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特開2022-87140インフルエンザウィルスのリアルタイム検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087140
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】インフルエンザウィルスのリアルタイム検出
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/569 20060101AFI20220602BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220602BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20220602BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G01N33/569 L
C12M1/34 B
G01N35/10 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053229
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2020070770の分割
【原出願日】2007-05-10
(31)【優先権主張番号】60/799,442
(32)【優先日】2006-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/800,939
(32)【優先日】2006-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】11/746,535
(32)【優先日】2007-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518022075
【氏名又は名称】ラブラドール ダイアグノスティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス エー. ホルムズ
(72)【発明者】
【氏名】イアン ギボンズ
(57)【要約】
【課題】インフルエンザウィルスのリアルタイム検出を提供すること。
【解決手段】被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出するシステムであって、a)サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置であって、前記サンプル採集ユニットが、前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせる流体装置;b)前記検出可能なシグナルを検出する検出用アセンブリを備える読取りアセンブリ;ならびにc)検出された前記シグナルを外部装置に伝送するための通信用アセンブリ、を備えるシステム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のシステムまたは方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(引用)
本願は、2006年5月10日に出願された米国仮特許出願番号60/799,442、および2006年5月16日に出願された米国仮特許出願番号60/800,939に対する優先権を主張する。これらの米国仮特許出願の各々は、その全体が全ての目的で本明細書中に参考として援用される。本願は、2006年3月24日に出願された出願番号11/389,409に関する。この出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インフルエンザ(「インフルエンザ(flu)」)は、鳥類および哺乳動物を含む多種多様の宿主を罹患させる可能性のある感染症である。インフルエンザは、オルソミクソウイルス科(A型、B型、およびC型のインフルエンザウィルスを一般に含む)のRNAウィルスによって引き起こされる。トリインフルエンザは、鳥類に適応したこの科のウィルスによって引き起こされ、したがって、鳥類インフルエンザ、トリインフルエンザ、またはバードインフルエンザとも命名される。現在の汎発性流行の脅威は、アジアおよびヨーロッパにおけるA型インフルエンザウィルスのH5N1株の前例のない大発生に起因する。この株は、突然変異する能力を有し、鳥類およびヒトを含む広範囲の宿主にそれ自身を適応させる。自国安全保障会議(The Homeland Security Council)は、現在の汎発性流行の脅威に応じて2005年11月に「汎発性流行インフルエンザに対する国家戦略(National Strategy for Pandemic Influenza)」(「戦略(The Strategy)」)を公布した。その発案の重要な部分は、患者および鳥類におけるトリインフルエンザの迅速な同定に焦点を当てている。その戦略は、トリインフルエンザのサーベイランスおよび検出の改善に努めるものである。
【0003】
2005年11月の時点で、トリインフルエンザ汎発性流行の脅威を引き起こすウィルスは、過去2年にわたって4ヵ国において121人の人々を感染させ、62人を死亡させたことが知られていた。H5N1感染者は、殆ど全ての場合、感染した鳥類との広範な物理的接触があった。このウィルスは、例年の流行性ヒトインフルエンザウィルスに見られるような、ヒトとヒトとの間で効率的に伝染させる能力をまだ示していないが、遺伝子の突然変異またはヒトインフルエンザウィルスとの遺伝物質の交換により、この能力を獲得するという重大な懸念が生じている。
【0004】
インフルエンザは、米国だけで毎年凡そ36,000人が死亡し、200,000人超が入院する原因となっており、年間100億米ドル超の費用がかけられている。また、1918年、1957年および1968年の過去三度の汎発性流行では、世界中でそれぞれ凡そ4千万人、2百万人、および百万人が死亡した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トリインフルエンザの拡がりを抑える目的で汎発性流行の早期警告を提供するために、トリインフルエンザの存在を正確かつ迅速に検出できる装置および方法に対する差し迫った必要性がまだ存在している。理想的なシステムとしては、(1)このような装置からのデータの検索、伝送、および分析を可能にし;(2)保健所職員および国家公務員に対してリアルタイムの警告システムを提供するものである。本発明は、この必要性を満たし、関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出するシステムを提供する。このシステムは典型的に、a)サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置であって、前記サンプル採集ユニットが、前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせる流体装置;b)前記検出可能なシグナルを検出する検出用アセンブリを備える読取りアセンブリ;c)前記検出シグナルを前記外部装置に伝送するための通信用アセンブリ、を備える。このシステムは、A型、B型および/またはC型のインフルエンザウィルス感染を検出することができる。一般に、分析物は、赤血球凝集素(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16)および/またはノイラミニダーゼ(例えば、N1、N2、N3、N4、およびN5)であり得るインフルエンザウィルスの表面糖タンパク質を含み得る。体液は、ヒト、ニワトリおよび野生鳥類よりなる群から選択される被験体から採取できる。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出するシステムであって、
a)サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置であって、前記サンプル採集ユニットが、前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせる流体装置;
b)前記検出可能なシグナルを検出する検出用アセンブリを備える読取りアセンブリ;ならびに
c)検出された前記シグナルを外部装置に伝送するための通信用アセンブリ、
を備えるシステム。
(項目2)
前記分析物を含有する疑いのある前記体液サンプルが、前記外部装置から伝送されたプロトコルに基づいて、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質と反応する項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記分析物が、A型インフルエンザウィルス感染を示す項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記分析物が、B型インフルエンザウィルス感染を示す項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記分析物が、C型インフルエンザウィルス感染を示す項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質を含む項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記表面糖タンパク質が赤血球凝集素を含む項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記赤血球凝集素が、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択される項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記赤血球凝集素がH5である項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記表面糖タンパク質がノイラミニダーゼを含む項目6に記載のシステム。
(項目11)
前記ノイラミニダーゼが、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択される項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記ノイラミニダーゼがN1である項目10に記載のシステム。
(項目13)
前記分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に特異的な抗体である項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記被験体がヒトである項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記被験体が動物である項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記動物が家禽である項目15に記載のシステム。
(項目17)
複数の分析物を検出するシステムであって、前記分析物のうちの少なくとも2つは、被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示し、前記システムは、
a)サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置であって、前記サンプル採集ユニットは、前記複数の分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記少なくとも2つの分析物の存在を示す1つまたは複数の検出可能なシグナルを生じさせる前記流体装置;
b)前記1つまたは複数の検出可能なシグナルを検出するための検出用アセンブリを備える読取りアセンブリ;ならびに
c)前記検出されたシグナルを外部装置に伝送するための通信用アセンブリ、
を備えるシステム。
(項目18)
前記複数の分析物を含有する疑いのある前記体液サンプルが、前記外部装置から伝送されたプロトコルに基づいて、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質と反応する項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記複数の分析物が、A型インフルエンザウィルス感染を示す項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記複数の分析物が、B型インフルエンザウィルス感染を示す項目17に記載のシステム。
(項目21)
前記複数の分析物が、C型インフルエンザウィルス感染を示す項目17に記載のシステム。
(項目22)
前記複数の分析物が、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含む項目17に記載のシステム。
(項目23)
前記複数の表面糖タンパク質が、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記赤血球凝集素が、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択され、前記ノイラミニダーゼが、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択される項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記赤血球凝集素がH5であり、前記ノイラミニダーゼがN1である項目23に記載のシステム。
(項目26)
前記複数の分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に特異的な複数の抗体を含む項目17に記載のシステム。
(項目27)
前記被験体がヒトである項目17に記載のシステム。
(項目28)
前記被験体が動物である項目17に記載のシステム。
(項目29)
前記動物が家禽である項目28に記載のシステム。
(項目30)
被験体の体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する方法であって、
a)項目1に記載のシステムを提供すること;
b)体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;および
c)前記検出可能なシグナルを検出すること、
を包含する方法。
(項目31)
被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する方法であって:
a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを含む流体装置を提供すること;
b)前記流体装置を作動させて前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付けること;
c)前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイの免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれた前記免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプル中でのインフルエンザウィルス感染を示す前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;ならびに
d)前記体液サンプル中で採集された前記分析物から生じた前記検出可能なシグナルを検出すること、
を包含する方法。
(項目32)
前記体液サンプルが、約500マイクロリットル未満である項目31に記載の方法。
(項目33)
前記分析物が、A型インフルエンザウィルス感染を示す項目31に記載の方法。
(項目34)
前記分析物が、B型インフルエンザウィルス感染を示す項目31に記載の方法。
(項目35)
前記分析物が、C型インフルエンザウィルス感染を示す項目31に記載の方法。
(項目36)
前記分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質を含む項目31に記載の方法。
(項目37)
前記表面糖タンパク質が、赤血球凝集素を含む項目36に記載の方法。
(項目38)
前記赤血球凝集素が、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択される項目37に記載の方法。
(項目39)
前記赤血球凝集素がH5である項目37に記載の方法。
(項目40)
前記表面糖タンパク質が、ノイラミニダーゼを含む求項36に記載の方法。
(項目41)
前記ノイラミニダーゼが、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択される項目40に記載の方法。
(項目42)
前記ノイラミニダーゼがN1である項目40に記載の方法。
(項目43)
前記分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する抗体である項目31に記載の方法。
(項目44)
前記被験体がヒトである項目31に記載の方法。
(項目45)
前記被験体が動物である項目31に記載の方法。
(項目46)
前記動物が家禽である項目45に記載の方法。
(項目47)
複数の分析物を検出する方法であって、前記分析物のうちの少なくとも2つは、被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示し、前記方法は、
a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供すること;
b)前記流体装置を作動させて前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付けること;
c)前記複数の分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイの免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれた前記免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプル中での前記少なくとも2つの分析物の存在を示す1つまたは複数の検出可能なシグナルを生じさせること;ならびに
d)前記体液サンプル中で採集された前記複数の分析物から生じた前記1つまたは複数の検出可能なシグナルを検出すること、
とを包含する方法。
(項目48)
前記体液サンプルが、約500マイクロリットル未満である項目47に記載の方法。
(項目49)
前記複数の分析物が、A型インフルエンザウィルス感染を示す項目47に記載の方法。(項目50)
前記複数の分析物が、B型インフルエンザウィルス感染を示す項目47に記載の方法。(項目51)
前記複数の分析物が、C型インフルエンザウィルス感染を示す項目47に記載の方法。(項目52)
前記少なくとも2つの分析物が、複合体を形成する項目47に記載の方法。
(項目53)
前記複合体がH5N1を含む項目52に記載の方法。
(項目54)
前記分析物のうちの少なくとも1つが、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質であり、前記分析物のうちの少なくとも1つが、前記表面糖タンパク質に対するヒト抗体である項目47に記載の方法。
(項目55)
前記分析物のうちの少なくとも1つが、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質であり、前記分析物のうちの少なくとも1つが、前記ウィルス感染により人体に課せられたストレスを示す体液サンプル中のバイオマーカーである項目47に記載の方法。
(項目56)
前記複数の分析物が、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含む項目47に記載の方法。
(項目57)
前記複数の表面糖タンパク質が、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む項目56に記載の方法。
(項目58)
前記赤血球凝集素が、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択され、前記ノイラミニダーゼが、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択される項目57に記載の方法。
(項目59)
前記赤血球凝集素がH5であり、前記ノイラミニダーゼがN1である項目57に記載の方法。
(項目60)
前記複数の分析物が、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する複数の抗体を含む項目47に記載の方法。
(項目61)
前記被験体がヒトである項目47に記載の方法。
(項目62)
前記被験体が動物である項目47に記載の方法。
(項目63)
前記動物が家禽である項目62に記載の方法。
(項目64)
インフルエンザウィルス感染の1タイプを検出するための流体装置であって、
複数種の反応物質を含むカートリッジを備え、前記反応物質のうちの少なくとも2種は、被験体からの体液中に存在する異なる分析物に反応性であり、前記異なる分析物が、インフルエンザ感染のタイプを示す流体装置。
(項目65)
前記少なくとも2種の反応物質の各々が、インフルエンザウィルスの異なる表面糖タンパク質に結合する項目64に記載の流体装置。
(項目66)
前記異なる表面糖タンパク質が、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼよりなる群から選択されるメンバーを含む項目65に記載の流体装置。
(項目67)
前記異なる表面糖タンパク質が、赤血球凝集素1、赤血球凝集素2、赤血球凝集素3、赤血球凝集素4、赤血球凝集素5、赤血球凝集素6、赤血球凝集素7、赤血球凝集素8、赤血球凝集素9、赤血球凝集素10、赤血球凝集素11、赤血球凝集素12、赤血球凝集素13、赤血球凝集素14、赤血球凝集素15、赤血球凝集素16、ノイラミニダーゼ1、ノイラミニダーゼ2、ノイラミニダーゼ3、ノイラミニダーゼ4、およびノイラミニダーゼ5よりなる群から選択されるメンバーを含む項目65に記載の流体装置。
(項目68)
前記少なくとも2種の反応物質のうちの1種がH5に結合し、前記少なくとも2種の反応物質のうちの1種がN1に結合する項目64に記載の流体装置。
(項目69)
前記カートリッジが、サンプル採集ユニットおよび前記反応物質を含むアッセイ用アセンブリをさらに備える項目64に記載の流体装置。
(項目70)
前記アッセイ用アセンブリが、免疫アッセイ用アセンブリを備える項目69に記載の流体装置。
【0007】
本発明はまた、複数の分析物を検出するシステムを提供し、前記分析物のうちの少なくとも2つは、被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す。このシステムは典型的に、a)サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置であって、前記サンプル採集ユニットは、前記複数の分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記少なくとも2つの分析物の存在を示す1つまたは複数の検出可能なシグナルを生じさせる流体装置;b)前記1つまたは複数の検出可能なシグナルを検出するための検出用アセンブリを備える読取りアセンブリ;c)前記検出シグナルを前記外部装置に伝送するための通信用アセンブリ、を備える。
【0008】
本発明は、本発明のシステムを使用する方法をさらに提供する。一態様において、本発明は、被験体の体液中のインフルエンザ感染を示す分析物を検出する方法を提供する。該方法は、a)本発明のシステムを提供するステップと;b)体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させ、前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせるステップと;c)前記検出可能なシグナルを検出するステップと、を含む。別の態様において、該方法は、a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供するステップと;b)前記流体装置を作動させて前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付けるステップと;c)前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイの免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれた前記免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプル中にインフルエンザウィルス感染を示すような前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせるステップと;d)前記体液サンプル中で採集された前記分析物から生じた前記検出可能なシグナルを検出するステップと、を包含する。所望の場合、このような検出に用いられる体液サンプルは、約500マイクロリットル未満である。種々のインフルエンザウィルス感染を検出することができる。それらには、限定はしないが、A型、B型およびC型のインフルエンザウィルス感染が含まれる。
【0009】
本発明は、複数の分析物を検出する方法をさらに提供し、これらの分析物のうちの少なくとも2つは、被験体からの体液のインフルエンザウィルス感染を示す。該方法は、a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供するステップと;b)前記流体装置を作動させて前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付けるステップと;c)前記複数の分析物を含有する疑いのある体液サンプルと、前記アッセイの免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれた前記免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプル中に前記少なくとも2つの分析物の存在を示す1つまたは複数の検出可能なシグナルを生じさせるステップと;d)前記体液サンプル中に採集された前記複数の分析物から生じた前記1つまたは複数の検出可能なシグナルを検出するステップと、を包含する。
【0010】
本発明は、インフルエンザウィルス感染の型を検出する流体装置もまた提供する。該流体装置は、複数の反応物質を含むカートリッジを備え、そのうちの少なくとも2種は、被験体からの体液中に存在する異なる分析物と反応性があり、前記異なる分析物は、インフルエンザ感染の型を示す。一態様において、少なくとも2種の反応物質の各々は、インフルエンザウィルスの異なる表面糖タンパク質に結合する。異なる表面糖タンパク質は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼよりなる群から選択されるメンバーであり得る。以下の表面糖タンパク質、赤血球凝集素1、赤血球凝集素2、赤血球凝集素3、赤血球凝集素4、赤血球凝集素5、赤血球凝集素6、赤血球凝集素7、赤血球凝集素8、赤血球凝集素9、赤血球凝集素10、赤血球凝集素11、赤血球凝集素12、赤血球凝集素13、赤血球凝集素14、赤血球凝集素15、赤血球凝集素16、ノイラミニダーゼ1、ノイラミニダーゼ2、ノイラミニダーゼ3、ノイラミニダーゼ4、およびノイラミニダーゼ5のうちのいずれか2つが、少なくとも2種の反応物質の標的分析物であり得る。好ましい実施形態において、少なくとも2種の反応物質のうちの1種は、赤血球凝集素5に結合し、他方はノイラミニダーゼ1に結合する。所望の場合、カートリッジは、サンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリをさらに備え得る。幾つかの態様において、該アッセイ用アセンブリは、免疫反応物質を含む免疫アッセイ用アセンブリである。
(参考による援用)
本明細書に記載された刊行物および特許出願の全ては、個々の刊行物または特許出願の各々が具体的に個々に、参照として援用されることが示される場合と同じ範囲で参照として本明細書に援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本システムの複数の構成部品を示す一実施形態である。
図2図2は、アセンブリ前の代表的な流体装置の種々の層を示す。
図3図3および4は、代表的な流体装置内の流体ネットワークを例示している。
図4図3および4は、代表的な流体装置内の流体ネットワークを例示している。
図5図5は、本発明の代表的な試薬用チャンバの上面図、側面図、および底面図を示す。
図6図6は、流体装置に具備されている流体連絡中の試薬用チャンバの代表的な側面図を例示している。
図7図7は、試薬で充填されている代表的な試薬用チャンバを例示している。
図8図8および9は、読取りアセンブリの作動要素と組合される代表的な流体装置の側面図を例示している。
図9図8および9は、読取りアセンブリの作動要素と組合される代表的な流体装置の側面図を例示している。
図10図10は、2段階アッセイを競合結合アッセイと比較する。
図11図11は、代表的な2段階化学発光酵素免疫アッセイを示す。
図12図12は、2段階化学発光酵素免疫アッセイの感度増大を示す。
図13図13は、理想的とは言えないサンプルをアッセイし、所望の感度を維持するTOSCAの能力を示す。
図14図14は、代表的なELISAを示す。
図15図15は、ウィルスに対する代表的なELISAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項に特に説明されている。本発明の特徴および利益のより良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明している以下の詳細な説明および添付の図を参照することにより得られる。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明の一態様は、体液サンプル中に存在するインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出するシステムである。この分析物は、A型、B型および/またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。分析物は、インフルエンザウィルスの少なくとも1つの表面糖タンパク質を含むことができる。代表的な表面糖タンパク質は、限定はしないが、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼである。赤血球凝集素表面糖タンパク質としては、限定はしないが、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16が挙げられる。非限定的ノイラミニダーゼ表面タンパク質としては、N1、N2、N3、N4、およびN5が挙げられる。分析物はまた、感染宿主により産生されるインフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する抗体を含む。
【0014】
本発明の別の態様は、複数の分析物を検出するシステムであり、前記分析物のうちの少なくとも2つは、体液サンプル中に存在するインフルエンザウィルス感染を示す。同様に該分析物は、A型、B型および/またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。該分析物は、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の表面糖タンパク質は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む。該赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択することができ、該ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、赤血球凝集素はH5であり、ノイラミニダーゼはN1である。該分析物は、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に特異的な複数の抗体でもあり得る。このシステムは、特定の目的の分析物を検出することができ、および/または定量することができる。
【0015】
さらに本発明の一態様は、ウィルス粒子または細胞または細胞断片などの単一実体に組み込まれた複数の分析物を検出するためのシステムである。この態様において、複数の分析物は、それらのうちの少なくとも2つが、体液サンプル中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物の組み合わせであることが好ましい。これらの分析物は、A型、B型および/またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。複数の分析物は、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質の組み合わせを含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の分析物は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼの組み合わせを含む表面糖タンパク質の組み合わせであり得る。該赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択することができ、該ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、分析物の組み合わせは、H5N1の組み合わせなどのインフルエンザの病原性株に関連する。本発明のこの態様は、複数の分析物の組み合わせを検出するために特異的である。それは、H5N1の組み合わせなどの病原性株による感染と、異なる組み合わせの分析物による推定上の感染との間を識別することができる。本発明のこの態様の一変型は、1種または複数種のウィルス抗原と反応性の1種または複数種の反応物質(例えば、抗ウィルス表面糖タンパク質抗体)を利用して、反応部位にウィルス粒子を捕捉することであり、次いで別の集団の反応物質(1種または複数種の反応物質)を適用して結合ウィルス粒子を特異的に検出することである。1つの代表的な設定は、捕捉抗体として抗H2抗体、検出試薬として抗N5抗体、好ましくは酵素標識抗N5抗体を利用することである。
【0016】
幾つかの実施形態において、本システムは、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する抗体など、ウィルス抗原に対する複数のヒト抗体を検出する。これらのヒト抗体は、感染被験体において循環することができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、目的の分析物は、体液サンプル中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物と分析物に対するヒト抗体との複合体であり得る。この分析物は、本明細書に記載されたインフルエンザウィルス感染を示す任意の分析物であり得るが、H5赤血球凝集素、N1ノイラミニダーゼ、またはH5およびN1表面糖タンパク質のH5N1複合体であることが好ましい。
【0018】
本発明のさらなる態様は、複数の分析物を検出するためのシステムであり、少なくとも1つの分析物は、体液サンプル中のインフルエンザウィルス感染を示し、また、少なくとも1つの分析物は、ウィルス感染により人体に課せられたストレスを示す体液サンプル中のバイオマーカーである。インフルエンザウィルス感染を示す少なくとも1つの分析物は、本明細書に記載されたインフルエンザウィルス感染を示す任意の分析物であり得る。ウィルス感染により人体に課せられたストレスを示す代表的なバイオマーカーとしては、限定はしないが、CRP、TNFα、インターロイキンなどが挙げられる。
【0019】
本発明のシステムは典型的に、1つまたは複数の以下の構成部品を有する流体装置を備える:サンプル採集ユニット、アッセイ用アセンブリ、読取りアセンブリ、および通信用アセンブリ。サンプル採集ユニットは典型的に、被験体から採集された体液サンンプルを、目的の分析物の存在を示すシグナルを発生させるためにアッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質と反応させる。読取りアセンブリはシグナルを検出し、そのシグナルを、次いでさらなる処理のために通信用アセンブリを介して外部装置に伝送する。
【0020】
目的の分析物を含有する疑いのある任意の体液は、本発明のシステムまたは装置と関連させて使用することができる。通常使用される体液としては、限定はしないが、血液、血漿、血清、唾液、尿、胃液および消化液、涙液、便、精液、膣液、間質液および脳脊髄液が挙げられる。好ましい実施形態において、体液は、さらに処理することなく、本発明の流体装置を用いて体液中に存在する分析物を検出するために直接使用される。しかしながら所望の場合、体液を、本発明の流体装置による分析を実施する前に前処理することができる。前処理の選択は、用いられる体液タイプおよび/または調査している分析物の性質に依るものとなる。例えば、分析物が体液サンプル中に低濃度で存在する場合、分析物の濃度を上げるための従来の任意の手段により濃縮することができる。分析物を濃縮する方法としては、限定はしないが、乾燥、蒸発、遠心分離、沈降、沈殿、および増幅が挙げられる。分析物が核酸である場合、その分析物は、Sambrookら(「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」)により説明された手法に従って種々の溶解酵素もしくは化学溶液を用いるか、または製造元により提供された添付の取扱説明書に従った核酸結合樹脂を用いて抽出することができる。分析物が細胞上または細胞内に存在する分子である場合、抽出は、限定はしないが、SDSなどの変性界面活性剤または Thesit(登録商標)、デオキシコール酸ナトリウム、Triton (登録商標) X-100、およびTWEEN (登録商標) 20などの非変性界面活性剤 などを含む溶解剤を用いて実施することができる。幾つかの実施形態において、サンプルの前処理は、流体装置内で自動的に達成される。
【0021】
本発明の流体装置に使用される体液容量は、一般に約500マイクロリットル未満、典型的には約1から100マイクロリットルの間である。所望の場合、本発明の流体装置を用いて分析物を検出するために、1から50マイクロリットルまたは1から10マイクロリットルのサンプルを使用することができる。
【0022】
現発明の利点は、動物における目的の分析物を検出するために、必要とする血液がごく少量なことである。幾つかの実施形態において、約1マイクロリットルと約50マイクロリットルとの間が採取される。好ましい実施形態において、約1マイクロリットルと10マイクロリットルとの間が採取される。好ましい実施形態において、約5マイクロリットルの血液が被験体から採取される。
【0023】
体液は、被験体から採取され、限定はしないが、切り曲げ、注入、またはピペット操作など、種々の方法で流体装置内に取り入れる。一実施形態において、ランセットが皮膚を穿刺し、例えば、重力、毛管現象、吸引、または真空力を用いて、サンプルを流体装置内に引き込む。ランセットは、流体装置の一部であっても、または読取りアセンブリの一部であっても、または独立した構成部品であってもよい。必要な場合、ランセットは、種々の機械的、電気的、電気機械的、または任意の他の既知の駆動機構、またはこれらの方法の任意の組み合わせにより駆動させることができる。駆動機構が必要でない別の実施形態において、例えば、唾液サンプルで生じ得るように、被験体は、体液を流体装置に単純に提供することができる。採集された体液は、流体装置内のサンプル採集ユニットに入れることができる。さらに別の実施形態において、流体装置は、皮膚を穿刺する少なくとも1本の顕微針を備える。顕微針は、単独の流体装置と共に使用できるか、または流体装置を読取りアセンブリに挿入した後に皮膚を穿刺することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、顕微針は、凡そヒト毛髪のサイズであり、一体化したミクロリザーバまたはキュベットを有する。顕微針は、被験体の皮膚を無痛で穿刺することができ、少量の血液サンプルを採取することができる。より好ましくは、約0.01から約1マイクロリットル、好ましくは、約0.05から約0.5マイクロリットル、より好ましくは、約0.1から約0.3マイクロリットルの毛細管血液を採集する。幾つかの実施形態において、顕微針は、シリコンから作製することができ、直径が約10ミクロンから約200ミクロン、好ましくは、直径が約50ミクロンから約150ミクロン、最も好ましくは、直径が約100ミクロンであり、実質的には無痛で皮膚に適用される。毛細管が、実際に針によって突き刺されることを確実にするために、サンプル採集に複数の顕微針を使用することができる。このような顕微針は、Pelikan(パロアルト、カリフォルニア州)および/またはKumetrix (ユニオンシティ、カリフォルニア州)により市販されているタイプであり得る。米国特許第6,503,231号は、本発明で使用できる顕微針を開示している。
【0025】
本明細書に開示された顕微針を作製するのに使用できるミクロ製作工程としては、限定はしないが、リソグラフィ;ウェット化学、ドライ、およびフォトレジスト除去などのエッチング技術;シリコンの熱酸化;電気メッキおよび無電解メッキ;ホウ素、リン、砒素、およびアンチモン拡散などの拡散工程;イオン注入法;蒸着などのフィルム蒸着(フィラメント、電子ビーム、フラッシュ法、およびシャドウイングならびに段差被覆);スパッタリング、化学蒸着(CVD)、エピタキシー(気相、液相、および分子ビーム)、電気メッキ、スクリーン印刷、および積層法が挙げられる。一般に、Jaeger、Introduction to Microelectronic Fabrication(Addison-Wesley Publishing社、Reading Mass.1988年);Runyanら、Semiconductor Integrated
Circuit Processing Technology(Addison-Wesley Publishing社、Reading Mass.1990年);Proceedings of the IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference 1987年~1998年;編集者Rai-Choudhury、Handbook of Microlithography, Micromachining & Microfabrication(SPIE Optical Engineering Press、ベリンガム、ワシントン州、1997年)を参照されたい。あるいは、顕微針は、シリコンウェーハにおいて成形し、次いでニッケル、金、チタンまたは種々の他の生体適合性金属による従来のワイヤカッティング技法を用いてメッキすることができる。幾つかの実施形態において、顕微針をから製作することができる。幾つかの実施形態において、顕微針は、Mukerjeeらの方法、Sensors and Actuators A:Physical、114巻、2~3号、2004年9月1日、267~275頁に従って、請求された装置を製作し使用することができる。
【0026】
好ましい実施形態において、顕微針は、1回だけ使用してから廃棄する。幾つかの実施形態において、機械的アクチュエータを挿入し、被験体から顕微針を引き抜き、使用された針を廃棄し、新しい顕微針を再装填できる。非常に小型のディスクドライブに対してごく高容積で開発製造される機械的テクノロジーには、同様の動作設定および低コスト要件を有する。好ましい実施形態において、アクチュエータは、半導体様バッチ工程を用いて製作されたMEMS(マイクロマシン化電気機械的システム)装置である。このようなアクチュエータとしては、限定はしないが、ニッケルチタン合金、空気式装置、または圧電装置が挙げられる。幾つかの実施形態において、顕微針は、厚さが約1ミクロンから約10ミクロン、好ましくは、厚さが約2ミクロンから約6ミクロン、最も好ましくは、厚さが約4ミクロンである。幾つかの実施形態において、顕微針は、高さが約10ミクロンから約100ミクロン、好ましくは、高さが約30ミクロンから約60ミクロン、最も好ましくは、高さが約40ミクロンである。
【0027】
図1は、本発明の代表的なシステムを例示している。示されるように、流体装置は、被験体からの体液を提供し、読取りアセンブリ内に挿入することができる。流体装置は、種々の形状をとることができ、幾つかの実施形態において、流体装置は、カートリッジの形態であり得る。識別子(ID)検出器は、流体装置上の識別子を検出することができる。識別子検出器は、識別子を外部装置に伝送する制御装置を介して通信用アセンブリにより通信する。所望の場合、外部装置は、外部装置上に保存されたプロトコルを識別子に基づいた通信用アセンブリへ送信する。流体装置上で操作されるプロトコルは、限定はしないが、操作される特定のアッセイおよび実施される検出方法など、流体装置でプロトコルを実施するために読取りアセンブリの制御装置に対する取扱説明書を含むことができる。流体装置上でこのアッセイが実施されると、体液サンプル中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を示すシグナルが生成し、検出用アセンブリにより検出される。次に検出されたシグナルを、通信用アセンブリへ通信することができ、限定はしないが、サンプル中の分析物濃度の算出、または分析物の存在の判定などの処理のために外部装置に伝送することができる。
【0028】
図2は、下記にさらに詳細に開示される流体装置のアセンブリ前の、本発明による流体装置の代表的な層を例示している。図3および4は、装置が組み立てられた後の代表的な流体装置のそれぞれ上面図および底面図を示している。種々の層が設計され、組み立てられて三次元流体チャネルネットワークが形成される。サンプル採集ユニット4は、被験体からの体液サンプルを提供する。下記にさらに詳細に説明されるように、読取りアセンブリは、流体装置を始動させ、流体装置内の体液サンプルおよびアッセイ試薬の流れを方向付けることができる作動要素(示していない)を備える。幾つかの実施形態において、作動要素は、先ず流体装置2中のサンプルの流れを、サンプル採集ユニット4から反応部位6へと生じさせ、G’点からG点へと流体装置の上方へと、次いで廃棄物用チャンバ8へサンプルを移動させる。次に作動要素は、試薬用チャンバ10からB’点、C’点、およびD’点へと試薬の流れを開始させ、次いでそれぞれB点、C点およびD点へと上方へ、次にA点、A’点へと下方に、次いでサンプルと同じように廃棄物用チャンバ8へと移動させる。
【0029】
流体装置2内のサンプル採集ユニット4は、上記の任意の方法により被験体から体液サンプルを提供することができる。必要ならば、最初にサンプルを、希釈用チャンバ中の体液を希釈することにより処理してもよく、およびまたは濾過用チャンバ中で赤血球から血漿を分離することにより濾過してもよい。幾つかの実施形態において、サンプル採集ユニット、希釈用チャンバ、および濾過用チャンバは、同じ構成部品であってもよく、また幾つかの実施形態において、それらは、異なる構成部品であってもよく、またはいずれか2つが同じ構成部品であり、その他は別個の構成部品であってもよい。幾つかの実施形態において、流体装置内に2つ以上のサンプル採集ユニットがあってもよい。
【0030】
幾つかの実施形態において、細胞上またはウィルス表面上に、細胞膜またはウィルス膜内に、または細胞内に分析物の存在を検出することが望ましい場合がある。このような分析物の検出が困難なのは、細胞および他の形成要素が粒子であり、細胞の構成成分が、溶解した分析物を操作するために設計された伝統的なアッセイ化学と容易に相互作用しないことである。細胞表面の分析物と表面結合プローブとの反応は、緩徐かつ非効率的であり、細胞内の分析物は、結合プローブと全く反応し得ない場合がある。このような分析物の検出を可能にするために、幾つかの実施形態において、流体装置は、溶解用アセンブリを内蔵させて体液サンプルに存在する細胞を溶解することができる。溶解用アセンブリは、サンプル採集ユニット、希釈用チャンバ、および/または濾過用チャンバと組み合わせることができる。幾つかの実施形態において、サンプル採集ユニット、希釈用チャンバ、および溶解用構成部品は、流体装置の同じ要素内にある。幾つかの実施形態において、溶解用構成部品は、下記のアッセイ試薬と組み合わせることができる。
【0031】
所望の場合、溶解剤を含浸させることができ、次いで多孔性マット、ガラス繊維マット、焼結フリットまたはPorexなどの焼結粒子、ペーパー、または他の同様の材料へと乾燥させることができる。溶解剤は、平面上に乾燥させることができる。溶解剤は、液体希釈剤または他の液体試薬に溶解することもできる。好ましい実施形態において、多孔性材料は、極めて安定である傾向のある乾燥形態で溶解剤を保存できるので、溶解剤を保存するためにそれらを使用する。サンプルは、多孔性材料を通って移動するので多孔性材料はまた、サンプルに対して蛇行性経路を提供することによって溶解剤と体液サンプルとの混合を促進する。好ましい実施形態において、このような多孔性材料は、その厚さよりも大きな直径を有するディスク形状を有する。幾つかの実施形態において、溶解剤は、凍結乾燥、受動的蒸発、乾燥暖気流への暴露、または他の既知の方法を用いて多孔性材料上で乾燥することができる。
【0032】
種々の溶解剤が、当業界で入手でき、本発明の流体装置と関連した使用に好適である。好ましい溶解剤は、非変性界面活性剤など、非変性である。非変性性界面活性剤の非限定例としては、Thesit(登録商標)、デオキシコール酸ナトリウム、Triton(登録商標)X-100、およびTWEEN(登録商標)20が挙げられる。該剤を固体多孔性材料中に含浸させる幾つかの実施形態において、該剤は不揮発性であるのが好ましい。幾つかの実施形態において、溶解剤は一緒に混合する。他の材料を溶解剤と混合して溶解効果を改変することができる。このような代表的な材料としては、限定はしないが、緩衝剤、塩類、およびタンパク質であり得る。好ましい実施形態において、溶解剤は、細胞を溶解するための最少必要量に対して過剰である量で使用される。幾つかの実施形態において、白血球および赤血球双方を溶解することができる溶解剤を使用する。
【0033】
本発明の有利な点の1つとして、本発明による流体装置においてアッセイを実施するために必要な試薬は好ましいことに、流体装置内に、基板に組み込まれる(on-board)か、またはアッセイ前、アッセイ中、アッセイ後に流体装置内に収容されることである。このように、流体装置の唯一の注入口または流出口は、流体装置により最初に提供された体液サンプルであることが好ましい。この設計はまた、使い捨て流体装置(全ての流体または液体は該装置内に残存する)を容易に作製するのを補助する。また、この基板に組み込んだ装備設計によって、流体装置からの汚染が無い状態を保つ必要がある読取りアセンブリへの流体装置からの漏れを防ぐ。
【0034】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの試薬用チャンバがある。幾つかの実施形態において、本発明の目的を満たすために必要である2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、もしくはそれ以上、または任意の数の試薬用チャンバが存在し得る。試薬用チャンバは、少なくとも1つの反応部位と流体連絡することが好ましく、本明細書に記載されたとおりに流体装置が作動されると、前記試薬用チャンバに含まれた試薬は、流体装置内の流体チャネル内に放出される。
【0035】
本発明による試薬としては、限定はしないが、洗浄用緩衝剤、酵素基質、希釈用緩衝剤、結合体、酵素標識結合体、サンプル希釈剤、洗浄液、界面活性剤などの添加剤を含むサンプル前処理試薬、ポリマー類、キレート化剤、アルブミン結合試薬、酵素阻害剤、酵素、抗凝血剤、赤血球凝集剤、抗体、または流体装置のアッセイを操作するために必要な他の物質が挙げられる。酵素結合体は、適切な基質との反応の際に検出可能なシグナルを生じることができる酵素により標識されたポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかで有り得る。このような酵素の非限定例は、アルカリホスファターゼおよび西洋わさびペルオキシダーゼである。幾つかの実施形態において、該試薬は、免疫アッセイ試薬を含む。
【0036】
幾つかの実施形態において、試薬用チャンバは、約1mlの流体に対して凡そ約50μlを含有する。幾つかの実施形態において、該チャンバは、約100μlの流体を含有することができる。試薬用チャンバの液体容量は、操作されるアッセイタイプまたは提供された体液サンプルに依って変わり得る。幾つかの実施形態において、試薬は、乾燥状態で最初に保存され、流体装置上で操作されるアッセイ開始の際に液化される(例えば、溶解または融解される)。
【0037】
図5および6は、密封試薬用チャンバの代表的な実施形態を例示している。図5は、試薬用チャンバの上面図、側面図、および底面図を示している。上層11は、複数のブリスタまたはポーチ13を含有する。図6に示されるように、底層15は、流体装置ベース17に結合している底面を有する。底層15は、全面を通して分散された複数の流体チャネル19を有し、各チャネルは、底層15を横切っている。試薬用チャンバ中の流体は、流体チャネル19とチャンバ13との間の圧破裂性シール21によりチャンバ内に含有される。破裂性シール21は、予め決められた圧でシールを破裂させて、チャンバ13中の流体を流体チャネル19内に流出させるように設計される。
【0038】
図7は、試薬用チャンバ13を、例えば、試薬で充填する代表的な工程を示している。試薬用チャンバ13は、充填チャネルおよび真空吸引チャネルを用いて流体を充填させることができる。試薬を充填する工程は、最初に全ての空気を該チャンバから移動させることを含む。これは、真空吸引チャネルを通して真空で吸引することによって実施する。真空が得られたら、耐久シールを、充填チャネルと真空吸引チャネルとの間に置く。次に、必要とされる試薬が、充填チャネルを通して該チャンバ内に計量分配される。次いで耐久シールを、該チャンバと該充填チャネルとの間に置く。このことによって、該チャンバが圧縮されると、流体を、破裂性シールへと一方向だけに流動させることができる。圧縮により、シールの破裂圧よりも大きな圧が付与されると、シールが破裂し、流体は流体チャネル内に流入する。
【0039】
図8および9は、本明細書に記載されるように、作動要素により操作される流体装置の実施形態を例示している。流体装置2は、試薬用チャンバ10および試薬用チャンバを囲む破裂性フォイル12の層を含む。破裂性フォイル12上に、微小流体サーキット14の一部が存在する。強靭であるが弾性である上部カバー16は、流体装置2の上層として作用する。読取りアセンブリは、バルブ作動プレート18を含む。非コアリング針20は、該プレート18に確実に取り付けられ、その結果、該プレートが下降した際に、非コアリング針の鋭利なエッジが弾性カバー16と接触する。上部カバーはまた、湿気不浸透性シールとして作用すると考えられる可撓性シリコーン材料から作製することもできる。この実施形態はまた、アッセイが開始されるまで任意の流体装置中の任意の液体試薬を乾燥試薬から隔離することによって、流体装置からの液体蒸発および漏れを解決する。
【0040】
好ましい実施形態において、試薬用チャンバおよびサンプル採集ユニットは、反応部位に流体接続され、結合プローブは、アッセイを用いて体液サンプルにおける目的の分析物を検出することができる。次に反応部位は、目的の分析物の存在を示すシグナルを供することができ、次いでそのシグナルを本明細書の下記に詳細に説明される検出装置によって検出することができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、反応部位は平坦ではあるが、それらは種々の別の表面形状をとることができる。反応部位は、反応物質を固定化することができる強固な支持体を形成することが好ましい。反応部位の表面はまた、適切な光吸収特性を提供するために選択される。例えば、反応部位は、機能性ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO、SiN、修飾シリコン、または(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンジフルオリド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、またはそれらの組み合わせなどの多種多様のゲル類またはポリマー類の任意のものであり得る。他の適切な材料は、本発明に従って使用することができる。
【0042】
反応部位において固定化された反応物質は、体液サンプル中の目的の分析物を検出するのに有用なものであり得る。例えば、このような反応物質としては、限定はしないが、インフルエンザウィルス感染を示す特定の分析物と反応性の抗体、細胞膜受容体、モノクローナル抗体および抗血清が挙げられる。特定の分析物に対して特に開発されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の宿主など、種々の市販の反応物質を使用することができる。
【0043】
好ましいクラスの反応物質は抗体である。本明細書に用いられる「抗体」(複数の形態で交互に使用される)は、免疫グロブリン分子の可変領域に配置される少なくとも1つの抗原認識部位を介して体液中の分析物など、ターゲットに特異的に結合できる免疫グロブリン分子である。本明細書に用いられるこの用語は、無処置抗体のみならず、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、単鎖(ScFv)、それらの変異体、融合タンパク質、ヒト化抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の任意の修飾形態を包含する。
【0044】
本発明の方法および装置は、市販であるか、またはデノボ生成である抗体反応物質を利用することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する実験室的方法は、当業界に知られている。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク(1988)およびSambrookら(1989)を参照されたい。手短に言えば、本発明に有用なモノクローナル抗体は、動物、例えば、マウスまたはラットにインフルエンザウィルス抗原を導入することによって生物学的に産生することができる。動物における抗体産生細胞を単離し、骨髄腫細胞または異種骨髄腫細胞と融合させてハイブリッド細胞またはハイブリドーマを作製する。
【0045】
モノクローナル抗体の特定のアイソタイプは、最初の融合物から選択することにより直接的に調製することができるか、またはSteplewskiら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:8653頁またはSpiraら(1984)J.Immunol.Methods 74:307頁に記載された手法を用いてクラススイッチ変異体を単離するために、同胞選択技法を用いることによって異なるアイソタイプのモノクローナル抗体を分泌する親のハイブリドーマから二次的に調製することができる。
【0046】
抗体反応物質は、特定のアッセイ反応に依って好適な検出可能な標識に結合する(すなわち、複合化する)ことができる。
【0047】
幾つかの実施形態において、反応物質は、A型、B型、またはC型インフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する。該分析物は、インフルエンザウィルスの少なくとも1種の表面糖タンパク質を含むことができる。代表的な表面糖タンパク質は、限定はしないが、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼである。赤血球凝集素表面タンパク質としては、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16が挙げられる。ノイラミニダーゼ表面タンパク質としては、N1、N2、N3、N4、およびN5が挙げられる。
【0048】
幾つかの実施形態において、反応物質は複数の分析物を検出し、それらのうちの少なくとも2つは、体液サンプル中のインフルエンザウィルス感染を示す。分析物は、A型、B型、またはC型インフルエンザウィルス感染を示すことができる。該分析物は、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の表面糖タンパク質は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む。赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択でき、ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択できる。好ましい実施形態において、赤血球凝集素はH5であり、ノイラミニダーゼはN1である。
【0049】
当業者は、反応を生じさせることができる支持体上に種々の反応物質を固定化する多くの方法が存在することを認識する。この固定化は、リンカー部分または反応物質を固定化部分に係留することを介する共有性または非共有性のものであり得る。これらの方法は、固相合成およびミクロアレイの分野において周知である(Beierら、Nucleic
Acids Res.27:1970-1-977頁(1999))。核酸または抗体などのタンパク質様分子を固体支持体に結合させる非限定的な代表的結合部分としては、ストレプトアビジンまたはアビジン/ビオチン結合、カルバメート結合、エステル結合、アミド、チオールエステル、(N)-官能化チオ尿素、官能化マレイミド、アミノ、ジスルフィド、アミド、ヒドラゾン結合、および他のものが挙げられる。さらに、シリル部分は、当業界に公知の方法を用いてガラスなどの基質に核酸を直接結合することができる。
【0050】
幾つかの実施形態において、同じ体液サンプルから目的の複数の分析物を検出させることができる2つ以上の反応部位がある。幾つかの実施形態において、本発明の趣旨を実施するために必要であり得る2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、もしくはそれ以上の反応部位、または他の任意の数の反応部位が存在する。
【0051】
流体装置における複数の反応部位を有する実施形態において、各反応部位は、異なる反応部位における反応物質とは異なる反応物質と固定化することができる。例えば、3つの反応部位を有する流体装置において、サンプル中の目的の3つの異なる分析物に結合させるために、各々が異なる反応部位に結合している3つの異なるプローブが存在し得る。幾つかの実施形態において、例えば、複数の異なる分析物が単一の反応部位で検出され得るように、複数の検出領域を有するCCDを検出装置として使用する場合、単一反応部位に結合している異なる反応物質が存在し得る。各反応部位における複数の異なるプローブに加えて複数の反応部位を使用する能力は、本発明のハイスループット特性を可能にする。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、流体装置は、全ての液体がアッセイに使用された後、それらを捕捉または捕獲するための少なくとも1つの廃棄物用チャンバを含む。好ましい実施形態において、2つ以上の廃棄物用チャンバがあり、それらのうちの少なくとも1つは、本明細書の下記に説明される較正用アセンブリと共に使用することができる。基板に組み込まれた廃棄物用チャンバはまた、装置を容易に使い捨てすることを可能にする。廃棄物用チャンバは、少なくとも1つの反応部位と流体連絡することが好ましい。
【0053】
これらチャネルのうちの少なくとも1つは典型的には、小さな断面寸法を有する。幾つかの実施形態において、この寸法は、約0.01mmから約5mm、好ましくは、約0.03mmから約3mm、より好ましくは、約0.05mmから約2mmである。流体装置内の流体チャネルは、例えば、限定はしないが、精密注入成形、レーザーエッチング、または本発明の趣旨を実施するために当業界に公知の任意の他の技法により作製することができる。
【0054】
反応部位で生じた所与のアッセイの応答(例えば、フォトンカウント)が、サンプル中の目的の正確な分析物濃度と相関していることを保証するために、応答を検出する(例えば、フォトン検出)前に流体装置を較正することが好ましく有利である。例えば、製造時点での流体装置の較正は、流体装置が使用前に輸送され、温度の変化を受ける可能性があり、その結果、例えば、製造時に実施された較正は、流体装置の構造またはその中に含まれた試薬のその後の変化を効果に入れていないために、正確な分析物濃度が測定されていることを保証するのに不十分である可能性がある。本発明の好ましい実施形態において、流体装置は、サンプルが較正用アセンブリに導入されないことを除いては、成分および設計においてアッセイ用アセンブリを模倣する較正用アセンブリを有する。図3および図4を参照すると、較正用アセンブリは、流体装置2の約半分を占めており、試薬用チャンバ32、反応部位34、廃棄物用チャンバ36、および流体チャネル38を含む。アッセイ用アセンブリと同様に、試薬用チャンバおよび反応部位の数は、流体装置で操作されるアッセイおよび検出される分析物数に依って変わり得る。
【0055】
所望の場合、本発明の流体装置の使用による体液中の分析物に関する信頼性を評価するセンサーを、流体装置、読取り装置と一緒に、および/または本発明のシステムの包装内に提供することができる。このセンサーは、本発明のシステムが正常に操作する操作パラメータにおける変化を検出することができる。この操作パラメータとしては、限定はしないが、本システムの性能に影響を及ぼし得る温度、湿度、および圧力が挙げられる。
【0056】
流体装置および読取りアセンブリは、製造後、一緒にまたは個々に最終使用者に輸送することができる。読取りアセンブリは、複数の流体装置と共に反復して使用されるので、例えば、輸送の間においてこのような変化を検出するために流体装置および読取りアセンブリ双方に対するセンサーを有することが必要となり得る。輸送の間に、圧力または温度の変化は、本システムの多くの構成部品の性能に影響を及ぼす可能性があり、流体装置または読取りアセンブリに配置されるこのようなセンサーは、これらの変化が、例えば、外部装置に中継し得るので、その結果、外部装置での較正の間またはデータ処理の間に調整することができる。例えば、流体装置の圧力または温度が輸送の間にある一定のレベルに達したら、流体装置に配置されたセンサーは、それが使用者により読取りアセンブリに挿入された場合、この変化が生じたことを検出し、この情報を読取りアセンブリに伝えることができる。これを実施するために読取りアセンブリ内に追加の検出装置があってもよく、またはこのような装置が、別のシステム構成部品に組み込まれていてもよい。幾つかの実施形態において、この情報は、読取りアセンブリまたは外部装置のいずれかに無線で伝送することができる。同様に、読取りアセンブリ内のセンサーは、同様の変化を検出することができる。幾つかの実施形態において、システム構成部品の代わりに、またはそれに加えて、さらに輸送包装内にセンサーを有することが望ましいと言える。
【0057】
流体チャネルの製造は、一般に当業界に周知である任意の数の微小製作技法によって実施することができる。例えば、リソグラフィック技法は、フォトリソグラフィックエッチング、プラズマエッチングまたはウェット化学エッチングなどの半導体製造工業で周知である方法を用いて例えば、ガラス、石英またはシリコン基材を製作するのに任意に使用される。あるいは、レーザードリル、マイクロミリングなどのようなマイクロマシニング法が任意に使用される。同様に、ポリマー基材に関しては、周知の製造技法もまた使用することができる。これらの技法としては、射出成形またはスタンプ成形法が挙げられ、多くの基材は、例えば、大型のシートのマイクロスケール基材を製造するローリングスタンプまたは該基材がマイクロ機械加工鋳型内で重合させるポリマーマイクロキャスティング技法を任意に用いて製造する。
【0058】
幾つかの実施形態において、流体装置の種々の層のうちの少なくとも1つは、ポリマー基材から作製することができる。ポリマー材料の非限定例としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン類(PDMS)、ポリウレタン、塩化ポリビニル(PVC)、およびポリスルホンが挙げられる。
【0059】
流体装置は、スタンピング、熱的結合、接着、またはある一定の基材、例えば、ガラス、または半硬質および半硬質ポリマー基材の場合、2つの成分間の自然接着により製造することができる。幾つかの実施形態において、流体装置は、超音波溶接または音響溶接により製造される。
【0060】
図2は、流体装置2が7層からなる本発明の一実施形態を示している。示されている形体は、例えば、アセンブリが流体ネットワークを形成する場合に、層が正しく配置されるようにポリマー基材に刻まれる。幾つかの実施形態において、本発明の目的を実施する流体装置を構築するために、それより多いか、またはそれより少ない層を使用することができる。
【0061】
本発明の目的の1つは、乾燥およびまたは無汚染を続ける必要があり得る読取りアセンブリの構成部品に、流体装置内の流体が接触することを防ぐことであり、また、読取りアセンブリ内の検出装置に対する汚染を防ぐことである。流体装置内の漏れは、流体装置から流出し、読取り装置を汚染する液体、例えば、試薬または廃棄物をもたらし得る。他の実施形態において、おむつに見られるポリマー材料などの液体吸収材料は、廃棄物液体を吸収させるために流体チャネルまたは廃棄物用チャンバの一部に入れることができる。このようなポリマーの非限定例はポリアクリル酸ナトリウムである。このようなポリマー類は、それらの重量の数百倍の流体を吸収することができる。それ故、漏出流体の吸収目標を達成するために、ほんの微量のこのようなポリマー材料を必要とすることができる。幾つかの実施形態において、廃棄物用チャンバには、高吸収性材料により充填される。幾つかの実施形態において、漏出液体を、ゲルまたは他の固体もしくは半固体形態に変換することができる。
【0062】
本システムの別の目的は、流体装置で種々のアッセイを操作することができる流体装置を提供することである。流体装置の本性に依るプロトコルを、外部装置から移動させることができ、読取りアセンブリが流体装置に対する具体的なプロトコルの実施を可能にするよう、読取りアセンブリに保存することができる。好ましい実施形態において、流体装置は、本明細書に記載された識別子(ID)用検出器により検出または読み取られる識別子を有する。次にこの識別子を通信用アセンブリに通信させることができ、次いで外部装置に移動または伝送させることができる。
【0063】
幾つかの実施形態において、この識別子は、よく知られているバーコード読取り装置などの識別子用検出器により読み取ることができる一連の黒線および白線を有するバーコード識別子であり得る。他の識別子は、一連の英数字値、色、隆起バンプ、または流体装置に配置され、識別子用検出器により検出または読み取ることができる任意の他の識別子であり得る。幾つかの実施形態において、この識別子は、保存装置または記憶装置を含むことができ、識別子用検出器に情報を伝送することができる。幾つかの実施形態において、両方の技法を使用することができる。
【0064】
体液サンプルが流体装置に供されたら、それを読取りアセンブリ内に挿入する。幾つかの実施形態において、流体装置は、手動で部分的に挿入され、次いで読取りアセンブリ内の機械的スイッチは、読取りアセンブリ内部に流体装置を正しく自動的に配置する。ディスクまたはカートリッジを装置に挿入するために、当業界に知られた任意の他の機構をさらに使用することができる。幾つかの実施形態において、手動挿入だけを必要とすることができる。
【0065】
幾つかの実施形態において、読取りアセンブリは、流体装置上の識別子の検出または読み取りのための識別子用検出器、検出用アセンブリおよびまた読取りアセンブリの機械的構成部品を自動的に制御する制御器、例えば、流体装置を介して流体を制御するか、または方向付けるためのポンプおよび/またはバルブ、流体装置上のアッセイ操作により引き起こされたシグナルを検出するための検出装置、および外部装置との通信のための通信用アセンブリを備える。
【0066】
識別子用検出器は、通信用アセンブリに通信させる流動体装置上の識別子を検出する。幾つかの実施形態において、識別子用検出器は、流体装置上のバーコードを読み取るバーコードスキャナー様装置であり得る。識別子用検出器は、光を反射し、流体装置の本性を判定するための識別子用検出器により測定される、識別子と相互作用できる光を放射するLEDでもあり得る。
【0067】
好ましい実施形態において、読取りアセンブリは、流体装置内の液体の流れを制御し、方向付けるためのポンプおよび一連のバルブを制御する制御器を収納している。幾つかの実施形態において、読取りアセンブリは、複数ポンプを含むことができる。サンプルおよび試薬は、読取りアセンブリ内のポンプを作動させながら少なくとも1つのバルブを連続的に開閉させることにより生じた真空力により、流体チャネルを介して引っ張られることが好ましい。真空力を引き起こすために、少なくとも1つのバルブおよび少なくとも1つのポンプを用いる方法は周知である。負の引張力が使用することができる場合、正の押力はまた、本発明に従った少なくとも1つのポンプおよびバルブにより発生させることができる。他の実施形態において、流体装置上の流体の動きは、電気浸透作動、毛細管作動、圧電作動、またはマイクロロアクチュエータ作動によるものであり得る。
【0068】
図8および9は、流体装置内の試薬の流れを開始させる代表的な配列を例示している。読取りアセンブリ内の作動プレート18は、降下した場合、上部カバー16を屈曲させる非コアリング針またはピン20を備えるので、それは、強固な可撓性弾性材料から作製されるのが好ましい。しかしながら、次に容易に破裂性のフォイル12は、上部カバー16の屈曲により誘導されるストレスにより破裂される。試薬用チャンバに対して下流に配置されるバルブにより、流体装置内のフォイルの異なる領域が破壊され、試薬用チャンバ6から流体チャネルへと試薬を引っ張る真空力を引き起こすための、読取りアセンブリ内のポンプと協同して作動することができ、次いで試薬の流れを反応部位に方向付けすることができる。少なくとも1つのバルブは、読取りアセンブリ内に収納されたポンプに流体として接続されるのが好ましい。流体装置が読取りアセンブリから取り外されると、非コアリング針またはピン20は、流体装置から除かれる。本実施形態の利点のうちの1つは、少なくとも流体装置のサイズおよびコストを減少させ、使い捨て装置を可能にするオンチップポンプを必要としないことである。
【0069】
反応アセンブリは、流体装置での少なくとも1つのアッセイにより生じたシグナルを検出するための検出用アセンブリを収納していることが好ましい。図1は、本発明の検出装置の代表的な位置を流体装置との係わりについて例示しており、それは流体装置より下にある。検出用アセンブリは、例えば、実施されるアッセイタイプおよび使用される検出機構に基づく流体装置との係わりで、流体装置より上にあってもよく、または異なった向きであってもよい。
【0070】
好ましい実施形態において、光学検出器は検出装置として使用される。非限定例としては、フォトダイオード、光電子増倍管(PMT)、フォトカウンティング検出器、または電荷結合素子(CCD)が挙げられる。幾つかの実施形態において、ピンダイオードを使用することができる。幾つかの実施形態において、ピンダイオードは、PMTと同等の感度を有する検出装置を作製するために増幅器に結合することができる。幾つかのアッセイは、本明細書に記載されたように発光を発生することができる。幾つかの実施形態において、化学発光を検出する。幾つかの実施形態において、検出用アセンブリは、CCD検出器またはPMTアレイに対する束として接続された複数の光ファイバーケーブルを含むことができる。光ファイバー束は、離散ファイバーまたは固形束を形成するために一緒に融合された多数の小ファイバーから構成できる。このような固形束は市販されており、CCD検出器へインターフェースさせることが容易である。
【0071】
幾つかの実施形態において、検出システムは、被験体の特定のパラメータを検出するために非光学検出器またはセンサーを含むことができる。このようなセンサーとしては、酸化または還元される化合物、例えば、O、H、およびI、または酸化性/還元性有機化合物に関して温度、伝導度、電位差、および電流を挙げることができる。
【0072】
通信用アセンブリは、読取りアセンブリ内に収納されることが好ましく、外部装置からのワイヤレス情報を送信および受信できる。このようなワイヤレス通信は、ブルーツースまたはRTM技法であってもよい。種々の通信方法は、モデムとのダイアルアップワイヤ接続など、T1、ISDN、またはケーブルラインなどの直接リンクを利用することができる。好ましい実施形態において、ワイヤレス接続は、セルラー、サテライト、またはページャーネットワーク、GPRS、またはイーサネット(登録商標)もしくはローカルエリアネットワークにわたるトークンリングなど、代表的なワイヤレスネットワークを用いて確立される。幾つかの実施形態において、該情報は、ワイヤレスネットワークにわたって伝送される前に暗号化される。幾つかの実施形態において、通信用アセンブリは、情報の送信および受信のためにワイヤレス赤外線通信用構成部品を含むことができる。
【0073】
幾つかの実施形態において、通信用アセンブリは、記憶装置または保存装置、例えば、採集された情報を保存することができる局在型RAMを有することができる。保存装置は、例えば、一時的にネットワークにワイヤレス接続することができないため、情報が所与の時間で伝送できない場合に必要であり得る。この情報は、保存装置内の流体装置の識別子と関連付けることができる。幾つかの実施形態において、通信用アセンブリは、ある一定の時間量後、保存情報の送信を再試行することができる。幾つかの実施形態において、該記憶装置は、削除10日前の期間、情報を保存することができる。
【0074】
好ましい実施形態において、外部装置は、読取りアセンブリ内の通信用アセンブリと通信する。外部装置は、読取りアセンブリとワイヤレス通信することができるが、また、限定はしないが、患者、医療従事者、臨床医、検査室従事者、または他にヘルスケア従事者など、第三者とも通信することができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、外部装置は、コンピュータシステム、サーバ、または情報を保存できるか、もしくは情報を処理できる他の電子装置であり得る。幾つかの実施形態において、外部装置は、1つまたは複数のコンピュータシステム、複数のサーバ、または情報を保存できるか、もしくは情報を処理できる他の複数の電子装置であり得る。幾つかの実施形態において、外部装置には、被験体情報のデータベース、例えば、限定はしないが、診療記録または被験体の病歴、臨床試験記録、または前臨床試験記録を含むことができる。好ましい実施形態において、流体装置が読取りアセンブリ内に挿入されたことを示す識別子を受信する場合、外部装置は、読取りアセンブリの通信用アセンブリに伝送することができる、流体装置で操作するためのプロトコルを保存している。幾つかの実施形態において、プロトコルは、流体装置の識別子に依存し得る。幾つかの実施形態において、外部装置は、各流体装置に関して2つ以上のプロトコルを保存している。他の実施形態において、外部装置の被験体情報には、2つ以上のプロトコルを含んでいる。好ましい実施形態において、外部サーバは、通信アセンブリから送信されたフォトンカウントを処理し、幾つかの実施形態において、体液サンプル中の分析物濃度を算出するための数理的アルゴリズムを保存している。
【0076】
幾つかの実施形態において、外部装置は、当業界に公知で市販されている1つ以上のサーバを含むことができる。サーバの利用可能性を改善するために、このようなサーバは、負荷平衡、タスク管理、および外部装置の1つ以上のサーバまたは他の構成部品の故障事象でのバックアップ能力を提供することができる。当業界に知られているように、サーバは、保存ユニットおよびプロセッサユニットの分散ネットワーク上でも実施することができ、本発明によるデータ処理は、コンピュータなどのワークステーションにあり、それによってサーバに対する必要性が除かれる。
【0077】
サーバは、データベースおよびシステム処理を含むことができる。データベースは、サーバ内にあり得るか、またはサーバにアクセスできる別のサーバシステムにあり得る。データベースの情報は保護必要な情報を含有し得るので、無認可利用者が該データベースへのアクセス獲得を防止するセキュリティーシステムを実行することができる。
【0078】
本発明の利点の1つは、情報が、外部装置から、読取りアセンブリのみならず、他の団体または他の外部装置、例えば、限定はしないが、PDAまたはセルホンに戻って伝送することができることである。このような通信は、本明細書に開示されたワイヤレスネットワークを介して達成することができる。幾つかの実施形態において、算出された分析物濃度または他の被験体情報を、例えば、限定はしないが、医療従事者または被験体に送信することができる。
【0079】
(使用方法)
本発明の装置およびシステムは、被験体からの体液中に存在するインフルエンザウィルス感染を示す分析物のリアルタイムの検出に有効な手段を提供する。
【0080】
本発明の一態様は、体液サンプルにおけるインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する方法である。該分析物は、A型、B型またはC型のインフルエンザウィルス感染を示し得る。該分析物は、インフルエンザウィルスの少なくとも1つの表面糖タンパク質を含むことができる。代表的な表面糖タンパク質は、限定はしないが、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼである。赤血球凝集素表面タンパク質としては、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16が挙げられる。ノイラミニダーゼ表面タンパク質としては、N1、N2、N3、N4、およびN5が挙げられる。該分析物はまた、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する抗体を含むことができる。
【0081】
本発明の一態様は、複数の分析物を検出する方法であり、それらのうちの少なくとも2つは、体液サンプルにおけるインフルエンザウィルス感染を示す。該分析物は、A型、B型および/またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。該分析物は、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の表面糖タンパク質には、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む。該赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択することができ、該ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、該方法は、赤血球凝集素H5およびノイラミニダーゼN1双方を検出する。一実施形態において、該方法は、同じウィルス粒子(複数可)におけるH5およびN1の検出を提供する(図15を参照)。
【0082】
さらに本発明の一態様は、ウィルス粒子または細胞または細胞断片などの単一実体に組み込まれた複数の分析物を検出するための方法である。この態様において、複数の分析物は、分析物の組み合わせまたは複合体であることが好ましく、それらのうちの少なくとも2つは、体液サンプルにおけるインフルエンザウィルス感染を示す。これらの分析物は、A型、B型またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。複数の分析物は、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質の組み合わせまたは複合体を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の分析物は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼの組み合わせを含む表面糖タンパク質の組み合わせであり得る。該赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択することができ、該ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、分析物の組み合わせは、H5N1の組み合わせなどのインフルエンザの病原性株に関連する。本発明のこの態様は、複数の分析物の組み合わせを検出するために特異的である。それは、H5N1の組み合わせなどの病原性株による感染と、異なる組み合わせの分析物による推定上の感染との間を識別することができる。
【0083】
幾つかの実施形態において、該方法は、インフルエンザウィルスの表面糖タンパク質に対する抗体など、ウィルス抗原に対する複数のヒト抗体を検出する。
【0084】
幾つかの実施形態において、目的の分析物は、体液サンプルにおけるインフルエンザウィルス感染を示す分析物および分析物に対するヒト抗体の複合体であり得る。この分析物は、本明細書に記載されたインフルエンザウィルス感染を示す任の分析物であり得るが、H5赤血球凝集素、N1ノイラミニダーゼ、またはH5およびN1表面糖タンパク質のH5N1複合体であることが好ましい。
【0085】
本発明のさらなる態様は、複数の分析物を検出するための方法であり、少なくとも1つの分析物は、体液サンプルにおけるインフルエンザウィルス感染を示し、また、少なくとも1つの分析物は、ウィルス感染により人体に課せられたストレスを示す体液サンプルにおけるバイオマーカーであるか、または感染に対する身体応答の指標である。インフルエンザウィルス感染を示す少なくとも1つの分析物は、本明細書に記載されたインフルエンザウィルス感染を示す任意の分析物であり得る。ウィルス感染により人体に課せられたストレスを示す代表的なバイオマーカーとしては、限定はしないが、CRP、TNFα、インターロイキンなどが挙げられる。ウィルスに対する身体防御反応を示す代表的なバイオマーカーとしては、ウィルスに対する抗体、特にIgMアイソタイプの抗体が挙げられる。
【0086】
本発明の装置およびシステムは、例えば、疾患診断および疾患検出に有用性のスペクトルを有する。
【0087】
したがって、一実施形態において、本発明は、被験体からの体液におけるインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する方法を提供し、少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを含む流体装置を提供すること;前記流体装置を作動させることおよび前記免疫アッセイ用試薬を前記流体装置内に方向付けること;前記分析物を含有する疑いのある体液サンプルを前記免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれている前記免疫アッセイ用試薬と反応させて、前記体液における前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;および前記体液サンプル中で最初に採集された前記分析物から発生した前記検出可能なシグナルを検出すること、を包含する。1つ以上のこれらの適用のために、約500ul未満の体液サンプルを使用することが好ましい。
【0088】
本明細書に用いられる用語「被験体」および「患者」は交互に使用され、それらは、動物、好ましくはトリ(鳥類)または哺乳動物種(例えば、ヒト)のことである。本明細書に用いられる用語のトリは、家禽を含む。哺乳動物としては、限定はしないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ用動物、およびペットが挙げられる。
【0089】
幾つかの実施形態において、本明細書に用いられる用語「試薬」および「反応物質」は、交互に用いられる。
【0090】
幾つかの実施形態において、体液サンプルを最初に、本明細書に記載された任意の方法により流体装置に提供することができる。次に流体装置を、読取りアセンブリに挿入することができる。読取りアセンブリ内に収納された鑑定検出器は、流体装置の識別子を検出することができ、この識別子を、好ましくは読取りアセンブリ内に収納される通信用アセンブリに通信する。次に通信アセンブリは、識別子を外部装置に伝送し、通信用アセンブリへの識別子に基づいて流体装置において実行するためのプロトコルを伝送する。好ましくは読取りアセンブリ内に収納された制御器は、装置内の流体の動きを制御し、方向付けるために流体装置と相互作用する少なくとも1つのポンプおよび1つのバルブを含む作動要素を制御する。幾つかの実施形態において、アッセイの最初のステップとしては、流体装置内の全ての表面を、洗浄用緩衝剤を用いて濡らす洗浄サイクルである。次いで流体装置は、較正反応部位を介してアッセイに用いられるものと同じ試薬を操作することによって、較正用アセンブリを用いて較正し、次に反応部位からの発光シグナルを検出手段により検出し、このシグナルを、流体装置を較正するのに用いる。分析物を含有するサンプルを、流体チャネル内に導入する。サンプルを希釈し、さらにフィルターで血漿または他の所望の成分に分離することができる。ここで分離サンプルを、反応部位を介して流し、その中に存在する分析物を、反応部位に結合している反応物質と結合させる。次に体液サンプルの血漿を、反応ウェルから廃棄物用チャンバ内に流す。操作されるアッセイに依って、適切な試薬が反応部位を介してアッセイを実施するように方向付けられる。較正ステップなどの種々のステップで用いられた全ての洗浄用緩衝剤および他の試薬を、洗浄用タンクに集める。次に反応部位で生じたシグナルを、本明細書に記載された任意の方法により検出する。
【0091】
種々のアッセイは、本発明による流体装置で実施してサンプル中の目的の分析物を検出することができる。本発明のアッセイを実施するために使用できる多種多様の標識を、当業界で利用できる。幾つかの実施形態において、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段により検出できる。例えば、有用な核酸標識としては、32P、35S、蛍光染料、高電子密度試薬、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテンおよび抗血清またはモノクローナル抗体が利用できるタンパク質が挙げられる。生体成分を標識するのに好適な多種多様の標識は、科学文献および特許文献の双方において広範に報告されており、通常、生体成分の標識のために本発明に適用できる。好適な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光部分、化学発光部分、バイオ発光標識、比色標識、または磁気粒子が挙げられる。標識剤としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、タンパク質、またはアフィニティーマトリックス、炭水化物または脂質などの他のポリマー類が任意に挙げられる。放射性または蛍光マーカーの分光光度的もしくは光学的追跡、またはサイズ、電荷またはアフィニティーに基づく分子を追跡する他の方法など、任意の種々の既知の方法により検出を進める。検出可能な部分は、検出可能な物理的または化学的性質を有する物質であり得る。このような検出可能な標識は、ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、固相基材、分光学的技法などの分野でよく開発されており、一般に、このような方法に有用な標識は、本発明に適用することができる。このように、標識は、限定はしないが、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、熱的または化学的手段により検出できる任意の組成物を含む。
【0092】
幾つかの実施形態において、当業界に周知の方法に従って生成物、基質、または酵素などの、検出される分子に、標識を直接的または間接的に結合する。上記に示されるように、求められる感度、化合物の複合化の容易さ、安定性の要件、利用できる計測器、および使い捨て条件に依って多種多様の標識が用いられる。非放射性標識は、間接的な手段によりしばしば結合される。一般に、リガンド分子は、ポリマーに共有結合される。次にリガンドは、固有に検出可能であるか、または検出可能な酵素、蛍光化合物、または化学発光化合物などのシグナル系に共有結合される抗リガンド分子に結合する。多くのリガンドおよび抗リガンドを使用することができる。リガンドが、天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、チロキシン、およびコルチゾールを有する場合、それは、標識された抗リガンドと組み合わせて使用することができる。あるいは、ハプテン化合物または抗原性化合物のいずれも、抗体と組み合わせて使用することができる。
【0093】
幾つかの実施形態において、標識はまた、シグナル発生化合物、例えば、酵素または蛍光体との結合により直接結合させることができる。標識として対象の酵素としては、主としてヒドロラーゼ類、特にホスファターゼ類、エステラーゼ類およびグリコシダーゼ類、またはオキシドレダクターゼ類、特にペルオキシダーゼ類がある。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、およびウンベリフェロンが挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、およびルミノールおよびジオキセタン類などの2,3-ジヒドロフタラジンジオン類が挙げられる。
【0094】
標識を検出する方法は当業者に周知である。したがって例えば、標識が放射性標識である場合、検出手段としては、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーとしての写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、蛍光色素を適切な光波長により励起させ、生じた蛍光を、例えば、顕微鏡、目視検査により、写真フィルムを介してデジタルカメラ、電荷結合装置(CCD)または光電子増倍管および光電管、または他の検出装置により検出することにより、標識を検出することができる。同様に、酵素標識は、適切な酵素基質を提供し、生じた反応生成物を検出することにより検出する。最後に、簡便な比色標識は、標識に関連する色を観察することにより、しばしば簡便に検出される。例えば、複合体化金はピンクで出現することが多いが、一方、種々の複合体化ビーズはビーズの色で出現する。
【0095】
幾つかの実施形態において、検出可能なシグナルを発光源により提供できる。「発光」とは、その温度上昇以外に何らかの理由で物質からの光の放射を称するために通常使用される用語である。一般に、原子または分子は、それらが「励起状態」から低エネルギー状態(通常基底状態)に移動する場合に電磁気エネルギーのフォトン(例えば、光)を放射する。多くの励起原因がある。励起原因がフォトンである場合、発光過程は「光発光」と称される。励起原因が電子である場合、発光過程は「電子発光」と称される。さらに具体的には、電子発光は、電子ホール対を形成するために電子の直接注入および除去、および引き続きフォトンを放射させるために電子ホール対の組換えから生じる。化学反応から生じる発光は、通常「化学発光」と称される。生物により生じた発光は、通常「生物発光」と称される。光発光がスピン許容遷移(例えば、シングレット-シングレット遷移、トリプレット-トリプレット遷移)の結果である場合、光ルミネセンス過程は、通常「蛍光」と称される。典型的に、このようなスピン許容遷移を介して迅速に緩和し得る短寿命励起状態の結果、励起原因が除かれた後、蛍光放射は持続しない。光発光が、スピン禁制遷移(例えば、トリプレット-シングレット遷移)の結果である場合、光発光過程は、通常「リン光」と称される。典型的に、このようなスピン禁制遷移を介してのみ緩和し得る長寿命励起状態の結果、励起原因が除かれた後、リン光放射は長く持続する。「蛍光標識」は、上記の性質のいずれか1つを有し得る。
【0096】
好適な化学発光源としては、化学反応によって電子的に励起され、次いで検出可能なシグナルとして役立つか、またはエネルギーを蛍光受容体に付与する光を放射し得る化合物が挙げられる。多様な数の化合物ファミリーが見出されており、多様性または複数の条件下で化学発光を提供する。化合物のなかの1つのファミリーは、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンである。使用されることが多い化合物は5-アミノ化合物であるルミノールである。このファミリーの他のメンバーとしては、5-アミノ-6,7,8-トリメトキシ-およびジメチルアミノ[ca]ベンズ類縁体が挙げられる。これらの化合物は、アルカリ性過酸化水素または次亜塩素酸カルシウムおよび塩基により発光体に製造することができる。化合物のなかで別のファミリーは、親生成物に対する一般名としてロフィン(lophine)の2,4,5-トリフェニルイミダゾール類である。化学発光類縁体は、パラ-ジメチルアミノおよび-メトキシ置換基を含む。化学発光体はまた、塩基性条件下、オキサラート、通常オキサリル活性エステル類、例えば、p-ニトロフェニルおよび過酸化水素などのペルオキシドにより得ることができる。また、知られている他の有用な化学発光化合物としては、N-アルキルアクリジニウムエステル類およびジオキセタン類が挙げられる。あるいは、ルシフェリン類は、ルシフェラーゼまたはルシゲニン類と協同して使用して生物発光を提供することができる。
【0097】
幾つかの実施形態において、免疫アッセイは、流体装置で操作される。当業界に周知である競合的結合アッセイは、幾つかの実施形態において操作され得るが、ある一定の実施形態において、ごく少量のサンプルおよび複合体が用いられる場合、結合体とサンプルとの混合物を、本発明の流体装置におけるものとして望ましいと考えられる抗体に暴露させる前に結合体とサンプルとを混合する必要性を排除する2段階法を用いる。2段階アッセイは、本明細書に記載された流体装置と共に使用された場合、競合的結合アッセイよりもさらなる利点を有する。それは、サンドイッチ(競合結合)免疫アッセイ使用の容易さおよび高感度と、小型分子をアッセイする能力とを組合せることである。
【0098】
図10に示される代表的な2段階アッセイにおいて、分析物(「Ag」)を含有するサンプルは最初に、抗体(「Ab」)を含有する反応部位上に流れる。この抗体は、サンプルに存在する分析物を結合する。サンプルが表面上を通過したら、高濃度でマーカーに結合した分析物(「標識されたAg」)を有する溶液は、該表面を通過する。この結合体は、未だ分析物を結合していない抗体を飽和させる。平衡に達する前に、また結合前の未標識分析物の置換を生じる前に、高濃度の結合体溶液を洗浄する。次に、該表面に結合された結合体量を、適切な技法により測定し、検出された結合体は、サンプルに存在する分析物量に逆比例する。
【0099】
2段階アッセイに関する代表的な測定技法は、図11に示される化学発光酵素免疫アッセイである。本分野に知られているように、該マーカーは、発光はしないが、例えば、アルカリホスファターゼによる加水分解後に発光するジオキシタン-ホスフェートなどの市販のマーカーであり得る。アルカリホスファターゼなどの酵素はまた、該マーカーに発光(luminesce)を生じさせる基質上を通過する。幾つかの実施形態において、基質溶液は、限定はしないが、発光団単独よりもはるかに輝くシグナルを引き起こす混合ミセル中のフルオレセイン、溶解性ポリマー類、またはPVCなどの増強剤で補充される。さらに、市販のアッセイに使用されるよりも高ターンオーバー数を有するアルカリホスファターゼ結合体を使用する。これにより、はるかにより迅速にシグナル発生を進行させることが可能となり、より高い総合的なシグナルを達成する。2段階化学発光酵素免疫アッセイ(TOSCA)の感度増加を図12に例示する。図12は、ピコモル濃度の分析物に関して、TOSCAが、競合結合アッセイよりも強いシグナル(より高感度)を提供できることを示している。したがって、2段階結合アッセイの使用は、本発明のより高感度の性能に役立っている。
【0100】
さらに、TOSCAは、マトリックス効果に対して他の方法論よりも感度が低い。これは、例えば、固相抽出およびクロマトグラフィーなどの標準的な実験室的技法を用いて、予め広範に処理されなかったサンプルを用いて作業することができる。理想的でないサンプルをアッセイし、所望の感度を維持するTOSCAの能力を図13に例示する。全てのサンプル調製物(および希釈液)に関して、競合結合アッセイと比較して、TOSCAは、競合結合よりも良好な感度を有する。
【0101】
流体装置上で操作できる1つの有用な免疫アッセイは、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)である。一般に、ELISAの実施は、対象の抗原(すなわち、インフルエンザウィルス感染を示す分析物)を結合できる少なくとも1つの抗体を含む。対象の抗原を含有するか、または含有する疑いのあるサンプルを、支持体(例えば、マイクロタイタープレート、ウェルまたは固定のための表面を有する他の支持体)上に、非特異的に(例えば、表面への吸着を介して)または特異的に(例えば、「サンドイッチ」ELISAにおいて同じ抗原に特異的な別の抗体による捕捉を介して)固定化する。抗原が固定化された後、検出抗体を加えて抗原との複合体を形成する。検出抗体は、酵素に結合できるか、またはそれ自体、二次的抗体により検出でき、次に酵素に結合する。結合酵素のための基質の添加の際に、サンプル中の抗原存在および/または量を示す検出可能なシグナルが生じる。基質の選択は結合される酵素に依る。好適な基質としては、蛍光原基質および色素生成基質が挙げられる。当業者は、検出されるシグナルを増加させるために修飾できるパラメータならびに当業界に公知のELISAの他の変化に関して見識があるであろう。
【0102】
図14は典型的なELISAを例示している。示されるように固相捕捉表面は、希釈血漿(サンプル)を添加できる第一の結合抗体を含むことができる。サンプル中に存在する場合の分析物は、第一の抗体に結合することができ、固定化することができる。例えば、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)に結合された(coupled)または結合された抗体を含む酵素試薬を添加することができる。該酵素試薬の抗体部分が分析物に結合し得る場合、次に酵素試薬もまた、捕捉表面において固定化される。酵素のための基質の添加は、効果、例えば、示されるように測定およびプロットすることができる光を生じる産物をもたらすことができる。この方法で、サンプル中に存在する分析物の量を測定することができる。
【0103】
図15は、本発明の流体装置による使用のための代表的なELISAを例示している。示されるように、該装置の固相捕捉表面は第一の抗体、すなわち、表面が固定化され、試験抗原に特異的である(例えば、ウィルス上のノイラミニダーゼに特異的な抗体)「固相抗体1」を含むことができる。試験抗原が固相抗体1に曝された試験サンプル(例えば、血液)に存在する場合、試験抗原を捕捉表面に固定化(捕捉)させることができる。引き続き、第二の試験抗原に特異的であり、試験サンプル(例えば、血液)後に添加することができる、「酵素標識抗体2」(例えば、ウィルス上の赤血球凝集素に特異的な酵素標識抗体)として示される結合された検出可能な化合物を含む第二の抗体を提供する。捕捉表面での第二の結合抗体の結合、引き続く検出により、試験サンプル中の第一および第二の試験抗原の存在を示すことができる。使用において、第一および第二の試験抗原は、本明細書に記載されたノイラミニダーゼおよび赤血球凝集素のいずれをも含むことができる。
【0104】
異なる第一および第二の抗原(および抗体)は、例示された実施例に使用されるが、同じ抗体の2つの形態(すなわち、抗原捕捉のための固定化固相形態および検出のための酵素標識形態)を用いて検出することができることが想定される。
【0105】
本発明に従った用語の「分析物」は、限定はしないが、薬物、プロドラッグ、医薬品、薬物代謝物、発現タンパク質および細胞マーカーなどの生物マーカー、抗体、抗原、ウィルス、血清タンパク質、コレステロール、多糖類、核酸、生物学的分析物、生物マーカー、遺伝子、タンパク質、またはホルモン、もしくはそれらの任意の組み合わせ含む。分子レベルにおいて、分析物は、ポリペプチド 糖タンパク質、多糖類、脂質、核酸、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0106】
対象となる生物マーカーは、特定の疾患または特定の疾患段階に関連する。このような分析物としては、限定はしないが、自己免疫疾患に関連するものが挙げられる。
【0107】
また、微生物を示す分析物は対象となる。代表的な微生物としては、限定はしないが、細菌、ウィルス、真菌類および原生動物が挙げられる。
【0108】
該分析物は、A型、B型またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。該分析物は、インフルエンザウィルスの少なくとも1つの表面糖タンパク質を含むことができる。代表的な表面糖タンパク質は、限定はしないが、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼである。赤血球凝集素表面タンパク質としては、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16が挙げられる。ノイラミニダーゼ表面タンパク質としては、N1、N2、N3、N4、およびN5が挙げられる。
【0109】
本発明の一態様は、複数の分析物を検出するシステムであり、それらのうちの少なくとも2つは、体液サンプル中に存在するインフルエンザウィルス感染を示す。該分析物は、A型、B型またはC型のインフルエンザウィルス感染を示すことができる。該分析物は、インフルエンザウィルスの複数の表面糖タンパク質を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の表面糖タンパク質には、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む。該赤血球凝集素は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、およびH16よりなる群から選択することができ、該ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、およびN5よりなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、赤血球凝集素はH5であり、ノイラミニダーゼはN1である。このシステムは、特定の目的の分析物を検出することができ、および/または定量することができる。
【0110】
ウィルス抗原または該抗原に対する抗体の存在を検出することによって、例えば、流体装置は、被験体からの体液サンプル中の一タイプのインフルエンザウィルスの存在を検出することができる。
【0111】
また、本発明の方法により検出することができる分析物としては、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、大腸菌(Escherichia coli)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MSRA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ブドウ球菌ホミニス(Staphylococcus hominis)、腸球菌フェイカリス(Enterococcus faecalis,)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ブドウ球菌キャピチス(Staphylococcus capitis)、ブドウ球菌ワルネリ(Staphylococcus warneri)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influnzae)、ブドウ球菌シムランス(Staphylococcus simulans)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)よりなる非限定群から選択される血液媒介性病原菌が挙げられる。
【0112】
本発明の方法により検出することができる分析物はまた、以下のものから選択される種々の性行為感染症を包含する:淋病(淋菌(Neisseria gorrhoeae))、梅毒(トレポネナパリダム(Treponena pallidum))、クラミジア(トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis))、非淋菌性尿道炎(ウレアプラスマウレアリチカム(Ureaplasm urealyticum))、酵母感染(カンジダアルビカンス(Candida albicans))、軟性下疳(軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi))、トリコモナス症(膣トリコモナス症(Trichomonas vaginalis))、陰部疱疹(I型およびII型HSV)、I型HIV、II型HIVおよびA型、B型、C型、G型肝炎、ならびにTTVにより引き起こされる肝炎。
【0113】
幾つかの実施形態において、本発明は、直接的に病原体の検出により、または間接的に、例えば、病原体(例えば、ウィルス抗原)に関連する分析物の検出により、またはなおさらに、病原体に関連する成分または産物に対する抗体(例えば、ウィルス抗原に対する抗体)の検出によって、感染のモニタリングを提供することを想定している。また、病原体に対する免疫関連応答を介して、病原体を間接的に検出できることを想定している。病原体の検出は、病原体に対する無症候性または症候性である被験体からの試験サンプルに対して実施することができる。病原体の検出は、病原体による感染前、感染中または感染後の被験体からの試験サンプルに対して実施することができる。早期段階の感染(例えば、幾つかの場合に無症候性感染)、または後期の感染のいずれも対象の病原体についてモニターすることができることをそれなりに想定している。
【0114】
被験体からのサンプル中の広範囲の病原体の濃度を、本発明を用いて上記に検討されたように直接的または間接的に検出することができる。試験サンプル中に存在する病原体量は、当業界に周知の多くの方法のうちのいずれかで表すことができる。非限定例により、病原体数は、ウィルス負荷量(例えば、感染がウィルス感染の場合)、感染単位(IU)、および/または100万の細胞または1ミリリットル当りの感染単位(IUPM)として表すことができる。一実施例において、本発明を用いてサンプル1 ml当り100 IUからサンプル1ml当り1×10 IUの濃度まで試験サンプル中の病原体を検出することができるを想定している。別の実施例において、本発明を用いてサンプル1ml当り100 IUからサンプル1ml当り1000 IUまで病原体を検出することができる。さらに別の実施例において、本発明を用いてサンプル1ml当り1,000 IUからサンプル1ml当り1×10 IUまで病原体を検出することができる。
【0115】
別の実施形態において、本発明は、抗インフルエンザ治療剤の有効性および/または毒性の評価に有用な2つ以上の薬理学的パラメータをモニタリングする方法を提供する。該方法は、抗インフルエンザ治療剤で投与された被験体からの体液サンプルを、前記2つ以上の薬理学的パラメータをモニタリングするための流体装置に供することを含み、前記流体装置は、少なくとも1つのサンプル採集ユニット、および反応試薬を含むアッセイ用アセンブリを含み;前記流体装置を働かせ、前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付け;前記体液サンプルと、免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプルから2つ以上の薬理学的パラメータの値を示す検出可能なシグナルを生じさせ;前記体液サンプルから発生した前記検出可能なシグナルを検出する。所望の場合、該方法は、被験体に通信されたワイヤレスシグナルにより指令された時間間隔でそのステップを反復することをさらに含む。
【0116】
本発明の目的のために、「治療剤」は、治療有用性および/または治療可能性を有するいずれの物質を含むことが意図されている。このような物質としては、限定はしないが、単純または複雑な有機または無機分子、ペプチド類、タンパク質類(例えば、抗体類)またはポリヌクレオチド類(例えば、アンチセンス)などの生物学的または化学的化合物が挙げられる。化合物の膨大なアレイは、例えば、ポリペプチド類およびポリヌクレオチド類などのポリマー類、および種々のコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができ、これらはまた、用語の「治療剤」に含まれる。さらに、種々の天然源は、例えば、植物または動物抽出物などをスクリーニングするための化合物を提供することができる。必ずしも明白に述べられてはいないが、当然のことながら、該治療剤は、単独または本発明のスクリーンにより同定された治療剤と同じかまたは異なる生物活性を有する別の治療剤と組み合わせて使用される。該治療薬および方法もまた他の治療と組み合わされるよう意図されている。
【0117】
本発明による薬力学的(PD)パラメータとしては、限定はしないが、温度、心拍数/脈拍、血圧、および呼吸速度などの物理的パラメータ、タンパク質、細胞、および細胞マーカーなどの生物マーカーが挙げられる。生物マーカーは、疾患を示し得るか、または薬物作用の成績であり得る。本発明による薬物動態学的(PK)パラメータとしては、限定はしないが、薬物濃度および薬物代謝物濃度が挙げられる。サンプル容量からリアルタイムでPKパラメータの同定および定量は、薬物の適切な安全性および有効性にとって極めて望ましいことである。薬物濃度および代謝物濃度が所望の範囲外であるか、および/または予想外の代謝物が、薬物に対する予想外の反応により産生される場合、被験体の安全性を確保するために即時の処置が必要となり得る。同様に、薬力学的(PD)パラメータのいずれかが、治療措置中に所望の範囲外にある場合、同じく即時の処置をする必要があり得る。
【0118】
好ましい実施形態において、物理的パラメータデータは、ゲノム薬理学および薬物動態データを毒性および投薬の判定のためにそのモデルに組み込む外部装置上にあり得る生命情報科学システム内の物理的パラメータデータのプロフィールの中に保存するか、または該プロフィールを保存するために比較する。現行の過程前数年の臨床試験に関するこのデータを作出するのみならず、リアルタイムの継続モニタリングにより薬物の明白な有効性と実際の毒性との間の現行の不一致を除外することができる。臨床試験における決定プロセスの進行/停止の間に、大型スケールの比較集団試験は、データベースに保存されたデータを用いて実施することができる。このデータの編集およびリアルタイムのモニタリングにより、安全様式で現行よりも早く、さらなる被験体を臨床試験に登録することができる。別の実施形態において、癌試験において薬物経路および有効性を判定する上で精度の改善のために該装置により、ヒト組織試験で発見された生物マーカーを標的にすることができる。
【0119】
別の実施形態において、本発明は、被験体からの体液中の異なる濃度のインフルエンザウィルス感染を示す少なくとも2つの異なる分析物を検出する方法を提供し、サンプル採集ユニット、アッセイ用アセンブリ、および前記サンプル採集ユニットおよび/または前記アッセイ用アセンブリが流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供すること;体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれる複数の反応物質とを反応させて、前記少なくとも2つの分析物の濃度を示すシグナルを生じさせ;前記シグナルが3桁の範囲にわたって検出可能である少なくとも2つの異なる分析物の有無を示す前記シグナルを検出することを包含する。
【0120】
現在、インフルエンザウィルス感染を示す2つ以上の分析物を検出する必要性があり、該分析物は、幅広く変わる濃度範囲で存在し、例えば、1つの分析物はpg/ml濃度であり、別の分析物はng/ml濃度である。化学発光-ELISAは、幅広い濃度範囲で同じサンプル中に存在する分析物を同時にアッセイする能力を有する。幅広い濃度範囲で存在する異なる分析物の濃度を検出できる別の利点は、これらの分析物の濃度比を、被験体に投与される複数薬物の安全性と有効性に関連させる能力である。例えば、予想外の薬物-薬物相互作用は、薬物有害反応の共通の原因であり得る。異なる分析物を測定するためにリアルタイムの同時測定技法は、有害な薬物-薬物相互作用の潜在的に悲惨な結果を回避するのに役立つと思われる。
【0121】
1人の被験体において経時的に分析物濃度またはPDまたはPKの変化率をモニタリングできること、または分析物濃度、PD、またはPKが、薬物濃度か、または薬物の代謝物濃度であるかを分析物濃度、PD、またはPKに対する傾向分析を実施することは、潜在的に危険な状態を防止するのに役立ち得る。例えば、グルコースが目的の分析物である場合、所与の時間でサンプル中のグルコース濃度ならびに所与の期間にわたってのグルコース濃度の変化率は、例えば、低血糖事象を予測し、回避する上で大いに有用となり得る。このような傾向分析は、薬物投薬計画において普及した有益で密接な関係がある。複数の薬物およびそれらの代謝物が関係している場合、傾向をスポットし、順向測定をとる能力は、望ましいことが多い。
【0122】
したがって、本発明は、被験体におけるインフルエンザウィルス感染を示す分析物の濃度に対する傾向分析を実施する方法を提供する。該方法は、a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ、前記サンプル採集ユニットおよび/または前記免疫アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供すること;b)前記流体装置を働かせて前記流体装置内の前記免疫アッセイ用試薬を方向付けすること;c)体液サンプルと、前記アッセイ免疫アッセイ用アセンブリ内に含まれた前記免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記サンプル中に前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;d)前記体液サンプル中に採集された前記分析物から生じた前記検出可能なシグナルを検出すること;およびe)前記分析物の濃度を検出するために、1人の被験体に対して経時的にステップa)からd)を反復し、それによって前記傾向分析を実施すること、を包含する。
【0123】
幾つかの実施形態において、外部装置から伝送されるアッセイを用いて被験体からの体液中のインフルエンザウィルス感染を示す分析物を検出する方法を提供する。該方法は、少なくとも1つのサンプル採集ユニットおよび免疫アッセイ用試薬を含有する免疫アッセイ用アセンブリ含む流体装置を提供すること;前記流体装置を検出し、免疫アッセイプロトコルをワイヤレスで前記装置に伝送すること;体液サンプルと、免疫アッセイ用試薬とを反応させて、前記伝送された免疫アッセイプロトコルを用いて前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;および前記検出可能なシグナルを検出すること、を包含する。
【0124】
読取りアセンブリと外部保存装置との間の通信により、本発明の読取りアセンブリが、流体装置の本性に基づく流体装置上で操作するための流体装置に特定のプロトコルをダウンロードすることを可能にする。これにより、読取りアセンブリは、本明細書に記載された任意の適切な流体装置と交互に使用できる。さらに、外部装置は、所与の流体装置に関連する複数のプロトコルを保存することができ、例えば、インフルエンザウィルス感染を示す種々の分析物を検出するために、被験体の治療管理または治療計画に依って、種々のプロトコルを外部装置から流体装置上で操作される読取りアセンブリへ通信することができる。プロトコルが被験体ならびに流体装置に関連することができるように、外部装置はまた、流体装置のみならず、特定の被験体または複数の被験体に関連する複数のプロトコルを保存することができる。
【0125】
本発明は、被験体の薬理学的パラメータの自動的定量、ならびにパラメータと、例えば、モニターされたパラメータの履歴を含むことができる被験体の診療記録、または別の群の被験体の診療記録との自動的比較を可能にする。リアルタイムの分析物モニタリングと、データを保存でき、ならびに任意のタイプのデータ処理またはアルゴリズムを実施できる外部装置との連結は、例えば、現在の被験体データと過去の被験体データとの比較を含むことができる、例えば、典型的な被験体の医療を援助できる装置を提供する。したがって、本発明は、医療従事者により現在実施される対象の少なくとも一部を効果的に実施する事業方法を創製する。
【0126】
想定されたネットワークの重要な利点の1つが、図20に例示される。全ての情報が、インターネットを通して安全に通信路が形成されるので、このことにより、適切な臨床的、規制および事業ニーズを満足させながら、種々の被験体関係者との情報の同時共有を可能にする。
【0127】
幾つかの実施形態において、本発明は、ハンドヘルド装置を介して被験体の薬理学的パラメータを伝送する方法を提供し、少なくとも1つのサンプル採集ユニットおよびアッセイ用アセンブリを備える流体装置を提供すること;体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれている反応物質とを反応させてインフルエンザウィルスを示す前記分析物の存在を示す検出可能なシグナルを生じさせること;前記検出可能なシグナルを検出すること;前記シグナルを外部装置に伝送すること;前記外部装置内で前記シグナルを処理すること;およびハンドヘルド装置を介して前記処理シグナルを伝送すること、を包含する。
【0128】
本発明の1つの利点は、アッセイ結果を、その結果を得ることによって利益を得ることができる任意の第三者に実質的に即時通信できることである。例えば、分析物濃度が外部装置で測定されたら、それを、さらに行動をとる必要があり得る患者または医療従事者に伝送することができる。第三者への通信ステップは、本明細書に記載されたようにワイヤレスで実施することができ、このデータを第三者のハンドヘルド装置への伝送により、第三者は、実質的にはいつでもかつどこでもアッセイ結果を知ることができる。したがって、時間に鋭敏なシナリオにおいて、緊急な医療行為が必要とされ得る場合、患者は、どこでも直ちに接触することができる。
【0129】
幾つかの実施形態において、流体装置上で操作するためのプロトコルを自動的に選択する方法は、識別子検出器および識別子を備える流体装置を提供すること;前記識別子検出器により前記識別子を検出すること;前記識別子を外部装置に転送すること;および前記流体装置上で操作するプロトコルを、前記識別子に関連する前記外部装置に対する複数のプロトコルから選択すること、を包含する。
【0130】
流体装置が読取りアセンブリに挿入された後、流体装置に関連する識別子に基づく各流体装置を検出することによって、本発明のシステムは、流体装置に特定のプロトコルを外部装置からダウンロードさせ、流体装置上で操作させることが可能となる。幾つかの実施形態において、外部装置は、流体装置に関連するか、または特定の被験体もしくは被験体群に関連する複数のプロトコルを保存することができる。例えば、該識別子が、外部装置に伝送される場合、外部装置上のソフトウェアは該識別子を得ることができる。一旦得られたら、データベースなどの外部装置上のソフトウェアは、該識別子を使用して識別子に関連してデータベース内に保存されたプロトコルを確認することができる。1つだけのプロトコルが該識別子に関連する場合、例えば、データベースはそのプロトコルを選択することができ、次いで外部装置上のソフトウェアは、該プロトコルを、読取りアセンブリ上の通信用アセンブリへ伝送することができる。流体装置と明確に関連するプロトコルを使用する能力により、任意の適切な流体装置を単一の読取りアセンブリと共に使用することが可能になり、したがって、実質的に目的の分析物のいずれも、単一読取りアセンブリにより検出することができる。
【0131】
幾つかの実施形態において、複数のプロトコルを、単一の識別子に関連させることができる。例えば、同じ被験体から、一分析物を週に1回、別の分析物を週に2回、検出することが有利である場合、識別子が検出された際に、外部装置上のソフトウェアが週のその日に関連する特定のプロトコルを選択できるように、識別子に関連した外部装置に対するプロトコルを、各々週の異なる日に各々を関連させることができる。
【0132】
幾つかの実施形態において、被験体に、種々の分析物を検出するのに使用する複数の流体装置を供することができる。例えば、被験体は、週の異なる日に異なる流体装置を使用することができる。幾つかの実施形態において、プロトコルを有する識別子と関連している外部装置上のソフトウェアは、この日と、例えば、臨床試験に基づいて流体装置を使用する日とを比較するための工程を含むことができる。例えば、週の2つの日が同じでない場合、読取りアセンブリ内に間違った流体装置があること、また、その日に使用する正しい流体装置を被験体に知らせるために、外部装置は、本明細書に記載されているか、または当業界に知られた任意の方法を用いて、被験体にワイヤレスでその通知を送信することができる。この例は、単に例示的であり、例えば、流体装置が1日の正しい時点で使用されていないことを被験体に知らせることなど容易に拡張することができる。
【0133】
幾つかの実施形態において、本発明は、試験動物から抗インフルエンザ医薬品の有効性および/または毒性の評価に有用な薬理学的データを得る方法を提供する。該方法は、a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、アッセイ用アセンブリ;および前記サンプル採集ユニットおよび/または前記アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供するステップと;b)約50ul未満の生体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させて、薬理学的パラメータを示す前記サンプル中に最初に採集されたインフルエンザウィルス感染を示す分析物から生じた検出可能なシグナルを得るステップと;c)前記検出可能なシグナルを検出するステップと;およびd)同じ試験動物からの生体液の第二のサンプルを用いて反応ステップと検出ステップとを反復するステップと、を含む。関連する実施形態において、本発明は、a)少なくとも1つのサンプル採集ユニット、アッセイ用アセンブリ;および前記サンプル採集ユニットおよび/または前記アッセイ用アセンブリと流体連絡する複数のチャネルを備える流体装置を提供すること;b)生体液サンプルと、前記アッセイ用アセンブリ内に含まれた反応物質とを反応させて、薬理学的パラメータを示す前記サンプル中に最初に採集された分析物から生じた検出可能なシグナルを得ること;c)前記検出可能なシグナルを検出すること;およびd)動物を麻酔に供さず、同じ試験動物からの生体液の第二のサンプルを用いて反応ステップと検出ステップとを反復すること、を包含する方法を提供する。
【0134】
抗インフルエンザ医薬品の前臨床試験において実験室動物を用いる場合、目的の分析物を検出するアッセイを実施するのに十分な血液を取り出すために、試験被験体を殺処理することがしばしば必要である。このことは、財政的および倫理的双方の意味があり、動物を殺処理する必要のないように、試験動物から血液量を抜き取るができることは、それなりに有利となり得る。さらに、このことはまた、同じ試験動物を、異なった時間で複数の医薬品を用いて試験させることを可能とし、したがって前臨床試験をより効果的にさせる。マウスの全血容量は、平均すると体重100グラム当り6~8mLの血液である。本発明の利点は、マウスまたは他の小型実験室動物に対して前臨床試験を実施するために、ほんのごく少量の血液が必要であることである。幾つかの実施形態において、約1マイクロリットルと約50マイクロリットルとの間が抜き取られる。好ましい実施形態において、約1マイクロリットルと約10マイクロリットルとの間が抜き取られる。好ましい実施形態において、約5マイクロリットルの血液が抜き取られる。
【0135】
生きた試験動物を維持するさらなる利点は、前臨床の経時的試験において明白である。例えば、複数のマウスが、試験被験体の体液中の分析物のレベルを経時的にモニターするために使用される場合、複数の被験体を用いて該被験体からの付加変量が、試験に導入される。しかしながら、単一の試験動物が、経時的にそれ自体が対照として使用できる場合、より正確かつ有利な前臨床試験を実施することができる。
【0136】
本発明の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されるが、このような実施形態が例としてのみで提供されることは、当業者にとって明白であろう。ここで多数の変更、変化、および代替は、本発明から逸脱することなく当業者に生じるであろう。当然のことながら、本明細書に記載された本発明の実施形態に対する種々の代替物は、本発明を実施するのに使用することができる。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物は、それによって包含されるように意図されている。
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