(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087157
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】燃料電池スタックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/248 20160101AFI20220602BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220602BHJP
H01M 8/028 20160101ALI20220602BHJP
【FI】
H01M8/248
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/028
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022056313
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019571627の分割
【原出願日】2018-06-22
(31)【優先権主張番号】1710187.4
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リー・リーズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン・フリーマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・バラード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ドマンスキー
(72)【発明者】
【氏名】エレン・エルターク
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ロバートソン
(57)【要約】
【課題】従来技術を改善する燃料電池スタックアセンブリを提供すること。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの燃料電池スタック(30)がその上に取り付けられる金属ベースプレート(20)および金属エンドプレート(40)を備える改善された燃料電池スタックアセンブリ(10)に関し、各スタックは、少なくとも1つの燃料電池(101、102)および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(110)を備える少なくとも1つの燃料電池スタック層(50)を備え、スカート(130)が、ベースプレートおよびエンドプレートに付着されてスタックを封入し、スタックを通る圧縮力を維持するようにそれらの間での張力下にあり、それによってタイバーの必要性を取り除く。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)金属ベースプレートと、
(ii)前記金属ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタックと、
(iii)金属エンドプレートと、
を備える金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備え、
スカートが、前記少なくとも1つの燃料電池スタックを封入するために前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートに付着され、かつ前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に付着され、前記少なくとも1つの燃料電池スタックを通る圧縮力を維持するために前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートへの張力及び前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間の張力下にあることを特徴とする、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項2】
前記スカートは、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、
前記金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリはさらに、前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に位置する少なくとも1つの膨張板を備え、
前記少なくとも1つの膨張板は、前記スカートのそれよりも大きい熱膨張係数を有する、請求項1に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの燃料電池スタックの外部表面と前記スカートの隣接内部表面との間に位置する少なくとも1つの電気絶縁性ガスケットをさらに備える、請求項1または2に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの燃料電池スタックと電気接触する第1および第2のエンドポールをさらに備え、前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートは、前記少なくとも1つの燃料電池スタックから電気的に分離される、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項5】
前記スカートは、金属スカートである、請求項1から4のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項6】
前記スカートは、溶接によって、前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートに付着され、かつ前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に付着される、請求項1から5のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ。
【請求項7】
(a)(i)金属ベースプレート、
(ii)前記金属ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック、および
(iii)金属エンドプレートをアセンブルするステップであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備える、ステップと、
(b)圧縮手段を使用して前記少なくとも1つの燃料電池スタックを通って圧縮力を印加するステップと、
(c)前記少なくとも1つの燃料電池スタックを封入するためにスカートを前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートに付着し、かつ前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に付着するステップと、
(d)前記少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重が、前記スカート内の張力を通じて維持されるように、前記圧縮手段を除去するステップと、
を含む、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを形成する方法。
【請求項8】
前記スカートは、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、
前記金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリはさらに、前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に位置する少なくとも1つの膨張板を備え、
前記少なくとも1つの膨張板は、前記スカートのそれよりも大きい熱膨張係数を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)はさらに、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの外部表面と前記スカートの隣接内部表面との間に位置する少なくとも1つの電気絶縁性ガスケットを挿入するステップを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記スカートは、複数のスカートセクションを備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スカートは、第1のスカートセクションおよび第2のスカートセクションを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スカートは、金属スカートである、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スカートは、溶接によって、前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートに付着され、かつ前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に付着される、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(a)(i)金属ベースプレート、
(ii)前記金属ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック、および
(iii)金属エンドプレートをアセンブルするステップであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備える、ステップと、
(b)前記少なくとも1つの燃料電池スタックを通って第1の圧縮力を印加するステップと、
(c)前記少なくとも1つの燃料電池スタックを封入するためにスカートを前記金属ベースプレートおよび前記金属エンドプレートに付着し、かつ前記金属ベースプレートと前記金属エンドプレートとの間に付着するステップと、
(d)前記第1の圧縮力を除去するステップであって、それによって前記少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重が、前記スカート内の張力を通じて維持される、ステップと、
を含む、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された燃料電池スタックアセンブリ配置に関し、より詳しくは燃料電池スタック圧縮配置、およびそれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池、燃料電池スタック、燃料電池スタックアセンブリ、ならびに熱交換器システム、配置および方法の教示は、当業者によく知られており、特に国際公開第02/35628、国際公開第03/07582、国際公開第2004/089848、国際公開第2005/078843、国際公開第2006/079800、国際公開第2006/106334、国際公開第2007/085863、国際公開第2007/110587、国際公開第2008/001119、国際公開第2008/003976、国際公開第2008/015461、国際公開第2008/053213、国際公開第2008/104760、国際公開第2008/132493、国際公開第2009/090419、国際公開第2010/020797、国際公開第2010/061190、国際公開第2015/004419、国際公開第2015/136295、国際公開第2016/124929、国際公開第2016/124928、国際公開第2016/128721および国際公開第2016/083780を含む。本明細書で参照されるすべての刊行物およびそれらの参考文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される用語の定義は、必要に応じて上記の刊行物において見つけることができる。特に、本発明は、国際公開第2015/136295において開示されるシステムおよび方法を改善しようと努める。
【0003】
SOFC(固体酸化物燃料電池)スタックを設計するとき、スタックは、電気的接続性、ガス封止、ならびにアセンブリ、動きおよび動作のための構造的完全性の維持のために圧縮状態にあることを必要とされ、著しい熱循環を受け、動作の寿命にわたって完全性を維持する必要があるので、機械的、電気的かつ熱的設計において重大な課題に遭遇する。
【0004】
金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリは典型的には、金属ベースプレートと、ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの固体酸化物燃料電池スタックと、金属エンドプレートとを備え、各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記ベースプレートと前記エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、(各少なくとも1つの燃料電池スタックは)少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備える。
【0005】
各少なくとも1つの燃料電池は典型的には、金属基板上に担持されるアノード、電解質およびカソード層を備える。
【0006】
金属担持固体酸化物燃料電池(SOFC)スタックアセンブリのそのような固体酸化物燃料電池コンポーネントはしばしば、ベースプレートから少なくとも1つの燃料電池スタック内の案内穴を通りかつそれらがロックナットを用いて固定されるエンドプレートを通り抜ける多数のタイバーを使用して圧縮状態に保持される。
【0007】
タイバーが案内穴のエッジに(すなわち少なくとも1つの燃料電池スタック内の案内穴を規定する金属コンポーネントのエッジに)近いことに起因して、コンポーネントが、蒸気、反応炭化水素および未反応炭化水素ならびに空気を伴う潜在的混合大気内で高温において膨張するとき、タイバーとスタックとの間に短絡のリスクがあるので、注意深い設計考察が、必要とされる。
【0008】
燃料電池スタックアセンブリの製造中に、スタックが、最初にアセンブルされる間に、アセンブリバー(タイバーよりも大きい直径を有する)が、燃料電池の位置合わせを達成するために少なくとも1つの燃料電池スタック内の案内穴を通って挿入される。アセンブリバーは次いで、除去され、アセンブリバーよりも小さい直径を有するタイバーと置き換えられる。エンドプレートが次いで、少なくとも1つの燃料電池スタックの上部に追加され、圧縮手段が、燃料電池スタックアセンブリを圧縮するために使用される。燃料電池スタックアセンブリが圧縮されると、ロックナットが次いで、追加される。圧縮荷重が次いで、スタックから除去され、スタック圧縮を維持するためにタイバーをそのままにしておく。燃料電池スタックの動作温度範囲にわたって圧縮荷重を維持することは、必要とされる圧縮荷重、燃料電池スタック層の数-それ故にタイバーの長さ、およびタイバーを作るための適切な材料に応じて課題である可能性がある。異なるスタック設計のために異なる設計のタイバーを有しなければならないことは、複雑さおよびコストを追加する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第02/35628
【特許文献2】国際公開第03/07582
【特許文献3】国際公開第2004/089848
【特許文献4】国際公開第2005/078843
【特許文献5】国際公開第2006/079800
【特許文献6】国際公開第2006/106334
【特許文献7】国際公開第2007/085863
【特許文献8】国際公開第2007/110587
【特許文献9】国際公開第2008/001119
【特許文献10】国際公開第2008/003976
【特許文献11】国際公開第2008/015461
【特許文献12】国際公開第2008/053213
【特許文献13】国際公開第2008/104760
【特許文献14】国際公開第2008/132493
【特許文献15】国際公開第2009/090419
【特許文献16】国際公開第2010/020797
【特許文献17】国際公開第2010/061190
【特許文献18】国際公開第2015/004419
【特許文献19】国際公開第2015/136295
【特許文献20】国際公開第2016/124929
【特許文献21】国際公開第2016/124928
【特許文献22】国際公開第2016/128721
【特許文献23】国際公開第2016/083780
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術を改善しかつ/または従来技術の不都合の少なくとも1つに取り組み、克服しもしくは軽減しようと努める。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、
(a)(i)金属ベースプレート、
(ii)金属ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック、および
(iii)金属エンドプレートをアセンブルするステップであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記ベースプレートと前記エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備える、ステップと、
(b)圧縮手段を使用して少なくとも1つの燃料電池スタックを通って圧縮力を印加するステップと、
(c)スタックを封入するためにスカートをベースプレートおよびエンドプレートにかつベースプレートとエンドプレートとの間に付着するステップと、
(d)少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重が、スカート内の張力を通じて維持されるように、圧縮手段を除去するステップとを含む金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを形成する方法が、提供される。
【0012】
スカート内の張力を通じて少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重を維持することによって、タイバーの存在の必要性が、除去される。タイバーの除去は、燃料電池スタックアセンブリの熱質量の減少をもたらし、それは次に、燃料電池スタックアセンブリの性能を増加させ-特に、それは、少なくとも1つの燃料電池を動作温度に至るまで持ち上げるのに必要とされるエネルギーを低減することができ、すなわち動作温度に達するのにかかる時間を低減することができる。これは次に、燃料電池スタックアセンブリの動作効率を増加させることができる。これはまた、簡略化された製造プロセス、簡略化されたコンポーネントももたらし、最終製品において起こる短絡のリスクも低減する。
【0013】
好ましくは、圧縮力は、ベースプレートおよびエンドプレートに印加される。好ましくは、圧縮力は、ベースプレートおよびエンドプレートを通って印加される。
【0014】
好ましくは、圧縮手段が、除去されるとき、スカートは、少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重を維持するためにベースプレートおよびエンドプレートへのかつベースプレートとエンドプレートとの間の張力下にある。
【0015】
少なくとも1つの燃料電池スタック内にタイバーのための案内穴を有さないことによって、アノード、電解質およびカソード層が置かれてもよい金属基板の利用可能な表面積の増加がある、すなわち少なくとも1つの燃料電池は、より大きい表面積を有することができ、従って電力出力が、増加可能である。
【0016】
好ましくは、スカートは、金属スカートである。以下で述べられるように、(金属)スカートは、ベースプレートおよびエンドプレートに溶接によって付着されてもよい。
【0017】
好ましくは、スカートは、少なくとも1つの燃料電池スタックの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリはさらに、ベースプレートとエンドプレートとの間に位置する少なくとも1つの膨張板を備え、少なくとも1つの膨張板は、スカートのそれよりも大きい熱膨張係数を有する。
【0018】
ある実施形態では、燃料電池スタックアセンブリは、複数の膨張板を備える。
【0019】
好ましくは、熱膨張係数は、熱膨張の線形係数(面積膨張または体積膨張と対照的に)である(すなわち線形係数として測定されまたは定義される)。
【0020】
従来の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリでは、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリが動作する高温は、構成部品を膨張させる。タイバーは典型的には、金属構築物から成り、少なくとも1つの燃料電池スタックの他のコンポーネント、特に電気絶縁性圧縮ガスケットよりも大きい熱膨張係数(CTE)を有する。そのようなアセンブリでは、CTEのこの差の結果は、作業条件(典型的には450~800℃、より典型的には約450~650℃)の下では、燃料電池スタックアセンブリの膨張が起こり、燃料電池スタックアセンブリのその他のコンポーネント、特に少なくとも1つの固体酸化物燃料電池スタックに対してタイバーのより大きい膨張に起因して少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮力の減少をもたらすということである。圧縮力の小さい減少でさえ、ガス封止の低下および燃料電池スタックコンポーネント間の、特に燃料電池スタック層と隣接コンポーネント(例えば他の燃料電スタック層、または電力取り出し口)との間のより低い電気伝導性を引き起こす可能性がある。これは次に、少なくとも1つの燃料電池スタックの作業効率を低減する可能性があり、最終的に少なくとも1つの燃料電池スタックの故障をもたらすこともあり得る。
【0021】
スカートは、ベースプレートおよびエンドプレートに付着され、それ故にベースプレートおよびエンドプレートの熱膨張もまた、少なくとも1つの燃料電池スタックに及ぼされる圧縮力に影響を及ぼす。好ましくは、少なくとも1つの膨張板の熱膨張係数は、ベースプレートの熱膨張係数およびエンドプレートの熱膨張係数よりも大きい。好ましくは、スカートのCTEは、ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、およびエンドプレートの全体的CTE (またそれらの「全CTE」または「ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、およびエンドプレートのCTE」とも呼ばれる)よりも大きい。より好ましくは、ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、およびエンドプレートの全体的CTEに言及される場合、結果として得られるCTEは、ベースプレート、エンドプレート、および少なくとも1つの燃料電池スタックの長さ(または相対的長さ)の関数である。その上、好ましくは、ベースプレートおよびエンドプレートの長さ(または相対的長さ)が、ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタックおよびエンドプレートの全体的CTEを決定するために使用される場合、ベースプレートおよびエンドプレートの長さは、少なくとも1つの燃料電池スタックの近位にあるベースプレートまたはエンドプレートの端部からスカートがベースプレートまたはエンドプレートに付着される点までのベースプレートおよびエンドプレートの長さとして決定される。
【0022】
好ましくは、膨張板は、エンドプレートと隣接燃料電池スタック層との間に位置する。ある実施形態では、たった1つの膨張板がある。他の実施形態では、多数の膨張板、例えばベースプレートと隣接燃料電池スタック層との間に位置する第1の膨張板、およびエンドプレートと隣接燃料電池スタック層との間に位置する第2の膨張板がある。ある実施形態では、燃料電池スタックアセンブリは、(順番に)エンドプレート、圧縮プレート、電気絶縁性圧縮ガスケット、および少なくとも1つの燃料電池スタックを備える。
【0023】
ある実施形態では、少なくとも1つの膨張板は、燃料電池スタック層の間に、例えば、燃料電池スタックアセンブリの中央、中心または中間領域内に位置する。
【0024】
好ましくは、熱膨張係数は、ベースプレートとエンドプレートとの間で規定されかつベースプレートの主平面(general plane)およびエンドプレートの主平面に垂直な軸に沿った熱膨張の線形係数である。
【0025】
好ましくは、スカートは、ベースプレートとエンドプレートとの間で規定されかつベースプレートの主平面およびエンドプレートの主平面に垂直な縦方向(膨張の縦方向)に沿って膨張する。好ましくは、そのような膨張は、膨張の縦方向に沿ったスカートの拡大長さを規定する。好ましくは、少なくとも1つの膨張板は、膨張の縦方向に沿った拡大長さを規定する。好ましくは、拡大方向に沿った少なくとも1つの膨張板の拡大長さは、拡大方向に沿ったスカートの拡大長さを補償する。好ましくは、補償は、450から650℃の間の温度においてである。好ましくは、補償は、少なくとも1つの燃料電池スタックの拡大長さ(またはベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、およびエンドプレートの拡大長さ)と比較してスカートの拡大長さの少なくとも50%である。より好ましくは、補償は、少なくとも60、70、80、90または95%である。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの膨張板は、第1の隣接固体酸化物燃料電池スタック層と第2の隣接固体酸化物燃料電池スタック層との間に位置する。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの膨張板は、金属エンドプレートに付着されて位置する。
【0028】
それ故に、スカートの膨張は、少なくとも1つの膨張板の膨張によって補償され、それは次に、少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重が、維持されることを確実にし、次にガス封止および燃料電池スタックコンポーネント間の、特に隣接燃料電池スタック層間の電気伝導性を維持するのに役立つ。
【0029】
従来のアセンブリでは、スタック圧縮荷重(およびそれ故に燃料電池スタック位置合わせ)を維持するためのタイバーの使用は、多くの層を有するスタック、またはより大きい活性領域の燃料電池についてより明らかになり、その場合圧縮荷重またはスタックの高さ(すなわちベースプレートからエンドプレートまで測定されるスタックの長さ)は、タイバーの直径および長さが、スタックアセンブリおよび圧縮荷重印加の原則から管理することが困難になることを意味する。
【0030】
それ故に、(a)タイバーを燃料電池スタックアセンブリから除去すること、および(b)少なくとも1つの膨張板を組み込むことの両方によって、燃料電池スタックアセンブリの全体的性能および寿命は、増大する。
【0031】
好ましくは、スカート内の張力によって維持される、少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重は、ガスケット封止荷重であり、すなわち各少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットと隣接コンポーネントとの間、すなわち現在の燃料電池スタック層と隣接コンポーネント、例えば別の燃料電池スタック層、または電力取り出しプレート(また「電流コレクタ」もしくは「エンドポール」とも呼ばれる)との間のガスシールを維持するのに十分である。
【0032】
好ましくは、各燃料電池スタック層は、金属基板を備え、その上に少なくとも1つの燃料電池、金属スペーサ層、および金属相互接続プレートが、取り付けられる。好ましくは、各少なくとも1つの燃料電池は、アノード、電解質およびカソード層を備える。好ましくは、酸化剤流路(すなわち流体流路)が、酸化剤入口から排出酸化剤出口まで規定され、燃料流路(すなわち流体流路)が、燃料入口から排出燃料出口まで規定される。好ましくは、各燃料電池は、(順番に)金属相互接続プレート、金属スペーサ層、金属基板、ならびに前記金属基板上に取り付けられたアノード、電解質およびカソード層を備える。
【0033】
好ましくは、燃料入口から排出燃料出口までの燃料流路は、内部で多岐化される(manifolded)、すなわち少なくとも1つの燃料電池スタック内で多岐化される。好ましくは、酸化剤入口から排出酸化剤出口までの酸化剤流路は、外部で多岐化される、すなわち少なくとも1つの燃料電池スタックの外部で多岐化される。より好ましくは、それは、少なくとも1つの燃料電池スタックの外部で、かつ燃料電池スタックアセンブリの内部で多岐化される。より好ましくは、体積が、ベースプレート、エンドプレート、スカート、および少なくとも1つの燃料電池スタックの間で規定される。そのような体積は、酸化剤多岐化体積であると考えることができる。
【0034】
以下で詳述されるように、複数のそのような燃料電池スタック層を備える燃料電池スタックでは、第1の層の少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットは、第1の層の金属基板と隣接する第2の燃料電池スタック層の金属相互接続プレートとの間に挟まれる。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重は、少なくとも0.5kNである。
【0036】
好ましくは、各少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットへの圧縮荷重は、室内温度および室内圧力(RTP)において少なくとも1平方センチメートル当たり15MPa(すなわち15MPa.cm-2)である。より好ましくは、RTPにおける圧縮荷重は、少なくとも25kN、より好ましくは少なくとも30kN、より好ましくは30から40kNの間、より好ましくは30から35kNの間である。
【0037】
ステップ(a)(アセンブリステップ)では、燃料電池スタックは、タイバーなしであるが、例えば国際公開第2015/136295などの従来技術刊行物の通りの従来の手法を使用してアセンブルされる。
【0038】
好ましくは、ステップ(a)はさらに、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの外部表面とスカートの隣接内部表面との間に位置する少なくとも1つの電気絶縁性ガスケット(例えばマイカガスケット)を挿入するステップを含む。これは、酸化剤入口から排出酸化剤出口までの酸化剤流路が外部で多岐化される実施形態において特に好ましい。
【0039】
好ましい電気絶縁性圧縮ガスケット材料は、バーミキュライト、より好ましくはサーミキュライト(Thermiculite)、より好ましくはサーミキュライト866である。好ましい電気絶縁性ガスケット材料は、マイカである。
【0040】
好ましくは、ステップ(b)において、圧縮力が、圧縮手段を使用してベースプレート、エンドプレートおよび少なくとも1つの燃料電池スタックを通って及ぼされる。それ故に、ステップ(a)においてベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタックおよびエンドプレートをアセンブルした後、圧縮力が次いで、及ぼされてもよい。
【0041】
好ましくは、スカートは、複数のスカートセクションを備える。より好ましくは、スカートは、第1および第2のスカートセクションを備える。好ましくは、各スカートセクションは、全体的にU字形の横断面を有し、全体的にU字形の横断面に垂直に細長い、すなわちアーチ形またはボールト形状、より詳しくは筒型ボールト形状である。好ましくは、全体的にU字形の横断面は、アセンブルされた金属ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、および金属エンドプレートの一部、すなわち金属ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、および金属エンドプレートの各々の一部を補完する、すなわち一部を受け取るように成形される。
【0042】
それ故に、縦方向が、ベースプレートとエンドプレートとの間で規定されると、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、縦方向に垂直に延び、各スカートセクションのU字形の横断面は、縦方向に垂直である。
【0043】
それ故に、第1のスカートセクションは、ベースプレートおよびエンドプレートに(かつベースプレートとエンドプレートの間に)付着され、同様に第2のスカートセクションは、ベースプレートおよびエンドプレートに(かつベースプレートとエンドプレートとの間に)付着される。
【0044】
それ故に、体積が、ベースプレート、エンドプレートおよびスカートの間に規定され(仮にスカートが単一のスカートセクションまたは複数のスカートセクションを有するとしても)、その中に少なくとも1つの燃料電池スタックが、含有される。それ故に、スカートは、少なくとも1つの燃料電池スタックを取り囲む。
【0045】
スカートは好ましくは、溶接によってベースプレートおよびエンドプレートに付着される。好ましくは、溶接は、隅肉溶接であり、より詳しくはTIG溶接による。他のタイプの溶接、例えばレーザ重ね溶接およびロウ付けがまた、行われてもよい。
【0046】
スカートが、複数のスカートセクションを備える場合、好ましくは、スカートセクションは、一緒に溶接される。この場合もやはり、好ましくは、溶接は、隅肉溶接である。より好ましくは、溶接(例えば隅肉溶接)は、TIG溶接を使用して行われる。他のタイプの溶接、例えばレーザ重ね溶接、およびロウ付けがまた、行われてもよい。スカート(または各スカートセクション)は、縦方向に(すなわち各スカートセクションのU字形の横断面に垂直に)異なるセクションおよび材料で構成されてもよい。そのようなセクションおよび材料は、コストおよび/またはCTE設計理由のために選ばれてもよい。
【0047】
ある実施形態では、アセンブリステップ(a)は、少なくとも2つの燃料電池スタックをアセンブルするステップを含む。好ましくは、燃料電池スタックは、適切に位置する電力取り出し口(エンドポール)とともに背中合わせの対でアセンブルされる。
【0048】
それ故に、例えば、一実施形態では、第1および第2の燃料電池スタックが提供され、その場合各燃料電池スタック層は、単一の燃料電池を備え、燃料電池スタックは、背中合わせに配置される。それ故に、燃料電池スタックアセンブリは、(順番に)ベースプレート、第1の燃料電池スタック、第2の燃料電池スタック(第1の燃料電池スタックに対して逆に配向され)、およびエンドプレートを備える。第1および第2の燃料電池スタックを背中合わせの仕方で配置することによって、単一の正電力取り出しプレートが、第1の燃料電池スタックと第2の燃料電池スタックとの間に提供可能であり、第1の負電力取り出しプレートが、ベースプレートに隣接する第1の燃料電池スタックの端部に提供可能であり、第2の負電力取り出しプレートが、エンドプレートに隣接する第2の燃料電池スタックの端部に提供可能である。
【0049】
燃料電池スタックアセンブリが、いくつかの個々の燃料電池スタックを備える、この背中合わせ構成(例えば実施形態3を参照)は、燃料電池スタックの各々が、同じ総数の燃料電池スタック層を含有する単一の燃料電池スタックの電圧および/または電力出力よりも小さい規定された電圧(および/または電力出力)において動作することを可能にする。特に、これは、並列電気的配置を提供し、電圧を(直列配置と比較して)抑制し(すなわち制限し)、電力出力を(直列配置と比較して)増加させるのに有用である。このようにして、各々が例えば60Vでまたは60V未満で動作するいくつかの燃料電池スタックを単一の燃料電池スタックアセンブリ内に効率的にパッケージすることが可能である。これは、例えば、規則および設計基準が、60Vを超える電圧レベルについて追加の要求を提示する、自動車用途において特に有用である。例えば、そのような燃料電池スタックアセンブリは、48Vの出力電圧を有してもよい。
【0050】
別の実施形態では、単一の燃料電池スタックが、提供され、各燃料電池スタック層は、第1および第2の燃料電池を備える。
【0051】
別の実施形態では、第1および第2の燃料電池スタックが、提供され、各燃料電池スタック層は、第1および第2の燃料電池を備える。
【0052】
別の実施形態では、第1、第2、第3および第4の燃料電池スタックが、提供される。より好ましくは、そのような配置における各燃料電池スタック層は、第1および第2の燃料電池を備える。
【0053】
好ましくは、そのような配置は、二対の燃料電池スタック-第1の対を形成する第1および第2の燃料電池スタック、ならびに第2の対を形成する第3および第4の燃料電池スタックを備える。正電力取り出しプレートは、第1の燃料電池スタックと第2の燃料電池スタックとの間に提供され、追加の正電力取り出しプレートは、第3の燃料電池スタックと第4の燃料電池スタックとの間に提供される。負電力取り出しプレートは、燃料電池スタックの第1の対と第2の対との間に、すなわち第2の燃料電池スタックと第3の燃料電池スタックとの間に提供される。
【0054】
好ましくは、ベースプレートおよびエンドプレートは、少なくとも1つの燃料電池スタックから電気的に分離されまたは絶縁される。好ましくは、電気絶縁性圧縮ガスケット(例えばサーミキュライト866)は、ベースプレートと少なくとも1つの燃料電池スタックとの間に位置し、電気絶縁性圧縮ガスケットは、エンドプレートと少なくとも1つの燃料電池スタックとの間に位置する。
【0055】
本発明によると、
(a)(i)金属ベースプレート、
(ii)ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック、および
(iii)金属エンドプレートをアセンブルするステップであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記ベースプレートと前記エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備える、ステップと、
(b)少なくも1つの燃料電池スタックを通って第1の圧縮力を印加するステップと、
(c)少なくとも1つの燃料電池スタックを封入するためにスカートをベースプレートおよびエンドプレートにかつベースプレートとエンドプレートとの間に付着するステップと、
(d)第1の圧縮力を除去するステップであって、それによって少なくとも1つの燃料電池スタックへの圧縮荷重(例えば第2の圧縮力)が、スカート内の張力を通じて維持される、ステップとを含む金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを形成する方法が、さらに提供される。
【0056】
本発明によるとまた、本発明の方法に従って製造される燃料電池スタックアセンブリも、提供される。
【0057】
本発明によるとまた、
(i)金属ベースプレートと、
(ii)ベースプレート上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタックと、
(iii)金属エンドプレートとを備える金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリであって、
各少なくとも1つの燃料電池スタックは、前記ベースプレートと前記エンドプレートとの間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層は、少なくとも1つの燃料電池および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケットを備え、
スカートが、少なくとも1つの燃料電池スタックを封入するためにベースプレートおよびエンドプレートにかつベースプレートとエンドプレートとの間に付着され、少なくとも1つの燃料電池スタックを通る圧縮力を維持するためにベースプレートおよびエンドプレートへのかつベースプレートとエンドプレートとの間の張力下にあることを特徴とする、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリも、提供される。
【0058】
文脈が別段に指示しない限り、本発明の方法の態様および特徴は、製品に等しく当てはまり、逆もまた同様である。
【0059】
維持される圧縮力に関しては、本発明の方法を使用して金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを形成する/製造することによって、圧縮力は、製造プロセス中に及ぼされ、最終製品においては、スカート(ベースプレートおよびエンドプレートにかつベースプレートとエンドプレートとの間に付着される)が、少なくとも1つの燃料電池スタックを通るその圧縮力を維持する。
【0060】
それ故に、好ましくは、スカートは、少なくとも1つの燃料電池スタックの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリはさらに、ベースプレートおよびエンドプレートとの間に位置する少なくとも1つの膨張板を備え、少なくとも1つの膨張板は、スカートのそれよりも大きい熱膨張係数を有する。好ましくは、スカートは、ベースプレートおよびエンドプレートのそれよりも大きいCTEを有する。好ましくは、スカートは、ベースプレート、少なくとも1つの燃料電池スタック、およびエンドプレートの全体的CTEよりも大きいCTEを有する。
【0061】
好ましくは、少なくとも1つの膨張板は、ベースプレートもしくはエンドプレートと接触しまたはベースプレートもしくはエンドプレートに付着される。好ましくは、膨張板は、エンドプレートと接触しまたはエンドプレートに付着される。
【0062】
それ故に、好ましくは、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリはさらに、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの外部表面と前記スカートの隣接内部表面との間に位置する少なくとも1つの電気絶縁性ガスケットを備える。
【0063】
好ましくは、各少なくとも1つの燃料電池スタックは、エンドポール(電力取り出し口)と電気接触し、その場合前記ベースプレートおよび前記エンドプレートは、前記少なくとも1つの燃料電池スタックから電気的に分離される。それ故に、例えば、第1の実施形態では、第1および第2の燃料電池スタックが提供され、その場合各燃料電池スタック層は、単一の燃料電池を備え、燃料電池スタックは、背中合わせに配置される。それ故に、燃料電池スタックアセンブリは、(順番に)ベースプレート、第1の燃料電池スタック、第2の燃料電池スタック(第1の燃料電池スタックに対して逆に配向され)、およびエンドプレートを備える。第1および第2の燃料電池スタックを背中合わせの仕方で配置することによって、単一の正電力取り出しプレートが、第1の燃料電池スタックと第2の燃料電池スタックとの間に提供可能であり、第1の負電力取り出しプレートが、ベースプレートに隣接する第1の燃料電池スタックの端部に提供可能であり、第2の負電力取り出しプレートが、エンドプレートに隣接する第2の燃料電池スタックの端部に提供可能である。好ましくは、ベースプレートと少なくとも1つの燃料電池スタックとの間に、かつエンドプレートと少なくとも1つの燃料電池スタックとの間に位置する電気絶縁性圧縮ガスケットは、少なくとも1つの燃料電池スタックからのベースプレートおよびエンドプレートの電気的分離を提供する。
【0064】
文脈が別段に指示しない限り、単語「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」および類似のものは、網羅的意味よりもむしろ包括的意味、すなわち「含むが、しかし限定はされない」の意味で解釈されるべきである。それらの用語は、さらなるコンポーネントが存在しない実施形態を含む。
【0065】
「排出酸化剤出口」およびそれを通って流れる酸化剤はまた、「カソード排ガス」と呼ばれることもある。同様に、「排出燃料出口」およびそれを通って流れる排出燃料は、「アノード排ガス」と呼ばれることもある。
【0066】
本発明の特定の態様および好ましい態様は、添付の独立請求項に提示される。従属請求項からの特徴の組み合わせは、要望通りに、必要に応じて、かつ請求項に明確に提示される通りにだけでなく、独立請求項の特徴と組み合わされてもよい。
【0067】
以下の様々な図は、燃料電池スタックアセンブリを垂直配向で示す。水平配向などの他の配向は、同等に適用可能である。
【0068】
当業者への本発明の有効な開示が、本明細書で提供される。本発明の実施形態への言及が、今から詳細になされることになり、その1つまたは複数の例が、以下で説明される。各例は、本発明の説明として与えられ、本発明の制限としてではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】実施形態1の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る断面を示す図である。
【
図2】
図1の燃料電池スタック層を通る断面を示す図である。
【
図3】実施形態2の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る断面を示す図である。
【
図4】実施形態3の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る断面を示す図である。
【
図5】実施形態4の燃料電池スタック層を通る断面を示す図である。
【
図6】実施形態4の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る断面を示す図である。
【
図7】実施形態4の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る
図6の断面に垂直な断面を示す図である。
【
図8】実施形態5の固体酸化物燃料電池スタックアセンブリを通る断面を示す図である。
【
図9】燃料および酸化剤(空気)の流れとともに燃料電池スタック層の分解斜視図を示す図である。
【
図10】
図9の燃料電池スタック層の分解斜視図を示す図である。
【
図11】燃料電池スタックアセンブリの製造におけるステップを例示する図である。
【
図12】燃料電池スタックアセンブリの製造におけるステップを例示する図である。
【
図13】燃料電池スタックアセンブリの製造におけるステップを例示する図である。
【
図14】燃料電池スタックアセンブリの製造におけるステップを例示する図である。
【
図15】完了した燃料電池スタックアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本明細書で使用される参照符号のリストは、具体的実施形態の終わりに与えられる。本明細書および図面における参照記号の繰り返し使用は、同じもしくは類似の特徴または要素を表すことを目的としている。
【0071】
実施形態1
この実施形態では、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ10は、
図1に示されるように、燃料電池スタック30がその上に取り付けられる金属ベースプレート20、および金属エンドプレート40を備える。燃料電池スタック30は、複数の燃料電池スタック層50を備える。
【0072】
負電力取り出しプレート140は、ベースプレート20と燃料電池スタック30との間に位置し、正電力取り出しプレート150は、燃料電池スタック30とエンドプレート40との間に位置する。
【0073】
サーミキュライトガスケット160(サーミキュライト866でできている;電気絶縁性圧縮ガスケット)は、負電力取り出しプレート140とベースプレート20との間に位置する。追加のサーミキュライトガスケット160は、正電力取り出しプレート150とエンドプレート40との間に位置する。
【0074】
各燃料電池スタック層50は、
図2に示されるように、金属スペーサ70がその上に取り付けられる金属相互接続プレート60、および金属基板80を備える。
【0075】
金属基板80は、レーザドリル穿孔(多孔質)領域91、92、ならびに多孔質領域91、92をそれぞれ覆って堆積された第1および第2の燃料電池101、102を有する。
【0076】
各燃料電池101、102は、多孔質領域91、92(それぞれ)上に堆積されたアノード層、アノード層を覆って堆積された電解質層、および電解質層を覆って堆積されたカソード層を備える。
【0077】
図9および
図10に示されるように、金属相互接続プレート60は、燃料流オリフィス61、62を規定するように成形される。金属スペーサ70は、燃料流オリフィス71、72を規定するように成形される。金属基板80は、燃料流オリフィス81、82を規定するように成形される。金属スペーサ70はさらに、燃料流スペース73を規定し、かつ燃料流オリフィス71、72と燃料流スペース73との間に開口部71aおよび72aを規定するように成形される。
【0078】
金属スペーサ70が金属相互接続プレート60と金属基板80との間に挟まれると、燃料流スペース73に対応する燃料流ボイド74がそれ故に、金属相互接続プレート60の第1の(内部)表面63、金属基板80の第1の(内部)表面83、および金属スペーサ70の間に規定される。金属相互接続プレート60の第1の(内部)表面63は、金属基板80の第1の(内部)表面83に向かって延びるくぼみを有する。これらのくぼみは使用中、燃料電池スタック30が、圧縮荷重下にあるとき、燃料流ボイド74内の流体の流れおよび燃料流ボイド74を維持するのを助ける。
【0079】
燃料電池101、102は、金属基板80の第2の(外部)表面84上に堆積される。
【0080】
サーミキュライトガスケット(電気絶縁性圧縮ガスケット)110は、燃料流オリフィス81、82の周囲の金属基板80の第2の(外部)表面84上に位置決めされる。
【0081】
各燃料電池スタック層50はそれ故に、燃料流オリフィス61、71、81、開口部71a、燃料流スペース73、開口部72a、および燃料流オリフィス62、72、82の間に燃料流路(流体流路)を規定する。
【0082】
オリフィス61、71、71aおよび81は、燃料入口オリフィス/開口部であり、燃料電池スタック層50の燃料入口および燃料電池スタック層50への燃料入口側(または端部)を規定する。オリフィス62、72、72aおよび82は、排出燃料出口オリフィス/開口部であり、燃料電池スタック層50の排出燃料出口および燃料電池スタック層50への排出燃料出口側(または端部)を規定する。
【0083】
図9における細い破線矢印700は、燃料流体流路を例示する。
図9における太い破線710は、酸化剤(空気)流体流路を例示する。
【0084】
金属相互接続プレート60の第2の(外部)表面64は、複数の外向きに延びるくぼみ65を備える。燃料電池スタック層50は、一緒にスタックされ、第1の燃料電池スタック層の金属相互接続プレート60は、サーミキュライトガスケット110ならびに(外向きに延びるくぼみ65によって)第1の燃料電池101および第2の燃料電池102のカソード層と接する。サーミキュライトガスケット110および外向きに延びるくぼみ65の配置は、酸化剤流路が第1の燃料電池スタック層50の金属相互接続プレート60と隣接する第2の燃料電池スタック層50の金属基板80との間に規定されるという結果をもたらす。この酸化剤流路は、外部で多岐化される。それ故に、各燃料電池スタック層50は、外部で多岐化された酸化剤入口および出口を有する。
【0085】
燃料電池スタック30が金属ベースプレート20と金属エンドプレート40との間に取り付けられて配置されると、圧縮手段600(
図12)は、金属ベースプレート20と金属エンドプレート40との間の燃料電池スタック30に圧縮力を及ぼすために使用され、すなわちそれらは、圧縮手段600によって圧縮される。マイカガスケット120(電気絶縁性ガスケット)が次いで、燃料電池スタック30の側部に沿って置かれる。第1のスカート半分131および第2のスカート半分132が次いで、ベースプレート20(
図13)、燃料電池スタックアセンブリ30、エンドプレート40、およびマイカガスケット120の周囲に置かれる。第1のスカート半分131および第2のスカート半分132の各々は次いで、溶接点190において金属ベースプレート20および金属エンドプレート40にTIG溶接を使用して隅肉溶接される。第1のスカート半分131および第2のスカート半分132は次いで、スカート130を規定するために一緒に隅肉溶接される。それ故に、体積が、ベースプレート20、エンドプレート40およびスカート130の間に規定され、その中に燃料電池スタック30が、含有される。
【0086】
圧縮手段600は、燃料電池スタック層50の曲がりを低減するまたは最小化するために、金属ベースプレート20および金属エンドプレート40のエッジの周囲に(すなわち外周の周囲に)圧縮力を印加するように配置される。第1のスカート半分131および第2のスカート半分132が金属ベースプレート20および金属エンドプレート40に溶接される(すなわち金属ベースプレート20および金属エンドプレート40の周囲に溶接される)と、エッジの周囲のこの圧縮は、圧縮手段600が、除去されるとき、維持される。
【0087】
圧縮手段600は次いで、除去され(
図14)、燃料電池スタック30への圧縮荷重は、スカート130内の張力を通じて維持される。それ故に、タイバーの使用は、燃料電池スタックアセンブリ10の圧縮を達成するために必要とされない。これは、タイバーを組み込む、対応する燃料電池スタックアセンブリと比較して、燃料電池スタックアセンブリ10の熱質量を低減し、性能を改善する。タイバーを有さないことによって、燃料電池がその上に堆積可能である金属基板80の利用可能な表面積は、増加され、それ故にタイバーを組み込む、対応する燃料電池スタックアセンブリと比較して、性能のさらなる増加を可能にする。
【0088】
使用中は、燃料電池スタックアセンブリ10は、並行流(
図9)または逆流の仕方で動作するように容易に構成することができる。
【0089】
実施形態2
この実施形態(
図3を参照)では、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ200の構築およびアセンブリは、全体的に第1の実施形態の通りである。しかしながら、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ10はさらに、膨張板181、182を備える。第1の膨張板181は、ベースプレート20とサーミキュライトガスケット160との間に位置し、第2の膨張板182は、エンドプレート40とサーミキュライトガスケット160との間に位置する。
【0090】
本明細書で詳述される様々な実施形態において使用される材料は、以下のTable 1(表1)に示される。
【0091】
【0092】
Table 1(表1)から分かるように、様々なコンポーネントのCTE(熱膨張係数)は、著しく異なる。各燃料電池スタック層50内に存在する少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(サーミキュライトガスケット110)の結果として、スカート130のCTE値は、燃料電池スタック層50のそれよりも大きい。最終結果は、燃料電池スタックアセンブリの温度が、増加するにつれて、スカート130(ベースプレート20とエンドプレート40との間)の膨張が、ベースプレート20とエンドプレート40との間にアセンブルされる燃料電池スタック30および他のコンポーネント(特にサーミキュライトガスケット160およびサーミキュライトガスケット110)の膨張よりも大きい、すなわち熱膨張に差があるということである。これは、燃料電池スタックアセンブリ10の温度が、増加するにつれて、燃料電池スタック30に及ぼされる圧縮力の減少をもたらす。
【0093】
この実施形態では、膨張板181、182は、この圧縮力の減少を低減し、それ故に燃料電池スタックアセンブリ200の性能を高める。
【0094】
膨張板181、182は、スカート130のそれよりも大きい(かつベースプレート20およびエンドプレート40のそれよりも大きい)CTEを有し、熱膨張差を補償するようなサイズに決められる。膨張板181、182は、燃料電池スタックアセンブリ200内の燃料電池スタック層50の数に従ってサイズを決められる。膨張板のサイズ決定/寸法決定へのこの手法は一般に、本発明のすべての実施形態に適用可能である。
【0095】
実施形態3
この実施形態(
図4を参照)では、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ300は、第1および第2の燃料電池スタック171、172の背中合わせの配置を備える。構築およびアセンブリは、全体的に第2の実施形態の通りである。しかしながら、第1の実施形態では、正電力取り出しプレート150は、サーミキュライトガスケット160と接する、すなわち、
(a)燃料電池スタック層50の第1の燃料電池101、第2の燃料電池102およびサーミキュライトガスケット110と、
(b)サーミキュライトガスケット160との間に挟まれる。
【0096】
代わりに、この第2の実施形態では、正電力取り出しプレート150は、
(a)第1の燃料電池スタック171と
(b)第2の燃料電池スタック172との間に挟まれる。
【0097】
それ故に、正電力取り出しプレート150は、
(a)第1の燃料電池スタック171の燃料電池スタック層50の第1の燃料電池101、第2の燃料電池102およびサーミキュライトガスケット110と、
(b)第2の燃料電池スタック172の燃料電池スタック層50の第1の燃料電池101、第2の燃料電池102およびサーミキュライトガスケット110との間に挟まれる。
【0098】
この配置は、同じアセンブリ設計および圧縮プロセス内でより大きい電力出力の利点を提供する。
【0099】
実施形態4
この実施形態(
図5~
図7を参照)では、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ400の構築およびアセンブリは、全体的に実施形態2の通りである。しかしながら、第1および第2の燃料電池(実施形態2ではそれぞれ101、102)を備える各燃料電池スタック層50aの代わりに、各燃料電池スタック層50aは、単一の燃料電池410を備える。
【0100】
図7(この実施形態を例示する)は、本発明の様々な実施形態における燃料電池スタック(30、171、172)の側部をスカート130の隣接内部表面から電気的に絶縁するために使用されるマイカガスケット120を示す。マイカガスケット120はそれ故に、スカート130と燃料電池スタック(30、171、172)との間に挟まれ、それらの間での流体の流れを制限する(または阻止する/防止する)。これは、燃料電池スタックアセンブリ内の酸化剤(空気)流の外部多岐化を助け、少なくとも1つの燃料電池スタック(30、171、172その他)の外部でかつ燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400、500)の内部で多岐化される、燃料電池スタックアセンブリへの酸化剤入口端部を規定するのを助ける。同様に、それは、少なくとも1つの燃料電池スタック(30、171、172その他)の外部でかつ燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400、500)の内部で多岐化される、燃料電池スタックアセンブリへの排出酸化剤出口端部を規定するのを助ける。
【0101】
実施形態5
この実施形態(
図8を参照)では、固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ500の構築およびアセンブリは、全体的に実施形態3の通りである。しかしながら、実施形態4のように、各燃料電池スタック層50aは、単一の燃料電池410を備える。さらに、単一の膨張板183だけが、提供される。この膨張板183は、金属エンドプレート40に付着される。
【0102】
すべての実施形態
図9および
図10は、燃料電池スタック層50および50aの分解斜視図を提供し、それらの中のかつそれらのスタック内の流体流路を例示する。
【0103】
燃料電池スタック層50、50a内への燃料流体流路700は、金属基板80内の燃料流オリフィス81、金属スペーサ70内の(すなわち燃料電池スタック層50、50aの燃料入口側の)燃料流オリフィス71および開口部71aを介して、金属基板80、金属スペーサ70および金属相互接続プレート60の間の燃料流スペース73内に規定される燃料流ボイド74の中へ、金属基板80の第1の(内部)表面83および金属相互接続プレート60の第1の(内部)表面63を通過する。燃料電池/複数燃料電池101、102、410(実施形態に応じて)は、金属基板80の第2の(外部)表面84上に位置し、燃料電池/複数燃料電池への燃料流(およびそれらからの排出燃料の戻り)は、レーザドリル穿孔多孔質領域91、92、93(実施形態に応じて)を介する。
【0104】
排出燃料は、金属スペーサ70内の開口部72aおよび燃料流オリフィス72、ならびに金属基板80内の燃料流オリフィス82(すなわち燃料電池スタック層50、50aの排出燃料出口側の)を介して燃料電池スタック層50、50aから出る。
【0105】
金属相互接続プレート60内のオリフィス61、62およびサーミキュライトガスケット110はさらに、流体流路を隣接燃料電池スタック層50、50aまで延長する。
【0106】
燃料流体流路700は、内部で多岐化される。
【0107】
酸化剤流路710は、燃料電池スタック層50、50aの外部でかつ燃料電池スタックアセンブリ10、200、300、400、500の内部で多岐化される。体積が、金属ベースプレート20、金属エンドプレート40、スカート130、および燃料電池スタック30、171、172(実施形態に応じて)の間に規定される。燃料流オリフィス81、71、61に隣接する(すなわち燃料入口側に隣接する)燃料電池スタック層50、50aの酸化剤入口端部から燃料流オリフィス82、72、62に隣接する(すなわち排出燃料出口側に隣接する)燃料電池スタック層50、50aの排出酸化剤出口端部までの酸化剤の流れは、隣接燃料電池スタック層50、50aの間、すなわち第1の燃料電池スタック層50、50aの金属相互接続プレート60と隣接する第2の燃料電池スタック層50、50aの金属基板80との間である。
【0108】
燃料電池スタック30、171、172の外側周囲の(すなわち燃料電池スタック層50、50aの間以外の) 酸化剤入口端部から排出酸化剤出口端部までの酸化剤の流れは、スカート130と酸化剤入口端部から排出酸化剤出口端部までの燃料電池スタック30、171、172との間に挟まれて位置するマイカガスケット120によって防止される。
【0109】
図9は、燃料および酸化剤の流れの並行流動作を例示する。逆流動作は、同等に可能であり、すなわち酸化剤の流れは、燃料流と逆であり、燃料流オリフィス82、72、62に隣接する(すなわち排出燃料出口側に隣接する)燃料電池スタック層50、50aの酸化剤入口端部から燃料流オリフィス81、71、61に隣接する(すなわち燃料入口側に隣接する)燃料電池スタック層50、50aの排出酸化剤出口端部までである。
【0110】
スタックアセンブリ方法
燃料電池スタック30は、燃料電池スタック層50を金属エンドプレート40上にアセンブルすることによって形成される(
図11)。金属ベースプレート20が次いで、燃料電池スタック30の上部に置かれる。
【0111】
除去可能な圧縮手段600が次いで、エンドプレート40、燃料電池スタック30およびベースプレート20を通って圧縮力610を及ぼすために使用される(
図12)。
【0112】
圧縮力610がなお燃料電池スタック30を通って及ぼされる状態で(
図13)、スカート第1の半分131およびスカート第2の半分132が次いで、エンドプレート40、燃料電池スタック30およびベースプレート20の周囲に置かれる。
【0113】
スカート第1の半分131およびスカート第2の半分132が次いで、TIG溶接によってベースプレート20、エンドプレート40に付着される。スカート第1の半分131およびスカート第2の半分132はまた、隅肉溶接133を用いてスカート130を形成するために互いにTIG溶接されもする。それ故に、燃料電池スタック30は、ベースプレート20、エンドプレート40およびスカート130によって規定される体積内に封入される。TIG溶接は、スカート第1の半分131、スカート第2の半分132、ベースプレート20およびエンドプレート40の間にガス気密シールを形成する。
【0114】
圧縮手段600が次いで、除去され(
図14)、燃料電池スタック30への圧縮荷重610は、スカート130内の張力620を通じて維持される、すなわち燃料電池スタック30は、燃料電池スタック30を通る圧縮力を維持するためにベースプレート20およびエンドプレート40へのかつベースプレート20とエンドプレート40との間の張力下にある。参照符号は、それらの理解を容易にするだけのために請求項に組み込まれ、請求項の範囲を限定しない。本発明は、上記の実施形態だけに限定されず、他の実施形態は、添付の請求項の範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかであることになる。
【符号の説明】
【0115】
10 固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ
20 金属ベースプレート
30 燃料電池スタック
40 金属エンドプレート
50 燃料電池スタック層
50a 燃料電池スタック層
60 金属相互接続プレート
61 燃料流オリフィス
62 燃料流オリフィス
63 金属相互接続プレート60の第1の(内部)表面
64 金属相互接続プレート60の第2の(外部)表面
65 外向きに延びるくぼみ
70 金属スペーサ
71 燃料流オリフィス
71a 開口部
72 燃料流オリフィス
72a 開口部
73 燃料流スペース
74 燃料流ボイド
80 金属基板
81 燃料流オリフィス
82 燃料流オリフィス
83 金属基板80の第1の(内部)表面
84 金属基板80の第2の(外部)表面
91 レーザドリル穿孔(多孔質)領域
92 レーザドリル穿孔(多孔質)領域
93 レーザドリル穿孔(多孔質)領域
101 第1の燃料電池
102 第2の燃料電池
110 サーミキュライトガスケット
120 マイカガスケット
130 スカート
131 スカート第1の半分
132 スカート第2の半分
133 隅肉溶接
140 負電力取り出しプレート
150 正電力取り出しプレート
160 サーミキュライトガスケット
171 第1の燃料電池スタック
172 第2の燃料電池スタック
181 第1の膨張板
182 第2の膨張板
183 膨張板
190 溶接点
200 固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ
300 固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ
400 固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ
410 燃料電池
500 固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ
600 圧縮手段
610 圧縮力
620 張力
700 燃料流体流路
710 酸化剤流体流路
720 燃料入口側
730 排出燃料出口側
740 酸化剤入口側
750 排出酸化剤出口側
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)金属ベースプレート(20)と、
(ii)前記金属ベースプレート(20)上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック(30)と、
(iii)金属エンドプレート(40)と、
を備える金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)であって、
各少なくとも1つの燃料電池スタック(30)は、前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層(50、50a、60)を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層(50、50a、60)は、少なくとも1つの燃料電池(101、102、410)および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(110)を備え、
スカート(130)が、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)を封入するために前記金属ベースプレート(20)および前記金属エンドプレート(40)に付着され、かつ前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に付着され、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)を通る圧縮力を維持するために前記金属ベースプレート(20)および前記金属エンドプレート(40)への張力及び前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間の張力下にあり、
前記金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)は、前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に位置した少なくとも1つの膨張板(181、182)をさらに備え、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記スカート(130)の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、
前記スカート(130)の熱膨張係数は、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(110)は、前記スカート(130)の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する、請求項1に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記金属エンドプレート(40)と隣接する前記燃料電池スタック層(50、50a、60)との間に、又は、前記金属ベースプレートと隣接する前記燃料電池スタック層(50、50a、60)との間に位置する、請求項1または2に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項4】
複数の燃料電池スタック層(50、50a、60)が設けられ、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記複数の燃料電池スタック層(50、50a、60)の間に位置する、請求項1または2に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項5】
前記スカート(130)は、金属スカート(130)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項6】
前記スカート(130)は、溶接によって、前記金属ベースプレート(20)および前記金属エンドプレート(40)に付着され、かつ前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に付着される、請求項1から5のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項7】
前記スカート(130)、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)、及び前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に規定された縦方向に沿って膨張しており、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記縦方向における前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)の膨張と比較して、前記縦方向における前記スカート(130)の膨張の少なくとも50%だけ前記縦方向に膨張する、請求項1から6のいずれか一項に記載の金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)。
【請求項8】
(a)(i)金属ベースプレート(20)、
(ii)前記金属ベースプレート(20)上に取り付けられた少なくとも1つの燃料電池スタック(30)、
(iii)少なくとも1つの膨張板(181、182)、および
(iv)金属エンドプレート(40)をアセンブルするステップであって、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に配置されており、各少なくとも1つの燃料電池スタック(30)は、前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に取り付けられて配置され、少なくとも1つの燃料電池スタック層(50、50a、60)を備え、各少なくとも1つの燃料電池スタック層(50、50a、60)は、少なくとも1つの燃料電池(101、102、410)および少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(110)を備える、ステップと、
(b)前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)を通って第1の圧縮力を印加するステップと、
(c)前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)を封入するためにスカート(130)を前記金属ベースプレート(20)および前記金属エンドプレート(40)に付着し、かつ前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に付着するステップと、
(d)前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)への圧縮荷重が、前記スカート(130)内の張力を通じて維持されるように、前記第1の圧縮力を除去するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記スカート(130)の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有し、
前記スカート(130)の熱膨張係数は、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)の熱膨張係数よりも大きい、金属担持固体酸化物燃料電池スタックアセンブリ(10、200、300、400)を形成する方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電気絶縁性圧縮ガスケット(110)は、前記スカート(130)の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スカート(130)は、複数のスカートセクションを備える、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記スカート(130)は、金属スカートである、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記スカート(130)は、溶接によって、前記金属ベースプレート(20)および前記金属エンドプレート(40)に付着され、かつ前記金属ベースプレート(20)と前記金属エンドプレート(40)との間に付着される、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記金属エンドプレート(40)と隣接する前記燃料電池スタック層(50、50a、60)との間に、又は、前記金属ベースプレート(20)と隣接する前記燃料電池スタック層(50、50a、60)との間に位置する、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数の燃料電池スタック層(50、50a、60)が設けられ、
前記少なくとも1つの膨張板(181、182)は、前記複数の燃料電池スタック層(50、50a、60)の間に位置する、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮力は、圧縮手段を使用して前記少なくとも1つの燃料電池スタック(30)を通して印加される、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】