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特開2022-87296電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池
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  • 特開-電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 図1
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  • 特開-電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087296
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20220602BHJP
   H01M 8/1039 20160101ALI20220602BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20220602BHJP
【FI】
H01M4/86 M
H01M4/86 B
H01M8/1039
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067161
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2019002908の分割
【原出願日】2018-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2017209457
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 まどか
(57)【要約】
【課題】十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。
【解決手段】高分子電解質膜11の表面に接合された電極触媒層10は、触媒物質12と導電性担体13と高分子電解質14と繊維状物質15とを少なくとも含み、高分子電解質膜11は、フッ素系高分子電解質を含み、繊維状物質15の軸は、配向しておらず、繊維状物質15のうち、高分子電解質膜11の表面に接合する電極触媒層10表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である繊維状物質15の数が、含有する繊維状物質15全体の数の50%よりも多い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜に接合される電極触媒層であって、
触媒物質と導電性担体と高分子電解質と繊維状物質とを含み、
上記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質を含み、
上記繊維状物質の軸は、配向しておらず、
上記繊維状物質のうち、上記高分子電解質膜の表面に接合する電極触媒層表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である上記繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の50%よりも多いことを特徴とする電極触媒層。
【請求項2】
上記繊維状物質の軸の傾きθが0°≦θ<20°である上記繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の70%よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層。
【請求項3】
上記繊維状物質の軸の傾きθが0°≦θ<40°である上記繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の80%よりも多いことを特徴とする請求項1または2に記載の電極触媒層。
【請求項4】
上記繊維状物質は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、電解質繊維及び酸窒化物繊維から選択した一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電極触媒層。
【請求項5】
上記電極触媒層の厚みが5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電極触媒層。
【請求項6】
高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の酸素極側の面に接合された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極触媒層と、を備えることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項7】
請求項6に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素と酸素の化学反応から電気を生み出す発電システムである。燃料電池は、従来の発電方式と比較して高効率、低環境負荷、低騒音といった特徴を持ち、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近で使用可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源などへの使用が有望視されており、近年、固体高分子形燃料電池に関する様々な研究開発が行われている。その実用化に向けての課題には、発電特性や耐久性などの電池性能向上、インフラ整備、製造コストの低減などが挙げられる。
【0003】
固体高分子形燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、高分子電解質膜の両面に、燃料ガスを供給する燃料極(アノード)と酸化剤を供給する酸素極(カソード)とが接合した膜電極接合体を、ガス流路及び冷却水流路を有するセパレーターで挟んだ構造をしている。燃料極(アノード)及び酸素極(カソード)は、白金系の貴金属などの触媒物質、導電性担体及び高分子電解質を少なくとも含む電極触媒層と、ガス通気性と導電性とを兼ね備えたガス拡散層とで主に構成されている。
【0004】
固体高分子形燃料電池では、以下のような電気化学反応を経て電気を取り出すことができる。まず、燃料極側電極触媒層において、燃料ガスに含まれる水素が触媒物質により酸化され、プロトン及び電子となる。生成したプロトンは、電極触媒層内の高分子電解質及び電極触媒層に接している高分子電解質膜を通り、酸素極側電極触媒層に達する。また、同時に生成した電子は、電極触媒層内の導電性担体、電極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接しているガス拡散層、セパレーター及び外部回路を通って酸素極側電極触媒層に達する。そして、酸素極側電極触媒層において、プロトン及び電子が酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し、水を生成する。
【0005】
ガス拡散層はセパレーターから供給されるガスを拡散して電極触媒層中に供給する役割をもつ。そして、電極触媒層中の細孔は、セパレーターからガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極の細孔は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給する機能が求められる。また、酸素極の細孔は、酸化剤ガスを円滑に供給する機能が求められる。ここで、ガスを円滑に供給するためには電極触媒層中の細孔に隙間があり、密な分布とならないことが重要である。
電極触媒層中の細孔分布が密とならないようコントロールする手段として、例えば、異なる粒子径のカーボンまたはカーボン繊維を含む電極触媒層が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3617237号公報
【特許文献2】特許第5537178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では異なる粒径のカーボン粒子を組み合わせることで、電極触媒層中の細孔が密に詰まることを抑制している。また、特許文献2では、異なる繊維長のカーボン繊維を組み合わせることにより、電極触媒層中の細孔が密に詰まることを抑制している。しかし、これらの手法では、電極触媒層中の細孔が密にはなりづらいものの、電極触媒層中の細孔の形状までは考慮されていない。
すなわち本発明は、上記のような点に着目してなされたものであり、電極触媒層中のガス拡散性を向上し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために、本発明の一態様に係る電極触媒層は、高分子電解質膜に接合される電極触媒層であって、触媒物質と導電性担体と高分子電解質と繊維状物質とを含み、上記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質を含み、上記繊維状物質の軸は、配向しておらず、上記繊維状物質のうち、上記高分子電解質膜の表面に接合する電極触媒層表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である上記繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の50%よりも多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電極触媒層中のガス拡散性を向上し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る電極触媒層の構成例を示す模式断面図である。
図2】繊維状物質の軸の傾きθの説明図である。
図3】本実施形態に係る膜電極接合体の構成例を示し、(a)は膜電極接合体を電極触媒層の酸素極側から見た平面図、(b)は(a)のX-X´線で破断した断面図である。
図4】本実施形態に係る固体高分子形燃料電池の構成例を示す分解斜視図である。
図5】繊維状物質で形成される空隙を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
【0012】
本発明の発明者は、固体高分子形燃料電池の初期発電性能と耐久発電性能について鋭意検討を行った結果、これらの性能には電極触媒層におけるガス拡散性が大きく影響していることを見出した。そして、電極触媒層の膜厚方向に対して面内方向(膜厚方向に直交する方向)に広い空隙を形成すると、面内方向におけるガスの拡散性が向上する結果、出力の低下及び当該電極触媒層の劣化を抑制し、長期的に高い発電性能を発揮する固体高分子形燃料電池を得ることに成功した。
【0013】
従来、繊維状物質の傾きについて考慮されていなかったが、本発明の発明者が検討したところ、図5のように、隣接する2本の繊維状物質15を考えた場合、2本の繊維状物質15の一方の軸の傾きが45度よりも低い場合、特に両方の軸の傾きが45度よりも低い場合には、繊維状物質15間に面内方向(膜厚方向に直交する方向)に広がる空隙が形成されやすくなり、ガスの拡散性の向上や面内における均一な発電に寄与することを突き止めた。さらに、繊維状物質の軸の傾きが20度よりも小さい繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の70%よりも少ないか、繊維状物質の軸の傾きが40度よりも小さい繊維状物質の数が、含有する繊維状物質全体の数の80%よりも多い場合には、より好適な空隙が形成されることを突き止めた。
【0014】
[電極触媒層の構成]
以下、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る電極触媒層の具体的な構成を説明する。
図1に示す模式図のように、本実施形態に係る電極触媒層10は、高分子電解質膜11の表面に接合されており、触媒物質12、導電性担体13、高分子電解質14及び繊維状物質15から構成されている。そして、上記のいずれの構成要素も存在しない部分が空隙となっている。
【0015】
本実施形態に係る電極触媒層10は、高分子電解質膜11の表面に接合する電極触媒層10の表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である繊維状物質15の数が、電極触媒層10に含有する繊維状物質全体の数の50%よりも多くなるように構成されている。また、繊維状物質15の軸の傾きθが0°≦θ<20°である繊維状物質15の数が、含有する繊維状物質全体の数の70%よりも少ないことが好ましく、より好ましくは40%以上70%未満である。軸の傾きθが0°≦θ<20°である繊維状物質15の数が、含有する繊維状物質全体の数の70%よりも多い場合には、空隙が狭く十分な排水性及びガス拡散性が確保できない場合がある。
【0016】
また、繊維状物質15の軸の傾きθが0°≦θ<40°である繊維状物質15の数が、含有する繊維状物質全体の数の80%よりも多くなることが好ましく、電極触媒層10に含有する繊維状物質全体の数の85%以上であることがより好ましい。軸の傾きθが0°≦θ<40°である繊維状物質15の数が、含有する繊維状物質全体の数の80%よりも少ない場合には、面内方向(膜厚方向に直交する方向)に広がる空隙が十分に形成されない場合がある。この場合、ガスの拡散性の向上や面内における均一な発電に寄与することができないことがある。
【0017】
この軸の傾きθを判定する繊維状物質15は、例えば、電極触媒層10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した際に、断面に露出する繊維長が0.8μm以上のものを対象とする。これによって、電極触媒層10には、十分な排水性及びガス拡散性を備えた空隙が形成されやすくなる。ここで、電極触媒層10における表面は、電極触媒層10の厚みが均一な場合には、高分子電解質膜11の表面に接合する面10Aa、10Caと平行な面であり、高分子電解質膜11の表面(接合面)と平行な面である。よって、上記の電極触媒層10の表面に対する軸の傾きθは、高分子電解質膜11の表面(接合面)に対する角度及び高分子電解質膜11の表面に接合する面10Aa、10Caに対する角度と同義である。すなわち、繊維状物質15の軸の傾きθは、電極触媒層10の表面、高分子電解質膜11の表面(接合面)、電極触媒層10の高分子電解質膜11の表面に接合する面10Aa、10Caのいずれかを基準面とする。
【0018】
ここで、上記の基準面に対する軸の傾きθについて説明する。
図2は、高分子電解質膜11の表面(接合面)に対する繊維状物質15の軸の傾きθを模式的に表した説明図である。図2中の点線が繊維状物質15の軸であり、繊維状物質15の軸と高分子電解質膜11の表面でなす角度が、高分子電解質膜11の表面に対する繊維状物質15の軸の傾きθである。なお、図2(a)及び図2(b)に示すように、繊維状物質15の傾きの方向にかかわらず、傾きθは鋭角をとり、0°≦θ≦90°の範囲内とする。
【0019】
図2(a)及び図2(b)では、繊維状物質15が枝分かれしていない直線状の場合を例として説明したが、実際には、繊維状物質15の軸が枝分かれしている場合や多段階に折れ曲がっている場合、湾曲している場合などもある。枝分かれしている場合はその直線状に延在する長さが最も長い部分が上記範囲を満たすことで同じ効果を奏する。また、多段階に折れ曲がっている場合や湾曲している場合は繊維状物質15が最も接する面を標準面とし、基準面と繊維状物質15の標準面との傾きθが上記範囲を満たすことで同じ効果を奏する。
【0020】
電極触媒層の厚さは、5μm以上30μm以下が好ましい。厚さが30μmよりも厚い場合には、クラックが生じやすいうえに、燃料電池に用いた際にガスや生成する水の拡散性及び導電性が低下して、出力が低下してしまう。また、厚さが5μmよりも薄い場合には、層厚にばらつきが生じ易くなり、内部の触媒物質や高分子電解質が不均一となりやすい。電極触媒層の表面のひび割れや、厚さの不均一性は、燃料電池として使用し、長期に渡り運転した際の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いため、好ましくない。
【0021】
基準面に対する繊維状物質15の軸の傾きθ及び電極触媒層10の厚さは、例えば、電極触媒層10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することで計測することができる。電極触媒層10の断面を露出させる方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いることができる。断面を露出させる加工を行う際には、高分子電解質膜11や電極触媒層10を構成する高分子電解質14へのダメージを軽減するため、電極触媒層10を冷却しながら加工を行うことが好ましい。
【0022】
本実施形態に係る触媒物質12としては、例えば、白金族元素、金属及びこれらの合金、酸化物、複酸化物、炭化物等を用いることができる。白金族元素としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムがある。金属としては、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等が例示できる。
【0023】
導電性担体13としては、導電性を有し、触媒物質12に侵されずに触媒物質12を担持可能なものであれば、どのようなものでも構わないが、導電性担体13としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンを用いることができる。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成され難くなり、また、大きすぎると電極触媒層10のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10~1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10~100nm程度がよい。
【0024】
また、高分子電解質膜11や電極触媒層10に含まれる高分子電解質14としては、プロトン伝導性を有するものであれば、どのようなものでもよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質としては、テトラフルオロエチレン骨格を有する高分子電解質、例えば、デュポン社製の「Nafion(登録商標)」等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等を用いることができる。高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じものを用いてもよいし、互いに異なるものを用いてもよい。ただし、高分子電解質膜11と電極触媒層10との界面抵抗や、湿度変化時の高分子電解質膜11と電極触媒層10とにおける寸法変化率を考慮すると、高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じものであるか類似の成分のものであることが好適である。
【0025】
繊維状物質としては、例えば、電子伝導性繊維及びプロトン伝導性繊維が使用できる。繊維状物質は、以下に示す繊維のうち一種のみを単独で使用してもよいが、二種以上を併用してもよく、電子伝導性繊維とプロトン伝導性繊維を併せて用いても良い。
本実施形態に係る電子伝導性繊維としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、導電性高分子ナノファイバー等が例示できる。特に、導電性や分散性の点でカーボンナノファイバーが好ましい。また、触媒能のある電子伝導性繊維を用いることで、貴金属からなる触媒の使用量を低減できるのでより好ましい。固体高分子形燃料電池の空気極として用いられる場合には、例えば、カーボンナノファイバーから作製したカーボンアロイ触媒が例示できる。また、酸素還元電極用の電極活物質を繊維状に加工したものであってもよく、例えば、Ta、Nb、Ti、Zrから選択される、少なくとも一つの遷移金属元素を含む物質を使用してもよい。これらの遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物、または、これらの遷移金属元素の導電性酸化物や導電性酸窒化物が例示できる。
【0026】
本実施形態に係るプロトン伝導性繊維としては、プロトン伝導性を有する高分子電解質を繊維状に加工したものであればよく、例えば、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質を用いることができる。中でも、高分子電解質としてデュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質を用いることができる。
【0027】
繊維状物質15の繊維径としては、0.5~500nmが好ましく、5~200nmがより好ましい。繊維径をこの範囲にすることにより、電極触媒層10内の空隙を増加させることができ、高出力化が可能になる。
また、繊維状物質15の繊維長は1~40μmが好ましく、1~20μmがより好ましい。繊維長をこの範囲にすることにより、電極触媒層10の強度を高めることができ、形成時にクラックが生じることを抑制できる。また、触媒層内の空隙を増加させることができ、高出力化が可能になる。
【0028】
[膜電極接合体の構成]
次に、図3を参照しつつ、本実施形態に係る電極触媒層10を備えた膜電極接合体1の具体的な構成を説明する。
図3は、本実施形態に係る膜電極接合体の構成例を示し、(a)は膜電極接合体を電極触媒層10の酸素極側から見た平面図、(b)は(a)のX-X´線で破断した断面図である。
図3に示すように、膜電極接合体1は、高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11のそれぞれの面に接合された電極触媒層10C、10Aとを備えている。本実施形態では、高分子電解質膜11の上面に形成される電極触媒層10Cは、酸素極を構成するカソード側電極触媒層であり、高分子電解質膜11の下面に形成される電極触媒層10Aは、燃料極を構成するアノード側電極触媒層である。以下、一対の電極触媒層10C、10Aは、区別する必要がない場合には、「電極触媒層10」と略記する場合がある。なお、電極触媒層10の外周部は、ガスケット等(図示せず)によりシールされていてもよい。
【0029】
電極触媒層10の作製及び高分子電解質膜11の表面への電極触媒層10の接合は、次のようにして行われる。
少なくとも上述した触媒物質12と導電性担体13と高分子電解質14と繊維状物質15とを溶媒に混合し、分散処理を加えることで触媒インクを作製する。
分散処理には、例えば、遊星型ボールミル、ビーズミル、超音波ホモジナイザー等の様々な手法を用いることが可能である。
【0030】
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒物質12や導電性担体13、高分子電解質14及び繊維状物質15を浸食することがなく、流動性の高い状態で高分子電解質14を溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば、どのようなものでもよい。溶媒には、高分子電解質14となじみがよい水が含まれていてもよい。触媒インク中には、揮発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましいが、溶剤として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高いため、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。水の添加量は、高分子電解質14が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
そして、作製した触媒インクを基材に塗布・乾燥することで、触媒インクの塗膜から溶媒成分が除去されて、基材上に電極触媒層10が形成される。
【0031】
高分子電解質膜11を基材とする場合には、例えば、高分子電解質膜11の表面に触媒インクを直接塗布した後、触媒インクの塗膜から溶媒成分を除去して電極触媒層10を形成する方法を用いることができる。
また、基材として転写用基材を使用する場合には、転写用基材の上に触媒インクを塗布・乾燥することで、触媒層付き基材を作製する。その後、例えば、その触媒層付き基材を用い、触媒層付き転写用基材の電極触媒層10の表面と高分子電解質膜11とを接触させて加熱・加圧することで両者の接合を行う。
これによって、高分子電解質膜11の表面への電極触媒層10の接合が行われ、高分子電解質膜11の両面に電極触媒層10を接合することで、膜電極接合体が作製される。
【0032】
触媒インクを基材に塗布する方法としては、例えば、ダイコート、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、スキージー等、様々な塗工方法を用いることができる。特に、ダイコートが好ましい。ダイコートは、塗布中間部分の膜厚が安定しており間欠塗工にも対応可能である。更に、塗布した触媒インクを乾燥させる方法としては、例えば、温風オーブン、IR(遠赤外線)乾燥、ホットプレート、減圧乾燥等を用いることができる。乾燥温度は、40~200℃、好ましくは40~120℃程度である。乾燥時間は、0.5分~1時間、好ましくは1分~30分程度である。
【0033】
触媒層付き基材を用いて高分子電解質膜11と電極触媒層10を接触させて加熱・加圧することで接合を行う場合には、電極触媒層10に掛かる圧力や温度が膜電極接合体の発電性能に影響する。発電性能の高い膜電極接合体を得るには、積層体に掛かる圧力は、0.1MPa以上20MPa以下であることが望ましい。20MPaより大きい場合には電極触媒層10が過圧縮となり、0.1MPより小さい場合には電極触媒層10と高分子電解質膜11との接合性が低下して、発電性能が低下する。また、接合時の温度は、高分子電解質膜11と電極触媒層10の界面の接合性の向上や、界面抵抗の抑制を考慮すると、高分子電解質膜11又は電極触媒層10の高分子電解質14のガラス転移点付近とするのが好ましい。
【0034】
また、触媒層付き基材に用いる基材としては、例えば、フッ素系樹脂からなるシート体や高分子フィルムを用いることができる。フッ素系樹脂は、転写性に優れ、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示できる。高分子フィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等が例示できる。また、基材としては、例えば、ガス拡散層を用いることもできる。
【0035】
ここで、電極触媒層10に含有させた繊維状物質15の軸θが上述の範囲となるようにすることは、塗布した触媒インクの加熱温度やその加熱速度、触媒インクが乾燥するまでの加圧条件、繊維状物質15の配合率、触媒インクの溶媒組成、触媒インク調整時の分散強度などを調整すれば可能である。
例えば、電極触媒層10中の高分子電解質14の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。また、繊維状物質15の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。触媒インクの固形分比率は、薄膜に塗工できる範囲で、高いほうが好ましい。
【0036】
[固体高分子形燃料電池の構成]
次に、図4を参照しつつ、本実施形態に係る膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3の具体的な構成例を説明する。図4は、膜電極接合体1を装着した固体高分子形燃料電池3の構成例を示す分解斜視図である。なお、図4は、単セルの構成例であり、固体高分子形燃料電池3は、この構成に限られず、複数の単セルを積層した構成であってもよい。
【0037】
図4に示すように、固体高分子形燃料電池3は、膜電極接合体1と、ガス拡散層17Cと、ガス拡散層17Aとを備えている。ガス拡散層17Cは、膜電極接合体1の酸素極側のカソード側電極触媒層である電極触媒層10Cと対向して配置されている。また、ガス拡散層17Aは、膜電極接合体1の燃料極側のアノード側電極触媒層である電極触媒層10Aと対向して配置されている。そして、電極触媒層10C及びガス拡散層17Cから酸素極2Cが構成され、電極触媒層10A及びガス拡散層17Aから燃料極2Aが構成されている。また、高分子電解質膜11の電極触媒層10が接合されていない外周部分からのガスリークを防ぐため、酸素極側のガスケット16C及び燃料極側のガスケット16Aが配置されている。
【0038】
更に、固体高分子形燃料電池3は、酸素極2Cに対向して配置されたセパレーター18Cと、燃料極2Aに対向して配置されたセパレーター18Aとを備えている。セパレーター18Cは、ガス拡散層17Cに対向する面に形成された反応ガス流通用のガス流路19Cと、ガス流路19Cが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流通用の冷却水流路20Cとを備えている。また、セパレーター18Aは、セパレーター18Cと同様の構成を有しており、ガス拡散層17Aに対向する面に形成されたガス流路19Aと、ガス流路19Aが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流路20Aとを備えている。セパレーター18C、18Aは、導電性でかつガス不透過性の材料からなる。
そして、固体高分子形燃料電池3は、セパレーター18Cのガス流路19Cを通って空気や酸素等の酸化剤が酸素極2Cに供給され、セパレーター18Aのガス流路19Aを通って水素を含む燃料ガス若しくは有機物燃料が燃料極2Aに供給されて、発電を行う。
【0039】
本実施形態に係る膜電極接合体1を採用することで、十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、繊維状物質15の軸を規定することで、固体高分子形燃料電池の運転において十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層10、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することができる。したがって、本発明は、固体高分子形燃料電池を利用した、定置型コジェネレーションシステムや燃料電池自動車等に好適に用いることができ、産業上の利用価値が大きい。
【実施例0040】
以下、本発明に基づく実施例に係る膜電極接合体について説明する。
[実施例1]
実施例1では、白金担持カーボン触媒(TEC10E50E,田中貴金属工業社製)と水と1-プロパノールと高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液,和光純薬工業社製)とカーボンナノファイバー(VGCF-H(登録商標),昭和電工社製)とを混合し、遊星型ボールミルで60分間分散処理を行い、触媒インクを調製した。
調整した触媒インクを、高分子電解質膜(ナフィオン211(登録商標),Dupont社製)の両表面にスリットダイコーターを用いて塗布し、80度の温風オーブンに入れて触媒インクの粘つきがなくなるまで乾燥させ、膜電極接合体を得た。
【0041】
[実施例2]
実施例2では、触媒インクの固形分比率を0.6倍とした以外は、実施例1と同様の手順で膜電極接合体を得た。
[実施例3]
実施例3では、高分子電解質の量を1.2倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[実施例4]
実施例4では、上記実施例1と同様にして、触媒インクを調製した。
調整した触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて塗布し、80度の温風オーブンに入れて触媒インクの粘つきがなくなるまで乾燥させ、触媒層付き基材を得た。カソード側電極触媒層とアノード側電極触媒層とを、高分子電解質膜(ナフィオン211(登録商標),Dupont社製)の両面それぞれに対向するように配置し、この積層体を120℃、5MPaの条件でホットプレスして接合した後にPTFEフィルムを剥離することで、膜電極接合体を得た。
【0042】
[実施例5]
実施例5では、カーボンナノファイバーの量を2倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[実施例6]
比較例6では、カーボンナノファイバーの量を3倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[実施例7]
実施例7では、高分子電解質の量を1.5倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
【0043】
[比較例1]
比較例1では、カソード側電極触媒層の塗布量を3倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[比較例2]
比較例2では、触媒インクを調液する際に、分散時間を10分とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[比較例3]
比較例3では、カーボンナノファイバーを加えないこと以外は、実施例1と同様の手順で膜電極接合体を得た。
【0044】
以下、実施例1~7の膜電極接合体及び比較例1~3の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池のそれぞれの、基準面に対する繊維状物質の軸の傾きθと、カソード側電極触媒層の厚みと、発電性能とを比較した結果を説明する。
[繊維状物質の軸の傾きθの計測]
基準面に対する繊維状物質の軸の傾きθは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて膜電極接合体の断面を観察して計測した。具体的には、まず膜電極接合体の小片を金属板に接着し、日本電子社製断面試料作製装置IB-19520CCPを使用して電極触媒層の断面を露出させた。次いで、露出させた断面を日立ハイテクノロジー社製FE-SEM S-4800を使用して観察してθを計測した。まず、観察倍率1000倍の視野内で触媒層の表面が水平となるように試料の向きを調整し、次いで観察倍率10000倍の視野内で、観察される繊維状物質を直線近似した際の傾きを計測して、触媒層の表面に対する繊維状物質の軸の傾きθとした。30カ所の観察点において、視野内の長さが0.8μm以上として観察される繊維状物質について、軸の傾きθを計測した。
【0045】
[電極触媒層の厚み計測]
電極触媒層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層の断面を観察して計測した。具体的には、上述の繊維状物質の軸の傾きθの計測に用いた断面を、日立ハイテクノロジー社製FE-SEM S-4800を使用して1000倍で観察し、30カ所の観察点における電極触媒層の厚みを計測して、その平均値を電極触媒層の厚みとした。
【0046】
[発電性能の測定]
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の刊行している小冊子である「セル評価解析プロトコル」に準拠し、膜電極接合体の両面にガス拡散層及びガスケット、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載のI-V測定(「標準」条件とする。)及びアノードの相対湿度とカソードの相対湿度を共にRH100%としてI-V測定(「高湿」条件とする。)を実施した。
【0047】
[比較結果]
実施例1~7の膜電極接合体及び比較例1~3の膜電極接合体1を備えた燃料電池のそれぞれの基準面に対する繊維状物質の軸の傾きθと、カソード側電極触媒層の厚みと、発電性能とを表1に示す。なお、傾きθについては、観察された繊維状物質の全数に対する、軸の傾きθが45度よりも小さい繊維状物質の数の割合と軸の傾きθが20度よりも小さい繊維状物質の数の割合と軸の傾きθが40度よりも小さい繊維状物質の数の割合を記載した。また、発電性能については、「標準」条件においては、電圧が0.6Vのときの電流が25A以上である場合を「○」、25A未満である場合を「×」とした。また、「高湿」条件においては、電圧が0.6Vのときの電流が30A以上である場合を「○」、30A未満である場合を「×」とした。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、実施例1~7のいずれも、触媒層の表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である繊維状物質の割合が、50%よりも多かった。そして、発電性能については、少なくとも一方が「○」となった。すなわち、実施例1~7においては、発電性能に優れた燃料電池を構成可能な膜電極接合体が得られた。
一方、比較例においては、比較例1~3のいずれも、触媒層の表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°である繊維状物質の割合が、50%よりも少なかった。そして、発電性能については、いずれも「×」となった。すなわち、電極触媒層における繊維状物質の傾きが所定の範囲外となった場合に、発電性能が低下した。
【符号の説明】
【0050】
1…膜電極接合体
2C…酸素極
2A…燃料極
3…固体高分子形燃料電池
10,10C,10A…電極触媒層
11…高分子電解質膜
12…触媒物質
13…導電性担体
14…高分子電解質
15…繊維状物質
16C,16A…ガスケット
17C,17A…ガス拡散層
18C,18A…セパレーター
19C,19A…ガス流路
20C,20A…冷却水流路
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜に接合される電極触媒層であって、
触媒物質と導電性担体と高分子電解質と繊維状物質とを含み、
上記繊維状物質の繊維径が0.5~500nm、上記繊維状物質の繊維長が1~40μmであり、
上記繊維状物質の軸は、配向しておらず、
上記繊維状物質は、隣接する2本のうち少なくとも1本の上記高分子電解質膜の表面に接合する電極触媒層表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<45°であることを特徴とする電極触媒層。
【請求項2】
高分子電解質膜に接合される電極触媒層であって、
触媒物質と導電性担体と高分子電解質と繊維状物質とを含み、
上記繊維状物質の繊維径が0.5~500nm、上記繊維状物質の繊維長が1~40μmであり、
上記繊維状物質の軸は、配向しておらず、
上記高分子電解質膜の表面に接合する電極触媒層表面に対する軸の傾きθが0°≦θ<20°である上記繊維状物質を含むことを特徴とする電極触媒層。
【請求項3】
高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の酸素極側の面に接合された請求項1または請求項2に記載の電極触媒層と、を備えることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項4】
請求項3に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。