(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087171
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】両面銅張積層板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20220602BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20220602BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H05K1/03 630H
H05K1/03 610N
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
H05K1/03 650
B32B15/08 J
B32B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059176
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2021576399の分割
【原出願日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2020101923
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】石塚 竜二
(72)【発明者】
【氏名】米田 祥浩
(72)【発明者】
【氏名】細井 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】▲陰▼山 祐司
(57)【要約】
【課題】キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮可能な、キャパシタを形成するための両面銅張積層板を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えており、樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、銅箔はいずれも、接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下である、両面銅張積層板。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えた両面銅張積層板であって、
前記樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下である、両面銅張積層板。
【請求項2】
前記接着層及び前記樹脂フィルムの組合せは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下である、請求項1に記載の両面銅張積層板。
【請求項3】
前記樹脂フィルムは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2以上30以下である、請求項1又は2に記載の両面銅張積層板。
【請求項4】
前記接着層は、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項5】
前記樹脂フィルムの厚さが0.5μm以上30μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項6】
前記樹脂フィルムが、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項7】
前記接着層が、熱可塑性の成分及び/又は熱硬化性の成分で構成される樹脂成分を含み、前記樹脂成分がエポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、活性エステル樹脂、フェノール樹脂、及びジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項8】
前記接着層は、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta、Ca及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含有する複合金属酸化物である誘電体フィラーをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項9】
前記複合金属酸化物が、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、PbLaTiO3、PbLaZrO、及びSrBi2Ta2O9からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の両面銅張積層板。
【請求項10】
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定されるクルトシスSkuが2.6以上4.0以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【請求項11】
IPC-TM650-2.4.6.Cに準拠して測定される、前記銅箔及び前記樹脂フィルム間の剥離強度が、0.5kgf/cm以上4.0kgf/cm以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面銅張積層板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は携帯用電子機器等の電子通信機器に広く用いられている。特に、近年の携帯用電子通信機器等の軽薄短小化及び高機能化に伴い、プリント配線板におけるノイズの低減等が課題となっている。ノイズ低減を可能にするにはキャパシタが重要となるが、高性能化を実現するために、キャパシタにはプリント配線板の内層に組み込まれる程の小型化及び薄型化が望まれる。そして、このようなキャパシタを形成するために、両面銅張積層板が用いられる。両面銅張積層板は、概して、誘電体層として機能する樹脂層の両面を銅箔で挟み込んだ構成となっており、キャパシタの高機能化にはより適切なこれら構成要素の選択が重要になる。
【0003】
例えば、特許文献1(特許第5048181号)には、電気回路を作成するためにパターン形成することができる受動電気物品が開示されている。この受動電気物品は、(a)2つの対向する主面を有する第1の自立基材と、(b)2つの対向する主面を有する第2の自立基材と、(c)ポリマーを含み、第1及び第2の基材の間で約0.5乃至約10μmの範囲の厚さを有する電気絶縁性層又は導電性層とを含む受動電気物品である。そして、これら層と接触する第1の基材の主面、及び層と接触する第2の基材の主面のRMS平均表面粗さが約10乃至約300nmの範囲であり、RMS平均を測定するために使用される基材面から上方又は下方の距離であるzのすべてが電気絶縁性層又は導電性層の厚さの半分を超えることはなく、受動電気物品の第1及び第2の基材を剥離角90°で分離するために必要な力が約3ポンド/インチ(約0.5kN/m)を超えることを特徴とする受動電気物品が開示されている。
【0004】
特許文献2(特許第4148501号)には、バインダー樹脂と誘電体フィラーとからなる誘電体フィラー含有樹脂組成物が開示されている。バインダー樹脂は、20~80重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、20~80重量部の有機溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、及び必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる。誘電体フィラーは、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr-Ti)O3、PbLaTiO3・PbLaZrO、SrBi2Ta2O9のいずれか1種以上からなり、平均粒径DIAが0.1~1.0μmであって、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量累積粒径D50が0.2~2.0μmであり、かつ、重量累積粒径D50と画像解析により得られる平均粒径DIAとを用いてD50/DIAで表される凝集度の値が4.5以下である略球形の形状をしたペロブスカイト構造を持つ誘電体粉末である。
【0005】
特許文献3(特許第3770537号)には、両面の外層に導電体である銅箔層が配され、片面側の銅箔層と他面側の銅箔層と間に誘電体となる樹脂層が狭持された層構成を備える両面銅張積層板により形成される、多層プリント配線板の内層部に納められるキャパシタが開示されている。樹脂層は、その層構成が熱硬化性樹脂層/耐熱性フィルム層/熱硬化性樹脂層である三層の構造を備え、かつ、トータル厚さが25μm以下である。熱硬化性樹脂層はエポキシ系樹脂材で構成され、耐熱性フィルム層は、ヤング率が300kg/mm2以上、引張り強さ20kg/mm2以上、引張り伸び率5%以上の常態特性を備え、両面に位置する熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の成形温度よりも高い軟化温度を持ち、かつ、IPC-TM-650のパラグラフ2.5.5.9に準拠した1MHzの測定条件における比誘電率が2.5以上の、厚さ0.5~12.5μmの耐熱性フィルムである樹脂材で構成された両面銅張積層板より形成されることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5048181号
【特許文献2】特許第4148501号
【特許文献3】特許第3770537号
【特許文献4】WO2015/033917A1
【特許文献5】WO2003/096776A1
【発明の概要】
【0007】
しかし、上述のように、両面銅張積層板を構成する樹脂層や銅箔について検討されてはいるものの、更なる改善が望まれる。例えば、特許文献3に記載のように、耐熱性フィルム(樹脂フィルム)を誘電体層の中間に有する構成である場合、銅箔の表面に大きなコブ等があることで、このコブ等が樹脂フィルムに上下から接する樹脂層を貫くことがある。このような銅箔表面のコブ等がキャパシタを構成する銅箔双方の樹脂側表面に存在すると、両面銅張積層板の中間にある樹脂フィルムの絶縁性だけで耐電圧特性を満たす必要があり、要求される耐電圧のレベルによっては樹脂フィルムをより厚くせざるを得ない。しかし、樹脂フィルム部分はフィラーのような複合酸化物を含有せず、樹脂層よりも誘電特性が劣るものであるため、樹脂フィルムをより厚くするとキャパシタ容量が低下してしまう問題がある。すなわち、樹脂フィルムの厚さとキャパシタ容量(すなわち静電容量)とはトレードオフの関係にある。さらに、静電容量だけでなく、耐電圧性及び剥離強度(すなわち回路密着性)を確保することも望まれる。回路密着性確保の観点からは一般に(表面に大きなコブ等がある)高粗度な銅箔が望まれるが、上述した通り耐電圧の観点では望ましくない。これに加え、銅箔と樹脂層と樹脂フィルムの良好な貼り合わせ状態を実現する必要もあるため、各々の要求を満たす銅箔の表面形状の制御は容易ではなかった。
【0008】
本発明者らは、今般、両面銅張積層板の銅箔の表面性状を制御することにより、キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮できるとの知見を得た。
【0009】
したがって、本発明の目的は、キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮可能な両面銅張積層板を提供することにある。
【0010】
本発明の一態様によれば、樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えた両面銅張積層板であって、
前記樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下である、両面銅張積層板が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えた両面銅張積層板であって、
前記樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される二乗平均平方根勾配Sdqが0.01以上2.3以下である、両面銅張積層板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例4において得られた両面銅張積層板の厚さ方向に切り出した断面を示す暗視野の断面観察像である。
【
図2】銅箔の厚さを12μmに変更したこと以外は例5と同様にして得られた両面銅張積層板の厚さ方向に切り出した断面を示す暗視野の断面観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本発明を特定するために用いられるパラメータの定義を以下に示す。
【0014】
本明細書において、「最大山高さSp」とは、ISO25178に準拠して測定される、表面の平均面からの高さの最大値を表す三次元パラメータである。
【0015】
本明細書において、「二乗平均平方根勾配Sdq」とは、ISO25178に準拠して測定される、定義領域のすべての点における傾斜の二乗平均平方根により算出されるパラメータである。すなわち、局所的な傾斜角の大きさを評価する三次元パラメータであるため、表面の凹凸の険しさを数値化できる。例えば、完全に平坦な面のSdqは0となり、表面に傾斜があるとSdqは大きくなる。45度の傾斜成分からなる平面のSdqは1になる。
【0016】
本明細書において、「クルトシスSku」とは、ISO25178に準拠して測定される、高さ分布の鋭さを表すパラメータであり、尖り度とも称される。Sku=3は高さ分布が正規分布であることを意味し、Sku>3であると表面に鋭い山や谷が多く、Sku<3であると表面が平坦であることを意味する。
【0017】
両面銅張積層板
本発明の両面銅張積層板は、樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備える。樹脂フィルムは、25℃で硬化状態である。銅箔はいずれも、接着層に接する側の面において、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下であるか、又はISO25178に準拠して測定される二乗平均平方根勾配Sdqが0.01以上2.3以下である。このように、銅箔の接着層に接する側の面のSp又はSdqを制御すること、すなわち、銅箔の表面性状を制御することにより、キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮することができる。
【0018】
前述のとおり、両面銅張積層板において樹脂フィルムを誘電体層の中間に有する構成である場合、銅箔の表面に大きなコブ等があることで、このコブ等が樹脂フィルムに上下から接する樹脂層を貫くことがある。その場合、要求される耐電圧のレベルによっては樹脂フィルムをより厚くせざるを得ないが、樹脂フィルムをより厚くするとキャパシタ容量が低下してしまう問題がある。それだけでなく、耐電圧性及び剥離強度を確保することも望まれる。この点、本発明の両面銅張積層板によれば、これらの問題が好都合に解決される。
【0019】
両面銅張積層板は、IPC-TM650-2.4.6.Cに準拠して測定される、銅箔及び樹脂フィルム間の剥離強度が、0.5kgf/cm以上4.0kgf/cm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.6kgf/cm以上3.5kgf/cm以下、さらに好ましくは0.6kgf/cm以上3.0kgf/cm以下である。
【0020】
本発明の両面銅張積層板が備える銅箔はいずれも、接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下である。この最大山高さSpは0.06μm以上3.1μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.06μm以上3.0μm以下、さらに好ましくは0.07μm以上2.9μm以下である。特に薄い両面積層板を得ようとする観点から、最大山高さSpは2.5μm以下であるのが一層好ましく、1.7μm以下であるのがより一層好ましく、1.1μm以下であるのが最も好ましい。このように銅箔の表面性状を制御することにより、キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮可能な両面銅張積層板がより効果的に得られる。とりわけ剥離強度については、従来は十分な密着性が得られないと考えられていた平滑領域においても実用に耐える性能を得ることができる。
【0021】
また、本発明の他の態様において、両面銅張積層板が備える銅箔はいずれも、接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される二乗平均平方根勾配Sdqが0.01以上2.3以下である。この二乗平均平方根勾配Sdqは0.02以上2.2以下であるのが好ましく、より好ましくは0.03以上2.0以下、さらに好ましくは0.04以上1.8以下である。特に薄い両面積層板を得ようとする観点から、二乗平均平方根勾配Sdqは1.6以下であるのが一層好ましく、1.3以下であるのがより一層好ましく、0.4以下であるのが最も好ましい。このように銅箔の表面性状を制御することにより、キャパシタとして用いた場合に、高いキャパシタ容量を確保しながら、耐電圧性及び剥離強度において優れた特性を発揮可能な両面銅張積層板がより効果的に得られる。とりわけ剥離強度については、従来は十分な密着性が得られないと考えられていた平滑領域においても実用に耐える性能を得ることができる。
【0022】
銅箔はいずれも、接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定されるクルトシスSkuが2.6以上4.0以下であるのが好ましく、より好ましくは2.7以上3.8以下、さらに好ましくは2.7以上3.7以下である。このように、銅箔の表面性状として最大山高さSpや二乗平均平方根勾配Sdqを制御することに加えてクルトシスSkuを制御することにより、所望の両面銅張積層板がより効果的に得られる。
【0023】
銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上200μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5μm以上105μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上70μm以下である。こうすることで、プリント配線板の配線形成の一般的なパターン形成方法である、サブトラクティブ法、SAP(セミアディティブ)法、MSAP(モディファイド・セミアディティブ)法等の工法が採用可能である。
【0024】
本発明の両面銅張積層板が備える、接着層及び樹脂フィルムの組合せは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下であるのが好ましく、より好ましくは3.0以上27以下、さらに好ましくは3.5以上25以下である。比誘電率がこのような範囲内にあることで、良好なキャパシタ容量をより効果的に確保できる。
【0025】
樹脂フィルムは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2以上30以下であるのが好ましく、より好ましくは2.5以上27以下、さらに好ましくは3.0以上25以下である。
【0026】
樹脂フィルムの厚さは、0.5μm以上30μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1.0μm以上25μm以下、さらに好ましくは1.5μm以上18μm以下である。前述のとおり、銅箔の表面に大きなコブ等があると、樹脂フィルムをより厚くせざるを得ない場合がある。しかし、本発明の両面銅張積層板が備える銅箔は表面性状が制御されているため、樹脂フィルムを上記範囲内の厚さとすることができる。すなわち、樹脂フィルムの厚さとキャパシタ容量とを両立することができる。
【0027】
樹脂フィルムは、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、芳香族ポリアミド(例えば全芳香族ポリアミド)、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、及び全芳香族ポリアミド(アラミド)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、さらに好ましくはエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、及び全芳香族ポリアミド(アラミド)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。このような樹脂フィルムとして市販されているものの例としては、パラ系アラミドフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
【0028】
樹脂フィルムには、表面粗化処理を施すのが好ましい。表面粗化処理の方法としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等が挙げられる。このような表面粗化処理を施すことにより、樹脂フィルムと接着層との接触界面の面積を大きくし密着性(剥離強度)を向上させ、デラミネーションを回避することができる。樹脂フィルムに対するより好ましい表面粗化処理としては、プラズマ処理やコロナ放電処理が挙げられる。
【0029】
本発明の両面銅張積層板が備える接着層は、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下であるのが好ましく、より好ましくは3.0以上28.0以下、さらに好ましくは4.0以上26以下である。
【0030】
接着層は、好ましくは樹脂成分と誘電体フィラーとを含む樹脂組成物で構成される。この樹脂成分は、熱可塑性の成分及び/又は熱硬化性の成分により構成される。具体的には、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、活性エステル樹脂、フェノール樹脂、及びジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、活性エステル樹脂、フェノール樹脂、及びジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0031】
接着層は、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta、Ca及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含有する複合金属酸化物である誘電体フィラーをさらに含むのが好ましい。この複合金属酸化物は、より好ましくはBa、Ti及びSrからなる群から選択される少なくとも2種を含有する。こうすることで、良好なキャパシタ容量をもたらす両面銅張積層板がより効果的に得られる。
【0032】
複合金属酸化物は、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、PbLaTiO3、PbLaZrO、及びSrBi2Ta2O9からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、より好ましくはBaTiO3及びSrTiO3からなる群から選択される少なくとも1種を含む。なお、Pb(Zr,Ti)O3は、Pb(ZrxTi1-x)O3(式中0≦x≦1、典型的には0<x<1である)を意味する。こうすることで、良好なキャパシタ容量をもたらす両面銅張積層板がより効果的に得られる。
【0033】
複合金属酸化物である誘電体フィラーを使用することが好ましい。誘電体フィラーを使用する場合、誘電体フィラーは、樹脂組成物の固形分100重量部に対して、0重量部以上90重量部以下の量で含まれるのが好ましく、より好ましくは15重量部以上85重量部以下、さらに好ましくは25重量部以上80重量部以下の量で含まれる。
【0034】
複合金属酸化物である誘電体フィラーの粒径は特に限定されないが、接着層と銅箔との密着性を維持する観点から、レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定される平均粒径D50が0.001μm以上2.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.01μm以上1.8μm以下、さらに好ましくは0.03μm以上1.6μm以下である。
【0035】
樹脂組成物はフィラー分散剤をさらに含んでいてもよい。フィラー分散剤をさらに含むことで、樹脂ワニスと誘電体フィラーを混練する際、誘電体フィラーの分散性を向上させることができる。フィラー分散剤は、使用可能な公知のものが適宜使用可能であり、特に限定されない。好ましいフィラー分散剤の例としては、イオン系分散剤である、ホスホン酸型、カチオン型、カルボン酸型、アニオン型分散剤の他、ノニオン系分散剤である、エーテル型、エステル型、ソルビタンエスエル型、ジエステル型、モノグリセライド型、エチレンオキシド付加型、エチレンジアミンベース型、フェノール型分散剤等が挙げられる。その他、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
【0036】
樹脂組成物には、樹脂成分の硬化を促進させるために、硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤の好ましい例としては、イミダゾール系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の保存安定性や硬化の効率化の観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100重量部に対し、0.01重量部以上3.0重量部以下が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上2.0重量部以下である。
【0037】
本発明の両面銅張積層板は、典型的には、接着層を構成する樹脂組成物を、乾燥後の接着層の厚さが所定の値となるようにグラビアコート方式を用いて銅箔に塗工し乾燥させることにより得られる。この塗工の方式については任意であるが、グラビアコート方式の他、ダイコート方式、ナイフコート方式等を採用することができる。その他、ドクターブレードやバーコーター等を使用して塗工することも可能である。
【実施例0038】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0039】
例1~9
(1)樹脂ワニスの調製
まず、樹脂ワニス用原料成分として、以下に示される樹脂成分及びイミダゾール系硬化促進剤を用意した。
‐ ビフェニル-アラルキル型エポキシ樹脂:日本化薬株式会社製、NC-3000
‐ 多官能フェノール樹脂(硬化剤):明和化成株式会社製、MEH-7500
‐ フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性芳香族ポリアミド樹脂:日本化薬株式会社製、BPAM-155
‐ イミダゾール系エポキシ樹脂硬化促進剤:四国化成工業株式会社製、2P4MHZ
【0040】
表1A及び1Bに示される配合比(重量比)で上記樹脂ワニス用原料成分を秤量した。その後、シクロペンタノン溶剤を秤量し、樹脂ワニス用原料成分及びシクロペンタノン溶剤をフラスコに投入し、60℃で攪拌した。樹脂ワニス中に原料の溶け残りがなく、樹脂ワニスが透明であることを確認した後、樹脂ワニスを回収した。
【0041】
(2)フィラーとの混練
続いて、以下に示される誘電体フィラー及び分散剤を用意した。
‐ チタン酸バリウム:日本化学工業株式会社製
‐ チタネート系カップリング剤:味の素ファインテクノ株式会社製、KR-44(誘電体フィラー100重量部に対して添加量1.5重量部)
【0042】
シクロペンタノン溶剤、誘電体フィラー及び分散剤をそれぞれ秤量した。秤量した溶剤、誘電体フィラー及び分散剤を分散機でスラリー化した。このスラリー化が確認できた後、最終的な誘電体フィラーが表1A及び1Bに示される配合比(重量比)となるように樹脂ワニスを秤量し、分散機で誘電体フィラー含有スラリーとともに混練した。混練後に誘電体フィラーが凝集化していないことを確認した。こうして、接着層を構成する樹脂組成物を含む塗工液を得た。
【0043】
(3)銅箔の用意
上記塗工液を塗工するための銅箔として、粗化処理銅箔を用意した。この銅箔の製造は、特許文献4や特許文献5等に開示されるような公知の方法により行った。
【0044】
(4)樹脂塗工
上記(2)で得られた塗工液を上記(3)に記載の銅箔に乾燥後の接着層の厚さが表1A及び1Bに示されるものとなるようにバーコーターを用いて塗工し、その後130℃に加熱したオーブンにて3分間乾燥させ、樹脂を半硬化状態とした。こうして接着層付銅箔を得た。
【0045】
(5)樹脂フィルムの準備
以下に示される樹脂フィルムを用意した。
‐ アラミドフィルム:帝人アドバンストフィルム社製、アラミカ
‐ ポリイミドフィルム:株式会社カネカ製、アピカル
【0046】
これらの樹脂フィルムに表面粗化処理を施した。具体的には、アラミカに対してはコロナ放電処理、アピカルに対してはプラズマ処理をそれぞれ施した。
【0047】
(6)プレス
例1~5においては、接着層付銅箔の塗工樹脂面を上向きに載置し、その塗工樹脂面に樹脂フィルムを重ねた。さらに、その樹脂フィルムの塗工樹脂面と接していない側の表面に、塗工樹脂面を下にした接着層付銅箔を重ねた。このとき、180℃で120分間真空プレスを行い、接着層を硬化状態とした。こうして、両面銅張積層板を得た。
【0048】
例6~9においては、樹脂フィルムを使用せず、2枚の接着層付銅箔の塗工樹脂面同士が向かい合うように重ね、180℃で120分間真空プレスを行い、接着層を硬化状態として、両面銅張積層板を得た。
【0049】
(7)評価
銅箔及び得られた両面銅張積層板について以下の各種評価を行った。
【0050】
<評価1:銅箔の表面性状パラメータ>
レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、OLS5000)を用いた表面粗さ解析により、上記(3)の粗化処理銅箔の粗化処理面の測定をISO25178に準拠して行った。具体的には、粗化処理銅箔の粗化処理面における面積16384μm2の領域の表面プロファイルを、上記レーザー顕微鏡にて開口数(N.A.)0.95の100倍レンズで測定した。得られた粗化処理面の表面プロファイルに対してノイズ除去と1次線形面傾き補正を行った後、表面性状解析によりSp、Sdq及びSkuの各種パラメータの測定を実施した。これらのSp、Sdq及びSkuはいずれもSフィルタによるカットオフ波長を0.55μmとし、Lフィルタによるカットオフ波長を10μmとして計測した。結果は表1A及び1Bに示されるとおりであった。
【0051】
<評価2:静電容量(Cp)>
両面銅張積層板の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路を作製した後、LCRメーター(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3532-50)にて周波数1MHzにおける静電容量を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.2に準拠して行った。測定された静電容量を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
‐評価A:10.0nF/in2以上(最良)
‐評価B:5.0nF/in2以上でかつ10.0nF/in2未満(良)
‐評価C:1.0nF/in2以上でかつ5.0nF/in2未満(可)
‐評価D:1.0nF/in2未満(不可)
【0052】
<評価3:絶縁破壊電圧(BDV)>
両面銅張積層板の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路を作製した後、絶縁抵抗測定器(日置電機株式会社製、超絶縁計SM7110)にて昇圧速度167V/sec条件下での絶縁破壊電圧を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.6.2aに準拠して行った。測定された絶縁破壊電圧を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
‐評価A:5000Vより大きい(最良)
‐評価B:3500Vより大きくかつ5000V以下(良)
‐評価C:2000Vより大きくかつ3500V以下(可)
‐評価D:2000V以下(不可)
【0053】
<評価4:絶縁破壊強度>
評価3で測定した絶縁破壊電圧(BDV)を誘電体層厚さ(接着層を有する樹脂フィルムの厚さ)で割り、値を算出した。算出された絶縁破壊強度を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった
‐評価A:220kV/mmより大きい(最良)
‐評価B:200kV/mmより大きくかつ220kV/mm以下(良)
‐評価C:100kV/mmより大きくかつ200kV/mm以下(可)
‐評価D:100kV/mm以下(不可)
【0054】
<評価5:常態剥離強度(回路密着性)>
両面銅張積層板の片面にエッチングを施して3mm幅の直線状の回路を作製した後、オートグラフにて引き剥がし速度50mm/分で回路を引き剥がし、その剥離強度を常温(例えば25℃)で測定した。この測定はIPC-TM-650 2.4.8に準拠して行った。測定された常態剥離強度を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
‐評価A:1.5kgf/cm以上(最良)
‐評価B:1.0kgf/cm以上でかつ1.5kgf/cm未満(良)
‐評価C:0.6kgf/cm以上でかつ1.0kgf/cm未満(可)
‐評価D:0.6kgf/cm未満(不可)
【0055】
<評価6:比誘電率(Dk)>
両面銅張積層板の両面の銅を全てエッチングにより除去して、接着層を有する樹脂フィルム(接着層及び樹脂フィルムの組合せ)を得た。この接着層を有する樹脂フィルムについて、評価2で測定した静電容量(Cp)と、Cp=ε0×Dk×(S/d)(式中、ε0は真空の誘電率、Sは円形回路の面積、dは誘電体層の厚みである)の式を用いることにより、1MHzにおける比誘電率を測定した。算出された比誘電率を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
‐評価A:1MHzにおける比誘電率が6.5以上
‐評価B:1MHzにおける比誘電率が5.0以上6.5未満
‐評価C:1MHzにおける比誘電率が2.5以上5.0未満
‐評価D:1MHzにおける比誘電率が2.5未満
【0056】
<評価7:貼り合わせ状態>
両面銅張積層板を幅8mm、長さ5mm程度のサイズに切り出した後、ミクロトーム(Leica Biosystems、RM2265、全自動万能型回転ミクロトーム)を用いて両面銅張積層板の厚さ方向に切り出して断面を露出させた。その断面を光学顕微鏡(Leica Microsystems、Leica DM LM)で観察し、銅箔とフィルムが接着層により正常に貼り合わせられているか否かの確認を行った。確認した貼り合わせ状態の良否を以下の基準に従い評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
図1に例4において得られた両面銅張積層板の断面の暗視野の断面観察像を、
図2に銅箔の厚さを12μmに変更したこと以外は例5と同様にして得られた両面銅張積層板の断面の暗視野の断面観察像をそれぞれ示す。
‐良好:接着層が銅箔表面と樹脂フィルムの間に均一に存在する。
‐不良:接着層が銅箔表面と樹脂フィルムの間で不均一である(接着層に空孔がある、あるいは銅箔表面が樹脂フィルムに直接接合している)。
【0057】
上記評価2~6において、評価C以上であれば実用に耐え得る性能であり、評価B以上であればキャパシタとして優れた特性を発揮できていると判断した。また、評価7において、評価が不良の場合、内部に空隙等が生じてしまうため、本来のキャパシタ性能が発揮できなくなる。このような基準を踏まえ、上記評価2~6の結果において評価Dが無く、評価Cの合計が3つ以下であり、かつ、評価7の結果が良好となるものが好ましい。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
本発明は以下の態様を包含するものである。
[項1]
樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えた両面銅張積層板であって、
前記樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される最大山高さSpが0.05μm以上3.3μm以下である、両面銅張積層板。
[項2]
樹脂フィルムの両面に、それぞれ接着層及び銅箔を順に備えた両面銅張積層板であって、
前記樹脂フィルムは、25℃で硬化状態であり、
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定される二乗平均平方根勾配Sdqが0.01以上2.3以下である、両面銅張積層板。
[項3]
前記接着層及び前記樹脂フィルムの組合せは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下である、項1又は2に記載の両面銅張積層板。
[項4]
前記樹脂フィルムは、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2以上30以下である、項1~3のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項5]
前記接着層は、硬化後の周波数1MHzにおける比誘電率が2.5以上30以下である、項1~4のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項6]
前記樹脂フィルムの厚さが0.5μm以上30μm以下である、項1~5のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項7]
前記樹脂フィルムが、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、項1~6のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項8]
前記接着層が、熱可塑性の成分及び/又は熱硬化性の成分で構成される樹脂成分を含み、前記樹脂成分がエポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、活性エステル樹脂、フェノール樹脂、及びジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、項1~7のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項9]
前記接着層は、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta、Ca及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含有する複合金属酸化物である誘電体フィラーをさらに含む、項1~8のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項10]
前記複合金属酸化物が、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、PbLaTiO3、PbLaZrO、及びSrBi2Ta2O9からなる群から選択される少なくとも1種を含む、項9に記載の両面銅張積層板。
[項11]
前記銅箔はいずれも、前記接着層に接する側の面の、ISO25178に準拠して測定されるクルトシスSkuが2.6以上4.0以下である、項1~10のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。
[項12]
IPC-TM650-2.4.6.Cに準拠して測定される、前記銅箔及び前記樹脂フィルム間の剥離強度が、0.5kgf/cm以上4.0kgf/cm以下である、項1~11のいずれか一項に記載の両面銅張積層板。