44 :第3磁石
44A :第1極
44B :第2極
46 :第4磁石
46A :第1極
46B :第2極
50 :第1磁気アクチュエータ
52 :第1コイル
52A :第1一次端子
52B :第1二次端子
54 :第1磁束アライナ
56 :第1磁束アライナの第1端部
58 :第1磁束アライナの第2端部
60 :第2磁気アクチュエータ
62 :第2コイル
62A :第2一次端子
62B :第2二次端子
64 :第2磁束アライナ
66 :第2磁束アライナの第1端部
68 :第2磁束アライナの第2端部
70A :第1磁石の第1端部
70B :第1磁石の第2端部
72A :第2磁石の第1端部
72B :第2磁石の第2端部
74A :第3磁石の第1端部
74B :第3磁石の第2端部
76A :第4磁石の第1端部
76B :第4磁石の第2端部
80 :レシーバ膜
82 :前チャンバ
84 :後チャンバ
86 :第2レシーバ壁
88 :スプリング
88A :力
100 :イヤピース
102 :イヤピースハウジング
104 :遠位端部
106 :近位端部
108 :イヤピースハウジングの外面
110 :レシーバ
112 :レシーバハウジング
114 :ベントアセンブリ
116 :イヤピースハウジングの内面
118 :マイクロフォン
120 :ベントアセンブリの第1側壁
122 :ベントアセンブリの第2側壁
124 :キャビティ
X_1 :一次軸
X_2 :二次軸
X_R :回転軸
X_E :イヤピース軸、イヤピースの長手軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】