IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 金箱 淳一の特許一覧

<>
  • 特開-発光装置 図1
  • 特開-発光装置 図2
  • 特開-発光装置 図3
  • 特開-発光装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087091
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/22 20060101AFI20220602BHJP
   A63H 33/16 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A63H33/22 A
A63H33/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204858
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2020198691の分割
【原出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】520442830
【氏名又は名称】金箱 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】金箱 淳一
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150DG01
2C150DG13
2C150EF07
2C150FA02
2C150FB45
2C150FD12
(57)【要約】
【課題】ユーザの拍手の動作を光で表現可能な発光装置を簡易な構造で提供する。
【解決手段】本開示の発光装置は、圧電素子と、その圧電素子を電源として発光する発光モジュールと、圧電素子と発光モジュールとを繋ぐ導電線と、これらが配置される本体部と、を備える。そして、この発光装置では、本体部は、挿入孔にユーザの手指が挿入された状態において、第1端部が該ユーザの手の甲側に位置し、第2端部が該ユーザの手の平側に位置するように構成され、発光モジュールが、本体部の長手方向において挿入孔よりも第1端部の側に配置され、圧電素子が、本体部の長手方向において挿入孔よりも第2端部の側に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪みが加えられると電圧を発生する圧電素子と、
前記圧電素子を電源として発光する発光モジュールと、
前記圧電素子と前記発光モジュールとを繋ぐ導電線と、
前記圧電素子と前記発光モジュールと前記導電線とが配置される本体部であって、手指を挿入可能に構成された挿入孔を有する本体部と、を備え、
前記本体部において、その長手方向の一方の端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部としたとき、
前記本体部は、前記挿入孔にユーザの手指が挿入された状態において、前記第1端部が該ユーザの手の甲側に位置し、前記第2端部が該ユーザの手の平側に位置するように構成され、
前記発光モジュールが、前記本体部の長手方向において前記挿入孔よりも前記第1端部の側に配置され、
前記圧電素子が、前記本体部の長手方向において前記挿入孔よりも前記第2端部の側に配置される、
発光装置。
【請求項2】
前記圧電素子と前記発光モジュールと前記導電線とが配置された前記本体部が、熱可塑性樹脂に封止される、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記挿入孔付近が該本体部に配置された前記圧電素子に対して所定の角度を有して折り返されるように誘導するための折り目線を有する一枚の紙シートによって形成される、
請求項1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部圧力により発光する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ競技やコンサート等の観戦、観覧において、観客は、声や拍手によって自身の感情を表現することで応援することが多い。そして、このような感情表現を通して、応援に一体感が生まれ得る。
【0003】
また、ユーザ体験を得る目的で各種のワークショップが開催されている。例えば、子供向け工作のワークショップでは、参加した子供たちに、ものを作る楽しさを伝えることができる。
【0004】
そして、特許文献1には、掌部分に装着され、手の動作に応答して発光する発光玩具が開示されている。当該技術によれば、外部から加えられた圧力によって自身の回路インピーダンスが変化する感圧素子によって、電源部から発光体へ供給される電力が調整されることで、発光体の発光状態が調整されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-104414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来からの、声や拍手によって自身の感情を表現する応援においても、ある程度の応援の一体感を作り出すことはできるものの、これらの表現は聴覚によって認識されるものであって、感情表現の更なる方法が望まれていた。
【0007】
一方、特許文献1に記載の技術は、ユーザの拍手の動作を光で表現できる、つまり、ユーザの感情を視覚によって認識され得るものとする技術である。しかしながら、当該技術は、電源部と、圧力検出モジュールと、発光体ユニットと、圧力検出モジュールと発光体ユニットとを掌に一体に装着するためのベルト部分と、を備えるものであって、構造が比較的複雑である。そして、このように構造が複雑であると、ワークショップ等でユーザにものづくり体験を提供することが困難となる。
【0008】
本開示の目的は、ユーザの拍手の動作を光で表現可能な発光装置を簡易な構造で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の発光装置は、歪みが加えられると電圧を発生する圧電素子と、前記圧電素子を電源として発光する発光モジュールと、前記圧電素子と前記発光モジュールとを繋ぐ導電線と、前記圧電素子と前記発光モジュールと前記導電線とが配置される本体部であって、手指を挿入可能に構成された挿入孔を有する本体部と、を備える。そして、この発光装置では、前記本体部において、その長手方向の一方の端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部としたとき、前記本体部は、前記挿入孔にユーザの手指が挿入された状態において、前記第1端部が該ユーザの手の甲側に位置し、前記第2端部が該ユーザの手の平側に位置するように構成され、前記発光モジュールが、前記本体部の長手方向において前記挿入孔よりも前記第1端部の側に配置され、前記圧電素子が、前記本体部の長手方向において前記挿入孔よりも前記第2端部の側に配置される。
【0010】
上記の構成によると、本体部の挿入孔にユーザの手指が挿入された状態において、発光モジュールが該ユーザの手の甲側に位置し、圧電素子が該ユーザの手の平側に位置することになる。これによれば、ユーザの拍手の動作において、該ユーザが両手の掌を叩くと圧電素子に圧力が加えられることになる。また、発光モジュールは、ユーザの手の甲側に位置するため、ユーザの両手の掌が合わせられた状態においても、発光モジュールが視認可能となる。そして、このような配置構造によれば、簡易な構造ながら効果的にユーザの拍手の動作を光で表現可能にすることができる。
【0011】
なお、本開示の発光装置では、上記の構成において、前記圧電素子と前記発光モジュールと前記導電線とが配置された前記本体部が、熱可塑性樹脂に封止されてもよい。
【0012】
また、本開示の発光装置では、上記の構成において、前記本体部は、前記挿入孔付近が該本体部に配置された前記圧電素子に対して所定の角度を有して折り返されるように誘導するための折り目線を有する一枚の紙シートによって形成されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ユーザの拍手の動作を光で表現可能な発光装置を簡易な構造で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における発光装置の概略構成を示す図である。
図2】本体部への圧電素子、発光モジュール、および導電線の配置手順を説明するための図である。
図3】熱可塑性樹脂によってパッケージ化された発光装置を、その使用態様とともに併せて示す図である。
図4】第2実施形態における発光装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
第1実施形態における発光装置の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における発光装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の発光装置は、ユーザの拍手の動作を光で表現可能とするものである。そして、本実施形態に係る発光装置100は、歪みが加えられると電圧を発生する圧電素子10と、圧電素子10を電源として発光する発光モジュール20と、圧電素子10と発光モジュール20とを繋ぐ導電線30と、圧電素子10と発光モジュール20と導電線30とが配置される本体部40と、を備える。
【0017】
圧電素子10は、歪みが加えられると電気分極が誘起されて電圧を発生する(圧電効果を発現する)素子であって、圧電体を2枚の電極で挟持することで構成される。ここで、圧電体には、例えば、鉛(Pb)、チタン(Ti)、およびジルコニウム(Zr)を含むペロブスカイト構造のチタン酸ジルコン酸鉛が用いられる。本実施形態では、このような周知の圧電素子を用いることができ、圧電素子の材質、形態、種類などは適宜選択され得る。
【0018】
発光モジュール20は、光源としてLEDを有する。LEDは、小電力でも点灯可能なため、圧電素子10を電源として用いた場合に、該圧電素子10が発生する電気エネルギを効率良く光に変換することができる。
【0019】
導電線30は、銅やアルミニウム等からなる電線であって、プラス(+)配線とマイナス(-)配線とを有する。本実施形態では、圧電素子10において圧電体を挟持する上部電極にプラス(+)配線が繋がれ、下部電極にマイナス(-)配線が繋がれる。そして、プラス(+)配線は、更に発光モジュール20のLEDのアノードに繋がれ、マイナス(-)配線は、更に発光モジュール20のLEDのカソードに繋がれる。そうすると、導電線30によって、圧電素子10と発光モジュール20とが繋がれ、発光モジュール20が圧電素子10を電源として発光することになる。
【0020】
そして、図1に示すように、圧電素子10と発光モジュール20と導電線30とが、本体部40に配置される。また、この本体部40には、手指を挿入可能に構成された挿入孔41が形成される。
【0021】
ここで、本体部40において、その長手方向の一方の端部を第1端部40aとし、他方の端部を第2端部40bとしたとき、本体部40は、挿入孔41にユーザの手指が挿入された状態において、第1端部40aが該ユーザの手の甲側に位置し、第2端部40bが該ユーザの手の平側に位置するように構成される。そして、発光モジュール20が、本体部40の長手方向において挿入孔41よりも第1端部40aの側に配置され、圧電素子10が、本体部40の長手方向において挿入孔41よりも第2端部40bの側に配置される。そうすると、挿入孔41にユーザの手指が挿入された状態において、発光モジュール20が該ユーザの手の甲側に位置し、圧電素子10が該ユーザの手の平側に位置することになる。これによれば、ユーザの拍手の動作において、該ユーザが両手の掌を叩くと圧電素子10に圧力が加えられることになる。また、発光モジュール20は、ユーザの手の甲側に位置するため、ユーザの両手の掌が合わせられた状態においても、発光モジュール20が視認可能となる。
【0022】
次に、本体部40への圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30の配置手順について、図2に基づいて説明する。本実施形態の発光装置100では、図2(a)に示すように、先ず、本体部40に導電線30が配置される。ここで、本体部40の長手方向において挿入孔41よりも第1端部40aの側に配置される発光モジュール20の電極の位置と、本体部40の長手方向において挿入孔41よりも第2端部40bの側に配置される圧電素子10の電極の位置は予め定められる。そのため、これらの位置と対応させて導電線30を配置することができる。
【0023】
そして、図2(b)に示すように、導電線30が配置された本体部40に、更に発光モジュール20と圧電素子10とが配置される。以上に述べた位置関係でこれら部品が配置されることで、本体部40に圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30が一体化された発光装置100を、簡易な構造で実現することができる。
【0024】
ここで、本実施形態に係る発光装置100では、圧電素子10と発光モジュール20と導電線30とが配置された本体部40が、熱可塑性樹脂に封止される。図3は、熱可塑性樹脂によってパッケージ化された発光装置100を、その使用態様とともに併せて示す図である。
【0025】
図3(a)には、熱可塑性樹脂によってパッケージ化された発光装置100が表される。本実施形態では、図3(a)に示すように、圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30が一体化された本体部40全体が、ポリ塩化ビニルのフィルム50によってパッケージ化される。このとき、挿入孔41は維持され、フィルム50によってパッケージ化されても、挿入孔41にユーザの手指が挿入可能にされている。また、発光モジュール20(LED)における発光部は、表面に露出している。一方、圧電素子10はフィルム50によって封止されるが、ユーザに対して押圧部を明示できるよう、図3(a)に示すように、圧電素子10が配置された位置に対応する箇所にシール51を貼付することができる。そして、このような発光装置100は、ユーザの手にフィットするように、本体部40における挿入孔41付近が折り曲げられた立体的な形状でフィルム50によってパッケージ化される。なお、このようなパッケージ化は、例えば、圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30が配置された本体部40をフィルム50の金型にセットすることで、ポリ塩化ビニルと一体的に成形できる。
【0026】
図3(b)には、発光装置100の使用態様が表される。上述したように、挿入孔41にユーザの手指が挿入された状態において、発光モジュール20が該ユーザの手の甲側に位置し、圧電素子10が該ユーザの手の平側に位置する。そのため、ユーザが拍手の動作を行うと、拍手による外部圧力が圧電素子10に負荷され、圧電体に歪みが生じる。そうすると、圧電効果により電圧が発生し、圧電素子10を電源として発光モジュール20が発光することになる。このような構成によれば、ユーザの拍手の動作による運動エネルギを電気エネルギに変換することで、電池等の別途の電源を備えることなく発光モジュール20を発光させることができる。そのため、発光装置100の半永久的な使用か可能となる。なお、発光モジュール20は、ユーザの手の甲側に位置するため、ユーザの両手の掌が合わせられた状態においても、発光モジュール20による発光が視認可能となる。
【0027】
そして、このような発光装置100によれば、ユーザの拍手の動作を光で表現できる、つまり、ユーザの感情を視覚によって認識され得るものとすることができる。そうすると、スポーツ競技やコンサート等の観戦、観覧において、ユーザは、声や拍手によって自身の感情を表現するとともに拍手の動作を光で表現することができ、応援により強い一体感を生み出すことができる。また、拍手の強さによって圧電体に生じる歪みが変化し圧電素子10が発生する電圧も変化する。そして、圧電素子10が発生する電圧に応じて発光モジュール20の発光強度が変化する。そのため、ユーザは、拍手の強さによって表現する自身の感情の抑揚を、発光モジュール20の発光強度によっても表現することができる。更に、本開示の発光装置は、上述したように、その配置構造により、簡易な構造ながら効果的にユーザの拍手の動作を光で表現可能にするものである。
【0028】
以上に述べた発光装置100によれば、ユーザの拍手の動作を光で表現可能な発光装置を簡易な構造で提供することができる。
【0029】
<第2実施形態>
第2実施形態における発光装置について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態における発光装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の発光装置は、ワークショップ等でユーザにものづくり体験を提供するために用いられるものである。また、発光装置100の本体部40は、後述する一枚の紙シートによって形成される。ここで、図4(a)には、本実施形態に係る発光装置100の本体部40が、図4(b)には、本体部40に圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30が配置された状態が、図4(c)には、本体部40の挿入孔41付近が折り返された状態が示される。
【0030】
本実施形態に係る発光装置100では、図4(a)に示すように、圧電素子10を嵌め込むための爪部42が、本体部40に形成される。また、発光モジュール20の端子を挿入するための穴部43が、本体部40に形成される。
【0031】
そして、上記の図2で説明したように、圧電素子10および発光モジュール20の位置と対応させて導電線30が配置され、そこにこれら部品が更に配置される。また、本実施形態に係る発光装置100では、図4(b)に示すように、一枚の紙シートによって形成された本体部40に折り目線44が設けられる。詳しくは、折り目線44は、本体部40の挿入孔41付近が該本体部40に配置された圧電素子10に対して所定の角度を有して折り返されるように誘導するためのものである。なお、所定の角度とは、挿入孔41にユーザの手指が挿入された状態において発光装置100がユーザの手にフィットするような角度であって、例えば、45°~90°である。そして、本実施形態の本体部40には、山折りされる折り目線44aと、谷折りされる折り目線44bとが形成される。そうすると、図4(c)に示されるように、発光装置100が、ユーザの手にフィットするように立体的な形状に形成されることになる。
【0032】
以上に述べた発光装置100は、一枚の紙シートによって形成された本体部40に圧電素子10、発光モジュール20、および導電線30を配置していき、本体部40を折り目線44に沿って折り返すだけで簡単に作成され得る。そうすると、例えば、子供向け工作のワークショップであってもその題材として採用することができ、参加した子供たちに、ものを作る楽しさを伝えることができる。また、このような発光装置100を製作するワークショップを通して、ユーザは、運動エネルギが電気エネルギに変換される仕組みを体験することができる。
【0033】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。本開示の発光装置は、ユーザの拍手の動作を光で表現可能とするものであるので、例えば、言葉のリズムに合わせて手を叩くと、そのリズムに合わせて発光装置が発光することになる。つまり、言葉のリズムを光で表現することが可能となる。そうすると、例えば、発光装置が発光する光を利用したコミュニケーションが可能となる。
【0034】
また、本開示の発光装置をライトドローイングに用いることもできる。例えば、暗闇にされた空間において、手を叩きながら(発光装置に外部圧力を与えながら)動き回るユーザを長時間露光撮影することで、発光装置の光によるアートを生み出すことができる。
【符号の説明】
【0035】
10・・・・圧電素子
20・・・・発光モジュール
30・・・・導電線
40・・・・本体部
40a・・・第1端部
40b・・・第2端部
41・・・・挿入孔
100・・・発光装置
図1
図2
図3
図4