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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087240
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ドアの半閉じを防止するスプリング
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20220602BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A61M5/20 570
A61M5/20 510
A61M5/24 502
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066104
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2019505206の分割
【原出願日】2016-12-21
(31)【優先権主張番号】62/369,505
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518123372
【氏名又は名称】ウェスト ファーマ サービシーズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルシェン リオール
(72)【発明者】
【氏名】バルエル ヨッシ
(57)【要約】
【課題】優れた投薬装置を提供する。
【解決手段】この投薬装置は、ハウジングと、全開位置と閉位置との間の移動範囲を有し、閉位置にあるときにハウジングの開口を閉塞する可動ドアと、可動ドアが閉位置に向けた移動範囲の最後の50%未満であるときに、開放力を付与することにより可動ドアの動きを妨げるバイアス要素と、開放力よりも大きくかつそれとは反対方向の固定力を可動ドアに付与する、可動ドアとハウジングとの間のロック機構と、モータとを備える。バイアス要素は、閉塞へ向かう可動ドアの回転のうち、移動範囲の最後の30度に達し、または、可動ドアの回転中、可動ドアが移動範囲の最後の30%に達したときに、開放力を付与する。
【選択図】図4I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬カートリッジのための開口およびチャンバを形成するハウジングと、
前記ハウジングに接続され、全開位置と閉位置との間の移動範囲を有し、前記閉位置にあるときに前記開口を閉塞する可動ドアと、
前記ハウジングまたは前記可動ドアに接続され、前記可動ドアが、前記閉位置に向けた前記可動ドアの前記移動範囲の最後の50%未満であるときに、前記可動ドアを開ける開放力を付与することにより前記可動ドアの動きを妨げ、排除領域を形成するように配置されたバイアス要素と、
前記バイアス要素により付与される力よりも大きくかつそれとは反対方向の固定力を前記可動ドアに付与する、前記可動ドアおよび前記ハウジングの間のロック機構と、
モータと
を備え、
前記可動ドアは、前記閉位置にあるときに、前記モータと前記医薬カートリッジとの間に結合する変速機をさらに有し、
前記バイアス要素が、閉塞へ向かう前記可動ドアの回転のうち、前記移動範囲の最後の30度に達し、または、前記可動ドアの回転中、前記可動ドアが前記移動範囲の最後の30%に達したときに、前記開放力を付与する
投薬装置。
【請求項2】
医薬分配機構をさらに備え、
前記可動ドアを閉じることにより、前記医薬分配機構を係合させて、前記医薬カートリッジから医薬を排出させるようになっている
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項3】
前記可動ドアが、ヒンジを介して前記ハウジングに接続され、
前記ロック機構が、前記ヒンジから間隔を空けて、前記可動ドアと前記ハウジングとの間の接触点に配置された
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項4】
前記可動ドアが、ヒンジ支持片をさらに有し、
前記可動ドアが閉ざされたときに、前記ヒンジ支持片が、前記開放力よりも大きな閉塞力で前記バイアス要素を押すようになっている
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項5】
前記開放力が前記閉塞力よりも大きい場合に、前記バイアス要素が、前記ヒンジ支持片を押すことにより前記可動ドアを知覚可能に開いた位置へ動かすようになっている
請求項4に記載の投薬装置。
【請求項6】
前記可動ドアは、前記知覚可能に開いた位置にあるときに、前記ハウジングから少なくとも4mmだけ突出する
請求項5に記載の投薬装置。
【請求項7】
前記バイアス要素は、前記ヒンジの内部に配置された
請求項3に記載の投薬装置。
【請求項8】
前記可動ドアは、前記ハウジングの、前記可動ドアをロックするためのロック形状と相互ロックする
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項9】
前記ロック機構は、前記可動ドアを不可逆的にロックする
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項10】
前記可動ドアは、スライドドアである
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項11】
前記バイアス要素は、板ばねおよびねじりばねの少なくとも一方である
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項12】
前記バイアス要素は、弾性的に変形可能に構成された変形可能要素である
請求項1に記載の投薬装置。
【請求項13】
投薬装置のドアが開いていることを視覚的に示す方法であって、
前記ドアが、前記ドアを動かす閉塞力を受けることと、
前記ドアが閉じていないことを検知することと、
閉塞へ向かう前記ドアの回転のうち、前記ドアが移動範囲の最後の30度の範囲に達したとき、または、前記ドアの回転中、前記ドアが前記移動範囲の最後の30%の範囲に達したときに、バイアス要素による開放力により前記ドアを知覚可能に開いた位置へ押すことと、
前記投薬装置のハウジングを基準として前記ドアの前記知覚可能に開いた位置であることを前記投薬装置の使用者が視覚的に認識することにより、前記ドアが開いていることを示すことと
を含む
方法。
【請求項14】
前記使用者が前記ドアと前記ハウジングとの間の少なくとも1つの隙間を視覚的に認識することにより、前記ドアが開いていることを示す
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記開放力よりも大きい前記閉塞力を受けることにより前記ドアを動かす
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検知することは、前記投薬装置における前記ドアおよび前記ハウジングのうちの少なくとも一方のロック機構により、前記ドアがロックされていないことを検知することをさらに含む
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記使用者が前記ドアおよび前記ハウジングに触れることにより、前記ドアが開いていることの感触を得ることで前記ドアが開いていることを示す
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2016年8月1日付けで提出された米国仮特許出願第62/369505号の米国特許法第119条第e項に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、そのいくつかの形態において、ドアの位置を示す方法に関し、より詳細には、他を排するものではないが、医療装置のドアの位置を示す方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本発明のいくつかの実施形態に係るいくつかの例である。
【0004】
(例1)
医薬カートリッジのための開口およびチャンバを形成するハウジングと、ハウジングに接続され、全開位置と閉位置との間の移動範囲を有する可動ドアであって、当該ドアが閉位置にあるときに、開口へのアクセスを妨げる可動ドアと、ハウジングまたはドアに接続されたバイアス要素であって、ドアの移動範囲が閉位置に近いときに、ドアを開ける開放力を付与することによりドアの動きと干渉して、排除領域を形成するように配置されたバイアス要素と、ドアおよびハウジングの間のロック機構であって、バイアス要素により付与される力よりも大きくかつそれとは反対方向の固定力をドアに付与するロック機構と、を備えた投薬装置である。
【0005】
(例2)
医薬分配機構をさらに備え、可動ドアを閉じることが、医薬分配機構を係合させて、医薬カートリッジから医薬を排出させる、上記例1の装置である。
【0006】
(例3)
可動ドアが、ヒンジを介してドアに接続され、ロック機構が、ヒンジから間隔を空けて、可動ドアとハウジングとの接触点に配置された、上記例1または2の装置である。
【0007】
(例4)
可動ドアが、当該ドアが閉ざされたときに、開放力よりも大きな閉塞力でバイアス要素を押すヒンジ支持片をさらに備える、上記例1から例3のいずれかの装置である。
【0008】
(例5)
開放力が閉塞力よりも大きい場合に、バイアス要素が、ヒンジ支持片を押すことにより、可動ドアを知覚可能に開いた位置へ動かす、上記例4の装置である。
【0009】
(例6)
可動ドアが、当該ドアが知覚可能に開いた位置にあるときに、ハウジングから少なくとも4mmだけ突出する、上記例4の装置である。
【0010】
(例7)
バイアス要素が、ヒンジ上での可動ドアの回転中に当該ドアが移動範囲の最後の20から30%に達したときに、開放力を付与する、上記例3から例6のいずれかの装置である。
【0011】
(例8)
バイアス要素が、ヒンジ上での閉位置へ向かう可動ドアの回転のうち、最後の20から30度で、開放力を付与する、上記例3から例6のいずれかの装置である。
【0012】
(例9)
バイアス要素が、ヒンジのなかに配置された、上記例3から例8のいずれかの装置である。
【0013】
(例10)
ドアが、ハウジングの、当該ドアをロックするためのロック形状と相互ロックする、上記例1から例9のいずれかの装置である。
【0014】
(例11)
ロック機構が、可動ドアを不可逆的にロックする、上記例1から例10のいずれの装置である。
【0015】
(例12)
ドアが、スライドドアである、上記例1または例2の装置である。
【0016】
(例13)
バイアス要素が、板ばねおよびまたはねじりばねである、上記例1から例12のいずれかの装置である。
【0017】
(例14)
バイアス要素が、弾性的に変形可能に構成された変形可能要素である、上記例1から例13のいずれかの装置である。
【0018】
(例15)
ドアが、当該ドアが閉位置にあるときに、当該装置のモータと医薬カートリッジとの間に結合する変速機を備える、上記例1から例14のいずれかの装置である。
【0019】
(例16)
投薬装置のドアが開いていることを視覚的に示す方法であって、ドアにより、当該ドアを動かす閉塞力を受けることと、ドアが閉じていないことを検知することと、バイアス要素による開放力でドアを知覚可能に開いた位置へ押すことと、投薬装置のハウジングと対比した当該ドアの知覚可能に開いた位置を認識することにより、ドアが開いていることを示すことと、を含む方法である。
【0020】
(例17)
示すことが、ドアと投薬装置のハウジングとの間の少なくとも1つの隙間を認識することにより、ドアが開いていることを示すことをさらに含む、上記例16の方法である。
【0021】
(例18)
受けることが、閉塞力を受けてドアを動かすことをさらに含み、閉塞力が、開放力よりも大きい、上記例16または例17の方法である。
【0022】
(例19)
検知することが、投薬装置のドアおよび/またはハウジングのロック機構によりドアがロックされていないことを検知することをさらに含む、上記例16から例18のいずれかの方法である。
【0023】
(例20)
示すことが、知覚可能に開いた位置を視覚的に認識することにより、ドアが開いていることを示すことをさらに含む、上記例16から例19のいずれかの方法である。
【0024】
(例21)
示すことが、ドアおよび投薬装置のハウジングに触れることにより、ドアが開いていることを示すことをさらに含む、上記例16から例19のいずれかの装置である。
【0025】
上記以外に規定される場合でも、本明細書で使用される全ての技術的または科学的用語は、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるのと近似するか、等価な方法および材料が、本発明の実施形態の運用および試験に使用されてもよいが、例示の方法および/または材料が以下に説明される。矛盾がある場合は、定義を含め、明細書の記載による。さらに、材料、方法および例示は、説明のためだけのものであり、必然的な限定を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本特許または本願は、色付きで作成された少なくとも1つの図面を包含する。本特許または特許出願公開の、色付きの図面での写しは、請求および必要な料金の支払いのもと、特許庁により提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態が、添付の図面を参照して例示としてのみここに説明される。ここで、図面を詳細に参照するが、示される事項は、例示としてのものであり、本発明の実施形態の実例による説明のためであることが強調される。この意味において、図面とともになされる説明は、当業者に対し、本発明の実施形態がどのようにして実施可能であるかを明らかにする。
【0028】
図1図1(1Aから1C)は、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のドアの、医療装置のハウジングに対する異なる位置を示す概略正面図である。
図2図2は、バイアス要素により医療装置のドアに付与される、ドアの開き角の関数である本発明のいくつかの形態に係る力の変化を示すグラフである。
図3図3は、医療装置のドアを閉じる、本発明のいくつかの形態に係るプロセスを示すフローチャートである。
図4A図4Aは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4B図4Bは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4C図4Cは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4D図4Dは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4E図4Eは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4F図4Fは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4G図4Gは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4H図4Hは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4I図4Iは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図4J図4Jは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の回転ドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5A図5Aは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5B図5Bは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5C図5Cは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5D図5Dは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5E図5Eは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5F図5Fは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図5G図5Gは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のスライドドアを閉じる動作を示す概略図である。
図6A図6Aは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の、当該医療装置のドアが開位置および閉位置にある場合の異なる要素を示す概略図である。
図6B図6Bは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の、当該医療装置のドアが開位置および閉位置にある場合の異なる要素を示す概略図である。
図6C図6Cは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の、当該医療装置のドアが開位置または閉位置にある場合の異なる要素を示す概略図である。
図6D図6Dは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の、当該医療装置のドアが開位置または閉位置にある場合の異なる要素を示す概略図である。
図6E図6Eは、本発明のいくつかの形態に係る医療装置の、当該医療装置のドアが開位置または閉位置にある場合の異なる要素を示す概略図である。
図7A図7Aは、医療装置のドアが開いているときおよびドアが閉じているときの、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のモータと医療装置に挿入されたカートリッジとの間の係合機構の概略図である。
図7B図7Bは、医療装置のドアが開いているときおよびドアが閉じているときの、本発明のいくつかの形態に係る医療装置のモータと医療装置に挿入されたカートリッジとの間の係合機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、ドアの位置を示す方法に関し、より具体的には、他を排するものではないが、医療装置のドアの位置を示す方法に関する。
【0030】
いくつかの形態に係る一側面は、医療装置のドアが排除領域にあるのを妨げることに関する。いくつかの形態では、排除領域は、ドアの閉位置近傍に設けられる。これに代え、排除領域は、医療装置のドアの移動範囲のうち、最後の50%、例えば、最後の5、10、15、20%に設定される。いくつかの形態では、排除領域は、最後の25度、例えば、閉位置へ向かう装置のドアの回転の、最後の20、15、10度に配置される。
【0031】
いくつかの形態では、バイアス要素は、ドアが排除領域のなかにあるときに、ドアに力を付与する。いくつかの形態では、バイアス要素は、知覚により把握可能に開いた位置(知覚可能に開いた位置、知覚による開位置)へドアを押し開ける。いくつかの形態では、ドアが知覚可能に開いた位置にあるときに、装置の使用者は、ドアが開いていることの明らかな視覚による表示を受ける。これに代え、ドアが知覚可能に開いた位置にあるときに、使用者は、ドアおよび/または装置に触れることにより、ドアが開いていることの感触を得ることが可能である。いくつかの形態では、例えば、ドアは、知覚可能に開いた位置にあるときに、少なくとも2mmだけ、例えば、3、4、5、6、7mmだけ、装置のケーシングから突出する。いくつかの形態では、限られた範囲の排除領域を形成するバイアス要素を有することの潜在的な利点は、バイアス要素が、ドアを大きく押し開けるときに、装置へのアクセスと干渉しないことである。これに加え、装置のドアが大きく開くことは、例えば、ドアがケーシングから顕著に突出する場合に、装置の梱包中および/または輸送中の問題を生じ得る。
【0032】
いくつかの形態では、使用者は、ドアに対し、バイアス要素により付与される力とは反対方向に力を付与し、例えば、ドアを閉位置へ動かす。いくつかの形態では、使用者により付与される力は、バイアス要素により付与される開放力よりも大きい。いくつかの形態では、ドアが使用者によりさらに押されないならば、バイアス要素は、ドアを知覚可能に開いた位置へ押す。
【0033】
いくつかの形態では、ドアが閉位置へ押された場合に、ドアおよび/または医療装置に配置された閉じ機構が、バイアス要素により付与される力と対比してより大きな力を付与する。いくつかの形態では、ロック機構が解放されて、例えば、バイアス要素により、知覚可能に開いた位置へドアが開くのを許容することが可能である。これに代え、例えば、一度だけ使用される装置である場合に、ロック要素が、ドアが再度開くのを防止して、例えば、ドアを確実に閉じたままにする。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、必ずしもに構造の詳細および要素の配置および/または以下の説明で述べられおよび/または図示される方法および/または具体例に限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態であってもよく、様々な方法で実施しまたは実行することが可能である。
【0035】
いくつかの実施形態において、投薬装置、例えば、図1Aから図1Cの医療装置の医薬分配機構は、医療装置のドア、例えば、ドア104が、例えば、図1Aに示されるように、装置のハウジング102上で閉じた場合にのみ、薬剤分子を分配するように動作する。必要に応じ、ドアが閉じると、ドアは、ロック機構によりロックされる。いくつかの実施形態では、ドアが完全に閉じた場合に、装置の使用者は、ドアが閉じたことの視覚による表示を受ける。いくつかの実施形態では、ドアが閉じると、ドアとハウジングとの間に視認可能な隙間がなくなる。これに加え、ドアおよびハウジングは、医療装置の一様な外表面を形成する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ドアが閉じておらず、換言すれば、例えば、図1Bに示されるように、ほぼ閉位置にある場合に、医薬は、分配されない。いくつかの実施形態では、ドアがほぼ閉位置にある場合に、使用者は、例えば、ドア104とハウジング102との間に形成された隙間105が、ドアが依然として開いていることを示すのに充分なほどには広くなく、よって、ドアが知覚により把握可能な程度に閉じているため、ドアが閉じていることの視覚による表示を受ける。いくつかの実施形態では、ドアがほぼ閉位置にある場合に、ドアとハウジングの上部103との間に形成されるずれ107は、視認不能であり、医療装置100の外表面に触れることによっては認識することができない。いくつかの実施形態では、ドアが依然として開いているが、知覚によれば閉じていると認識される場合は、使用者が装置を起動しても、医薬を投与することはできない。
【0037】
いくつかの実施形態では、使用者に対し、ドアが閉じていないことを示すため、ドア104は、知覚可能に開いた位置(知覚による開位置)に配置される。いくつかの実施形態では、知覚による開位置において、ドア104とハウジング102との間に形成される隙間、例えば、隙間105は、ドアが閉じていないことを視覚的に示しおよび/または触れることにより認識されるのに充分なほどに大きい。いくつかの実施形態では、ドア104とハウジング102の上部103との間に形成されるずれ107もまた、視認可能であり、医療装置の外表面、例えば、医療装置100の上部に触れることにより認識することができる。いくつかの実施形態では、使用者が、ドアが閉じていないことの表示を受けると、その後、使用者は、より大きな力をかけてドアを閉じ、必要に応じてドアのロックを確実なものとすることが可能である。
【0038】
(排除領域の例示的な形成)
いくつかの実施形態によれば、ドアを知覚による開位置に置くため、排除領域が形成される。いくつかの実施形態では、ドアは、使用者がドアに力をかけない限り、この排除領域のなかに配置されるのが禁止される。
【0039】
ここで、図2を参照すると、ドアの位置に関し、本発明のいくつかの実施形態による排除領域の形成について示されている。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態によれば、バイアス要素、例えば、弾性的なバイアス要素または変形可能なバイアス要素が、ドアが閉位置に達しそうなときに、ドアに力を付与する。いくつかの実施形態では、バイアス要素は、閉位置近傍からドアが閉位置に達するまで継続して、ドアに力を付与する。いくつかの実施形態では、バイアス要素がドアに力を付与する限り、排除領域にあるとする。いくつかの実施形態では、ドアに付与される力の合算がバイアス要素により付与される力の方向に向く場合に、バイアス要素は、ドアを知覚による開位置に動かすのに充分なほどの力を付与する。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドアが、開位置から、ドアと装置のハウジングとの間の角度が0度である閉位置にまで押されるときに、バイアス要素は、ドアの開き角が90度未満である場合に、ドアに力を付与し始める。いくつかの実施形態では、バイアス要素は、ドアが0度の角度に達するまで、ドアに力を付与する。必要に応じ、バイアス要素は、ドアが閉じおよびロックされているときに、ドアに力を付与する。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドアの開き角が90度未満である場合に、バイアス要素、例えばねじりばねは、ドアに徐々に力を付与していく。いくつかの実施形態では、例えば、グラフ204にみられるように、使用者は、ねじりばねにより付与される力よりも大きくかつ反対方向の力を、ドアが閉じるまで付与する必要がある。いくつかの実施形態では、使用者によりねじりばねに抗して付与される力の増大は、グラフ202にみられるような、板ばねに抗して付与される必要がある力と比べ、より緩やかである。いくつかの実施形態では、ドアを閉じる際に使用者により付与される必要がある力の大きさは、バイアス要素の弾性に依存する。
【0043】
いくつかの実施形態では、板ばねは、ドアの角度が45度未満であるときに、ドアに力をかけ始める。いくつかの実施形態において、板ばねおよびねじりばねは、排除領域206を形成するが、ねじりばねにより形成される排除領域は、板ばねにより形成される排除領域と対比して、より広い。いくつかの実施形態では、より大きな開き角における、例えばねじりばねによる力の印加は、より広い排除領域を形成するのを可能とする。いくつかの実施形態において、より広い排除領域は、例えば、医療装置のドアが開いていることのより好ましい表示を可能とする。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドアが閉じるかまたは閉位置近傍に達すると、ロック機構が、ドアをロックする。いくつかの実施形態では、ロック機構は、バイアス要素よりも大きな力を付与する。いくつかの実施形態では、ドアがロックされた場合に、使用者によりドアを閉じたままに保つのに付与される力は、グラフ202および204に示されるように、0(ゼロ)である。
【0045】
(ドアを閉じる例示的なプロセス)
いくつかの例示的な実施形態によれば、医療装置の使用者は、装置のドアを閉じて、装置が所要の起動プロセスに従って動作するのを可能とする。図3を参照すると、医療装置のドアを閉じるための、本発明のいくつかの実施形態によるプロセスが示されている。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態によれば、302では、医療装置の使用者により、ドアが閉ざされる。いくつかの実施形態では、閉位置へのドアの移動を許容するのに充分なだけの力をドアに付与することで、ドアが閉ざされる。いくつかの実施形態では、使用者により付与される力は、バイアス要素によりかけられる力よりも大きい。これに加え、使用者により付与される力は、バイアス要素により付与される力とは反対方向である。いくつかの実施形態では、使用者は、ドアに力をかけて、ドアをロック位置へ動かす。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態によれば、304では、ドアの移動が見積もられる。いくつかの実施形態では、ドアが、ドアの移動範囲の50%未満で移動するならば、使用者は、306において、ドアの位置を目で見えるようにして、例えば、ドアの位置に関する視覚による表示を受けることが可能である。いくつかの実施形態では、ドアの位置の可視化に続いて、使用者は、312において、ドアを閉じるための追加の力を付与する。
【0048】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドアが、ドアの移動範囲の50%を超えて移動するならば、使用者は、308において、ドアがロックされているかを確認する。いくつかの実施形態では、ドアがロックされている場合は、更なる動作は、不要である。或いはまた、ドアがロックされていない場合は、310において、バイアス要素が、ドアを押し開ける。いくつかの実施形態では、バイアス要素が、ドアを知覚による開位置へ押す。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態によれば、使用者は、306において、ドアの位置を目で見えるようにする。いくつかの実施形態では、使用者は、必要に応じてドアと装置のケーシングとの間の隙間、例えば、図1Cに示される隙間105を目で見えるようにすることで、306において、ドアが知覚による開位置にあることが目で見えるようにする。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドアが知覚による開位置で可視化されると、使用者は、312において、追加の力をかけて、ドアを閉じる。いくつかの実施形態では、使用者は、312において、ドアにより大きな力をかける。いくつかの実施形態では、使用者により追加の力がかけられた後、304において、ドアの移動が、既に述べられたように推定される。
【0051】
(回転ドアの例示的な閉動作)
図4Aから図4Jを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による回転式の医療装置ドアの閉動作が示されている。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態によれば、医療装置400は、可動式のドア、例えば、回転ドア404およびハウジング402を備えるとともに、ハウジング402に接続されたバイアス要素406を備える。いくつかの実施形態では、回転ドア404は、ハウジング402に対し、回転ドア404の軸を中心とする回転を可能とするヒンジ405を介して接続される。いくつかの実施形態では、ヒンジ支持片403が、回転ドア404に接続される。いくつかの実施形態では、バイアス要素は、ヒンジ支持片の左側に配置される。これに代え、例えば、ヒンジがバイアス要素の右側に設けられる場合は、ヒンジ支持片は、バイアス要素の左側に配置される。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図4Aに示されるように、回転ドア404が開位置にある場合は、バイアス要素406は、ドアとも、ヒンジ支持片403とも接触した状態になく、よって、ドアに力をかけていない。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図4Bに示されるように、バイアス要素406は、ヒンジ支持片403と接触し、必要に応じてヒンジ支持片403に最小またはゼロの力を付与する。いくつかの実施形態では、この位置で、回転ドア404が、知覚による開位置、例えば、ドアが開いていることの視覚による表示を可能にする位置に置かれる。いくつかの実施形態では、バイアス要素406は、回転ドア404またはヒンジ支持片403と、閉位置に向けたドアの回転の最後の45度(414)、例えば、最後の30、25、20、15、10度で接触する。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図4Cに示されるように、回転ドアを閉じるため、ヒンジ支持片403に対し、方向410に、つまり、バイアス要素406により付与される力とは反対方向に、追加の力が付与される。いくつかの実施形態では、方向410に付与される力がゼロであるかまたはバイアス要素406により付与される力よりも小さい場合は、回転ドア404は、例えば、図4Bに示される知覚による開位置へ押し開けられる。これに代え、方向410に付与される力がバイアス要素により付与される力よりも大きく、充分な時間に亘って付与されるならば、回転ドア404は、例えば、図4Dに示されるように、閉ざされる。いくつかの実施形態では、ドアが閉じると、ヒンジ支持片が、バイアス要素を、ハウジング402のなかの溝に押し込む。必要に応じ、ドアが閉じると、ロック機構が、ドアをロックする。いくつかの実施形態では、ロック機構は、ドアを不可逆的にロックする。
【0056】
ここで、図4Eから図4Gを参照すると、本発明のいくつかの実施形態により、板ばねの形態のバイアス要素に抗する力を付与することで、回転ドアを閉じることが示されている。
【0057】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図4Eに示されるように、板ばね420の形態のバイアス要素が、ハウジング422に接続される。いくつかの実施形態によれば、ドア、例えば、ドア424が知覚による開位置にある場合に、板ばね420は、ドア424のヒンジ支持片426と接触する。知覚による開位置では、板ばね420は、ドア424を方向410に動かすことにより追加の力が付与されるまで、ドア424が閉じるのを妨げる。いくつかの実施形態では、ドアが閉位置に達するまで方向410に動かされると、ヒンジ支持片426が、板ばね420を、例えば、図4Gに示されるように曲げるのに充分な力をかける。
【0058】
ここで、図4Hから図4Jを参照すると、本発明のいくつかの実施形態により、ねじりばねの形態のバイアス要素に抗する力を付与することで、回転ドアを閉じることが示されている。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図4Hに示されるように、ねじりばね430の形態のバイアス要素が、ハウジング432に接続される。いくつかの実施形態では、ドア、例えば、ドア434が知覚による開位置にある場合に、ねじりばね430は、ドア434と接触する。知覚による開位置では、ねじりばね430は、ドア434を方向410に動かすことにより追加の力が付与されるまで、ドア434が閉じるのを妨げる。いくつかの実施形態では、ドアが閉位置に達するまで方向410に動かされると、ドア434が、ねじりばね430を、例えば、図4Jに示されるように曲げるのに充分な力を付与する。
【0060】
(スライドドアの例示的な閉動作)
図5Aから図5Dを参照すると、本発明のいくつかの実施形態によるスライド式の医療装置ドアの閉動作が示されている。
【0061】
いくつかの例示的な実施形態によれば、医療装置500は、スライドドア502、ハウジング504およびハウジング504に接続されたバイアス要素506を備える。いくつかの実施形態では、例えば、図5Aに示されるように、スライドドア502は、開いており、バイアス要素506と接触していない。いくつかの実施形態では、この位置で、装置の要素、例えば、医薬カートリッジが、ハウジング504に挿入される。
【0062】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、図5Bに示されるように、使用者は、スライドドア502に対して方向508に力をかけて、ドアを閉位置へ押す。いくつかの実施形態では、バイアス要素506がスライドドア502に最小の力またはゼロの力をかけると、スライドドアが、知覚による開位置に配置される。
【0063】
いくつかの例示的な実施形態によれば、スライドドア502をさらに押し、閉じるため、使用者は、例えば、図5Cに示されるように、方向508に、バイアス要素によりかけられる力とは反対方向に力をかける。いくつかの実施形態では、使用者によりかけられる力は、バイアス要素によりかけられる力よりも大きい。必要に応じ、使用者は、ドアが閉じるまで、力をかける。いくつかの実施形態では、使用者が、スライドドア502が閉じるよりも前に力をかけるのを止めると、バイアス要素が、図5Bに示される知覚による開位置へ、方向510にドアを押す。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態によれば、スライドドア502が、使用者により、バイアス要素によりかけられる力よりも大きな力で充分な時間に亘って押されると、ドアが、例えば、図5Dに示されるように、閉ざされる。いくつかの実施形態では、スライドドア502が閉ざされると、ドアおよび/またはハウジング504に配置されたロック機構が、ドアをロックする。いくつかの実施形態では、ロック機構は、例えば、ドアが開くのを妨げるため、バイアス要素によりかけられる力よりも大きな力をかける。
【0065】
図5Eから図5Gを参照すると、スライドドアが開位置および閉位置にある、本発明のいくつかの実施形態による医療装置が示されている。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態によれば、医療装置520のスライドドア522が、例えば、図5Eに示されるように、開位置にある場合は、医薬カートリッジ524が、ハウジング528のなかへ、方向526に押し込まれる。いくつかの実施形態では、医薬カートリッジ524がハウジング528のなかに配置されると、スライドドア522が、例えば、医薬カートリッジ524を覆うように、方向530に押される。いくつかの実施形態では、医薬カートリッジを完全に覆うため、スライドドア522が、ハウジング528に接続されたバイアス要素に抗して力をかける。いくつかの実施形態では、スライドドア522が全閉位置にあり、必要に応じてロックされると、医薬カートリッジ524が、例えば、図5Gに示されるように、完全に覆われる。必要に応じ、スライドドア522がロックされると、医療装置520が起動された場合に、医薬が投与可能となる。
【0067】
(例示的な投薬装置)
図6Aから図6Eを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による投薬装置が示されている。
【0068】
いくつかの例示的な実施形態によれば、投薬装置600は、ハウジング602と、可動式のドア、例えば、ヒンジ606を介してハウジング602に接続された回転ドア604と、を備える。いくつかの実施形態では、ハウジング602は、医薬リザーバ、例えば、カートリッジ614のためのチャンバを画成する。いくつかの実施形態では、カートリッジ614は、装置600の医薬分配機構がかみ合わされたときに排出される医薬分子を貯蔵する。
【0069】
いくつかの例示的な実施形態によれば、投薬装置600は、バイアス要素、例えば、ハウジング602に接続された板ばね610および/またはねじりばね612をさらに備える。いくつかの実施形態では、ドア604は、ヒンジ支持片608を介してヒンジ606に接続される。いくつかの実施形態では、ドア604が、例えば、図6Aに示されるような全開位置にあるときに、ドアは、バイアス要素とは接触しておらず、バイアス要素に対し、いかなる力もかけていない。いくつかの実施形態では、ドア604が、例えば、図6Bおよび図6Dに示されるように、知覚による開位置へ方向620に押された場合に、バイアス要素、例えば、板ばね610またはねじりばね612が、ドア604と接触する。これに代え、バイアス要素は、ヒンジ支持片608と接触する。いくつかの実施形態では、ドア604が知覚による開位置にある場合に、バイアス要素は、方向620に充分な力がかけられない限り、ドアが閉じるのを妨げる。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドア604が方向620に移動すると、ドアは、バイアス要素に追加の力をかける。これに代え、ドア604が方向620に移動するときに、ヒンジ支持片608が、バイアス要素、例えば、板ばね610に追加の力をかける。必要に応じ、ドアが方向620に移動するときにバイアス要素にかけられる力は、増大してもよい。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドア604は、閉位置に至らせるため、バイアス要素によりかけられる力よりも大きな力で、方向620にさらに押される。いくつかの実施形態では、ドア604が、例えば、図6Cおよび図6Eに示されるように、閉ざされると、ドアの遠位端に設けられたロック機構、例えば、ロック機構616が、ドア604をハウジング602にロックする。これに代えるかまたはこれに加え、ハウジング602に設けられたロック機構618が、ドア602および/またはロック機構616をロックする。いくつかの実施形態では、ロック機構は、ドア604とハウジング602との間の接触点に配置される。必要に応じ、ロック機構は、ヒンジ606から間隔を空けて配置される。いくつかの実施形態では、ドアは、ハウジングのロック形状と相互ロックする。
【0072】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドア604がロックされず、方向620にかけられる力がない場合は、バイアス要素、例えば、板ばね610またはねじりばね612は、ドアを知覚による開位置、例えば、図6Bおよび図6Dに示される知覚による開位置に押し返す。
【0073】
いくつかの例示的な実施形態によればねじりばねおよび板ばねの双方が、医療装置のハウジングに接続され、ドアに力をかける。いくつかの実施形態では、ねじりばねは、閉塞に向けたドアの移動範囲のうち、少なくとも最後の50%でドアに力をかける。いくつかの実施形態では、板ばねは、閉塞に向けたドアの移動範囲のうち、少なくとも最後の30%でドアに追加の力をかける。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドア604が閉じまたはロックされたままである場合に、投薬装置の医薬分配機構がかみ合わされ、例えば、装置の起動により、カートリッジ614からの医薬の分配を可能とする。いくつかの実施形態では、ドア604が部分的に開いており、例えば、ドア604が知覚による開位置にある場合に、医薬分配機構は、かみ合わされず、医薬は、装置が起動されたとしても、カートリッジ614から排出
されない。
【0075】
いくつかの例示的な実施形態によれば、バイアス要素は、金属製の弾性要素である。これに代え、バイアス要素は、限られた弾性範囲を有し、例えば、プラスチックまたはエラストマから作製された変形可能要素である。
【0076】
(医薬分配機構の例示的なかみ合わせ)
図7Aおよび図7Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による医薬分配機構のかみ合い状態が示されている。
【0077】
いくつかの例示的な実施形態によれば、医療装置650は、モータ機構710と、医薬カートリッジ614のカートリッジ機構712と、を備える。いくつかの実施形態では、ドア604が閉じておらず、例えば、ドアが知覚による開位置にある場合に、カートリッジ機構712は、モータ機構710にかみ合わされていない。いくつかの実施形態では、カートリッジ機構712がかみ合わされていない場合に、医薬は、必要に応じて例え医療装置650が使用者により起動されたとしても、カートリッジ614から分配することができない。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、バイアス要素612に抗して追加の力をかけることにより、ドア604が閉ざされると、カートリッジ機構712が、モータ機構710にかみ合わされる。いくつかの実施形態では、ドア変速機714が、例えば、図7Bに示されるように、ドア604に接続され、モータ機構710とカートリッジ機構712との間に結合される。いくつかの実施形態では、ドア604が閉ざされると、ドア変速機714が、モータ機構710の回転を、カートリッジ機構712に伝達させ、例えば、医療装置650の起動により、カートリッジ614から医薬を分配させる。
【0079】
本願から満了する特許の存続期間の間に、多くの関連するバイアス要素が開発されることが予想され、よって、バイアス要素との用語の範囲は、そのような新たな技術を先験的に包含することが意図されたものである。
【0080】
使用に際し、量または値について、「約」との用語は、「その±10%の範囲内」をいう。
【0081】
「comprises」、「comprising」、「includes」「including」、「has」、「having」との用語およびそれらの活用語は、「限られることではなく、含む」ことを意味する。
【0082】
「consisting of」との用語は、「含みかつそれに限られる」ことを意味する。
【0083】
「consisting essentially of」は、化合物、方法または構造が、追加の原料、ステップおよび/または部品を、その追加の原料、ステップおよび/または部品がクレームに記載の化合物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合にのみ、有する場合があることを意味する。
【0084】
本明細書で用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に要求するのでなければ、複数形の場合をも含む。例えば、「a compound」または「at least one compound」との用語は、複数の化合物を、その混合物を含め、包含する。
【0085】
本願全体を通じ、本発明の多様な実施形態について、範囲を規定する形式を参照して記載される場合がある。範囲を規定する記載は、便宜的で、簡潔さのために過ぎず、本発明の範囲に関する柔軟性のない限定として解釈されるべきではない。よって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値ばかりでなく、具体的に開示された全ての可能性のある部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。例えば、「1から6」という範囲の記載は、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5および6ばかりでなく、「1から3」、「1から4」、「1から5」、「2から4」、「2から6」、「3から6」等、具体的に開示された部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。このことは、その範囲の幅に関わりなく該当する。
【0086】
数値範囲(例えば、「10-15」、「10から15」または他のそのような範囲表示により関連付けられたあらゆる対の数)が示されている場合は常に、文脈上そうではないことが明らかである場合を除き、範囲の境界を含め、表示された範囲の限度内にあるいかなる数(分数または整数)をも包含することを意味する。「第1表示値と第2表示値との間の範囲に及ぶ」との記載および「第1表示値から第2表示値まで(または他のそのような範囲を表示する用語)の範囲に及ぶ」との記載は、本明細書で読替可能に使用され、第1および第2表示値、さらに、それらの間の全ての分数および整数を含むことを意味する。
【0087】
そうでないことが示されない限り、本明細書で使用される数およびそれに基づくいかなる数の範囲も、当業者に理解されるように、合理的な測定の精度および丸め誤差の範囲での近似値である。
【0088】
明確さのために異なる実施形態の文脈で記載された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に集約して提供することも可能である。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載された本発明の多様な特徴は、分けて提供したり、任意の適切なサブコンビネーションとして提供したり、本発明のいかなる他の記載された実施形態において適切に提供することが可能である。多様な実施形態の文脈で記載された特定の特徴は、実施形態がそれらの要素がなければ動作不能でない限り、それらの実施形態に必須の特徴として考慮されるべきものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B