(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087367
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】食品搬送装置
(51)【国際特許分類】
G01G 13/24 20060101AFI20220606BHJP
G01G 13/18 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
G01G13/24 F
G01G13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199261
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】501489018
【氏名又は名称】株式会社 キョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100188248
【弁理士】
【氏名又は名称】丹生 哲治
(72)【発明者】
【氏名】井手上 清治
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 信孝
(72)【発明者】
【氏名】井手上 慎司
【テーマコード(参考)】
2F046
【Fターム(参考)】
2F046BA01
2F046BB01
2F046CA01
2F046DA08
(57)【要約】
【課題】食品の種類に関係なく、食品の排出の有無を確実に検出することができる食品搬送装置を提供する。
【解決手段】パイプフィーダ15により搬送された食品12は、排出シュート105の下端開口107aから落下して測定シュート113に衝突し、この時の衝撃力を第2のロードセル112により検出する。その後、この検出信号が食品排出判定手段117に送信され、ここで食品12の排出の有無が判定される。従来装置では、食品排出の有無検知に透過形光電センサを採用していたため、食品の種類によって光の反射率が異なり、その結果、誤検出が発生していたが、ここでは、透過形光電センサに代えて第2のロードセル112を採用したため、食品12の種類に関係なく、食品12の排出の有無を確実に検出できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を搬送する搬送手段と、
該搬送手段の排出部の下方に配されて、該排出部から落下した前記食品が衝突した時の衝撃力を検出する衝撃センサと、
該衝撃センサによる前記衝撃力の検出に基づき、前記食品の排出の有無を判定する食品排出判定手段とを備えたことを特徴とする食品搬送装置。
【請求項2】
前記衝撃センサは重量センサで、
前記食品排出判定手段は、あらかじめ設定された基準値を超える測定値を前記重量センサが測定した時に、前記食品が排出されたと判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置。
【請求項3】
前記基準値は、あらかじめ前記食品搬送装置を試験運転した際に、前記重量センサが測定した試験測定値から求められたしきい値であることを特徴とする請求項2に記載の食品搬送装置。
【請求項4】
前記食品搬送装置は、
前記食品が貯留されるホッパと、該ホッパの下部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端が連通された前記搬送手段としてのパイプフィーダとを備え、前記パイプフィーダにより前記筒体を周方向に回転させながら、前記ホッパ内の前記食品を切り出すものであることを特徴とする請求項1~請求項3のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置。
【請求項5】
前記パイプフィーダは複数配設され、
前記各パイプフィーダの各筒体の先端の下方に配されて、対応する筒体の先端からそれぞれ排出された前記各食品を受ける複数の受け部材と、
該各受け部材が受けた前記各食品をそれぞれ秤量する複数の秤量器と、
前記各受け部材にそれぞれ形成された複数の投下口を各開閉する複数の第1の開閉手段と、
前記各投下口から投下された前記食品を纏めて下端開口から排出する排出シュートと、
該排出シュートの下端部に設けられて、前記下端開口を開閉する第2の開閉手段とを有し、
前記衝撃センサは、前記排出シュートの下端開口の直下に配されたことを特徴とする請求項4に記載の食品搬送装置。
【請求項6】
前記衝撃センサはロードセルで、
該ロードセルの測定部には、前記食品が衝突して滑落する測定シュートが設けられ、
該測定シュートの下端部の下方には、滑落後の前記食品を外方へ排出する排出コンベアが設けられたことを特徴とする請求項5に記載の食品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を搬送する食品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を搬送して秤量する食品秤量搬送装置(食品搬送装置)として、例えば、非特許文献1のものが知られている。
非特許文献1の従来装置は、食品を収納するホッパと、各ホッパの排出部に連結されて、各食品を切り出す複数のパイプフィーダと、各パイプフィーダから投下された各食品を受ける複数の受け部材と、各受け部材が受けた各食品を秤量する複数の秤量器と、各受け部材にそれぞれ形成された複数の投下口を各開閉する複数の第1の開閉手段と、各投下口から投下された食品を纏めて下端開口から排出する排出シュートと、排出シュートの下端部に設けられて、排出シュートの下端開口を開閉する第2の開閉手段と、排出シュートの下端開口の直下に配されて、あらかじめ設定された設定量の食品が排出されたかを検出する透過形光電センサと、透過形光電センサからの食品検出信号に基づき、食品の排出の有無を判定する食品排出判定手段とを備えたものである。
【0003】
この従来装置は、ホッパの下部から排出された食品を複数のパイプフィーダにより切り出し、各パイプフィーダから投下された各食品をそれぞれ受け部材が受け、ここで各秤量器により各食品の重さをそれぞれ秤量する。その後、各受け部材の投下口を各第1の開閉手段により開き、各食品を纏めて排出シュートに投下することで、このシュート下部に設定量の食品を一旦貯留する。その後、第2の開閉手段により排出シュートの下端開口を開き、溜った食品を排出する。このとき、透過形光電センサが食品の排出を検出し、その検出信号に基づき、食品排出判定手段が食品の排出を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ミニ・スケール KW-40P-5型、[令和2年11月16日検索]、インターネット<URL https://www.ipros.jp/catalog/detail/440603?hub=148+2148382>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、非特許文献1の食品秤量搬送装置にあっては、排出シュートの下端開口からの食品の排出を透過形光電センサにより検出していた。
しかしながら、光の反射率は食品の種類により異なるため、透過形光電センサでは誤検出が発生していた。
【0006】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、食品が排出されたかを検出する検出器として、従来の透過形光電センサに代えて、食品が衝突した時の衝撃力を検出する衝撃センサを採用すれば、上述した課題は解消されることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであって、食品の種類に関係なく、食品の排出の有無を確実に検出することができる食品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、食品を搬送する搬送手段と、該搬送手段の排出部の下方に配されて、該排出部から落下した前記食品が衝突した時の衝撃力を検出する衝撃センサと、該衝撃センサによる前記衝撃力の検出に基づき、前記食品の排出の有無を判定する食品排出判定手段とを備えたことを特徴とする食品搬送装置である。
【0009】
ここでいう食品は、乾燥食品、生食品、半生食品、粒状食品、粉状食品の何れでもよい。
食品の種類は任意である。例えば、各種の野菜、各種の肉(加工肉を含む)、各種の魚介類、各種の果物などを採用することができる。
食品のサイズは任意である。
また、食品は1種類だけでも、2種類以上でもよい。例えば、食品が乾燥食品の場合、茶漬け、ふりかけ、インスタントラーメンのかやく、刻み海苔などでもよい。
【0010】
食品搬送手段の種類は任意である。例えば、パイプフィーダ、スクリューコンベヤ、ベルトコンベヤ、バケットコンベヤなどでもよい。
衝撃センサの種類は限定されない。例えば、重量センサ、加速度センサなどを採用することができる。
食品排出判定手段は、衝撃センサからの衝撃力の検知信号に基づき、食品が搬送されたとの判定行う、例えば、食品搬送装置の制御部のプログラムにおけるロジックである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記衝撃センサは重量センサで、前記食品排出判定手段は、あらかじめ設定された基準値を超える測定値を前記重量センサが測定した時に、前記食品が排出されたと判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置である。
【0012】
重量センサとしては、例えば、ロードセル(式重量センサ)、電磁力平衡式重量センサ、音叉振動方式重量センサなどを採用することができる。このうち、ロードセルとしては、ベンディングビーム型ロードセル、リングトーションロードセルなどが挙げられる。
また、食品の排出判定用の基準値は、食品の種類やその必要量(使用量)より適宜変更される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記基準値は、あらかじめ前記食品搬送装置を試験運転した際に、前記重量センサが測定した試験測定値から求められたしきい値であることを特徴とする請求項2に記載の食品搬送装置である。
しきい値は、重量センサが測定した試験測定値から求められたものであれば任意である。例えば、複数回測定された試験測定値の中間値(平均値)でもよい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記食品搬送装置は、前記食品が貯留されるホッパと、該ホッパの下部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端が連通された前記搬送手段としてのパイプフィーダとを備え、前記パイプフィーダにより前記筒体を周方向に回転させながら、前記ホッパ内の前記食品を切り出すものであることを特徴とする請求項1~請求項3のうち、何れか1項に記載の食品搬送装置である。
【0015】
食品搬送装置は、食品が貯留されるホッパと、ホッパの下部に、下方傾斜する食品搬送用の筒体の基端が連通されたパイプフィーダとを備えていれば任意である。例えば、パイプフィーダの下流に、このフィーダから投下された食品を受ける受け部材(バケット)と、受け部材の食品を秤量する秤量器(ロードセル)とを有した食品秤量搬送装置でもよい。
ホッパの形状やサイズは任意である。ホッパの下部には、筒体の基端部が挿入されて、食品が切り出される排出口が形成されている。
ホッパの使用数は限定されない。例えば、1つでも複数でもよい。
【0016】
パイプフィーダの種類は、筒体と、これを回転駆動する電動モータなどの回転駆動手段とを有し、回転駆動手段により筒体を回転してホッパ内の食品を切り出せるものであれば任意である。
パイプフィーダの使用数は、1つのホッパに対して1つでも複数でもよい。
筒体の素材は任意である。例えば、ステンレスなどの各種の金属、各種のプラスチックを採用することができる。
筒体の回転速度は限定されない。
筒体の傾斜角度も任意である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記パイプフィーダは複数配設され、前記各パイプフィーダの各筒体の先端の下方に配されて、対応する筒体の先端からそれぞれ排出された前記各食品を受ける複数の受け部材と、該各受け部材が受けた前記各食品をそれぞれ秤量する複数の秤量器と、前記各受け部材にそれぞれ形成された複数の投下口を各開閉する複数の第1の開閉手段と、前記各投下口から投下された前記食品を纏めて下端開口から排出する排出シュートと、該排出シュートの下端部に設けられて、前記下端開口を開閉する第2の開閉手段とを有し、前記衝撃センサは、前記排出シュートの下端開口の直下に配されたことを特徴とする請求項4に記載の食品搬送装置である。
【0018】
受け部材の種類は任意である。例えば各種のバケットでもよい。
秤量器としては、例えば、ロードセル、電磁力平衡式重量センサ、音叉振動方式重量センサなどを採用することができる。
重量センサとしては、例えば、前記秤量器として例示したものなどを採用することができる。
第1の開閉手段および第2の開閉手段としては、例えば、電動モータなどのアクチュエータにより、蓋を上下左右の何れかに移動(スライドまたは回動)させるものなどを採用することができる。
排出シュートの形状は限定されない。例えば、ロート状、正面視して直角三角形状、正面視大形状などでもよい。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記衝撃センサはロードセルで、該ロードセルの測定部には、前記食品が衝突して滑落する測定シュートが設けられ、該測定シュートの下端部の下方には、滑落後の前記食品を外方へ排出する排出コンベアが設けられたことを特徴とする請求項5に記載の食品搬送装置である。
【0020】
測定シュートの(滑落面の)垂直方向を基準とした傾斜角度は限定されない。例えば、垂直方向を基準として15°~60°でもよい。特に、食品が軽量で壊れやすい乾燥食品などの場合には、この傾斜角度を30°~45°(35°前後)とすれば、食品が排出シュート(の滑落面)に衝突した時の衝撃による食品の破損しにくくさと、食品排出の有無の判定基準となる“衝撃力の大きさ”としての“食品の重さ”の確実性とを同時によりさらに高めて、排出コンベアまで食品を滑り落とすことができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、搬送手段により搬送された食品は、排出部から落下して衝撃センサに衝突し、この時の衝撃力を衝撃センサが検出する。その後、この検出信号が衝撃センサから食品判定手段に送信され、ここで食品の排出の有無が判定される。
従来装置では、食品排出の有無検知に透過形光電センサを採用していたため、食品の種類によって光の反射率が異なり、その結果、誤検出が発生していたが、この発明では、透過形光電センサに代えて衝撃センサを採用したことにより、食品の種類に関係なく、食品の排出の有無を確実に検出することができる。
【0022】
特に、請求項2に記載の発明によれば、食品は搬送手段の排出部から落下して重量センサに衝突し、この時の衝撃力を重さとして重量センサが検出し、このときの測定値(実測値)が食品判定手段に送信される。ここでは、この測定値と、あらかじめ設定された基準値とが対比され、測定値が基準値を超えたときに、食品が排出されたと判定する。その結果、このように重量センサを利用して、食品の排出の有無を、より高精度に検出することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明によれば、基準値として、あらかじめ食品搬送装置を試験運転した際に、重量センサが測定した試験測定値から求められたしきい値を採用したため、この食品の排出の有無を、食品の種類に関係なく、さらに高精度に判定することができる。
【0024】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、ホッパの下部から排出された食品を、下方傾斜した筒体を周方向に回転させながら、搬送手段であるパイプフィーダにより切り出すようにしたため、一定量の食品を連続的に搬送(排出)することができる。
【0025】
さらにまた、請求項5に記載の発明によれば、ホッパの下部から排出された食品を複数のパイプフィーダによりそれぞれ切り出し、各パイプフィーダから投下された各食品を対応する受け部材が各々受け、ここで各受け部材が受けた食品の重さを各秤量器によりそれぞれ秤量する。その後、各第1の開閉手段により各受け部材の投下口を開くことで、各受け部材内の食品が纏めて排出シュートに投下される。これにより、このシュート下部に所定量の食品が一旦貯留される。次いで、第2の開閉手段により排出シュートの下端開口を開くことにより、貯留した食品が落下して衝撃センサに衝突し、その衝撃力が検出される。その後は、食品判定手段により食品の排出の有無が判定される。
【0026】
このように、ホッパ内の食品を複数のパイプフィーダにより各々切り出して秤量器により秤量し、その後、各秤量済みの食品を纏めて排出シュートに投下し、所定量となった食品をホッパ下端開口から排出して、それを衝撃センサにより検出するようにしたため、短時間で高精度な食品の秤量排出ができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明によれば、ロードセルの測定部には、排出シュートから落下した食品を受けて排出コンベアまで移送する測定シュートを設けている。そのため、例えば、食品が軽量で壊れやすい乾燥食品などの場合であっても、排出シュートから落下した食品を、衝突時に破損させることなく、衝撃力としての重さをロードセルにより確実に測定して、排出コンベアまで移送することができる。
【0028】
例えば、このように食品搬送装置から排出された食品を、排出コンベアを利用して食品包装工程などへ送る場合、仮に測定シュートを介さなければ、排出シュートから落下した食品は、ロードセルの傾斜していない(水平な)測定部が受けることとなる。これでは、食品が測定部に衝突した時の衝撃力が大きくなる。これにより、仮に食品が軽量で壊れやすい乾燥食品などの場合には、この衝突時に破損し易いとともに、測定後、食品を排出コンベアまで移送するための別の移送手段が必要となる。
このように、食品の衝突面が傾斜した測定シュートの滑落面でも問題がない理由は、ロードセル(衝撃センサ)が、排出シュートからの食品排出の有無を検知するだけのセンサにすぎないためである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の要部拡大側面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の正面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の側面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る食品搬送装置のパイプフィーダ周辺部を示す概略側面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の電気系統を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る食品搬送装置において、食品の排出判定の基準値(しきい値)を求める食品衝突試験を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。ここでは、食品搬送装置として食品秤量搬送装置を例に説明する。
【実施例0031】
図1~
図4において、10は本発明の実施例1に係る食品搬送装置である。この食品搬送装置10は、外装ケーシングCが搭載された架台11と、食品(ここでは乾燥野菜)12が貯留される1つのホッパ13と、ホッパ13の下部に、下方傾斜する食品搬送用の各筒体14の基端が連通された5本のパイプフィーダ(搬送手段)15と、各パイプフィーダ15から切り出された食品12を受ける5つのバケット(受け部材)16と、各バケット16内の食品12の重さを計量する5つの第1のロードセル17とを備え、各パイプフィーダ15の電動式のモータ18により、各筒体14を周方向に回転させながら、ホッパ13内の食品12を切り出して各バケット16に投入し、ここで各バケット16内の食品12の重量を、対応する第1のロードセル17により計量(秤量)する、いわゆる“食品秤量搬送装置”である。
【0032】
以下、これらの構成部品を具体的に説明する。
図2および
図3に示すように、外装ケーシングCは大型の矩形ボックスで、その上部に、ホッパ13へ食品12を充填するための上部ホッパ100が設けられている。また、外装ケーシングCは、その前端部が、架台11の前板11aより前方に突出している。これにより、外装ケーシングCの前端部の下方は解放状態である。
架台11は、外装ケーシングCより小型の矩形ボックスで、その内部には食品搬送装置10を制御する、後述の制御盤101が内設されている。
図2および
図4に示すように、ホッパ13は、乾燥野菜である食品12を貯留する、左右方向へ長い下すぼみ状の容器である。ホッパ13は、架台11の天板11bの後部に固定された横長な基台102に固定されている。ホッパ13の下部の前側には、左右方向へ所定ピッチで、複数の円形の切り出し口13aがそれぞれ形成されている。
【0033】
架台11の天板11bの前後方向の中間部には、左右方向へ所定ピッチで、図示しないベアリング付きの前後一対のパイプホルダを介して、円筒状の5本の筒体14が、軸線を前方へ5°だけ下方傾斜した状態でそれぞれ軸支されている。各筒体14の基端部(後端部)は、ホッパ13の各切り出し口13aにそれぞれ挿入されている。各筒体14の基端部には、ホッパ13内の食品12の切り出しを行なう短尺な円筒状の爪付アタッチメント26がそれぞれ外嵌されている。
【0034】
架台11の天板11bのうち、前後方向の中間部付近には、左右方向へ所定ピッチで、対応する筒体14を跨ぐように5つのモータ取付板103が配設されている(
図4を参照)。各モータ取付板103には、対応する筒体14を周方向へ回転駆動させる各モータ18がそれぞれ搭載されている。各モータ18の後方へ延びる出力軸28には、駆動ギア29がそれぞれ固着されている。この駆動ギア29は、筒体14の外周面に固着された従動ギヤ30に噛合されている。
【0035】
架台11の天板11bの前側部分には、左右方向へ所定ピッチで5つの第1のロードセル17が配設されている。各第1のロードセル17はベンディングビーム型(ロバーバル型)ロードセルで、これらの前端部(測定部)には、対応するバケット16を載置した第1の載置ブラケット104がそれぞれ立設されている。
各バケット16の下部に形成された投下口16aは、それぞれ水平なピン軸32を介して上下回動する5つの第1の開閉蓋(第1の開閉手段)33により塞がれている。
【0036】
架台11の天板11bのうち、第1のロードセル17の後部付近には、左右方向へ所定ピッチで、対応する第1の開閉蓋33を開閉操作する5つの第1のロータリーソレノイド(第1の開閉手段)34が、それぞれ連結ブラケット35を介して配設されている。
各第1のロータリーソレノイド34の出力軸には、各第1の操作アーム36の基端部がそれぞれ連結されている。各第1の操作アーム36の先端部には、各回動操作ピン36a介して、各第1の開閉蓋33の基端部が軸支されている。各第1のロータリーソレノイド34の出力軸を回動することで、回動操作ピン36aを介して、各第1の開閉蓋33がピン軸32を中心にして回動し、対応するバケット16の投下口16aが開蓋または閉蓋される。
【0037】
図1および
図2に示すように、各バケット16の直下には、正面視してロート状をした幅狭な角筒である排出シュート(排出部)105が配されている。
この排出シュート105は、正面視して上底より下底が短い台形状の上側シュート部106と、ロート状をした小型の下側シュート部107とを有している。上側シュート部106の下端部は、下側シュート部107の上端部に挿入され、この状態のまま、各シュート部106,107は架台11の前側部分にそれぞれ取り付けられている。このとき、下側シュート部107は、上側シュート部106に比べて前方への下方傾斜の角度が大きい。
【0038】
下側シュート部107の下部には、その下端開口107aを開閉する第2の開閉蓋(第2の開閉手段)108が配されている。
この第2の開閉蓋108を、第2の操作アーム109を介して開閉操作する第2のロータリーソレノイド(第2の開閉手段)110が、架台11の前板11aの下部中央に固定された小型ボックス111に収納されている。
第2のロータリーソレノイド110の出力軸には、第2の操作アーム109の基端部が連結されている。第2の操作アーム109の先端部には、回動操作ピン109a介して、第2の開閉蓋108の基端部が軸支されている。第2のロータリーソレノイド110の出力軸を回動することで、回動操作ピン109aを介して、第2の開閉蓋108がピン軸108aを中心にして回動し、下側シュート部107の下端開口107aが開蓋または閉蓋される。
【0039】
架台11の前板11aの下端部中央には、測定部が前方に配された第2のロードセル112の基端部が固定されている。この第2のロードセル112は、下側シュート部107の下端開口107aから落下した食品12の衝突力に比例し、起歪体が変形した変形量をひずみゲージにより測定する衝撃センサである。ここでは、乾燥野菜といった軽量物の衝突力を計測するために廉価で好適なベンディングビーム型(ロバーバル型)ロードセルが採用されている。
この第2のロードセル112の先端部には、短尺な測定シュート113の第2の載置ブラケット114が立設されている。測定シュート113は、この第2の載置ブラケット114に前方傾斜状態で載置されている。
【0040】
測定シュート113は、下側シュート部107の下端開口107aの直下に配されている。この下端開口107aから落下した食品12が測定シュート113の滑落面(上面)に衝突し、第2の載置ブラケット114を介して、この衝突時の衝撃力が第2のロードセル112により検出される。ここでの測定シュート113の滑落面の垂直方向を基準とした傾斜角度は、約35°である。
測定シュート113から排出された食品(乾燥野菜)12は、その直下に配された排出用ベルトコンベア115により次の個装工程へと排出される。
【0041】
次に、
図5のブロック図を参照して、前記制御盤101について説明する。
制御盤101は、食品搬送装置10の全体を制御するための中央演算装置(CPU)を有した制御部116を有している。この制御部116に配された複数の接続端子には、上述した第1のロードセル17、第2のロードセル112、モータ18、第1のロータリーソレノイド34、および、第2のロータリーソレノイド110がそれぞれ接続されている。その他、この制御部116の別の端子には、食品排出判定手段117、しきい値決定手段118、および、記憶部119がそれぞれ接続されている。
【0042】
食品排出判定手段117とは、衝撃センサである第2のロードセル112からの重さ(衝撃力)の測定値データ(検出信号)に基づき、あらかじめ設定された基準値aを超える測定値を第2のロードセル112が測定した時に、食品12が排出されたと判定するプログラムのロジックである。この基準値aとは、食品12の排出判定を行う際の基準となる値である。
しきい値決定手段118は、あらかじめ食品搬送装置10の試験運転を行い、ここで第2のロードセル112が測定した試験測定値から、前記基準値aとなる“しきい値b”を決定するプログラムのロジックである。
【0043】
図6は、食品12に乾燥野菜を採用した食品搬送装置10の試験運転時における、第2のロードセル112が測定した試験測定値のグラフである。このときの試験結果は、下側シュート部107の下端開口107aからの食品12の排出に伴い、食品12が測定シュート113に衝突した0.8秒間で、その試験測定値には0.5g~25gの振れ幅があった。
その検出信号は制御部116からしきい値決定手段118に送信され、その後、このしきい値決定手段118は、その振れ幅の中間値の12.5gを、“しきい値b”と決定した。
記憶部119には、ここで取得したしきい値bが、食品12の排出判定の基準値aとして記憶される。
【0044】
次に、
図1~
図6を参照して、本発明の実施例1に係る食品搬送装置10の動作を説明する。
図2~
図4に示すように、まず、上部ホッパ100からホッパ13に食品12を投入し、その後、各モータ18を駆動することで、各出力軸28の回転力が各駆動ギア29、各従動ギヤ30を経て各筒体14へとそれぞれ伝達され、これらの筒体14が同一方向へ同期回転する。
これにより、ホッパ13の下部内の食品12は、各筒体14の基端部に固定された各爪付アタッチメント26により切り取られ、対応する筒体14の基端開口から各筒体14の上流部にそれぞれ導入される。その後、各導入された食品12は、回転中の各筒体14の内周面に沿って徐々に下流へと切り出されて行く。
【0045】
その後、
図1および
図4に示すように、各筒体14の先端開口から切り出された食品12は、直下の対応するバケット16にそれぞれ落下して貯留される。ここで、各食品12の重さが対応する第1のロードセル17によりそれぞれ計量される。各貯留された食品12の重さが設定値に達した時、各第1のロータリーソレノイド34が作動し、各操作アーム36を上方回動して、各第1の開閉蓋33が回動ピン32を中心にして上方回動し、各バケット16の投下口16aが開蓋して、各食品12が直下の排出シュート105にそれぞれ投下される。
【0046】
排出シュート105に投入された各食品12は、上側シュート部106から下側シュート部107を通過し、下端開口107aが第2の開閉蓋108により閉蓋された小さい角筒状の下端部107bにまとめて貯留される。その後、第2のロータリーソレノイド110が作動し、各操作アーム109を上方回動して、各第2の開閉蓋108が回動ピン108aを中心にして上方回動し、下側シュート部107の下端開口107aが開蓋して、各食品12がまとめて直下に排出される。
その後、排出された食品12は測定シュート113の上面に衝突し、この時の衝撃力を重さとして第2のロードセル112が検出する。すなわち、ここでは第2の開閉蓋108の開蓋に連動して、測定シュート113に落下した食品12の衝撃力が第2のロードセル112により測定(検出)される。
【0047】
次いで、この測定データ(検出信号)が第2のロードセル112から制御部116を介して食品判定手段115に送信される(
図5を参照)。ここでは、この測定値(測定データ)と、記憶部119に記憶された基準値(しきい値b)aとが対比され、測定値が基準値aを超えたときに、食品12が排出されたと判定される。
その後、測定シュート113から排出された食品12は、下端部の直下に配された排出用ベルトコンベア115により次の個装工程へと排出される。
【0048】
このように、従来の透過形光電センサに代えて、衝撃センサである第2のロードセル112を採用したため、食品12の種類に関係なく、食品12の排出の有無を確実に検出することができる。すなわち、従来の食品搬送装置では、最終的な食品排出の有無検知に透過形光電センサを採用していたため、食品の種類によっては光の反射率が異なり、誤検出が発生していたが、実施例1ではそのようなことはない。
【0049】
また、ここでは、第2のロードセル112の測定部112aには、排出シュート105から落下した食品12を受けて排出コンベア115まで移送する測定シュート113を設けている。そのため、食品12が軽量で壊れやすい乾燥野菜であっても、排出シュート105から落下した食品12を、この滑落面との衝突時に破損させることなく、衝撃力としての重さを第2のロードセル112により確実に測定して、排出コンベア112まで移送することができる。
例えば、食品搬送装置10から排出された食品12を、排出コンベア112を利用して後工程の食品包装工程まで搬送する場合には、仮に測定シュート113を介さなければ、排出シュート105からの食品12は、第2のロードセル112の水平配置された測定部112aの上面によって直接受けることとなる。これでは、食品12が測定部112aに衝突した時の衝撃力が大きくなるため、食品12が乾燥野菜の場合には、この衝突時に食品12が破損し易いとともに、測定後、食品12を排出コンベア112まで移送するために、別の移送手段が必要となって装置コストが高騰する。
【0050】
また、ここでは、垂直方向を基準とした測定シュート105の滑落面の傾斜角度を約35°としたため、このように食品12が乾燥野菜の際でも、食品12が排出シュート113の滑落面に衝突した時の衝撃による食品12の破損しにくさと、食品排出の有無の判定基準となる“衝撃力の大きさ”としての“食品の重さ”の測定の確実性との両方を、さらに高めることができる。
このように、食品12の衝突面が傾斜した測定シュート105の滑落面でも問題がない理由は、第2のロードセル(衝撃センサ)112が、排出シュート113からの食品排出の有無を検知するだけのセンサにすぎないためである。