(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087097
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】発光ダイオード・スイッチ素子ならびにアレイ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20220602BHJP
【FI】
H01L33/48
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031899
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2019091974の分割
【原出願日】2012-01-04
(31)【優先権主張番号】13/011,745
(32)【優先日】2011-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513183555
【氏名又は名称】フォン、ピーター スイ ルン
【氏名又は名称原語表記】FONG,Peter Sui Lun
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ピーター スイ ルン
(57)【要約】
【課題】好適な統合型LEDスイッチ素子ならびにアレイを提供する。
【解決手段】LEDスイッチ素子ならびにそのマトリクスについて開示する。第1の極性のコンタクトと第2の極性のコンタクトとを有するエレクトロルミネセンス半導体素子を備える。さらに、第1の極性のLEDリードフレームを備え、これにエレクトロルミネセンス半導体素子が装着される。エレクトロルミネセンス半導体素子の第1の極性のコンタクトは、第1の極性のLEDリードフレームに電気的に接続される。LEDスイッチ素子は、第2の極性のLEDリードフレームを有し、これは、エレクトロルミネセンス半導体素子の第2の極性のコンタクトに電気的に接続される。LEDスイッチ素子は、さらに、タッチセンサ・リードフレームを有し、これは、タッチセンサ・リードに電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装部品(SMD)パッケージの発光ダイオードスイッチデバイスであって、
無蓋の上部と、複数の側壁および該無蓋の上部と対向する内部フロアにより区画された内部とを有する表面実装部品パッケージ・キャリアと、
前記表面実装部品パッケージ・キャリアから外側に延在する複数のリードと、
前記複数のリードのうちの第1のリードと電気通信可能であり、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部において延在する第1のリードフレームと、
前記複数のリードのうちの第2のリードと電気通信可能であり、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部において延在する第2のリードフレームと、
第1の電極および第2の電極を有する第1のエレクトロルミネセンス半導体素子であって、前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子は、前記第1のリードフレームに前記第1のリードフレームと電気的に接続された第1の電極で装着され、前記第2の電極は、前記第2のリードフレームと電気的に接続されている、前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子と、
前記複数のリードのうちの第3のリードに電気的に接続され、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部において延在する第1のタッチセンサ・リードフレームと、
前記第1のタッチセンサ・リードフレームに電気的に接続された第1のタッチセンサ・コンタクトであって、前記第1のタッチセンサ・コンタクトは、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部に少なくとも部分的に位置し且つタッチ入力から該第1のタッチセンサ・コンタクトの静電容量の変化を検出し、前記第1のタッチセンサ・コンタクト、前記第1のタッチセンサ・リードフレーム、および前記複数のリードのうちの第3のリードは、単一の第1のタッチセンサ構造を区画し、前記第1のタッチセンサ構造は、タッチセンサコントローラの入力ポートと電気的に接続されている、前記第1のタッチセンサ・コンタクトと、
前記表面実装部品パッケージ・キャリアの無蓋の上部を覆う少なくとも部分的に半透明なケースと、を備え、
前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子は、前記ケースの外面から露出しておらず、
前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子は、前記ケースの外部から少なくとも部分的に視覚的に遮断されておらず、前記第1のタッチセンサ・コンタクトは、前記表面実装部品パッケージ・キャリア内に少なくとも部分的に封入されている、表面実装部品パッケージの発光ダイオードスイッチデバイス。
【請求項2】
前記複数の側壁は、第1の側壁および対向する第2の側壁を含む、請求項1に記載の表面実装部品パッケージの発光ダイオードスイッチデバイス。
【請求項3】
前記第1のタッチセンサ・リードフレームの少なくとも一部分は、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部フロアと実質的に平行な関係で延在している、請求項1に記載の表面実装部品パッケージの発光ダイオードスイッチデバイス。
【請求項4】
前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子の第2の電極を前記第2のリードフレームに電気的に接続するワイヤボンドをさらに備える請求項1に記載の表面実装部品パッケージの発光ダイオードスイッチデバイス。
【請求項5】
前記複数のリードのうちの第4のリードと電気通信可能であり、前記表面実装部品パッケージ・キャリアの内部において延在する第3のリードフレームと、
第1の電極および第2の電極を有する第2のエレクトロルミネセンス半導体素子と、をさらに備え、
前記第2のエレクトロルミネセンス半導体素子は、前記第3のリードフレームに該第3のリードフレームと電気通信可能な第1の電極で装着され、前記第2の電極は、前記第2のリードフレームと電気的に接続され且つ電気通信可能であり、前記第2のエレクトロルミネセンス半導体素子は、前記第1のエレクトロルミネセンス半導体素子とは異なる光の波長を放射する、請求項1に記載の表面実装部品パッケージの発光ダイオードスイッチデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くはタッチセンサ電子部品と発光ダイオード(LED:LightEmitting Diode)に関し、より具体的には、LEDスイッチ素子ならびにアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDは、数ある長所の中でも、特に高効率、高速スイッチング、長寿命であることから、様々な分野で数多くの用途が見出されるユビキタス出力装置である。最もよくある用途の一つは、電子機器のインジケータとしてのものであり、このため、LEDは、特定の用途に適合する様々な異なる形状およびサイズのパッケージで利用することができる。また、低波長の赤から高波長の紫まで、可視スペクトルの全体に渡る様々な照明色すなわち放射波長で利用することができる。複数のLEDを組み合わせてアレイを形成することが可能であり、個々のLEDを独立に駆動することで、テキストおよびグラフィックスを表す可視パターンが生成される。一方、可視スペクトル外の赤外線波を放射することが可能なLEDがあり、これらは一般に機器間の通信に利用される。スペクトルの反対の端の紫外線波は、殺菌、衛生、消毒目的で利用することができる。典型的な小型LEDインジケータライトは、1ルーメン未満の出力で20mA程度の動作電流であるが、最近の高出力LEDの中には、数百mAの動作電流と千ルーメンを超える出力が可能なものがあり、これらは、照明用途で白熱電球の代わりとなり得る。
【0003】
LED素子の動作原理は、よく知られており、中心部は、ドープされてPN接合を形成する半導体材料である。アノードすなわち接合のP側は、電源の正極に接続され、カソードすなわち接合のN側は、電源の負極または共通端子に接続される。PN接合に電流が流れると、光子の形態でエネルギーが放出される。小型の低出力インジケータとして用いられるか、高輝度の照明装置として用いられるかにかかわりなく、LEDはこのように動作する。一部の適用例では、LEDを光検出器として用いることができ、この場合、PN接合に入射する光の光子が、電気信号に変換される。LEDは、電源に接続するのでなく、検出回路に接続することができ、検出回路は、LEDから信号を受け取って、応答を生成する。
【0004】
上述の光検出器としての用途を除き、パッケージ化されたLED素子は、概して簡易的な出力装置であると考えられる。前述のように、LEDのアレイは、それぞれが独立に制御されてコヒーレントな可視パターンを生成するものとして考案され得る。ディスプレイアレイ上での視覚的出力との直接的なユーザの相互作用が企図されているが、そのような装置は、出力装置上で重なり合う別個の入力装置を伴っている。一例は、様々なメーカのタブレット型PC、およびカリフォルニア州クパチーノのアップル社製のiPad(登録商標)などのスレートコンピュータ機器で用いられる静電容量式タッチスクリーンである。
【0005】
これらの機器は、誘電体の両側の配線の行と列からなる透明または半透明のセンサパネルを利用することが知られている。配線は、インジウム‐スズ酸化物またはアンチモン‐スズ酸化物で構成され、列配線が上面ガラスパネルにエッチングされ、行配線が下面ガラスパネルにエッチングされる。タッチセンサパネルが透明であるためには、エッチングされる配線は、30ミクロン程度である。上面ガラスパネルと下面ガラスパネルとを隔てるのは、列配線と行配線との間で誘電体として機能する透明ポリマのスペーサとすることができる。そして、センサパネルは、液晶ディスプレイ(LCD:LiquidCrystal Display)に重なり合わせて取り付けられる。
【0006】
ディスプレイに入力機能と出力機能を同時に組み込む別の例は、少し大型となるが、LEDの近傍にスイッチを備えたLEDマトリクスである。一つの周知の装置は、降矢らによる特許文献1に開示されており、これは、個々のLEDをターンオンまたはターンオフするためのスイッチが、LEDに対応した位置またはLEDの近傍に設けられたLEDのアレイを開示している。ニューヨーク州ブルックリンのSensacell社製のSensacell装置は、相互接続可能なセルからなるユニットをそれぞれ構成するLEDのマトリクスの中に配置された静電容量式センサを使用していることを除いて、降矢らの装置と類似している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら従来のシステムでは、出力装置すなわち表示装置は、入力装置とは別個に構成されている。よって、当技術分野では、統合型LEDスイッチ素子ならびにアレイが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の種々の態様により、LEDスイッチ素子が企図される。第1の極性のコンタクトと第2の極性のコンタクトとを有するエレクトロルミネセンス半導体素子を備えることができる。LEDスイッチ素子は、第1の極性のリードフレームを備えることができ、これに、エレクトロルミネセンス半導体素子が装着される。エレクトロルミネセンス半導体素子の第1の極性のコンタクトは、第1の極性のリードフレームに電気的に接続することができる。さらに、第2の極性のリードフレームを備えることができ、これを、エレクトロルミネセンス半導体素子の第2の極性のコンタクトに電気的に接続することができる。また、タッチセンサ・リードフレームを備えることができ、これを、タッチセンサ・リードに電気的に接続することができる。
【0010】
本開示の別の態様により、発光ダイオード・スイッチ素子を提供することができる。該素子は、第1の極性のリードを備えることができる。さらに、少なくとも1つのエレクトロルミネセンス半導体素子を備えることができ、これは、第1の極性のコンタクトと、第2の極性のコンタクトとを有する。該素子は、さらに、第1の極性のLEDリードフレームを備えることができ、これに、上記少なくとも1つのエレクトロルミネセンス半導体素子が装着される。その第1の極性のコンタクトは、第1の極性のリードに電気的に接続することができる。また、第2の極性のリードと、さらに、この第2の極性のリードに電気的に接続された第2の極性のLEDリードフレームと、を備えることができる。第2の極性のLEDリードフレームは、エレクトロルミネセンス半導体素子の第2の極性のコンタクトに電気的に接続することができる。また、第1のタッチセンサ・リードと、さらに、それが電気的に接続されたタッチセンサ・リードフレームと、を備えることができる。第2の極性のリードは、発光ダイオード駆動源に接続可能とすることができる。タッチセンサ・リードは、タッチセンサ・コントローラ入力に接続可能とすることができる。
【0011】
本開示のさらに別の態様により、組合せ入出力装置を提供する。該装置は、複数の独立な出力ラインを有する発光ダイオード・ドライバ集積回路を備えることができる。さらに、複数の独立な入力ラインを有するタッチ入力コントローラ集積回路を備えることができる。また、該装置は、発光ダイオード・スイッチ素子のアレイを備えることができる。そして、その発光ダイオード・スイッチ素子は、発光ダイオード・ドライバ集積回路の複数の独立な出力ラインのうちの1つに電気的に接続された第1のエレクトロルミネセンス半導体素子を有することができる。発光ダイオード・スイッチ素子は、さらに、タッチ入力コントローラの独立な入力ラインのうちの1つに電気的に接続された第1の統合型タッチセンサ・リードを有することができる。第1のエレクトロルミネセンス半導体素子と第1の統合型タッチセンサ・リードは、ケースに封入されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本開示の種々の実施形態によるLEDスイッチ素子の斜視図である。
【
図2】
図2は、リードフレームに装着されたエレクトロルミネセンス半導体ダイの断面図である。
【
図3A】
図3Aは、追加のエレクトロルミネセンス半導体ダイを有するLEDスイッチ素子の第2の実施形態の側面図である。
【
図4A】
図4Aは、一対のタッチセンサ・コンタクトを有するLEDスイッチ素子の第3の実施形態の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、一対のタッチセンサ・コンタクトと複数のエレクトロルミネセンス半導体ダイとを有するLEDスイッチ素子の第4の実施形態の側面図である。
【
図5C】
図5Cは、
図5Aおよび5Bに示すLEDスイッチ素子の第4の実施形態の平面図である。
【
図6A】
図6Aは、表面実装部品(SMD:SurfaceMount Device)パッケージを有するLEDスイッチ素子の第5の実施形態の平面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに示すSMDパッケージ型LEDスイッチ素子の斜視図であり、その内部の選択された部分を切欠図で示している。
【
図7】
図7は、LED出力ドライバおよびタッチ入力コントローラと接続して用いられるLEDスイッチ素子の基本的な適用例を示すブロック図である。
【
図8A】
図8Aは、タッチ入力コントローラがその中に組み込まれたLEDスイッチ素子の第6の実施形態の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、制御スイッチと、それによって制御される天井ファン照明器具の斜視図であり、
図8Aおよび
図8Bに示すLEDスイッチ素子の第6の実施形態を用いた制御スイッチを拡大している。
【
図10】
図10は、
図9に示すような天井ファン照明器具を制御するように構成されたLEDスイッチ素子の第6の実施形態を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、インタラクティブ・グリーティングカードにおけるLEDスイッチ素子のアレイの一つの使用例を示している。
【
図12】
図12は、リモートコントローラにおける複数のLEDスイッチ素子の他の使用例を示しており、その上面図を示している。
【
図13A-1】
図12に示すリモートコントローラの回路の詳細模式図である。
【
図13A-2】
図12に示すリモートコントローラの回路の詳細模式図である。
【
図13B-1】
図12に示すリモートコントローラの回路の詳細模式図である。
【
図13B-2】
図12に示すリモートコントローラの回路の詳細模式図である。
【
図14】
図14は、インタラクティブLEDディスプレイパネルを構成するLEDスイッチ素子の大型アレイを示している。
【
図15】
図15は、描画インタフェースで用いられる、LEDスイッチ素子の大型アレイで構成されるLEDディスプレイパネルを示している。
【
図16】
図16は、インタラクティブ教育インタフェースで用いられるLEDディスプレイパネルを示している。
【
図17A】
図17Aは、LEDスイッチ素子のアレイを備えるインタラクティブ人形を示している。
【
図17B】
図17Bは、LEDスイッチ素子のアレイを備えるインタラクティブ人形を示している。
【
図18】
図18は、
図17Aおよび17Bに示す本開示のインタラクティブ人形で用いられるアレイ・アセンブリの分解斜視図である。
【
図19A-1】インタラクティブ人形の回路の詳細模式図である。
【
図19A-2】インタラクティブ人形の回路の詳細模式図である。
【
図19B-1】インタラクティブ人形の回路の詳細模式図である。
【
図19B-2】インタラクティブ人形の回路の詳細模式図である。
【
図19C】インタラクティブ人形の回路の詳細模式図である。
【
図20】
図20は、LEDスイッチ素子のアレイを用いた殺菌装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、添付の図面を併用して、以下の詳細な説明を参照することで、最も良く理解されるであろう。
本明細書で開示する種々の実施形態のこれらおよび他の特徴ならびに効果は、以下の説明および図面によって、より良く理解されるであろう。
【0014】
図面および詳細な説明の全体を通して、同じ要素を示すのに共通の参照符号を用いている。
本開示は、発光ダイオード(LED)スイッチ素子ならびにアレイを企図するものである。添付の図面に関連させて以下で記載する詳細な説明は、そのような素子の現下で企図されるいくつかの実施形態について記載するものであって、開示する発明を開発または利用し得る唯一の形態を表すものではない。説明では、例示する実施形態に関連させて、機能および特徴について記載する。しかしながら、同一または同等の機能を異なる実施形態によって実現することもでき、それらも、本開示の範囲内に含まれる。また、「第1の」「第2の」などの関係を示す用語は、エンティティを相互に区別するためにのみ用いられ、必ずしも、そのようなエンティティ間の実際のそのような関係または順序を要件としたり、意味したりするものでないことは言うまでもない。
【0015】
図1は、現在企図されるLEDスイッチ素子10の一実施形態を示しており、このLEDスイッチ素子10は、第1の極性のリード12と、第2の極性のリード14と、タッチセンサ・リード15とを有している。全体としてのLEDと、特定のLEDスイッチ素子10は、コモンカソード構成またはコモンアノード構成とすることが可能である。コモンカソード構成では、第1の極性のリード12はカソードに対応し、第2の極性のリード14はアノードに対応する。コモンアノード構成では、第1の極性のリード12はアノードに対応し、第2の極性のリード14はカソードに対応する。
【0016】
本明細書で開示する実施形態ではコモンカソード構成とするが、企図される特徴をコモンアノード構成にも適用可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。このことに従って、様々な特徴をアノードまたはカソードに特定のものとして記載しているが、このような表現を用いるのは、提示する例に対して矛盾がないようにするためである。例えば、第1の極性のリード12は、コモンカソード構成におけるカソード・リードとみなされているが、コモンアノード構成では、第1の極性のリード12は、適宜、アノード・リードを指すものとすることができる。また、アノードまたはカソードという用語を様々な構成要素の修飾語として用いることも、同様に、特に電流の流れの方向に関して、そのような用語の使用によって示唆されるように限定するものではない。このように、アノードという用語は、電流がLEDスイッチ素子10に入る電極を指すことがあるだけではなく、電流がLEDスイッチ素子10から出る電極を指すこともある。
【0017】
第1の極性/カソードのリード12は、第1の極性/カソードのリードフレーム・アンビル16と構造的に連続しており、どちらも導電性である。カソード・リードフレーム・アンビル(anvil)16は、下端部19および反対の上端部21を有する略円筒状構成のケース18内に組み込まれている。より具体的には、カソード・リードフレーム・アンビル16は、剛性および支持のために、カソード・リード12と比較して大きくすることができ、すなわち厚さおよび/または幅をより大きくすることができる。また、カソード・リード12の一部もケース18内に組み込まれており、一方、他の部分は、ケース18の下端部19から延出している。
【0018】
さらに、ケース18内には、第2の極性/アノードのリードフレーム・ポスト20が組み込まれており、リードフレーム・ポスト20は、第2の極性/アノードのリード14と構造的に連続している。カソード・リード12およびカソード・リードフレーム・アンビル16と同じく、アノード・リード14およびアノード・リードフレーム・ポスト20は導電性である。カソード・リードフレーム・アンビル16は、アノード・リードフレーム・ポスト20とは構造的に独立であり、それらの間に、様々な大きさおよび形状の斜め間隙22が画定される。「アンビル」および「ポスト」という用語は、LEDスイッチ素子10におけるリードフレームの何らかの特徴を指して用いているが、これは、いくつかの特徴を区別する便宜のためのものであって、決して限定するものではないことは分かるであろう。例えば、アンビルを第1の極性のLEDリードフレームと呼ぶこともあり、ポストを第2の極性のLEDリードフレームと呼ぶこともある。場合によって、用語の対応関係は逆となり得る。アンビルと呼ばれるか、ポストと呼ばれるか、あるいは他のいずれかの用語で呼ばれるかにかかわりなく、同様の特徴が、本明細書で記載する同一の基本構造を指すことは、当業者であれば理解できるであろう。
【0019】
ケース18内に組み込まれる他の構成要素は、タッチセンサ・リードフレーム23であり、これは、タッチセンサ・リード15と構造的につながっている。やはり、上述の他のリード、リードフレーム・ポスト、リードフレーム・アンビルと同様に、タッチセンサ・リード15とタッチセンサ・リードフレーム23は、導電性である。また、アノード・リード14とタッチセンサ・リード15は、同じく、ケース18の下端部19から延出している。企図される一部の実施形態において、タッチセンサ・リード15は、詳細については後述するその関連する特徴以外は、アノード・リード14と同様に構成することができる。タッチセンサ・リードフレーム23は、その上にエレクトロルミネセンス半導体ダイ(electroluminescent semiconductor die)28が装着されていないという点で、アノード・リードフレーム・ポスト20と類似した構成とすることができる。実際に、このような実施形態では、これらの構成要素を、アノード・リード14およびアノード・リードフレーム・ポスト20として使用することもできる。
【0020】
さらに
図2を参照して、ケース18の上端部21に面するカソード・リードフレーム・アンビル16の頂部24は、ダイマウント・クレータ26を画定している。LEDスイッチ素子10の種々の実施形態によれば、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28が、カソード・リードフレーム・アンビル16に装着され、特にダイ搭載凹部(die mounting crater)26内に配置される。構成によっては、ダイ搭載凹部26は反射面を有しているが、ただし、これはオプションである。エレクトロルミネセンス半導体ダイ28は、第1の極性/カソードのコンタクト30と、第2の極性/アノードのコンタクト32とを有する。上述のように、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28はPN接合を有し、PN接合中を正孔を通じて電子が流れると、エネルギー準位が下がるときに、PN接合から光子が特定の波長で放出される。この場合、カソード・コンタクト30は負極であり、アノード・コンタクト32は正極である。なお、放出される波長すなわち色は、PN接合の材料を変更することにより、具体的にはPN接合のバンドギャップ・エネルギーに基づいてPN接合の材料を変更することにより、変化させることができることは言うまでもない。
【0021】
図2は、カソード・リードフレーム・アンビル16上に直接装着されたエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を示している。ところで、PN接合のN側電極への電気的接続は、カソード・コンタクト30と第1のワイヤボンド34とを介して形成される。また、カソード・コンタクト30を、カソード・リードフレーム・アンビル16に直接接続することも知られている。
【0022】
上述のように、種々の実施形態によるLEDスイッチ素子10は、複数の第2の極性/アノードのリードフレーム・ポスト20を有している。その機能から、LEDリードフレーム・ポストとも呼ばれる第1のアノード・リードフレーム・ポスト20aは、第2のワイヤボンド36を介して、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28のアノード・コンタクト32に、ひいてはPN接合のP側電極に電気的に接続される。このようにして、アノード・リード14とアノード・リードフレーム・ポスト20から、エレクトロルミネセンス半導体ダイへの、そしてカソード・リードフレーム・アンビル16とカソード・リード12への回路が完成される。
【0023】
エレクトロルミネセンス半導体ダイ28の取付け方向および表面は、1つ以上の所望の方向に最大限の光量が反射されるように最適化することができる。これに関して、ケース18の上端部21が一般的な放出方向であるので、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28は、そのような方向に向けられる。放出された光をさらに集中させるため、ケース18は、出射光を集束するレンズ38を備えることができる。より具体的には、透明、または出射光と一致する色に着色されたものとすることができる少なくとも半透明のエポキシ材料で、ケース18を構成することが考えられる。
【0024】
図1および
図2では、単一色で発光する単一のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を示しているが、任意の数のエレクトロルミネセンス半導体ダイを追加して、LEDスイッチ素子10に含むことができると考えられる。一般に、複数のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28のうちの第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイは、第1の可視スペクトル波長の発光に対応させることができ、複数のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28のうちの第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイは、第2の可視スペクトル波長の発光に対応させることができ、この場合、第1の発光波長は、第2の発光波長とは異なる。例示的な一実施形態では、赤色、緑色、青色用のエレクトロルミネセンス半導体ダイをLEDスイッチ素子10に組み込むことで、これらの原色の組合せである様々に異なる色相の光を放射することができる。
【0025】
図1を再び参照して、LEDスイッチ素子10は、タッチセンサ・リードフレーム23を有し、タッチセンサ・リードフレーム23は、アノード・リードフレーム・ポスト20とは構造的に独立であって、アノード・リードフレーム・ポスト20と電気的に絶縁されている。また、タッチセンサ・リードフレーム23は、タッチセンサ・リード15に接続することができる。タッチセンサ・リードフレーム23は、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28からは切り離すことができる。エレクトロルミネセンス半導体ダイ28をタッチセンサ・リードフレーム23に装着することは可能であるが、そのための回路が完成されていないのであれば、すなわち電源への接続および/または接地がなされていないのであれば、そのようなエレクトロルミネセンス半導体ダイが、ほとんど機能しないことは言うまでもない。
【0026】
タッチセンサ・リードフレーム23は、人体容量を測定するための電極として機能するものとされるタッチセンサ・コンタクト39に接続される。広くは人体であり、具体的には、人体の付属器官である指などは、一般に22pF程度の静電容量を有すると考えられる。さらなる詳細は後述するが、このようにしてタッチセンサ・コンタクト39により検出される静電容量は、当該技術分野で周知の様々な形態ごとに追加される入力制御回路を用いて確認することができる。この場合、ケース18の表面に指が押し付けられるか、またはケース18の近傍で動かされると、タッチセンサ・コンタクト39上で検出される静電容量が変化し、タッチセンサ・コンタクト39における入力を用いて、さらなる機能をトリガすることができる。
図1に示すLEDスイッチ素子10の実施形態によれば、タッチセンサ・リードフレーム23は、ケース18の上端部21に向けてさらに延出している。タッチセンサ・コンタクト39は、ケース18内に組み込まれて、ケース18の周縁にほぼ沿って延在し、タッチセンサ・リードフレーム23に接続されている。これによって、レンズ38のいずれかの部分の上に置かれるか、またはレンズ38の近傍に配置された指を検出可能であると考えられる。
【0027】
LEDスイッチ素子10のいくつかの異なる実施形態が企図される。
図3Aおよび
図3Bを参照して、LEDスイッチ素子10bの第2の実施形態は、別の形状のカソード・リードフレーム・アンビル16を有し、これはカソード・リード12と構造的に連続している。ダイ搭載凹部26に装着されているのは、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aと第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bである。上記で簡単に述べたように、別のLED素子を追加することによって、1つのLEDスイッチ素子10で複数の異なる色/波長で発光することが可能である。この特定の例では、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aで赤色波長の光を放射することができ、第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bで緑色または青色どちらかの波長の光を放射することができる。これらのエレクトロルミネセンス半導体ダイ28a、28bを個別に制御するため、アノード・リードフレーム・ポスト20の第1のサブセットのうち、第1のもの20aは、ワイヤボンドを介して第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aに電気的に接続されており、第2のもの20bは、同じくワイヤボンドを介して第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bに電気に接続されている。第1のアノード・リードフレーム・ポスト20aは、第1のアノード・リード14aと構造的に連続しており、第2のアノード・リードフレーム・ポスト20bは、対応する第2のアノード・リード14bと構造的に連続している。
【0028】
上述のLEDスイッチ素子10の第1の実施形態と同様に、第2の実施形態10bは、単一のタッチセンサ・コンタクト39に接続されたタッチセンサ・リードフレーム23を有している。やはり、タッチセンサ・リードフレーム23は、タッチセンサ・リード15と構造的に連続している。タッチセンサ・コンタクト39は、ケース18の上端部21に向かって配向されて、ケース18の周縁に沿って部分ループを形成している。また、上記の各構成要素は、透明または少なくとも半透明のケース18内に組み込まれる。
【0029】
LEDスイッチ素子10cの第3の実施形態を、
図4Aおよび4Bに示している。前述の実施形態と同様に、カソード・リード12と構造的に連続したカソード・リードフレーム・アンビル16を備える。やはり、カソード・リードフレーム・アンビル16のダイ搭載凹部に、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28が装着されている。単一のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28のみを有し、従って、単一色の波長でのみ発光し、また、アノード・リード14と構造的に連続した単一のアノード・リードフレーム・ポスト20に供給される電流によって駆動される。
【0030】
LEDスイッチ素子10cの第3の実施形態では、単一のタッチセンサ・コンタクト39ではなく、交互の構成とされた2つの別々のものが企図される。より具体的には、第1のタッチセンサ・コンタクト42は、半円形の構成を有し、ケース18の中心軸に向かって内向きに延出している。さらに、第2のタッチセンサ・コンタクト44が、第1のタッチセンサ・コンタクト42の横方向の反対側にあって、同じ半円形の構成を有し、ケース18の中心軸に向かって内向きに延出している。第1のタッチセンサ・コンタクト42は、第1のタッチセンサ・リードフレーム23aおよび第1のタッチセンサ・リード15aと構造的に連続している。一方、第2のタッチセンサ・コンタクト44は、第2のタッチセンサ・リードフレーム23bおよび第2のタッチセンサ・リード15bと構造的に連続している。2つの別々のタッチセンサ・コンタクト42、44を備えることで、タッチ入力を独立すなわち同時に検知することが可能となって、精度の向上が得られることは言うまでもない。
【0031】
図5A、5B、および5Cを参照して、LEDスイッチ素子10dの第4の実施形態は、カソード・リードフレーム・アンビル16を有し、カソード・リードフレーム・アンビル16の上に、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aと、第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bと、第3のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28cとが装着されている。本実施形態では、これら3つのエレクトロルミネセンス半導ダイ28a~cが対応する赤、緑、青の原色を用いて、フルカラースペクトルを再現可能とすることが企図される。カソード・リードフレーム・アンビル16は、カソード・リード12と構造的に連続している。エレクトロルミネセンス半導体ダイ28a~28cは、後述するように、独立に制御可能である。
【0032】
図5Aに最もよく示されているように、第1のアノード・リード14aと構造的に連続した第1のアノード・リードフレーム・ポスト20aを備える。さらに、第2のアノード・リード14bと構造的に連続した第2のアノード・リードフレーム・ポスト20bと、第3のアノード・リード14cと構造的に連続した第3のアノード・リードフレーム・ポスト20cとを備える。なお、言うまでもなく、第1のアノード・リードフレーム・ポスト20a、第2のアノード・リードフレーム・ポスト20b、第3のアノード・リードフレーム・ポスト20cは、それぞれ、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28a、第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28b、第3のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28cの1つに、個々のワイヤボンドを介して電気的に接続されている。アノード・リードフレーム・ポスト20は、同じ1つの横軸に沿った方向に向けられている。
【0033】
図5Bおよび
図5Cは、上記のアノード・リードフレーム・ポスト20に対して垂直な関係となる方向に向けられた第1のタッチセンサ・リードフレーム23aと第2のタッチセンサ・リードフレーム23bを最も良く示している。しかし、これらのタッチセンサ・リードフレーム23を、アノード・リードフレーム・ポスト20と同じ1つの横軸に沿った方向に向けることも可能である。第1のタッチセンサ・リードフレーム23aは、第1のタッチセンサ・リード15aおよび第1のタッチセンサ・コンタクト42と構造的に連続している。第2のタッチセンサ・リードフレーム・ポスト23bは、第2のタッチセンサ・リード15bおよび第2のタッチセンサ・コンタクト44と構造的に連続している。上記のLEDスイッチ素子10cの第3の実施形態と同様に、第1のタッチセンサ・コンタクト42は半円形の構成を有し、同じく半円形の構成を有する第2のタッチセンサ・コンタクト44に対向している。第1のタッチセンサ・リードフレーム・ポスト23aは、第1のタッチセンサ・コンタクト42のカバー領域に向かって延びるベント部43を有する。第2のタッチセンサ・リードフレーム・ポスト23bは、同様に、ケース18の外側部分に向かって第2のタッチセンサ・コンタクト44に対応して延びるベント部45を有する。
【0034】
上述の例から分かるように、LEDスイッチ素子10は、特にエレクトロルミネセンス半導体ダイ28とタッチセンサ・コンタクト39またはタッチセンサ・コンタクト42、44の構成に関して、多くの方法で構成することが可能である。これらの例は、限定するものではなく、本開示の適切な理解に基づき、当業者であれば、さらなる代替案を開発することが可能であろう。
【0035】
上記の例は、すべて、通常のプリント回路基板への実装に適した挿入型円筒パッケージとして構成される。
図1を再び参照して、リード12、14は、プリント回路基板の穴への挿入の程度を制限するストップタブ46を有する。ところで、LEDスイッチ素子10のこれらの特徴は、円形のドーム型頂部、円形の平坦頂部、矩形の平坦頂部、三角形または正方形の平坦頂部などを含むあらゆる形状のパッケージに組み込むことが可能であることは言うまでもない。これらの様々な形状で、さらに様々なサイズとすることが可能である。同様に、タッチセンサ・コンタクト42、44と、さらには、第1の極性のリード12、第2の極性のリード14、タッチセンサ・リード15を含む様々なリードの向きは、ケース18から様々な方向に向かって延出するようにすることができ、例えば、側部から、斜めになどとすることができる。提示される特定のフォームファクタ(form factor)は例示であって、そのような特定のフォームファクタに関連して開示される特徴に基づき、それらの特徴を、現在既知であるか未知であるかにかかわらず別のフォームファクタで容易に実現することができることは、当業者であれば理解できるであろう。
【0036】
図6Aおよび6Bに最もよく示されているように、LEDスイッチ素子10eの別の実施形態は、表面実装部品(SMD)パッケージの使用を企図するものである。より具体的には、外部コンポーネントに接続するためのリード50a~50fがそこから延出するキャリア48を備える。図示の実施形態では、第1の照明色を持つ第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aと、第2の照明色を持つ第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bと、第3の照明色を持つ第3のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28cと、を備える。第6のリード50fは、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aがその上に装着されて電気的に接続されている第6のリードフレーム51fと構造的に連続しており、また、第6のリードフレーム51fと電気的に共通にされている。第5のリード50eは、第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bがその上に装着されて電気的に接続されている第5のリードフレーム51eと構造的に連続しており、また、第5のリードフレーム51eと電気的に共通にされている。さらに、第4のリード50dは、第3のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28cがその上に装着されて電気的に接続されている第4のリードフレーム51dと構造的に連続しており、また、第4のリードフレーム51dと電気的に共通にされている。第2のリード50bは、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28a~cの共通アノードとして機能する第2のリードフレーム51bと構造的に連続しており、また、第2のリードフレーム51bと電気的に共通にされている。エレクトロルミネセンス半導体ダイ28a~cのそれぞれのアノードは、それぞれのワイヤボンド34a~cを介して第2のリードフレーム51bに電気的に接続されており、一方、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28a~cのカソード上で、リードフレーム51d、51e、51fのそれぞれとの接触が導電性接着剤によって形成されている。
【0037】
LEDスイッチ素子10eは、さらに、第1のタッチセンサ・コンタクト54aを有し、第1のタッチセンサ・コンタクト54aは、第1のタッチセンサ・リードフレーム47aとも呼ばれる第1のリードフレーム51aに装着され、第1のリードフレーム51aと電気的に共通にされている。第3のリード50cは、第3のリードフレーム51cと構造的に連続しているものと考えられる。また、第2のタッチセンサ・コンタクト54bは、第2のタッチセンサ・リードフレーム47bとも呼ばれる第3のリードフレーム51cに装着され、第3のリードフレーム51cと電気的に共通にされている。第3のリードフレーム51cは、第3のリード50cと構造的に連続している。LEDスイッチ素子10eに採用されるタッチセンサ・コンタクト54およびタッチセンサ・リードフレーム47の大きさ、形状、および全体構成またはフォームファクタは、単なる例として提示されるものであり、
図6Bに示すのとは異なる構成とすることができる。
【0038】
キャリア48は、種々のリードフレーム51a~51fの部分をカプセル化することができ、また、その中にエレクトロルミネセンス半導体ダイ28a~28cが配置される。ところで、キャリア48は、タッチセンサ・コンタクト54および/またはエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を露出させる開口部55を画定している。それらの構成要素をカプセル化して入れる透明または部分的に半透明のケース52が設けられる。SMDパッケージの実施形態によっては、タッチセンサ・コンタクト54の部分または全体が、キャリア48内に封入されて、ケース52を通して露出されない場合がある。特定の表面実装パッケージの構造設計およびフォームファクタについて図示および記載しているが、表面実装パッケージの他の構造設計およびフォームファクタを用いることもできることは言うまでもない。
【0039】
LEDスイッチ素子10のいくつかの実施形態の基本部分について考察してきたが、つぎに、その一つの典型的な使用例について説明する。
図7のブロック図を参照して、LEDスイッチ素子10は、LEDドライバ56と、さらにタッチ入力コントローラ58に接続される。一実施形態では、タッチ入力コントローラ58は、台湾、新竹のElanMicroelectronics(義隆電子)社製のeKT2101静電容量式タッチパッド・コントローラ集積回路である。なお、LEDドライバ56は、出力ライン57上に電気信号を生成し、この電気信号がアノード・リード14およびアノード・リードフレーム・ポスト20を介して伝送されて、従来技術によりエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を作動させると考えられる。また、タッチ入力コントローラ58の入力ライン59は、タッチセンサ・リード15とタッチセンサ・リードフレーム23に接続されており、タッチ入力、すなわちタッチセンサ・コンタクト39における対応する静電容量の変化を検出すると考えられる。さらなる詳細は後述するが、LEDドライバ56からの出力は、データ処理装置60またはコントローラによって開始させることが可能である。また、タッチ入力コントローラ58は、タッチ入力を示すデータ信号を、その検出時に生成することができ、そして、そのデータ信号は、データ処理装置60に伝送されることが可能である。そのようなタッチ入力と、さらに場合によっては他のタイプの入力に基づいて、LEDドライバ56への適切な応答を生成することができる。
【0040】
上記の実施形態では、タッチ入力コントローラ58は、LEDスイッチ素子10とは別個のものであると考えられる。しかしながら、
図8Aおよび
図8Bに示すように、LEDスイッチ素子10fのさらに別の実施形態では、LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64がその上に実装された組み込みプリント回路基板62が設けられる。LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64は、LEDドライバ56、タッチ入力コントローラ58、およびデータ処理装置60の機能を一つのパッケージに組み込んだものと考えられる。他の実施形態と同様に、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aと第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bは、ケース18内に組み込まれるが、ただし、プリント回路基板62に装着されている。
【0041】
電源リード180および接地リード182が、プリント回路基板62に接続されており、電力/接地をLEDスイッチ素子10fに供給するもとのと考えられる。具体的には、LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64の電源接続部および接地接続部が、電源リード180および接地リード182と電気的につながっている。これによって、タッチ入力コントローラ58、LEDドライバ56、データ処理装置60を駆動するための電力が供給されると考えられる。
【0042】
上述のように、第1のタッチセンサ・コンタクト42および第2のタッチセンサ・コンタクト44は、静電容量の変化を検出するのに用いられる電極であり、それら自体は、データ処理装置60へのデータ伝送に特有の信号を生成することはない。LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64によって、静電容量の変化を検出するものと考えられる。LEDスイッチ素子10fには、第1のタッチセンサ・コンタクト42と第2のタッチセンサ・コンタクト44の2つの電極が設けられるものとされ、これらは、LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64の別々の入力に接続される。
【0043】
LEDスイッチ素子10fは、2つの出力、すなわち、第1の出力リード168と第2の出力リード169とを有する。第1のタッチセンサ・コンタクト42がアクティブにされたことを示す信号を、第1の出力リード168に生成することができ、一方、第2のタッチセンサ・コンタクト44がアクティブにされたことを示す別の信号を、第2の出力リード169上に生成することができる。LEDスイッチ素子10fに組み込まれたデータ処理装置60の機能によって、タッチ入力コントローラ58に直接結び付いた単純なインジケータのようなもの以外の他の出力を生成することができる。つまり、出力リード168、169に生成される出力を、タッチセンサ・コンタクト42、44で検出される入力とは独立とすることができる。さらなる詳細は後述するが、タッチ入力コントローラ58によって検出されるようなタッチ入力を、さらに処理することで、種々の外部機器を制御することができる。この場合、特別に、追加の出力リードを設けることもできると考えられる。
【0044】
2つの出力に加えて、LEDスイッチ素子10fは、さらに入力リード170を有し、入力リード170を介して、様々な外部入力を接続することができる。受け取った入力を用いて、エレクトロルミネセンス半導体素子28a、28bの点灯を制御することができるが、ただし、同じくデータ処理装置60の機能が組み込まれていることによって、点灯または消灯の他に、調光、混色、点滅など、より高度な応答を生成することができる。
【0045】
第1のタッチセンサ・コンタクト42または第2のタッチセンサ・コンタクト44のどちらかに触れることで、LEDスイッチ素子コントローラ集積回路64から異なる応答が生成されることから、その視覚分離を追加することが企図される。ケース18の上端部21は、楕円形の輪郭を持つ凹面を有し、その凹面が、第1のセグメント172と第2のセグメント174とに分割されている。この場合、第1のセグメント172に触れると、第1のタッチセンサ・コンタクト42で感知されると考えられ、これによって第1の出力リード168上に出力が生成される一方、第2のセグメント174に触れると、第2のタッチセンサ・コンタクト44で感知されて、第2の出力リード169に出力が生成される。第1のセグメント172と第2のセグメント174の両方に同時に触れると、第1の出力リード168と第2の出力リード169の両方に出力が生成されるようにすることができる。多くの場合、2つのエレクトロルミネセンス半導体ダイ28からの出力は、タッチ入力とは独立であり、タッチ入力に応じて、データ処理装置60から別々に制御される。
【0046】
本明細書では、単純なオン/オフ機能について記載しているが、部分的配置、一方から他方へのスワイプなど、より細かいタッチ入力の認識粒度が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。LEDスイッチ素子10の1つのパッケージの中に複数の機能を組み込むことに関する変形例は、当業者の権限内にあると認められる。
【0047】
明らかにされるように、LEDスイッチ素子10とその様々な構成は、幅広く多様な用途で利用することができる。
図9を参照して、前述のLEDスイッチ素子10fを、天井ファン照明器具222の様々な機能を制御するための壁取り付け型制御スイッチ220として利用することができる。さらに
図10のブロック図を参照して、天井ファン照明器具222は、電動モータ226によって回転するファンの羽根224を有する。電動モータ226を駆動するのに高電流が必要であるため、外部電源から別に電力を取り出すファン駆動回路228が設けられる。また、天井ファン照明器具222は、点灯されて部屋を照らすランプ230を有している。電動モータ226と同様に、ランプ230は、LEDスイッチ素子10fにより供給することが可能なものより高い電流/電力を必要とするので、外部電源から電力を取り出すランプ駆動回路232が設けられる。ファン駆動回路228とランプ駆動回路232は、LEDスイッチ素子10fによって、そのLEDスイッチ素子10fで受け取った入力に基づき制御され、このことは、ファンの羽根224の回転速度の変更(高速、中速、低速)、およびランプ230の光量/調光レベルを含むことができる。ランプ230の実際の照度を示すフィードバックをランプ駆動回路232により生成して、LEDスイッチ素子10fに返すこともできる。ファンの羽根224、電動モータ226、ファン駆動回路228を、まとめてファンユニット229と呼び、ランプ230とランプ駆動回路232を、まとめてランプユニット233と呼ぶ。なお、ファンユニット229およびランプユニット233は、さらに追加の構成要素を含む場合があると考えられる。
【0048】
制御スイッチ220は、通常の壁パネル234を有し、壁パネル234の中にレセプタクル236が形成されている。LEDスイッチ・アセンブリ238が、壁パネル234に取り付けられている。壁パネル234は、予め壁構造物239に固定されたものとすることができ、この場合、LEDスイッチ・アセンブリ238は、その中に装着されたものとすることができる機械式スイッチなどの簡単な交換品/後付け品とされる。
【0049】
LEDスイッチ・アセンブリ238は、中央に取り付けられたLEDスイッチ素子10fと、さらにバックライト付きステータス・インジケータ240とを含んでいる。前述のように、LEDスイッチ素子10fは、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aを備えることができ、第1のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28aは赤色点灯のものとすることができる。また、第2のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28bは、緑色点灯のものとすることができる。例として、2つの色は、その状態でLEDスイッチ素子10fに受け取られた入力によってファンまたはライトのどちらが制御されるのかを示すインジケータとして用いることができる。例えば、赤色点灯は、ランプ230が制御されることを示すことができ、緑色点灯は、ファンユニット229が制御されることを示すことができる。第1のセグメント172から174へ指でスワイプすることは、パワーを減少させることを表し、これによって、ランプユニット233が制御されている場合には、その照度が落とされる。ファンユニット229が制御されている場合には、電動モータ226の回転速度が下げられる。より長く第2のセグメント174に触れたままとするほど、より多く、照明が落とされる/モータ速度が低減される。反対方向に、第2のセグメント174から第1のセグメント172へ指でスワイプすると、明るさ/速度を増加させることができる。第1のセグメント172と第2のセグメント174の両方を素早くタップすることで、ランプユニット233またはファンユニット229を一気にターンオンまたはターンオフすることができる。第1のセグメント172と第2のセグメント174の両方を長押しすることで、制御モードをランプユニット233からファンユニット229へ、また、その逆に切り替えることができる。このような制御シーケンスは、入力を検出し応答を生成する実行可能命令のセットとして、データ処理装置60にプログラムすることが可能である。特定の制御シーケンスについて記載しているものの、当然のことながら、他の制御シーケンスを、データ処理装置60によって実行される異なる命令として実施することもできる。
【0050】
LEDスイッチ素子10の他の適用例を
図11に示しており、このことは、蝋燭を立てたケーキの絵が印刷されたグリーティングカード70である。カード70には、カットアウト72が形成され、カットアウト72を通してLEDスイッチ素子10が見えるようになっており、また、カットアウト72は描かれた蝋燭の炎の位置に対応している。この場合、点灯されるLEDスイッチ素子10は、火のついた蝋燭の外観を模倣するものである。異なるLEDスイッチ素子10で交互に異なる色を用いることができる。カード70を開いたときに、最初に、接触スイッチ74によって、すべてのLEDスイッチ素子10を点灯させることができる。受け手が指で撫でることでLEDスイッチ素子10を消灯させることができ、こうして、蝋燭を「吹き消すこと」がシミュレートされる。全体として、本実施形態は、タッチ入力コントローラ58に受け取った入力に基づきLED駆動源によってそれぞれに制御されるLEDスイッチ素子10のアレイ78の使用および基本的構成を例示するものである。
【0051】
グリーティングカード70では、様々な動作パターンが可能である。LEDスイッチ素子10は、1つは赤色、もう1つは青色または緑色のどちらかである少なくとも2つのエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を備えるものとされる。グリーティングカード70が最初に開かれると、すべてのLEDスイッチ素子10を赤色で点灯させることができ、また、オプションで点滅させることができる。簡単な音楽のスコアを生成することができ、受け手が指でLEDスイッチ素子10を撫でることで、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28の二次色を点灯させることができる。このとき、赤色と青色が点灯されると、結果としてピンク色の出力が得られ、一方、赤色と緑色が点灯されると、結果として黄色の出力が得られる。音楽のスコアが演奏される間に、点灯シーケンスを記録することができ、そのシーケンスを、遅れて、または音楽スコアの終了後に、再生することができる。記録機能を持たない場合は、LEDスイッチ素子10に触れることで、二次色が点灯するように作動させることができる。
【0052】
図12は、一般に、順方向82、反対の逆方向84、左方向86、および右方向88に対応した入力を有するリモートコントローラ80における、LEDスイッチ素子10の別の適用例を示している。リモートコントローラ80は、ユーザの手92に保持されたケース90で構成されている。ケース90は、略平坦な前面91を有し、透明または半透明のマイラー(Mylar)シートまたはフィルム93がLEDスイッチ素子10の上にオーバレイされている。シート93は、その上に様々な記号と文字がインプリントされたものとすることができ、様々な記号と文字は、下にあるLEDスイッチ素子10によって呼び出すことができる機能を様々に表している。また、シート93は、透明または半透明の部分と、インプリントされた記号と文字に対応する不透明部分とを有する場合があると考えられる。カットアウトを備えた不透明なベースシートを下層に設けることができる。
【0053】
順方向82用として、単一の順方向LEDスイッチ素子94を備え、逆方向84用として、単一の逆方向LEDスイッチ素子96を備え、LEDスイッチ素子94、96はどちらも、ケース90のシート93の下に取り付けられる。LEDスイッチ素子94、96の上に指を配置することによって、このことを表す信号が生成されて、無線周波数で受信側に伝送されることが可能である。
【0054】
横方向86、88用として、第1のLEDスイッチ素子100aと、第2のLEDスイッチ素子100bと、第3のLEDスイッチ素子100cと、第4のLEDスイッチ素子100dと、第5のLEDスイッチ素子100eと、で構成されるアレイ98を備える。これらのLEDスイッチ素子100の各々は、シート93の下に取り付けられており、異なる発光色を有することができる。方向転換の程度は、可変であり、5つのLEDスイッチ素子100のどれが、その上に指を配置することによってアクティブにされたのかによって決まる。あるいは、指を左から右に、またはその逆にスイープする速度によって、受信側デバイスが示す方向転換の程度を決定することもできる。
【0055】
リモートコントローラ80は、無線操縦の車、玩具、ビデオゲームなどを含む数多くのインタラクティブシステムの制御様式として用いることができる。上述のように、提供される入力は、単純なオン/オフとすることができ、また、様々な程度の入力を、複数のLEDスイッチ素子10のアレイを利用して提供することができる。
【0056】
リモートコントローラ80は、その機能に関しては、
図7のブロック図を参照して上述したものと同様の基本的アーキテクチャを有すると考えられる。
図13Aおよび13Bの模式図を参照して、マイクロコントローラまたはデータ処理装置60が設けられる。上記で簡単に述べたように、データ処理装置60は、与えられた入力に基づいて何らかの出力を生成する、予めプログラムされた一連の命令を実行するように構成されている。データ処理装置60は、一般的なデータ処理装置と同様に、論理演算装置、各種レジスタ、命令デコーダ、制御装置を有するものと考えられる。さらに、内部ランダムアクセスメモリと、音声および一連の動きなどの使用頻度の高いデータを予め記憶するのに用いられる読み出し専用メモリと、を含むこともある。例として、プログラム可能なデータ処理装置60は、16ビットのデジタル信号処理(DSP:DigitalSignal Processing)集積回路である。市販されているもので、台湾、新竹のElanMicroelectronics(義隆電子)社製のeSLシリーズICが一つの選択肢としてあるが、しかし、他の適切なICデバイスで容易に代用することができる。
【0057】
より具体的には、データ処理装置60は、少なくとも1つの入力ポート201と、複数の出力ポート202とを有する。詳細は後述するが、出力ポート202は、LEDスイッチ素子10とタッチ入力コントローラ58に接続される。図示の実施形態では、エレクトロルミネセンス半導体素子のアノードが電源に接続されており、そのカソードがトランジスタのコレクタに接続されている。トランジスタのベースは、データ処理装置60の出力ポート202に接続されている。この場合、出力ポート202に生成される高電圧によって、トランジスタがオンにバイアスされると、エレクトロルミネセンス半導体(すなわちLED)がターンオンされる。一方、出力ポート202上の低電圧によって、トランジスタがオフにバイアスされると、LEDがターンオフされる。
【0058】
LEDスイッチ素子10のタッチセンサ・リード15は、タッチ入力コントローラ58に接続されており、上述のように静電容量の変化を検出するものである。検出されると、対応する信号が出力として生成されて、データ処理装置60のPA7とラベル付けされた入力ポート201に供給される。より具体的には、データ処理装置60は、シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI:SerialPeripheral Interface)デバイス間通信方式によって、タッチ入力コントローラ58と通信する。このように、シリアル通信方式であることによって、単一のデータ入力ポート201が用いられる。チップセレクト・ライン(TPreg)用の第1の出力ポート202aは、タッチ入力コントローラ58(具体的には、そのピン4)に接続されており、データ処理装置60がデータを受信する準備ができていることタッチ入力コントローラ58に示すためのものである。また、シリアルクロック・ライン(SCK)用とされる第2の出力ポート202bも、同じくタッチ入力コントローラ58(具体的には、そのピン21および24)に接続されており、クロック同期信号を供給するためのものである。シリアルデータ出力ライン(SDO)用の第3の出力ポート202cは、タッチ入力コントローラ58のピン20に接続されており、SPI規格によって定められるマスタ・スレーブ構成に準拠する目的のものであると考えられる。シリアルデータ入力ライン(SDI)用とされる入力ポート201への信号は、タッチ入力コントローラ58のピン22に接続されており、入力が検出されたLEDスイッチ素子10の識別情報に関するデータなどを含むものとされる。タッチ入力コントローラ58の機能に関連する他のデータを同様に通信することもできる。
【0059】
データ処理装置60は、実行可能命令でプログラムされると考えられ、これによって、LEDスイッチ素子10で検出されたタッチに基づいて生成されるタッチ入力コントローラ58からの入力に応じて、出力ポート202に特定の出力が生成され、その出力は、それに接続されたLEDスイッチ素子10に反映される。こうして、グリーティングカード70に関して上述したように、いくつかのLEDを、タッチされたときにターンオンまたはターンオフすることができる。また、リモートコントローラ80によってオンボードLEDのアクティブ化および非アクティブ化に関して提供される機能が、データ処理装置60によって実現される。
【0060】
リモートコントローラ80のための他の様々な機能が企図される。上記で簡単に述べたように、リモートコントローラ80は、受信側に命令を伝送することができる。このようなデータ伝送機能は、無線周波数トランシーバ集積回路204によって処理される。その動作周波数は、2.4GHz前後であると考えられるが、他のもので代用することもできる。そのような場合、RF伝送である必要はなく、他の無線または有線伝送方式で代用することができる。リモートコントローラ80は、データ伝送に加えて、やはりデータ処理装置60に接続されているモータ206によって可能となるフォースフィードバック機能を備える。同様に、圧電ブザー208および/またはスピーカ210によって、音響出力が生成される。必要であれば、圧電ブザー208および/またはマイクロホン212を介して、音声入力をデータ処理装置60に供給することが可能である。
【0061】
LEDスイッチ素子10の応用は拡張可能(scalable)であると考えられる。
図14を参照して、壁掛け式LEDディスプレイパネル102は、可視スペクトル全体に渡って幅広い色で発光可能なLEDスイッチ素子10の行と列で構成されている。LEDディスプレイパネル102は、特定の色と強度でLEDスイッチ素子10を点灯および消灯させることにより画像を表示するように構成されている。例として、LEDディスプレイパネル102に表示されるインタフェースは、左欄104と右欄106に分かれており、それぞれにアイコン108、110を含んでいる。
【0062】
左欄104のアイコン108のいずれかを選択することは、LEDディスプレイパネル102に表示されるキャラクタ112の特徴の特定のアニメーションを選択することであると考えられる。この場合に用いられる、アイコン108の1つの選択またはタッチとは、LEDディスプレイパネル102において、アイコン108のその特定の1つを出力しているものに対応する1つ以上のLEDスイッチ素子10の上、またはそれらの近傍に、身体の一部を配置することを指すと考えられる。1つの考えられるシーケンスでは、左欄の第1のアイコン108aにタッチすると、口114のアニメーションが起動され、左欄の第2のアイコン108bにタッチすると、耳116のアニメーションが起動される。左欄の第3のアイコン108cにタッチすると、脚118のアニメーションが起動され、左欄の第4のアイコン108dにタッチすると、尾120のアニメーションが起動される。アイコン108のいずれかにタッチすると、例えばハイライトなどによって強調することにより視覚フィードバックが提供される。
【0063】
一方、右欄106のアイコン110のいずれかをタッチすることは、特定の音響出力信号を選択することであると考えられる。右欄の第1のアイコン110aにタッチすると、トランペットの音が発生すると考えられ、右欄の第2のアイコン110bにタッチすると、「跳ねる」音または「ピョーン」という音が発生する。また、右欄の第3のアイコン110cにタッチすると、バイクホーンの音が発生し、第4のアイコン110dにタッチすると、ドラム音が発生する。
【0064】
図15に示す別の実施形態では、LEDディスプレイパネル102は、描画インタフェース250として構成することができる。上述のように、LEDディスプレイパネル102は、行と列に配列されたLEDスイッチ素子10のアレイであり、可視スペクトル全体に渡って幅広い色で発光することが可能である。やはり、いくつかのLEDスイッチ素子10を点灯および消灯させることにより様々な画像を表示することが可能である。企図される描画インタフェース250では、画面領域が、上側の描画ボード部252と、それぞれが異なる色である一連のアイコン256を表示する下側のカラーパレット部254とに分かれている。この場合、下側のパレット部254は、画家の通常のカラーパレットに似たものとされる。さらなる詳細は後述するが、アイコン256のうち1つを選択することによって、その対応する色が選択されて使用されると考えられる。
【0065】
第1の色のアイコン256aにタッチすることで、ユーザは、その選択した色で描画ボード部252に「描画する」ことができる。すなわち、ユーザが、特定のLEDスイッチ素子(複数の場合もある)にタッチするか、または近接すると、それは選択された色で点灯される。第2の色のアイコン256bを選択すると、描画色が、新しく選択された色に変更されると考えられる。再び、ユーザが、特定のLEDスイッチ素子(複数の場合もある)にタッチするか、または近接すると、特定のLEDスイッチ素子は、対応する色で点灯される。さらに、消しゴムアイコン258を設けることができ、消しゴムアイコン258が選択されると、タッチされるLEDスイッチ素子10の応答が、カラーアイコン256が選択またはアクティブにされた場合のような選択された色での点灯ではなく、消灯に変更される。上述のように、標準タッチ入力に関する変形例は可能であり、この描画インタフェース250に関しては、消しゴムアイコン258が所定の長さの時間ホールドされることで、LEDディスプレイパネル102の全体を消灯させることができる。また、LEDディスプレイパネル102は、小型化して可搬性を高めることができる。
【0066】
図16に示す特定の例示的な実施形態では、教室で教師260が様々に異なる科目について生徒262を視覚的に指導するためのインタラクティブ教育インタフェース251として、LEDディスプレイパネル102を用いている。例えば、第1の色で四角形264、第2の色で三角形266、第3の色で円形268など、様々に異なる色で様々に異なる形を描画するように生徒262に指示することにより、形や色の概念を教えることができる。
【0067】
さらに、単語、文字、数字に関して、そのような文字をディスプレイパネル102上で書くことにより、生徒262は学習することができる。さらなる機能として、LEDディスプレイパネル102をデータ処理装置に接続することで、文字認識が可能なソフトウェア・アプリケーションを実行することができるようにすることが可能である。LEDディスプレイパネル102上での入力に基づいて、特定の入力シーケンスにより表される文字および単語によって応答出力を生成することができる。例として、限定するものではないが、そのような出力は、入力され認識された文字および単語の発音とすることができる。数学教育の場合には、LEDディスプレイパネル102上に書かれている数字および/または式270を検証または訂正することができ、入力の正誤に関して適当な音響出力および可視出力が生成される。そのような音響出力として、正しい場合の「歓声」音、または誤りの場合の「あーあー」という音声を含むことができる。このように、インタラクティブ教育インタフェース251は、教師と生徒の双方において、教育効果と学ぶ楽しさを大きく高めるものである。
【0068】
言うまでもなく、数多くの教育的および娯楽的応用が可能である。
図14、15、および16では、人間の体ほどの中型のLEDディスプレイパネル102を示しているが、より大型の壁全体に広がるようなものも想定される。このようなパネル102上に生成されるグラフィックスは、様々なタイプのユーザ入力に応じてそれらのグラフィックスが生成されるように、様々に異なるものとすることができると考えられる。また、LEDディスプレイパネル102は、より大型の通常のLEDディスプレイパネルのリモートコントロールまたはインタフェースとして用いることができ、この場合、LEDディスプレイパネル102で生成される入力および応答は、より大型のディスプレイパネルに伝送されて表示される。
【0069】
LEDスイッチ素子10を利用した、より高度な他の遊び形態も想定される。
図17Aを参照して、擬人化したクマのインタラクティブ人形122は、身体部124と、一対の脚126と、一対の腕128と、頭部130と、を有する。当然のことながら、インタラクティブ人形122は、人間を表すものであってもよく、犬、猫、うさぎ、鳥など、クマ以外の他の動物、または実在もしくは想像上の他のキャラクタを表すものであってもよい。従って、インタラクティブ人形122の上記の特徴は、単なる例として提示されるものにすぎず、限定するものではない。
【0070】
人形の身体部124は、個々のLEDスイッチ素子10によるマトリクス・アセンブリ132を備えている。より詳しく
図18に示すように、マトリクス・アセンブリ132は、プリント回路基板134を有し、プリント回路基板134の上にLEDスイッチ素子10が、一連の行136と列138で装着されている。図示のように、マトリクスの四隅からそれぞれ1つのLEDスイッチ素子10が除かれているので、合計で77個のLEDスイッチ素子10が存在する。中央に配置されるLEDスイッチ素子10の高さを、周囲に配置されるものよりも高くすることで、全体として球面状の外形を形成することができる。同様に、LEDスイッチ素子10の位置に対応する穴の行142と列144を形成する導光体140が、プリント回路基板上に装着されている。導光体140は、発光を誘導するものであると考えられる。導光体140とLEDスイッチ素子10のマトリクスの上には、輪郭が一致する球面トップカバー145が取り付けられる。
【0071】
マトリクス・アセンブリ132を構成する他の方法も知られている。1つの低コスト技術は、それぞれのカソード・リードフレーム・アンビル16、アノード・リードフレーム・ポスト20、タッチセンサ・リードフレーム23、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28、およびタッチセンサ・コンタクト39を、プリント回路基板134のそれぞれの面および層の上に、上記のマトリクス状に装着および/またはエッチングするものである。その後、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28は、それぞれのカソード・リードフレーム・アンビル16とアノード・リードフレーム・ポスト20とが、エレクトロルミネセンス半導体ダイ28のそれぞれのカソード・コンタクト30とアノード・コンタクト32に電気的に接続されるように、ワイヤボンディングされる。そして、マトリクス全体を、カプセル化して1つのケースに入れることができる。このプロセスならびに他プロセスの詳細は、当業者であれば分かるであろう。
【0072】
図17Aおよび
図17Bを参照して、インタラクティブ人形122との数多くの可能な遊びパターンの1つについて、以下で考察する。特に
図17Aに示すように、そのパターンは、文字、数字、形状、またはオブジェクトの線画148をLEDスイッチ素子マトリクス上に生成することで開始する。この段階では、電飾は単一色とすることができる。その後、プレーヤの指または容量性コンポーネントで、マトリクスに表示されるシーケンスに従ってパターンの線をたどるように、プレーヤに伝える音を、スピーカによって発することができる。
【0073】
特に
図17Bを参照して、ユーザは線をたどることができ、最初に点灯された特定のLEDスイッチ素子10を指でたどるか、または覆ったときに、それらを別の色に変化させることが、変化後のLEDスイッチ素子150に図示するように可能である。ユーザが先に進むと、パターンを完了するように、さらに音声での激励が生成される。パターンをたどることと、その検出とを無事完了したら、スピーカによって、お祝いメッセージを発し、そのための様々な電飾効果を生成することができる。同じく、このシーケンスは、単なる例として提示しているにすぎず、限定するものではないことは言うまでもない。その他の遊びパターンは、同じく、当業者の権限内にあると認められる。
【0074】
インタラクティブ人形122は、上述のものと同様の基本的アーキテクチャを有すると考えられる。より具体的には、
図19A、
図19B、および
図19Cの模式図に示すように、インタラクティブ人形122は、複数の入力ポート201と複数の出力ポート202とを有するマイクロコントローラまたはデータ処理装置60を備える。出力ポート202は、9×9(-4)すなわち77個の個々のものからなるマトリクス214として配列されたLEDスイッチ素子10に接続されている。
【0075】
マトリクス214内のそれぞれのLEDスイッチ素子10の一部であるタッチセンサ・リード215aの第1セットは、第1のタッチ入力コントローラ58aに接続されており、一方、同じくマトリクス214内のそれぞれのLEDスイッチ素子10の一部であるタッチセンサ・リード215bの第2のセットは、第2のタッチ入力コントローラ58bに接続されている。上述のように、タッチ入力コントローラ58は、それぞれのタッチセンサ・コンタクト39上で静電容量の変化を検出する。検出されると、静電容量の変化を表す信号が出力として生成され、この信号は、データ処理装置60の入力ポート201に結合される。しかし、実施形態によっては、タッチ入力コントローラ58は、データ処理装置60に組み込むことができる。より具体的には、データ処理装置60は、特に上述の遊びパターンを実現するため、いくつかの入力に基づいて出力ポート202に特定の出力を生成する実行可能命令でプログラムされる。
【0076】
インタラクティブ人形122によって生成される可聴出力は、圧電ブザー208および/またはスピーカ210のいずれかによるものである。脚126、腕128、または頭部130をアニメイトするため、これらに、1つまたは複数のモータ206を機械的に連結することができる。インタラクティブ人形122は、上記のものに加えて、データ伝送などの追加機能を有し、これは、例えば、送信機216aと受信機216bとを含む赤外線トランシーバ216によって処理される。
【0077】
LEDスイッチ素子10の上述の適用例は、それによる可視スペクトル波長の発光を伴うものであった。しかし、それに限定される必要はなく、さらには紫外線スペクトル波長の発光も考えられる。
図20を参照して、紫外線LEDスイッチ素子アレイ282の他の実施形態による殺菌装置280が提供される。紫外線放射は、様々な表面の殺菌、衛生、消毒のために用いることができると認められており、ここで企図する殺菌装置280は、それに適したものである。
【0078】
文脈として、細菌、ウイルスなどが発生しやすい1つの周知の表面は、トイレ284である。より具体的には、トイレ284は、様々な排泄物が入る便器286を備えている。トイレ284は、別の接触面が使用できるように、便器286の上に取り付けられた便座285を備えることができる。水洗ハンドル289が押下されると、タンク288に保持された水を利用して、便器286の中の排泄物は下水道に流される。しかし残念なことに、この水洗プロセスの一環として、細菌およびウイルスを含む微小な水滴が、便器から上方および外方に飛び出すことがあり、これによって、便座285を含むトイレ284の外面を汚染する。その結果、便座285は、汚染物をそのユーザに移す原因となり得る。
【0079】
便座285は、平坦なリム部290を有し、その中央部分に穴292を画定している。平坦なリム部290の内周294は、座ぐり構成を有し、そこに紫外線LEDスイッチ素子アレイ282が装着されている。より具体的には、紫外線LEDスイッチ素子アレイ282の各々は、半円形状のプリント回路基板296に装着された1つ以上のLEDスイッチ素子10を含むことができる。LEDスイッチ素子10は、その中に、紫外線波長で発光することが可能な1つ以上のエレクトロルミネセンス半導体ダイ28を備えるものと考えられる。リングカバー298が便座285に固定されており、これによって、紫外線LEDスイッチ素子アレイ282を包囲している。リングカバー298は、透明なエポキシ樹脂またはポリマ樹脂で構成されると考えられるが、しかし、耐久性のある他の適当な材料を用いることもできる。側部300に、制御パネル302と、紫外線LEDスイッチ素子アレイ282を駆動するためのエネルギー源を収容するバッテリ収納部304と、を有している。
【0080】
様々な自動化機能を、制御パネル302で実行させることができる。静電容量源(capacitive source)が、リングカバー298と紫外線LEDスイッチ素子アレイ282に触れるか、または近接すると、その入力を制御パネル302で受け取って処理することができ、これによって、紫外線放射を作動させることができる。また、静電容量源がなくなる(ユーザが離れる)と、制御パネルは、水洗ハンドル自動化ユニット306に信号を送ることで、ユーザが操作することなく水洗ハンドル289を作動させることができる。この信号伝達は、水洗ハンドル自動化ユニット306と制御パネル302にそれぞれに関連付けられた一対の相補的な赤外線(IR)トランシーバ・モジュール308a、308bを用いて実現することができる。
【0081】
図21A~21Cに最もよく示されており、特に
図21Aに示されるように、静電容量源310は、トイレ284とその便座285に接近する。この時点では、LEDスイッチ素子10は、紫外線放射を発するように作動してはおらず、静電容量式タッチセンシングによる制御パネル302への入力は、感知されていない。
図21Bは、便座285の上にある静電容量源310を示している。このとき、LEDスイッチ素子10のタッチセンサ・コンタクトは、静電容量の変化を示し、静電容量の変化を制御パネル302に示す。これに応えて、LEDスイッチ素子10を作動させて、紫外線放射312を発することで、静電容量源310を殺菌することができる。
図21Cに示すように静電容量源310が離れると、LEDスイッチ素子10のタッチセンサ・コンタクトは、もはや制御パネル302に入力を示さなくなり、紫外線発光を停止することができる。同時に、水洗ハンドル自動化ユニット306により水洗ハンドル289を作動させることで、トイレ284に水を流して、便器286内に堆積している可能性のある物を排出させることができる。
【0082】
あるいは、水洗ハンドル289を作動させることによって、LEDスイッチ素子10をターンオンするための制御パネル302への伝達が有効となるようにすることもできる。上述のように、水洗動作によって、便座285の表面に汚染物が付着することがある。
【0083】
図21A~21Cに示す静電容量源310はペット猫として描かれているが、これに代えて、人間など他の静電容量源とすることもできると考えられる。また、LEDスイッチ素子アレイを用いた殺菌装置280の特定の実施形態について記載しているが、他の適当な形態をとることもできる。
【0084】
室内照明用調光スイッチ220、インタラクティブ・グリーティングカード70、リモートコントローラ80、LEDディスプレイパネル102、インタラクティブ人形122、および殺菌装置280を含む、企図されるLEDスイッチ素子10の様々な適用例について開示している。これらは、単なる例として提示しているにすぎず、当然のことながら、他の多くの適用例が考えられる。
【0085】
本明細書で示す詳細は例示であって、本開示の実施形態を実例により解説する目的のものにすぎず、それらは、原理および概念的側面についての最も有効で分かりやすい説明であると考えられるものを提供するために提示される。この観点から、本発明の細部については、必要以上に具体的に示すようなことはしていないが、本発明のいくつかの形態が実際にどのように実施され得るのかは、この説明を図面と共に理解することで、当業者に明らかとなる。