(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087078
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】小荷物昇降機
(51)【国際特許分類】
B66B 9/00 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
B66B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194095
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2020198966
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506429606
【氏名又は名称】株式会社S&Sエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 英輔
【テーマコード(参考)】
3F301
【Fターム(参考)】
3F301AA12
3F301BB16
3F301BE02
(57)【要約】
【課題】省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率を向上させることが可能な小荷物昇降機を提供する。
【解決手段】小荷物昇降機1は、それぞれトレイ(荷物)Lを収容可能な複数のかご内収容部10を有する荷物かご部3と、それぞれトレイLを収容可能な複数の棚20を有する複数のステーション部4と、移載部40と、を有している。かご内収容部10は、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるように設けられており、棚20は、鉛直方向に少なくとも1つの段且つ水平方向に複数列となるように設けられている。また、小荷物昇降機1は、所定のかご内収容部10に収容されたトレイLを、所定のかご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10に移動させることが可能な移動機構11を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層階の建物の複数階に設けられてその内部とその外部とを連通させる複数の出入口を有する昇降路と、
前記昇降路の内部を前記複数の出入口の間で昇降可能に構成され、それぞれ荷物を収容可能な複数のかご内収容部を有する荷物かご部と、を備え、前記複数の出入口間で前記荷物を搬送する小荷物昇降機であって、
前記昇降路の前記複数の出入口の外部に配置され、それぞれ前記荷物を収容可能であって前記複数のかご内収容部に連通可能に構成される複数の棚を有する複数のステーション部と、
前記荷物かご部または前記ステーション部の少なくともいずれかに設けられ、前記かご内収容部から前記棚への前記荷物の移載及び前記棚から前記かご内収容部への前記荷物の移載を行う移載部を有し、
前記かご内収容部は、
前記荷物かごの内部において、鉛直方向に少なくとも1つの段且つ前記荷物の搬入出方向と直交する水平方向に複数列となるように設けられ、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、前記所定のかご内収容部と前記水平方向に隣接するかご内収容部に移動させることが可能な移動機構を有し、
前記複数の棚は、
前記鉛直方向に少なくとも1つの段且つ前記水平方向に複数列となるように設けられ、それぞれの前記棚は、前記複数のステーション部における前記荷物の搬入及び搬出の両方に用いられることを特徴とする小荷物昇降機。
【請求項2】
前記かご内収容部は、前記荷物かごの内部において、前記鉛直方向に複数段設けられており、
前記移動機構は、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、前記所定のかご内収容部と前記鉛直方向に隣接するかご内収容部に移動させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の小荷物昇降機。
【請求項3】
前記移動機構は、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、複数段且つ複数列設けられた前記複数のかご内収容部のそれぞれを通って前記所定のかご内収容部に戻るように、回転移動させることが可能であることを特徴とする請求項2に記載の小荷物昇降機。
【請求項4】
前記ステーション部は、前記複数の棚のそれぞれについて、前記荷物が収容されているか否かを検知する検知手段を有し、
前記移動機構は、前記荷物の搬入元の前記ステーション部及び搬出先の前記ステーション部の前記検知手段の検知結果に基づいて、前記搬入元のステーション部において前記荷物が収容されている棚に対応する前記かご内収容部が空となり、前記搬出先のステーション部において前記荷物が収容されていない棚に対応する前記かご内収容部に搬送対象の荷物が収容されている状態となるように、前記荷物を移動させることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の小荷物昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層階の建物に設けられ、荷物を昇降させることにより搬送するための小荷物昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院内において、ある階から別の階へと薬剤、検体、ガーゼ等などの荷物を搬送するための小荷物昇降機が配置されることがある。特許文献1には、昇降路内を昇降移動する荷物用かごを有する小荷物用昇降機が開示されている。この小荷物昇降機の昇降路は、建物の各階に渡って上下に延びている。そして、建物の各階の壁面には、昇降路に通じる出入口が形成されており、これらの出入口に出入口扉が形成されている。
【0003】
特許文献1の小荷物昇降機では、所定の階へと荷物が搬送された後、作業者が昇降機から荷物を取り出して搬出しなければ、次の荷物を搬入して搬送を行うことができない。このため、特許文献1の小荷物昇降機によって、高頻度で荷物の搬送を行おうとする場合、荷物の搬送効率が悪くなり、作業者の手間も増える。
【0004】
特許文献2には、階の異なる厨房と食堂との間に設置される小荷物昇降機が開示されている。特許文献2の小荷物昇降機では、昇降路を昇降するかごに複数のかご内コンベヤを設けて、高さ方向に互いに離して配置する。昇降路に設けた出入口に、かご内コンベヤのそれぞれに対応した出入口コンベヤを装備する。そして、厨房から配膳される料理が上側のコンベヤによりかごに搬入されて食堂へ搬送され、食事済みの食器が下側のコンベヤによりかごに搬出されて厨房へと搬送される。
【0005】
特許文献2の小荷物昇降機では、上下のコンベヤの一方が搬入専用のコンベヤ、他方が搬出専用のコンベヤとなっており、所定の階において搬出と搬入とを同時に行うことができるため、特許文献1と比べて荷物の搬送効率が向上する。また、荷物のかごへの搬出及びかごからの搬入をコンベヤによって自動で行うことができるため、作業者の手間も低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6258129号
【特許文献2】特開2002-302362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の小荷物昇降機では、搬入専用のコンベヤには搬出したい荷物を積載することができず、実際に搬出に用いられるコンベヤは搬出専用のコンベヤのみとなる。このため、特許文献2の小荷物昇降機では、荷物の搬入と搬出を1つのコンベヤで行うことができないため、搬送効率はそれほど高くない。
【0008】
搬送効率を向上させる手段としては、搬出したい複数の荷物を搬送待機中の荷物として搬出専用のコンベヤに積載しておき、複数に分けて搬送を行うことも考えられる。この場合、コンベヤに搬送待機中の荷物を積載するためのスペースをさらに設ける必要があり、コンベヤの長さは大きくなる。しかしながら、従来、病院内などのスペースが限られた建物においては、省スペース化が求められており、コンベヤの長さが大きくなることは好ましくない。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率を向上させることが可能な小荷物昇降機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の小荷物昇降機は、多層階の建物の複数階に設けられてその内部とその外部とを連通させる複数の出入口を有する昇降路と、前記昇降路の内部を前記複数の出入口の間で昇降可能に構成され、それぞれ荷物を収容可能な複数のかご内収容部を有する荷物かご部と、を備え、前記複数の出入口間で前記荷物を搬送する小荷物昇降機であって、前記昇降路の前記複数の出入口の外部に配置され、それぞれ前記荷物を収容可能であって前記複数のかご内収容部に連通可能に構成される複数の棚を有する複数のステーション部と、前記荷物かご部または前記ステーション部の少なくともいずれかに設けられ、前記かご内収容部から前記棚への前記荷物の移載及び前記棚から前記かご内収容部への前記荷物の移載を行う移載部を有し、前記かご内収容部は、前記荷物かごの内部において、鉛直方向に少なくとも1つの段且つ前記荷物の搬入出方向と直交する水平方向に複数列となるように設けられ、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、前記所定のかご内収容部と前記水平方向に隣接するかご内収容部に移動させることが可能な移動機構を有し、前記複数の棚は、前記鉛直方向に少なくとも1つの段且つ前記水平方向に複数列となるように設けられ、それぞれの前記棚は、前記複数のステーション部における前記荷物の搬入及び搬出の両方に用いられることを特徴とする。
【0011】
この構成によると、荷物かご部の内部に設けられた複数のかご内収容部に複数の荷物をまとめて収容することができ、複数の荷物をまとめて多層階の建物の複数階に設けられた複数の出入口の間で搬送することができる。なお、出入口は、多層階の建物の複数階に設けられていればよく、多層階の建物の各階に設けられてもよいし、設けられなくてもよい。また、かご内収容部に収容された荷物は、水平方向に隣接するかご内収容部に移動させることができる。このため、搬出先のステーション部において、搬入元のステーション部の棚の位置と異なる棚の位置から、複数のかご内収容部に収容された荷物を搬出することができる。そして、ステーション部の複数の棚を、荷物の搬入と搬出の両方に用いることができる。また、複数の棚を荷物の搬入専用と搬出専用とで分けることがないため、搬入元のステーション部において搬送待機中の荷物が一部の棚に収容されたままの状態又は搬出先のステーション部において荷物が一部の棚に取り出されずに収容されたままの状態でも、当該一部の棚以外の棚を使うことで、当該ステーション部において荷物の搬入及び搬出を行うことが可能である。よって、複数の出入口において、複数の棚を有するステーション部を配置しておけば、従来のように搬送待機中の荷物を積載するためのスペースを設けるための荷物の搬入出方向に長いコンベアを設置する必要がなくなる。従って、本発明の小荷物昇降機は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の小荷物昇降機において、前記かご内収容部は、前記荷物かごの内部において、前記鉛直方向に複数段設けられており、前記移動機構は、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、前記所定のかご内収容部と前記鉛直方向に隣接するかご内収容部に移動させることが可能であることが好ましい。
【0013】
この構成によると、かご内収容部に収容された荷物を、鉛直方向に隣接するかご内収容部に移動させることができる。このため、搬送待機中の荷物が収容された棚と空のかご内収容部との鉛直方向の位置、又は、空の棚と荷物が収容されたかご内収容部との鉛直方向の位置について、荷物かご部の内部での荷物の鉛直方向の移動によって位置合わせを行うことができる。このような位置合わせは、昇降路内の荷物かご部の昇降によって鉛直方向の位置合わせを行う場合と比べて、精度良く且つ効率的である。また、昇降路内の荷物かご部の昇降によって鉛直方向の位置合わせを行おうとする場合、昇降路の最上部付近と最下部付近には、荷物かごを昇降させるためのスペースを余分に確保する必要がある。これに対し、本発明の構成では、荷物かご部において荷物を移動させることによって鉛直方向の位置合わせを行っているため、昇降路において余分なスペースを設ける必要がない。従って、本発明の小荷物昇降機は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率をさらに向上させることができる。
【0014】
また、本発明の小荷物昇降機において、前記移動機構は、所定のかご内収容部に収容された前記荷物を、複数段且つ複数列設けられた前記複数のかご内収容部のそれぞれを通って前記所定のかご内収容部に戻るように、回転移動させることが可能であることが好ましい。
【0015】
この構成によると、荷物かご部における荷物の水平方向及び鉛直方向の位置の調整を容易且つ効率的に行うことができる。このため、本発明の小荷物昇降機は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送さらに効率良くに行うことができる。
【0016】
また、本発明の小荷物昇降機において、前記ステーション部は、前記複数の棚のそれぞれについて、前記荷物が収容されているか否かを検知する検知手段を有し、前記移動機構は、前記荷物の搬入元の前記ステーション部及び搬出先の前記ステーション部の前記検知手段の検知結果に基づいて、前記搬入元のステーション部において前記荷物が収容されている棚に対応する前記かご内収容部が空となり、前記搬出先のステーション部において前記荷物が収容されていない棚に対応する前記かご内収容部に搬送対象の荷物が収容されている状態となるように、前記荷物を移動させることが好ましい。
【0017】
搬入元のステーション部において荷物が収容された棚と空のかご内収容部とが対応する位置にない場合、又は、搬出先のステーション部において荷物が収容されていない棚と搬送対象の荷物が収容されたかご内収容部とが対応する位置にない場合、棚とかご内収容部との間で荷物の移載を行うことができない。本発明によれば、ステーション部の各棚について、荷物が収容されているか否かを検知し、当該検知結果に基づいて、荷物かご部内の荷物を移動させることができる。このため、棚とかご内収容部との間で荷物の移載を行うことができないという状況が生じることを抑制することができる。これにより、本発明の小荷物昇降機は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の小荷物昇降機の構成を示す概略斜視図である。
【
図2】本実施形態の小荷物昇降機の構成を示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る荷物かご部を示す斜視図である。
【
図4】第1変形例に係る荷物かご部を示す斜視図である。
【
図5】第2変形例に係る荷物かご部を示す斜視図である。
【
図6】第3変形例に係る荷物かご部を示す斜視図である。
【
図7】第2変形例に係る移動機構の具体的な構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の小荷物昇降機1の構成を示す概略斜視図である。
図2は、小荷物昇降機1を水平方向水平方向からみたときの側面図である。
図3は、本実施形態に係る荷物かご部3(後述)を示す斜視図である。以下において、
図1に矢印で表した鉛直方向、水平水平方向及び搬出入方向を基準として説明する。
【0020】
本実施形態にかかる小荷物昇降機1は、複数階の間で荷物を搬送するためのものであって、例えば、多層階の病院内に設けられる。小荷物昇降機1は、昇降路2と、荷物かご部3と、ステーション部4と、制御部(不図示)を含む。
【0021】
昇降路2は、建物の複数階にわたって鉛直方向に延びている。本実施形態において、荷物とは、例えば、薬剤、検体、ガーゼや注射器などの備品などが収容されたトレイLである。昇降路2は、
図2に示すように、その内部と外部とを連通させる複数の出入口30を有している。複数の出入口30は、多層階の建物のそれぞれの階に対応する位置に設けられている。なお、出入口30は、多層階の建物の複数階に設けられていればよく、建物のすべての階に対応する位置に設けられていてもよいし、建物の少なくとも2つの階に対応する位置に設けられていて建物のすべての階に対応する位置に設けられていなくてもよい。また、昇降路2は、
図2に示すように、建物のそれぞれの階の複数の出入口30に対応する位置に扉50を有している。扉50は、1枚の板状部材からなり、鉛直方向に上側に移動することで出入口30を開放させ、鉛直方向の下側に移動することで出入口30を閉鎖させる。制御部によって扉の移動を自動で制御することで、複数の出入口30を開閉可能である。出入口30は、後述する移載部40によってかご内収容部10から棚20へトレイLが移載されるとき、及び、棚20からかご内収容部10へトレイLが移載されるとき、開いた状態となる。
【0022】
荷物かご部3は、昇降路2の内部に設置されている。荷物かご部3は、不図示の駆動装置によって、昇降路2の内部を複数の出入口30の間で鉛直方向に昇降可能に構成されている(昇降する方向は
図1及び
図2の実線矢印を参照)。駆動装置は、例えば、牽引ロープと巻上機とを含み、荷物かご部3に取り付けられた牽引ロープが昇降路2の上部に設置された巻上機によって巻き取られることで荷物かご部3が上昇し、牽引ロープが巻上機によって送り出されることで荷物かご部3が下降する。
【0023】
荷物かご部3は、
図1及び
図3に示すように、それぞれトレイLを収容可能な6つのかご内収容部10を有している。6つのかご内収容部10は、荷物かご部3の内部において、鉛直方向に3段且つ水平方向に2列となるように設けられている。6つのかご内収容部10のうち、最上段の左側を10a、右側を10b、真ん中の段の左側を10c、右側を10d、最下段の左側を10e、右側を10fとする。なお、複数のかご内収容部は、鉛直方向に2段以上且つ水平方向に2列以上であればよい。但し、水平方向に3列以上とすると、一度に搬送できるトレイLの数は増えるが、昇降路2の水平方向の長さを大きくしなければならないため、より狭いスペースに小荷物昇降機1を設置したい場合には、水平方向は2列であることが好ましい。
【0024】
本実施形態において、搬送されるトレイLのサイズは、それぞれのかご内収容部10のサイズよりもやや小さいサイズである。荷物かご部3が、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるようにかご内収容部10を有していることにより、かご内収容部10とほぼ同等のサイズの複数のトレイLをまとめて搬送することができる。なお、トレイLのサイズは、かご内収容部10よりも小さければどのようなサイズでもよい。また、例えば、複数の薬剤等の物品をトレイLに収容せずに、そのままかご内収容部10に収容させることも可能である。但し、一般に、患者毎の薬剤等の物品をまとめて搬送することが好ましく、患者毎の複数の薬剤等の物品を1つのトレイLに収容させてから、トレイLをかご内収容部10に収容させることが好ましい。
【0025】
荷物かご部3は、
図3に示すように、所定のかご内収容部10に収容されたトレイLを当該所定のかご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10に移動させることが可能な移動機構11を有する。移動機構11は、例えば、かご内収容部10aに収容されたトレイLを、かご内収容部10aと水平方向に隣接する空のかご内収容部10bに移動させる。移動機構11は、例えば、かご内収容部10(例えば、10a)の下面から、当該かご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10(例えば、10b)の下面まで延びるコンベヤと、コンベヤを駆動する駆動装置とを含む構成であってもよい。駆動装置によってコンベヤを駆動することで、かご内収容部10(例えば、10a)に収容されているトレイLは、当該かご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10(例えば、10b)に移動する。なお、移動機構11は、
図1及び
図2では記載を省略している。また、移動機構11は、コンベアに代えて、ローラ等であってもよい。
【0026】
ステーション部4は、
図1に示すように、昇降路2の外部に配置されている。ステーション部4は、複数階建ての建物の少なくとも2つの階に配置される。より詳細には、ステーション部4は、複数階建ての建物のうちの、出入口30及び扉50が設けられた位置に対応する複数の階に配置される。
図2には、3つの階のそれぞれの床面90に配置された3つのステーション部4a、4b、4cを示している。なお、
図1では、床面90の記載を省略している。
【0027】
ステーション部4は、それぞれトレイLを収容可能であって複数の出入口30に連通するように構成される複数の棚20を有している。それぞれの棚20は、ステーション部4におけるトレイLの搬入及び搬出の両方に用いられる。複数の棚20は、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるように設けられている。例えば、ステーション部4aは、
図1に示すように、トレイLを収容可能な6つの棚20を有している。6つの棚20は、ステーション部4aにおいて、鉛直方向に3段且つ水平方向に2列となるように設けられている。6つのかご内収容部10のうち、最上段の左側を10a、右側を10c、真ん中の段の左側を10c、右側を10d、最下段の左側を10e、右側を10fとする。ステーション部4bは、
図2に示すように、ステーション部4aと同様の構成である。ステーション部4cは、
図3に示すように、4つの棚20が鉛直方向に2段且つ水平方向に2列となるように設けられた構成である。なお、複数の棚20は、鉛直方向に少なくとも1つの段且つ水平方向に2列以上であればよく、ステーション部4a、4b、4cの構成に限定されない。また、上述した複数の出入口30は、それぞれの階においてステーション部4に設けられた複数の棚の配置される位置に対応する位置に設けられる。
【0028】
また、それぞれの棚20には、トレイLが収容されているか否かを検知するための検知センサ60(検知手段)が設置されている。検知センサ60は後述する制御部と電気的に接続される。なお、検知センサは、設置されていなくてもよい。また、それぞれの棚20には、収容されたトレイLが荷物かご部3によって搬送されたものであることを示す受信状態と、収容されたトレイLが荷物かご部3によって他のステーション部4への搬送待ちであることを示す搬送待機状態と、を表示可能な表示部(不図示)が設けられている。表示部は、例えば、LEDランプであって、受信状態と搬送待機状態とで点灯する色を変えるように構成されている。また、表示部は、棚20に収容されたトレイLが、受信状態でも搬送待機状態でもなく、一時的に収容されたものであることを示す一時収容状態であることを表示可能であってもよい。
【0029】
また、小荷物昇降機1は、
図2に示すように、複数のかご内収容部10から複数の棚20へのトレイLの移載、及び、複数の棚20から複数のかご内収容部10へのトレイLの移載を行う移載部40を有する。移載部40は、例えば、コンベヤと、それを駆動するモータを含む。なお、移載部40は、コンベヤに代えて、ローラやタイミングベルト等を含んでいてもよい。本実施形態において、移載部40は、ステーション部4に設けられている。しかしながら、移載部40は、荷物かご部3に設けられていてもよく、荷物かご部3とステーション部4の両方に設けられていてもよい。
【0030】
制御部(不図示)は、荷物かご部3の昇降、移動機構11による隣接するかご内収容部10間のトレイLの移動、扉50の移動による出入口30の開閉、移載部40によるトレイLの移載、などを制御する。
【0031】
本実施形態において、ステーション部4は、操作子21を有する。操作子21は、例えば、タッチパネルである。作業者は、所定の棚20にトレイLを収容した後、操作子21を操作することによって、当該所定の棚20に収容したトレイLの送り先情報(例えば、3階フロアなど)を制御部(不図示)に入力することができる。なお、送り先情報は、制御部において患者情報に紐づけられた情報であってよい。患者情報は、例えば、患者を識別するための情報であって、患者に割り振られた患者番号、氏名、患者の部屋番号等の情報である。患者情報は、例えば、病院内の薬剤部で作業者によって制御部に入力される。また、作業者による搬送開始の指示も、操作子21によって行われる。なお、操作子21は、タッチパネルの代わりに、複数の操作ボタンとモニタであってもよい。
【0032】
以下、本実施形態の小荷物昇降機1による、トレイLの搬送動作について説明する。なお、本実施形態において、1つのトレイLには、1人の患者に関する薬剤、検体、ガーゼや注射器などの物品が投入されている。これは、複数の患者間で、薬剤等の物品が混在してしまうのを防ぐためである。なお、共通の備品等については、まとめて1つのトレイLに投入してもよい。また、それぞれのトレイLには、トレイL内の物品を使用する対象患者の患者情報を保持するラベルが付されている。ラベルは、例えば二次元バーコードである。ラベルは、病院内の薬剤部で作業者によって付される。
【0033】
まず、所定の階にいる作業者は、患者の処方箋情報に基づいて薬剤等が投入されたトレイLを、ステーション部4の所定の棚20に収容する。このとき、複数のトレイLを複数の棚20に収容してもよい。そして、作業者は、操作子21を操作して、それぞれのトレイLの送り先階に関する送り先情報を入力し、その後、搬送開始の指示を入力する。このとき、複数のトレイLのそれぞれについて異なる送り先情報を入力してもよい。搬送開始の指示が入力されると、制御部は、トレイLが収容された棚20に対応する扉50を自動で移動させ、出入口30を開放する。そして、制御部は、移載部40の駆動を制御して、トレイLを棚20からかご内収容部10に移載させる。なお、送り先情報は、予めトレイに関連付けて制御部に入力されていてもよい。この場合において、制御部は、複数のトレイLが複数の棚20に収容されると、送り先情報に基づいて自動的に搬送を開始してもよい。
【0034】
かご内収容部10にトレイLが移載されると、制御部は、荷物かご部3の昇降を開始させる。そして、制御部は、検知センサによって検知された送り先階のステーション部4の空いている棚20に対応するかご内収容部10にトレイLが収容された状態となるように、必要に応じて、移動機構11によって隣接するかご内収容部10の間でトレイLを移動させる。荷物かご部3の昇降と、移動機構11によるトレイLの移動とは、同時に行われてもよく、順時に行われてもよい。なお、移動機構11によるトレイLの移動は、扉50の移動による出入口30の開閉と同時に行われてもよい。
【0035】
荷物かご部3が送り先階に到達すると、制御部は、当該送り先階の扉50を移動させ、当該送り先階の出入口30を開放させる。そして、制御部は、移載部40の駆動を制御して、トレイLをかご内収容部10から棚20に移載させる。
【0036】
その後、制御部は、荷物かご部3に他のトレイLが残っている場合は、荷物かご部3の昇降、移動機構11によるトレイLの移動、移載部40によるトレイLの移載を繰り返す。制御部は、荷物かご部3に他のトレイLが残っていない場合、次の搬送開始の指示が入力されるまで、小荷物昇降機1を待機させる。なお、上記の搬送動作において、荷物かご部3と、鉛直方向に2段となるように棚20が設けられたステーション部4cとの間でトレイLの移載が行われる場合、鉛直方向に3段設けられたかご内収容部100のうちの上2段または下2段のみが用いられる。
【0037】
以上のように、本実施形態の小荷物昇降機1は、それぞれトレイLを収容可能な複数のかご内収容部10を有する荷物かご部3と、それぞれトレイLを収容可能な複数の棚20を有する複数のステーション部4と、移載部40と、を有している。かご内収容部10は、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるように設けられている。そして、荷物かご部3は、所定のかご内収容部10に収容されたトレイLを、所定のかご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10に移動させることが可能な移動機構11を有している。
【0038】
本実施形態の構成によると、荷物かご部3の内部に設けられた複数のかご内収容部10に複数のトレイLをまとめて収容することができ、複数のトレイLをまとめて多層階の建物の複数階に設けられた複数の出入口30の間で搬送することができる。また、かご内収容部10に収容されたトレイLは、水平方向に隣接するかご内収容部10に移動させることができる。このため、搬出先のステーション部4において、搬入元のステーション部4の棚20の位置と異なる棚20の位置から、複数のかご内収容部10に収容されたトレイLを搬出することができる。そして、ステーション部4の複数の棚20を、トレイLの搬入と搬出の両方に用いることができる。また、複数の棚20をトレイLの搬入専用と搬出専用とで分けることがないため、搬入元のステーション部4において搬送待機中のトレイLが一部の棚20に収容されたままの状態又は搬出先のステーション部4においてトレイLが一部の棚20に取り出されずに収容されたままの状態でも、当該一部の棚20以外の棚20を使うことで、当該ステーション部4においてトレイLの搬入及び搬出を行うことが可能である。よって、複数の出入口において、複数の棚を有するステーション部4を配置しておけば、従来のように搬送待機中のトレイLを積載するためのスペースを設けるための荷物の搬入出方向に長いコンベアを設置する必要がなくなる。従って、本実施形態の小荷物昇降機1は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物におけるトレイLの搬送効率を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。なお、以下の各変形例の説明では、実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
(第1変形例)
上記実施形態では、荷物かご部3は、所定のかご内収容部10に収容されたトレイLを、当該所定のかご内収容部10と水平方向に隣接するかご内収容部10に移動させることが可能な移動機構11を有している。しかしながら、荷物かご部は、所定のかご内収容部に収容されたトレイLを、当該所定のかご内収容部と水平方向に隣接するかご内収容部、及び、当該所定のかご内収容部と鉛直方向に隣接するかご内収容部に移動させることが可能な移動機構を有していてもよい。例えば、
図4に示すように、第1変形例に係る荷物かご部103は、複数のかご内収容部100(100a~100f)のうちの所定のかご内収容部100に収容されたトレイLを、当該所定のかご内収容部100と水平方向に隣接するかご内収容部100及び鉛直方向に隣接するかご内収容部100に移動させる移動機構101を有する。例えば、移動機構101は、かご内収容部100aに収容されたトレイLを、かご内収容部100aと水平方向に隣接する空のかご内収容部100b、及び、かご内収容部100aと鉛直方向に隣接するかご内収容部100cに移動させることが可能である。また、移動機構101は、かご内収容部100cに収容されたトレイLを、かご内収容部100cと水平方向に隣接するかご内収容部100d、並びに、かご内収容部100cと鉛直方向に隣接するかご内収容部100a及び100eに移動させることが可能である。移動機構101のうちのトレイLを鉛直方向に移動させる機構は、例えば、それぞれのかご内収容部100のトレイLを載置する底面と直接又は間接的に結合された牽引ロープと、巻上機とを含む。そして、巻上機によって牽引ロープを巻き取るあるいは送り出すことで、トレイLが収容されたかご内収容部100とトレイLが収容されていない空のかご内収容部100とを含む同一列のかご内収容部100の底面を、トレイLごと鉛直方向に移動させる。これにより、いずれかのかご内収容部100に収容されたトレイLを、当該かご内収容部100と鉛直方向に隣接するかご内収容部100に移動させることが可能である。移動機構101のうちのトレイLを水平方向に移動させる機構は、例えば、上記実施形態と同様の構成である。
【0041】
第1変形例の構成によれば、かご内収容部10に収容されたトレイLを、鉛直方向に隣接するかご内収容部10に移動させることができる。このため、搬送待機中のトレイLが収容された棚20と空のかご内収容部10との鉛直方向の位置、又は、空の棚20とトレイLが収容されたかご内収容部10との鉛直方向の位置について、荷物かご部3の内部でのトレイLの鉛直方向の移動によって位置合わせを行うことができる。このような位置合わせは、昇降路2内の荷物かご部3の昇降によって鉛直方向の位置合わせを行う場合と比べて、精度良く且つ効率的である。また、昇降路2内の荷物かご部3の昇降によって鉛直方向の位置合わせを行おうとする場合、昇降路2の最上部付近と最下部付近には、荷物かご3を昇降させるためのスペースを余分に確保する必要がある。これに対し、第1変形例の構成では、荷物かご部3においてトレイLを移動させることによって鉛直方向の位置合わせを行っているため、昇降路2において余分なスペースを設ける必要がない。従って、第1変形例の小荷物昇降機1は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物におけるトレイLの搬送を高精度且つ高効率に行うことができる。
【0042】
(第2変形例)
また、第2変形例に係る荷物かご部203は、
図5に示すように、複数のかご内収容部200(200a~200f)のうちの所定のかご内収容部200に収容されたトレイLを、搬出入方向から見たときに時計回りとなるように、当該所定のかご内収容部200と水平方向又は鉛直方向に隣接するかご内収容部200に回転移動させる移動機構201を有している。例えば、移動機構201は、かご内収容部200aに収容されたトレイLを、搬出入方向から見たときに時計回りとなるように、かご内収容部200aと水平方向に隣接するかご内収容部200bに移動させることが可能である。また、移動機構201は、かご内収容部200bに収容されたトレイLを、搬出入方向から見たときに時計回りとなるように、かご内収容部200bと鉛直方向に隣接するかご内収容部200dに移動させることが可能である。移動機構201は、例えば、それぞれのかご内収容部200のトレイLを載置する底面と直接又は間接的に結合されたローラーチェーン211(後述)と、ローラーチェーン211を回転させるスプロケット212(後述)と、を含む。そして、スプロケット212を駆動しローラーチェーン211を回転させることで、トレイLを、搬出入方向から見たときに時計回りとなるように回転させる。
【0043】
以下、第2変形例に係る移動機構201について、
図7を参照しつつ詳細に説明する。なお、
図7において、荷物かご部203の記載、及び、複数のかご内収容部200のうちのかご内収容部200a以外のかご内収容部200の記載は、説明のため省略している。
【0044】
図7に示すように、移動機構201は、搬出入方向に延びる2つのフレーム221と、2つのフレーム221の間に組み込まれた複数のモータローラ222とを有している。2つのフレーム221の水平方向の間隔は、トレイLの水平方向の幅よりも大きい。複数のモータローラ222は、2つのフレーム221に接続されており、例えば7つ設けられている。複数のモータローラ222の上にはトレイLを載置可能である。例えば、制御部は、かご内収容部200と棚20とが連通したときに、モータローラ222を駆動することで、かご内収容部200と棚20との間でのトレイLの移載を行うことができる。すなわち、モータローラ222は、本発明の移載部にも相当する。
【0045】
2つのフレーム221と、7つのモータローラ222からなるセットは、6つのかご内収容部200に対応して、6組設けられている。
図7では、説明のため1組のみ記載している。
【0046】
また、移動機構201は、2つのチェーンユニット210(210a、201b)を有している。一方のチェーンユニット210aは、左側の3つのかご内収容部200a、200c、200eに対応する位置に設けられている。他方のチェーンユニット210bは、右側の3つのかご内収容部200b、200d、200fに対応する位置に設けられている。それぞれのチェーンユニット210は、ローラーチェーン211と、4つのスプロケット212を有している。
【0047】
チェーンユニット210bの4つのスプロケット212のうちの左上のスプロケット212は、駆動チェーン214と駆動ローラ213とによって回転する。これにより、チェーンユニット210bの左上のスプロケット212が回転することで、ローラーチェーン211が回転する(回転方向は
図7の実線矢印)。また、チェーンユニット210aの4つのスプロケット212のうちの右上のスプロケット212と、チェーンユニット210bの4つのスプロケット212のうちの左上のスプロケット212とは、連結シャフト215を介して接続されている。また、チェーンユニット210aの4つのスプロケット212のうちの右下のスプロケット212と、チェーンユニット210bの4つのスプロケット212のうちの左下のスプロケット212とは、連結シャフト215を介して接続されている。このため、チェーンユニット210bのローラーチェーン211が回転することに完全に同期して、チェーンユニット210aのローラーチェーン211が回転する(回転方向は
図7の実線矢印)。すなわち、チェーンユニット210aのローラーチェーン211は従動チェーンであり、チェーンユニット210bのローラーチェーン211は駆動チェーンである。
【0048】
チェーンユニット210aのローラーチェーン211は、2つのフレーム221のうちの左側のフレーム221と接続されている。また、チェーンユニット210のローラーチェーン211は、2つのフレーム221のうちの右側のフレーム221と接続されている。駆動ローラ213を駆動させて2つのローラーチェーン211が回転することによって、モータローラ222に載置されたトレイLは、モータローラ222とともに、搬出入方向から見たときに時計回りとなるように回転移動する。
図7で記載を省略している他の5組のフレーム221及びモータローラ222に載置されたトレイLについても同様の挙動を示す。すなわち、移動機構201は、所定のかご内収容部200に収容されたトレイLを、複数段且つ複数列設けられた複数のかご内収容部200のそれぞれを通って所定のかご内収容部200に戻るように、回転移動させることが可能である。
【0049】
第2変形例の構成によれば、荷物かご部3におけるトレイLの水平方向及び鉛直方向の位置の調整を容易且つ効率的に行うことができる。このため、第2変形例の小荷物昇降機1は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物におけるトレイLの搬送さらに効率良くに行うことができる。
【0050】
(第3変形例)
また、上記実施形態では、荷物かご部3は、鉛直方向に3段且つ水平方向に2列となるように設けられた6つのかご内収容部100(100a~100f)を有している。しかしながら、荷物かご部は、上記実施形態の構成に限られず、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるように設けられた複数のかご内収容部を有していればよい。例えば、
図6に示すように、第3変形例に係る荷物かご部303は、鉛直方向に3段且つ水平方向に3列となるように設けられた9つのかご内収容部300(300a~300i)を有している。9つのかご内収容部300のうち、最上段列の左側を300a、真ん中を300b、右側を300c、真ん中の段列の左側を300d、真ん中を300e、右側を300f、最下段列の左側を300g、真ん中を300h、右側を300iとする。そして、第3変形例では、移動機構301は、例えば、かご内収容部300baに収容されたトレイLを、かご内収容部300bと水平方向に隣接するかご内収容部300a及び300cに移動させることが可能である。また、この場合において、ステーション部4の複数の棚20が水平方向に2列となるように設けられている場合、複数の棚20との間でトレイLの移載が行われるかご内収容部は、かご内収容部300a、300b、300d、300e、300g、300hに限られる。すなわち、かご内収容部300c、300f、300iに収容されたトレイLは、棚20へ移載する際には、移動機構301によってかご内収容部300a、300b、300d、300e、300g、300hのいずれかに移動されてから、移載部40による移載が行われる。
【0051】
本発明において、小荷物昇降機は、移動機構を有していなくてもよい。この場合において、小荷物昇降機は、出入口を有する昇降路と、鉛直方向に複数段且つ水平方向に複数列となるように設けられた複数のかご内収容部を有する荷物かご部と、鉛直方向に少なくとも1段且つ水平方向に複数列となるように設けられた複数の棚を有する複数のステーション部と、移載部とを含む(
図1参照)。この構成によると、物かご部の内部に設けられた複数のかご内収容部に複数の荷物をまとめて収容することができ、複数の荷物をまとめて搬送することができる。また、ステーション部が複数の棚を有し、複数の荷物を収容することができる。よって、複数のかご内収容部及び複数の棚のそれぞれについて、移載の両方に用いることができ、従来のような長いコンベアを設置する必要がなくなる。従って、本発明の小荷物昇降機は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物における荷物の搬送効率を向上させることができる。
【0052】
本発明において、作業者は、操作子によって、トレイLの送り先階のみを指定してもよく、送り先階のステーション部の送り先の棚まで指定してもよい。作業者が送り先階のみを指定する場合、例えば、制御部は、検知センサによって検知された送り先階のステーション部の空いている棚に対応するかご内収容部にトレイLが収容された状態となるように、必要に応じて、移動機構によって隣接するかご内収容部の間でトレイLを移動させる。作業者が送り先の棚を指定する場合、例えば、作業者は操作パネルに表示された空いている棚を送り先の棚として指定する。そして、制御部は、送り先の棚に対応するかご内収容部にトレイLが収容された状態となるように、必要に応じて、移動機構によって隣接するかご内収容部の間でトレイLを移動させる。
【0053】
本発明において、トレイLを所定の棚に搬送後に空となったトレイLの回収は、本発明の小荷物昇降機によって行われてもよく、作業者による手作業で行われてもよい。
【0054】
上記実施形態では、扉50は1枚の板状部材からなり、鉛直方向に移動することで出入口30を開閉させている。しかしながら、扉は、1枚の板状部材が鉛直方向に2分割されたものでもよい。そして、扉の上側部分が上側に移動し、下側部分が下側に移動することで、出入口を開放させる。また、扉が2分割の構成において、ステーション部に鉛直方向に3段となるように棚が設けられている場合、上2段の棚とかご内収容部との間でトレイLの移載を行う際は、扉の上側部分のみを移動させることで上2段の棚に対応する出入口を開放させ、下1段の棚とかご内収容部との間でトレイLの移載を行う際は、扉の下側部分のみを移動させることで下1段の棚に対応する出入口を開放させてもよい。
【0055】
上記第1変形例では、移動機構101は、複数のかご内収容部100のうちの所定のかご内収容部100に収容されたトレイLを、当該所定のかご内収容部100と水平方向に隣接するかご内収容部100及び鉛直方向に隣接するかご内収容部100に移動させることが可能である。しかしながら、移動機構は、複数のかご内収容部100のうちの所定のかご内収容部100に収容されたトレイLを、当該所定のかご内収容部100と鉛直方向に隣接するかご内収容部100にのみ移動させることが可能なものであってもよい。
【0056】
本発明において、移動機構11は、トレイLの搬入元のステーション部4及び搬出先のステーション部4の検知センサ60の検知結果に基づいて、搬入元のステーション部40においてトレイLが収容されている棚20に対応するかご内収容部10が空となり、搬出先のステーション部40においてトレイLが収容されていない棚20に対応するかご内収容部10に搬送対象のトレイLが収容されている状態となるように、トレイLを移動させるものであってもよい。搬入元のステーション部40においてトレイLが収容された棚20と空のかご内収容部10とが対応する位置にない場合、又は、搬出先のステーション部4においてトレイLが収容されていない棚20と搬送対象のトレイLが収容されたかご内収容部10とが対応する位置にない場合、棚20とかご内収容部10との間でトレイLの移載を行うことができない。上記構成によれば、ステーション部4の各棚20について、トレイLが収容されているか否かを検知し、当該検知結果に基づいて、荷物かご部3内のトレイLを移動させることができる。このため、棚20とかご内収容部10との間でトレイLの移載を行うことができないという状況が生じることを抑制することができる。これにより、小荷物昇降機1は、省スペース化を実現しつつ、多層階の建物におけるトレイLの搬送効率をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 小荷物昇降機
2 昇降路
3 荷物かご部
4 ステーション部
10 かご内収容部
11 移動機構
20 棚
30 出入口
40 移載部
60 検知センサ
L トレイ