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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087369
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220606BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220606BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/12 Z
H04N1/00 C
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199269
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳大
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
【テーマコード(参考)】
2H012
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CA02
2H012CA11
2H012CB05
2H012CC01
2H012CC21
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AD02
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA20
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA08
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】カバーの耐久性をより向上させることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1において、ベース部材39は、第1ヒンジ81との連結部分39J1の存在領域を第2方向D2に延長した第1領域E1と、第2ヒンジ82との連結部分39J2の存在領域を第2方向D2に延長した第2領域E2と、第2領域E2に対して第1方向D1で第1領域E1とは反対側に位置する第3領域E3と、を有する。カバー9は、第1領域E1においてベース部材39を補強する第1補強構造11と、少なくとも第3領域E3においてベース部材39を補強する第2補強構造12と、を有する。トレイ部材70の対向面70Aには、締結部125が設けられる。第2補強構造12は、ベース部材39の少なくとも第3領域E3において複数の締結具125F、120Fによってベース部材39とトレイ部材70の締結部125とが共締めされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を支持する原稿支持面を有する本体と、
前記原稿支持面に支持された原稿の画像を読み取る読取センサと、
第1ヒンジと、
第2ヒンジと、
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジを介して前記本体に連結され、前記原稿支持面を覆う閉鎖位置と、前記原稿支持面を露出させる開放位置と、の間で第1方向に延びる開閉軸心周りに揺動可能なカバーと、
前記カバーに前記第1方向の一方に偏って配置され、前記読取センサの読取対象であるシートを前記読取センサに向けて搬送する搬送部と、を備え、
前記第1ヒンジは、前記カバーにおける前記第1方向の前記一方に配置され、
前記第2ヒンジは、前記カバーにおける前記第1方向の他方に配置された画像読取装置であって、
前記カバーは、前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジと連結するベース部材と、
前記ベース部材に組み付けられ、前記搬送部から排出されたシートを支持する排出トレイを有するトレイ部材と、を有し、
前記ベース部材は、前記第1ヒンジとの連結部分の存在領域を前記開閉軸心の径外方向のうちの前記ベース部材が延びる方向である第2方向に延長した第1領域と、
前記第2ヒンジとの連結部分の存在領域を前記第2方向に延長した第2領域と、
前記第2領域に対して前記第1方向で前記第1領域とは反対側に位置する第3領域と、を有し、
前記カバーは、前記第1領域において前記ベース部材を補強する第1補強構造と、少なくとも前記第3領域において前記ベース部材を補強する第2補強構造と、を有するものであり、
前記トレイ部材における前記ベース部材に対向する対向面には、締結部が設けられ、
前記第2補強構造は、前記ベース部材の少なくとも前記第3領域において複数の締結具によって前記ベース部材と前記トレイ部材の前記締結部とが共締めされていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記締結部は、前記対向面から前記ベース部材に向かって突出して各前記締結具によって締結される複数のボスと、
前記対向面から前記ベース部材に向かって突出し、かつ各前記ボスを接続するように延びる複数のリブと、を有している請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記排出トレイは、前記第1方向において前記第2領域から前記第3領域に向かうにつれて前記ベース部材から離れるように傾斜する傾斜部を有し、
前記締結部は、前記傾斜部の下方に位置している請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記トレイ部材は、前記第3領域とは異なる領域においても、前記ベース部材に共締めされている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2補強構造として、前記カバーは、前記第2領域において一端が前記ベース部材及び前記第2ヒンジに共締めされ、前記第2方向に延びる板部材を有し、
前記板部材は、前記一端とは異なる箇所において前記ベース部材に共締めされている請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記板部材は、前記カバーの前記第2方向の長さの半分よりも長い請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記カバーにおける前記第2方向の先端部には、前記カバーを前記閉鎖位置と前記開放位置との間で揺動させるための操作を受ける操作部が設けられ、
前記操作部は、前記第1方向において前記第1ヒンジと前記第2ヒンジとの間に配置されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第1補強構造として、前記カバーは、一端が前記ベース部材及び前記第1ヒンジに共締めされ、前記第2方向に延びる第1板部材を有している請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の一例が開示されている。この画像読取装置は、本体部、読取センサ、第1ヒンジ、第2ヒンジ、開閉部及び搬送部を備えている。
【0003】
本体部は、原稿を支持する原稿支持面を有している。読取センサは、原稿支持面に支持された原稿の画像を読み取る。
【0004】
開閉部は、第1ヒンジ及び第2ヒンジを介して本体部に連結されている。開閉部は、原稿支持面を覆う閉鎖位置と、原稿支持面を露出させる開放位置と、の間で第1方向に延びる開閉軸心周りに揺動可能である。搬送部は、開閉部に第1方向の一方に偏って配置されている。搬送部は、読取センサの読取対象であるシートを読取センサに向けて搬送する。第1ヒンジは、開閉部における第1方向の一方に、すなわち搬送部と同じ側に配置されている。第2ヒンジは、開閉部における第1方向の他方に配置されている。開閉部は、ベース部材を有している。ベース部材は、第1ヒンジ及び第2ヒンジと連結している。
【0005】
開閉部は、板部材をさらに有している。板部材は、一端がベース部材及び第1ヒンジに共締めされている。板部材は、一端から第2方向に延びている。第2方向は、開閉軸心の径外方向のうちのベース部材が延びる方向である。板部材の他端は、開閉部における第2方向の先端部に支持されている。
【0006】
この画像読取装置では、搬送部と同じ側に配置された板部材によって、開閉部のベース部材における第1ヒンジとの連結部分やその周辺を補強している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-145551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、画像読取装置に対する多機能化の要求により、搬送部の重量が増加する傾向にあり、開閉部における第1ヒンジ及び第2ヒンジのそれぞれに支持される部分やその近傍に作用する負荷も大きくなる傾向にある。そして、重量が増加した搬送部が第1方向の一方に偏って配置された開閉部を閉鎖位置と開放位置との間で揺動させたり、開放位置のまま放置したりするときに、開閉部が捩じれるように撓んだり、開閉部における第2方向の先端部が垂れ下がるように撓んだりすることを抑制し難くなるおそれがある。
【0009】
また、ユーザによっては、開閉部における第2ヒンジに対して第1方向で第1ヒンジとは反対側に位置する側端部に手を掛けて開閉部を開閉する場合があり、このような場合にも、開閉部が捩じれるように撓むことを抑制し難くなるおそれがある。その結果、開閉部を構成するフレーム部材等について、変形や破損等の不具合が発生し易くなるおそれがある。
【0010】
このため、画像読取装置に対して、開閉部の耐久性をより向上させることが求められている。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、カバーの耐久性をより向上させることができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像読取装置は、原稿を支持する原稿支持面を有する本体と、
前記原稿支持面に支持された原稿の画像を読み取る読取センサと、
第1ヒンジと、
第2ヒンジと、
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジを介して前記本体に連結され、前記原稿支持面を覆う閉鎖位置と、前記原稿支持面を露出させる開放位置と、の間で第1方向に延びる開閉軸心周りに揺動可能なカバーと、
前記カバーに前記第1方向の一方に偏って配置され、前記読取センサの読取対象であるシートを前記読取センサに向けて搬送する搬送部と、を備え、
前記第1ヒンジは、前記カバーにおける前記第1方向の前記一方に配置され、
前記第2ヒンジは、前記カバーにおける前記第1方向の他方に配置された画像読取装置であって、
前記カバーは、前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジと連結するベース部材と、
前記ベース部材に組み付けられ、前記搬送部から排出されたシートを支持する排出トレイを有するトレイ部材と、を有し、
前記ベース部材は、前記第1ヒンジとの連結部分の存在領域を前記開閉軸心の径外方向のうちの前記ベース部材が延びる方向である第2方向に延長した第1領域と、
前記第2ヒンジとの連結部分の存在領域を前記第2方向に延長した第2領域と、
前記第2領域に対して前記第1方向で前記第1領域とは反対側に位置する第3領域と、を有し、
前記カバーは、前記第1領域において前記ベース部材を補強する第1補強構造と、少なくとも前記第3領域において前記ベース部材を補強する第2補強構造と、を有するものであり、
前記トレイ部材における前記ベース部材に対向する対向面には、締結部が設けられ、
前記第2補強構造は、前記ベース部材の少なくとも前記第3領域において複数の締結具によって前記ベース部材と前記トレイ部材の前記締結部とが共締めされていることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像読取装置では、第1領域においてベース部材を補強する第1補強構造は、カバーにおける第1方向の一方に、すなわち搬送部と同じ側に配置されている。少なくとも第3領域においてベース部材を補強する第2補強構造は、カバーにおける第1方向の他方に配置されている。
【0014】
つまり、カバーにおける第1方向の一方及び他方は、第1補強構造及び第2補強構造によってバランス良く補強される。
【0015】
また、この画像読取装置では、第2補強構造は、ベース部材の少なくとも第3領域において複数の締結具によってベース部材とトレイ部材の締結部とが共締めされている。このようなトレイ部材を利用する第2補強構造により、部品点数を削減しつつ、ベース部材を確実性高く補強できる。
【0016】
これにより、この画像読取装置では、重量が増加した搬送部が第1方向の一方に偏って配置されたカバーを閉鎖位置と開放位置との間で揺動させたり、開放位置のまま放置したりするときに、カバーが捩じれるように撓んだり、カバーにおける第2方向の先端部が垂れ下がるように撓んだりすることを抑制できる。また、ユーザがカバーにおける第2ヒンジに対して第1方向で第1ヒンジとは反対側に位置する側端部に手を掛けてカバーを開閉する場合でも、カバーが捩じれるように撓むことを抑制できる。その結果、この画像読取装置では、カバーを構成するフレーム部材等について、変形や破損等の不具合が発生し難くなる。
【0017】
したがって、本発明の画像読取装置では、カバーの耐久性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例の画像読取装置の斜視図である。
図2】実施例の画像読取装置の部分斜視図であって、カバーを開放位置に揺動させた状態を示す図である。
図3】実施例の画像読取装置の部分断面図である。
図4】ベース部材、トレイ部材、第1ヒンジ、第2ヒンジ、第1板部材及び第2板部材を示す分解斜視図である。
図5】ベース部材、第1ヒンジ、第2ヒンジ、第1板部材及び第2板部材を示す下面図である。
図6】ベース部材と、ベース部材に組み付けられたトレイ部材とを示す斜視図である。
図7】ベース部材と、ベース部材に組み付けられる前のトレイ部材とを示す部分斜視図である。
図8】ベース部材と、ベース部材に組み付けられる前のトレイ部材とを示す部分斜視図である。
図9図5のA-A断面を示す部分断面図である。
図10図5のB-B断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。図1では、操作パネル8Pが配置される側を装置の前方と規定し、操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0021】
<全体構成>
図1図3に示すように、画像読取装置1は、本体8及びカバー9を備えている。本体8は、扁平な略箱状体である。図1に示すように、本体8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが設けられている。本体8内の下部分には、画像形成ユニット5が収容されている。画像形成ユニット5は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。
【0022】
図1図3に示すように、本体8の上部分には、読取ユニット3が設けられている。読取ユニット3は、原稿の画像を読み取る際に使用される。
【0023】
カバー9には、供給トレイ91、排出トレイ79及び搬送部4が設けられている。供給トレイ91及び排出トレイ79は、カバー9の右部分に設けられている。
【0024】
図3に示すように、供給トレイ91は、排出トレイ79よりも上方の位置で、排出トレイ79に重なるように設けられている。供給トレイ91は、左向きに緩やかに下り傾斜している。供給トレイ91は、読取対象のシートSHを支持する。搬送部4は、供給トレイ91に対してシートSHの搬送方向DT1の下流に設けられた搬送ガイド30を含んでいる。搬送ガイド30によって案内されるシートSHの搬送方向DT1は、供給トレイ91から左向きに進み、カバー9の左端側で下向きにUターンし、排出トレイ79まで右向きに進む方向である。
【0025】
搬送部4は、供給トレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30に沿って搬送方向DT1に順次搬送し、排出トレイ79に排出しながら、その搬送途中のシートSHの画像を読取ユニット3に読み取らせる際に使用される。
【0026】
図2及び図3に示すように、本体8の上面にはプラテンガラスが配設され、そのプラテンガラスの上面によって原稿支持面8Aが形成されている。また、本体8の上面における原稿支持面8Aよりも左方には別のプラテンガラスが配設され、その別のプラテンガラスの上面によって、前後方向に細長い読取面8Bが形成されている。
【0027】
原稿支持面8Aは、静止した状態の原稿の画像を読取ユニット3が読み取る際に、その原稿を下から支持する。読取対象の原稿には、用紙、OHPシート等であるシートの他、書籍等が含まれる。
【0028】
読取面8Bは、搬送部4によって1枚ずつ搬送されるシートSHの画像を読取ユニット3が読み取る際に、その搬送されるシートSHに下から接触する。
【0029】
本体8の上面における読取面8Bよりも左方には、ガイド凸部8H1が設けられている。ガイド凸部8H1は、読取面8Bに近づくように搬送されるシートSHを読取面8Bに向けて案内する。また、本体8の上面における原稿支持面8Aと読取面8Bとの間には、ガイド凸部8H2が設けられている。ガイド凸部8H2は、読取面8Bに接触しながら搬送されるシートSHをすくい上げて右向きに上り傾斜するように案内する。
【0030】
なお、本実施例においては、原稿支持面8Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿と記載し、搬送部4により搬送しながら画像が読み取られる対象をシートと記載する。原稿とシートとは、実質的に同じものであってもよい。
【0031】
図2に示すように、画像読取装置1は、本体8の後端部に配設された第1ヒンジ81及び第2ヒンジ82を備えている。カバー9は、第1ヒンジ81及び第2ヒンジ82を介して本体8に連結され、第1方向D1に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能である。第1方向D1は、原稿支持面8Aの一端縁8A1に平行な左右方向である。
【0032】
搬送部4は、カバー9に第1方向D1の一方に偏って配置されている。より詳しくは、搬送部4は、カバー9における左右方向の中央線CL1よりも左方に偏って配置されている。第1ヒンジ81は、カバー9における第1方向D1の一方に、すなわち搬送部4と同じ側に配置されている。第2ヒンジ82は、カバー9における第1方向D1の他方に、すなわちカバー9における左右方向の中央線CL1よりも右方に配置されている。
【0033】
第1ヒンジ81及び第2ヒンジ82はそれぞれ、基部85及び支持部83を含んでいる。
【0034】
第1ヒンジ81及び第2ヒンジ82のそれぞれの基部85は、本体8の後端部に保持されており、支持部83を開閉軸心X9周りに揺動可能に支持している。基部85は、原稿支持面8Aに支持される原稿が書籍等である場合に、本体8に対して上昇することでその書籍等の厚みに対応可能となっている。また、基部85は、支持部83を任意の揺動角度で停止させるフリーストップ機能を発揮するためのバネやスライドカム等を内蔵している。
【0035】
第1ヒンジ81の支持部83は、カバー9における開閉軸心X9側の端部と、後述する第1板部材110の一端110Bとを支持している。第1板部材110及びその周辺の具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0036】
第2ヒンジ82の支持部83は、カバー9における開閉軸心X9側の端部と、後述する第2板部材120の一端120Bとを支持している。第2板部材120及びその周辺の具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0037】
このような第1ヒンジ81及び第2ヒンジ82により、カバー9は、図1及び図3に示す閉鎖位置と、図2に示す開放位置と、の間で開閉軸心X9周りに揺動可能である。
【0038】
カバー9は、図1等に示す閉鎖位置にある状態では、原稿支持面8A及び読取面8Bを上方から覆う。その一方、カバー9は、図2に示す開放位置にある状態では、原稿支持面8A及び読取面8Bを露出させる。なお、カバー9の構成や内部構造等について説明する際には、上下方向及び前後方向について、閉鎖位置にあるカバー9の姿勢を基準とする。
【0039】
図1及び図2に示すように、開閉軸心X9の径外方向のうちのベース部材39が延びる方向を第2方向D2とする。カバー9が閉鎖位置にある状態で、第2方向D2は開閉軸心X9から前向きに水平に延びる方向である。カバー9における第2方向D2の先端部9Aには、ユーザが手を掛けて上向き及び下向きの力を作用させることが可能な操作部9Hが設けられている。
【0040】
図2に示すように、操作部9Hは、第1方向D1において第1ヒンジ81と第2ヒンジ82との間に、より詳しくは、カバー9の中央線CL1と重なる位置に配置されている。操作部9Hは、カバー9を閉鎖位置と開放位置との間で揺動させるための操作を受ける。
【0041】
図2及び図3に示すように、読取ユニット3は、本体8内に収容された読取センサ3Sと、図示しない走査機構駆動源と、走査機構駆動源に駆動される図示しない走査機構とを有している。読取センサ3Sとしては、縮小光学系とCCD(Charge Coupled Device)とを組み合わせた読取ユニットや、CIS(Contact Image Sensor)等の周知の画像読取センサが使用される。
【0042】
読取センサ3Sは、原稿支持面8A及び読取面8Bの下方に位置している。走査機構は、原稿支持面8Aに支持される原稿の画像を読み取る際に走査機構駆動源によって駆動され、読取センサ3Sを本体8内における原稿支持面8Aの下方で左右方向に往復動させる。また、走査機構は、搬送部4によって搬送されるシートSHの画像を読取センサ3Sが読み取る際に走査機構駆動源によって駆動され、読取センサ3Sを本体8内における読取面8Bの下で停止させる。読取センサ3Sが読取面8Bの下で停止する位置は、予め定められた静止読取位置である。
【0043】
<ベース部材、トレイ部材、第1、2シュート部材及びカバー部材の構成>
カバー9は、図1図10に示すベース部材39と、図1図3図4図6図8及び図10に示すトレイ部材70と、図3に示す第1シュート部材35及び第2シュート部材37と、図1及び図3に示すカバー部材38とを有している。
【0044】
ベース部材39、トレイ部材70、第1シュート部材35、第2シュート部材37及びカバー部材38はそれぞれ、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂製部材である。
【0045】
図4及び図5に示すように、ベース部材39は、カバー9の底壁を形成している。ベース部材39の下面39Eは、カバー9の下面である。ベース部材39の下面39Eは、略平板部分や、略平板部分から短く突出する格子状のリブの下端縁によって形成される実質的な平坦面である。
【0046】
図2及び図3に示すように、ベース部材39の下面39Eには、原稿押さえ9Pが取り付けられている。原稿押さえ9Pは、カバー9が閉鎖位置にある状態で原稿支持面8Aに支持された原稿を押圧する。
【0047】
図3及び図6に示すように、ベース部材39の左部分には、読取面8B及びガイド凸部8H1、8H2に対向する領域が略矩形状に切り欠かれてなる読取開口39Hが形成されている。
【0048】
ベース部材39における読取開口39Hよりも左方に位置する部分には、搬送面39G1が形成されている。搬送面39G1の左端部は、下向きから向きを変えて右向きに下り傾斜するように湾曲している。そして、搬送面39G1は、読取開口39Hの左端縁まで右向きに下り傾斜している。
【0049】
ベース部材39における読取開口39Hよりも右方に位置する部分には、搬送面39G2が形成されている。搬送面39G2は、読取開口39Hの右端縁から右向きに上り傾斜している。
【0050】
トレイ部材70は、ベース部材39の右部分に対して原稿押さえ9Pとは反対側で組み付けられている。ベース部材39に対するトレイ部材70の組み付け構成については、後で詳しく説明する。
【0051】
トレイ部材70は、排出トレイ79を有している。排出トレイ79は、搬送面39G2よりも右方においてベース部材39の上面に上から当接し、平板状に延在している。
【0052】
排出トレイ79は、上面に突起77及び傾斜部79Sを有している。突起77は、搬送面39G2から右方に離れた位置で略山状に突出している。傾斜部79Sは、突起77の周辺からトレイ部材70の右端の近くまで右向きに緩やかに上り傾斜している。
【0053】
図3に示すように、第2シュート部材37は、ベース部材39の左部分の上方に配設されている。第2シュート部材37には、押圧部材保持部37F及び案内面37G1、37G2が形成されている。
【0054】
押圧部材保持部37Fは、読取面8Bに対向する位置で上向きに凹む凹部である。押圧部材保持部37Fには、押圧部材37Pが変位可能に保持されている。押圧部材37Pは、読取面8Bに接触しながら搬送されるシートSHを上から押圧して、そのシートSHが読取面8Bから浮き上がることを抑制する。
【0055】
案内面37G1は、押圧部材保持部37Fよりも左方に位置している。案内面37G1の左端部は、ベース部材39の搬送面39G1の左端部に沿って湾曲している。そして、案内面37G1は、ベース部材39の搬送面39G1の下り傾斜する部分に沿って、右向きに下り傾斜している。
【0056】
案内面37G2は、押圧部材保持部37Fよりも右方に位置している。案内面37G2は、本体8のガイド凸部8H2と、ベース部材39の搬送面39G2とに沿って右向きに上り傾斜している。
【0057】
第1シュート部材35は、第2シュート部材37の上方に配設されている。第1シュート部材35には、搬送面36が形成されている。搬送面36は、供給トレイ91に対して搬送方向DT1の下流に位置して左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。搬送面36の左端部は、左向きから下向きに向きを変えるように湾曲している。
【0058】
カバー部材38は、第1シュート部材35の上方に配設されている。カバー部材38は、供給トレイ91の左部分を上から覆っている。カバー部材38には、下向きに突出する複数のリブ38Rの下端縁からなる案内面38Gが形成されている。案内面38Gは、第1シュート部材35の搬送面36に沿って左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。案内面38Gの左端部は、第1シュート部材35の搬送面36の左端部に沿って湾曲している。
【0059】
第1シュート部材35の搬送面36と、カバー部材38の案内面38Gと、ベース部材39の搬送面39G1、39G2と、第2シュート部材27の案内面37G1、37G2とによって、搬送ガイド30が構成されている。
【0060】
搬送面36、39G1、39G2及び案内面38G、37G1、37G2は、搬送方向DT1に沿って延びており、供給トレイ91から排出トレイ79に向けてシートSHを搬送するための搬送経路を規定している。本体8の読取面8B及びガイド凸部8H1、8H2も、その搬送経路の一部を下から規定している。
【0061】
<給送ローラ、分離ローラ、第1、2搬送ローラ及び排出ローラ等の構成>
図3に示すように、搬送部4は、シートSHを搬送ガイド30に沿って搬送するための給送ローラ41、分離ローラ42、分離パッド42A、第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44、第2ピンチローラ44P、排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pを有している。
【0062】
分離ローラ42は、第1シュート部材35における搬送面36の上方に配置されている。分離ローラ42の回転軸42Sには、ホルダ42Fが回動可能に支持されている。
【0063】
給送ローラ41は、ホルダ42Fの右端部に回転可能に保持されて供給トレイ91に上から対向している。給送ローラ41は、供給トレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30の搬送面36に向けて給送する。
【0064】
分離パッド42Aは、分離ローラ42の真下の位置で、搬送面36から露出するように第1シュート部材35に支持されている。分離パッド42Aは、分離ローラ42に向けて押圧されている。
【0065】
分離ローラ42は、分離ローラ42と分離パッド42Aとのニップ位置に到達したシートSHに対して搬送方向DT1の下流に向かう搬送力を付与する。分離パッド42Aは、ニップ位置に到達したシートSHが複数枚であれば、分離ローラ42に接触するシートSH以外のシートSHに対し、そのシートSHの搬送を止める力を付与する。
【0066】
第1搬送ローラ43は、第1シュート部材35の搬送面36における搬送方向DT1の中間部に支持されている。第1ピンチローラ43Pは、カバー部材38の案内面38G側に支持され、第1搬送ローラ43に向けて押圧されている。
【0067】
第2搬送ローラ44は、第2シュート部材37の案内面37G1における搬送方向D1の中間部に支持されている。第2ピンチローラ44Pは、ベース部材39の搬送面39G1側に支持され、第2搬送ローラ44に向けて押圧されている。
【0068】
第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44及び第2ピンチローラ44Pは、分離ローラ42及び分離パッド42Aによって1枚ずつに分離されたシートSHを読取面8Bに向けて、すなわち、静止読取位置に停止する読取センサ3Sに向けて搬送する。
【0069】
排出ローラ47は、第2シュート部材37の案内面37G2の右端部に支持されている。排出ピンチローラ47Pは、ベース部材39の搬送面39G2の右端部に支持され、排出ローラ47に向けて押圧されている。排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pは、読取面8Bを通過して搬送面39G2及び案内面37G2によって案内されるシートSHを排出トレイ79に向けて排出する。
【0070】
<ベース部材、第1ヒンジ及び第1板部材の組み付け構成(第1補強構造)>
ベース部材39は、以下に説明するように、第1ヒンジ81の支持部83と連結され、第1板部材110によって補強されている。
【0071】
図4に示すように、第1ヒンジ81の支持部83には、3つのネジ83F1が挿通される3つの挿通穴が貫設されている。
【0072】
ベース部材39の下面39Eの後端部には、各ネジ83F1がねじ込まれる3つのネジ穴39F1が凹設されている。
【0073】
第1板部材110は、断面略L字形状であって一端110Bから第2方向D2に延びている。第1板部材110の一端110Bには、各ネジ83F1の真ん中に位置する1つが挿通される挿通穴が貫設されている。第1板部材110の他端110Aは、クランク状に折り曲げられた平板形状である。本実施例では、第1板部材110は、鋼板等が折り曲げ加工等されてなる金属部材である。
【0074】
図3図4及び図5に示すように、ベース部材39の下面39Eには、第1板部材収容部391が凹設されている。第1板部材収容部391は、一端が各ネジ穴39F1の真ん中に位置する1つを含むように凹み、第2方向D2に延びている。図5及び図9に示すように、第1板部材収容部391の他端には、嵌合凹部391Hが形成されている。
【0075】
図5に示すように、第1板部材110は、他端110Aが嵌合凹部391Hに嵌入する状態で第1板部材収容部391に収容される。この際、第1板部材110の一端110Bの挿通穴は、各ネジ穴39F1の真ん中に位置する1つと一致する。
【0076】
そして、図4に示すように、3つのネジ83F1を第1ヒンジ81の支持部83の各挿通穴に挿通させ、ベース部材39の各ネジ穴39F1にねじ込むことにより、ベース部材39が第1ヒンジ81の支持部83と連結される。
【0077】
図9に示すように、第1板部材110は、一端110Bがベース部材39に共締めされ、かつ他端110Aが嵌合凹部391Hに嵌入することにより、ベース部材39を補強する。
【0078】
図5に示すように、ベース部材39は、第1領域E1を有している。第1領域E1は、ベース部材39における第1ヒンジ81の支持部83との連結部分39J1の存在領域を第2方向D2に延長した領域である。第1板部材110は、第1領域E1に配置されている。
【0079】
カバー9は、第1補強構造11として第1板部材110を有し、第1領域E1においてベース部材39を補強している。
【0080】
<ベース部材、トレイ部材、第2ヒンジ及び第2板部材の組み付け構成(第2補強構造)>
ベース部材39は、以下に説明するように、第2ヒンジ82の支持部83と連結され、トレイ部材70及び第2板部材120によって補強されている。第2板部材120は、本発明の「板部材」の一例である。
【0081】
図6及び図7に示すように、トレイ部材70の前端及び後端には、5つのネジ70Fが挿通される5つの挿通穴70Nが貫設されている。図7に示すように、ベース部材39には、5つのネジ穴39Nが凹設されている。各のネジ穴39Nは、各挿通穴70Nに整合する位置に配置されている。
【0082】
5つのネジ70Fをトレイ部材70の各挿通穴70Nに挿通させ、ベース部材39の各ネジ穴39Nにねじ込むことにより、トレイ部材70がベース部材39に共締めされて組み付けられる。
【0083】
図8に示すように、トレイ部材70におけるベース部材39に対向する対向面70Aには、締結部125が設けられている。締結部125は、傾斜部79Sの下方に位置している。締結部125は、5つのボス126と2本のリブ127とを有している。
【0084】
各ボス126は、対向面70Aからベース部材39に向かって突出している。各ボス126の外周側には複数の補強リブが放射状に形成されている。
【0085】
各リブ127は、対向面70Aからベース部材39に向かって突出している。各リブ127はそれぞれ、前後方向において並ぶ2つのボス126を接続するように前後方向(第2方向D2)に延びている。
【0086】
各リブ127が接続する4つのボス126には、4つのネジ125Fがねじ込まれる。各リブ127が接続しない1つのボス126(126A)には、ネジ120Fがねじ込まれる。複数のネジ125F、120Fは、本発明の「複数の締結具」の一例である。
【0087】
図4に示すように、第2ヒンジ82の支持部83には、3つのネジ83F2が挿通される3つの挿通穴が貫設されている。
【0088】
ベース部材39の下面39Eの後端部には、各ネジ83F2がねじ込まれる3つのネジ穴39F2が凹設されている。
【0089】
第2板部材120は、断面略L字形状であって一端120Bから第2方向D2に延びている。第2板部材120の一端120Bには、各ネジ83F2の真ん中に位置する1つが挿通される挿通穴が貫設されている。第2板部材120の他端120Aは、クランク状に折り曲げられた平板形状である。第2板部材120の他端120Aには、ネジ120Fが挿通される1つの挿通穴が貫設されている。
【0090】
本実施例では、第2板部材120は、鋼板等が折り曲げ加工等されてなる金属部材である。第2板部材120の第2方向D2の長さL120は、カバー9の第2方向D2の長さL9の半分よりも長い。
【0091】
図5及び図8に示すように、ベース部材39の下面39Eには、第2板部材収容部392が凹設されている。第2板部材収容部392は、一端が各ネジ穴39F2の真ん中に位置する1つを含むように凹み、第2方向D2に延びている。図8及び図10に示すように、第2板部材収容部392の他端には、凹部392Hが形成され、また、凹部392Hよりも後方に挿通穴392Fが貫設されている。挿通穴392Fは、ボス126(126A)に整合する位置に配置されている。
【0092】
図8に示すように、ベース部材39における第2板部材収容部392よりも右方には、4つの挿通穴393Fが貫設されている。各挿通穴393Fは、ボス126(126A)以外の4つのボス126に整合する位置に配置されている。
【0093】
図5に示すように、第2板部材120は、他端120Aが凹部392Hに挿入された状態で第2板部材収容部392に収容される。この際、第2板部材120の一端120Bの挿通穴は、各ネジ穴39F2の真ん中に位置する1つと一致する。また、2板部材120の他端120Aの挿通穴は、挿通穴392Fと一致する。
【0094】
そして、図4に示すように、3つのネジ83F2を第2ヒンジ82の支持部83の各挿通穴に挿通させ、ベース部材39の各ネジ穴39F2にねじ込むことにより、ベース部材39が第2ヒンジ82の支持部83と連結される。
【0095】
図10に示すように、第2板部材120は、一端120Bがベース部材39に共締めされる。そして、ネジ120Fを第2板部材120の他端120Aの挿通穴に挿通させ、ベース部材39の挿通穴392Fに挿通させ、トレイ部材70のボス126(126A)にねじ込む。これにより、第2板部材120は、一端120Bとは異なる箇所においてベース部材39及び締結部125に共締めされる
【0096】
また、図8に示すように、4つのネジ125Fをベース部材39の挿通穴393Fに挿通させ、ボス126(126A)以外の4つのボス126にねじ込んでベース部材39と締結部125とを共締めする。
【0097】
その結果、締結部125と第2板部材120とがベース部材39を補強する。
【0098】
図5に示すように、ベース部材39は、第2領域E2及び第3領域E3を有している。第2領域E2は、ベース部材39における第2ヒンジ82の支持部83との連結部分39J2の存在領域を第2方向D2に延長した領域である。第3領域E3は、第2領域E2に対して第1方向D1で第1領域E1とは反対側に位置する領域である。
【0099】
第2板部材120と、ベース部材39の挿通穴392Fと、締結部125のボス126(126A)とは、第2領域E2に配置されている。締結部125のボス126(126A)以外の4つのボス126と、ベース部材39の4つの挿通穴393Fとは、第2領域E2及び第3領域E3に配置されている。
【0100】
カバー9は、第2補強構造12として第2板部材120を有し、第2領域E2においてベース部材39を補強している。
【0101】
また、第2補強構造12は、第2領域E2及び第3領域E3において複数のネジ125Fによってベース部材39とトレイ部材70の締結部125とが共締めされているとともに、第2領域E2においてネジ120Fによって、ベース部材39と、トレイ部材70の締結部125と、第2板部材120とが共締めされている。第2補強構造12は、このような構造によっても、ベース部材39を補強している。
【0102】
図6に示すように、傾斜部79Sは、第1方向D1において第2領域E2から第3領域E3に向かうにつれてベース部材39から離れるように傾斜している。
【0103】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、原稿支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない制御部が読取ユニット3の図示しない走査機構駆動源を制御して図示しない走査機構を作動させ、読取センサ3Sを原稿支持面8Aの左端縁の下方である読取開始位置から右端縁の下方である読取終了位置までの間で左右方向に移動させる。これにより、読取センサ3Sは、原稿支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る。その後、制御部は、走査機構駆動源を制御して走査機構を逆向きに作動させ、読み取りを終えた読取センサ3Sを読取ユニット3内における右端から左端に移動させて待機位置に復帰させる。
【0104】
また、この画像読取装置1では、供給トレイ91に支持されたシートSHを搬送部4によって搬送し、そのシートSHの画像を読み取る場合、制御部が走査機構駆動源を制御して走査機構を作動させ、読取センサ3Sを読取面8Bの下方である静止読取位置に停止させる。
【0105】
次に、制御部は、給送ローラ41、分離ローラ42、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を作動させ、供給トレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30に沿って順次搬送する。
【0106】
そして、制御部は、搬送面36、39G1、39G2上を搬送されるシートSHが読取面8Bを通過する際、静止読取位置に停止した読取センサ3Sによって、そのシートSHの画像を読み取る。
【0107】
そして、制御部は、画像が読み取られたシートSHを排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pによって排出トレイ79に向けて排出する。排出トレイ79は、搬送部によって排出されるシートSHを支持する。
【0108】
この際、排出トレイ79上の突起77がシートSHの中央を持ち上げることで、シートSHにおける排出ローラ47側の端縁が排出トレイ79から浮き上がることを抑制する。その結果、排出トレイ79に支持されたシートSHがその後に排出されるシートSHの排出を阻害することを抑制できる。
【0109】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、図4及び図5に示すように、第1領域E1においてベース部材39を補強する第1補強構造11は、カバー9における第1方向D1の一方に、すなわち搬送部4と同じ側に配置されている。少なくとも第3領域E3においてベース部材39を補強する第2補強構造12は、カバー9における第1方向D1の他方に配置されている。
【0110】
つまり、カバー9における第1方向D1の一方及び他方は、第1補強構造11及び第2補強構造12によってバランス良く補強される。
【0111】
また、この画像読取装置1では、第2補強構造12は、ベース部材39の第2領域E2及び第3領域E3において複数のネジ125F、120Fによってベース部材39とトレイ部材70の締結部125とが共締めされている。このようなトレイ部材70を利用する第2補強構造12により、部品点数を削減しつつ、ベース部材39を確実性高く補強できる。
【0112】
これにより、この画像読取装置1では、重量が増加した搬送部4が第1方向D1の一方に偏って配置されたカバー9を図1等に示す閉鎖位置と図2に示す開放位置との間で揺動させたり、開放位置のまま放置したりするときに、カバー9が捩じれるように撓んだり、カバー9の先端部9Aが垂れ下がるように撓んだりすることを抑制できる。また、ユーザがカバー9における第2ヒンジ82に対して第1方向D1で第1ヒンジ81とは反対側に位置する側端部、すなわち右端部に手を掛けてカバー9を開閉する場合でも、カバー9が捩じれるように撓むことを抑制できる。その結果、この画像読取装置1では、カバー9を構成するベース部材39等について、変形や破損等の不具合が発生し難くなる。
【0113】
したがって、実施例の画像読取装置1では、カバー9の耐久性をより向上させることができる。
【0114】
さらに、この画像読取装置1では、締結部125が複数のボス126及び複数のリブ127を有し、複数のリブ127が各ボス126を接続するように延びている。この構成により、トレイ部材70がベース部材39を一層確実性高く補強でき、その結果、カバー9の耐久性をより一層向上させることができる。
【0115】
また、この画像読取装置1では、図5及び図6に示すように、締結部125は、第1方向D1において第2領域E2から第3領域E3に向かうにつれてベース部材39から離れるように傾斜する傾斜部79Sの下方に位置している。この構成により、排出トレイ79が一般的に有する傾斜部79Sを利用して、トレイ部材70に締結部125を容易に設けることができる。
【0116】
さらに、この画像読取装置1では、図5及び図6に示すように、トレイ部材70は、第3領域E3とは異なる領域においても、ベース部材39に共締めされている。より詳しくは、5つのネジ70Fをトレイ部材70の各挿通穴70Nに挿通させ、ベース部材39の各ネジ穴39Nにねじ込むことにより、トレイ部材70がベース部材39に共締めされている。この構成により、トレイ部材70がベース部材39を一層確実性高く補強でき、その結果、カバー9の耐久性をより一層向上させることができる
【0117】
また、この画像読取装置1では、図5及び図10に示すように、第2補強構造12としての第2板部材120は、第2領域E2において一端120Bがベース部材39及び第2ヒンジ82に共締めされ、他端120Aがベース部材39及び締結部125に共締めされている。この構成により、第2板部材120によってベース部材39を確実性高く補強でき、その結果、カバー9の耐久性をより一層向上させることができる。
【0118】
さらに、この画像読取装置1では、図4に示すように、第2板部材120の第2方向D2の長さL120は、カバー9の第2方向D2の長さL9の半分よりも長い。この構成により、第2板部材120によってベース部材39を一層確実性高く補強でき、カバー9の先端部9Aが垂れ下がるように撓むことを確実性高く抑制できる。その結果、カバー9の耐久性をより一層向上させることができる。
【0119】
また、この画像読取装置1では、図2に示すように、操作部9Hは、第1方向D1において第1ヒンジ81と第2ヒンジ82との間に配置されている。この構成により、ユーザが操作部9Hに手を掛けてカバー9を開閉するときにベース部材39に作用する負荷の一部を第1補強構造11及び第2補強構造12によってバランス良く負担できるので、カバー9が捩じれるように撓むことを確実性高く抑制できる。
【0120】
さらに、この画像読取装置1では、図5及び図9に示すように、第1補強構造11としての第1板部材110は、第1領域E1において一端110Bがベース部材39及び第1ヒンジ81に共締めされ、第2方向D1に延びて他端110Aが嵌合凹部391Hに嵌入している。この構成により、第1板部材110によってベース部材39を確実性高く補強でき、その結果、カバー9の耐久性をより一層向上させることができる。
【0121】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0122】
実施例では、締結部125のボス126の一部が第2領域E2に配置されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、締結部が第3領域のみに配置されていてもよい。
【0123】
実施例の第2板部材120を無くし、締結部125がベース部材39に共締めされる構成のみに変更した構成も本発明に含まれる。
【0124】
締結具は、ネジに限定されず、例えばボルト&ナット、スナップフィットファスナ、ワンサイドファスナ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は例えば、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0126】
1…画像読取装置、8A…原稿支持面、8…本体
3S…読取センサ、D1…第1方向、X9…開閉軸心
81…第1ヒンジ、82…第2ヒンジ、9…カバー
SH…シート、4…搬送部、39…ベース部材
39J1…ベース部材における第1ヒンジとの連結部分
39J2…ベース部材における第2ヒンジとの連結部分
D2…第2方向、E1…第1領域、E2…第2領域、E3…第3領域
11…第1補強構造、12…第2補強構造、79…排出トレイ
70…トレイ部材、70A…対向面、125…締結部
125F、120F…複数の締結具(ネジ)、126…複数のボス
127…複数のリブ、79S…傾斜部、120…板部材(第2板部材)
120B…板部材(第2板部材)の一端、L9…カバーの第2方向の長さ
L120…板部材(第2板部材)の第2方向の長さ
9A…カバーの先端部、9H…操作部
110…第1板部材、110B…第1板部材の一端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10